製品のサステナビリティ
シスコは、循環型設計の原則を適用し製品のエネルギー効率を改善することで環境フットプリントを軽減します。
シスコは、循環型設計の原則を適用し製品のエネルギー効率を改善することで環境フットプリントを軽減します。
2023 年度、シスコは次世代の環境保全戦略である「The Plan for Possible」を発表しました。これは循環型変革の優先事項の一部であり、製品循環計画について説明しています。詳細については、シスコの戦略をご覧ください。
シスコの製品の使用は温室効果ガス(GHG)排出量に最大の影響をもたらすと同時に、脱炭素化やその他の環境に与えるプラスの影響を強化する機会にもなります。製品のライフサイクル全体にサステナビリティを取り入れるプロセスは、まず循環型設計から始まります。この段階で、使用する材料を慎重に選択し、リサイクル資源や再生可能資源を可能な限り選択しています。これには、製品のエネルギー効率化、製造過程における環境への影響の軽減、修理や再生の容易化なども含まれます。
循環型設計と製品のエネルギー効率の向上を念頭に個々の製品の強化に投資するだけでなく、モノのインターネット、人工知能、クラウド管理型サービスなどのお客様によるネットゼロやその他の環境目標の迅速な達成に資するテクノロジーソリューションの開発も進めています。
循環型設計とは、再利用、環境への影響の最小化、イノベーションの促進、ステークホルダーにとっての価値実現が可能な製品とシステムを設計することです。シスコは、5 つの重点領域にまたがる 25 の循環型設計原則に従って循環性を念頭に置いた新しい製品と梱包の設計を行っています。
重点領域 | 原則 |
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重点領域:素材の使用 |
原則:
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重点領域:標準化とモジュール化 |
原則:
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重点領域:梱包材と付属品 |
原則:
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重点領域:スマートなエネルギー消費 |
原則:
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重点領域:分解、再利用、修理 |
原則:
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シスコは、2025 年度までにシスコの新製品と梱包の 100% に循環型設計原則を適用することを目標に掲げています。2021 年度には、循環型設計の評価手法とツールを開発し、目標に向けた進捗を追跡できるようになりました。ツールを使用し、エンジニアが循環型設計原則に関連する質問に回答すると、製品と梱包の設計を循環型設計原則に照らして評価できます。原則が組み込まれている程度に基づいて、回答にスコアが付けられます。梱包スコアは、重点領域である「梱包材と付属品」に関連する原則に基づいて計算されます。製品スコアは、残りの 4 つの重点領域(素材の使用、標準化とモジュール化、スマートなエネルギー消費、分解、再利用、修理)のスコアを組み合わせて計算されます。
スコアが 75% 以上の製品と梱包の設計は、シスコの循環型設計原則が実質的に導入されているとみなされ、公的な目標にカウントされます。最善の努力を尽くしたとしても、製品や梱包の設計によっては 75% のスコアに達しない場合もあります。その場合は、スコアの基準値を達成するための課題に取り組みます。
2022 年度初めてこのツールを活用し、新製品と梱包の設計の 13% にこの評価手法を適用したところ、そのうちの 33% が循環型設計の基準を実質的に取り入れていました。2022 年度末には、2024 年度までに製品または梱包の設計をリリースする前にスコアリングを必須のステップにすると経営陣が発表しました。2023 年度には、新製品と梱包の設計の 65.5% が評価され、そのうちの 41% が循環型設計の基準を実質的に取り入れていました。これは 2023 年度にリリースされた新製品と梱包の設計の 27% に、実質的に循環型設計原則が導入されたことを示しています。またシスコは、全社の主要なグループに対して循環型設計に関する双方向型のトレーニングを継続的に実施しています。2023 年度末の時点で 6,900 人以上の従業員がトレーニングを受講しました。2024 年度は、製品と梱包の設計のスコアリングを拡大し、2025 年度の目標に向けてさらに前進していきます。
