サプライチェーンにおける人権
シスコは、サプライチェーンで働く人たちを含め、シスコが事業を展開しているあらゆる場所で、すべての人の人権を守り尊重することに長年取り組んでいます。
シスコは、サプライチェーンで働く人たちを含め、シスコが事業を展開しているあらゆる場所で、すべての人の人権を守り尊重することに長年取り組んでいます。
シスコは、人権に対する影響を把握して定量化するとともに、リスクを軽減し、人々とコミュニティの機会を最大化するよう努めています。このような人権への専心は、シスコのデューデリジェンスシステムに組み込まれています。このシステムは、シスコのグローバル人権ポリシー、国連のビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)、責任ある企業行動のための OECD デューデリジェンス ガイドラインに準拠しています。
シスコは、シスコとの取引に際して、Responsible Business Alliance(RBA)の行動規範を遵守することをサプライヤに求めています。この規範では特に、強制労働の使用を禁止しています。さらに、サプライヤに対して、規範にある要求事項を自社が利用するサプライヤやサプライチェーンに対しても要求するよう義務付けています。
シスコは、この ESG レポートハブにある「サプライチェーンのサステナビリティ」ページと現代奴隷制および人身売買の防止に関するグローバルステートメントの中でデューデリジェンスプロセスの概要を示し、シスコの行動規範に対する不適合(強制労働に関するものを含む)の特定、軽減、是正のためにシスコが取った対応の結果を毎年「サプライヤ監査の結果」ページで公表しています。シスコのサプライヤ行動規範またはサプライヤ倫理綱領に違反している可能性を認識した場合は、シスコは人権への影響に対する調査や評価を行い、軽減と是正のための措置を講じます。実施した措置の具体例を以下に示します。問題に対するサプライヤとの取り組みが満足いくものでない場合、そのサプライヤとの関係を解消することがあります。
サプライヤに対して直接影響力を行使するだけでなく、RBA や、責任ある労働イニシアチブ(RLI)および責任ある鉱物イニシアチブ(RMI)を通じて同業他社と協力します。これらのイニシアチブは、グローバルサプライチェーンにおいて弱い立場にある労働者の権利の保護を推進するものであり、複数の業界やステークホルダーが参加しています。これらの業界イニシアチブにシスコが参加することで、適正評価と是正措置に関して、必要に応じて産業界全体で一貫性のある期待を共有することができます。
また、シスコは必須のトレーニングモジュールを通じて、サプライチェーンの従業員に人権の重要性を教えています。このモジュールでは、シスコが人権に関するコミットメントを遂行する上で従業員に期待している役割について、従業員の意識向上と理解を図っています。サプライチェーンの従業員は、サプライヤ行動規範の主要な要素と、この方針に従って責任を果たすようサプライヤを指導する役割について学びます。また、強制労働や児童労働などの重大なリスクの兆候に気付く方法、シスコの方針に違反している恐れがある場合に報告する方法も学びます。
2023 年度は、サプライチェーンにおける人権リスクを管理する企業の能力を評価する KnowTheChain のベンチマークで、シスコは情報通信技術(ICT)企業 60 社のうち 3 位にランクされました。
詳しく述べると、人権に関するグローバルポリシー、ビジネス行動規範、責任ある鉱物調達ポリシーはシスコの事業指針であり、一方、サプライヤ倫理綱領、サプライヤ行動規範、弱い立場にあるグループの権利の尊重に関するポリシーはシスコのサプライチェーンで働く人々の人権を守るというシスコの公約を反映しています。その他のポリシーについてはこちらからご覧いただけます。
いかなる種類の強制労働にも服さないという労働者の権利を守ることがシスコのサプライヤ行動規範に織り込まれています。シスコのサプライヤ行動規範は国際労働機関(ILO)の強制労働指標に沿ったものであり、サプライヤの拠点で行動規範への適合性を評価する際には、採用時の詐欺、身分証明書の保持、賃金の差し押さえ、負債による束縛、虐待的な環境、移動の制限などの指標が調査されます。負債による束縛がもたらす強制労働のリスクを最小限に抑えるために、シスコは事業を展開する地域において、RBA が定める手数料の定義の方針を適用しています。この方針では、現地の法律で認められている場合であっても、労働者が採用、採用の継続、退職のために手数料を支払うことがあってはならないと規定されています。シスコは、UNGP に沿って、強制労働の状態を招く可能性のあるリスクを軽減し、そのような状態にある労働者が受けた被害の救済をサプライヤに求めています。強制労働のリスクに対処するためのシスコのプロセスの概要については、現代奴隷制度と人身売買の防止に関するシスコの声明を参照してください。
