MSTPの設定
この章では、Catalyst 3750スイッチにIEEE 802.1s Multiple STP(MSTP)のシスコ実装を設定する方法について説明します。
MSTPを使用すると、複数のVLANを同じスパニングツリー インスタンスに対応付け、多数のVLANをサポートするために必要なスパニングツリー インスタンス数を削減できます。MSTPは、データ トラフィック用の複数のフォワーディング パスに対応し、ロード バランシングをイネーブルにします。MSTPを使用すると、1つのインスタンス(転送パス)で障害が発生しても他のインスタンス(転送パス)は影響を受けないので、ネットワークのフォールト トレランスが向上します。MSTPのもっとも一般的な初期配備は、レイヤ2スイッチド ネットワークのバックボーンとディストリビューション レイヤへの配備です。この配備により、サービス プロバイダー環境で必要とされる可用性の高いネットワークが提供されます。
スイッチがMultiple Spanning-Tree(MST)モードの場合、IEEE 802.1wに基づくRapid Spanning-Tree Protocol(RSTP)は自動的にイネーブルになります。RSTPは、明示的なハンドシェイクによってスパニングツリーの高速コンバージェンスを提供します。これによって、IEEE 802.1D転送遅延をなくし、ルート ポートと指定ポートを迅速にフォワーディング ステートへ移行します。
MSTPとRSTPはどちらも、スパニングツリーのオペレーションを改善し、(オリジナルの)802.1Dスパニングツリー、既存のシスコ独自のMultiple Instance STP(MISTP)、および既存のCisco Per-VLAN Spanning-Tree plus(PVST+)とRapid Per-VLAN Spanning-Tree plus(Rapid PVST+)に基づく装置との下位互換性を維持します。PVST+およびRapid PVST+の詳細については、 第16章「STPの設定」 を参照してください。また、PortFast、UplinkFast、ルート ガードなどのその他のスパニングツリー機能の詳細については、 第18章「オプションのスパニングツリー機能の設定方法」 を参照してください。
スイッチ スタックは、ネットワークの他の部分からは単一のスパニングツリー ノードとみなされ、すべてのスタック メンバーが同じブリッジIDを使用します。特に明記しないかぎり、 スイッチ という用語はスタンドアロン スイッチおよびスイッチ スタックを意味します。
(注) この章で使用されるコマンドの構文および使用方法の詳細については、このリリースのコマンド リファレンスを参照してください。
この章で説明する内容は、次のとおりです。
• 「MSTPの概要」
• 「RSTPの概要」
• 「MSTP機能の設定」
• 「MSTコンフィギュレーションおよびステータスの表示」
MSTPの概要
MSTPは、高速コンバージェンスが可能なRSTPを使用し、複数のVLANを1つのスパニングツリー インスタンスにまとめます。各インスタンスのスパニングツリー トポロジーは、他のスパニングツリー インスタンスの影響を受けません。このアーキテクチャによって、データ トラフィックに複数のフォワーディング パスが提供され、ロードバランシングが可能になり、また多数のVLANをサポートするのに必要なスパニングツリー インスタンスの数を減らすことができます。
ここでは、MSTPの機能について説明します。
• 「MSTリージョン」
• 「IST、CIST、およびCST」
• 「ホップ カウント」
• 「境界ポート」
• 「MSTPとスイッチ スタック」
• 「802.1D STPとのインターオペラビリティ」
設定の詳細については、「MSTP機能の設定」を参照してください。
MSTリージョン
スイッチをMultiple Spanning-Tree(MST)インスタンスに加入させるには、同じMSTコンフィギュレーション情報を使用して矛盾のないようにスイッチを設定しなければなりません。同じMSTコンフィギュレーションを持ち、相互接続されたスイッチの集合をMSTリージョンといいます(MSTリージョン、ISTマスター、およびCSTルートを参照)。
各スイッチがどのMSTリージョンに属しているかは、MSTコンフィギュレーションによって決まります。MSTコンフィギュレーションには、リージョン名、リビジョン番号、MST VLANとインスタンスの割り当てマップが保存されています。スイッチにリージョンを設定するには、そのスイッチで spanning-tree mst configuration グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、MSTコンフィギュレーション モードを開始します。このモードでは、 instance MSTコンフィギュレーション コマンドを使用してVLANをMSTインスタンスにマッピングし、 name MSTコンフィギュレーション コマンドでリージョン名を指定し、 revisions MSTコンフィギュレーション コマンドでリージョン番号を設定できます。
リージョンは、同じMSTコンフィギュレーションを持つ1つまたは複数のメンバーで構成されます。リージョンの各メンバーはRSTP Bridge Protocol Data Unit(BPDU;ブリッジ プロトコル データユニット)を処理する機能を備えている必要があります。ネットワーク内のMSTリージョンの数には制限はありませんが、各リージョンがサポートできるスパニングツリー インスタンスの数は16までです。1つのVLANを同時に複数のスパニングツリー インスタンスに割り当てることはできません。
IST、CIST、およびCST
すべてのスパニングツリー インスタンスが独立しているPVST+およびRapid PVST+とは異なり、MSTPは次の2種類のスパニングツリーを確立し、維持します。
• Internal Spanning-Tree(IST)は、1つのMSTリージョン内で稼働するスパニングツリーです。
各MSTリージョン内のMSTPは複数のスパニングツリー インスタンスを維持しています。インスタンス0は、リージョンの特殊インスタンスで、ISTと呼ばれています。その他のMSTインスタンスはすべて1~15まで番号が付けられます。
ISTは、BPDUを送受信する唯一のスパニングツリー インスタンスです。他のスパニングツリー インスタンス情報はすべてMレコードに保存されます。Mレコードは、MSTP BPDU内にカプセル化されます。MSTP BPDUはすべてのインスタンスの情報を伝送するので、スイッチが複数のスパニングツリー インスタンスをサポートするために処理する必要のあるBPDU数は大幅に減少します。
同一リージョン内のMSTインスタンスはすべて、同じプロトコル タイマーを共有しますが、各MSTインスタンスは独自のトポロジー パラメータ(ルート スイッチID、ルート パス コストなど)を持っています。デフォルトでは、すべてのVLANがISTに割り当てられています。
MSTインスタンスはリージョンに対してローカルです。たとえば、リージョンAとリージョンBが相互接続されていても、リージョンAのMSTインスタンス1は、リージョンBのMSTインスタンス1から独立しています。
• Common and Internal Spanning-Tree(CIST)は、各MSTリージョン内のISTの集合です。Common Spanning-Tree(CST)はMSTリージョンとシングル スパニングツリーを相互接続します。
1つのリージョン内で計算されたスパニングツリーは、スイッチド ドメイン全体を網羅するCSTのサブツリーとみなされます。CISTは、802.1w、802.1s、および802.1Dのプロトコルをサポートするスイッチ間で実行されるスパニングツリー アルゴリズムの結果として形成されます。MSTリージョン内のCISTは、リージョン外のCSTと同じです。
詳細については、「MSTリージョン内の動作」および「MSTリージョン間の動作」を参照してください。
MSTリージョン内の動作
ISTは1つのリージョン内のすべてのMSTPスイッチを接続します。ISTがコンバージすると、そのISTのルートがISTマスターになります(MSTリージョン、ISTマスター、およびCSTルートを参照)。ISTマスターは、リージョン内のスイッチのうち、CSTルートに対するパス コストとブリッジIDが最も小さいスイッチです。ネットワーク内にリージョンが1つしかない場合、ISTマスターはCSTルートになります。CSTルートがリージョンの外部にある場合、リージョンの境界に位置するMSTPスイッチの1つがISTマスターとして選択されます。