設計チームは、ツールに循環型設計のイノベーションを取り入れることもできます。循環型設計のイノベーションとは、製品や梱包が環境に与える影響を軽減できる新しい材料やコンポーネント、プロセスの変更が含まれます。イノベーションは循環型設計のイノベーション委員会によって四半期に 2 回審査され、上記の特性に基づいてスコアが付けられます。これにより新しいアイデアの共有が促進され、循環を考慮した設計方法に関する製品チームと梱包チーム間のコラボレーションが促進されます。提出されたイノベーションは社内外のケーススタディに組み込まれ、循環型設計をさらに際立たせ、事業全体でアイデアを共有できます。
モジュール性に重点を置いたイノベーションの例は、Cisco Network Convergence System 2000 シリーズ(NCS2K)の一部モデルで確認できます。このモデルのシャーシは、2 種類の電源ユニット(PSU)を搭載できるモジュラー型ハウジングで設計されています。これにより現場で電源ユニットを交換することができ、製品全体をシスコに返送する必要はありません。また新しい筐体を必要とせず、使用する電源ユニットのタイプを柔軟に選択できます。環境とのトレードオフを考慮すると、モジュール設計は新しいコンポーネントの製造に必要な原材料と排出量を削減し、モジュールの返品、修理、回収、再利用という循環型のクローズドループプロセスを実現できます。
シスコはさらに、従業員が循環型設計について学ぶ機会を新たに提供することで、新しいアイデアを導入し、循環型設計原則の導入を促進してきました。2023 年度は 2 回の製品分解を実施しました。これらのセッションでは、エンジニア、プロジェクトマネージャ、マーケティング担当者が集まり、選択した製品の梱包とコンポーネントを分析して分解し、循環型設計を改善する方法を決定しました。
さらに、リサイクルパートナーと協力して、やがて訪れる生産終了を想定した優れた製品の設計方法を学びました。2023 年度には、シスコ コラボレーション チームのサプライチェーン エンジニア グループがリサイクル パートナーの拠点の 1 つを訪問し、製品がどのように分解されてリサイクルされるかを確認しました。
シスコは、循環型設計という目標に加えて、製品で使用するプラスチックの削減を公的な目標として設定しています。
2021 年度は、製品におけるバージンプラスチックの使用量を 20% 削減する(2018 年度基準)という 2025 年度の目標値を上回ったため、この目標は完了となりました。この勢いに乗って、また目標から得た主な教訓に基づいて、2025 年度までにシスコ製品で使用されるプラスチックの 50% をリサイクル素材にする(重量基準)という新しい目標を設定しました(サプライヤからの商品コンポーネント、およびシスコの設計製造委託会社によって設計および製造された製品を除く)。バージンプラスチックの使用を最小限に抑える取り組みの一環として、再生プラスチック部品の調達を増やし、プラスチックを使用しない製品設計を進めています。たとえば 8800 シリーズ IP 電話の一部のモデルでは、62% が再生プラスチックで構成されています。また、Room Bar や Room Bar Pro などの Webex コラボレーションデバイスの一部のモデルでは、50% 以上の再生プラスチックが使用されています。さらに、ネットワークスイッチ Catalyst シリーズの一部製品では、デバイスの外観を飾るベゼルを廃止した設計になっています。2023 年度は、製品で使用されたプラスチック全体の 24% がリサイクル素材でした。
シスコは新品製品の出荷時に同梱する紙の文書を廃止する方針も継続しています。ライセンス、マニュアル、コンプライアンス文書の形で、出荷時に製品に同梱される何百万枚もの紙をなくし、製造プロセスでの資材使用、廃棄物、コスト、ボトルネックを削減しました。紙の削減で得られるもう 1 つのメリットは、あらゆるサイズの紙を同梱するスペースの確保が不要になり、梱包サイズを最適化できることです。2023 年度時点で、シスコは 2020 年度の基準と比較して、製品から 67%(重量比)の紙を削減しました。現在、約 1,000 の製品にポインタカードと QR コードが導入され、お客様は製品文書にデジタルにアクセスできます。2024 年度の重点は、お客様がソフトウェアライセンス情報にデジタルでアクセスできるソリューションを開発し、ソフトウェアライセンス製品でこの新機能を提供することです。
