コール アドミッション制御
コール アドミッション制御は、広域(IP WAN)リンク上で同時にアクティブにするコール数を制限することにより、このリンクを経由するコールの音声品質およびビデオ品質を制御できます。たとえば、メイン キャンパスとリモート サイトを接続する 56 kbps フレーム リレー回線の音声品質は、コール アドミッション制御で調整できます。
リンク上のアクティブ コール数が増えすぎて帯域幅の使用量が過剰になると、音声およびビデオの品質が低下し始める場合があります。コール アドミッション制御は、特定リンク上で同時にアクティブにするコール数を制限することにより、音声およびビデオの品質を調整します。コール アドミッション制御を使用して、リンク上で特定レベルの音声品質またはビデオ品質を保証することはできませんが、リンク上のアクティブ コールが消費する帯域幅を調整できます。
この章では、Cisco CallManager 環境で使用できる次の 2 種類のコール アドミッション制御について説明します。
• 「ロケーション」(集中型コール処理を行うシステム用)
• 「ゲートキーパーとトランク」(分散型コール処理を行うシステム用)
これら 2 種類のコール アドミッション制御方式の一方を選択できますが、同じ Cisco CallManager システム内で両方を組み合せて使用することはできません。IP WAN リンクで使用する帯域幅に制限のないシステムの場合は、このコール アドミッション制御を使用する必要はありません。
ロケーション
Cisco CallManager に組み込まれているロケーション機能は、コールを集中処理するシステムがコール アドミッション制御を提供します。この集中システムでは、Cisco CallManager は単一のクラスタを構築してすべてのロケーションを制御します。図 8-1 では、ロケーションを使用しているコール アドミッション制御を示しています。詳細については、『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「ロケーションの設定」 の項、および『 Cisco IP テレフォニー ソリューション リファレンス ネットワーク デザイン ガイド 』を参照してください。
図 8-1 集中システムでのロケーションを使用したコール アドミッション制御
集中型コール処理システムでは、図 8-1 に示すように、メイン ロケーションに Cisco CallManager クラスタが配置されていて、電話機やゲートウェイなどのデバイスも同様にメイン ロケーションに配置されています。営業所などのリモート ロケーションでは電話機などのデバイスも配備されていますが、コール処理機能をまったく備えていません。リモート ロケーションは、IP WAN リンクを使用してメイン ロケーションへの接続と相互間の接続をしています。バックアップとして、PSTN や ISDN のリンクが使用されています。
同じロケーション内でのデバイス間のコールでは、コール アドミッション制御は必要ありません。LAN 上に存在するデバイス間では、使用する帯域幅に制限がないためです。ただし、異なるロケーションにまたがるデバイス間のコールでは、使用する帯域幅に制限のある IP WAN リンクを経由する必要があります。
Cisco CallManager のロケーション機能を使用して、各ロケーションとのコールに使用できるオーディオ帯域幅(オーディオ コール用)およびビデオ帯域幅(ビデオ コール用)の最大消費量を指定することにより、アクティブにするコール数を制限して、IP WAN リンク上の帯域幅の過剰使用を制限することができます。
(注) 各オーディオ コールには、上下用の 2 ストリームがあります。ビデオ コールには、4 または 6 ストリーム(上下それぞれに 2 または 3 ストリームずつ)があります。
たとえば、Cisco CallManager Administration 内で、次のロケーションを設定したとします。
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San Francisco(メイン ロケーション) |
無制限 |
Austin(リモート ロケーション) |
160 |
Dallas(リモート ロケーション) |
200 |
Cisco CallManager は、帯域幅に余裕のあるかぎり、新しいコールをリンクに受け入れ続けます。つまり、前述の例では、Austin ロケーションへのリンクに使用可能な帯域幅が 160 kbps ある場合、そのリンクは 80 kbps の G.711 コールを(各方向で)1 つ、各 24 kbps の G.723 コールまたは G.729 コールを(各方向で)3 つ、または各 29 kbps の GSM コールを(各方向で)2 つサポートできます。帯域幅の制限を超えるコールが試行された場合、そのコールはシステムに拒否され、発信側はリオーダ音を受信し、電話機にはテキスト メッセージが表示されます。
Cisco CallManager Administration 内でロケーションを設定する際には、ロケーションに名前と最大オーディオ帯域幅を割り当てます。オーディオ帯域幅またはビデオ帯域幅の値に Unlimited を設定する場合は、そのロケーションの IP WAN リンクに使用可能な帯域幅が無制限に割り当てられ、無限数のアクティブ コールが許可されます。ロケーションの設定では、ロケーションのビデオ帯域幅も割り当てます。ビデオ帯域幅の設定を None に設定すると、このロケーションとその他のロケーション間でビデオ コールは接続できませんが、このロケーション内では接続することができます。