シスコは毎年、サプライヤがサプライヤ行動規範への適合性を評価し、その実施におけるギャップを特定して対処するための手段として監査を行っています。2023 年度中も、サプライヤの監査の結果、強制労働の禁止に関するサプライヤ行動規範の期待に反する不適合が明らかになりました。強制労働または債務労働の恐れがあることを示す不適合でした。これらの不適合の重大性はさまざまです。
確認できた最も一般的な不適合は、労働者が採用プロセスに伴う少額の支払いをしていることに関するものです。たとえば、健康診断料、保証金、交通費など 1 回限りの少額の支払いで、多くの場合は労働者の月給の 5% 未満です。これらの支払いは、雇用開始後に払い戻されるケースもありました。シスコのチームはサプライヤと協力して、雇用者が医療提供者に健康診断料を直接支払うモデルの開発に取り組んでいます。このようにすれば、従業員は払い戻しを受ける必要がなくなります。
それほど多くある事例ではありませんが、強制労働の一種である債務労働のリスクが特定されました。労働者は、借金やあっせん業者への過剰な手数料を返済するために働かざるを得ない場合、借金に縛られることになります。これらの不適合案件では、外国人移民労働者は、総賃金 1 か月分以上に相当する過剰なあっせん手数料を支払っていました。通常のプロセスの一環として、債務労働のリスクに対し、シスコは主に次の 2 つの是正措置を講じます。該当する司法管轄区でそのような手数料の請求が法的に認められているかどうかに関係なく、サプライヤに対し以前に従業員に転嫁された採用手数料の負担を促すこと、影響を受けた労働者を救済して払い戻しを促すことです。強制労働に関連して発見された RBA 不適合の数は、シスコが公開している監査データとその地理的分布で確認できます。
サプライヤ行動規範への適合を推進するためのサプライヤ監査に加えて、リスクの高い地域で移民や若年労働者を雇用しているサプライヤなど、強制労働のリスクがあると特定されたサプライヤを対象に、必要に応じて対象を絞った追加調査を実施しています。シスコは最近、買収時の人権デューデリジェンスプロセスを強化し、早い段階でその分析に焦点を当てています。シスコの調査では、サプライヤの採用方針と慣行、および強制労働に関するデューデリジェンスに対する意識を評価します。採用手数料を課す慣行が現地の法律で認められている場合でも、シスコはサプライヤに対して、「手数料なし」の方針を導入し、あっせん業者に対してデューデリジェンスを実施して、労働者の移動の自由を確保するためのプロセスを構築することを明確に要求します。
禁止されている採用手数料の請求が認められた場合、シスコはこれらの問題に対処するよう努めています。そのために、この慣行をやめ、さらに調査を実施できるようサプライヤと協力しています。具体的には、労働者が出発前および到着時にあっせん業者に支払った可能性のある手数料を特定する、給与から差し引かれている経常的な手数料を確認する、他の仲介業者や移動のために支払われた可能性がある手数料に関してサプライヤに労働者との対話を促す、といった対応を行います。サプライヤが採用を進めるために実際に要したコストと、是正措置として従業員に払い戻す金額を決定するには、徹底的な調査が重要です。シスコは、これらの調査の一部に RBA アドバイザリサービスを使用しており、今後も使用する予定です。RBA アドバイザリサービスでは、労働者の出身国と目的国の両方の関連あっせん業者、現場の人事管理チーム、影響を受けた労働者にインタビューを行います。これらのインタビューは、採用プロセス中に労働者に課せられた条件を明らかにすることに加えて、労働者が移動のどの時点でいくら支払ったのかを判断するのに役立ちます。サプライヤは RBA の担当者と協力して、払い戻し計画を作成し、実施します。是正措置の一環として、シスコはサプライヤに対し包括的な「手数料なし」の方針と手続きを受け入れ、採用プロセス中に候補者が手数料を支払わないようにすることを求めます。方針が修正されると、労働者が理解できる言語で「手数料なし」の方針について労働者にトレーニングと周知を行います。このトレーニングは、候補者の採用プロセスにも組み込まれます。このプロセスの最後に、影響を受けた労働者の条件が適切に是正されたことを検証するため、第三者機関による監査が実施されます。2023 年度は、インド、台湾、マレーシア、中国、日本の 5 か国 1,865 人の労働者に 220 万米ドル以上のあっせん手数料が払い戻されました。
禁止されている採用手数料を請求する慣行が判明した場合の追加措置として、現地の環境において強制労働のリスクを特定する方法に関するトレーニングを台湾の同業他社と供給拠点の間で推進することにより、シスコはこのトピックに関する知識の共有に取り組んでいます。2023 年度は、サプライヤ 23 社から 36 名がトレーニングに参加しました。
