シスコのIPマルチキャスト ルーティング実装の概要
Cisco IOSソフトウェアはIPマルチキャスト ルーティングを実装するため、次のプロトコルをサポートしています。
• Internet Group Management Protocol(IGMP) ― LANのホストおよびLANのルータ(およびマルチレイヤ スイッチ)間で使用され、ホストがメンバーとして属するマルチキャスト グループを追跡します。
• Protocol-Independent Multicast(PIM) ― ルータおよびマルチレイヤ スイッチ間で使用され、相互に転送されるマルチキャスト パケット、および直接接続されたLANに転送されるマルチキャスト パケットを追跡します。
• Distance Vector Multicast Routing Protocol(DVMRP) ― インターネットのMulticast Backbone(MBONE)に使用されます。ソフトウェアはPIMとDVMRPの相互作用をサポートします。
• Cisco Group Management Protocol(CGMP) ― レイヤ2 Catalystスイッチに接続されたシスコ製ルータおよびマルチレイヤ スイッチで使用され、IGMPで実行される作業と同様の作業を実行します。
図 33-1に、これらのプロトコルが動作するIPマルチキャスト環境内の位置を示します。
図 33-1 IPマルチキャスト ルーティング プロトコル
IGMPの概要
IPマルチキャスティングに参加するには、マルチキャスト ホスト、ルータ、およびマルチレイヤ スイッチでIGMPが動作している必要があります。このプロトコルは、クエリアおよびホストの役割を定義します。
• クエリアは、指定されたマルチキャスト グループに属するネットワーク デバイスを検出するためのクエリ メッセージを送信するネットワーク デバイスです。
• ホストは、クエリアにホスト メンバーシップを通知するためのレポート メッセージ(クエリ メッセージに応答するメッセージ)を送信するレシーバーです。
同じ送信元からマルチキャスト データ ストリームを受信する一連のクエリアおよびホストは、マルチキャスト グループと呼ばれます。クエリアおよびホストはIGMPメッセージを使用して、マルチキャスト グループに参加したり、脱退したりします。
グループのメンバーであるかどうかに関係なく、すべてのホストはグループに送信できます。ただし、そのメッセージを受信できるのは、グループのメンバーのみです。マルチキャスト グループのメンバーシップは動的です。ホストはいつでもグループに参加し、また脱退することができます。マルチキャスト グループの場所またはメンバー数に制限はありません。ホストは一度に複数のマルチキャストのメンバーになることができます。マルチキャスト グループのアクティブ状態および所属メンバーは、グループや時間によって変化し、マルチキャスト グループを長時間または短時間アクティブにすることもできます。グループのメンバーシップはいつでも変更可能です。メンバーを含むグループにアクティビティがない場合もあります。
IPマルチキャスト トラフィックには、グループ アドレス(クラスDアドレス)が使用されます。クラスDアドレスの上位ビットは1110です。したがって、ホスト グループ アドレスは224.0.0.0~239.255.255.255の範囲を取ります。224.0.0.0~224.0.0.255のマルチキャスト アドレスは、ルーティング プロトコルおよびその他のネットワーク制御トラフィックが使用するために確保されています。アドレス224.0.0.0は、どのグループにも割り当てられません。
IGMPパケットは、次に示すIPマルチキャスト グループ アドレスを使用して送信されます。
• IGMP汎用クエリアは、アドレス224.0.0.1(サブネット上のすべてのシステム)を宛先とします。
• IGMPグループ固有のクエリアは、クエリ対象グループのIPアドレスを宛先とします。
• IGMPグループ メンバーシップ レポートは、レポート対象グループのIPアドレスを宛先とします。
• IGMPv2(IGMP バージョン2)Leaveメッセージは、アドレス224.0.0.2(サブネット上のすべてのマルチキャスト ルータ)を宛先とします。古いホストIPスタックの中には、Leaveメッセージの宛先がすべてのルータのアドレスでなく、グループのIPアドレスであるものがあります。
IGMPバージョン1
IGMPv 1(IGMPバージョン1)にはクエリ応答モデルが使用されているため、マルチキャスト ルータおよびマルチレイヤ スイッチは、ローカル サブネット上のどのマルチキャスト グループがアクティブであるか(マルチキャスト グループに関係するホストが1台または複数存在するか)を判別できます。IGMPv1では別のプロセスを使用して、ホストをマルチキャスト グループに参加および脱退させることができます。詳細については、RFC 1112を参照してください。
IGMPバージョン2
IGMPv2はIGMP機能の拡張版です。IGMP脱退処理などの機能を提供して、脱退遅延を短縮し、グループ固有のクエリ数を削減し、明示的な最大クエリ応答時間を短縮します。また、この作業を実行するために、マルチキャスト プロトコルに依存することなくIGMPクエリアを選択する機能もルータに追加されます。詳細については、RFC 2236を参照してください。
PIMの概要
PIMは「 プロトコルに依存しない 」マルチキャストと呼ばれます。ユニキャスト ルーティング テーブルを読み込むために使用されるユニキャスト ルーティング プロトコルに関係なく、PIMはこのテーブルの情報を使用してマルチキャスト転送を実行します。マルチキャスト ルーティング テーブルは個別に維持されません。
PIMは、RFC 2362『 Protocol-Independent Multicast-Sparse Mode (PIM-SM):Protocol Specification 』で定義されています。次に示すInternet Engineering Task Force(IETF)インターネット ドラフトを参照してください。
• 『 Protocol Independent Multicast (PIM):Motivation and Architecture 』
• 『Protocol Independent Multicast (PIM), Dense Mode Protocol Specification 』
• 『Protocol Independent Multicast (PIM), Sparse Mode Protocol Specification 』
• 『draft-ietf-idmr-igmp-v2-06.txt, Internet Group Management Protocol, Version 2 』
• 『draft-ietf-pim-v2-dm-03.txt, PIM Version 2 Dense Mode 』
PIMのバージョン
PIMv2は、PIMv1と比べて次の点が改善されています。
• マルチキャスト グループごとに、複数のバックアップRendezvous Point(RP;ランデブー ポイント)を持つアクティブなRPが1つ存在します。この単一のRPで、PIMv1内の同じグループにアクティブなRPが複数ある場合と同様の処理を行います。
• BSR(ブートストラップ ルータ)はフォールトトレラントな、自動化されたRPディスカバリ メカニズム、および配信メカニズムを提供します。これらのメカニズムにより、ルータおよびマルチレイヤ スイッチはグループ/RPマッピングをダイナミックに取得できます。
• Sparse Mode(SM;sparse[疎]モード)およびDense Mode(DM;dense[密]モード)は、インターフェイスではなく、グループに関するプロパティです。SMまたはDMのいずれか一方のみでなく、SM-DM(sparse-denseモード)を使用してください。
• PIMのJoinメッセージおよびプルーニング メッセージを使用すると、複数のアドレス ファミリーを柔軟に符号化することができます。
• 現在は以降の機能オプションを符号化するため、クエリ パケットではなく、より柔軟なhelloパケット形式が使用されています。
• RPへの登録メッセージが境界ルータによって送信されるか、あるいは指定ルータによって送信されるかは、メッセージ自身によって指定されます。
• PIMパケットはIGMPパケット内に格納されず、独立したパケットとして処理されます。
PIMのモード
PIMはDM、SM、またはPIM SM-DMのいずれかのモードで動作します。PIM DM-SMでは、sparse(疎)グループとdense(密)グループの両方が同時に処理されます。
PIM DM
PIM DMでは、送信元ベースのマルチキャスト配信ツリーが構築されます。DMの場合、PIM DMのルータまたはマルチレイヤ スイッチは、他のすべてのルータまたはマルチレイヤ スイッチで常にグループ宛のマルチキャスト パケットが転送されると想定しています。直接接続されたメンバーまたはPIMネイバが存在しない場合、PIM DMデバイスがマルチキャスト パケットを受信すると、プルーニング メッセージが送信元に送信され、不要なマルチキャスト トラフィックが停止されます。このプルーニング済みブランチ上のこのルータまたはスイッチでは、後続のマルチキャスト パケットがフラッディングしません。レシーバーを含まないブランチが配信ツリーからプルーニングされ、レシーバーを含むブランチのみが存続するためです。
プルーニング済みのツリー内ブランチのレシーバーがマルチキャスト グループに新規に参加すると、PIM DMデバイスは新しいレシーバーを検出し、配信ツリーの送信元方向にすぐに接合メッセージを送信します。アップストリームのPIM DMデバイスが接合メッセージを受信すると、受信したデバイスは接合メッセージが着信したインターフェイスをすぐに転送ステートにし、マルチキャスト トラフィックのレシーバーへの転送を開始します。
PIM SM
PIM SMは共有ツリーおよびShortest-Path-Tree(SPT)を使用し、マルチキャスト トラフィックをネットワーク内のマルチキャスト レシーバーに配信します。PIM SMの場合、ルータまたはマルチレイヤ スイッチは、トラフィックに関する明示的な要求(Joinメッセージ)がないかぎり、他のルータまたはスイッチではグループ宛のパケットが転送されないと想定します。IGMPを使用してホストがマルチキャスト グループに参加すると、直接接続されたPIM SMデバイスは、RPと呼ばれるルートに向けてPIM Joinメッセージを送信します。このJoinメッセージはルートに向かってルータを順次移動しながら、共有ツリーのブランチを作成します。
RPはマルチキャスト レシーバーを追跡します。また、送信元の先頭ホップ ルータ( Designated Router [DR;指定ルータ])から受信した登録メッセージを使用して送信元を登録し、送信元からレシーバーへの共有ツリー パスを完成させます。共有ツリーを使用する場合、送信元はRPにトラフィックを送信し、これらのトラフィックをすべてのレシーバーに到達させるようにする必要があります。
マルチキャスト グループ トラフィックをプルーニングする場合は、プルーニング メッセージが配信ツリーの上方向に送信されます。この結果、明示的なJoinメッセージによって作成された共有ツリーまたはSPTのブランチが不要になった場合、これらを解除することが可能となります。
自動RP
この独自の機能により、ネットワーク内のルータまたはマルチレイヤ スイッチごとにRP情報を手動で設定する必要がなくなります。自動RPを機能させるには、シスコのルータまたはマルチレイヤ スイッチをマッピング エージェントとして設定します。マッピング エージェントはIPマルチキャストを使用して、候補RPアナウンスメントを受信する候補RPとして設定可能なネットワーク内のルータまたはスイッチを取得します。候補RPはマルチキャストRPアナウンス メッセージを特定のグループまたはグループ範囲に定期的に送信し、それらが使用可能であることをアナウンスします。
マッピング エージェントはこれらの候補RPアナウンスメントをリスニングし、この情報を使用して、グループ/RPマッピング キャッシュにエントリを作成します。受信されたグループ/RP範囲に対して複数の候補RPがRPアナウンスメントを送信した場合でも、この範囲には1つのマッピング キャッシュ エントリのみが作成されます。RPアナウンス メッセージ着信時に、マッピング エージェントはIPが最大であるルータまたはスイッチをアクティブRPとして選択し、このRPアドレスをグループ/RPマッピング キャッシュ内に保存します。
マッピング エージェントは、グループ/RPマッピング キャッシュの内容を定期的にマルチキャストします。このため、すべてのルータおよびスイッチで、サポート対象のグループに使用されるRPが自動的に検出されます。ルータまたはスイッチがRPディスカバリ メッセージの受信に失敗し、グループ/RPマッピング情報が期限切れになると、ルータまたはスイッチは、 ip pim rp-address グローバル コンフィギュレーション コマンドによって定義された、スタティックに設定されたRPに切り替わります。スタティックに設定されたRPが存在しない場合、ルータまたはスイッチはグループの動作をDMに変更します。
複数のRPがさまざまなグループ範囲として、または互いのホット バックアップとして機能します。
BSR
PIMv2 BSRは、グループ/RPマッピング情報をネットワーク内のすべてのPIMルータおよびマルチレイヤ スイッチに配信する別の方法です。これにより、ネットワーク内のルータまたはスイッチごとにRP情報を手動で設定する必要がなくなります。ただし、BSRはIPマルチキャストを使用してグループ/RPマッピング情報を配信する代わりに、特殊なBSRメッセージをホップ単位でフラッディングしてマッピング情報を配信します。
BSRは、BSRとして機能するように設定されたドメイン内の一連の候補ルータおよびスイッチから選択されます。選択メカニズムは、ブリッジングされたLANで使用されるルートブリッジ選択メカニズムと類似しています。BSRの選択メカニズムの基準は、ネットワークを経由してホップ単位で送信されるBSRメッセージに格納されている、デバイスのBSRプライオリティです。各BSRデバイスはBSRメッセージを調べ、自身のBSRプライオリティよりもBSRプライオリティが同等以上で、BSR IPアドレスが大きなメッセージのみを、すべてのインターフェイスから転送します。この方法によって、BSRが選択されます。
選択されたBSRによって、Time to Live(TTL)値が1であるBSRメッセージが送信されます。近接するPIMv2ルータまたはマルチレイヤ スイッチはBSRメッセージを受信し、TTL値が1である他のすべてのインターフェイス(BSRメッセージの着信インターフェイスを除く)にマルチキャストします。この方法で、BSRメッセージはPIMドメイン内をホップ単位で移動します。BSRメッセージには現在のBSRのIPアドレスが格納されているため、候補RPはフラッディング メカニズムを使用し、どのデバイスが選択されたBSRであるかを自動的に学習します。
候補RPは候補RPアドバタイズを送信し、対象となるグループ範囲をBSRに指示します。この情報は、ローカルな候補RPキャッシュに格納されます。BSRはドメイン内の他のすべてのPIMデバイスに、BSRメッセージ内のこのキャッシュの内容を定期的にアドバタイズします。これらのメッセージはネットワークをホップ単位で移動し、すべてのルータおよびスイッチに送信されます。BSRメッセージ内のRP情報は、到達したルータおよびスイッチのローカルなRPキャッシュに格納されます。すべてのルータおよびスイッチには一般的なRPハッシュ アルゴリズムが使用されるため、指定されたグループには同じRPが選択されます。
マルチキャスト転送およびリバース パス チェック
ユニキャスト ルーティングの場合、ルータおよびマルチレイヤ スイッチは、送信元からIPパケットの宛先アドレス フィールドにIPアドレスが格納されている宛先ホストへ、ネットワーク内の単一のパスに沿ってトラフィックを送信します。パス上の各ルータおよびスイッチはユニキャスト ルーティング テーブル内の宛先アドレスを参照し、指定されたインターフェイスを経由して、宛先方向のネクストホップへパケットを転送します。その後、パケット内の宛先IPアドレスを使用して、ユニキャスト転送判断を行います。
マルチキャスティングの場合、送信元はIPパケットの宛先アドレス フィールドに格納された、マルチキャスト グループ アドレスで表されるホストの任意のグループにトラフィックを送信します。着信マルチキャスト パケットの転送または、廃棄を決定するため、ルータまたはマルチレイヤ スイッチで、パケットに対するReverse Path Forwarding(RPF)チェックを実行します(図 33-2を参照)。
1. ルータまたはマルチレイヤ スイッチは着信したマルチキャスト パケットの送信元アドレスを調べ、リバース パス上のインターフェイスに着信したパケットを送信元に戻すかどうかを決定します。
2. パケットが送信元に逆戻りするインターフェイスに着信した場合、RPFチェックは成功し、発信インターフェイス リスト内のすべてのインターフェイス(ルータのすべてのインターフェイスとは限りません)にパケットが転送されます。
3. RPFチェックに失敗した場合、パケットは廃棄されます。
DVMRPなど一部のマルチキャスト ルーティング プロトコルでは、マルチキャスト ルーティング テーブルは個別に維持され、RPFチェックに使用されます。ただし、PIMではRPFチェックを実行するためにユニキャスト ルーティング テーブルが使用されます。
図 33-2に、送信元151.10.3.21からのマルチキャスト パケットを受信するポート2を示します。 表 33-1 により、送信元へのリバース パス上にあるポートはポート2ではなく、ポート1であることがわかります。RPFチェックに失敗したため、マルチレイヤ スイッチはパケットを廃棄します。送信元151.10.3.21からの別のマルチキャスト パケットは、ポート1に着信します。ルーティング テーブルにより、このポートは送信元のリバース パス上にあることがわかります。RPFチェックに合格したため、パケットは発信ポート リスト内のすべてのポートに転送されます。
図 33-2 RPFチェック
表 33-1 RPFチェックのルーティング テーブル例
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151.10.0.0/16 |
