スイッチ クラスタの概要
スイッチ クラスタ は、最大16台の接続されたクラスタ対応のCatalystスイッチから構成され、単一のエンティティとして管理されます。スイッチは、スイッチ クラスタリング テクノロジーを使用しています。このテクノロジーによって、単一のIPアドレスを介して、異なるCatalystデスクトップ スイッチ プラットフォームのグループを設定およびトラブルシューティングすることができます。
スイッチ クラスタでは、1つのスイッチをクラスタ コマンド スイッチとして指定する必要があり、最大15の他のスイッチを クラスタ メンバー スイッチ として指定できます。クラスタ コマンド スイッチは、クラスタ メンバー スイッチを設定、管理、およびモニタするための単一拠点になります。クラスタ メンバーが同時に所属できるクラスタは1つだけです。
スイッチのクラスタ設定には次の利点があります。
• 相互接続する媒体や物理的な場所を意識せずに行えるCatalystスイッチの管理。スイッチは、同じ場所に置くことも、レイヤ2またはレイヤ3ネットワークに分散することもできます(クラスタが、クラスタ内のレイヤ2スイッチ間のレイヤ3ルータとしてCatalyst 3550、Catalyst 3560、またはCatalyst 3750スイッチを使用している場合)。
クラスタ メンバーは、「クラスタ候補およびメンバーの自動検出」に記載の接続上の注意事項に従って、クラスタ コマンド スイッチに接続します。このセクションには、Catalyst 1900、Catalyst 2820、Catalyst 2900 XL、Catalyst 2950、およびCatalyst 3500 XLスイッチの管理VLANに関する考慮事項も記載されています。クラスタ環境におけるこれらのスイッチの詳細については、該当するスイッチのソフトウェア コンフィギュレーション ガイドを参照してください。
• クラスタ コマンド スイッチに障害が発生した場合の冗長構成。1つまたは複数のスイッチを スタンバイ クラスタ コマンド スイッチ として指定し、クラスタ メンバーとの接続の切断を回避できます。スタンバイ クラスタ コマンド スイッチの集合を クラスタ スタンバイ グループ といいます。
• 1つのIPアドレスによる各種Catalystスイッチの管理。IPアドレス数を節約できます。すべてのスイッチ クラスタとの通信に、常にクラスタ コマンド スイッチのIPアドレスが使用されます。
(注) スイッチ クラスタは、スイッチ スタックとは別物です。スイッチ スタックは、スタック ポートを使用して接続されたCatalyst 3750スイッチから構成されています。スイッチ スタックとスイッチ クラスタの違いの詳細については、「スイッチ クラスタとスイッチ スタック」を参照してください。
スイッチ クラスタをサポートしているCatalystスイッチのリストについては、リリース ノートを参照してください。これには、クラスタ コマンド スイッチとして設定できるスイッチ、クラスタ メンバー スイッチとしてだけ設定できるスイッチ、必要なソフトウェア バージョン、およびブラウザとJava Plug-inの設定についても記載されています。
内容は次のとおりです。
• 「クラスタ コマンド スイッチの特性」
• 「スタンバイ クラスタ コマンド スイッチの特性」
• 「候補スイッチおよびクラスタ メンバー スイッチの特性」
クラスタ コマンド スイッチの特性
クラスタ コマンド スイッチは、次の要件を満たしている必要があります。
• Cisco IOS Release 12.1(11)AX以上を稼働している。
• IPアドレスが割り当てられている。
• Cisco Discovery Protocol(CDP)バージョン2がイネーブル(デフォルト)に設定されている。
• 他のクラスタのコマンド スイッチまたはクラスタ メンバー スイッチではない。
• 管理VLAN(仮想LAN)を介してスタンバイ クラスタ コマンド スイッチに、共通のVLANを介してクラスタ メンバー スイッチに接続している。
(注) クラスタにコマンド スイッチとして、最高性能のスイッチを設定することを推奨します。クラスタ適格スイッチのリストおよびクラスタ機能については、リリース ノートを参照してください。
スタンバイ クラスタ コマンド スイッチの特性
スタンバイ クラスタ コマンド スイッチは、次の要件を満たしている必要があります。
• Cisco IOS Release 12.1(11)AX以上を稼働している。
• IPアドレスが割り当てられている。
• CDPバージョン2がイネーブルに設定されている。
• 管理VLANを介してコマンド スイッチおよび他のスタンバイ コマンド スイッチに接続されている。
• 共通のVLANを介して他のすべてのクラスタ メンバー スイッチ(クラスタ コマンド スイッチとスタンバイ コマンド スイッチを除く)に接続されている。
• クラスタ メンバー スイッチとの接続を維持できるようクラスタに冗長接続している。
• 他のクラスタのコマンド スイッチまたはメンバー スイッチではない。
(注) スタンバイ クラスタ コマンド スイッチは、クラスタ コマンド スイッチと同じタイプのスイッチでなければなりません。たとえば、クラスタ コマンド スイッチがCatalyst 3750スイッチである場合は、スタンバイ クラスタ コマンド スイッチもCatalyst 3750スイッチでなければなりません。スタンバイ クラスタ コマンド スイッチの要件については、他のクラスタ対応スイッチのスイッチ コンフィギュレーション ガイドを参照してください。
候補スイッチおよびクラスタ メンバー スイッチの特性
候補スイッチ とは、クラスタ対応ではあるもののクラスタにまだ追加されていないスイッチおよびスイッチ スタックを意味します。クラスタ メンバー スイッチは、スイッチ クラスタにすでに追加されているスイッチおよびスイッチ スタックです。候補スイッチまたはクラスタ メンバー スイッチは、任意で固有のIPアドレスおよびパスワードを割り当てることもできます(これに関連する考慮事項については、IPアドレスおよびパスワードを参照してください)。
スイッチをクラスタに追加するには、候補スイッチが次の要件を満たしている必要があります。
• クラスタ対応のソフトウェアが稼働している。
• CDPバージョン2がイネーブルに設定されている。
• 他のクラスタのコマンド スイッチまたはクラスタ メンバー スイッチではない。
• クラスタ スタンバイ グループがある場合、最低1つの共通のVLANを介してすべてのスタンバイ クラスタ コマンド スイッチに接続している。各スタンバイ クラスタ コマンド スイッチに対するVLANが異なっていても構いません。