MSTPスイッチは、初期化時に、自身がCSTのルートおよびISTマスターであることを主張するため、CSTルートとISTマスターへのパス コストがいずれもゼロに設定されたBPDUを送信します。スイッチはさらにMSTインスタンスをすべて初期化し、自身がこれらすべてのインスタンスのルートであると主張します。スイッチは、ポートに現在保存されているルート情報よりも優位のルート情報(小さいブリッジID、パス コストなど)を受信すると、ISTマスターとしての主張を撤回します。
初期化中、リージョン内に独自のISTマスターを持つ多くのサブリージョンが形成される場合もあります。スイッチは、上位のIST情報を受信すると、古いサブリージョンを脱退して、真のISTマスターが含まれている新しいサブリージョンに加入します。このようにして、真のISTマスターが含まれているサブリージョン以外のサブリージョンはすべて縮小します。
正常な動作のためには、MSTリージョン内のすべてのスイッチが同じISTマスターを承認する必要があります。したがって、そのリージョン内にある任意の2つのスイッチが、1つのMSTインスタンスに対するポートの役割を同期させるのは、共通のISTマスターにコンバージする場合だけです。
MSTリージョン間の動作
ネットワーク内に複数のリージョンまたは802.1D準拠のレガシー スイッチが混在している場合、MSTPは、ネットワーク内のすべてのMSTリージョンとすべてのレガシーSTPスイッチからなるCSTを構築し、維持します。MSTインスタンスは、リージョンの境界でISTと結合してCSTになります。
ISTは、リージョン内のすべてのMSTPスイッチを接続し、スイッチドドメイン全体を網羅するCSTのサブツリーとなります。このサブツリーのルートがISTマスターです。MSTリージョンは、隣接するSTPスイッチやMSTリージョンからは仮想スイッチとして認識されます。
図 17-1は、3つのMSTリージョンと802.1D準拠のレガシー スイッチ(D)からなるネットワークを示しています。リージョン1(A)のISTマスターは、CSTルートも兼ねています。リージョン2(B)およびリージョン3(C)のISTマスターは、CST内にあるそれぞれのサブツリーのルートです。RSTPはすべてのリージョンで稼働しています。
図 17-1 MSTリージョン、ISTマスター、およびCSTルート
図 17-1には、各リージョンに追加されたMSTインスタンスは示されていません。MSTインスタンスのトポロジーは、同じリージョンのISTのトポロジーとは異なる可能性もあるので注意が必要です。
BPDUを送受信するのは、CSTインスタンスだけです。MSTインスタンスは自身のスパニングツリー情報をBPDUに追加して、近接スイッチと通信し、最終的なスパニングツリー トポロジーを計算します。したがって、BPDU伝送に関連するスパニングツリー パラメータ(helloタイム、転送時間、最大エージング タイム、最大ホップ数など)は、CSTインスタンスでのみ設定されますが、その影響はすべてのMSTインスタンスに及びます。スパニングツリー トポロジーに関連するパラメータ(スイッチ プライオリティ、ポートVLANコスト、ポートVLANプライオリティなど)は、CSTインスタンスとMSTインスタンスの両方で設定できます。
MSTPスイッチは、バージョン3 RSTP BPDUまたは802.1D STP BPDUを使用して、802.1D準拠のレガシー スイッチと通信します。MSTPスイッチ同士の通信には、MSTP BPDUが使用されます。
ホップ カウント
ISTとMSTのインスタンスは、スパニングツリー トポロジーの計算に、コンフィギュレーションBPDUのメッセージ有効期間と最大エージング タイムの情報を使用しません。その代わり、ルートへのパス コスト、およびIP Time to Live(TTL)メカニズムに似たホップ カウント メカニズムを使用します。
spanning-tree mst max-hops グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用することにより、リージョン内の最大ホップを設定し、その値をリージョン内のISTインスタンスとすべてのMSTインスタンスに適用することができます。ホップ カウントを設定すると、メッセージ エージ情報を設定するのと同様の結果が得られます(再構成の開始)。インスタンスのルート スイッチは、常にコスト値が0、ホップ カウント値が最大値に設定されたBPDU(またはMレコード)を送信します。このBPDUを受信したスイッチは、受信BPDUの残存ホップ カウントから1だけ差し引いた値を残存ホップ カウントとするBPDUを生成し、これを伝播します。このホップ カウントが0になると、スイッチはそのBPDUを廃棄し、ポート用に維持されていた情報を期限切れにします。
BPDUのRSTP部分に格納されているメッセージ有効期間と最大エージング タイムの情報は、リージョン全体で同じままであり、そのリージョンの境界に位置する指定ポートによって同じ値が伝播されます。
境界ポート
境界ポートとは、RSTPが稼働するシングル スパニングツリー リージョン、PVST+またはRapid PVST+を稼働するシングル スパニングツリー リージョン、または異なるMSTコンフィギュレーションを持つ別のMSTリージョンへ、MSTリージョンを接続するポートです。LANの指定スイッチは、単一のスパニングツリー スイッチまたは異なるMSTコンフィギュレーションを持つスイッチのいずれかです。
境界では、MSTポートの役割は重要ではなく、MSTポートのステートは強制的にISTポートのステートと同じになります(境界のMSTポートがフォワーディング ステートになるのは、ISTポートがフォワーディングの場合だけです)。境界のISTポートは、バックアップ ポートの役割以外、すべてのポート役割を担うことができます。
共有境界リンク上では、MSTポートはブロッキング ステートで待機し、転送遅延時間が満了してから、ラーニング ステートに移行し、さらに1回転送遅延時間の満了を待ってから、フォワーディング ステートに移行します。
境界ポートがポイントツーポイント リンク上にあり、その境界ポートがISTルート ポートである場合、MSTポートはISTポートがフォワーディング ステートに移行するとすぐにフォワーディング ステートに移行します。
ISTポートがポイントツーポイント リンク上の指定ポートであり、そのISTポートがピア ポートから合意メッセージを受信したためにフォワーディング ステートに移行した場合、MSTポートもすぐにフォワーディング ステートに移行します。
あるISTインスタンスで境界ポートがフォワーディング ステートになると、すべてのMSTインスタンスでフォワーディングへの移行が実行され、トポロジーの変更が引き起こされます。ISTルートまたは指定ポートの役割を持つ境界ポートがMSTクラウドの外部からトポロジー変更通知を受信した場合、そのMSTPスイッチはISTインスタンスおよびそのポートでアクティブなすべてのMSTインスタンスでトポロジーの変更を引き起こします。
MSTPとスイッチ スタック
スイッチ スタックはネットワークの他の部分からは単一のスパニングツリー ノードと見なされるため、すべてのスタック メンバーが指定のスパニングツリーに対して同じブリッジIDを使用します。ブリッジIDは、スタック マスターのMACアドレスを基にして作成されます。
MSTPをサポートしないスイッチがMSTPをサポートするスイッチ スタックに追加された場合、またはその逆の場合、スイッチはバージョン不一致ステートになります。可能な場合は、スイッチは自動的にスイッチ スタックで稼働しているソフトウェアと同じバージョンにアップグレードまたはダウングレードされます。
新たなスイッチがスタックに加入すると、そのブリッジIDはスタック マスターのブリッジIDに設定されます。新たに追加されたスイッチが最小のIDを持ち、すべてのスタック メンバーのルート パス コストが同一の場合は、新たに追加されたスイッチがスタック ルートになります。新たに追加されたスイッチが、スイッチ スタックに対してより適したルート ポート、またはスタックに接続するLANに対してより適した指定ポートを持つ場合は、トポロジーが変更されます。新たに追加されたスイッチに接続する別のスイッチが自分のルート ポートまたは指定ポートを変更した場合は、新たに追加されたスイッチによって、ネットワーク内のトポロジー変更が引き起こされます。
スタック メンバーがスタックを脱退すると、スタック内(スタック外部も含まれる場合がある)でスパニングツリーの再コンバージェンスが実行されます。残りのスタック メンバーのうち最小のスタック ポートIDを持つものがスタック ルートになります。
スタック マスターに障害が生じたり、それがスタックから脱退したりした場合は、スタック メンバーの中から新たなスタック マスターが選択され、すべてのスタック メンバーが自分のスパニングツリー ブリッジIDを新たなマスターのブリッジIDに変更します。
スイッチ スタックの詳細については、 第5章「スイッチ スタックの管理」 を参照してください。
