RMON について
RMON は、さまざまなネットワーク エージェントとコンソール システムでネットワーク モニタリング情報を交換できる Internet Engineering Task Force(IETF; インターネット技術特別調査委員会)の標準モニタリング仕様です。スイッチで RMON 機能を Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)エージェントとともに使用して、接続しているすべての LAN セグメントでスイッチ間のすべてのトラフィック フローをモニタリングできます。
図 48-1 リモート モニタリングの例
スイッチは次の RMON グループ(RFC 1757 で定義)をサポートします。
• 統計情報(RMON グループ 1):インターフェイス上のイーサネット、ファスト イーサネット、およびギガビット イーサネットの統計情報を収集
• 履歴(RMON グループ 2):イーサネット、ファスト イーサネット、およびギガビット イーサネット インターフェイスについて、指定したポーリング間隔で、統計情報の履歴グループを収集
• アラーム(RMON グループ 3):特定の MIB オブジェクトを指定した間隔でモニタリングし、指定した値(上昇しきい値)でアラームをトリガーし、別の値(下限しきい値)でアラームをリセットします。アラームはイベントとともに使用できます。アラームがトリガーしたイベントによってログ エントリや SNMP トラップを生成できます。
• イベント(RMON グループ 9):アラームによってイベントがトリガーされたときのアクションを指定します。ログ エントリや SNMP トラップの生成があります。
Cisco IOS Release 12.2(31)SG でサポートされるスイッチはハードウェア カウンタを使用して RMON データを処理します。このため、効率的なモニタリングが可能で、処理パワーは少なくて済みます。
RMON の設定
ここでは、スイッチに RMON を設定する方法を説明します。内容は次のとおりです。
• 「デフォルトの RMON 設定」
• 「RMON アラームとイベントの設定」
• 「インターフェイス設定する RMON 収集」
デフォルトの RMON 設定
デフォルトでは RMON はディセーブルです。アラームやイベントは設定されていません。
RMON 1 だけがスイッチでサポートされています。
RMON アラームとイベントの設定
Command-Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)または SNMP 適合の NMS(ネットワーク管理ステーション)を使用すると、スイッチに RMON を設定できます。NMS で汎用 RMON コンソール アプリケーションを使用して RMON のネットワーク管理機能を利用することを推奨します。スイッチで SNMP を設定して、RMON MIB オブジェクトにアクセスできるようにする必要もあります。詳細については、 第 46 章「SNMP の設定」 を参照してください。
RMON アラームおよびイベントをイネーブルにするには、次の作業を実行します。
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ステップ 1 |
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グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
rmon alarm
number variable interval
{
absolute
|
delta
}
rising-threshold
value
[
event-number
]
falling-threshold
value
[
event-number
] [
owner
string
]
|
MIB オブジェクトにアラームを設定します。 • number には、アラーム番号を指定します。指定できる範囲は 1 ~ 65535 です。 • variable には、モニタリングする MIB オブジェクトを指定します。 • interval には、アラームが MIB 変数をモニタリングする時間を秒単位で指定します。有効範囲は 1 ~ 4294967295 秒です。 • それぞれの MIB 変数を直接テストするには absolute キーワードを指定します。MIB 変数のサンプルの変化をテストするには delta キーワードを指定します。 • value には、アラームがトリガーする値とリセットする値を指定します。 value の上昇しきい値と下限しきい値の有効範囲は、-2147483648 ~ 2147483647 です。 • (任意) event-number には、上昇しきい値または下限しきい値を超過する際にトリガーするイベント番号を指定します。 • (任意) owner string には、アラームのオーナーを指定します。 |
ステップ 3 |
rmon event
number
[
description
string
] [
log
] [
owner
string
] [
trap
community
]
|
RMON イベント テーブルで RMON イベント番号に関連付けられたイベントを追加します。 • number には、イベント番号を指定します。指定できる範囲は 1 ~ 65535 です。 • (任意) description string には、イベントの説明を指定します。 • (任意)イベントがトリガーされた際に RMON ログ エントリを生成するには、 log キーワードを使用します。 • (任意) owner string には、このイベントのオーナーを指定します。 • (任意) community には、このトラップに使用する SNMP コミュニティ ストリングを指定します。 |
ステップ 4 |
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特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
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入力を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config
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(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
アラームをディセーブルにするには、設定したアラームごとに no rmon alarm number グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。設定したすべてのアラームを一度にディセーブルにすることはできません。イベントをディセーブルにするには、 no rmon event number グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。アラームおよびイベントの詳細と相互作用については、RFC 1757 を参照してください。
任意の MIB オブジェクトにアラームを設定できます。次に、 rmon alarm コマンドを使用して RMON アラーム番号 10 を設定する例を示します。このアラームはディセーブルになるまで MIB 変数 ifEntry.20.1 を 20 秒ごとにモニタリングし、変数の上昇または下降の変化をチェックします。 ifEntry.20.1 の値が MIB カウンタにおいて 15 以上増加すると(たとえば 100000 から 100015 になると)、アラームがトリガーされます。次にアラームはイベント番号 1 をトリガーします。このイベント番号は rmon event コマンドで設定します。ログ エントリや SNMP トラップなどをイベントに含めることができます。 ifEntry.20.1 の値が変化しない場合は、アラームがリセットされて再びトリガーできるようになります。
