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サプライチェーンにおける環境スチュワードシップ

シスコは、部品から製造、ロジスティクスに至るまでシスコのグローバルネットワークが環境に与える影響を軽減する責任を負っています。

すべての人にインクルーシブな未来を実現するというシスコのパーパスの一環として、シスコは部品から製造、ロジスティクスに至るまでサプライヤのグローバルネットワークと協力して、関連企業が事業を展開するコミュニティにおける気候変動対策と健全なエコシステムの実現を促進しています。天然資源の効率的な使用、汚染の削減、気候変動に対する取り組みの推進について、サプライヤに働きかけています。シスコは、生活の糧が得られる地球環境で暮らすことは人権であると考えています。

第 2 位

Gartner Supply Chain Top 25 for 2023 のランキング

第 3 位

IPE Supply Chain Corporate Climate Action Transparency Index 2023 の IT 分野のランキング

第 1 位

IPE Green Supply Chain Corporate Information Transparency Index 2023 の IT 分野のランキング

温室効果ガス(GHG)の排出

シスコは、2040 年までにバリューチェーン全体でネットゼロを達成するという目標と、短期的な目標を設定しています。現在、シスコの GHG 総排出量の 20% 以上がサプライチェーンで発生しています。サプライチェーンの排出量を削減してシスコの意欲的な目標を達成するには、サプライチェーンや同業他社などとの連携が必要です。シスコは、パートナーのエネルギー消費と燃料消費、GHG 排出量の削減に取り組み、パートナーの事業を強化するためのクリーンエネルギーを推進しています。また、現在および将来のサプライチェーンにおける排出量をより詳細に把握するために、データの収集と報告を通じて透明性を高めています。

目標設定と報告

ネットゼロ目標の一環として、シスコでは購入した製品とサービス、輸送および配送(上流)、販売した製品の使用によって排出されるスコープ 3 の絶対排出量を 2030 年までに 30% 削減するという短期目標を掲げています(基準年 2019 年度)(この目標の詳細については、こちらをクリックしてください)。シスコはサプライヤに対し、GHG の絶対量削減目標を設定するよう求めています。これは、サプライヤが GHG 排出削減に対する説明責任を確立するための最良の方法です。シスコでは、部品、製造、ロジスティクスサプライヤの 80%(調達額の割合)が、GHG 排出の絶対量削減を 2025 年度までに公的な目標として掲げることを目指しています。2023 年度には、サプライヤの 92% が公的な GHG 絶対量削減目標を設定しています。

サプライヤによる GHG 絶対量削減目標の導入状況
2019 年度 2020 年度 2021 年度 2022 年度 2023 年度
GHG の絶対量削減目標を公表しているサプライヤ(調達額の割合)
目標:2025 年度までに、シスコの部品、製造、ロジスティクスサプライヤの 80%(調達額の割合)が、GHG 排出の絶対量削減を公的な目標として設定する。1
2019 年度:23% 2020 年度:33% 2021 年度:38% 2022 年度:78% 2023 年度:92%

1 サプライヤは、目標期間中の GHG 絶対排出量削減目標または目標期間中に絶対排出量の削減が実現する原単位削減目標を設定することが求められています。シスコはサプライヤに対して、承認された科学的根拠のある方法に沿って目標を設定することを推奨しています。この目標の進捗状況は、毎年変動する可能性のあるシスコのサプライチェーン支出を用いて定量化されます。シスコは、サプライヤと協力して GHG 絶対排出量の削減目標を設定し、2025 年度まで毎年この目標の進捗状況を報告していきます。

この目標を推進するために、シスコは、サプライヤに対し GHG 排出とエネルギー消費量を CDP(旧カーボン ディスクロージャー プロジェクト)に毎年報告するよう要請しています。サプライヤの報告に対して要請している事項をまとめます。

  • スコープ 1 およびスコープ 2 の GHG 排出に関する全社の完全かつ正確な一覧を提供すること
  • CDP を介して回答を公開すること
  • GHG 排出の報告内容について検証結果(第三者レビュー)を提示すること
  • GHG 絶対排出量の削減目標を設定して公開し、その目標に対する年間の進捗状況を公開すること
  • 自社のサプライヤやビジネスパートナーに対しても上記と同じプロセスを使用して CDP に報告するよう要請すること