• 最低1つの共通のVLANを介してクラスタ コマンド スイッチに接続している。
(注) Catalyst 1900、Catalyst 2820、Catalyst 2900 XL、Catalyst 2950、およびCatalyst 3500 XL候補スイッチとクラスタ メンバー スイッチは、管理VLANを介してクラスタ コマンド スイッチおよびスタンバイ クラスタ コマンド スイッチに接続されている必要があります。スイッチクラスタにおけるこれらのスイッチの詳細については、該当するスイッチのソフトウェア コンフィギュレーション ガイドを参照してください。
Catalyst 2970、Catalyst 3550、Catalyst 3560またはCatalyst 3750クラスタ コマンド スイッチがある場合には、この要件は当てはまりません。候補およびクラスタ メンバー スイッチは、任意の共通のVLANを介してクラスタ コマンド スイッチに接続できます。
スイッチ クラスタのプランニング
クラスタを使用して複数のスイッチを管理する場合、あらかじめ設定の矛盾および互換性の問題について考慮しておくことが重要です。ここでは、クラスタを作成する前に理解しておくべき要件および注意事項について説明します。
• 「クラスタ候補およびメンバーの自動検出」
• 「HSRPとスタンバイ クラスタ コマンド スイッチ」
• 「IPアドレス」
• 「ホスト名」
• 「パスワード」
• 「SNMPコミュニティ ストリング」
• 「スイッチ クラスタとスイッチ スタック」
• 「TACACS+とRADIUS」
• 「CMSでのアクセス モード」
• 「LREプロファイル」
• 「スイッチ クラスタでのスイッチ特定機能の使用」
スイッチ クラスタをサポートしているCatalystスイッチのリストについては、リリース ノートを参照してください。これには、クラスタ コマンド スイッチとして設定できるスイッチ、クラスタ メンバー スイッチとしてだけ設定できるスイッチ、必要なソフトウェア バージョン、およびブラウザとJava Plug-inの設定についても記載されています。
CDPホップによる検出
CDPを使用して、クラスタ コマンド スイッチはクラスタのエッジから最大7ホップ(デフォルトは3ホップ)離れたスイッチを検出することができます。クラスタのエッジとは、最後のクラスタ メンバー スイッチがクラスタおよび候補スイッチに接続している部分をいいます。たとえば、図 6-1のクラスタ メンバー スイッチ9、10はクラスタのエッジに位置します。
Cluster > Hop Count を選択することにより、候補スイッチおよびクラスタ メンバー スイッチをクラスタ コマンド スイッチが検索するホップ数を設定できます。ネットワークに新しい候補スイッチが追加されると、クラスタ コマンド スイッチはこれらのスイッチを検出して候補スイッチのリストに追加します。
(注) クラスタ内のスイッチ スタックは単一のクラスタ メンバー スイッチを同等とみなします。CMSを介したクラスタ メンバーの追加には、特定の制限があります。詳細については、「スイッチ クラスタとスイッチ スタック」を参照してください。
図 6-1では、クラスタ コマンド スイッチは、VLAN 16およびVLAN 62にポートを割り当てています。CDPホップ カウントは3です。スイッチ11~14は、クラスタ エッジから3ホップ以内にあるので、クラスタ コマンド スイッチはスイッチ11~14を検出します。スイッチ15はクラスタ エッジから4ホップ離れているので、コマンド スイッチは検出しません。
図 6-1 CDPホップによる検出
CDP非対応およびクラスタ非対応デバイス接続時の検出
クラスタ コマンド スイッチを CDP非対応のサードパーティ製ハブ (他社製のハブなど)に接続している場合、そのサードパーティ製ハブに接続されたクラスタ対応デバイスを検出することができます。ただし、クラスタ コマンド スイッチを クラスタ非対応のシスコ デバイス に接続している場合は、クラスタ非対応シスコ デバイスの先に接続されたクラスタ対応デバイスを検出することはできません。
図 6-2は、クラスタ コマンド スイッチが、サードパーティ製ハブに接続されているスイッチを検出することを示しています。ただし、Catalyst 5000スイッチに接続されているスイッチは検出されません。
図 6-2 CDP非対応およびクラスタ非対応デバイス接続時の検出
各種VLANを介した検出
クラスタ コマンド スイッチがレイヤ3 Catalyst 3550、Catalyst 3560、またはCatalyst 3750スイッチである場合は、クラスタに異なるVLANに属するクラスタ メンバー スイッチを含めることができます。クラスタ メンバー スイッチは、最低1つの共通のVLANを介してクラスタ コマンド スイッチに接続されている必要があります。図 6-3のクラスタ コマンド スイッチは、VLAN 9、16、および62にポートを割り当てているので、これらのVLANのスイッチを検出します。VLAN 50のスイッチは検出されません。また、最初の列のVLAN 16のスイッチについても、クラスタ コマンド スイッチがVLAN接続していないので、検出しません。
Catalyst 2900 XL、Catalyst 2950、Catalyst 2970、Catalyst 3500 XLクラスタ メンバー スイッチは、管理VLANを介してクラスタ コマンド スイッチに接続されている必要があります。管理VLANを介した検出の詳細については、「各種管理VLANを介した検出」を参照してください。VLANの詳細については、 第13章「VLANの設定」 を参照してください。
(注) スイッチ スタックでのVLANの考慮事項については、「スイッチ クラスタとスイッチ スタック」を参照してください。
図 6-3 各種VLANを介した検出
各種管理VLANを介した検出
レイヤ3 Catalyst 3550、Catalyst 3560、またはCatalyst 3750クラスタ コマンド スイッチは、異なるVLANや異なる管理VLANに属するスイッチを検出できます。クラスタ メンバー スイッチは、最低1つの共通のVLANを介してクラスタ コマンド スイッチに接続されている必要があります。ただし、それぞれの管理VLANを介してクラスタ コマンド スイッチに接続されている必要はありません。デフォルトの管理VLANはVLAN 1です。
