Cisco CallManager のトランク設定
Cisco CallManager Administration のトランク設定は、ネットワーク設計および IP WAN で使用されるコール制御プロトコルに応じて異なります。どのプロトコルを使用する場合も、コールを受信および発信するためには、シグナリング インターフェイス(トランク)またはゲートウェイのいずれかを作成する必要があります。MGCP などの一部の IP プロトコルには、ゲートウェイにトランク シグナリングを設定します。Cisco CallManager にゲートウェイを設定するときに、シグナリング インターフェイスのタイプを指定します。たとえば、Cisco CallManager に QSIG 接続を設定するには、QSIG プロトコルをサポートする MGCP 音声ゲートウェイをネットワークに追加する必要があります。次に、QSIG プロトコル タイプを使用するように T1 PRI または E1 PRI トランク インターフェイスを設定します。ゲートウェイの設定に関する詳細については、 「Cisco CallManager 音声ゲートウェイの概要」 の章を参照してください。
関連項目
• 「Cisco CallManager 内のトランクとゲートキーパー」
• 「Cisco CallManager Administration 内のトランク タイプ」
ゲートキーパーによって制御されるトランク
分散型コール処理環境で使用されるゲートキーパーは、Cisco CallManager クラスタに対してコール ルーティングおよびコール アドミッション制御を提供します。ゲートキーパーによって制御されるクラスタ間トランクは、すべてのリモート クラスタと通信を行うことができます。同様に、H.225 トランクは、Cisco CallManager クラスタを含む、ゲートキーパーによって制御される任意の H.323 エンドポイントと通信を行うことができます。ルート パターンまたはルート グループは、ゲートキーパーとの間で相互にコールをルーティングできます。分散型コール処理環境では、ゲートキーパーが E.164 アドレス(電話番号)を使用して、各コールの宛先の IP アドレスを判別し、ローカル Cisco CallManager がその IP アドレスを使用してコールを確立します。
多数の Cisco CallManager クラスタが存在する大規模な分散型ネットワークの場合、ゲートキーパーを使用すると、各クラスタ間に個々のクラスタ間トランクを設定する手間が省けます。
ゲートキーパーによって制御されるトランクを設定する場合、Cisco CallManager によって仮想トランク デバイスが作成されます。ゲートキーパーは、リモート デバイスの IP アドレスに対応してこのデバイスの IP アドレスを動的に変更します。これらのトランクは、ゲートキーパーとの間で相互にコールをルーティングするルート パターンまたはルート グループに指定します。
ゲートキーパーの設定、ゲートキーパーを使用する場合のダイヤル プランの考慮事項、およびゲートキーパーと Cisco CallManager の相互対話の詳細については、『 Cisco IP テレフォニー ソリューション リファレンス ネットワーク デザイン ガイド 』を参照してください。
ゲートキーパーによって制御されないトランク
分散型コール処理環境でゲートキーパーが使用されていない場合、IP WAN 経由でローカル Cisco CallManager からのコールが可能なリモート クラスタのそれぞれのリモート デバイス プールに対して、別個のクラスタ間トランクを設定する必要があります。また、各種のクラスタ間トランクとの間でコールをルーティングするために必要な、ルート パターンとルート グループを設定します。クラスタ間トランクは、リモート デバイスの IP アドレスを静的に指定します。
関連項目
• 「Cisco CallManager Administration 内のトランク タイプ」
• 「トランク設定チェックリスト」
H.225 トランク(ゲートキーパー制御)
ゲートキーパーを使用する H.323 ネットワークでは、ゲートキーパー制御の H.225 トランクを使用して、他の Cisco CallManager クラスタおよび H.323 デバイスにアクセスするためのゲートキーパーへの接続を設定します。H.225 トランクは、ゲートキーパー制御による任意の H.323 エンドポイントと通信を行うことができます。Cisco CallManager Administration でゲートキーパー制御による H.323 ゲートウェイを設定する場合は H.225 トランクを使用します。この方法を選択するには、 Device > Trunk を使用して、 H.225 Trunk (Gatekeeper Controlled) を選択します。
ゲートキーパーとの間のコールをルーティングするためのルート パターンおよびルート グループも設定します。ゲートキーパーの詳細については、「ゲートキーパーとトランク」を参照してください。
クラスタ間トランク(ゲートキーパー制御)