Switch(config)# rmon alarm 10 ifEntry.20.1 20 delta rising-threshold 15 1 falling-threshold 0 owner jjohnson
次に、 rmon event コマンドを使用して RMON イベント番号 1 を作成する例を示します。イベントは High ifOutErrors として定義され、イベントがアラームによってトリガーされるとログ エントリが生成されます。ユーザ jjones は、このコマンドでイベント テーブルに作成された列のオーナーです。次も、イベントがトリガーされると SNMP トラップを生成する例です。
Switch(config)# rmon event 1 log trap eventtrap description “High ifOutErrors” owner jjones
インターフェイス設定する RMON 収集
収集情報を表示するには、まず RMON アラームおよびイベントを設定する必要があります。
インターフェイスのグループ履歴統計情報を収集するには、次の作業を実行します。
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ステップ 1 |
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グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
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履歴を収集するインターフェイスを指定して、インターフェイスコンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
rmon collection history
index
[
buckets
bucket-number
] [
interval
seconds
]
[
owner
ownername
]
|
指定したバケット数と期間での履歴収集をイネーブルにします。 • index には、統計情報の RMON グループを指定します。有効範囲は 1 ~ 65535 です。 • (任意) buckets bucket-number には、RMON 統計情報収集履歴グループに必要なバケットの最大数を指定します。指定できる範囲は 1 ~ 65535 です。デフォルト値は 50 バケットです。 • (任意) interval seconds には、ポーリング サイクルの時間を秒単位で指定します。 • (任意) owner ownername には、RMON 統計情報グループのオーナー名を指定します。 履歴収集をディセーブルにするには、 no rmon collection history index インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。 |
ステップ 4 |
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特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
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入力を確認します。 |
ステップ 6 |
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スイッチの履歴テーブルの内容を表示します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config
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(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
インターフェイスのグループ イーサネット統計情報を収集するには、次の作業を実行します。
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ステップ 1 |
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グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
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統計情報を収集するインターフェイスを指定して、インターフェイスコンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
rmon collection stats
index
[
owner
ownername
]
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インターフェイスの RMON 統計情報収集をイネーブルにします。 • index には、RMON 統計情報グループを指定します。指定できる範囲は 1 ~ 65535 です。 • (任意 ) owner ownername には、RMON 統計情報グループのオーナー名を指定します。 グループ イーサネット統計情報の収集をディセーブルにするには、 no rmon collection stats index インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。 |
ステップ 4 |
|
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
|
入力を確認します。 |
ステップ 6 |
|
スイッチの統計情報テーブルの内容を表示します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config
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(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
RMON ステータスの表示
RMON ステータスを表示するには、 表 48-1 に示す特権 EXEC コマンドのいずれかを使用します。
表 48-1 RMON ステータスの表示コマンド
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一般的な RMON 統計情報を表示します。 |
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RMON アラーム テーブルを表示します。 |
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RMON イベント テーブルを表示します。 |
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RMON 履歴テーブルを表示します。 |
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RMON 統計情報テーブルを表示します。 |