802.1D STPとのインターオペラビリティ
MSTPを稼働しているスイッチは、802.1Dレガシー スイッチとの相互運用を可能にする内蔵プロトコル移行メカニズムをサポートします。このスイッチは、802.1D準拠のレガシー コンフィギュレーションBPDU(プロトコル バージョンが0に設定されているBPDU)を受信すると、そのポートでは802.1D BPDUだけを送信します。また、MSTPスイッチは、レガシーBPDU、異なるリージョンに関連付けられているMST BPDU(バージョン3)、またはRST BPDU(バージョン2)を受信することによって、ポートがリージョンの境界に位置していることを検出できます。
ただし、スイッチは、802.1D BPDUを受信しなくなっても、MSTPモードに自動的に戻ることはありません。レガシー スイッチが指定スイッチでない限り、レガシー スイッチがリンクから除去されたかどうかを検出できないからです。さらにスイッチは、接続先スイッチがリージョンに加入した場合に、引き続きポートに境界の役割を指定する可能性があります。プロトコル移行プロセスを再起動する(近接スイッチとの再ネゴシエーションを強制する)には、 clear spanning-tree detected-protocols イネーブルEXECコマンドを使用します。
リンク上のすべてのレガシー スイッチがRSTPスイッチであれば、これらのスイッチは、RSTP BPDU同様にMSTP BPDUを処理できます。したがって、MSTPスイッチは、バージョン0コンフィギュレーションとTCN BPDUまたはバージョン3 MSTP BPDUのいずれかを境界ポートで送信します。境界ポートは、指定スイッチが単一のスパニングツリー スイッチ、または異なるMSTコンフィギュレーションを持つスイッチであるLANに接続されます。
RSTPの概要
RSTPは、ポイントツーポイントの配線を利用して、スパニングツリーの高速コンバージェンスを実現します。RSTPを使用すると、スパニングツリーが1秒未満で再構成されます(802.1Dスパニングツリーのデフォルト設定では50秒かかります)。これは音声やビデオのように遅延の影響が大きいトラフィックを伝送するネットワークには不可欠な機能です。
ここではRSTPの機能について説明します。
• 「ポートの役割およびアクティブ トポロジー」
• 「高速コンバージェンス」
• 「ポートの役割の同期化」
• 「BPDUのフォーマットおよびプロセス」
設定については、 「MSTP機能の設定」 を参照してください。
ポートの役割およびアクティブ トポロジー
RSTPは、ポートに役割を割り当てて、アクティブ トポロジーを学習することによって高速コンバージェンスを実現します。「スパニングツリー トポロジーとBPDU」で説明したように、RSTPは、IEEE 802.1D STPを構築して、最高のスイッチ プライオリティを持つ(プライオリティが最も小さい)スイッチをルート スイッチに選択します。RSTPはさらに、各ポートに次のいずれか1つの役割を割り当てます。
• ルート ポート ― スイッチからルート スイッチへパケットを転送する最適パス(最も低コストなパス)を提供します。
• 指定ポート ― 指定スイッチに接続します。これにより、LANからルート スイッチへパケットを転送するときのパス コストが最小になります。指定スイッチとLANの接続に使用されるポートを指定ポートと呼びます。
• 代替ポート ― 現在のルート ポートが提供したパスに替わるルート スイッチへの代替パスを提供します。
• バックアップ ポート ― 指定ポートが提供した、スパニングツリーのリーフに向かうパスのバックアップとして機能します。バックアップ ポートが存在できるのは、2つのポートがポイントツーポイント リンクによってループバックで接続されている場合、または1つのスイッチに共有LANセグメントへの接続が2つ以上ある場合です。
• ディセーブル ポート ― スパニングツリーの動作において何も役割が与えられていません。
ルート ポートまたは指定ポートの役割を割り当てられたポートは、アクティブ トポロジーの一部となります。代替ポートまたはバックアップ ポートの役割を割り当てられたポートは、アクティブ トポロジーから除外されます。
ネットワーク全体のポートの役割に矛盾のない安定したトポロジーでは、RSTPは、すべてのルート ポートおよび指定ポートが即座にフォワーディング ステートに移行し、代替ポートとバックアップ ポートが必ず廃棄ステート(802.1Dのブロッキング ステートと同じ)になるように保証します。フォワーディング プロセスおよびラーニング プロセスの動作はポート ステートによって制御されます。 表 17-1 に、802.1DとRSTPのポート ステートの比較を示します。
表 17-1 ポート ステートの比較
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イネーブル |
ブロッキング |
廃棄 |
含まれない |
イネーブル |
リスニング |
廃棄 |
含まれない |
イネーブル |
ラーニング |
ラーニング |
含まれる |
イネーブル |
フォワーディング |
フォワーディング |
含まれる |
ディセーブル |
ディセーブル |
廃棄 |
含まれない |
シスコのSTP実装製品で整合性を図るため、このマニュアルでは、ポートの 廃棄 ステートを ブロッキング と呼びます。指定ポートは、リスニング ステートから開始します。
高速コンバージェンス
RSTPを使用すると、スイッチ、スイッチ ポート、またはLANに障害が発生しても、ただちに接続を回復することができます。RSTPは、エッジ ポート、新しいルート ポート、およびポイントツーポイント リンクで接続されているポートに次のように高速コンバージェンスを提供します。
• エッジ ポート ― spanning-tree portfast インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用して、RSTPスイッチ上の1つのポートをエッジ ポートに設定すると、そのエッジ ポートは即座にフォワーディング ステートになります。エッジ ポートはPortFastイネーブル設定ポートと同じで、これをイネーブルにできるのは、単一のエンド ステーションに接続されているポート上だけです。
• ルート ポート ― RSTPは、新しいルート ポートを選択すると、古いルート ポートをブロックして、新しいルート ポートをただちにフォワーディング ステートにします。
• ポイントツーポイント リンク ― 2つのポートをポイントツーポイント リンクで接続し、ローカル ポートが指定ポートになると、その指定ポートは、提案合意ハンドシェイクを使用して、相手側ポートと高速移行をネゴシエーションし、ループのないトポロジーを保証します。
図 17-2では、スイッチAとスイッチBはポイントツーポイント リンクを通じて接続され、すべてのポートがブロッキングステートになっています。スイッチAのプライオリティ値がスイッチBのプライオリティ値より小さい数値である場合、スイッチAはスイッチBに提案メッセージ(提案フラグが設定されたコンフィギュレーションBPDU)を送信し、スイッチA自身が指定スイッチになることを提案します。
スイッチBは、提案メッセージを受信すると、提案メッセージの受信ポートを新しいルート ポートに選択し、すべての非エッジ ポートをブロッキング ステートにします。さらに、新しいルート ポート経由で合意メッセージ(合意フラグが設定されたBPDU)を送信します。
スイッチAは、スイッチBの合意メッセージを受信すると、ただちに自身の指定ポートをフォワーディングステートにします。スイッチBはその非エッジ ポートをすべてブロックし、またスイッチAとスイッチBはポイントツーポイント リンクで接続されているので、ネットワークにループは形成されません。
スイッチCがスイッチBに接続された場合も、同様のハンドシェイク メッセージが交換されます。スイッチCはスイッチBに接続されたポートをルート ポートとして選択し、両端のポートはただちにフォワーディング ステートに移行します。アクティブ トポロジーにスイッチが追加されるたびに、このハンドシェイク プロセスが実行されます。ネットワークがコンバージすると、この提案合意ハンドシェイクがルートからスパニングツリーのリーフへと進みます。
スイッチ スタックでは、Cross-Stack Rapid Transition(CSRT)機能が、提案/合意ハンドシェイクの間、ポートがフォワーディング ステートになる前に、スタック メンバーが他のすべてのスタック メンバーからの確認応答を受信するように保証します。スイッチがMSTモードの場合、CSRTは自動的にイネーブルになります。
スイッチはポートのデュプレックス モードによってリンク タイプを学習します。全二重ポートはポイントツーポイント接続とみなされ、半二重接続は共有接続とみなされます。