製品のエネルギー使用量を維持または削減しながらパフォーマンスを向上させていくことは、シスコの重要な優先事項となっています。これに取り組むことで、最大の排出源への対処、製品の競争力の向上、お客様のエネルギーコスト削減への貢献を実現し、2040 年ネットゼロの目標に向けて前進します。シスコ製品の使用による排出量の詳細については、スコープ 3 の排出量一覧をご覧ください。
シスコの多くのハードウェア製品のアーキテクチャには「エネルギースケーラビリティ」が備わっています。これによって、対象業界に固有のトラフィックタイプ、トラフィック需要、ユーザーの使用状況、設置状況に応じたエネルギー効率の高いサービスを提供できます。シスコでは通常、製品のエネルギー効率を評価する際に、システムの電力性能を考慮し、電流が各コンポーネントまたは機能を通過するときの効率の測定もよく行っています。測定対象には、外部 PSU、中間バスコンバータ、Point of Load、ASIC、メモリ、その他のチップなどが含まれます。
シスコは、製品のエネルギー効率の改善に多大な投資を続けています。これは、ポートフォリオ全体に及ぶ電力需要と ASIC 速度の増加という課題に立ち向かうためです。シスコの投資は、製品エネルギー効率の向上に向けた以下の 4 つの主要な設計イニシアチブに分類できます。
ライフサイクルアセスメント(LCA)は、複数の影響カテゴリにわたる環境影響をモデル化するために用いられます。製造から廃棄までの製品ライフサイクル全体が対象となります。LCA を実施する際、シスコはライフサイクルの各段階を通じて製品が環境に与える影響を考慮しています。LCA は製品に関連する影響と持続可能性イニシアチブの優先順位付けをサポートするための貴重なインサイトを提供するために使用されます。
シスコは、結果として得られた最終的な数字を把握するだけではなく、ISO 14040 における LCA の主要な役割の定義に沿って「製品のライフサイクルのさまざまな段階で製品の環境パフォーマンスを改善できる余地を把握」します。「各調査の前提条件とコンテキストが同等」でない限り、LCA の結果を比較するのは避けるのが無難ですが、前提条件は非公開であることが多いため、さまざまな製品のライフサイクルアセスメント(LCA)や CO2 排出量(PCF)の試算を比較することは推奨されません。
シスコの LCA では、GHG プロトコルで定義されている製品ライフサイクルの算定報告基準(ISO 14040:44 規格に準拠)における、製品ライフサイクルの 5 つの段階を採用しています。
LCA では、GHG の影響だけでなく、土地利用、水利用、海洋酸性化など、複数の影響カテゴリが考慮されます。LCA アプローチを構築するにあたっては、複数の外部のツールとデータソースを取り入れています。分析には LCA for Experts(GaBi)、SimaPro、Product Attributes to Impact Algorithm(PAIA)という 3 つの LCA ツールを使用しています。外部のデータソースには国際エネルギー機関(IEA)、英国のエネルギー安全保障・ネットゼロ省、科学・イノベーション・技術省、ビジネス・通商省、GHG プロトコル、Ecoinvent 3.7(または最も関連性の高いバージョン)、GaBi Support Extension DB XI(エレクトロニクス)などが含まれます。以下のシスコ製品ライフサイクルアセスメントをご覧ください。
とりわけ GHG の影響にステークホルダーの関心が集まっているのに加え、気候変動への対応が喫緊の課題となったことから、シスコの LCA への取り組みでは、製品の CO2 排出量(PCF)の把握を中心に据えています。PCF によって製品の地球温暖化への潜在的影響力(GWP)が分析できます。PCF への取り組みによって、シスコの製品はライフサイクルのうち製品使用の段階で最も多くの GHG を排出することが明らかになりました。