Cisco CallManager Administration 内で電話機などのデバイスを設定する際に、デバイスをロケーションに割り当てることができます。ロケーションを None に設定した場合は、無制限の帯域幅を使用できる無名のロケーションがそのデバイスに割り当てられ、無限数の発着信アクティブ コールがそのデバイスに対して許可されます。
ロケーション予約は、コールのタイプを反映して移行されます。コールがビデオからオーディオ専用に変化すると、ロケーション予約はビデオ ロケーションからオーディオ ロケーションに移行されます。コールがオーディオ専用からビデオに変化すると、ロケーション予約はオーディオ ロケーションからビデオ ロケーションに移行されます。
ロケーションとリージョン
ロケーションは、リージョンと連動してネットワーク リンクの特性を指定します。リージョンはリンク上で使用される圧縮のタイプ(G.711、G.723、または G.729)を指定します。ロケーションはリンクに対して使用できる帯域幅の量を指定します。システム内の各デバイスには、リージョン(デバイス プールを使用して)とロケーションの両方を割り当てます。図 8-2 に示すように、リージョンとロケーションは、オーバーラップしたり交差させたりしてさまざまな方法で指定できます。詳細については、「リージョン」を参照してください。
図 8-2 ロケーションとリージョンの相互作用
帯域幅の計算
コール アドミッション制御に要するロケーションの帯域幅を計算するため、Cisco CallManager は各コール ストリームで消費する帯域幅を次のように想定しています。
• G0.711 コールは 80 kbps を使用
• G0.722 コールは 80 kbps を使用
• G0.723 コールは 24 kbps を使用
• G0.728 コールは 16 kbps を使用
• G.729 コールは 24 kbps を使用
• GSM コールは 29 kbps を使用
• ワイドバンド コールは 272 kbps を使用
(注) 各オーディオ コールには、コール ストリームが 2 本あります。実際に消費される帯域幅は、データ パケット サイズなどの要因により、各コールごとに異なります。Cisco CallManager では、これらの固定値をロケーション機能の帯域幅の計算を簡素化する目的に限り使用しています。
各ビデオ コールには、コール ストリームが 4 本または 6 本あります。ビデオ コールの場合、合計帯域幅はコールのオーディオ帯域幅とビデオ帯域幅の合計ですが、この合計にコール オーバーヘッドは含まれません。
ロケーションに指定したオーディオ帯域幅の値にオーバーヘッドは含まれますが、ロケーションに指定したビデオ帯域幅の値にオーバーヘッドは含まれません。ロケーションでビデオ コールに使用できる帯域幅は、オーディオ帯域幅とビデオ帯域幅の合計になります。詳細については、「ビデオ テレフォニーの概要」の章を参照してください。
Cisco CallManager は、帯域幅に余裕がなくなるまで、新規コールがリンク上でのコールを確立することを許可します。帯域幅に余裕がなくなった時点で新たなコールは失敗し、発信側はリオーダ音を受信します。
ロケーションへのリンクがブロックされる場合は、帯域幅の漏れによりロケーションに使用できる帯域幅が減少していることが原因として考えられます。Cisco CallManager サーバを再起動せずに、帯域幅の割り当てをロケーションの最大設定値に再同期化することができます。手順については、『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「ロケーションの帯域幅の再同期化」 を参照してください。
(注) コールがリンクを使用しているときにロケーションの帯域幅を再同期化すると、リンクを使用しているコールがすべて切断されるまで、帯域幅が過剰になる場合があります。リンクが過剰になると、音声品質およびビデオ品質が低下します。そのため、ロケーションの帯域幅の再同期化は、リンクのトラフィックが少ない時間帯に行ってください。
Media Termination Point(MTP)およびトランスコーダは、これまで説明した帯域幅規則に関する例外です。MTP を経由して行われるコールは、帯域幅の制限を超えている場合でも確立できます。ただし、MTP を経由して行われるコールでビデオを提供することはできません。
注意 米国およびカナダでは、すでに帯域幅に余裕がなくなっているリンクに緊急番号 911 を発信すると、911 コールがブロックされることがあります。ネットワーク上の各ロケーションでは、911 コールは必ずローカル VoIP ゲートウェイ経由でローカル PSTN にルーティングしてください。
ロケーション設定チェックリスト
表8-1 では、ロケーションに基づいてコール アドミッション制御を設定する一般的な手順を示しています。
表8-1 ロケーション設定チェックリスト
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ステップ 1 |
システム内で使用されているコーデックのタイプごとにリージョンを設定します。 |
「ロケーションとリージョン」 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「リージョンの設定」 |
ステップ 2 |
コール アドミッション制御を適用する IP WAN リンクごとに個別のロケーションを設定します。そのロケーションへのリンクを経由するコールに対して、使用可能な最大帯域幅を割り当てます。
(注) 帯域幅の値に Unlimited を設定する場合は、そのロケーションの IP WAN リンクに使用可能な帯域幅が無制限に割り当てられ、無限数のアクティブ コールが許可されます。