(注) クラスタにコマンド スイッチとして、最高性能のスイッチを設定することを推奨します。クラスタ適格スイッチのリストおよびクラスタ機能については、リリース ノートを参照してください。
図 6-4のクラスタ コマンド スイッチおよびスタンバイ コマンド スイッチ(レイヤ3 Catalyst 3550、Catalyst 3560、またはCatalyst 3750クラスタ コマンド スイッチの場合)は、VLAN 9、16、62にポートを割り当てています。クラスタ コマンド スイッチの管理VLANはVLAN 9です。各クラスタ コマンド スイッチは、次のものを除いて、異なる管理VLANに属するスイッチすべてを検出します。
• スイッチ7および10(管理VLAN 4のスイッチ)。共通のVLAN(VLAN 62 および9)を介してクラスタ コマンド スイッチに接続していないため。
• スイッチ9。自動検出が非候補デバイス(スイッチ7)を超えて機能しないため。
図 6-4 各種管理VLANを介した検出
RPを介した検出
クラスタ コマンド スイッチにRouted Port(RP;ルーテッド ポート)が設定されている場合は、RPと 同じ VLAN内の候補スイッチおよびクラスタ メンバー スイッチのみを検出します。RPの詳細については、「ルーテッド ポート」を参照してください。
図 6-5のレイヤ3クラスタ コマンド スイッチはVLAN 9およびVLAN 62のスイッチを検出できますが、VLAN 4のスイッチは検出できません。クラスタ コマンド スイッチとクラスタ メンバー スイッチ7との間のRPパスが切断された場合でも、VLAN 9経由の冗長パスがあるので、クラスタ メンバー スイッチ7との接続は維持されます。
図 6-5 RPを介した検出
新たに設置されたスイッチの検出
新規のスイッチがクラスタに加入するには、自身のいずれかのAccess Port(AP;アクセス ポート)を通じてクラスタに接続する必要があります。APは、単一のVLANのトラフィックのみを搬送します。デフォルトでは、新しいスイッチとそのAPはVLAN 1に割り当てられます。
新しいスイッチがクラスタに追加されると、そのデフォルトのVLANが、直近のアップストリームのネイバであるVLANに変更されます。新しいスイッチは更に、直近のアップストリームのネイバであるVLANに属するようにAPを設定します。
図 6-6のクラスタ コマンド スイッチは、VLAN 9および16に属しています。新しいクラスタ対応スイッチがクラスタに加入した場合、次のようになります。
• 1つのクラスタ対応スイッチとそのAPはVLAN 9に割り当てられます。
• 他のクラスタ対応スイッチとそのAPは管理VLAN 16に割り当てられます。
図 6-6 新たに設置されたスイッチの検出
HSRPとスタンバイ クラスタ コマンド スイッチ
スイッチはHot Standby Router Protocol(HSRP)をサポートするので、スタンバイ クラスタ コマンド スイッチのグループを設定できます。クラスタ コマンド スイッチは、全クラスタ メンバー スイッチへのすべての通信および設定情報の転送を管理するため、次のことを強く推奨します。
• クラスタ コマンド スイッチ スタックでは、スイッチ スタック全体に障害が生じた場合に備え、スタンバイ クラスタ コマンド スイッチが必須です。ただし、コマンド スイッチ スタック内のスタック マスターだけに障害が生じた場合には、スイッチ スタックは新たなスタック マスターを選択し、クラスタ コマンド スイッチ スタックとしての役割を再開します。
• スタンドアロン スイッチのクラスタ コマンド スイッチでは、プライマリ クラスタ コマンド スイッチに障害が生じた場合に、その役割を引き継ぐようにスタンバイ クラスタ コマンド スイッチを設定します。
クラスタ スタンバイ グループ は、「スタンバイ クラスタ コマンド スイッチの特性」に記載されている要件を満たすコマンド対応スイッチのグループです。1つのクラスタに割り当てられるクラスタ スタンバイ グループは1つだけです。
(注) クラスタにコマンド スイッチとして、最高性能のスイッチを設定することを推奨します。クラスタ適格スイッチのリストおよびクラスタ機能については、リリース ノートを参照してください。
(注) クラスタ スタンバイ グループはHSRPグループです。HSRPをディセーブルにすると、クラスタ スタンバイ グループもディセーブルになります。
クラスタ スタンバイ グループのスイッチは、HSRPプライオリティに基づいてランク付けされます。グループ内で最高のプライオリティを持つスイッチが、AC( アクティブ クラスタ コマンド スイッチ )になります。次にプライオリティの高いスイッチが、SC( スタンバイ クラスタ コマンド スイッチ )になります。クラスタ スタンバイ グループのその他のスイッチは、PC( パッシブ クラスタ コマンド スイッチ )になります。アクティブ クラスタ コマンド スイッチおよびスタンバイ クラスタ コマンド スイッチが 同時に ディセーブルになった場合は、最もプライオリティの高いパッシブ クラスタ コマンド スイッチがアクティブ クラスタ コマンド スイッチになります。自動検出の制限については、「クラスタ構成の自動回復」を参照してください。HSRPプライオリティ値の変更の詳細については、「HSRPのプライオリティの設定」を参照してください。クラスタ スタンバイ グループのメンバーおよびルータ冗長構成グループ メンバーのプライオリティ変更には、同じHSRP standby priority インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
(注) HSRPスタンバイ ホールド タイム インターバルは、helloタイム インターバルの3倍以上にしてください。デフォルトのHSRPスタンバイ ホールド タイム インターバルは10秒です。デフォルトのHSRPスタンバイhelloタイム インターバルは3秒です。スタンバイ ホールド タイムおよびスタンバイhelloタイム インターバルの詳細については、「HSRP認証およびタイマーの設定」を参照してください。
接続に関する次の注意事項は、スイッチ クラスタ、クラスタ候補、接続スイッチ クラスタ、および近接エッジ デバイスの自動検出を確実にします。次に、スタンバイ クラスタ コマンド スイッチについて詳しく説明します。
• 「仮想IPアドレス」
• 「クラスタ スタンバイ グループに対するその他の考慮事項」
• 「クラスタ構成の自動回復」
仮想IPアドレス