ギガビット イーサネット1/0/1 |
198.14.32.0/32 |
ギガビット イーサネット1/0/3 |
204.1.16.0/24 |
ギガビット イーサネット1/0/4 |
PIMは送信元ツリーとRPでルーティングされた共有ツリーを使用して、データグラムを転送します(PIM DMおよびPIM SMを参照)。RPFチェックは、それぞれ異なる方法で実行されます。
• PIMルータまたはマルチレイヤ スイッチが送信元ツリー ステートである場合(つまり(S,G)エントリがマルチキャスト ルーティング テーブル内にある場合)、マルチキャスト パケットの送信元のIPアドレスに対してRPFチェックが実行されます。
• PIMルータまたはマルチレイヤ スイッチが共有ツリー ステートである場合(および送信元ツリー ステートが明示されていない場合)、(メンバーがグループに参加している場合は既知である)RPアドレスについてRPFチェックが実行されます。
PIM SMはRPF参照機能を使用し、参加およびプルーニング メッセージを送信する必要があるかどうかを決定します。
• (S,G)Joinメッセージ(送信元ツリー ステート)は送信元に向け送信されます。
• (*,G)Joinメッセージ(共有ツリー ステート)はRPに向け送信されます。
DVMRPおよびPIM DMでは送信元ツリーのみが使用され、上記のようにRPFが使用されます。
DVMRPの概要
DVMRPは多くのベンダーのデバイスに実装されており、パブリック ドメインでマルチキャスト ルーティング(mroute)されたプログラムに基づいて動作します。このプロトコルはMBONE、およびその他のドメイン内マルチキャスト ネットワークに採用されています。
シスコ ルータおよびマルチレイヤ スイッチではPIMが動作し、マルチキャスト パケットのDVMRPネイバへの転送および、DVMRPネイバからの受信を可能にします。DVMRPルートをPIMクラウド内に伝播したり、PIMクラウドを経由して伝播することもできます。ソフトウェアはDVMRPルートを伝播し、ルータやマルチレイヤ スイッチごとにこれらのルートのデータベースを個別に構築します。ただし、PIMはこのルーティング情報をパケット転送判断に使用します。ソフトウェアに完全なDVMRPは実装されていません。ただし、DVMRPルータのダイナミック ディスカバリをサポートし、従来のメディア(イーサネットやFiber Distributed Data Interface [FDDI]など)またはDVMRP固有のトンネルを通して、これらを相互運用します。
DVMRPネイバは、送信元ネットワーク ルーティング情報をルートレポート メッセージに格納して定期的に交換し、ルート テーブルを構築します。DVMRPルーティング テーブルに格納されているルーティング情報は、ユニキャスト ルーティング テーブルから独立し、送信元配信ツリーの構築および、RPFによるマルチキャスト転送の実行に使用されます。
DVMRPはDMプロトコルです。抑制されたマルチキャスト モデルを使用して親子データベースを構築し、マルチキャスト パケットの送信元でルーティングされた転送ツリーを構築します。マルチキャスト パケットはまず、この送信元ツリーの下方向にフラッディングされます。冗長パスが送信元ツリー上にある場合、パケットはこれらのパスに沿って転送されません。これらの親子リンクでPruneメッセージが受信されるまで転送が行われ、これによってマルチキャスト パケットのブロードキャストが抑制されます。
CGMPの概要
このソフトウェア リリースは、スイッチ上でCGMPサーバ サポート機能を提供します。クライアント側の機能は提供されません。スイッチは、IGMPスヌーピングをサポートしない、CGMPクライアント機能が組み込まれているデバイス用のCGMPサーバとして機能します。
CGMPはレイヤ2 Catalystスイッチに接続されたシスコ ルータおよびマルチレイヤ スイッチで使用され、IGMPで実行される作業と同様の作業を実行します。CGMPを使用すると、レイヤ2グループ メンバーシップ情報をCGMPサーバからスイッチに通信できます。これにより、スイッチはすべてのスイッチ インターフェイスにマルチキャスト トラフィックをフラッディングしないで、マルチキャスト メンバーが存在するインターフェイスを学習できるようになります(IGMPスヌーピングは、マルチキャスト パケットのフラッディングを抑制するためのもう1つの方法です)。詳細については、 第20章「IGMPスヌーピングおよびMVRの設定」 を参照してください。
CGMPが必要となるのは、レイヤ2スイッチでIPマルチキャスト データ パケットとIGMPレポート メッセージを区別できないためです。これらはともにMACレベルで、同じグループ アドレスにアドレッシングされます。
IPマルチキャスト ルーティングの設定
ここではIPマルチキャスト ルーティングの設定方法について説明します。
• 「マルチキャスト ルーティングのデフォルト設定」
• 「マルチキャスト ルーティング設定時の注意事項」
• 「基本的なマルチキャスト ルーティングの設定」(必須)
• 「RPの設定」(インターフェイスがSMモードで、グループをsparse(疎)グループとして扱う場合に必須)
• 「自動RPおよびBSRの使用法」(他社製のPIMv2デバイスをシスコ製PIM v1デバイスと相互運用する場合に必須)
• 「RPマッピング情報のモニタ」(任意)
• 「PIMv1およびPIMv2のインターオペラビリティに関するトラブルシューティング」(任意)
マルチキャスト ルーティングのデフォルト設定
表 33-2 に、マルチキャスト ルーティングのデフォルト設定を示します。
表 33-2 マルチキャスト ルーティングのデフォルト設定
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マルチキャスト ルーティング |
全インターフェイスでディセーブル |
PIMのバージョン |
バージョン2 |
PIMモード |
モードは未定義 |
PIM RPアドレス |
設定なし |
PIMドメイン境界 |
ディセーブル |
PIMマルチキャスト境界 |
なし |
候補BSR |
ディセーブル |
候補RP |
ディセーブル |
SPTスレッシュホールド レート |
0キロビット/秒 |
PIMルータ クエリ メッセージ インターバル |
30秒 |
PIMv1およびPIMv2のインターオペラビリティ
シスコのPIMv2実装機能を使用すると、バージョン1とバージョン2間でのインターオペラビリティおよび変換が可能となります。ただし、若干の問題が発生する場合もあります。
PIMv2に付加的にアップグレードすることができます。PIMバージョン1および2を、1つのネットワーク内の異なるルータおよびマルチレイヤ スイッチに設定できます。内部的には、共有メディア ネットワーク上のすべてのルータおよびマルチレイヤ スイッチで同じPIMバージョンを実行する必要があります。したがって、PIMv2デバイスがPIMv1デバイスを検出した場合は、バージョン1デバイスがシャットダウンするかアップグレードされるまで、バージョン2デバイスはバージョン1にダウングレードされます。
PIMv2はBSRを使用して各グループ プレフィクスのRP設定情報を検出し、PIMドメイン内のすべてのルータおよびマルチレイヤ スイッチにアナウンスします。自動RP機能を組み合わせることにより、PIMv2 BSRと同じ作業をPIMv1で実行できます。ただし、自動RPはPIMv1から独立している、スタンドアロンのシスコ独自のプロトコルで、PIMv2はIETF標準の追跡プロトコルです。したがって、PIMv2の使用を推奨します。BSRメカニズムは、シスコのルータおよびマルチレイヤ スイッチ上の自動RPと相互動作します。詳細については、「自動RPおよびBSR設定時の注意事項」を参照してください。
PIMv2デバイスをPIMv1デバイスと相互動作させる場合は、自動RPを事前に導入しておく必要があります。自動RPマッピング エージェントでもあるPIMv2 BSRは、自動RPで選択されたRPを自動的にアドバタイズします。つまり、自動RPによって、グループ内のルータまたはマルチレイヤごとに1つのRPが設定されます。ドメイン内のルータおよびスイッチの中には、複数のRPを選択するためにPIMv2ハッシュ機能を使用しないものもあります。
PIMv1とPIMv2が混在する領域内のDMグループは、特殊な設定を行わなくても自動的に相互動作します。
PIMv1の自動RP機能はPIMv2 RP機能と相互動作するため、PIMv1とPIMv2が混在する領域内にSMグループを設定できます。すべてのPIMv2デバイスでPIMv1を使用できますが、RPをPIMv2にアップグレードすることを推奨します。PIMv2への変換を簡単に行うための推奨事項は次のとおりです。
• 領域全体で自動RPを使用します。
• 領域全体でSM-DMを設定します。
自動RPがまだPIMv1領域に設定されていない場合は、自動RPを設定してください。詳細については、「自動RPの設定」を参照してください。
自動RPおよびBSR設定時の注意事項
PIMv2は2つの方法で使用できます。1つはバージョン2をネットワーク内で排他的に使用する方法、もう1つはPIMバージョンの混在環境を採用してバージョン2に移行する方法です。
• 使用しているネットワークがすべてシスコ ルータおよびマルチレイヤ スイッチである場合は、自動RPまたはBSRのいずれかを使用できます。
• ネットワークに他社製のルータがある場合は、BSRを使用する必要があります。
• シスコのPIMv1およびPIMv2ルータとマルチレイヤ スイッチ、および他社製のルータがある場合は、自動RPとBSRの両方を使用する必要があります。ネットワークに他のベンダー製のルータが含まれる場合には、シスコのPIMv2デバイス上に自動RPマッピング エージェントとBSRを設定します。BSRと他社製のPIMv2デバイス間のパス上に、PIMv1デバイスが配置されていないことを確認してください。
• ブートストラップ メッセージはホップ単位で送信されるため、PIMv1デバイスの場合、これらのメッセージはネットワーク内の一部のルータおよびマルチレイヤ スイッチに到達しません。このため、ネットワーク内にPIMv1デバイスがあり、シスコ製ルータおよびマルチレイヤ スイッチのみが存在する場合は、自動RPを使用してください。
• ネットワーク内に他社製のルータが存在する場合は、シスコのPIMv2ルータまたはマルチレイヤ スイッチに自動RPマッピング エージェントおよびBSRを設定します。BSRと他社製のPIMv2ルータ間のパス上に、PIMv1デバイスが配置されていないことを確認してください。
• シスコのPIMv1ルータおよびマルチレイヤ スイッチと他社製のPIMv2ルータを相互動作させる場合は、自動RPとBSRの両方が必要です。シスコのPIMv2デバイスを、自動RPマッピング エージェントとBSRの両方に設定してください。詳細については、「自動RPおよびBSRの使用法」を参照してください。
基本的なマルチキャスト ルーティングの設定
IPマルチキャスト ルーティングをイネーブルにし、PIMバージョンおよびPIMモードを設定する必要があります。これにより、ソフトウェアはマルチキャスト パケットを転送し、スイッチがそのマルチキャスト ルーティング テーブルを読み込むことができます。
インターフェイスはPIM DM、SM、またはSM-DMのいずれかに設定できます。スイッチはモード設定に従って、マルチキャスト ルーティング テーブルを読み込み、直接接続されたLANから受信したマルチキャスト パケットを転送します。IPマルチキャスト ルーティングを実行するには、インターフェイスに対して、これらのPIMモードのいずれかをイネーブルにする必要があります。インターフェイスでPIMをイネーブルにすると、同じインターフェイス上でIGMP処理もイネーブルになります。
マルチキャスト ルーティング テーブルへのパケット読み込みでは、DMインターフェイスは常にテーブルに追加されます。SMインターフェイスがテーブルに追加されるのは、ダウンストリーム デバイスから定期的なJoinメッセージを受信した場合、またはインターフェイスに直接接続されたメンバーが存在する場合に限ります。LANから転送する場合、グループが認識しているRPがあれば、SM動作が行われます。その場合、パケットはカプセル化され、そのRPに送信されます。認識しているRPがなければ、パケットはDM方式でフラッディングされます。特定の送信元からのマルチキャスト トラフィックが十分であれば、レシーバーの先頭ホップ ルータからその送信元にJoinメッセージが送信され、送信元を基点とする配信ツリーが構築されます。
デフォルトでは、マルチキャスト ルーティングはディセーブルとなっており、モードは設定されていません。この手順は必須です。
IPマルチキャストをイネーブルにし、PIMバージョンおよびPIMモードを設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は必須です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip multicast-routing distributed |
IPマルチキャストによる分散スイッチングをイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
interface interface-id |
マルチキャスト ルーティングをイネーブルにするレイヤ3インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 次のいずれかのインターフェイスを指定する必要があります。 • ルーテッド ポート: no switchport インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力して、レイヤ3ポートとして設定された物理ポートです。 • SVI: interface vlan vlan-id グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して作成されたVLAN(仮想LAN)インターフェイスです。 これらのインターフェイスには、IPアドレスを割り当てる必要があります。詳細については、「レイヤ3インターフェイスの設定」を参照してください。 |
ステップ 4 |
ip pim version [ 1 | 2 ] |
インターフェイスにPIMバージョンを設定します。 デフォルトでは、バージョン2がイネーブルです(推奨設定)。 PIMv2モードのインターフェイスにPIMv1ネイバが存在する場合、インターフェイスは自動的にPIMv1モードにダウングレードされます。バージョン1のすべてのネイバがシャットダウンするかアップグレードされると、インターフェイスはバージョン2モードに戻ります。 詳細については、「PIMv1およびPIMv2のインターオペラビリティ」を参照してください。 |
ステップ 5 |
ip pim { dense-mode | sparse-mode | sparse-dense-mode } |
インターフェイスでPIMモードをイネーブルにします。 デフォルトで、モードは設定されていません。 キーワードの意味は次のとおりです。 • dense-mode ― DM動作をイネーブルにします。 • sparse-mode ― SM動作をイネーブルにします。SMを設定する場合は、RPも設定する必要があります。詳細については、「RPの設定」を参照してください。 • sparse-dense-mode ― グループが属するモードでインターフェイスが処理されます。DM-SM設定を推奨します。
(注) インターフェイスでPIMモードをイネーブルにすると、 ip mroute-cache distributedインターフェイス コンフィギュレーション コマンドがインターフェイスに自動入力されて、実行コンフィギュレーションに格納されます。
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ステップ 6 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 7 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 8 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
マルチキャスティングをディセーブルにするには、 no ip multicast-routing distributed グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。デフォルトのPIMバージョンに戻すには、 no ip pim version インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。インターフェイスでPIMをディセーブルにするには、 no ip pim インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
マルチキャスト グループへのRPの手動割り当て
ここでは、RPを手動で割り当てる方法について説明します。ダイナミック メカニズム(自動RPやBSRなど)を使用してグループのRPを取得する場合、RPを手動で割り当てる必要はありません。
マルチキャスト トラフィックの送信側は、送信元の先頭ホップ ルータ(指定ルータ)から受信してRPに転送されるRegisterメッセージを通し、自身の存在をアナウンスします。マルチキャスト パケットの受信側はRPを使用し、マルチキャスト グループに参加します。この場合は、明示的なJoinメッセージが使用されます。RPはマルチキャスト グループのメンバーではなく、マルチキャスト送信元およびグループ メンバーの「 合流地点 」として機能します。
アクセス リストで定義される複数のグループに、単一のRPを設定できます。グループにRPが設定されていない場合、マルチレイヤ スイッチはPIM DM技術を使用し、グループをdense(密)として処理します。
RPのアドレスを手動で設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip pim rp-address ip-address [ access-list-number ] [ override ] |