18 歳未満の労働が法的に認められている法域内で 16 ~ 18 歳の労働者を保護するためのシスコの基準は、させてはならない仕事の種類を含め、年少者の労働に関する方針と期待事項に概説されています。2023 年度は、児童労働者(15 歳以下の労働者)の事例は確認されていません。不適合と特定された事例では、サプライヤの児童労働の回避に関する方針が不完全であったり、法律で定められた賃金よりも低い賃金がインターンに支払われていたりしたほか、学生労働者の契約が適切に管理されていなかったケースもありました。この不適合の事例を踏まえて是正措置計画が開始され、現在進行中です。
人権プログラムと戦略の中心にライツホルダーを置くことは、シスコのサプライチェーンの労働者とコミュニティにプラスの影響をもたらす重要な方法です。
2023 年度には、人権に関する取り組みの延長として、弱い立場にあるグループの権利の尊重に関するポリシーを策定しました。このポリシーは、サプライチェーン内で最も弱い立場にある人々を保護するという目標を達成するための羅針盤としての役割を果たし、同様に取り組むようにサプライヤやパートナーを導きます。
シスコは 2 つの調達地域にまたがる何百人ものサプライチェーン労働者を対象に、人権への影響評価を実施しました。この評価の目的は、人権に関するリスクと各々が抱く懸念を特定することでした。2024 年度には、この評価で得られた知見を人権に関する戦略、プログラム、デューデリジェンスプロセスに取り入れる予定です。
労働者の健康と幸福を守るには、雇用主が対処していない問題に対処する方法を労働者に提供することも必要です。2023 年度は、サプライチェーンの労働者から報告された 2 件の人権に関する懸念に対処しました。1 件はシスコ倫理ラインに報告されたもので、もう 1 件は RBA の苦情処理プロセスを通じて報告されました(採用手数料の是正に関するケーススタディをご覧ください)。両方の懸念を踏まえて、シスコは RBA と協力して労働者のニーズを調査し、適切に対処しました。
顕著な人権問題や新たな問題に対処するためのアプローチを特定し開発するシスコの能力は、ステークホルダーの参画によって支えられています。また、シスコは複数のイニシアチブに参加し、組織と協力してシステム変更をサポートしています。サプライチェーンにおける人権に取り組むためにシスコが参加しているイニシアチブと組織の例をご覧ください。
サプライヤに RBA 行動規範の遵守を求めるシスコの取り組みは、サプライヤ施設の労働者に対する安全衛生上のリスクを特定して軽減するためのメカニズムとして引き続き機能しています。一方で、職場で遭遇する可能性のあるリスクを特定して対処する上で従業員が果たす重要な役割も認識しています(以下の TenSquared プログラムのケーススタディをご覧ください)。
また、化学物質管理についてのサプライヤへの期待事項ポリシーに沿って、労働者の化学物質ばく露リスクを軽減するための的を絞ったアプローチを継続しました。このポリシーは、労働者の安全に対するシスコの取り組みを示すものであり、指針となる原則、サプライヤへの期待事項、および適合性を示すための要件を定義しています。
シスコは Clean Electronics Production Network(CEPN)および RBA の化学物質管理ワークグループのメンバーであり、シスコの方針とデューデリジェンスのアプローチは CEPN の Priority Chemicals リストと RBA Industry Focus Process List に準拠しています。
サプライチェーンで化学物質が使用されている場合、シスコのサプライヤは、職場の健康および安全上の危険から労働者を保護するためのフレームワークとして、管理階層に従うことが求められます。危険にさらされる可能性を低くすることは重要ですが、化学物質の排除と代替が最も効果的に危険を軽減するための管理策です。
シスコはリスクベースのアプローチを活用して、Process Chemical Data Collection(PCDC)ツールを完成させ、より詳細な化学物質ばく露評価を実施するサプライヤを選定しています。サプライヤはこのツールを使用して、シスコ製品の製造に使用された化学物質を特定します。2023 年度も引き続き、シスコはサプライヤ拠点における有害化学物質の取り扱いを調査しました。また、追加で 24 のサプライヤ拠点に PCDC 調査を実施してもらいました。これらの調査では、サプライヤに対して、シスコ製品の部品の製造に使用されている化学物質を特定するよう依頼し、600 以上の化学物質が特定されました。このプロセスの一環として、シスコとサードパーティの化学コンサルティング会社はサプライヤと協力し、安全でない化学物質を排除するか、より安全な代替品に置き換えています。PCDC 調査では、19 社のサプライヤが、化学物質管理についてのサプライヤへの期待事項ポリシーで概説されている 9 つの優先化学物質(優先的に使用を停止していく化学物質)を使用していないことが確認されました。