spanning-tree link-type インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用すると、デュプレックス設定で判断されたデフォルトの設定値を上書きすることができます。
図 17-2 高速コンバージェンスの提案/合意ハンドシェイク
ポートの役割の同期化
スイッチのポートの1つで提案メッセージが受信され、そのポートが新しいルート ポートに選択されると、RSTPは他のすべてのポートを新しいルートの情報に同期させます。
他のすべてのポートが同期化されている場合、スイッチはルート ポートで受信した上位のルート情報に同期化されます。スイッチ上の個々のポートは次の場合に同期化されます。
• ブロッキング ステートである場合
• エッジ ポートである場合(ネットワークのエッジとして設定されているポート)
指定ポートがフォワーディング ステートであり、かつエッジ ポートとして設定されていない場合、RSTPによって新しいルート情報で強制的に同期化されると、その指定ポートはブロッキング ステートになります。一般的に、RSTPがポートを新しいルート情報で強制的に同期化し、そのポートが上記のいずれの条件も満たしていない場合、ポートのステートはブロッキングに設定されます。
スイッチは、すべてのポートが同期化されたことを確認すると、そのルート ポートに対応する指定スイッチに合意メッセージを送信します。ポイントツーポイント リンクで接続されたスイッチがポートの役割について互いに合意すると、RSTPはポート ステートをただちにフォワーディング ステートに移行させます。図 17-3は、この一連のイベントを示します。
図 17-3 高速コンバージェンス中のイベント シーケンス
BPDUのフォーマットおよびプロセス
RSTP BPDUのフォーマットは、プロトコル バージョンが2に設定されている点を除き、IEEE 802.1D BPDUのフォーマットと同じです。新しい1バイトのバージョン1のLengthフィールドは0に設定されます。これはバージョン1のプロトコルの情報がないことを示しています。 表 17-2 に、RSTPのフラグ フィールドを示します。
表 17-2 RSTP BPDUフラグ
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0 |
トポロジーの変更(TC) |
1 |
提案 |
2-3: 00 01 10 11 |
ポートの役割 不明 代替ポート ルート ポート 指定ポート |
4 |
ラーニング |
5 |
フォワーディング |
6 |
合意 |
7 |
トポロジーの変更の確認(TCA) |
送信スイッチは、自身をLAN上の指定スイッチにするために、RSTP BPDUに提案フラグを設定します。提案メッセージでは、ポートの役割は常に指定ポートに設定されます。
送信スイッチは、提案を受け入れる場合、RSTP BPDUに合意フラグを設定します。合意メッセージでは、ポートの役割は常にルート ポートに設定されます。
RSTPには個別のTopology Change Notification(TCN;トポロジー変更通知)BPDUはありません。トポロジーの変更を示すには、トポロジー変更(TC)フラグが使用されます。ただし、802.1Dスイッチとのインターオペラビリティを保つために、RSTPスイッチはTCN BPDUの処理と生成を行います。
ラーニングとフォワーディングのフラグは、送信ポートのステートに応じて設定されます。
優位BPDU情報の処理
現在保存されているルート情報よりも優位のルート情報(小さいブリッジID、低パス コストなど)をポートが受信すると、RSTPは再構成を開始します。そのポートが新しいルート ポートとして提案され、選択されると、RSTPは他のすべてのポートを強制的に同期化します。
受信したBPDUが提案フラグの設定されたRSTP BPDUである場合、スイッチは他のすべてのポートを同期化したあと、合意メッセージを送信します。BPDUが802.1D BPDUである場合、スイッチは提案フラグを設定せずに、そのポートの転送遅延タイマーを開始します。新しいルート ポートはフォワーディング ステートに移行するのに2倍の転送遅延時間を必要とします。
ポートで上位の情報が受信されたために、そのポートがバックアップ ポートまたは代替ポートになる場合、RSTPはそのポートをブロッキング ステートに設定し、合意メッセージは送信しません。指定ポートは、転送遅延タイマーが満了するまで提案フラグの設定されたBPDUの送信を続けます。タイマーが満了すると、ポートはフォワーディング ステートに移行します。
下位BPDU情報の処理
指定ポートの役割フラグが設定された下位のBPDU(そのポートに現在保存されている値より大きいブリッジID、高いパス コストなど)を指定ポートが受信した場合、その指定ポートは、ただちに現在の自身の情報を応答します。
トポロジーの変更
ここでは、スパニングツリー トポロジーの変更処理について、RSTPと802.1Dの違いを説明します。
• 検出 ― 802.1Dはブロッキングとフォワーディングの間でステートの移行があると、 必ず トポロジーの変更が生じますが、RSTPではトポロジーの変更が生じるのは、ブロッキングからフォワーディングにステートが移行する場合 のみ です(トポロジーの変更とみなされるのは、相互接続性が向上する場合だけです)。エッジ ポートでステートが変更されても、トポロジーの変更は生じません。RSTPスイッチは、トポロジーの変更を検出すると、TC通知の送信元ポートを除き、すべての非エッジ ポート上の学習済みの情報を消去します。
• 通知 ― 802.1DはTCN BPDUを使用しますが、RSTPは使用しません。ただし、802.1Dとのインターオペラビリティを保つために、RSTPスイッチはTCN BPDUの処理と生成を行います。
• 確認 ― RSTPスイッチは、指定ポートで802.1DスイッチからTCNメッセージを受信した場合、TCAビットが設定された802.1DコンフィギュレーションBPDUで応答します。ただし、802.1Dスイッチに接続されたルート ポートでTC時間タイマー(802.1Dのトポロジー変更タイマーと同じ)がアクティブであり、TCAビットが設定されたコンフィギュレーションBPDUが受信された場合、TC時間タイマーはリセットされます。
この処理は、802.1Dスイッチをサポートする目的でのみ必要とされます。RSTP BPDUでは、TCAビットは設定されません。
• 伝播 ― RSTPスイッチは、指定ポートまたはルート ポートを介して別のスイッチからTCメッセージを受信すると、自身のすべての非エッジ ポート、指定ポート、およびルート ポート(受信ポートを除く)にトポロジーの変更を伝播します。スイッチは、これらの全ポートのTC時間タイマーを開始し、これらのポート上で学習した情報をフラッシュします。
• プロトコルの移行 ― 802.1Dスイッチとの下位互換性を保つため、RSTPは802.1DコンフィギュレーションBPDUおよびTCN BPDUをポート単位で選択的に送信します。
ポートが初期化されると、移行遅延タイマーが開始され(RSTP BPDUを送信する最小時間を指定)、RSTP BPDUが送信されます。このタイマーがアクティブな間、スイッチはそのポートで受信したすべてのBPDUを処理し、プロトコル タイプは無視します。
スイッチはポートの移行遅延タイマーが満了したあとに802.1D BPDUを受信した場合、802.1Dスイッチに接続されていると想定し、802.1D BPDUのみの使用を開始します。ただし、RSTPスイッチが1つのポートで802.1D BPDUを使用していて、タイマーが満了したあとにRSTP BPDUを受信した場合、タイマーが再起動し、そのポートでRSTP BPDUの使用が開始されます。
MSTP機能の設定
ここでは、基本的なMSTP機能を設定する方法について説明します。
• 「MSTPのデフォルト設定」
• 「MSTP設定時の注意事項」
• 「MSTリージョンの設定の指定およびMSTPのイネーブル設定」(必須)
• 「ルート スイッチの設定」(任意)
• 「セカンダリ ルート スイッチの設定」(任意)
• 「ポート プライオリティの設定」(任意)
• 「パス コストの設定」(任意)
• 「スイッチ プライオリティの設定」(任意)
• 「helloタイムの設定」(任意)
• 「転送遅延時間の設定」(任意)
• 「最大エージング タイムの設定」(任意)
• 「最大ホップ カウントの設定」(任意)
• 「リンク タイプの指定による高速トランジションの保証」(任意)
• 「プロトコル移行プロセスの再起動」(任意)
MSTPのデフォルト設定
表 17-3 に、MSTPのデフォルト設定を示します。
表 17-3 MSTPのデフォルト設定
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スパニングツリー モード |