クラスタ スタンバイ グループには、一意の仮想IPアドレス、グループ番号、グループ名を割り当てる必要があります。この情報は、アクティブ クラスタ コマンド スイッチの特定のVLANやRPに対して設定する必要があります。アクティブ クラスタ コマンド スイッチは、仮想IPアドレス宛てのトラフィックを受信します。クラスタを管理するには、コマンド スイッチのIPアドレスではなく、仮想IPアドレスを使用してアクティブ クラスタ コマンド スイッチにアクセスする必要があります。これは、アクティブ クラスタ コマンド スイッチのIPアドレスが、クラスタ スタンバイ グループの仮想IPアドレスと異なる場合です。
アクティブ クラスタ コマンド スイッチに障害が発生すると、スタンバイ クラスタ コマンド スイッチが仮想IPアドレスの所有権を引き継ぎ、アクティブ クラスタ コマンド スイッチになります。クラスタ スタンバイ グループのパッシブ スイッチは、それぞれに割り当てられたプライオリティを比較して、新しいスタンバイ クラスタ コマンド スイッチを決定します。最もプライオリティの高いパッシブ スタンバイ スイッチが、スタンバイ クラスタ コマンド スイッチになります。以前のアクティブ クラスタ コマンド スイッチが再びアクティブになると、アクティブ クラスタ コマンド スイッチとしての機能を再開し、現在のアクティブ クラスタ コマンド スイッチが再びスタンバイ クラスタ コマンド スイッチになります。スイッチ クラスタのIPアドレスの詳細については、「IPアドレス」を参照してください。
クラスタ スタンバイ グループに対するその他の考慮事項
(注) スイッチ スタックでのクラスタ スタンバイ グループの考慮事項については、「スイッチ クラスタとスイッチ スタック」を参照してください。
次の要件も適用されます。
• スタンバイ クラスタ コマンド スイッチは、クラスタ コマンド スイッチと同じタイプのスイッチでなければなりません。たとえば、クラスタ コマンド スイッチがCatalyst 3750スイッチである場合は、スタンバイ クラスタ コマンド スイッチもCatalyst 3750スイッチでなければなりません。スタンバイ クラスタ コマンド スイッチの要件については、他のクラスタ対応スイッチのスイッチ コンフィギュレーション ガイドを参照してください。
クラスタにコマンド スイッチとして、最高性能のスイッチを設定することを推奨します。クラスタ適格スイッチのリストおよびクラスタ機能については、リリース ノートを参照してください。
• 1つのクラスタに割り当てることができるクラスタ スタンバイ グループは1つだけです。複数のルータ冗長構成スタンバイ グループを設定できます。
HSRPグループは、クラスタ スタンバイ グループおよびルータ冗長構成グループのどちらにもなります。ただし、ルータ冗長構成グループがクラスタ スタンバイ グループになった場合、ルータ冗長構成はそのグループではディセーブルになります。CLIを使用すると再度イネーブルにできます。HSRPとルータ冗長構成の詳細については、 第32章「HSRPの設定」 を参照してください。
• すべてのスタンバイ グループのメンバーがクラスタのメンバーでなければなりません。
(注) スタンバイ クラスタ コマンド スイッチとして割り当てることができるスイッチの数に、制限はありません。ただし、クラスタ内のスイッチの総数(アクティブ クラスタ コマンド スイッチ、スタンバイ グループのメンバー、およびクラスタ メンバー スイッチで構成)は、16を超えてはなりません。
• 各スタンバイ グループのメンバー(図 6-7)は、同じVLANを介してクラスタ コマンド スイッチに接続されている必要があります。次の例では、クラスタ コマンド スイッチおよびスタンバイ クラスタ コマンド スイッチは、Catalyst 2970、Catalyst 3550、Catalyst 3560、またはCatalyst 3750クラスタ コマンド スイッチです。また、各スタンバイ グループのメンバーは、スイッチ クラスタと共通の1つまたは複数のVLANを介して互いに冗長接続されている必要があります。
Catalyst 1900、Catalyst 2820、Catalyst 2900 XL、Catalyst 2950、およびCatalyst 3500 XLクラスタ メンバー スイッチは、管理VLANを介してクラスタ スタンバイ グループに接続されている必要があります。スイッチ クラスタのVLANの詳細については、以下を参照してください。
–「各種VLANを介した検出」
–「各種管理VLANを介した検出」
図 6-7 スタンバイ グループのメンバーとクラスタ メンバー間のVLAN接続
クラスタ構成の自動回復
アクティブ クラスタ コマンド スイッチは、クラスタ構成の情報を継続的にスタンバイ クラスタ コマンド スイッチに伝送します(デバイス構成の情報は伝送しません)。これによって、スタンバイ クラスタ コマンド スイッチは、アクティブ クラスタ コマンド スイッチに障害が発生するとすぐに、クラスタを引き継ぐことができます。
自動検出には、次のような制限があります。
• この制限は、Catalyst 2950、Catalyst 3550、Catalyst 3560、Catalyst 3750コマンド スイッチおよびスタンバイ クラスタ コマンド スイッチを持つクラスタのみに当てはまります。アクティブ クラスタ コマンド スイッチおよびスタンバイ クラスタ コマンド スイッチが 同時に ディセーブルになった場合は、最もプライオリティの高いパッシブ クラスタ コマンド スイッチがアクティブ クラスタ コマンド スイッチになります。ただし、パッシブ スタンバイ コマンド スイッチであったため、以前のクラスタ コマンド スイッチからはクラスタ構成情報が転送 されていません 。アクティブ クラスタ コマンド スイッチは、クラスタ構成情報をスタンバイ クラスタ コマンド スイッチだけに転送します。このため、クラスタを再構築する必要があります。
• すべてのクラスタに適用される制限:アクティブ クラスタ コマンド スイッチに障害が発生し、クラスタ スタンバイ グループに3台以上のスイッチがある場合は、新しいクラスタ コマンド スイッチは、以前のCatalyst 1900、Catalyst 2820、Catalyst 2916M XLクラスタ メンバー スイッチをいずれも検出しません。これらのスイッチをクラスタに追加し直す必要があります。
• すべてのクラスタに適用される制限:アクティブ クラスタ コマンド スイッチに障害が発生して再びアクティブになった場合は、以前のCatalyst 1900、Catalyst 2820、Catalyst 2916M XLクラスタ メンバー スイッチのいずれも検出されません。これらのスイッチをクラスタに追加し直す必要があります。