ゲートキーパーを使用する分散型コール処理ネットワークでは、ゲートキーパー制御のクラスタ間トランクを使用して、Cisco CallManager システムのクラスタ間の接続を設定します。ゲートキーパーは、クラスタ間コールに対してコール アドミッション制御とアドレス解決を提供します。1 つのクラスタ間トランクが、すべてのリモート クラスタと通信を行うことができます。この方法を選択するには、Cisco CallManager Administration 内で Device > Trunk を使用して、
Inter-Cluster Trunk (Gatekeeper Controlled) を選択します。
ゲートキーパーとの間のコールをルーティングするためのルート パターンまたはルート グループも設定します。この構成では、各コールの宛先に該当する IP アドレスはゲートキーパーにより動的に判別され、ローカル Cisco CallManager はその IP アドレスを使用してコールを確立します。
ゲートキーパーの詳細については、「ゲートキーパーとトランク」を参照してください。
クラスタ間トランク(ゲートキーパー非制御)
ゲートキーパー非制御の分散型コール処理環境では、IP WAN 経由でローカル Cisco CallManager からのコールが可能なリモート クラスタのそれぞれのリモート デバイス プールに対して、別個のクラスタ間トランクを設定する必要があります。クラスタ間トランクは、リモート デバイスの IP アドレスまたはホスト名を静的に指定します。この方法を選択するには、Cisco CallManager Administration 内で Device > Trunk を使用して、 Inter-Cluster Trunk (Non-Gatekeeper
Controlled) を選択します。
(注) ゲートキーパー非制御のリモート クラスタ間トランクのデバイス プールに所属するすべてのリモート Cisco CallManager ノードの IP アドレスを指定する必要があります。
また、クラスタ間トランクとの間でコールをルーティングするために必要な、ルート パターンとルート グループを設定します。
SIP トランク
セッション開始プロトコル(SIP)を使用するコール処理環境では、SIP トランクを使用して、SIP コール用の Cisco CallManager にシグナリング インターフェイスを設定します。SIP トランク(またはシグナリング インターフェイス)は、Cisco CallManager クラスタを SIP プロキシ サーバに接続します。SIP シグナリング インターフェイスは、ポートベースのルーティングを使用し、SIP シグナリング インターフェイスとして設定されたポートに SIP メッセージが着信する限り、Cisco CallManager が任意のゲートウェイからコールを受け入れます。SIP シグナリング インターフェイスは、要求および応答を使用して、2 つ以上のエンドポイント間のコール(またはセッション)を確立、維持、および終端します。
この方法を選択するには、Cisco CallManager Administration 内で Device > Trunk を使用して、 SIP Trunk を選択します。
SIP トランクを使用して SIP コールをルーティングするルート グループおよびルート パターンも設定する必要があります。
SIP と SIP トランクの設定の詳細については、「SIP と Cisco CallManager」を参照してください。
関連項目
• 「トランク設定チェックリスト」
• 「トランクおよび関連するルート グループに対する Dependency Records」
トランク間のコール転送
Cisco CallManager Administration を使用すると、Trunk Configuration を使用するか、クラスタ全体のサービス パラメータを設定することで、トランクを OnNet(内部)トランクまたは OffNet(外部)トランクとして設定できます。この設定では、クラスタ全体のサービス パラメータである Block OffNet to OffNet Transfer を併用して、トランク経由のコール転送が可能かどうかを判別します。
同一のトランクを使用して OnNet コールと OffNet コールの両方をルーティングするには、トランクを 2 つの異なるルート パターンに関連付けます。1 つのトランクを OnNet および OffNet にし、それぞれの Allow Device Override チェックボックスをオフにします。
Trunk Configuration を使用した転送機能の設定
Cisco CallManager Administration の Trunk Configuration を使用すると、トランクを OffNet または OnNet として設定できます。そのトランクを経由してネットワークに転送されるコールは、それぞれ OffNet または OnNet と見なされます。Trunk Configuration ウィンドウの Call Classification フィールドを使用して、トランクを OffNet、OnNet、または Use System Default として設定します。これらの設定については、 表39-1 を参照してください。