PVST+(Rapid PVST+とMSTPはディセーブル) |
スイッチ プライオリティ(CISTポート単位で設定可能) |
32768 |
スパニングツリー ポート プライオリティ(CISTポート単位で設定可能) |
128 |
スパニングツリー ポート コスト(CISTポート単位で設定可能) |
1000 Mbps: 4 100 Mbps: 19 10 Mbps: 100 |
helloタイム |
2秒 |
転送遅延時間 |
15秒 |
最大エージング タイム |
20秒 |
最大ホップ カウント |
20ホップ |
サポートされるスパニングツリー インスタンス数の詳細については、「スパニングツリー インスタンスのサポート」を参照してください。
MSTP設定時の注意事項
ここでは、MSTPの設定時の注意事項を説明します。
• spanning-tree mode mst グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、MSTをイネーブルにすると、RSTPが自動的にイネーブルになります。
• 2つ以上のスタック スイッチを同じMSTリージョンに設置するには、その2つのスイッチに同じVLAN/インスタンス マッピング、同じコンフィギュレーション リビジョン番号、同じ名前を設定しなければなりません。
• スイッチ スタックは最大16のMSTインスタンスをサポートします。特定のMSTインスタンスに対応付け可能なVLAN数は、無制限です。
• MSTPを使用する場合、UplinkFast、BackboneFast、およびCross-Stack UplinkFast(CSUF)の機能はサポートされません。
• PVST+、Rapid PVST+、MSTPがサポートされますが、アクティブにできるバージョンは1度に1つだけです(たとえば、すべてのVLANがPVST+を稼働する、すべてのVLANがRapid PVST+を稼働する、またはすべてのVLANがMSTPを稼働する)。詳細については、「スパニングツリーのインターオペラビリティと下位互換性」を参照してください。推奨するトランク ポート設定の詳細については、「他の機能との相互作用」を参照してください。
• すべてのスタック メンバーが同じバージョンのスパニングツリーを稼働します(すべてPVST+、Rapid PVST+、またはMSTP)。詳細については、「スパニングツリーのインターオペラビリティと下位互換性」を参照してください。
• MSTコンフィギュレーションのVTP伝播機能はサポートされません。ただし、CLI(コマンドライン インターフェイス)またはSNMPサポートを通じて、MSTリージョン内の各スイッチでMSTコンフィギュレーション(リージョン名、リビジョン番号、およびVLANとインスタンスのマッピング)を手動で設定することは可能です。
• ネットワーク内の冗長パスでロードバランシングを機能させるには、すべてのVLAN/インスタンス間マッピングの割り当てが一致している必要があります。一致していないと、すべてのトラフィックが1つのリンク上で伝送されます。パス コストを手動で設定することで、スイッチ スタック全体にわたりロード バランシングを実現できます。
• PVST+クラウドとMSTクラウド間、またはRapid PVST+クラウドとMSTクラウド間でロード バランシングを実現するには、すべてのMST境界ポートがフォワーディング ステートでなければなりません。そのためには、MSTクラウドのISTマスターがCSTのルートを兼ねている必要があります。MSTクラウドが複数のMSTリージョンで構成されている場合は、MSTリージョンの1つにCSTルートが含まれており、他のすべてのMSTリージョンにおいて、MSTクラウドに含まれているルートへのパスの方が、PVST+クラウドまたはRapid PVST+クラウド経由のパスよりも優れている必要があります。クラウド内のスイッチを手動で設定しなければならない場合もあります。
• ネットワークを多数のリージョンに分割することは推奨できません。ただし、どうしても分割せざるを得ない場合は、スイッチドLANをルータまたは非レイヤ2デバイスで相互接続された小規模なLANに分割することを推奨します。
MSTリージョンの設定の指定およびMSTPのイネーブル設定
2つ以上のスイッチを同じMSTリージョンに設置するには、その2つのスイッチに同じVLAN/インスタンス マッピング、同じコンフィギュレーション リビジョン番号、同じ名前を設定しなければなりません。
リージョンは、同じMSTコンフィギュレーションを持つ1つまたは複数のメンバーで構成されます。リージョンの各メンバーはRSTP BPDUを処理する機能を備えている必要があります。ネットワーク内のMSTリージョンの数には制限はありませんが、各リージョンがサポートできるスパニングツリー インスタンスの数は16までです。1つのVLANを同時に複数のスパニングツリー インスタンスに割り当てることはできません。
MSTリージョンの設定を指定し、MSTPをイネーブルにするには、イネーブルEXECモードから始めて次の手順を行います。この手順は必須です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
spanning-tree mst configuration |
MSTコンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
instance instance-id vlan vlan-range |
VLANをMSTインスタンスに対応付けます。 • instance-id に指定できる範囲は、 1~15です。 • vlan vlan-range に指定できる範囲は 1~4094です。 VLANをMSTインスタンスにマッピングする場合、そのマッピングはインクリメンタルです。コマンドに指定したVLAN範囲が、以前にマッピングしたVLAN範囲に対し追加または削除されます。 VLAN範囲を指定する場合は、ハイフンを使用します。たとえば、 instance 1 vlan 1-63 と入力すると、VLANの1~63がMSTインスタンス1にマッピングされます。 VLANを列挙する場合は、カンマを使用します。たとえば、 instance 1 vlan 10, 20, 30 と入力すると、VLAN 10、20、30がMSTインスタンス1にマッピングされます。 |
ステップ 4 |
name name |
コンフィギュレーション名を指定します。 name ストリングの最大長は32文字で、大文字と小文字が区別されます。 |
ステップ 5 |
revision version |
コンフィギュレーション リビジョン番号を指定します。指定できる範囲は0~65535です。 |
ステップ 6 |
show pending |
入力した設定を表示して、確認します。 |
ステップ 7 |
exit |
変更を適用し、グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 8 |
spanning-tree mode mst |
MSTPをイネーブルにします。RSTPもイネーブルになります。
注意 スパニングツリー モードを変更すると、すべてのスパニングツリー インスタンスが前のモードで停止して新しいモードで再起動されるので、トラフィックが中断する可能性があります。
MSTPとPVST+の両方、またはMSTPとRapid PVST+の両方を同時に稼働することはできません。 |
ステップ 9 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 10 |
show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 11 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
デフォルトのMSTリージョン コンフィギュレーションに戻すには、 no spanning-tree mst configuration グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。VLANインスタンス マップをデフォルトの設定に戻すには、 no instance instance-id [ vlan vlan-range ] MSTコンフィギュレーション コマンドを使用します。デフォルトの名前に戻すには、 no name MSTコンフィギュレーション コマンドを使用します。デフォルトのリビジョン番号に戻すには、 no revision MSTコンフィギュレーション コマンドを使用します。 PVST+を再度イネーブルにするには、 no spanning-tree mode 、または spanning-tree mode pvst グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