2023 年度はシスコと CDP が協力して、報告プロセス全体を通じてサプライヤをサポートしました。2 回開催したウェビナーでは、報告で求められる内容や CDP アンケートの内容を確認し、質疑応答を行いました。

エネルギー効率とモードシフトによる排出量の削減

シスコはサプライヤと協力して、製品や部品の製造および輸送におけるエネルギー使用量を削減しています。たとえば 2022 年度は、シスコのサプライチェーンのロジスティクスに関連する排出量の 90% 以上が航空輸送によるものでした。シスコは、グローバル規模での工場から工場への出荷を最適化するモードシフトイニシアチブを実施しています。この取り組みでは、輸送方法を航空輸送から海上輸送に変更することで排出量を削減することに重点を置いています。

サプライチェーンにおける再生可能エネルギーの実現

シスコのネットゼロ目標を推進するには、グローバルサプライチェーン全体で再生可能エネルギーを使用することが不可欠です。シスコのサプライヤは、それぞれの施設で再生可能エネルギーを利用できる可能性についてすでに確認しています。シスコでは、導入状況をより詳細に把握することで、サプライヤが抱える調達に関する課題を理解し、実現を妨げる要因を排除するよう取り組んでいます。シスコは、Asian Clean Energy Coalition の設立メンバーとして、サプライヤが事業を行っている地域の多くで再生可能エネルギーの利用拡大を提唱しています。

原材料廃棄物の削減

シスコは、シスコの部品サプライヤと製造サプライヤの 70%(調達額の割合)が、2025 年度までに 1 つ以上の拠点で廃棄物ゼロ化を達成するという目標を掲げています。この目標の達成に向けて順調に進んでいます。進捗状況を測定するために、製造パートナーは廃棄物転換率データを年 2 回報告し、シスコは各拠点で廃棄物ゼロ化に向けた進捗状況をモニターします。製造および部品サプライヤは、TRUE Zero Waste または UL ZWTL 監査で廃棄物ゼロ化の認定を受けることができます。シスコでは、部品サプライヤに対し、ISO 14001 環境マネジメントシステムでも定められている生産拠点における廃棄物転換率を報告するよう求めています。

サプライヤの廃棄物ゼロ化目標の達成状況
  2020 年度 2021 年度 2022 年度 2023 年度
サプライヤでの廃棄物ゼロ目標の達成度1 つ以上の拠点で廃棄物ゼロ化を達成しているサプライヤ
目標:2025 年度までに、シスコの部品および製造サプライヤの 70%(調達額の割合)が、1 つ以上の施設で廃棄物ゼロ化を達成する。1
2020 年度:23% 2021 年度:23% 2022 年度:51% 2023 年度:60%

1 認定プロトコルにおける現在の標準的な定義によると、「廃棄物ゼロ」化とは、無害な固形廃棄物について、全体の 90% 以上を、埋め立て、焼却(廃棄物発電)、および環境から転換することとされています。転換方法には削減、再利用、リサイクル、コンポスト化などがあります。

水資源の安全性の向上

水は、環境と人権の問題に直結しています。干ばつ地域で事業を行っている企業は、水使用量と周辺コミュニティのニーズとのバランスを取る必要があります。2020 年以降、シスコは主要なサプライヤに対して、CDP が実施している水の情報開示を完了し、水使用量削減目標を設定するよう要請しています。CDP 水セキュリティ 2023 の報告サイクルでは次のことを達成しました。

  • シスコの主要サプライヤ* の 98% が CDP に開示
  • シスコの主要サプライヤ* の 76% が CDP で水関連の目標を設定
  • 16 のサプライヤ拠点が情報通信技術(ICT)水スチュワードシップ プログラムに参加

デューデリジェンスの一環として、シスコはサプライヤ拠点における潜在的なリスクと機会を理解するよう努めています。全体として、シスコの製造パートナーは、主に従業員の飲用や、オフィスでのその他の一般的な使用のために、少量の水を消費します。一部の部品サプライヤは、半導体やプリント回路基板の製造に大量の水を使用します。