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『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「 ロケーションの設定」 |
ステップ 3 |
システム用のデバイス プールを設定し、それぞれに対して適切なリージョンを選択します。 |
『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「デバイス プールの設定」 |
ステップ 4 |
電話機などのデバイスを設定し、それぞれのデバイスを適切なデバイス プールとロケーションに割り当てます。
(注) ロケーションを None に設定した場合は、無制限の帯域幅を使用できる無名のロケーションがそのデバイスに割り当てられ、無限数の発着信アクティブ コールがそのデバイスに対して許可されます。
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「Cisco IP Phone」 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「Cisco IP Phone の設定」 |
ゲートキーパーとトランク
Cisco Multimedia Conference Manager(MCM)はゲートキーパー デバイスの 1 つで、コールを分散処理するシステムにコール アドミッション制御を提供しています。分散システムでは、各サイトに独自のコール処理機能が配置されています。たとえば、図 8-3 に示す 2 つのサイトでは、各サイトに独自の Cisco CallManager が配置されていて、サイト間は IP WAN リンクにより接続されています。この例では、ゲートキーパーは IP WAN リンクに対してコール アドミッション制御を行っています。
ゲートキーパーはコール アドミッション制御のほかに、E.164 アドレス解決を実行して各サイト間でコールをルーティングしています。たとえば、図 8-3 では、一方の Cisco CallManager の内線範囲は 1XXX で、他方は 2XXX です。Cisco CallManager は両方とも、コール アドミッション制御のためにゲートキーパーに登録されています。各 Cisco CallManager は、それぞれのダイヤル プラン ルート パターン設定のエントリにより、他方の Cisco CallManager の内線番号範囲をゲートキーパーに指示します。実際には、ユーザ 1001 がユーザ 2002 にダイヤルすると、Cisco CallManager 1XXX はアドレス解決のために 2002 をゲートキーパーに送信します。コールがコール アドミッション制御の基準を満たしている場合、ゲートキーパーは Cisco CallManager 2XXX の IP アドレスを Cisco CallManager 1XXX に返します。その後、Cisco CallManager 2XXX の IP アドレスを使用して、Cisco CallManager 1XXX は電話番号 2002 へのコールを確立します。
図 8-3 分散システムでのゲートキーパーを使用したコール アドミッション制御
このシナリオで IP WAN が使用できない場合、コールはダイヤル先に到達できません。ダイヤル プランを簡単にし、さらに PSTN へのフェールバックを可能にするには、10 桁のダイヤルを使用(または各国のダイヤル プランに準拠)します。たとえば、North American Numbering Plan(NANP)に準拠する場合は、ルート パターン XXXXXXXXXX を使用して、アドレス解決のためにコールをゲートキーパーに送信します。WAN 経由でのコールの発信がゲートキーパーにより許可されない場合、Cisco CallManager は電話番号にプレフィックス番号 91 を追加して、PSTN 経由でコールの再ルーティングを行うことができます。
ゲートキーパーの設定、ゲートキーパーを使用する場合のダイヤル プランの考慮事項、およびゲートキーパーと Cisco CallManager の相互対話の詳細については、『 Cisco IP テレフォニー ソリューション リファレンス ネットワーク デザイン ガイド 』を参照してください。
設定済みのクラスタ間トランク デバイスは、すべてトランクに置き換えられます。H.225 トランク デバイスは、ホールセール ネットワークへの論理ルートを表します。H.225 プロトコルを備えた設定済みの匿名デバイスは、ゲートキーパーによって制御される H.225 トランクに移行します。クラスタ間プロトコルを備えた設定済みの匿名デバイスは、ゲートキーパーによって制御されるクラスタ間トランクに移行します。設定済みのクラスタ間ゲートウェイは、ゲートキーパーによって制御されないクラスタ間トランクに移行します。
リモート クラスタ内の 2 台の Cisco CallManager を接続するには、クラスタ間トランクを使用します。リモート WAN リンク上でのクラスタ間コールのルーティング用に、ゲートキーパーによって制御されるクラスタ間トランクを設定する方法については、『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「トランクの設定」 および『 Cisco IP テレフォニー ソリューション リファレンス ネットワーク デザイン ガイド 』を参照してください。