以下の設定例は、MSTコンフィギュレーション モードを開始し、VLAN 10~20をMSTインスタンス1にマッピングして、そのリージョンの名前を region1 に設定し、コンフィギュレーション リビジョン番号として1を設定し、入力した設定を表示してから、変更を適用し、グローバル コンフィギュレーション モードに戻る方法を示しています。
Switch(config)# spanning-tree mst configuration
Switch(config-mst)# instance 1 vlan 10-20
Switch(config-mst)# name region1
Switch(config-mst)# revision 1
Switch(config-mst)# show pending
Pending MST configuration
-------- ---------------------
-------------------------------
ルート スイッチの設定
スイッチは、マッピングしたVLANグループのスパニングツリー インスタンスを維持します。各インスタンスには、スイッチ プライオリティとスイッチMACアドレスからなるブリッジIDが対応付けられています。VLANグループの場合は、最小のブリッジIDを持つスイッチがルート スイッチになります。
あるスイッチがルート スイッチになるように設定するには、 spanning-tree mst instance-id root グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、スイッチ プライオリティをデフォルト値(32768)からきわめて小さいプライオリティ値に変更します。これにより、そのスイッチが指定されたスパニングツリー インスタンスのルート スイッチになることができます。このコマンドを入力すると、スイッチは、ルート スイッチのスイッチ プライオリティをチェックします。拡張システムIDをサポートするため、スイッチは、指定インスタンスの固有のプライオリティを24576に設定します(この値によって、このスイッチが指定されたスパニングツリー インスタンスのルート スイッチになる場合)。
指定されたインスタンスのいずれかのルート スイッチに24576より小さいスイッチ プライオリティ値が設定されている場合、スイッチは指定されたVLANに対する自身のプライオリティを、最小のスイッチ プライオリティより4096だけ小さい値に設定します( スイッチ プライオリティ値および拡張システムIDに示すように、4096は、4ビット スイッチ プライオリティ値の最下位ビットの値です)。
(注) Cisco IOS Release 12.1(14)EA1より前のソフトウェア リリースを稼働しているCatalyst 3750スイッチは、MSTPをサポートしません。
(注) 拡張システムIDをサポートしないスイッチとサポートするスイッチの両方がネットワークに混在している場合は、拡張システムIDをサポートするスイッチがルート スイッチになることはありません。拡張システムIDは、旧ソフトウェア実装の接続スイッチのプライオリティよりVLAN番号が大きくなるたびに、スイッチ プライオリティ値を増やします。
(注) 各スパニングツリー インスタンスのルート スイッチは、バックボーンまたはディストリビューション スイッチでなければなりません。アクセス スイッチをスパニングツリー プライマリ ルートとして設定しないでください。
レイヤ2ネットワークの直径(つまり、レイヤ2ネットワーク上の任意の2つのエンド ステーション間の最大スイッチ ホップ数)を指定するには、 diameter キーワードを指定します。ネットワークの直径を指定すると、スイッチはその直径を持つネットワークに最適なhelloタイム、転送遅延時間、および最大エージング タイムを自動的に設定します。その結果、STPのコンバージェンスに要する時間が大幅に短縮されます。 hello キーワードを使用すると、自動的に計算されたhelloタイムを上書きできます。
(注) スイッチをルート スイッチとして設定したあとに、spanning-tree mst hello-time、spanning-tree mst forward-time、およびspanning-tree mst max-ageグローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、helloタイム、転送遅延時間、最大エージング タイムを手動で設定することは推奨できません。
スイッチをルート スイッチに設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
spanning-tree mst instance-id root primary [ diameter net-diameter [ hello-time seconds ]] |
スイッチをルート スイッチとして設定します。 • instance-id には、単一のインスタンス、ハイフンで区切られたインスタンス範囲、またはカンマで区切られた一連のインスタンスを指定できます。指定できる範囲は0~15です。 • (任意) diameter net-diameter には、任意の2つのエンド ステーション間の最大スイッチ数を指定します。指定できる範囲は2~7です。このキーワードを使用できるのはMSTインスタンス0の場合だけです。 • (任意) hello-time seconds には、ルート スイッチによってコンフィギュレーション メッセージが生成される間隔を秒数で指定します。指定できる範囲は1~10秒です。デフォルトは2秒です。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show spanning-tree mst instance-id |
設定を確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
スイッチをデフォルト設定に戻すには、 no spanning-tree mst instance-id root グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
セカンダリ ルート スイッチの設定
拡張システムIDをサポートするCatalyst 3750スイッチをセカンダリルートとして設定すると、スイッチ プライオリティはデフォルト値(32768)から28672に変更されます。その結果、プライマリ ルート スイッチに障害が発生した場合に、このスイッチが、指定されたインスタンスのルート スイッチになる可能性が高くなります。ネットワーク上の他のスイッチはデフォルトのスイッチ プライオリティである32768を使用していると想定されるので、他のスイッチがルート スイッチになる可能性は低くなります。
このコマンドを複数のスイッチに実行して、複数のバックアップ ルート スイッチを設定できます。 spanning-tree mst instance-id root primary グローバル コンフィギュレーション コマンド を使用して、プライマリ ルート スイッチの設定時と同じネットワーク直径とhelloタイム値を設定してください。
スイッチをセカンダリ ルート スイッチに設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
spanning-tree mst instance-id root secondary [ diameter net-diameter [ hello-time seconds ]] |
スイッチをセカンダリ ルート スイッチとして設定します。 • instance-id には、単一のインスタンス、ハイフンで区切られたインスタンス範囲、またはカンマで区切られた一連のインスタンスを指定できます。指定できる範囲は0~15です。 • (任意) diameter net-diameter には、任意の2つのエンド ステーション間の最大スイッチ数を指定します。指定できる範囲は2~7です。このキーワードを使用できるのはMSTインスタンス0の場合だけです。 • (任意) hello-time seconds には、ルート スイッチによってコンフィギュレーション メッセージが生成される間隔を秒数で指定します。指定できる範囲は1~10秒です。デフォルトは2秒です。 プライマリ ルート スイッチの設定時と同じネットワーク直径とhelloタイム値を使用します。「ルート スイッチの設定」を参照してください。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show spanning-tree mst instance-id |
設定を確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