シスコは、WWF の水リスクフィルタにより世界中のサプライヤ拠点の水リスクを評価しています。このフィルタでは、水に関する 3 つの主な要因(物理的リスク、規制リスク、評判リスク)が分析されます。このグローバルリスク評価に基づいて、水スチュワードシップの対象となる 2 つの流域(中国本土の太湖流域と珠江流域)に焦点を当てています。シスコの影響力を活かして責任ある水資源管理を推進することを目指しています。

* 主要サプライヤとは、2023 年度の支出額の上位 80% を占めているシスコ契約製造業者、戦略的相手先ブランド設計製造業者、ハードウェアサプライヤのことです。

水スチュワードシップの改善に向けたサプライヤの能力向上

シスコは 2021 年度から業界固有の水チェックリストを使用しています。同業他社や Water Stewardship Asia Pacific と共同で開発したリストであり、サプライヤが Alliance for Water Stewardship(AWS)標準をサポートできるように支援するものです。チェックリストは 45 の指標で構成されており、評価対象は水資源管理システム、水の測定とパフォーマンス、ステークホルダーの参画、気候変動への適応と緩和、コミュニケーション、情報開示です。

サプライヤがチェックリストの質問に回答すると、各指標が評価され、現在の水スチュワードシップのパフォーマンスを反映するレベルが割り当てられます。たとえば、レベル 1 はサプライヤが基本要件を満たしている、レベル 2 は高度な要件を満たしている、レベル 3 はセクターのベストプラクティスを実践している、という意味です。サプライヤが指標全体でレベル 3 に達している場合、シスコは、そのサプライヤが AWS 認証を取得する準備が整い、水スチュワードシップの取り組みに沿った進歩を示していると判断します。

2023 年度、シスコは ICT 水チェックリストを実施するために 6 つのサプライヤ拠点を選定しました。水スチュワードシップ プログラムの対象となる新しいサプライヤです。これらのサプライヤは、ICT 水チェックリストの 45 の指標について、数回のレビューとディスカッションを実施しました。その後、シスコは 6 つのサプライヤ拠点における各指標の初期評価結果と進捗レポートを受け取りました。これら 6 つのサプライヤ拠点の合計 270 の指標を評価し、次の結果が得られました。

  • 指標の 16% でレベル 1 を下回っていた
  • 指標の 57% でレベル 1 を満たしたが、レベル 2 には達しなかった
  • 指標の 20% でレベル 2 を満たしたが、レベル 3 には達しなかった
  • レベル 3 に達した指標はわずか 7% だった

改善が必要と特定された上位 5 つの領域は次のとおりです。

  • 水質汚染防止と排水処理
  • 水資源と節水
  • サプライチェーンの参画
  • 安全な飲料水、衛生設備、衛生習慣(WASH)
  • ステークホルダーの分析

シスコでは、レベル 1 未満またはレベル 2 未満のこれらの指標を 2023 年度の ICT 水チェックリスト是正措置計画(CAP)レビュープログラムの新たな基準とすることを決定しました。上記の調査結果に基づいて合計 160 の指標に関する行動計画を作成し、そのうちの 81 の指標は 2023 年度中に完了しました。2024 年度も引き続き未完了の指標について追跡していきます。

シスコのサプライヤの多くは、水スチュワードシップを推進するにあたり、ステークホルダーを参画させるためにさらなるサポートを必要としています。シスコは、Friends of Nature(FON)の GAIASCAPE Studio と協力して、14 のサプライヤ拠点のマネージャ向けに、オンライン エコデザイン トレーニングの提供を 2022 年度から開始しました。これらのトレーニングは、以下の点で拠点における水スチュワードシップの向上に役立ちました。

  • 主要な担当者に水資源を大切にする設計思想とスキルを身に付けさせる
  • 全体的な水の使用量を削減するための試験的なアーキテクチャの構築を進める
  • サプライヤ拠点内または周辺で、環境に配慮した景観修復プロジェクトを開始する
  • 水資源/排水の問題に対処するため、自然に基づく解決策の導入を重視する