シスコは PAIA を用いて PCF への取り組みを合理化しています。PAIA を用いる手法では、プリント基板の面積(PWB)や製品重量などの製品属性を GWP の影響に関連付けることで製品の PCF を試算します。徹底した LCA には大量のリソースが必要です。そのうえポートフォリオの製品数が多いことから、すべての製品の LCA を徹底的に実施するのは現実的ではありません。GWP の影響に特化した PAIA の合理的なアプローチは、分析にかかる時間を短縮するのに効果的ですが、データベースの内容を考慮するとこのアプローチを適用できるのはサーバー、ストレージ製品、ネットワークスイッチに限られます。以下の Cisco PCF をご覧ください。
ビデオ エンドポイント デバイスである Webex Desk Pro に関する LCA(2022 年度に完成)から作成した以下の円グラフは、製造段階における環境への影響の分布を示しています。気候変動への影響は以下に示すとおりですが、この製品の使用段階における非生物資源の枯渇(鉱物や化石燃料などの再生できない資源の減少)に対する影響は、微々たるものであることが分かっています。
1 元となるデータを四捨五入しているため、数値を合計しても 100% にならない可能性があります。
LCA を生産から廃棄までのプロセスに対して実施し、Desk Pro が気候変動や原材料調達から廃棄に至るまでのリソース枯渇に及ぼす影響をマッピングしたものです。耐用年数が 5 年という前提で、さまざまな使用例(ホームオフィス、会議室、ハドルルーム)に応じた使用段階の影響を計算しています。また、廃棄による影響については欧州連合の平均リサイクル率に基づいて計算しています。
この結果から、製品ライフサイクル全体で最も多くのエネルギーを消費しているのは、製品を使用する段階であることがわかりました。ただし使用段階で生じる気候変動への影響は、製品を使用する場所によっても、地域の電力網における排出量によっても大きく異なります。Desk Pro の LCD ディスプレイと PWB では、気候変動や資源枯渇に対する影響が最も大きくなるのは製造の段階です。その原因として顕著なのが、エネルギーの消費や基板に使用される金や銅などの素材です。
この調査では、職場には通勤せずに Webex Desk Pro を使用した場合の気候変動に及ぼす影響の差についても説明を試みています。この分析は世界各地の複数の都市を対象に実施し、職場には通勤せずに在宅で仕事をする場合と、別のオフィスに長距離の移動をする代わりにビデオ会議を行う場合の 2 つのシナリオについて検討しています。製品ライフサイクル(製造されてから場所に関係なく 5 年間使用される場合)での Webex Desk Pro の排出量は、長距離フライトの利用を 1 人の個人が 1 回控えるだけで相殺できます。
シスコはこれまでに IP 電話やブレードサーバーで徹底した LCA(2019 年度に完了)を実施してきましたが、現在もポートフォリオのさらに多くの製品を対象に LCA に取り組んでいます。次のグラフは、シスコ製品のライフサイクルにおける影響の詳細を示したものです。
PWB や集積回路(IC)の製造に必要な銅や金などの貴金属の抽出および加工は、非生物資源の枯渇を含む、あらゆるカテゴリの環境影響をもたらす主な要因となっています。また、製造用化学薬品の洗浄および冷却の過程を含めたハードドライブの製造プロセスは、それぞれが水資源(ブルーウォーター)の使用とスモッグ発生を促進する主要因となっています。
1 元となるデータを四捨五入しているため、数値を合計しても 100% にならない可能性があります。
1 元となるデータを四捨五入しているため、数値を合計しても 100% にならない可能性があります。
1 元となるデータを四捨五入しているため、数値を合計しても 100% にならない可能性があります。
1 元となるデータを四捨五入しているため、数値を合計しても 100% にならない可能性があります。
PAIA ツールを使用して合理化した PCF を複数実施しました。その結果を示したのが以下です。製品のタイプに応じて幅はあるものの、PCF の 75 ~ 95% を占めるのが使用の段階であるという一定の傾向が見られます。これは評価の手法やツールにかかわらずシスコ製品に共通する傾向です。使用や製造の段階と比べると、輸送や廃棄の段階が PCF に及ぼす影響は最小限に抑えられています。
1 元となるデータを四捨五入しているため、数値を合計しても 100% にならない可能性があります。これらの試算は PAIA モデルのバージョン 1.3.0(著作権はマサチューセッツ工科大学材料システム研究所をはじめとするパートナーを含む ICT ベンチマーク コラボレーションに帰属)を使用して算出されました。