以前のアクティブ クラスタ コマンド スイッチが再びアクティブになるとき、ダウンしていた間に追加されたメンバーを含む最新のクラスタ構成のコピーをアクティブ クラスタ コマンド スイッチから受け取ります。アクティブ クラスタ コマンド スイッチは、クラスタ構成のコピーをクラスタ スタンバイ グループに送信します。
IPアドレス
クラスタ コマンド スイッチにはIP情報を割り当てる必要があります。クラスタ コマンド スイッチには複数のIPアドレスを割り当てることができ、任意のコマンド スイッチIPアドレスを使用してクラスタにアクセスできます。クラスタ スタンバイ グループを設定する場合、スタンバイ グループ仮想IPアドレスを使用して、アクティブ クラスタ コマンド スイッチからクラスタを管理する必要があります。仮想IPアドレスを使用することによって、アクティブ クラスタ コマンド スイッチに障害が発生してもクラスタとの接続が維持され、スタンバイ クラスタ コマンド スイッチがアクティブ クラスタ コマンド スイッチになります。
アクティブ クラスタ コマンド スイッチに障害が発生してスタンバイ クラスタ コマンド スイッチが処理を引き継いだ場合、クラスタにアクセスするには、スタンバイ グループ仮想IPアドレス、または新しいアクティブ クラスタ コマンド スイッチで利用できる任意のIPアドレスを使用してください。
クラスタ対応スイッチにIPアドレスを割り当てることができますが、これは必須ではありません。コマンド スイッチのIPアドレスを使用して、クラスタ メンバー スイッチの管理や、クラスタ メンバー スイッチ同士の通信を行うことも可能です。固有のIPアドレスを設定していないクラスタ メンバー スイッチがクラスタから削除された場合は、IP情報を割り当ててスタンドアロン スイッチとして管理する必要があります。
(注) クラスタ コマンド スイッチのIPアドレスを変更すると、そのスイッチでのCMSセッションは終了します。CMSセッションを再開するには、ブラウザのLocationフィールド(Netscape Communicatorの場合)またはAddressフィールド(Internet Explorerの場合)に新しいIPアドレスを入力します。リリース ノートを参照してください。
IPアドレスの詳細については、 第4章「スイッチのIPアドレスおよびデフォルト ゲートウェイの割り当て」 を参照してください。
ホスト名
クラスタ コマンド スイッチまたは有効なクラスタ メンバーに対して、ホスト名を割り当てる必要はありません。ただし、クラスタ コマンド スイッチにホスト名を割り当てておくと、スイッチ クラスタを識別できるようになります。スイッチのデフォルトのホスト名は、 Switch です。
クラスタに追加したスイッチにホスト名が指定されていない場合、クラスタ コマンド スイッチは自身のホスト名に固有のメンバー番号を付加した名前を、各スイッチがクラスタに追加された順序で割り当てます。番号は、クラスタにスイッチが追加された順序を意味します。たとえば、クラスタ コマンド スイッチ名がeng-clusterである場合、5番めのクラスタ メンバーはeng-cluster-5という名前になります。
スイッチにホスト名が指定されている場合には、クラスタに追加されたあとも同じホスト名を維持します。このホスト名は、スイッチがクラスタから削除された場合も変わりません。
スイッチが、クラスタ コマンド スイッチからホスト名を割り当てられたクラスタから削除され新しいクラスタに追加された場合、同じメンバー番号( 5 など)を維持すると、以前のホスト名( eng-cluster-5 など)は、新しいクラスタのクラスタ コマンド スイッチのホスト名( mkg-cluster-5 など)で上書きされます。新しいクラスタでスイッチ メンバー番号が変更された場合( 3 など)は、スイッチは以前の名前( eng-cluster-5 )のままです。
パスワード
クラスタ メンバーとして設定する各スイッチに、パスワードを割り当てる必要はありません。スイッチをクラスタに追加すると、スイッチはコマンド スイッチのパスワードを継承し、クラスタから除外されたあともそのパスワードを保持します。コマンド スイッチにパスワードが設定されていない場合は、クラスタ メンバー スイッチはnullパスワードを継承します。クラスタ メンバー スイッチは、コマンド スイッチのパスワードだけを継承します。
メンバー スイッチのパスワードをコマンド スイッチとは別のものに変更して保存すると、メンバー スイッチのパスワードをコマンド スイッチのパスワードと一致するように変更するまでは、クラスタ コマンド スイッチからスイッチを管理できなくなります。メンバー スイッチを再起動しても、パスワードをコマンド スイッチのパスワードに変更することはできません。クラスタに追加してからは、メンバー スイッチのパスワードを変更しないことを推奨します。
パスワードの詳細については、「スイッチへの不正アクセスの防止」を参照してください。
Catalyst 1900およびCatalyst 2820スイッチ固有のパスワードの考慮事項については、各スイッチのインストレーション コンフィギュレーション ガイドを参照してください。
SNMPコミュニティ ストリング
クラスタ メンバー スイッチは、コマンド スイッチ上で最初に設定されたread-onlyおよびread-writeコミュニティ ストリングにそれぞれ @esN が付加された形式のストリングを継承します。
• command-switch-readonly-community-string @ esN ( N はメンバー スイッチの番号)
• command-switch-readwrite-community-string @ esN ( N はメンバー スイッチの番号)
クラスタ コマンド スイッチに複数のread-onlyまたはread-writeコミュニティ ストリングがある場合、最初のread-onlyおよびread-writeストリングだけがクラスタ メンバー スイッチに伝播されます。
スイッチでは、コミュニティ ストリングの数およびストリングの長さに関して制限がありません。SNMPおよびコミュニティ ストリングの詳細については、 第27章「SNMPの設定」 を参照してください。
Catalyst 1900およびCatalyst 2820スイッチ固有のSNMPの考慮事項については、各スイッチのインストレーション コンフィギュレーション ガイドを参照してください。