PIM RPのアドレスを設定します。 デフォルトで、PIM RPアドレスは設定されていません。すべてのルータおよびマルチレイヤ スイッチ(RPを含む)で、RPのIPアドレスを設定する必要があります。グループにRPが設定されていない場合、スイッチはPIM DM技術を使用し、グループをdense(密)として処理します。 1台のPIMデバイスを、複数のグループのRPにすることができます。1つのPIMドメイン内で一度に使用できるRPアドレスは、1つだけです。アクセス リスト条件により、デバイスがどのグループのRPであるかを指定します。 • ip-address には、RPのユニキャスト アドレスをドット付き10進表記で入力します。 • (任意) access-list-number を指定する場合は、1~99のIP標準アクセス リスト番号を入力します。アクセス リストが設定されていない場合は、すべてのグループにRPが使用されます。 • (任意) override キーワードを指定すると、このコマンドによって設定されたRPと、自動RPまたはBSRで取得されたRPとの間に矛盾が生じた場合に、このコマンドによって設定されたRPが優先されます。 |
ステップ 3 |
access-list access-list-number { deny | permit } source [ source-wildcard ] |
標準アクセス リストを作成します。必要な回数だけこのコマンドを繰り返します。 • access-list-number には、ステップ2で指定したアクセス リスト番号を入力します。 • deny キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが拒否されます。 permit キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが許可されます。 • source には、RPが使用されるマルチキャスト グループのアドレスを入力します。 • (任意) source-wildcard を指定する場合は、送信元に適用するワイルドカード ビットをドット付き10進表記で入力します。無視するビット位置に1を配置します。 アクセス リストの末尾には、すべてに適用される暗黙の拒否ステートメントが常に存在することに注意してください。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
RPアドレスを削除するには、 no ip pim rp-address ip-address [ access-list-number ] [ override ]グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、マルチキャスト グループ225.2.2.2の場合のみ、RPのアドレスを147.106.6.22に設定する例を示します。
Switch(config)# access-list 1 permit 225.2.2.2 0.0.0.0
Switch(config)# ip pim rp-address 147.106.6.22 1
自動RPの設定
自動RPはIPマルチキャストを使用し、グループ/RPマッピングをPIMネットワーク内のすべてのシスコ製ルータおよびマルチレイヤ スイッチに自動配信します。自動RPには次の利点があります。
• ネットワーク内で複数のRPを使用し、複数のグループ範囲を処理する作業が簡単になります。
• 複数のRP間で負荷を分散し、グループに参加するホストの場所に従ってRPを配置することができます。
• PIMネットワーク内のすべてのルータおよびマルチレイヤ スイッチで矛盾が発生しなくなり、手動によるRP設定が不要になります。この結果、接続問題を引き起こす要因が取り除かれます。
(注) PIMをSMまたはSM-DMに設定し、自動RPを設定しない場合は、RPを手動で設定する必要があります(マルチキャスト グループへのRPの手動割り当てを参照)。
(注) ルーテッド インターフェイスがSMに設定されていると、すべてのデバイスが自動RPグループの手動RPアドレスによって設定されている場合も、自動RPを使用できます。
ここでは、自動RPを設定する方法について説明します。
• 「新規インターネットワークでの自動RPの設定」(任意)
• 「既存のSMクラウドへの自動RPの追加」(任意)
• 「問題のあるRPへのJoinメッセージの送信禁止」(任意)
• 「着信RPアナウンスメント メッセージのフィルタリング」(任意)
概要については、「自動RP」を参照してください。
新規インターネットワークでの自動RPの設定
新規インターネットワーク内に自動RPを設定している場合は、すべてのインターフェイスがSM-DMに設定されるため、デフォルトのRPは不要です。「既存のSMクラウドへの自動RPの追加」に記載された手順に従ってください。ただし、PIMルータをローカル グループのRPとして設定する場合は、ステップ3を省略してください。
既存のSMクラウドへの自動RPの追加
ここでは、最初に自動RPを既存のSMクラウドに導入し、既存のマルチキャスト インフラストラクチャができるだけ破壊されないようにする方法について説明します。
既存のSMクラウドに自動RPを導入するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
show running-config |
すべてのPIMデバイス上でデフォルトのRPが設定されていること、およびRPがSMネットワーク内にあることを確認します。RPは、 ip pim rp-address グローバル コンフィギュレーション コマンドによって設定済みです。 SM-DM環境の場合、このステップは不要です。 選択されたRPは接続が良好で、ネットワークで使用可能となる必要があります。このRPは、グローバル グループ(224.x.x.xやその他のグローバル グループなど)に対して使用されます。このRPで処理されるグループ アドレス範囲は再設定しないでください。自動RPによってダイナミックに検出されたRPは、スタティックに設定されたRPよりも優先されます。ローカル グループ用に2番めのRPを使用することもできます。 |
ステップ 2 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip pim send-rp-announce interface-id scope ttl group-list access-list-number interval seconds |
別のPIMデバイスをローカル グループの候補RPとして設定します。 • interface-id には、RPアドレスを識別するインターフェイス タイプおよび番号を入力します。有効なインターフェイスは、物理ポート、ポート チャネル、VLANなどです。 • scope ttl には、ホップのTime to Live(TTL)値を指定します。RPアナウンス メッセージがネットワーク内のすべてのマッピング エージェントに到達するように、十分な大きさのホップ数を入力します。デフォルト設定はありません。指定できる範囲は1~255です。 • group-list access-list-number には、1~99のIP標準アクセス リスト番号を入力します。アクセス リストが設定されていない場合は、すべてのグループにRPが使用されます。 • interval seconds には、アナウンスメント メッセージを送信する頻度を指定します。デフォルト値は60秒です。指定できる範囲は1~16383です。 |
ステップ 4 |
access-list access-list-number { deny | permit } source [ source-wildcard ] |
標準アクセス リストを作成します。必要な回数だけこのコマンドを繰り返します。 • access-list-number には、ステップ3で指定したアクセス リスト番号を入力します。 • deny キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが拒否されます。 permit キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが許可されます。 • source には、RPが使用されるマルチキャスト グループのアドレス範囲を入力します。 • (任意) source-wildcard を指定する場合は、送信元に適用するワイルドカード ビットをドット付き10進表記で入力します。無視するビット位置に1を配置します。 アクセス リストの末尾には、すべてに適用される暗黙の拒否ステートメントが常に存在することに注意してください。 |
ステップ 5 |
ip pim send-rp-discovery scope ttl |
接続が中断される可能性がないスイッチを検索し、RPマッピング エージェントの役割を割り当てます。 scope ttl には、ホップのTTL値を指定し、RPディスカバリ パケットを制限します。ホップ数内にあるすべてのデバイスは、送信元デバイスから自動RPディスカバリ メッセージを受信します。これらのメッセージは他のデバイスに対し、矛盾(グループ/RP範囲の重なりなど)を回避するために使用されるグループ/RPマッピングを通知します。デフォルト設定はありません。指定できる範囲は1~255です。 |
ステップ 6 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 7 |
show running-config show ip pim rp mapping show ip pim rp |
設定を確認します。 関連するマルチキャスト ルーティング エントリとともに保管されているアクティブなRPを表示します。 ルーティング テーブルに保管されている情報を表示します。 |
ステップ 8 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
候補RPとして設定されたPIMデバイスを解除するには、 no ip pim send-rp-announce interface-id グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。RPマッピング エージェントとして設定されたスイッチを解除するには、 no ip pim send-rp-discovery グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、最大ホップ数が31であるすべてのPIM対応インターフェイスからRPアナウンスメントを送信する例を示します。ポート1のIPアドレスはRPです。アクセス リスト5には、このスイッチがRPとして機能するグループが記述されています。
Switch(config)# ip pim send-rp-announce gigabitethernet1/0/1 scope 31 group-list 5
Switch(config)# access-list 5 permit 224.0.0.0 15.255.255.255
問題のあるRPへのJoinメッセージの送信禁止
ip pim accept-rp コマンドがネットワーク全体に設定されているかどうかを判別するには、 show running-config イネーブルEXECコマンドを使用します。 ip pim accept-rp コマンドが設定されていないデバイスがある場合は、あとでこの問題を解決することができます。ルータまたはマルチレイヤ スイッチが ip pim accept-rp コマンドによってすでに設定されている場合は、このコマンドを再入力し、新規にアドバタイズされるRPを許可する必要があります。
自動RPによってアドバタイズされるすべてのRPを許可し、他のすべてのRPをデフォルトで拒否するには、 ip pim accept-rp auto-rp グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。この手順は任意です。
すべてのインターフェイスがSMの場合はデフォルト設定のRPを使用し、既知のグループ224.0.1.39および224.0.1.40をサポートします。自動RPはこれら2つの既知のグループを使用し、RPマッピング情報を収集、配信します。 ip pim accept-rp auto-rp コマンドが設定されている場合は、RPを許可する別の ip pim accept-rp コマンドを次のように設定してください。
Switch(config)# ip pim accept-rp 172.10.20.1 1
Switch(config)# access-list 1 permit 224.0.1.39
Switch(config)# access-list 1 permit 224.0.1.40
着信RPアナウンスメント メッセージのフィルタリング
マッピング エージェントにコンフィギュレーション コマンドを追加すると、故意に不正設定されたルータが候補RPとして動作し問題を引き起こさないようにすることができます。
着信RPアナウンスメント メッセージをフィルタリングするには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip pim rp-announce-filter rp-list access-list-number group-list access-list-number |
着信RPアナウンスメント メッセージをフィルタリングします。 ネットワーク内のマッピング エージェントごとに、このコマンドを入力します。このコマンドを使用しないと、すべての着信RPアナウンスメント メッセージがデフォルトで許可されます。 rp-list access-list-number を指定する場合は、候補RPアドレスのアクセス リストを設定します。アクセス リストが許可されている場合は、 group-list access-list-number 変数で指定されたグループ範囲に対してアクセス リストを使用できます。この変数を省略すると、すべてのマルチキャスト グループにフィルタが適用されます。 複数のマッピング エージェントを使用する場合は、グループ/RPマッピング情報に矛盾が生じないようにするため、すべてのマッピング エージェント間でフィルタを統一する必要があります。 |
ステップ 3 |
access-list access-list-number { deny | permit } source [ source-wildcard ] |
標準アクセス リストを作成します。必要な回数だけこのコマンドを繰り返します。 • access-list-number には、ステップ2で指定したアクセス リスト番号を入力します。 • deny キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが拒否されます。 permit キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが許可されます。 • どのルータおよびマルチレイヤ スイッチからの候補RPアナウンスメント(rp-list Access Control List [ACL;アクセス制御リスト])がマッピング エージェントによって許可されるかを指定するアクセス リストを作成します。 • 許可または拒否するマルチキャスト グループの範囲を指定するアクセス リスト(グループリストACL)を作成します。 • source には、RPが使用されるマルチキャスト グループのアドレス範囲を入力します。 • (任意) source-wildcard を指定する場合は、送信元に適用するワイルドカード ビットをドット付き10進表記で入力します。無視するビット位置に1を配置します。 アクセス リストの末尾には、すべてに適用される暗黙の拒否ステートメントが常に存在することに注意してください。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
着信RPアナウンスメント メッセージに関するフィルタを削除するには、 no ip pim rp-announce-filter rp-list access-list-number [ group-list access-list-number ] グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、候補RPアナウンスメントが不正な候補RPから許可されないようにするために使用される自動RPマッピング エージェントの設定例を示します。
Switch(config)# ip pim rp-announce-filter rp-list 10 group-list 20
Switch(config)# access-list 10 permit host 172.16.5.1
Switch(config)# access-list 10 permit host 172.16.2.1
Switch(config)# access-list 20 deny 239.0.0.0 0.0.255.255
Switch(config)# access-list 20 permit 224.0.0.0 15.255.255.255
この例では、マッピング エージェントは2つのデバイス(172.16.5.1および172.16.2.1)からの候補RPアナウンスのみを許可します。マッピング エージェントは2つのデバイスからの候補RPアナウンスメントのうち、グループ範囲が224.0.0.0~239.255.255.255であるマルチキャスト グループ宛のアナウンスメントのみを許可します。マッピング エージェントは、ネットワーク内の他のデバイスからの候補RPアナウンスメントを許可しません。さらに、候補RPアナウンスメントが239.0.0.0~239.255.255.255の範囲のグループに宛てたものである場合、マッピング エージェントは172.16.5.1または172.16.2.1からの候補RPアナウンスメントを許可しません。この範囲は、管理の有効範囲付きアドレス範囲です。
PIMドメイン境界の定義
IPマルチキャストの普及に伴い、PIMv2ドメインと別のPIMv2ドメインが境界を挟んで隣接する場合が増えています。これらの2つのドメインは同じRP、BSR、候補RP、候補BSRのセットを共有していないことが多いため、PIMv2 BSRメッセージがドメインの内外に流れないようにする必要があります。これらメッセージのドメイン境界通過を許可すると、通常のBSR選択メカニズムに悪影響が及んだり、境界に位置するすべてのドメインで単一のBSRが選択されたり、候補RPアドバタイズが共存し、間違ったドメイン内でRPが選択されたりすることがあります。