H.323 ゲートウェイは、ゲートキーパーによって制御されるように設定することも、ゲートウェイとしてローカルに設定することもできます。ゲートキーパーによって制御されるように設定する場合は、H.225 トランクを使用してください。
ゲートキーパーのコール アドミッション制御のコンポーネント
ゲートキーパーのコール アドミッション制御では、高い柔軟性が提供されます。
• ゲートキーパーを使用すると、IP WAN に接続したリモート Cisco CallManager ごとに別々の H.323 デバイスを設定する必要がなくなるので、設定のオーバーヘッドが軽減される。
• ゲートキーパーは登録済みのデバイスの IP アドレスを判別でき、またユーザが IP アドレスを明示的に入力することも可能。
• ゲートキーパーは、Cisco CallManager や H.225 ゲートウェイとの通信に使用するプロトコルを数種備えている。
• ゲートキーパーは、コール アドミッション制御のほかに基本的なコール ルーティングを実行可能。
• 1 つのゲートキーパーに最大 100 の Cisco CallManager クラスタを接続可能。
次の項では、ゲートキーパーのコール アドミッション制御のコンポーネントについて説明します。
• 「ルータ上でのゲートキーパーとトランクの設定」
• 「Cisco CallManager 内でのゲートキーパーとトランクの設定」
ルータ上でのゲートキーパーとトランクの設定
ゲートキーパー用に推奨されるプラットフォームは、Cisco IOS リリース 12.1(3)T 以上を搭載した Cisco 2600、3600、3700、7200 ルータなどです。これらのルータ上でゲートキーパー機能を設定する際には、コール アドミッション制御用のゾーンのセットを定義します。各ゾーンの固有の名前には、そのゾーンに登録されている各 Cisco CallManager の IP アドレス、ゾーン プレフィックス(電話番号範囲)、およびそのゾーンに割り当てられている帯域幅が指定されています。
Cisco CallManager は、IP アドレスを使用してゲートキーパーに登録されます。IP アドレスは次のいずれかの方法で指定できます。
• ゲートキーパー上で gw-type-prefix コマンドを使用して、それぞれの Cisco CallManager の IP アドレスを明示的に指定する。
• Cisco CallManager Administration 内で Device > Trunk を選択して、Technology Prefix フィールドに 1#* と入力し、ゲートキーパー上でコマンド
gw-type-prefix 1#* default-technology を入力する。Cisco CallManager がゲートキーパーに登録されると、その IP アドレスと指定したテクノロジー プレフィックスがゲートキーパーに送信されます。その後、この Cisco CallManager は、ゲートキーパーによって制御される有効な VoIP デバイスとしてゲートキーパーに登録されます。
次のいずれかの方法で、Cisco CallManager の IP アドレスを特定のゾーンに関連付けることができます。
• ゲートキーパー上で zone local コマンドを使用して、ローカル ゾーンを定義する。Zone フィールドにゾーン名を入力します。
• Cisco CallManager Administration 内で Device > Trunk を選択し、Zone フィールドにゾーン名を入力する。Cisco CallManager がゲートキーパーに登録されると、その IP アドレスと指定したゾーン名がゲートキーパーに送信されます。その後、それぞれの Cisco CallManager はゲートキーパーに登録され、適切なゾーンに関連付けられます。
特定の Cisco CallManager に対して電話番号範囲を指定するには、 zone prefix コマンドを使用してゲートキーパー上で範囲を設定します。たとえば次のコマンドは、ゾーン LHR の DN 範囲を 3000 ~ 3999 に指定します。
ゾーンごとに許可されるアクティブ コールの最大数は、各コールに使用されるコーデック、およびゾーンに割り当てられている帯域幅によって決まります。Cisco CallManager に対し、G.711 コールは 128 kbps を必要とし、G.723 と G.729 のコールは 20 kbps を必要とします。Cisco CallManager 内でリージョンを使用してコーデック タイプを指定し、ゲートキーパー上で zone bw コマンドを使用して、使用可能な帯域幅を指定します。たとえば、次のコマンドは LHR ゾーンに 512 kbps を割り当てます。
この例で 512 kbps を割り当てられた LHR ゾーンは、同時に 4 つまでの G.711 コールをサポートできます。
ゲートキーパーのプログラミングの詳細については、Cisco Multimedia Conference Manager の資料を参照してください。
Cisco CallManager 内でのゲートキーパーとトランクの設定
Cisco CallManager Administration では、次のどちらかの動作をするようにゲートキーパーおよびトランクを設定します。
ゲートキーパーによって制御されないトランク