スイッチ クラスタとスイッチ スタック
スイッチ クラスタ は、1つまたは複数のCatalyst 3750スイッチ スタックを保持できます。各スイッチ スタックはクラスタ コマンド スイッチまたは単一のクラスタ メンバーとして機能できます。 表 6-1 は、スイッチ スタックとスイッチ クラスタの基本的な相違点を示しています。スイッチ スタックの詳細については、 第5章「スイッチ スタックの管理」 を参照してください。
表 6-1 スイッチ スタックとスイッチ クラスタの基本特性の比較
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Catalyst 3750スイッチのみから構成される |
Catalyst 3750、Catalyst 3550、Catalyst 2950スイッチなどのクラスタ対応スイッチから構成される |
スタック メンバーはStackWiseポートを介して接続される |
クラスタ メンバーはLANポートを介して接続される |
1つの スタック マスター が必要で、最大8の他の スタック メンバー をサポートする |
1つの クラスタ コマンド スイッチ が必要で、最大15のその他の クラスタ メンバー スイッチ をサポートする |
クラスタ コマンド スイッチの場合もあれば、クラスタ メンバー スイッチの場合もある |
スタック マスターまたはスタック メンバーにはなれない |
スタック マスターは、特定のスイッチ スタック内のすべてのスタック メンバーを 完全に 管理する単一拠点である |
クラスタ コマンド スイッチは、特定のスイッチ クラスタのすべてのクラスタ メンバーを ある程度 管理する単一拠点である |
スタック マスターに障害が生じると、バックアップ スタック マスターが自動的に決定される |
クラスタ コマンド スイッチに障害が生じた場合に備え、スタンバイ クラスタ コマンド スイッチを事前に割り当てる必要がある |
スイッチ スタックは同時に発生するスタック マスターの障害を最大8件までサポートできる |
スイッチ クラスタは、クラスタ コマンド スイッチの障害を1度に1件しかサポートできない |
スタック メンバーは(スイッチ スタックとして)ネットワーク内の単一の統合システムとして動作し存在する |
クラスタ メンバーはさまざまで、統合システムとして管理されたり動作したりしない独立したスイッチである |
単一のコンフィギュレーション ファイルを使用してスタック メンバーを統合管理 |
クラスタ メンバーはそれぞれ個別のコンフィギュレーション ファイルを持つ |
スタックレベルおよびインターフェイスレベルの設定は各スタック メンバーに格納される |
クラスタ設定は、クラスタ コマンド スイッチとスタンバイ クラスタ コマンド スイッチに格納される |
新たなスタック メンバーはスイッチ スタックに自動的に追加される |
新たなクラスタ メンバーはスイッチ クラスタに手動で追加する必要がある |
スタック メンバーは、レイヤ2およびレイヤ3プロトコルなどを使用して連携動作し、ネットワーク内の統合システム(単一のスイッチ スタック)として機能することを思い出してください。したがって、スイッチ クラスタは、個々のスタック メンバーではなくスイッチ スタックを有効なクラスタ メンバーとして認識します。個々のスタック メンバーは、スイッチ クラスタに参加したり、個別のクラスタ メンバーとして関与したりすることはできません。スイッチ クラスタには1つのクラスタ コマンド スイッチが必須で、最大15のクラスタ メンバーをサポートするため、最大16のスイッチ スタック、合計144のデバイスを保持できます。
スイッチ スタックのクラスタ設定は、スタック マスターを通じて実行されます。
(注) CLIから、最大16のスイッチ スタックを含むスイッチ クラスタを設定できます。ただし、CMSから実際に設定可能なスイッチ クラスタ内の最大デバイス数は、スイッチ スタック クラスタ メンバー内のデバイス数に関係なく、16です。たとえば、スイッチ スタックに3つのスタック メンバーがある場合は、3つの個別のデバイスとしてカウントされます。
CLIを使用して16を超える実際のデバイスを設定し、その後CMSからクラスタを表示しようとすると、CMSは、16のCMS制限に達するまでクラスタ メンバーを削除するように要求します。
スイッチ クラスタ内にスイッチ スタックを含める場合に留意すべき考慮事項は次のとおりです。
• クラスタ コマンド スイッチがCatalyst 3750スイッチまたはスイッチ スタックではなく、新たなスタック マスターがクラスタ メンバー スイッチ スタック内で選択された場合、スイッチ スタックとクラスタ コマンド スイッチの間に冗長接続がないと、スイッチ スタックとスイッチ クラスタ間の接続は切断されてしまいます。スイッチ スタックをスイッチ クラスタに追加する必要があります。
• クラスタ コマンド スイッチがスイッチ スタックで、新たなスタック マスターがクラスタ コマンド スイッチ スタック内とクラスタ メンバー スイッチ スタック内で同時に選択された場合、スイッチ スタックとクラスタ コマンド スイッチの間に冗長接続がないと、スイッチ スタック間の接続は切断されてしまいます。クラスタ コマンド スイッチ スタックを含めスイッチ スタックをクラスタへ追加する必要があります。
• すべてのスタック メンバーがスイッチ クラスタ内のすべてのVLANへの冗長接続を持つ必要があります。そうでないと、新たなスタック マスターが選択された場合に、新たなスタック マスターに設定されていないVLANへ接続されているスタック メンバーと、スイッチ クラスタとの接続は切断されてしまいます。スタック マスターまたはスタック メンバーのVLAN設定を変更し、スタック メンバーをスイッチ クラスタに追加し直す必要があります。
• クラスタ メンバー スイッチ スタックがリロードされ、新たなスタック マスターが選択された場合、スイッチ スタックとクラスタ コマンド スイッチとの接続は切断されてしまいます。スイッチ スタックをスイッチ クラスタに追加し直す必要があります。
• クラスタ コマンド スイッチ スタックがリロードされ、元のスタック マスターが再選択されなかった場合は、スイッチ クラスタ全体を再構築する必要があります。
スイッチ スタックの詳細については、 第5章「スイッチ スタックの管理」 を参照してください。
TACACS+とRADIUS