PIMドメイン境界を定義するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
設定するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip pim bsr-border |
PIMドメイン用のPIMブートストラップ メッセージ境界を定義します。 境界に位置する他のPIMドメインに接続されているインターフェイスごとに、このコマンドを入力します。このコマンドを実行すると、スイッチは、このインターフェイス上でPIMv2 BSRメッセージを送受信しないように指示されます(図 33-3を参照)。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
PIM境界を削除するには、 no ip pim bsr-border インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
図 33-3 PIMv2 BSRメッセージの抑制
IPマルチキャスト境界の定義
自動RPメッセージがPIMドメインに入らないようにする場合は、マルチキャスト境界を定義します。自動RP情報を伝達する224.0.1.39および224.0.1.40宛のパケットを拒否するアクセス リストを作成します。
マルチキャスト境界を定義するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
access-list access-list-number deny source [ source-wildcard ] |
標準アクセス リストを作成します。必要な回数だけこのコマンドを繰り返します。 • access-list-number の範囲は1~99です。 • deny キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが拒否されます。 • source には、自動RP情報を伝達するマルチキャスト アドレス224.0.1.39および224.0.1.40を入力します。 • (任意) source-wildcard を指定する場合は、送信元に適用するワイルドカード ビットをドット付き10進表記で入力します。無視するビット位置に1を配置します。 アクセス リストの末尾には、すべてに適用される暗黙の拒否ステートメントが常に存在することに注意してください。 |
ステップ 3 |
interface interface-id |
設定するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
ip multicast boundary access-list-number |
ステップ2で作成したアクセス リストを指定し、境界を設定します。 |
ステップ 5 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 6 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
境界を削除するには、 no ip multicast boundaryインターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、自動RP情報を拒否するIPマルチキャスト境界のコンフィギュレーション例の一部を示します。
Switch(config)# access-list 1 deny 224.0.1.39
Switch(config)# access-list 1 deny 224.0.1.40
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(config-if)# ip multicast boundary 1
候補BSRの設定
候補BSRを、1つまたは複数設定することができます。候補BSRとして機能するデバイスは、他のデバイスと正しく接続され、ネットワークのバックボーン部分に配置されている必要があります。
スイッチを候補BSRとして設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip pim bsr-candidate interface-id hash-mask-length [ priority ] |
候補BSRとなるようにスイッチを設定します。 • interface-id には、スイッチを候補BSRに設定するときにBSRアドレスの取得元となる、スイッチ上のインターフェイスを入力します。このインターフェイスはPIMを使用してイネーブルにする必要があります。有効なインターフェイスは、物理ポート、ポート チャネル、VLANなどです。 • hash-mask-length には、ハッシュ機能を呼び出す前に、グループ アドレスとのAND条件となるマスク長(最大32ビット)を指定します。ハッシュ元が同じであるすべてのグループは、同じRPに対応します。たとえば、マスク長が24の場合、グループ アドレスの最初の24ビットのみが使用されます。 • (任意) priority を指定する場合は、0~255の番号を入力します。プライオリティが大きなBSRが優先されます。このプライオリティ値が同じである場合は、大きなIPアドレスを持つデバイスがBSRとして選択されます。デフォルト値は0です。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
候補BSRとして設定されたデバイスを解除するには、 no ip pim bsr-candidate グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、候補BSRの設定例を示します。この例では、アドバタイズ済みBSRアドレスとしてポート上のIPアドレス172.21.24.18を、hash-mask-lengthとして30ビットを使用します。プライオリティは10です。
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/2
Switch(config-if)# ip address 172.21.24.18 255.255.255.0
Switch(config-if)# ip pim sparse-dense-mode
Switch(config-if)# ip pim bsr-candidate gigabitethernet1/0/2 30 10
候補RPの設定
候補RPを、1つまたは複数設定することができます。BSRと同様、RPは他のデバイスと正しく接続され、ネットワークのバックボーン部分に配置されている必要があります。RPはIPマルチキャスト アドレス スペース全体、またはその一部を処理します。候補RPは候補RPアドバタイズをBSRに送信します。RPとなるデバイスを決定するときは、次の可能性を考慮してください。
• 自動RPのみが使用されているシスコのルータおよびマルチレイヤ スイッチで構成されるネットワークでは、すべてのデバイスをRPとして設定できます。
• シスコのPIMv2ルータおよびマルチレイヤ スイッチと、他のベンダーのルータのみで構成されるネットワークでは、すべてのデバイスをRPとして使用できます。
• シスコのPIMv1ルータ、PIMv2ルータ、および他のベンダーのルータで構成されるネットワークでは、シスコのPIMv2ルータおよびマルチレイヤ スイッチをRPとして設定することができます。
スイッチが自身をPIMv2候補RPとしてBSRにアドバタイズするよう設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip pim rp-candidate interface-id [ group-list access-list-number ] |
候補RPとなるようにスイッチを設定します。 • interface-id には、対応するIPアドレスが候補RPアドレスとしてアドバタイズされるインターフェイスを指定します。有効なインターフェイスは、物理ポート、ポート チャネル、VLANなどです。 • (任意) group-list access-list-number を指定する場合は、1~99のIP標準アクセス リスト番号を入力します。group-listを指定しない場合は、スイッチがすべてのグループの候補RPとなります。 |
ステップ 3 |
access-list access-list-number { deny | permit } source [ source-wildcard ] |
標準アクセス リストを作成します。必要な回数だけこのコマンドを繰り返します。 • access-list-number には、ステップ2で指定したアクセス リスト番号を入力します。 • deny キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが拒否されます。 permit キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが許可されます。 • source には、パケットの送信元であるネットワークまたはホストの番号を入力します。 • (任意) source-wildcard を指定する場合は、送信元に適用するワイルドカード ビットをドット付き10進表記で入力します。無視するビット位置に1を配置します。 アクセス リストの末尾には、すべてに適用される暗黙の拒否ステートメントが常に存在することに注意してください。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
候補RPとして設定されたデバイスを解除するには、 no ip pim rp-candidate interface-id グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、スイッチが自身を候補RPとしてPIMドメイン内のBSRにアドバタイズするよう設定する例を示します。標準アクセスリスト4により、ポートで識別されるアドレスを持つRPに対応するグループ プレフィクスが指定されます。このRPは、プレフィクスが239であるグループを処理します。
Switch(config)# ip pim rp-candidate gigabitethernet1/0/2 group-list 4
Switch(config)# access-list 4 permit 239.0.0.0 0.255.255.255
自動RPおよびBSRの使用法
ネットワーク上のルータがすべてシスコのデバイスである(他のベンダー製のルータが存在しない)場合には、BSRを設定する必要はありません。PIMv1とPIMv2が両方とも動作しているネットワークに、自動RPを設定します。
シスコのPIMv1ルータおよびマルチレイヤ スイッチと他社製のPIMv2ルータを相互動作させる場合は、自動RPとBSRの両方が必要です。シスコのPIMv2ルータまたはマルチレイヤ スイッチを、自動RPマッピング エージェントとBSRの両方に設定してください。
BSRを1つまたは複数使用する必要がある場合は、次の推奨事項に従ってください。
• 候補BSRを自動RP用のRPマッピング エージェントとして設定します。詳細については、「自動RPの設定」および「候補BSRの設定」を参照してください。
• グループ プレフィクスが自動RPによってアドバタイズされた場合は、異なるRPセットによって処理されたこれらのグループ プレフィクスのサブ範囲が、PIMv2 BSRメカニズムによってアドバタイズされないようにする必要があります。PIMv1およびPIMv2ドメインが混在する環境では、バックアップRPで同じグループ プレフィクスが処理されるように設定します。このようにすると、RPマッピング データベースの最長一致検索によって、PIMv2 DRはこれらのPIMv1 DRから異なるRPを選択できなくなります。
グループ/RPマッピングの一貫性を確認するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
show ip pim rp [[ group-name | group-address ] | mapping ] |
任意のシスコ デバイスに関して、使用可能なRPマッピングを表示します。 • (任意) group-name を指定する場合は、RPを表示するグループの名前を指定します。 • (任意) group-address を指定する場合は、RPを表示するグループのアドレスを指定します。 • (任意)シスコのデバイスによって認識されている(設定されている、または自動RPによって取得されている)すべてのグループ/RPマッピングを表示するには、 mapping キーワードを使用します。 |
ステップ 2 |
show ip pim rp-hash group |
PIMv2ルータまたはマルチレイヤ スイッチ上で、PIMv1システムで選択されているRPと同じRPが使用されていることを確認します。 group には、RP情報を表示するグループ アドレスを入力します。 |
RPマッピング情報のモニタ
RPマッピング情報をモニタするには、イネーブルEXECモードで次のコマンドを使用します。
• show ip pim bsr ― 現在選択されているBSRの情報を表示します。
• show ip pim rp-hash group ― 指定グループに選択されているRPを表示します。
• show ip pim rp [ group-name | group-address | mapping ] ― スイッチがRPを取得する方法(BSR経由か、または自動RPメカニズムによるか)を表示します。
PIMv1およびPIMv2のインターオペラビリティに関するトラブルシューティング
PIMv1およびPIMv2間のインターオペラビリティに関する問題を解決するには、次の点を順にチェックします。
1. show ip pim rp-hash イネーブルEXECコマンドを使用してRPマッピングを確認し、すべてのシステムが同じグループの同じRPに同意していることを確認します。
2. DRとRPの各バージョン間のインターオペラビリティを確認し、RPがDRと適切に相互作用していることを確認します(この場合は、登録停止に応答し、カプセル化が解除されたデータ パケットをレジスタから転送します)。
高度なPIM機能の設定
ここでは、高度なオプションのPIM機能について説明します。
• 「PIM共有ツリーおよび送信元ツリーの概要」
• 「PIM SPT使用の延期」(任意)
• 「PIMルータクエリ メッセージ インターバルの変更」(任意)
PIM共有ツリーおよび送信元ツリーの概要
デフォルトでは、グループのメンバーで受信されるデータは、RPでルーティングされた単一のデータ配信ツリーを経由して、送信側からグループに送られます。図 33-4に、このタイプの共有配信ツリーを示します。送信側からのデータは、共有ツリーに参加しているグループ メンバーに配信するため、RPにアドバタイズされます。
図 33-4 共有ツリーおよび送信元ツリー(SPT)
データ レートによって保証されている場合は、送信元でルーティングされるデータ配信ツリーを、共有ツリーのリーフ ルータ(ダウンストリーム接続がないルータ)で使用できます。このタイプの配信ツリーは、SPTまたは送信元ツリーと呼ばれます。デフォルトでは、ソフトウェアが送信元から最初のデータ パケットを受信すると、送信元ツリーに切り替わります。
共有ツリーから送信元ツリーへの移動プロセスは、次のとおりです。
1. レシーバーがグループに参加します。リーフ ルータCはJoinメッセージをRPに向けて送信します。
2. RPはルータCとのリンクを発信インターフェイス リストに格納します。
3. 送信元がデータを送信します。ルータAはデータをカプセル化してRegisterメッセージに格納し、RPに送信します。
4. RPはデータをルータCに向けて共有ツリーの下方向に転送し、送信元に向けてJoinメッセージを送信します。この時点で、データはルータCに2回着信する可能性があります(カプセル化されたデータ、およびネイティブ状態のデータ)。
5. データがネイティブ状態(カプセル化されていない状態)で着信すると、RPはRegister停止メッセージをルータAに送信します。
6. デフォルトでは、最初のデータ パケット受信時に、ルータCがJoinメッセージを送信元に送信するよう要求します。
7. (S,G)に関するデータを受信すると、ルータCは送信元宛のPruneメッセージを共有ツリーの上方向に送信します。
8. RPは(S,G)の発信インターフェイスからルータCへのリンクを削除します。RPは送信元に向けてPruneメッセージを送信します。
JoinおよびPruneメッセージが送信元およびRPに送信されます。これらのメッセージはホップ単位で送信され、送信元またはRPへのパス上にある各PIMデバイスで処理されます。RegisterメッセージおよびRegister停止メッセージはホップ単位で送信されません。これらのメッセージは、送信元に直接接続された指定ルータで送信され、グループのRPで受信されます。
グループへ送信する複数の送信元で、共有ツリーが使用されます。
共有ツリー上に存在するように、PIMデバイスを設定できます。詳細については、「PIM SPT使用の延期」を参照してください。
PIM SPT使用の延期
最初のデータ パケットが最終ホップ ルータ(図 33-4のルータC)に着信すると、共有ツリーから送信元ツリーへと変更されます。この変更が生じるのは、 ip pim spt-threshold グローバル コンフィギュレーション コマンドによってタイミングが制御されるためです。
SPTには共有ツリーよりも多くのメモリが必要ですが、遅延が短縮されます。SPTの使用を延期することもできます。リーフ ルータをSPTにすぐ移動せず、トラフィックがスレッシュホールドに最初に到達したあとで移動するように指定できます。
PIMリーフ ルータが、指定グループのSPTに参加する時期を設定できます。送信元の送信速度が指定速度(キロビット/秒)以上の場合、マルチレイヤ スイッチはPIM Joinメッセージを送信元に向けて送信し、送信元ツリー(SPT)を構築します。送信元からのトラフィック速度がスレッシュホールド値を下回ると、リーフ ルータは共有ツリーに再び切り替わり、Pruneメッセージを送信元に送信します。
SPTスレッシュホールドを適用するグループを指定するには、グループ リスト(標準アクセス リスト)を使用します。値0を指定する場合、またはグループ リストを使用しない場合、スレッシュホールドはすべてのグループに適用されます。