業界全体の動向に足並みをそろえ、製品に対する LCA の実施数を拡大していきます。シスコの製品ポートフォリオは膨大なため、これを考慮したタイムラインを設定して遵守します。
2024 年度も引き続き LCA に重点的に取り組み、他の製品でも LCA 調査を実施できるスケーラブルなモデルを構築します。このモデルによって、GWP、再生不可能な一次エネルギーの需要、水資源(ブルーウォーター)の利用、要素による非生物資源の枯渇の可能性など、複数の環境に影響を与えるカテゴリで製品が評価できるようになると期待しています。また調査結果を利用してステークホルダーに詳細な環境への影響データを提供し、製品設計の改善点を的確に把握する予定です。
複数のワーキンググループにも参加して、PCF の実施に使用する PAIA の方法論とツールについて意見を提供しています。このツールの詳細については、上記の製品の CO2 排出量のセクションを参照してください。PAIA コンソーシアムの詳細については、シスコが参画している環境イニシアチブと組織の情報を参照してください。
エコラベルとは、環境への配慮をサポートする製品に適用されるマークです。ISO 14020 では、エコラベルを以下のようにタイプ I、タイプ II、タイプ III のいずれかに分類しています。
該当する場合、シスコ製品は次のタイプ I エコラベルに照らして評価されます。対象となるエコラベルは ENERGY STAR®、電子製品環境評価ツール(EPEAT)、80 PLUS です。ENERGY STAR では製品のエネルギー効率が評価され、EPEAT では、次のような各製品に関連するより広い環境基準と社会的基準のセットを基に評価が行われます。
シスコは現在、ENERGY STAR 規格の製品(Enterprise Servers カテゴリと Telephones カテゴリで認定)を提供しています。また、EPEAT に Servers カテゴリで登録された製品も提供しています。これらは EPEAT のオンラインレジストリで確認することができます。
80 PLUS は、タイプ I のエコラベルに分類されます。AC フロントエンド電源ユニットの内部仕様に関する性能仕様であり、Standard から Titanium までの 6 段階のレベルの認定があります。このプログラムでは、電源のエネルギー効率に着目し、115V 内部デスクトップ、230V EU 内部デスクトップ、115V 産業用、230V 内部 AC、380V 内部 DC 電源といったカテゴリごとに特定の性能仕様が求められます。80 PLUS 認定に該当するシスコの PSU は、 CLEAResults のオンラインデータベースに掲載されています。
完全な循環型経済であれば、無駄は生じません。しかし現実には、梱包材の多くが 1 度使用しただけで廃棄物となっています。シスコは、不要な梱包の排除と、再利用や容易なリサイクルにつながる設計に取り組んでいます。輸送中に製品が破損して修理や交換を行うと、ビジネスにも環境にも悪影響をもたらすため、製品の保護が梱包の最優先事項です。梱包を開発する際に従う主なガイドラインは次のとおりです。
シスコでは、梱包と資材の基本要件に加えて、環境に配慮した梱包の設計を評価しています。買収した企業の製品を含むシスコのレガシー製品では、梱包のベストプラクティスの導入に取り組んでいます。以下の表では、シスコの優先事項とその進捗状況を示しています。
資材の種類 | 取り組みの説明 | プロジェクトの例 |
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資材の種類: フォーム材 | 取り組みの説明: 可能な限り梱包からフォーム材を取り除く。 |
プロジェクトの例:
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資材の種類: ビニール袋 | 取り組みの説明: 可能な限り梱包からビニール袋を取り除く。 |
プロジェクトの例:
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資材の種類: 段ボール | 取り組みの説明: 可能な限り梱包から段ボールを取り除く。 |
プロジェクトの例:
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資材の種類 | 取り組みの説明 | プロジェクトの例 |