スイッチ クラスタの認証設定に一貫性がないと、CMSによってユーザに名前とパスワードの入力を求めるプロンプトが絶えず表示されます。1つのクラスタ メンバーにTerminal Access Controller Access Control System Plus(TACACS+)が設定されている場合は、すべてのクラスタ メンバーにTACACS+を設定する必要があります。同様に、Remote Authentication Dial-In User Service(RADIUS)が1つのクラスタ メンバーに設定されている場合は、RADIUSをすべてのクラスタ メンバーに設定する必要があります。さらに、同一のスイッチ クラスタ内で、あるメンバーにTACACS+を設定して、その他のメンバーにRADIUSを設定するということはできません。
TACACS+の詳細については、「TACACS+によるスイッチ アクセスの制御」を参照してください。RADIUSの詳細については、「RADIUSによるスイッチ アクセスの制御」を参照してください。
CMSでのアクセス モード
クラスタに旧バージョンのソフトウェア リリースが稼働する次のクラスタ メンバー スイッチがあり、このようなクラスタ メンバー スイッチに読み取り専用でアクセスする場合、これらのスイッチの設定ウィンドウには不完全な情報が表示されることがあります。
• Cisco IOS Release 12.0(5)WC2以下が稼働するCatalyst 2900 XLまたはCatalyst 3500 XLクラスタ メンバー スイッチ
• Cisco IOS Release 12.0(5)WC2以下が稼働するCatalyst 2950クラスタ メンバー スイッチ
• Cisco IOS Release 12.1(6)EA1以下が稼働するCatalyst 3550クラスタ メンバー スイッチ
次のスイッチはCMSでの読み取り専用モードをサポートしません。
• Catalyst 1900およびCatalyst 2820
• 4 MB CPU DRAM搭載のCatalyst 2900 XLスイッチ
読み取り専用モードでは、これらのスイッチは利用不可能なデバイスとして表示され、CMSで設定することはできません。CMSアクセス モードの詳細については、「クラスタ内の古いスイッチへのアクセス」を参照してください。
LREプロファイル
スイッチ クラスタに、プライベート プロファイルおよびパブリック プロファイルの両方を使用するLong-Reach Ethernet(LRE)スイッチがある場合、設定の矛盾が生じます。クラスタ内のLREスイッチの1つに、パブリック プロファイルが割り当てられている場合、そのクラスタ内のすべてのLREスイッチで、同じパブリック プロファイルである必要があります。クラスタにLREスイッチを追加する前に、そのスイッチに、クラスタ内の他のLREスイッチと同じパブリック プロファイルが割り当てられていることを確認してください。
クラスタでは、異なるプライベート プロファイルを使用するLREスイッチを混在させることができます。
スイッチ クラスタでのスイッチ特定機能の使用
クラスタ コマンド スイッチのメニューバーには、スイッチ クラスタで利用できるオプションがすべて表示されます。したがって、クラスタ メンバー スイッチ固有の機能を、コマンド スイッチのメニューバーから利用することができます。たとえば、クラスタに1台以上のCatalyst 2900 LRE XLスイッチが組み込まれていると、コマンド スイッチのメニューバーに Device > LRE Profile オプションが表示されます。
スイッチ クラスタの設定
CMSを使用すると、CLIコマンドを使用するより簡単にクラスタを設定できます。ここでは、次の情報について説明します。
• 「クラスタ コマンド スイッチのイネーブル化」
• 「クラスタ メンバー スイッチの追加」
• 「クラスタ スタンバイ グループの作成」
ここでは、スイッチのハードウェア インストレーション ガイド、および「スイッチ クラスタのプランニング」に記載の注意事項に従って、スイッチが接続済みであることを前提としています。
(注) スイッチ クラスタをサポートしているCatalystスイッチのリストについては、リリース ノートを参照してください。これには、クラスタ コマンド スイッチとして設定できるスイッチ、クラスタ メンバー スイッチとしてだけ設定できるスイッチ、必要なソフトウェア バージョン、およびブラウザとJava Plug-inの設定についても記載されています。
クラスタ コマンド スイッチのイネーブル化
クラスタ コマンド スイッチに指定するスイッチは、「クラスタ コマンド スイッチの特性」、「スイッチ クラスタのプランニング」、およびリリース ノートに記載されている要件を満たしている必要があります。
(注) クラスタにコマンド スイッチとして、最高性能のスイッチを設定することを推奨します。クラスタ適格スイッチのリストおよびクラスタ機能については、リリース ノートを参照してください。
スイッチの初期設定時にセットアップ プログラムを実行することにより、クラスタ コマンド スイッチをイネーブルにし、クラスタに名前を付け、クラスタ コマンド スイッチにIPアドレスとパスワードを割り当てることができます。セットアップ プログラムの使用方法の詳細については、リリース ノートを参照してください。
スイッチの初期設定時にクラスタ コマンド スイッチをイネーブルにしなかった場合は、コマンド対応スイッチでDevice Managerを起動し、Cluster > Create Clusterを選択します。クラスタ番号(デフォルトは0)を入力し、クラスタに名前(最大31文字)を付けます(図 6-8を参照)。CMSを使用してクラスタ コマンド スイッチをイネーブルにする代わりに、 cluster enable グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用できます。
図 6-8 Create Clusterウィンドウ
クラスタ メンバー スイッチの追加
(注) この作業は、スタック マスターからのみ実行できます。
「クラスタ候補およびメンバーの自動検出」で説明したように、クラスタ コマンド スイッチは自動的に候補スイッチを検出します。ネットワークにクラスタ対応スイッチが新たに追加されると、クラスタ コマンド スイッチはそれを検出して候補スイッチのリストに追加します。
(注) クラスタ内のスイッチ スタックは単一のクラスタ メンバー スイッチを同等とみなします。CMSを介したクラスタ メンバーの追加には、特定の制限があります。CMSから、最大15のクラスタ メンバーを持つスイッチ クラスタを作成できます。CLIから、最大144のデバイスを持つスイッチ クラスタを作成できます。詳細については、「スイッチ クラスタとスイッチ スタック」を参照してください。