マルチキャスト ルーティングが送信元ツリーからSPTに切り替わる上限値となるトラフィック速度のスレッシュホールドを設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
access-list access-list-number { deny | permit } source [ source-wildcard ] |
標準アクセス リストを作成します。 • access-list-number の範囲は1~99です。 • deny キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが拒否されます。 permit キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが許可されます。 • source には、スレッシュホールドが適用されるマルチキャスト グループを指定します。 • (任意) source-wildcard を指定する場合は、送信元に適用するワイルドカード ビットをドット付き10進表記で入力します。無視するビット位置に1を配置します。 アクセス リストの末尾には、すべてに適用される暗黙の拒否ステートメントが常に存在することに注意してください。 |
ステップ 3 |
ip pim spt-threshold { kbps | infinity } [ group-list access-list-number ] |
SPTに移行する上限値となるスレッシュホールドを指定します。 • kbps を指定する場合は、トラフィック速度をキロビット/秒で指定します。デフォルト値は0キロビット/秒です。
(注) 有効範囲は0~4294967ですが、Catalyst 3750ハードウェアの制限により、0キロビット/秒以外は無効です。
• infinity を指定すると、指定されたグループのすべての送信元で共有ツリーが使用され、送信元ツリーに切り替わらなくなります。 • (任意) group-list access-list-number を指定する場合は、ステップ2で作成したアクセス リストを指定します。値0を指定する場合、またはgroup-listを使用しない場合、スレッシュホールドはすべてのグループに適用されます。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
デフォルト設定に戻すには、 no ip pim spt-threshold { kbps | infinity } グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
PIMルータクエリ メッセージ インターバルの変更
PIMルータおよびマルチレイヤ スイッチでは、各LANセグメント(サブネット)のDRになるデバイスを判別するため、PIMルータクエリ メッセージが送信されます。DRは、直接接続されたLAN上のすべてのホストにIGMPホストクエリ メッセージを送信します。
PIM DM動作では、IGMPv1が使用中の場合のみ、DRは意味を持ちます。IGMPv1にはIGMPクエリア選択プロセスがないため、選択されたDRはIGMPクエリアとして機能します。PIM SM動作では、マルチキャスト送信元に直接接続されたデバイスがDRになります。DRはPIM Registerメッセージを送信し、送信元からのマルチキャスト トラフィックを共有ツリーの下方向へ転送する必要があることをRPに通知します。この場合、DRは最大のIPアドレスを持つデバイスです。
ルータクエリ メッセージ インターバルを変更するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
設定するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip pim query-interval seconds |
スイッチがPIMルータクエリ メッセージを送信する頻度を設定します。 デフォルト値は30秒です。指定できる範囲は1~65535です。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show ip igmp interface [ interface-id ] |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
デフォルトの設定に戻すには、 no ip pim query-interval [ seconds ] インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
オプションのIGMP機能の設定
ここでは、オプションのIGMP機能を設定する方法について説明します。
• 「IGMPのデフォルト設定」
• 「グループのメンバーとしてのスイッチの設定」(任意)
• 「IPマルチキャスト グループへのアクセスの制御」(任意)
• 「IGMPバージョンの変更」(任意)
• 「IGMPホストクエリ メッセージ インターバルの変更」(任意)
• 「IGMPv2のIGMPクエリ タイムアウトの変更」(任意)
• 「IGMPv2の最大クエリ応答時間の変更」(任意)
• 「スタティックに接続されたメンバーとしてのスイッチの設定」(任意)
IGMPのデフォルト設定
表 33-3 に、IGMPのデフォルト設定を示します。
表 33-3 IGMPのデフォルト設定
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マルチキャスト グループのメンバーとしてのマルチレイヤ スイッチ |
グループ メンバーシップは未定義 |
マルチキャスト グループへのアクセス |
インターフェイスのすべてのグループを許可 |
IGMPバージョン |
すべてのインターフェイスでバージョン2 |
IGMPホストクエリ メッセージ インターバル |
すべてのインターフェイスで60秒 |
IGMPクエリ タイムアウト |
すべてのインターフェイスで60秒 |
IGMP最大クエリ応答時間 |
すべてのインターフェイスで10秒 |
スタティックに接続されたメンバーとしてのマルチレイヤ スイッチ |
ディセーブル |
グループのメンバーとしてのスイッチの設定
スイッチをマルチキャスト グループのメンバーとして設定し、マルチキャストがネットワークに到達可能かどうかを検出できます。管理しているすべてのマルチキャスト対応ルータおよびマルチレイヤ スイッチがマルチキャスト グループのメンバーである場合、グループにpingを送信すると、これらのすべてのデバイスが応答します。デバイスは、所属グループにアドレッシングされたICMPエコー要求パケットに応答します。もう1つの例は、ソフトウェア付属のマルチキャスト トレースルート ツールです。
注意 この手順を実行すると、グループ アドレス用のデータ トラフィックがすべてCPUに送られるため、CPUのパフォーマンスが低下する場合があります。
スイッチがグループのメンバーになるように設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
設定するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip igmp join-group group-address |
マルチキャスト グループに参加するスイッチを設定します。 デフォルトで、グループのメンバーシップは定義されていません。 group-address には、マルチキャストIPアドレスをドット付き10進表記で指定します。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show ip igmp interface [ interface-id ] |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
グループ内のメンバーシップを取り消すには、 no ip igmp join-group group-address インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、マルチキャスト グループ255.2.2.2へのスイッチの参加を許可する例を示します。
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(config-if)# ip igmp join-group 255.2.2.2
IPマルチキャスト グループへのアクセスの制御
スイッチはIGMPホストクエリ メッセージを送信し、接続されたローカル ネットワーク上のメンバーが属しているマルチキャスト グループを判別します。次に、スイッチは、マルチキャスト グループにアドレッシングされたすべてのパケットをこれらのグループ メンバーに転送します。インターフェイスごとにフィルタを適用し、インターフェイスで処理されるサブネット上のホストが参加可能なマルチキャスト グループを制限することができます。
インターフェイスで許可されるマルチキャスト グループをフィルタリングするには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
設定するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip igmp access-group access-list-number |
インターフェイスで処理されるサブネット上のホストが参加できるマルチキャスト グループを指定します。 デフォルトでは、インターフェイスのすべてのグループが許可されています。 access-list-number には、IP標準アドレス アクセス リスト番号を指定します。指定できる範囲は1~99です。 |
ステップ 4 |
exit |
グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
access-list access-list-number { deny | permit } source [ source-wildcard ] |
標準アクセス リストを作成します。 • access-list-number には、ステップ3で作成したアクセス リストを指定します。 • deny キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが拒否されます。 permit キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが許可されます。 • source には、サブネット上のホストが参加できるマルチキャスト グループを指定します。 • (任意) source-wildcard を指定する場合は、送信元に適用するワイルドカード ビットをドット付き10進表記で入力します。無視するビット位置に1を配置します。 アクセス リストの末尾には、すべてに適用される暗黙の拒否ステートメントが常に存在することに注意してください。 |
ステップ 6 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 7 |
show ip igmp interface [ interface-id ] |
設定を確認します。 |
ステップ 8 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
インターフェイスでグループをディセーブルにするには、 no ip igmp access-group インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、ポートに接続されたホストが、グループ255.2.2.2にのみ参加できるように設定する例を示します。
Switch(config)# access-list 1 255.2.2.2 0.0.0.0
Switch(config-if)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(config-if)# ip igmp access-group 1
IGMPバージョンの変更
スイッチでは、IGMPクエリ タイムアウトや最大クエリ応答時間などの機能を使用できるIGMPバージョン2がデフォルトで使用されます。
サブネット上のすべてのシステムで、同じバージョンをサポートする必要があります。スイッチは自動的にバージョン1のシステムを検出せず、バージョン1へのスイッチングも行いません。バージョン2のルータまたはスイッチは、常にIGMPv1ホストと正しく連動しているため、バージョン1とバージョン2のホストはサブネット上で混在することができます。
使用しているホストでバージョン2がサポートされていない場合は、スイッチをバージョン1に設定してください。
IGMPバージョンを変更するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
設定するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip igmp version { 1 | 2 } |
スイッチで使用するIGMPバージョンを指定します。
(注) バージョン1に変更すると、ip igmp query-intervalまたはip igmp query-max-response-timeインターフェイス コンフィギュレーション コマンドを設定することができません。
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ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show ip igmp interface [ interface-id ] |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
デフォルトの設定に戻すには、 no ip igmp version インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
IGMPホストクエリ メッセージ インターバルの変更
スイッチは、IGMPホストクエリ メッセージを定期的に送信し、接続されたネットワーク上にあるマルチキャスト グループを検出します。これらのメッセージは、TTLが1の全ホスト マルチキャスト グループ(224.0.0.1)に送信されます。スイッチはホストクエリ メッセージを送信し、ネットワーク上に存在するメンバーシップに関する情報をリフレッシュします。クエリをいくつか実行したあとで、マルチキャスト グループのメンバーであるローカルホストが存在しないことをソフトウェアが検出した場合、そのグループのリモート送信元からローカル ネットワークへのマルチキャスト パケット転送が停止され、Pruneメッセージが送信元のアップストリーム方向へ送信されます。
スイッチはLAN(サブネット)用のPIM DRを選択します。DRは、IPアドレスが最大である、IGMPv2用のルータまたはマルチレイヤ スイッチです。IGMPv1の場合、DRはLAN上で動作するマルチキャスト ルーティング プロトコルに従って選択されます。DRは、LAN上のすべてのホストにIGMPホストクエリ メッセージを送信します。SMの場合、DRはPIM登録メッセージおよびPIM JoinメッセージもRPルータに向けて送信します。
ホストクエリ インターバルを変更するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
設定するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip igmp query-interval seconds |
DRがIGMPホストクエリ メッセージを送信する頻度を設定します。 デフォルトでは、DRはIGMPホストクエリ メッセージを60秒ごとに送信し、ホストおよびネットワークでのIGMPオーバーヘッドを抑制します。指定できる範囲は1~65535です。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show ip igmp interface [ interface-id ] |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
デフォルト設定に戻すには、 no ip igmp query-interval インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
IGMPv2のIGMPクエリ タイムアウトの変更
IGMPv2を使用している場合、スイッチがインターフェイスのクエリアとして引き継ぐまでの時間を指定できます。デフォルトでは、スイッチは ip igmp query-interval インターフェイス コンフィギュレーション コマンドによって制御されるクエリ インターバルの2倍の時間だけ待機します。この時間を経過しても、スイッチがクエリを受信しない場合は、スイッチがクエリアになります。
クエリ インターバルを設定するには、 show ip igmp interface interface-id イネーブルEXECコマンドを入力します。
IGMPクエリ タイムアウトを変更するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
設定するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip igmp querier-timeout seconds |
IGMPクエリ タイムアウトを指定します。 デフォルトは60秒です(クエリ インターバルの2倍)。指定できる範囲は60~300です。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show ip igmp interface [ interface-id ] |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
デフォルト設定に戻すには、 no ip igmp querier-timeout インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
IGMPv2の最大クエリ応答時間の変更
IGMPv2を使用している場合は、IGMPクエリでアドバタイズされる最大クエリ応答時間を変更することができます。スイッチは最大クエリ応答時間を使用し、LAN上に直接接続されたグループ メンバーが存在しないことを短時間で検出します。値を小さくすると、グループのプルーニング速度が向上します。