優先化学物質を使用していると特定されたサプライヤは合計 5 社でした。シスコはまずサプライヤ 2 社と協力して、より安全な代替品を導入し、製造、洗浄、メンテナンスの各プロセスにおいてメチルアルコール(67-56-1)の使用を停止しました。次の 2 社のサプライヤは、優先化学物質の使用についての取り組みを継続しています。シスコは残る 1 社のサプライヤと協力して代替品を検討しましたが、使用中の化学物質に代わるより安全で運用可能な代替品がないことを確認しています。このサプライヤは、従業員へのばく露リスクを最小限に抑えるための堅牢な管理プロセスを導入していることを確認しています。
2023 年度、シスコは 2 つのサプライヤ施設で化学物質管理アセスメントを実施し、化学物質管理に関連する労働者の心身の健康を守るためのプロセスと手順について理解を深めました。調査結果は以下に関連するものです。
評価において重大な調査結果が判明したケースでは、サプライヤはシスコと協力して、根本原因に対処するための即時および長期的な是正措置を特定し、是正措置計画を作成しました。調査結果の大部分は解決されており、残る 1 件の調査結果も収束に向けて順調に進んでいます。
鉱物の調達には、健康と安全、強制労働と児童労働、環境悪化、地域紛争への影響など、多くの面でリスクが伴います。シスコはこれらのリスクを認識していて、武力紛争や人権侵害に寄与することなく、タンタル、スズ、タングステン、金(3TG)、コバルトなどの鉱物を調達するための堅牢なデューデリジェンスプロセスを実施しています。
シスコの目標は、サプライヤと協力し、人権、ビジネス倫理、労働、安全衛生慣行、環境への責任に関するシスコの価値観に沿って鉱物を調達することです。このアプローチには、紛争地域および高リスク地域(CAHRA)からの責任ある調達が含まれます。シスコは、鉱山、または鉱物を処理する製錬所や精製所から鉱物を直接調達していないため、倫理的かつ責任ある方法で鉱物を調達するために、第三者機関の基準(責任ある鉱物保証プロセス(RMAP)、その他の相互承認された基準など)に依拠しています。シスコは、リスクベースの評価の一環としてこの基準を使用して、調達元が低リスク(業界では以前「コンフリクトフリー」と呼ばれていました)であるかどうかを判断しています。
国連のビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)に基づくシスコのコミットメントは責任ある鉱物調達ポリシーに反映されています。2022 年の紛争鉱物に関する報告が 2023 年 5 月に発行され、シスコのデューデリジェンス活動と OECD 紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデューデリジェンス ガイダンスとの整合性について詳しく説明しています。レポートには、2022 年の活動成果の詳細も記載されています。1
1 紛争鉱物は、ドッド・フランク法第 1502 条において米国証券取引委員会によって定義され、すず石、コロンバイトタンタライト、金、鉄マンガン重石、またはそれらの派生物、または国務長官が該当国で紛争資金源になっているとして指定したその他の鉱物またはそれらの派生物を指します。該当国には、コンゴ民主共和国(DRC)や隣接国を含みます。
シスコは 3TG を製錬所や精製所(SOR)から直接購入しないため、サプライヤと協力して、責任ある鉱物調達に関するデューデリジェンスを実施します。また、業界全体で協力して、デューデリジェンスをサポートするツールと実施方法を開発しています。シスコは、RMI の Conflict Minerals Reporting Template(CMRT)を使用してサプライヤに調査を行い、報告された SOR を確認します。また、サプライヤのサプライチェーンに働きかけて調達先を RMI の RMAP に準拠した SOR に変更するようサプライヤに依頼します。
シスコはサプライヤの CMRT を分析した後、確認されたリスクに対処します。場合によっては、RMAP に適合しない SOR をサプライチェーンから排除するようサプライヤに働きかけることもあります。シスコの「高リスク」の定義に当てはまる SOR には最優先で対処します。サプライチェーン ESG ガバナンス委員会の場で、シスコのサプライチェーンリーダーに進捗状況を定期的に報告しています。サプライヤがシスコの責任ある鉱物調達ポリシーに従う意思がない場合、グローバルサプライチェーンを担当するシスコの経営層にエスカレーションし、そのサプライヤをサプライチェーンから排除することもあります。2022 年は、対象サプライヤから報告された 3TG の SOR の 71% が、第三者機関による監査プログラムで適合とされたか積極的に取り組んでいました。さらに 12% が 100% リサイクルの原料を使用しているか、コンゴ民主共和国と大湖沼地域以外から供給を受けていました。3TG に関するその他の結果は、2022 年の紛争鉱物に関する報告に記載されています。