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資材の種類: 再生プラスチックの熱成形緩衝材 | 取り組みの内容: フォーム材の代わりに、リサイクルされた高密度ポリエチレン(HDPE)でできた熱成形緩衝材を使用。 |
プロジェクトの例:
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資材の種類: ファイバーフルート | 取り組みの説明: フォームクッションの代わりに 100% リサイクル素材を使用したファイバーフルートを使用 |
プロジェクトの例:
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資材の種類: 成形済みパルプ | 取り組みの内容: フォーム材ではなく、リサイクル可能な繊維素材の緩衝材を使用 |
プロジェクトの例:
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シスコでは通常、リサイクル素材を少なくとも 25% 含む段ボール資材を梱包に使用しています。シスコの新製品で使用する梱包材は、ほとんどの場合、単一の素材、またはリサイクル分別が可能な複数の素材で構成されています。
シスコの世界市場で見られるリサイクルの実践方法は、お客様、自治体、地域によって大きく異なります。お客様のリサイクル施設によっては、シスコ製品の梱包材をリサイクルできないこともあります。シスコが梱包に使用するプラスチックは、樹脂識別コード 1 ~ 7 に基づくカテゴリに分類され、その多くはポリエチレン(コード 2 とコード 4)に該当します。一部のプラスチック部品には、使用済みプラスチックのリサイクルをサポートするプラスチック リサイクル コード番号のラベルが付いています。
シスコでは、リサイクル可能なパッケージを使用するよう努めていますが、代替となる持続可能な資材の選択肢が限られている場合もあります。たとえば金属化された帯電防止バッグは簡単にリサイクルできませんが、静電放電による損傷を受けやすい製品を安全に輸送するには不可欠です。そのため、出荷する製品に合わせて最適なサイズを調整し、使用する資材の量を最小限に抑えています。また、シスコの契約製造業者では、帯電防止バッグの再利用が行われています。
出荷中に製品が破損すると、資材が無駄になり、かえって排出量の増加につながるため、製品の保護が最優先事項であることに変わりはありません。フォーム材や発泡ポリマーは、その強力な緩衝能力から保護梱包によく使用される素材です。ただし、これらの材料は大規模なリサイクル施設では広く受け入れられていません。
シスコは、2025 年度までに、シスコ製品の梱包に使用するフォーム材を重量基準で 75% 削減(2019 年度基準)するという目標を設定しています。2019 年度から 2022 年度にかけて、梱包サプライヤから総資材レベルでレポートされたデータを使用して、シスコのフォーム材の消費量を測定しました。
2023 年度、シスコはデータ収集方法を改善し、梱包の部品レベルで可視化できるようにしました。この詳細なデータにより、フォーム材を減らす機会を的確に特定し、フォーム材の使用と目標の達成状況をより正確に測定するために計算方法を更新できました。
計算方法更新の一環として、2019 年度の基準を更新しました。シスコの Catalyst 9300 シリーズ スイッチは、2023 年度のフォーム材の削減に最も貢献し、リサイクルされた HDPE 素材から作られた熱成形緩衝材に置き換えることで、152 トンのフォーム材を削減しました。
シスコは 2025 年度の目標に向けて前進する一方、目標期限の延長が必要になるかもしれないいくつかの課題にも直面しています。フォーム材の削減という目標は、重量比による絶対量で測定されます。つまり、出荷される製品の量が増えたり、出荷される製品の種類が変わったりすると、フォーム材の使用が増加する可能性があります。これらの課題に対処するために、シスコの戦略では、ユニットあたりのフォーム材の使用量が最も多く、出荷量も最も多い製品について、フォーム材を使用しない梱包の再設計を目標としています。
緩衝材に使用しているフォーム材の代わりに、シスコはリサイクルされた HDPE からできた熱成形緩衝材を使用しています。リサイクル素材を梱包に取り入れることで、貴重な資源を節約し、未使用素材で製造するよりも GHG 排出量を削減できます。リサイクル素材を選択することで、リサイクル素材の需要が高まるため、インフラストラクチャのリサイクルにも貢献できます。シスコの熱成形緩衝材のもう 1 つの利点は、かさばって不規則な形をしているフォームクッションとは異なり、積み重ねて出荷できることです。これにより、運送中のパレットの積み下ろしの効率が向上します。