最大クエリ応答時間を変更するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
設定するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip igmp query-max-response-time seconds |
IGMPクエリでアドバタイズされる最大クエリ応答時間を変更します。 デフォルト値は10秒です。指定できる範囲は1~25です。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show ip igmp interface [ interface-id ] |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
デフォルト設定に戻すには、 no ip igmp query-max-response-time インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
スタティックに接続されたメンバーとしてのスイッチの設定
ネットワーク セグメント上にグループ メンバーが存在しなかったり、ホストでIGMPを使用してグループ メンバーシップを報告することができないにもかかわらず、そのネットワーク セグメントにマルチキャスト トラフィックを送り込むことが必要な場合もあります。マルチキャスト トラフィックをネットワーク セグメントに送り込む方法は次のとおりです。
• ip igmp join-group インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。この方法の場合、スイッチはマルチキャスト パケットの転送だけでなく、受信も行います。マルチキャスト パケットを受信する場合は、高速スイッチングを実行できません。
• ip igmp static-group インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。この方法の場合、スイッチはパケットそのものを受信せず、転送のみを実行します。この方法を使用すると、高速スイッチングが可能です。発信インターフェイスがIGMPキャッシュに格納されますが、マルチキャスト ルート エントリに L (ローカル)フラグが付かないことからも明らかなように、スイッチ自体はメンバーではありません。
スタティックに接続されたグループのメンバーになるように(および高速スイッチングできるように)スイッチを設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
設定するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip igmp static-group group-address |
スイッチをスタティックに接続されたグループのメンバーとして設定します。 デフォルトでは、この機能はディセーブルです。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show ip igmp interface [ interface-id ] |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
グループのメンバーとして設定されたスイッチを解除するには、 no ip igmp static-group group-address インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
オプションのマルチキャスト ルーティング機能の設定
ここでは、オプションのマルチキャスト ルーティング機能を設定する方法について説明します。具体的な内容は次のとおりです。
• レイヤ2接続およびMBONEマルチメディア会議セッションに関する機能と設定:
–「CGMPサーバ サポート機能のイネーブル化」(任意)
–「sdrリスナー サポート機能の設定」(任意)
• 帯域幅の利用率を制御する機能:
–「IPマルチキャスト境界の設定」(任意)
CGMPサーバ サポート機能のイネーブル化
スイッチは、IGMPスヌーピングをサポートしない、CGMPクライアント機能が組み込まれているデバイス用のCGMPサーバとして機能します。CGMPはレイヤ2 Catalystスイッチに接続されたシスコ ルータおよびマルチレイヤ スイッチで使用され、IGMPで実行される作業と同様の作業を実行します。CGMPが必要となるのは、レイヤ2スイッチでIPマルチキャスト データ パケットとIGMPレポート メッセージを区別できないためです。これらはともにMACレベルで、同じグループ アドレスにアドレッシングされます。
スイッチ インターフェイスでCGMPサーバをイネーブルにするには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
レイヤ2 Catalystスイッチに接続されたインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip cgmp [ proxy ] |
インターフェイス上でCGMPをイネーブルにします。 デフォルトでは、CGMPはすべてのインターフェイス上でディセーブルです。 CGMPをイネーブルにすると、CGMP Joinメッセージが送信されます。レイヤ2 Catalystスイッチに接続されたレイヤ3インターフェイスでのみ、CGMPをイネーブルにします。 (任意) proxy キーワードを入力すると、CGMPプロキシ機能がイネーブルになります。プロキシ ルータは、CGMP非対応ルータのMACアドレス、およびグループ アドレス0000.0000.0000が格納されたCGMP Joinメッセージを送信し、CGMP非対応ルータが存在することをアドバタイズします。
(注) CGMPプロキシを実行するには、スイッチをIGMPクエリアに設定する必要があります。ip cgmp proxyコマンドを設定する場合は、ネットワークで動作中のIGMPのバージョンに応じて、IPアドレスが最大または最小のスイッチがIGMPクエリアになるようにIPアドレスを手動で操作する必要があります。IGMPバージョン2クエリアは、インターフェイスの最小のIPアドレスに基づいて選択されます。IGMPバージョン1クエリアは、インターフェイスで使用されるマルチキャスト ルーティング プロトコルに基づいて選択されます。
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ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
ステップ 7 |
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レイヤ2 CatalystスイッチCGMPクライアントの設定を確認します。詳細については、製品に付属のマニュアルを参照してください。 |
インターフェイス上でCGMPをディセーブルにするには、 no ip cgmp インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
複数のシスコCGMP対応デバイスがスイッチド ネットワークに接続されていて、 ip cgmp proxy コマンドを使用する必要がある場合は、すべてのデバイスを同じCGMPオプションを使用して設定し、他社製のルータよりもIGMPクエリアを優先させてください。
sdrリスナー サポート機能の設定
MBONEは、相互接続された、IPマルチキャスト トラフィックの転送が可能なインターネット ルータおよびホストの小さなサブセットです。その他のマルチメディア コンテンツも、通常はMBONEを通してブロードキャストされます。マルチメディア セッションに参加する前に、このセッションで使用されているマルチメディア グループ アドレス、ポート、セッションがアクティブになる時期、およびワークステーションで必要となるアプリケーションの種類(音声、ビデオなど)を把握する必要があります。この情報は、MBONE Session Directoryバージョン2(sdr)ツールによって提供されます。このフリーウェア アプリケーションはWWW上の複数のサイト
(http://www.video.ja.net/mice/index.htmlなど)からダウンロードできます。
SDRは、Session Announcement Protocol(SAP)マルチキャスト パケット用の既知のマルチキャスト グループ アドレスおよびポートを、SAPクライアントからリスニングするマルチキャスト アプリケーションです(SAPクライアントは、会議セッションをアナウンスします)。これらのSAPパケットには、セッションの説明、セッションがアクティブな期間、IPマルチキャスト グループ アドレス、メディア形式、担当者、およびアドバタイズされたマルチメディア セッションに関するその他の情報が格納されます。SAPパケットの情報は、SDR Session Announcementウィンドウに表示されます。
sdrリスナー サポート機能のイネーブル化
デフォルトでは、スイッチでセッション ディレクトリのアドバタイズはリスニングされません。
スイッチがインターフェイスのデフォルトのセッション ディレクトリ グループ(224.2.127.254)に参加し、セッション ディレクトリ アドバタイズをリスニングできるようにするには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
sdrに対してイネーブルにするインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip sdr listen |
sdrリスナー サポート機能をイネーブルにします。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
sdrサポート機能をディセーブルにするには、 no ip sdr listen インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
sdrキャッシュ エントリの存在期間の制限
デフォルトでは、エントリはsdrキャッシュから削除されません。送信元がSAP情報のアドバタイズを停止した場合に、古いアドバタイズが無駄に保持されないようにするため、エントリがアクティブである期間を制限することができます。
sdrキャッシュ エントリがキャッシュ内でアクティブである期間を制限するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip sdr cache-timeout minutes |
sdrキャッシュ エントリがキャッシュ内でアクティブである期間を制限します。 デフォルトでは、エントリはキャッシュから削除されません。 minutes に指定できる範囲は1~4294967295です。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
デフォルトの設定に戻すには、 no ip sdr cache-timeout グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。キャッシュ全体を削除するには、 clear ip sdr イネーブルEXECコマンドを使用します。
セッション ディレクトリ キャッシュを表示するには、 show ip sdr イネーブルEXECコマンドを使用します。
IPマルチキャスト境界の設定
管理の有効範囲付き境界を使用し、ドメインまたはサブドメイン外部へのマルチキャスト トラフィックの転送を制限できます。この方法では、「 管理の有効範囲付きアドレス 」と呼ばれる特殊なマルチキャスト アドレス範囲が境界のメカニズムとして使用されます。管理の有効範囲付き境界をルーテッド インターフェイスに設定すると、マルチキャスト グループ アドレスがこの範囲内にあるマルチキャスト トラフィックは、このインターフェイスに出入りすることができません。この結果、このアドレス範囲内のマルチキャスト トラフィックに対するファイアウォール機能が提供されます。
(注) マルチキャスト境界およびTTLスレッシュホールドは、マルチキャスト ドメインの有効範囲を制御しますが、TTLスレッシュホールドはこのスイッチでサポートされていません。ドメインまたはサブドメイン外部へのマルチキャスト トラフィックの転送を制限するには、TTLスレッシュホールドでなくマルチキャスト境界を使用する必要があります。
図 33-5に、XYZ社が自社ネットワーク周辺にあるすべてのルーテッド インターフェイス上で、管理の有効範囲付き境界をマルチキャスト アドレス範囲239.0.0.0/8に設定した例を示します。この境界では、239.0.0.0~239.255.255.255の範囲のマルチキャスト トラフィックはネットワークに入ったり、外へ出ることができません。同様に、エンジニアリング部およびマーケティング部では、各自のネットワークの周辺で、管理の有効範囲付き境界を239.128.0.0/16に設定しました。この境界では、239.128.0.0~239.128.255.255の範囲のマルチキャスト トラフィックは、それぞれのネットワークに入ったり、外部に出ることができません。
図 33-5 管理の有効範囲付き境界
マルチキャスト グループ アドレスに対して、ルーテッド インターフェイス上に管理の有効範囲付き境界を定義できます。影響を受けるアドレス範囲は、標準アクセス リストによって定義されます。この境界が定義されている場合、マルチキャスト データ パケットはいずれの方向であっても境界を通過できません。この境界を使用すると、異なる管理ドメイン内で同じマルチキャスト グループ アドレスを再利用することができます。
IANAは、マルチキャスト アドレス範囲239.0.0.0~239.255.255.255を管理の有効範囲付きアドレスとして指定しました。このアドレス範囲は、異なる組織によって管理されたドメイン内で再利用することができます。このアドレスはグローバルではなく、ローカルで一意であるとみなされます。
管理の有効範囲付き境界を設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
access-list access-list-number { deny | permit } source [ source-wildcard ] |
標準アクセス リストを作成します。必要な回数だけこのコマンドを繰り返します。 • access-list-number の範囲は1~99です。 • deny キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが拒否されます。 permit キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが許可されます。 • source には、パケットの送信元であるネットワークまたはホストの番号を入力します。 • (任意) source-wildcard を指定する場合は、送信元に適用するワイルドカード ビットをドット付き10進表記で入力します。無視するビット位置に1を配置します。 アクセス リストの末尾には、すべてに適用される暗黙の拒否ステートメントが常に存在することに注意してください。 |
ステップ 3 |
interface interface-id |
設定するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
ip multicast boundary access-list-number |
ステップ2で作成したアクセス リストを指定し、境界を設定します。 |
ステップ 5 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 6 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
境界を削除するには、 no ip multicast boundary インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、すべての管理の有効範囲付きアドレスに対して境界を設定する例を示します。
Switch(config)# access-list 1 deny 239.0.0.0 0.255.255.255
Switch(config)# access-list 1 permit 224.0.0.0 15.255.255.255
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(config-if)# ip multicast boundary 1
基本的なDVMRPインターオペラビリティ機能の設定
ここでは、DVMRPデバイスと相互運用するために、スイッチ上で基本的な設定を実行する方法について説明します。
• 「DVMRPインターオペラビリティの設定」(任意)
• 「DVMRPトンネルの設定」(任意)
• 「DVMRPネイバへのネットワーク0.0.0.0のアドバタイズ」(任意)
• 「mrinfo要求への応答」(任意)
高度なDVMRP機能の詳細については、「高度なDVMRPインターオペラビリティ機能の設定」を参照してください。
DVMRPインターオペラビリティの設定
PIMを使用するシスコのマルチキャスト ルータおよびマルチレイヤ スイッチは、DVMRPを使用する他社製のマルチキャスト ルータと相互動作させることができます。
PIMデバイスは、DVMRプローブ メッセージをリスニングし、接続されているネットワーク上にあるDVMRPマルチキャスト ルータを動的に検出します。DVMRPネイバが検出された場合、PIMデバイスは、PIMドメイン内の到達可能なユニキャスト送信元をアドバタイズするDVMRPレポート メッセージを定期的に送信します。デフォルトでは、直接接続されたサブネットおよびネットワークがアドバタイズされます。デバイスはDVMRPルータによって転送されたマルチキャスト パケットを転送し、次にマルチキャスト パケットをDVMRPルータに転送します。
DVMRPルート レポート内でアドバタイズされるユニキャスト ルート数を制限するには、MBONEに接続されたPIMルーテッド インターフェイスにアクセス リストを設定することができます。この設定を行わないと、ユニキャスト ルーティング テーブル内のすべてのルートがアドバタイズされます。