Route Pattern Configuration ウィンドウには Call Classification ドロップダウン リスト ボックスが用意されています。Call Classification を使用すると、ルート パターンを OffNet または OnNet として設定できます。Call Classification を OffNet に設定し、Allow Device Override チェックボックスをオフにすると、このルート パターンを使用する発信コールは OffNet と見なされます(OnNet に設定し、チェックボックスをオフにすると、発信コールは OnNet と見なされます)。
同一のゲートウェイを使用して OnNet コールと OffNet コールの両方をルーティングするには、トランクを 2 つの異なるルート パターンの OnNet と OffNet に関連付け、両方の Allow Device Override チェックボックスをオフにします。発信コールの場合、発信デバイス設定により、Allow Device Override チェックボックスがオンになっているかが判別され、コールが OnNet または OffNet として分類されます。
ルート パターン設定において、Call Classification を OnNet として設定し、Allow Device Override チェックボックスをオンにし、ルート パターンを OffNet トランクに関連付けた場合、発信コールは OffNet と見なされます。
表39-1 Trunk Configuration の Call Classification 設定
|
|
OffNet |
この設定は、トランクを外部トランクとして識別します。OffNet として設定されているトランクからコールが転送されると、外部呼び出し音が宛先デバイスに送信されます。 |
OnNet |
この設定は、トランクを内部トランクとして識別します。OnNet として設定されているトランクからコールが転送されると、内部呼び出し音が宛先デバイスに送信されます。 |
Use System Default |
この設定は、Cisco CallManager クラスタ全体のサービス パラメータである Call Classification を使用します。 |
Call Classification サービス パラメータを使用した転送機能の設定
すべてのトランクを OffNet(外部)または OnNet(内部)として設定するには、次の 2 つの手順を実行します。
1. Cisco CallManager クラスタ全体のサービス パラメータである Call Classification を使用します。
2. Trunk Configuration ウィンドウの Call Classification フィールドで、個々のトランクを Use System Default に設定します。
サービス パラメータを使用した転送機能のブロック
ブロック転送を使用すると、外部デバイス間の転送が制限されるため、不正なアクティビティが防止されます。次のデバイスを OnNet(内部)または OffNet(外部)として Cisco CallManager に設定できます。
• H.323 ゲートウェイ
• MGCP FXO トランク
• MGCP T1/E1 トランク
• クラスタ間トランク
• SIP トランク
OffNet コールが外部デバイス(OffNet として設定されているデバイス)に転送されないようにする場合は、Cisco CallManager クラスタ全体のサービス パラメータである Block OffNet to OffNet Transfer を True に設定します。
ブロック済みとして設定されている OffNet トランクにユーザがコールを転送しようとすると、コール転送できないことを示すメッセージがユーザの電話機に表示されます。
関連項目
• 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ルート パターンの設定」
• 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ゲートウェイの設定」
• 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「トランクの設定」
トランクおよび関連するルート グループに対する Dependency Records
どのルート グループが特定のトランクを使用するかを検索するには、Cisco CallManager Administration Transcoder Configuration ウィンドウにある Dependency Records リンクをクリックします。Dependency Records Summary ウィンドウに、トランクを使用しているルート グループに関する情報が表示されます。ルート グループについて詳細な情報を検索するには、ルート グループをクリックして Dependency Records Details ウィンドウを表示します。Dependency Records がシステムで有効にされていない場合は、Dependency Records Summary ウィンドウにメッセージが表示されます。
Dependency Records の詳細については、『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「Dependency Records へのアクセス」を参照してください。
関連項目
• 「トランク設定チェックリスト」
• 「Cisco CallManager Administration 内のトランク タイプ」