スイッチをデフォルト設定に戻すには、 no spanning-tree mst instance-id root グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
ポート プライオリティの設定
ループが発生した場合、MSTPはポート プライオリティを使用して、フォワーディング ステートにするインターフェイスを選択します。STPに最初に選択させたいインターフェイスには高いプライオリティ値(小さい数値)を、最後に選択させたいインターフェイスには低いプライオリティ値(大きい数値)を割り当てることができます。すべてのインターフェイスが同じプライオリティ値を使用している場合、MSTPはインターフェイス番号が最も小さいインターフェイスをフォワーディング ステートにして、残りのインターフェイスをブロックします。
(注) スイッチがスイッチ スタックのメンバーの場合は、spanning-tree mst [instance-id] port-priority priority インターフェイス コンフィギュレーション コマンドの代わりに、spanning-tree mst [instance-id] cost cost インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用して、フォワーディング ステートにするポートを選択する必要があります。最初に選択させたいポートには小さいコスト値を、最後に選択させたいポートには大きいコスト値を割り当てます。詳細については、「パス コストの設定」を参照してください。
インターフェイスのMSTPポート プライオリティを設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
設定するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 有効なインターフェイスは物理ポートやポート チャネル論理インターフェイスなどです。指定できるポート チャネルの範囲は1~12です。 |
ステップ 3 |
spanning-tree mst instance-id port-priority priority |
ポート プライオリティを設定します。 • instance-id には、単一のインスタンス、ハイフンで区切られたインスタンス範囲、またはカンマで区切られた一連のインスタンスを指定できます。指定できる範囲は0~15です。 • priority には、16ずつ増分される0~240の値を指定できます。デフォルトは128です。数字が小さいほどプライオリティが高くなります。 有効なプライオリティ値は、0、16、32、48、64、80、96、112、128、144、160、176、192、208、224、240です。その他の値はすべて拒否されます。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show spanning-tree mst interface interface-id または show spanning-tree mst instance-id |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
(注) show spanning-tree mst interface interface-idイネーブルEXECコマンドで情報が表示されるのは、ポートがリンクアップ動作可能の状態にある場合に限られます。そうでない場合は、show running-config interfaceイネーブルEXECコマンドを使用して設定を確認してください。
インターフェイスをデフォルト設定に戻すには、 no spanning-tree mst instance-id port-priority インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
パス コストの設定
MSTPパス コストのデフォルト値は、インターフェイスのメディア速度から派生します。ループが発生すると、MSTPはコストを使用して、フォワーディング ステートにするインターフェイスを選択します。STPに最初に選択させたいインターフェイスには小さいコスト値を、最後に選択させたいインターフェイスには大きいコスト値を割り当てることができます。すべてのインターフェイスが同じコスト値を使用している場合、MSTPはインターフェイス番号が最も小さいインターフェイスをフォワーディング ステートにして、残りのインターフェイスをブロックします。
インターフェイスのMSTPコストを設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
設定するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。有効なインターフェイスは物理ポートやポート チャネル論理インターフェイスなどです。指定できるポート チャネルの範囲は1~12です。 |
ステップ 3 |
spanning-tree mst instance-id cost cost |
コストを設定します。 ループが発生すると、MSTPはパス コストを使用して、フォワーディング ステートにするインターフェイスを選択します。パス コストの値が小さいほど、高速で伝送されます。 • instance-id には、単一のインスタンス、ハイフンで区切られたインスタンス範囲、またはカンマで区切られた一連のインスタンスを指定できます。指定できる範囲は0~15です。 • cost に指定できる範囲は1~200000000です。デフォルト値は、インターフェイスのメディア速度によって決まります。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show spanning-tree mst interface interface-id または show spanning-tree mst instance-id |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
(注) show spanning-tree mst interface interface-idイネーブルEXECコマンドで情報が表示されるのは、リンクアップ動作可能の状態にあるポートに限られます。そうでない場合は、show running-configイネーブルEXECコマンドを使用して設定を確認してください。
インターフェイスをデフォルト設定に戻すには、 no spanning-tree mst instance-id cost インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
スイッチ プライオリティの設定
スイッチ プライオリティを設定して、スタンドアロン スイッチまたはスタック内のスイッチがルート スイッチとして選択される可能性を高めることができます。
(注) このコマンドは慎重に使用してください。通常、スイッチ プライオリティの変更には、spanning-tree mst instance-id root primary、およびspanning-tree mst instance-id root secondaryグローバル コンフィギュレーション コマンドの使用を推奨します。
スイッチ プライオリティを設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を行います。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
spanning-tree mst instance-id priority priority |
スイッチ プライオリティを設定します。 • instance-id には、単一のインスタンス、ハイフンで区切られたインスタンス範囲、またはカンマで区切られた一連のインスタンスを指定できます。指定できる範囲は0~15です。 • priority に指定できる範囲は0~61440で、4096ずつ増えます。デフォルトは32768です。数値が小さいほど、スイッチがルート スイッチとして選択される可能性が高くなります。 有効なプライオリティ値は、0、4096、8192、12288、16384、20480、24576、28672、32768、36864、40960、45056、49152、53248、57344、61440です。その他の値はすべて拒否されます。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show spanning-tree mst instance-id |
設定を確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