(注) マルチキャスト ルーティングされるプロトコルは、DVMRPのパブリックドメイン実装バージョンです。シスコ製ルータおよびマルチレイヤ スイッチをDVMRPルータに直接接続する場合、またはMBONEトンネルを通してDVMRPルータと相互運用する場合は、マルチキャスト ルーティングのバージョン3.8を使用する必要があります(バージョン3.8には、DVMRPの非プルーニング バージョンが実装されています)。Cisco IOSソフトウェアによって作成されるDVMRPアドバタイズを使用すると、マルチキャスト ルーティングされた古いバージョンのプロトコルによってルーティング テーブルやネイバのルーティング テーブルが破壊されることもあります。
アドバタイズされる送信元、および使用されるメトリックを設定する場合は、 ip dvmrp metric インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを設定します。特定のユニキャスト ルーティング プロセスによって取得されたすべての送信元を、DVMRPにアドバタイズするように指示することもできます。
DVMRPルートレポート メッセージが送信されるときに、アドバタイズされる送信元と使用されるメトリックを設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
access-list access-list-number { deny | permit } source [ source-wildcard ] |
標準アクセス リストを作成します。必要な回数だけこのコマンドを繰り返します。 • access-list-number の範囲は1~99です。 • deny キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが拒否されます。 permit キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが許可されます。 • source には、パケットの送信元であるネットワークまたはホストの番号を入力します。 • (任意) source-wildcard を指定する場合は、送信元に適用するワイルドカード ビットをドット付き10進表記で入力します。無視するビット位置に1を配置します。 アクセス リストの末尾には、すべてに適用される暗黙の拒否ステートメントが常に存在することに注意してください。 |
ステップ 3 |
interface interface-id |
MBONEに接続されている、マルチキャスト ルーティングが可能なインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
ip dvmrp metric metric [ list access-list-number ] [[ protocol process-id ] | [ dvmrp ]] |
DVMRPレポートの一連の宛先に関連付けられるメトリックを設定します。 • metric の範囲は0~32です。値が0の場合、ルートはアドバタイズされません。値32は無限大(到達不能)を意味します。 • (任意) list access-list-number を指定する場合は、ステップ2で作成したアクセス リスト番号を入力します。これらが指定されている場合は、アクセス リストと一致するマルチキャスト宛先だけが、設定されたメトリックとともにレポートされます。 • (任意) protocol process-id を指定する場合は、 eigrp 、 igrp 、 ospf 、 rip 、 static 、または dvmrp などのユニキャスト ルーティング プロトコルの名前、およびルーティング プロトコルのプロセスID番号を入力します。これらが指定されている場合は、指定されたルーティング プロトコルによって取得されたルートだけが、DVMRPレポート メッセージに格納されてアドバタイズされます。 • (任意) dvmrp キーワードが指定されている場合は、設定された metric を使用してDVMRPルーティング テーブルのルートをアドバタイズしたり、フィルタリングすることができます。 |
ステップ 5 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 6 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
メトリックまたはルート マップをディセーブルにするには、 no ip dvmrp metric metric [ list access-list-number ] [[ protocol process-id ] | [ dvmrp ]]または no ip dvmrp metric metric route-map map-name インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
より詳細な方法で上記コマンドと同じ結果を得るには、アクセス リストの代わりに、ルート マップ( ip dvmrp metric metric route-map map-name インターフェイス コンフィギュレーション コマンド)を使用します。ユニキャスト ルートがDVMRPに入る前に、ルート マップ条件にユニキャスト ルートを適用します。
次に、PIMデバイスおよびDVMRPルータが同じネットワーク セグメント上にある場合に、DVMRPインターオペラビリティを設定する例を示します。次の例では、アクセス リスト1はネットワーク(198.92.35.0、198.92.36.0、198.92.37.0、131.108.0.0、および150.136.0.0)をDVMRPルータにアドバタイズします。アクセス リスト2は他のすべてのネットワークのアドバタイズを禁止します( ip dvmrp metric 0 インターフェイス コンフィギュレーション コマンド)。
Switch(config-if)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(config-if)# ip address 131.119.244.244 255.255.255.0
Switch(config-if)# ip pim dense-mode
Switch(config-if)# ip dvmrp metric 1 list 1
Switch(config-if)# ip dvmrp metric 0 list 2
Switch(config)# access-list 1 permit 198.92.35.0 0.0.0.255
Switch(config)# access-list 1 permit 198.92.36.0 0.0.0.255
Switch(config)# access-list 1 permit 198.92.37.0 0.0.0.255
Switch(config)# access-list 1 permit 131.108.0.0 0.0.255.255
Switch(config)# access-list 1 permit 150.136.0.0 0.0.255.255
Switch(config)# access-list 1 deny 0.0.0.0 255.255.255.255
Switch(config)# access-list 2 permit 0.0.0.0 255.255.255.255
DVMRPトンネルの設定
ソフトウェアは、MBONEへのDVMRPトンネルをサポートします。一方の端でDVMRPが動作しているルータまたはマルチレイヤ スイッチには、DVMRPトンネルを設定できます。これにより、トンネルを通してマルチキャスト パケットが送受信されます。この方法で、パス上の一部のルータでマルチキャスト ルーティングがサポートされていない場合に、PIMドメインをDVMRPルータに接続できます。2つのルータ間でDVMRPトンネルを設定することはできません。
シスコ製ルータまたはマルチレイヤ スイッチがトンネルを通してDVMRPを実行している場合は、DVMRPレポート メッセージ内の送信元が、実際のネットワークと同様にアドバタイズされます。また、受信されたDVMRPレポート メッセージはキャッシュに格納され、RPF計算にも使用されます。この動作により、トンネルを通して受信されたマルチキャスト パケットの転送が可能になります。
次の場合は、DVMRPトンネルを設定するときに、IPアドレスをトンネルに割り当てる必要があります。
• トンネルを通してIPパケットを送信する場合
• DVMRPサマライズを実行するようにソフトウェアを設定する場合
トンネルとサブネットのネットワーク番号が異なる場合、サブネットはトンネルを通してアドバタイズされません。この場合は、ネットワーク番号のみがトンネルを通してアドバタイズされます。
DVMRPトンネルを設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
access-list access-list-number { deny | permit } source [ source-wildcard ] |
標準アクセス リストを作成します。必要な回数だけこのコマンドを繰り返します。 • access-list-number の範囲は1~99です。 • deny キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが拒否されます。 permit キーワードを指定すると、条件が一致した場合にアクセスが許可されます。 • source には、パケットの送信元であるネットワークまたはホストの番号を入力します。 • (任意) source-wildcard を指定する場合は、送信元に適用するワイルドカード ビットをドット付き10進表記で入力します。無視するビット位置に1を配置します。 アクセス リストの末尾には、すべてに適用される暗黙の拒否ステートメントが常に存在することに注意してください。 |
ステップ 3 |
interface tunnel number |
トンネル インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
tunnel source ip-address |
トンネル インターフェイスの送信元アドレスを指定します。スイッチのインターフェイスのIPアドレスを入力します。 |
ステップ 5 |
tunnel destination ip-address |
トンネル インターフェイスの宛先アドレスを指定します。マルチキャスト ルーティングされたルータのIPアドレスを入力します。 |
ステップ 6 |
tunnel mode dvmrp |
DVMRPへのトンネルに対してカプセル化モードを設定します。 |
ステップ 7 |
ip address address mask または ip unnumbered type number |
インターフェイスにIPアドレスを割り当てます。 または インターフェイスを非番号として設定します。 |
ステップ 8 |
ip pim [ dense-mode | sparse-mode ] |
インターフェイスにPIMモードを設定します。 |
ステップ 9 |
ip dvmrp accept-filter access-list-number [ distance ] neighbor-list access-list-number |
着信DVMRPレポートに対して許可フィルタを設定します。 デフォルトでは、距離が0のすべての宛先レポートが許可されます。したがって、すべてのネイバからのレポートが許可されます。 • access-list-number には、ステップ2で作成したアクセス リスト番号を指定します。アクセス リストに一致するすべての送信元は、距離とともにDVMRPルーティング テーブルに格納されます。 • (任意) distance を指定する場合は、宛先への管理上の距離を入力します。デフォルトでは、DVMRPルートへの管理上の距離は0で、ユニキャスト ルーティング テーブル ルートよりも優先されます。ユニキャスト ルーティングによるパス(マルチキャスト ルーティング プロトコルとしてPIMを使用)とDVMRPを使用するパスという、送信元への2つのパスがある場合にPIMパスを使用するときは、DVMRPルートの管理上の距離を増加させます。指定できる範囲は1~255です。 • neighbor-list access-list-number には、ステップ2で作成したネイバ リストの番号を入力します。DVMRPレポートは、リスト内のネイバでのみ許可されます。 |
ステップ 10 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 11 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 12 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
フィルタをディセーブルにするには、 no ip dvmrp accept-filter access-list-number [ distance ] neighbor-list access-list-number インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、DVMRPトンネルを設定する例を示します。この設定では、シスコのスイッチ上のトンネルのIPアドレスに、 unnumbered が割り当てられます。これにより、トンネルにはポート1と同じIPアドレスが設定されます。トンネルのエンドポイント送信元IPアドレスは172.16.2.1です。トンネルの接続先であるリモートDVMRPルータのトンネルのエンドポイント アドレスは192.168.1.10です。トンネルを通して送信されるパケットは、外部IPヘッダー内にカプセル化されます。シスコのスイッチは、198.92.37.0から198.92.37.255への距離が100である着信DVMRPレポートを受信するように設定されます。
Switch(config)# ip multicast-routing
Switch(config)# interface tunnel 0
Switch(config-if)# ip unnumbered gigabitethernet1/0/1
Switch(config-if)# ip pim dense-mode
Switch(config-if)# tunnel source gigabitethernet1/0/1
Switch(config-if)# tunnel destination 192.168.1.10
Switch(config-if)# tunnel mode dvmrp
Switch(config-if)# ip dvmrp accept-filter 1 100
Switch(config-if)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(config-if)# ip address 172.16.2.1 255.255.255.0
Switch(config-if)# ip pim dense-mode
Switch(config)# access-list 1 permit 198.92.37.0 0.0.0.255
DVMRPネイバへのネットワーク0.0.0.0のアドバタイズ
使用しているスイッチがマルチキャスト ルーティング バージョン3.6のデバイスと近接している場合は、ネットワーク0.0.0.0(デフォルト ルート)をDVMRPネイバにアドバタイズするように、ソフトウェアを設定することができます。DVMRPデフォルト ルートでは、具体的なルートと一致しないマルチキャスト送信元のRPF情報が計算されます。
DVMRPのデフォルト ルートをMBONEにアドバタイズしないでください。
インターフェイスのDVMRPネイバにネットワーク0.0.0.0をアドバタイズするには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
DVMRPルータに接続されたインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip dvmrp default-information { originate | only } |
DVMRPネイバへのネットワーク0.0.0.0をアドバタイズします。 このコマンドは、スイッチがマルチキャスト ルーティング バージョン3.6のデバイスと近接している場合のみ使用します。 キーワードの意味は次のとおりです。 • originate ― 0.0.0.0以外の具体的なルートもアドバタイズされます。 • only ― 0.0.0.0以外のDVMRPルートはアドバタイズされません。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
デフォルト ルートのアドバタイズを禁止するには、 no ip dvmrp default-information インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
mrinfo要求への応答
ソフトウェアは、マルチキャスト ルーティングされたシステム、シスコ製ルータ、およびマルチレイヤ スイッチによって送信されたmrinfo要求に応答します。ソフトウェアはネイバに関する情報を、DVMRPトンネルおよびすべてのルーテッド インターフェイスを通して戻します。この情報にはメトリック(常に1に設定)、設定されたTTLスレッシュホールド、インターフェイスのステータス、および各種フラグが含まれます。次の例のように、 mrinfo イネーブルEXECコマンドを使用し、ルータまたはスイッチ自体をクエリすることもできます。
171.69.214.27 (mm1-7kd.cisco.com) [version cisco 11.1] [flags: PMS]:
171.69.214.27 -> 171.69.214.26 (mm1-r7kb.cisco.com) [1/0/pim/querier]
171.69.214.27 -> 171.69.214.25 (mm1-45a.cisco.com) [1/0/pim/querier]
171.69.214.33 -> 171.69.214.34 (mm1-45c.cisco.com) [1/0/pim]
171.69.214.137 -> 0.0.0.0 [1/0/pim/querier/down/leaf]
171.69.214.203 -> 0.0.0.0 [1/0/pim/querier/down/leaf]