シスコ製品のパッケージは、分別とリサイクルを行えるように設計されているため、地域の梱包材リサイクルプログラムで消費できます。リサイクル目的で空の箱をシスコに送り返すと、環境への不要な影響が生じるため、シスコではそうした梱包材の回収をしていません。ただし、特定のシナリオを想定して、再利用可能な梱包オプションを検討しています。たとえばシスコの配送拠点の近くにいるお客様向けには、再利用可能な梱包材を使用しています。これにより、2 拠点間で梱包材を移動させて再利用できる一方で、空の箱を送ることで生じる影響を最小限に抑えられます。
梱包効率を重視して設計することで、適切なレベルの製品保護を実現しながら、資材の使用量を削減し、箱全体のサイズを縮小できます。効率的な梱包により、梱包廃棄物と配送による温室効果ガス(GHG)の排出量を削減できます。梱包効率は、実重量と容積重量を比較することで計測されます。容積重量は業界標準の計算方法によって求められ、段ボール箱やコンテナが占めるスペースを決定するのに用いられます。この重量は、箱の奥行き、幅、高さを掛け合わせ、それを寸法係数で割ることで算出します。容積重量と実重量の差をなくすというのは、梱包内の過剰なスペースを減らすということです。シスコは梱包の再設計において、梱包の効率化に向けた進捗状況を測定しています。
2023 年度、梱包効率が向上した梱包の再設計の例をいくつか紹介します。
2023 年度には、梱包効率の計算方法が改良されました。累積で 65% の改善を達成し、シスコの 2025 年度の梱包効率目標である 50% を上回りました。シスコは引き続きモニタリングを行い、進捗状況をレポートします。
現在、世界でリサイクルされているプラスチックは 9% に過ぎません。パレタイズした製品を輸送中安定させ保護するためにプラスチック製の梱包ラップが使用されていますが、シスコはそれに代わる材料を模索しています。2019 年度には、再利用可能なパレットラップを試験的に導入し、2023 年度までその利用を継続しました。この取り組みにより、5 年間で約 232,825 ポンドのプラスチック製ラップの使用を回避できました。これは、1,800 万枚のレジ袋に相当します。シスコは 2021 年度にこの試験的利用に基づいて、Microsoft ほか 9 社と共同で Ellen MacArthur Foundation ネットワークプロジェクトに参加しました。このプロジェクトでは、使い捨ての梱包ラップを排除するために、3 つの方法が検討されました。
また、シスコの梱包エンジニアは、上流のサプライチェーンパートナーと緊密に連携して、製造プロセス全体で再利用できる梱包材を開発しています。これにより、サプライチェーンパートナー間での再梱包による梱包廃棄物を削減できます。たとえば Cisco Catalyst IR8340 高耐久性ルータの梱包は 2022 年度に再設計され、直接の配送段階でインバウンド用梱包材を再利用できるようになり、1 ユニットあたり 1.78 ポンドの段ボール梱包廃棄物を削減しました。その結果 2023 年度は、493 ポンドの段ボール資材を節約できました。
外部電源やメインユニットなど、配送中に高レベルの保護が必要な品目もあります。シスコは、新たな解決策についてディストリビュータと連携し、目標に向かって前進を続けながらこの問題に取り組んでいます。また、リサイクル素材の使用をより効率的に定量化し、外部のステークホルダーの期待に応えるために、梱包材の組成に関するデータの整合性の向上に取り組んでいます。
素材の使用:リサイクルした素材を製品に取り入れ、再生できない素材の使用を減らし、資源の枯渇リスクを考慮して素材を選択します。
標準化とモジュール化:部品や筐体の標準化とモジュール化を図り、サプライチェーンを簡素化し、再利用および修理、再生、リサイクルを実現します。
梱包材と付属品:リサイクルされた梱包材や再生可能な梱包材を使用し、発泡スチロールやプラスチックの利用を減らし、繊維素材を基本とする設計に移行し、使用されない付属品を廃止し、梱包方法を効率化します。
スマートなエネルギー消費:動作状況に応じた電力および電源の管理機能で製品のエネルギー効率を改善します。
分解、修理、再利用:性質の近い素材を使用した取り外しが容易な部品を製品設計に取り入れ、再利用および修理、再生、リサイクルを推進します。