Add To Clusterウィンドウ(図 6-9を参照)で更新されたクラスタ候補リストを表示するには、CMSを再起動してこのウィンドウを再表示するか、次の手順を実行します。
1. Add To Clusterウィンドウを閉じます。
2. View > Refresh を選択します。
3. Cluster > Add To Clusterを選択して、Add To Clusterウィンドウを再表示します。
CMSからクラスタにスイッチを追加する方法は2通りあります。
• Cluster > Add To Clusterを選択して、リストから候補スイッチを選択し、 Add をクリックして OK をクリックします。複数の候補スイッチを追加するには、Ctrlを押しながら1つずつ選択するか、 Shift を押して一連のスイッチの最初と最後を選択します。
• Topology Viewを表示し、候補スイッチのアイコンを右クリックして Add To Cluster を選択します(図 6-10を参照)。Topology Viewでは、候補スイッチはシアン、クラスタ メンバー スイッチはグリーンで表示されます。複数の候補スイッチを追加するには、Ctrlを押しながら、追加したい候補スイッチを左クリックします。
CMSを使用してクラスタにメンバーを追加する代わりに、クラスタ コマンド スイッチから cluster member グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用できます。候補スイッチにパスワードが設定されている場合は、このコマンドに password オプションを指定します。
クラスタ内のスイッチの合計数が16(クラスタ コマンド スイッチも含めて)を超えない範囲で、1つまたは複数のスイッチを選択できます。クラスタ メンバーが16になると、そのクラスタでは Add To Cluster オプションが利用できなくなります。この場合、新しいメンバーを追加するには、別のクラスタ メンバー スイッチを削除する必要があります。
候補スイッチにパスワードが設定されている場合は、クラスタに追加するときにそのパスワードを要求するプロンプトが表示されます。パスワードが設定されていない場合、入力はいずれも無視されます。
複数の候補スイッチに同じパスワードが設定されている場合は、それらの候補スイッチをグループとして選択し、同時に追加することができます。
ある候補スイッチにグループのものとは別のパスワードが設定されている場合は、その候補スイッチだけはクラスタに追加されません。
候補スイッチはクラスタに追加された時点で、クラスタのコマンド スイッチのパスワードを継承します。パスワードの設定については、「パスワード」を参照してください。
スイッチ クラスタでの認証のその他の考慮事項については、「TACACS+とRADIUS」を参照してください。
図 6-9 Add To Clusterウィンドウ
図 6-10 Topology Viewを使用したクラスタ メンバー スイッチの追加
クラスタ スタンバイ グループの作成
(注) この作業は、スタック マスターからのみ実行できます。
クラスタ スタンバイ グループ メンバーは、「スタンバイ クラスタ コマンド スイッチの特性」および「HSRPとスタンバイ クラスタ コマンド スイッチ」に記載されている要件を満たす必要があります。クラスタ スタンバイ グループを作成するには、 Cluster > Standby Command Switches を選択します(図 6-11を参照)。
CMSを使用してスタンバイ グループにスイッチを追加し、スタンバイ グループをクラスタとバインドする代わりに、 standby ip 、 standby name 、 standby priority インターフェイス コンフィギュレーション コマンド、および cluster standby group グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用できます。
(注) スタンバイ クラスタ コマンド スイッチは、クラスタ コマンド スイッチと同じタイプのスイッチでなければなりません。たとえば、クラスタ コマンド スイッチがCatalyst 3750スイッチである場合は、スタンバイ クラスタ コマンド スイッチもCatalyst 3750スイッチでなければなりません。スタンバイ クラスタ コマンド スイッチの要件については、他のクラスタ対応スイッチのスイッチ コンフィギュレーション ガイドを参照してください。
Standby Command Groupリストでは、クラスタ スタンバイ グループ内のスイッチの適格性またはステータスを示す次の略語が、スイッチのホスト名とともに表示されます。
• AC ― アクティブ クラスタ コマンド スイッチ
• SC ― スタンバイ クラスタ コマンド スイッチ
• PC ― クラスタ スタンバイ グループのメンバーではあるが、スタンバイ クラスタ コマンド スイッチではない
• HC ― クラスタ スタンバイ グループに追加できる候補スイッチ
• CC ― HSRPがディセーブルのときのクラスタ コマンド スイッチ
クラスタ スタンバイ グループには固有の仮想IPアドレスを入力する必要があります。このアドレスは、スイッチのIPアドレスと同じサブネットに属していなければなりません。グループ番号はIPサブネット内で一意である必要があります。指定できる範囲は0~255、デフォルトは0です。グループ名の長さは31文字までです。
Standby Command Configurationウィンドウでは、CLIを使用して設定したpreemptコマンドおよびnameコマンドのデフォルト値が使用されます。このウィンドウを使用してスタンバイ グループを作成すると、グループのすべてのスイッチで preempt コマンドがイネーブルになります。また、グループの名前も指定する必要があります。
(注) HSRPスタンバイ ホールド タイム インターバルは、helloタイム インターバルの3倍以上にしてください。デフォルトのHSRPスタンバイ ホールド タイム インターバルは10秒です。デフォルトのHSRPスタンバイhelloタイム インターバルは3秒です。スタンバイ ホールド タイムおよびスタンバイhelloタイム インターバルの詳細については、「HSRP認証およびタイマーの設定」を参照してください。
図 6-11 Standby Command Configurationウィンドウ