スイッチをデフォルト設定に戻すには、 no spanning-tree mst instance-id priority グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
helloタイムの設定
helloタイムを変更することによって、ルート スイッチによるコンフィギュレーション メッセージが生成される間隔を設定できます。
(注) このコマンドは慎重に使用してください。通常、helloタイムの変更には、spanning-tree mst instance-id root primary、およびspanning-tree mst instance-id root secondaryグローバル コンフィギュレーション コマンドの使用を推奨します。
すべてのMSTインスタンスのhelloタイムを設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
spanning-tree mst hello-time seconds |
すべてのMSTインスタンスのhelloタイムを設定します。helloタイムは、ルート スイッチによってコンフィギュレーション メッセージが生成される間隔です。このメッセージはスイッチが動作中であることを意味します。 seconds に指定できる範囲は1~10秒です。デフォルトは2秒です。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show spanning-tree mst |
設定を確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
スイッチをデフォルト設定に戻すには、 no spanning-tree mst hello-time グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
転送遅延時間の設定
すべてのMSTインスタンスの転送遅延時間を設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
spanning-tree mst forward-time seconds |
すべてのMSTインスタンスの転送時間を設定します。転送遅延は、スパニングツリーのラーニングおよびリスニン グステートからフォワーディング ステートに移行するまでに、ポートが待機する秒数です。 seconds に指定できる範囲は4~30秒です。デフォルトは15秒です。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show spanning-tree mst |
設定を確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
スイッチをデフォルト設定に戻すには、 no spanning-tree mst forward-time グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
最大エージング タイムの設定
すべてのMSTインスタンスの最大エージング タイムを設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
spanning-tree mst max-age seconds |
すべてのMSTインスタンスの最大エージング タイムを設定します。最大エージング タイムは、再構成を行うまでに、スイッチがスパニングツリー コンフィギュレーション メッセージを受信せずに待機する秒数です。 seconds に指定できる範囲は6~40秒です。デフォルトは20秒です。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show spanning-tree mst |
設定を確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
スイッチをデフォルト設定に戻すには、 no spanning-tree mst max-age グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
最大ホップ カウントの設定
すべてのMSTインスタンスの最大ホップ カウントを設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
spanning-tree mst max-hops hop-count |
BPDUが廃棄され、ポートに維持されていた情報が期限切れになるまでの、リージョン内でのホップ数を指定します。 hop-count に指定できる範囲は1~40秒です。デフォルトは20秒です。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show spanning-tree mst |
設定を確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
スイッチをデフォルト設定に戻すには、 no spanning-tree mst max-hops グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
リンク タイプの指定による高速トランジションの保証
2つのポートをポイントツーポイント リンクで接続し、ローカル ポートが指定ポートになると、RSTPは提案/合意ハンドシェイクを使用して、相手側ポートと高速移行をネゴシエーションし、ループのないトポロジーを保証します(高速コンバージェンスを参照)。
デフォルトでは、リンク タイプは、インターフェイスのデュプレックス モードによって決定されます。全二重ポートはポイントツーポイント接続とみなされ、半二重接続は共有接続とみなされます。MSTPが稼働しているリモート スイッチ上の1つのポートと物理的にポイントツーポイントで接続されている半二重リンクが存在する場合は、リンク タイプのデフォルト設定値を変更して、フォワーディング ステートへの高速移行をイネーブルにすることができます。
デフォルトのリンク タイプ値を変更するには、イネーブルEXECモードで次の手順を行います。この手順は任意です。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
設定するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。有効なインターフェイスは、物理ポート、VLAN、ポート チャネル論理インターフェイスなどです。VLAN ID範囲は1~4094、ポート チャネル範囲は1~12です。 |
ステップ 3 |
spanning-tree link-type point-to-point |
ポートのリンク タイプをポイントツーポイントに指定します。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show spanning-tree mst interface interface-id |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
ポートをデフォルト設定に戻すには、 no spanning-tree link-type インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
プロトコル移行プロセスの再起動
MSTPを稼働しているスイッチは、802.1Dレガシー スイッチとの相互運用を可能にする内蔵プロトコル移行メカニズムをサポートします。このスイッチは、802.1D準拠のレガシー コンフィギュレーションBPDU(プロトコル バージョンが0に設定されているBPDU)を受信すると、そのポートでは802.1D BPDUだけを送信します。また、MSTPスイッチは、レガシーBPDU、異なるリージョンに関連付けられているMST BPDU(バージョン3)、またはRST BPDU(バージョン2)を受信することによって、ポートがリージョンの境界に位置していることを検出できます。
ただし、スイッチは、802.1D BPDUを受信しなくなっても、MSTPモードに自動的に戻ることはありません。レガシー スイッチが指定スイッチでない限り、レガシー スイッチがリンクから除去されたかどうかを検出できないからです。さらにスイッチは、接続先スイッチがリージョンに加入した場合に、引き続きポートに境界の役割を指定する可能性があります。
プロトコル移行プロセスを再起動する(近接スイッチとの再ネゴシエーションを強制する)には、 clear spanning-tree detected-protocols イネーブルEXECコマンドを使用します。
特定のインターフェイスに対してプロトコル移行プロセスを再起動するには、 clear spanning-tree detected-protocols interface interface-id イネーブルEXECコマンドを使用します。