171.69.214.18 -> 171.69.214.20 (mm1-45e.cisco.com) [1/0/pim]
171.69.214.18 -> 171.69.214.19 (mm1-45c.cisco.com) [1/0/pim]
171.69.214.18 -> 171.69.214.17 (mm1-45a.cisco.com) [1/0/pim]
高度なDVMRPインターオペラビリティ機能の設定
シスコ製ルータおよびマルチレイヤ スイッチはPIMを実行し、マルチキャスト パケットをレシーバーに転送したり、送信側から受信したりします。DVMRPルートをPIMクラウド内に伝播したり、PIMクラウドを経由して伝播することもできます。PIMはこの情報を使用しますが、シスコ ルータおよびマルチレイヤ スイッチでは、マルチキャスト パケットを転送するためにDVMRPを実行しません。
ここでは、DVMRPデバイスと相互運用するために、スイッチ上で高度なオプション設定を実行する方法について説明します。
• 「DVMRPユニキャスト ルーティングのイネーブル化」(任意)
• 「DVMRPの非プルーニング ネイバの拒否」(任意)
• 「ルート交換の制御」(任意)
基本的なDVMRP機能の詳細については、「基本的なDVMRPインターオペラビリティ機能の設定」を参照してください。
DVMRPユニキャスト ルーティングのイネーブル化
マルチキャスト ルーティングおよびユニキャスト ルーティングには個別のトポロジーが必要となるため、PIMはマルチキャスト トポロジーに従って、ループのない配信ツリーを構築する必要があります。シスコ製ルータ、マルチレイヤ スイッチ、およびマルチキャスト ルーティング ベースのデバイスは、DVMRPユニキャスト ルーティングを使用して、DVMRPユニキャスト ルートを交換します。PIMはこれらのルートにリバース パスを転送します。
シスコ製デバイスはDVMRPマルチキャスト ルーティングを相互に実行しませんが、DVMRPルートを交換します。DVMRPルートは、ユニキャスト トポロジーと異なるマルチキャスト トポロジーを提供します。このため、マルチキャスト トポロジーを通してPIMを実行し、この結果MBONEトポロジーを通してのPIM SMが可能になります。
DVMRPユニキャスト ルーティングがイネーブルの場合、ルータまたはスイッチは、DVMRPルーティング テーブル内のDVMRPレポート メッセージで取得されたルートをキャッシュに格納します。PIMが動作中の場合、これらのルートはユニキャスト ルーティング テーブル内のルートよりも優先されます。したがって、MBONEトポロジーがユニキャスト トポロジーと異なる場合、PIMによるMBONEトポロジーが可能となります。
DVMRPユニキャスト ルーティングは、すべてのインターフェイスで実行することができます。DVMRPトンネルの場合は、DVMRPマルチキャスト ルーティングが使用されます。この機能を使用しても、シスコ製ルータおよびマルチレイヤ スイッチ間でDVMRPマルチキャスト ルーティングはイネーブルになりません。ただし、DVMRP対応マルチキャスト ルータがある場合は、シスコ製デバイスでPIM/DVMRPマルチキャスト ルーティングを実行することができます。
DVMRPユニキャスト ルーティングをイネーブルにするには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
DVMRPルータに接続されたインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip dvmrp unicast-routing |
DVMRPユニキャスト ルーティングをイネーブルにします(DVMRPルートを送受信します)。 この機能は、デフォルトではディセーブルに設定されています。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
この機能をディセーブルにするには、 no ip dvmrp unicast-routingインターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
DVMRPの非プルーニング ネイバの拒否
デフォルトでは、DVMRP機能に関係なく、シスコ製デバイスはすべてのDVMRPネイバをピアとして受け入れます。ただし、一部の他社製のデバイスでは、プルーニング機能を持たない古いバージョンのDVMRPが動作するため、常時転送パケットが受信されて帯域幅が浪費されます。図 33-6にこの事例を示します。
図 33-6 リーフの非プルーニングDVMRPネイバ
DVMRPネイバでDVMRPプルーニングまたは接合がサポートされていない場合、スイッチとこのネイバとのピアリング(通信)を禁止することができます。これを行うには、非プルーニング デバイスに接続されたインターフェイスで ip dvmrp reject-non-pruners インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用し、スイッチ(リーフの非プルーニングDVMRPデバイスのネイバ)を設定します(図 33-7を参照)。この場合、プルーニング対応フラグが設定されていないDVMRPプローブまたはレポート メッセージをスイッチが受信すると、Syslogメッセージがロギングされ、メッセージが廃棄されます。
図 33-7 ルータが非プルーニングDVMRPネイバを拒否する例
ip dvmrp reject-non-pruners インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用すると、ネイバとのピアリングのみが禁止されます。拒否されていない非プルーニング ルータが(レシーバー候補のダウンストリーム方向に)2ホップ以上離れている場合、非プルーニングDVMRPネットワークが存在する場合もあります。
非プルーニングDVMRPネイバとのピアリングを禁止するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
非プルーニングDVMRPネイバに接続されたインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip dvmrp reject-non-pruners |
非プルーニングDVMRPネイバとのピアリングを禁止します。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
この機能をディセーブルにするには、 no ip dvmrp reject-non-pruners インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
アドバタイズされるDVMRPルート数の制限
デフォルトでは、DVMRPを実行するためにイネーブル化されたインターフェイス(つまり、DVMRPトンネル、DVMRPネイバが検出されたインターフェイス、または ip dvmrp unicast-routing インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを実行するように設定されたインターフェイス)を通して、7000のDVMRPルートのみがアドバタイズされます。
DVMRPルートの制限を変更するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip dvmrp route-limit count |
DVMRPに対してイネーブル化されたインターフェイスを通してアドバタイズされるDVMRP数を変更します。 このコマンドを使用すると、 ip dvmrp metric インターフェイス コンフィギュレーション コマンドの設定ミスによって大量のルートがMBONEに入るのを防ぐことができます。 デフォルトでは、7000のルートがアドバタイズされます。指定できる範囲は0~4294967295です。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
ルート数が制限されないように設定するには、 no ip dvmrp route-limit グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
DVMRPルート スレッシュホールドの変更
デフォルトでは、1つのインターフェイスにつき、1分間に10,000のDVMRPルートを受信することができます。この速度を超えると、ルート サージが発生した可能性を警告するSyslogメッセージが発行されます。通常この警告は、デバイスの設定ミスにより大量のルートがMBONEに入った場合、迅速な検出を行うために使用されます。
警告送信の基準となるルート数のスレッシュホールドを変更するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip dvmrp routehog-notification route-count |
Syslogメッセージの送信基準となるルート数を設定します。 デフォルト値は10,000ルートで、指定できる範囲は1~4294967295です。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
デフォルト設定に戻すには、 no ip dvmrp routehog-notification グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
動作中のルート数を表示するには、 show ip igmp interface イネーブルEXECコマンドを使用します。このルート数を超えると、 *** ALERT *** が表示行に表示されます。
DVMRPサマリー アドレスの設定
デフォルトでは、シスコ製デバイスは、ユニキャスト ルーティング テーブル内の接続されたユニキャスト ルートのみ(つまり、ルータに直接接続されたサブネットへのルートのみ)をDVMRPルートレポート メッセージに格納してアドバタイズします。これらのルートは、通常のDVMRPのクラス指定されたルート サマライズによって処理されます。このプロセスは、アドバタイズされているルートとアドバタイズ中に経由するインターフェイスが、クラス指定された同じネットワーク内にあるかどうかに応じて異なります。
図 33-8に、デフォルトの動作例を示します。この例では、シスコ製ルータによって送信されるDVMRPレポートに、DVMRPメトリックに32を追加してポイズンリバースされた、DVMRPルータから受信した3つの元のルートが記述されています。これらのルートのあとに、ユニキャスト ルーティング テーブルから取得した、直接接続されている2つのネットワーク(176.32.10.0/24および176.32.15.0/24)にアドバタイズされる2つのルートが記述されています。DVMRPトンネルはファスト イーサネット ポート1と同じIPアドレスを共有し、直接接続された2つのサブネットと同じクラスBネットワークに分類されるため、これらのルートに対してクラス指定サマライズは実行されません。その結果、DVMRPルータは、直接接続されたサブネットへ向かうこれらの2つのルートのみをポイズンリバースします。また、これらの2つのイーサネット セグメント上の送信元によって送信されたマルチキャスト トラフィックに対しては、RPFのみを適切に実行します。これら2つのイーサネット セグメント上にはない、シスコ製ルータの背後のネットワーク内の他のマルチキャスト送信元では、DVMRPルータに関するRPFチェックは適切に行われず、廃棄されます。
サマリー アドレス( ip dvmrp summary-address address mask インターフェイス コンフィギュレーション コマンドのアドレスおよびマスクのペアで指定)の範囲内にあるルートの代わりに、サマリー アドレスをアドバタイズするようにシスコ製ルータを設定することができます。ユニキャスト ルーティング テーブルにサマリー アドレス範囲内のルートが1つまたは複数格納されている場合は、サマリー アドレスがDVMRPルート レポートに格納されて送信されます。それ以外の場合、サマリー アドレスはアドバタイズされません。図 33-8では、シスコ製ルータの トンネル インターフェイスに ip dvmrp summary-address コマンドを設定します。その結果、シスコ製ルータは、ユニキャスト ルーティング テーブルのネットワーク176.32.0.0/16に、サマライズされた単一のクラスBアドバタイズを送信します。
図 33-8 接続されたユニキャスト ルートにのみアドバタイズ(デフォルト)する例
デフォルトのクラス指定サマライズが要求を満たさない場合に、DVMRPルートのサマライズをカスタマイズするには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
(注) 設定されたサマリー アドレスをアドバタイズする前に、ユニキャスト ルーティング テーブルに具体的なルートを1つまたは複数設定する必要があります。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
DVMRPルータに接続されたインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力します。 |
ステップ 3 |
ip dvmrp summary-address address mask [ metric value ] |
DVMRPサマリー アドレスを指定します。 • summary-address address mask には、サマリーIPアドレス、および具体的なルートの代わりにアドバタイズされるマスクを指定します。 • (任意) metric value を指定する場合は、サマリー アドレスとともにアドバタイズされるメトリックを指定します。デフォルトは1で、指定できる範囲は1~32です。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
サマリー アドレスを削除するには、 no ip dvmrp summary-address address mask [ metric value ]インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
DVMRP自動サマライズのディセーブル化
ソフトウェアでは、デフォルトで一部のレベルのDVMRPサマライズが自動実行されます。サマリーだけでなくすべてのルートをアドバタイズする場合は、この機能をディセーブルにします。特別な場合には、すべてのサブネット情報が格納された近接するDVMRPルータを使用し、DVMRPネットワーク内のマルチキャスト トラフィックの流れを詳細に制御できます。この例としては、PIMネットワークがDVMRPクラウドに複数のポイントで接続されているとき、具体的な(サマライズされていない)ルートがDVMRPネットワークに送信され、PIMクラウド内の各サブネットへ向かうさらに適切なパスがアドバタイズされる場合などがあります。
ip dvmrp summary-address インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを設定し、 no ip dvmrp auto-summary を設定しなかった場合は、カスタムと自動サマリーの両方が得られます。
DVMRP自動サマリーをディセーブルにするには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
DVMRPルータに接続されたインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
no ip dvmrp auto-summary |
DVMRP自動サマライズをディセーブルにします。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
自動サマライズを再びイネーブルにするには、 ip dvmrp auto-summary インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
DVMRPルートへのメトリック オフセットの追加
デフォルトでは、着信DVMRPレポートに格納されてアドバタイズされたDVMRPルートのメトリック(ホップ数)は、スイッチによって1だけ増加されます。特定のルートの優先度を上下させる場合は、メトリックを変更できます。
たとえば、マルチレイヤ スイッチAからルートが取得され、より大きなメトリックを持つ同じルートがマルチレイヤ スイッチBから取得されたとします。スイッチBを経由するパスの方が高速であるため、このパスを使用する場合は、スイッチAによって取得されたルートにメトリック オフセットを適用し、スイッチBによって取得されたメトリックよりもメトリックを大きくすることができます。この結果、スイッチBを経由するパスを選択できます。
デフォルトのメトリックを変更するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
設定するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip dvmrp metric-offset [ in | out ] increment |
着信レポートに格納されてアドバタイズされるDVMRPルートに追加されるメトリックを変更します。 キーワードの意味は次のとおりです。 • (任意) in ― 増分値が着信DVMRPレポートに追加され、mrinfo応答内で報告されます。 • (任意) out ― 増分値が、DVMRPルーティング テーブルのルートに対する発信DVMRPレポートに追加されます。 in と out のどちらも指定しない場合は、 in がデフォルトになります。 increment には、レポート メッセージに格納されてアドバタイズされるDVMRPルータのメトリックの増分値を指定します。指定できる範囲は1~31です。 ip dvmrp metric-offset コマンドがインターフェイス上で設定されていない場合、着信ルートのデフォルトの増分値は1です。発信ルートのデフォルト値は0です。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
デフォルト設定に戻すには、 no ip dvmrp metric-offset インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。