2023 年度、シスコは RMI への積極的な参加を通じて、同業他社やその他のステークホルダーとの連携を継続しました。RMI ワーキンググループへの参画の主な焦点は、RMAP への SOR の参加を増やすこと、新しい鉱物と原料の加工業者を特定すること、デューデリジェンスとリスク軽減のベストプラクティスとガイダンスを共有することでした。シスコは、SOR に RMAP 評価の対象となるよう働きかけただけでなく、RMI の監査基金に再度資金を提供しました。この基金は、RMAP プログラムへの参加を促すために重要な役割を果たしています。シスコが資金を提供する目的は、SOR が高いレベルで RMAP に参加するよう促すとともに、責任ある調達のデューデリジェンスにかかる費用を相殺することです。
シスコは、Public-Private Alliance for Responsible Minerals Trade(PPA)のメンバーにもなりました。2024 年度に向けて、シスコは PPA のメンバーとの協力のもと、対象が拡大している責任ある鉱物調達を可能にする、革新的で効果的な上流域内プロジェクトを支援したいと考えています。
シスコは、European Partnership for Responsible Minerals(EPRM)のメンバーでもあります。これは、さまざまなステークホルダーによるパートナーシップであり、CAHRA で責任ある採掘を実践する鉱山の数を増やしていくことを目的としています。シスコが直接支援している EPRM 出資のプロジェクトの 1 つに Scalable Trade in Artisanal Gold(STAG)があります。鉱物資源を活用して生計を向上させるブルキナファソの採掘者の試みを支援するプロジェクトです。STAG は、責任を持って調達された人力採掘の金を市場に供給する商業化可能なルートを確立することを目指しています。シスコは、資金面での支援に加えて、STAG の Downstream Progressive Due Diligence Lab にも参加しています。このラボでは、人力小規模採掘(ASM)調達と、サプライチェーンの中流や下流にいる企業でのデューデリジェンスを推進しています。EPRM、RMI、RESOLVE、Artisanal Gold Council、AG Sarl に加えて、このプロジェクトに参加できることはシスコにとって光栄です。
最後に、シスコは引き続きサプライヤと協力して、サプライチェーンにおける鉱物のトレーサビリティを向上させます。2023 年度の取り組みにより、下層サプライヤが必要とするデータをより深く理解し、鉱物がサプライチェーンの上流から下流のどこを流れているかについて有意義な洞察が得られるようになりました。2024 年度は、得られた知見を他の企業と共有し、このデータを活用して効果を高める方法を実証したいと考えています。
3TG に限らず、鉱物のグローバルサプライチェーンにおける人権に関する説明責任と透明性に注目が集まっています。2023 年度は、シスコの責任ある鉱物調達ポリシーに従って、サプライチェーンにおけるコバルトのデューデリジェンスを継続しました。その結果、サプライヤから報告されたコバルト精製所の 61% が RMAP 基準に準拠しているか、基準に積極的に取り組んでいることがわかりました。シスコはこの調査結果を使用してリスクを監視し、RMAP 適合率向上のため上流に働きかけています。
2023 年度、シスコは他の企業と共に、鉱山モニタリングプログラムの 1 つである RCS Global Better Mining プログラムへの資金提供を継続しました。Better Mining プログラムにより、コンゴ民主共和国およびルワンダにある 48 か所の人力小規模採掘(ASM)の採掘現場での労働条件に関する理解が深まりました。2023 年 8 月の時点で、ASM 採掘現場で 4,000 件近くのインシデントとリスクを特定しました。インシデントの種類には、労働条件と安全、環境、セキュリティ、人権、合法性に関するリスクなどがあります。このプログラムでは、フェンスの設置、感作トレーニング、標識の改善、立坑の安全対策など、特定されたリスクを軽減するための最善の措置を定義した 1,004 の是正措置計画が推奨されました。現地のステークホルダーがこれらの措置を実施することで、採掘現場における直接的な改善が促進されます。今後、この取り組みから収集されたデータから、採掘現場におけるリスクを軽減するためのヒントが継続的に得られることを期待しています。また、鉱山コミュニティにプラスの影響を与えるための戦略について、RMI などの業界グループが知見を得ることが期待されます。