このケースでは、IP WAN 経由でローカル Cisco CallManager からのコールが可能なそれぞれのリモート デバイス クラスタに対して、別個のクラスタ間トランクを明示的に設定します。また、各種のクラスタ間トランクとの間でコールをルーティングするために必要な、ルート パターンとルート グループを設定します。クラスタ間トランクは、リモート デバイスの IP アドレスを静的に指定します。この方法を選択するには、Cisco CallManager Administration 内で Device > Trunk を使用して、Inter-Cluster Trunk (Non-Gatekeeper Controlled) を選択します。
(注) ゲートキーパーによって制御されないローカルのクラスタ間トランクの場合は、ゲートキーパーによって制御されないリモート クラスタ間トランクのデバイス プールに所属するすべてのリモート Cisco CallManager ノードの IP アドレスを指定する必要があります。
ゲートキーパーによって制御されるトランク
このケースでは、1 つのクラスタ間トランクで、すべてのリモート クラスタと通信できます。同様に、1 つの H.225 トランクで、ゲートキーパーによって制御される任意の H.323 エンドポイントと通信できます。ゲートキーパーとの間のコールをルーティングするためのルート パターンまたはルート グループも設定します。この構成では、リモート デバイスに対する各コールの宛先に該当する IP アドレスはゲートキーパーにより動的に判別され、ローカル Cisco CallManager はその IP アドレスを使用してコールを確立します。
この構成は、大規模なシステムと同様に小規模なシステムでも有効です。多くのクラスタが存在する大規模なシステムの場合、この構成を使用すると、各クラスタ間に個々のクラスタ間トランクを設定する手間が省けます。この方法を選択するには、Cisco CallManager Administration 内で Device > Trunk を使用して、
Inter-Cluster Trunk (Gatekeeper Controlled) を選択します。
ゲートキーパーによって制御されるトランクを設定する場合、Cisco CallManager によって自動的に仮想トランク デバイスが作成されます。このデバイスの IP アドレスは、ゲートキーパーにより決定されたリモート デバイスの IP アドレスを反映して動的に変更されます。ゲートキーパーとの間でコールをルーティングするためのルート パターンまたはルート グループを設定する際には、トランクを使用します。
ゲートキーパーとトランクの設定チェックリスト
表8-2 では、ゲートキーパーとトランクに基づいてコール アドミッション制御を設定する一般的な手順を示しています。
表8-2 ゲートキーパーとトランクの設定チェックリスト
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ステップ 1 |
ゲートキーパー デバイス上で、ゲートキーパーへのコールをルーティングするそれぞれの Cisco CallManager に対して、適切なゾーンと帯域幅の割り当てを設定します。 |
Cisco Multimedia Conference Manager のマニュアル |
ステップ 2 |
Cisco CallManager Administration 内でゲートキーパー設定値を設定します。 ゲートキーパーに登録するそれぞれの Cisco CallManager について、このステップを繰り返します。ホスト名または IP アドレスの設定は、それぞれの Cisco CallManager 上で必ず同じ値にします。 |
『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ゲートキーパーの設定」 |
ステップ 3 |
適切なクラスタ間トランクまたは H.225 トランクを設定し、ゲートキーパー情報を指定します(ゲートキーパーによって制御されるトランクの場合)。 |
『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「トランクの設定」 |
ステップ 4 |
ゲートキーパーによって制御される各トランクへのコールをルーティングするためのルート パターンを設定します。 |
「ルート プランの概要」 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ルート パターンの設定」 |
参考情報
関連項目
• 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ロケーションの設定」
• 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「リージョンの設定」
• 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ルート パターンの設定」
• 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ゲートキーパーの設定」
• 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ゲートウェイの設定」
• 「Cisco IP Phone」
• 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「Cisco IP Phone の設定」
• 「ビデオ テレフォニーの概要」
• 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「トランクの設定」
参考資料
• Cisco IP テレフォニー ソリューション リファレンス ネットワーク デザイン ガイド
• Cisco Multimedia Conference Manager (Command Reference) IOS のマニュアル