シスコは、自然に基づく解決策に関するトレーニングのフォローアップとして、2023 年度に珠江流域と太湖流域のサプライヤ拠点を対象にワークショップを 2 回開催しました。珠江流域では、南昆山国家森林公園でオンサイトのエコデザインワークショップを開催し、広東省にある 8 つのサプライヤ拠点および同業他社から 15 人の代表者が参加しました。ワークショップの開催により、珠江流域全体のろ過に役立てられる 2 つのコンポストビンが完成しました。太湖流域では、シスコが江蘇省にある 9 つのサプライヤ拠点と同業他社から 17 人の代表者を招いて、無錫の環境教育センターに雨水園を建設しました。また、千島湖の湿地保護の重要性について説明するため、サプライヤを対象に同業他社と「水辺見学」を共催しました。

公害防止

シスコは、サプライチェーンにおける汚染問題を追跡して対処するとともに、軽減と修復を求めるライツホルダーからの要請に応えるよう努めています。

たとえば、シスコは Institute of Public and Environmental Affairs(IPE)とのパートナーシップを継続して、中国本土にあるサプライヤ拠点から生じる環境リスクの回避と軽減に取り組んでいます。シスコは Green Supply Chain の取り組みで IPE から評価され、2023 年に Corporate Information Transparency Index(CITI)の IT 産業分野で再度 1 位を獲得しました。

シスコでは IPE の Blue Map データベースを活用して、現在および過去の環境基準違反を確認しています。シスコは、あらゆる環境問題に対処して軽減し、現地の環境法令を遵守するようサプライヤに強く働きかけています。さらにシスコは、実施した CAP を IPE の Web サイトに公開するようサプライヤに求めています。その目的は、環境問題に関する透明性を高めることと、緩和策のスケジュールを定めることです。2023 年度には、中国本土の 12 のサプライヤ拠点が環境基準違反を是正し、IPE の Blue Map から削除されました。

シスコは製造パートナーに対して、Green Supply Chain イニシアチブと名付けたプログラムの一環として、こうした期待を製造パートナーのサプライヤにも伝えるよう働きかけています。人権問題と同様に、シスコは、サプライヤが環境面でのパフォーマンスと透明性を向上させる能力を構築できるようにすることを目指しています。2020 年度以降、中国本土の製造パートナーすべてが、IPE の Blue Map を活用して直接取引している原材料サプライヤの環境パフォーマンスを管理するプログラムを実施しています。

2023 年度も、シスコは引き続き中国本土のサプライヤ拠点を対象に環境トレーニングウェビナーを開催しました。2024 年度には、台湾のシスコサプライヤを Green Supply Chain イニシアチブに含める予定です。台湾を拠点とするサプライヤに、シスコのグリーンサプライチェーンの要件について説明するためにウェビナーを開催しました。ウェビナーにはサプライヤ 19 社から合計 51 人が参加しました。

透明性と能力構築

2023 年度に、シスコはサプライヤと二次サプライヤに対して、IPE が主催する一連の環境トレーニングへの参加を促しました。このトレーニングでは、環境に関するさまざまなトピックが取り上げられました。以下にその一例をご紹介します。

Blue Map と Blue EcoChain 運用ガイド
  • 企業の炭素量データの計算、開示、分析、および Pollution Release and Transfer Report(PRTR)データの開示
  • 法的に義務付けられた企業環境情報開示、Blue Map 上での情報開示および記録削除
  • 緑色選択連盟(GCA)の監査と一般的な調査結果
環境保護
  • 環境コンプライアンスと一般的なコンプライアンス違反
  • 水の使用と固形廃棄物について再利用率を高める方法
  • 有害な化学物質、新たな化学物質、新たな汚染物質
排出量とデータの報告
  • 科学に基づいた炭素排出量削減目標の設定
  • 製品レベルの炭素量データの計算、開示、利用
  • スコープ 3 カテゴリ 1、購入した製品とサービスの計算
  • エネルギー効率を高める方法

2023 年度に、シスコは報告要件を中国本土のサプライヤに拡大し、IPE の Web サイトにある報告システム PRTR を通じて、省エネ、水、大気、廃棄物の情報を開示することを推奨しました。2023 年度に PRTR での情報開示を実施したサプライヤ拠点の数は 211 でした(2022 年度は 175 拠点)。参加拠点数が全体的に増加した理由の 1 つは、製造パートナーが直接のサプライヤに対して開示の取り組みに参加するよう依頼したためです。