CDPの設定
この章では、Catalyst 3750スイッチにCisco Discovery Protocol(CDP)を設定する方法について説明します。特に明記しないかぎり、 スイッチ という用語はスタンドアロン スイッチおよびスイッチ スタックを意味します。
(注) この章で使用されるコマンドの構文および使用方法の詳細については、このリリースのコマンド リファレンス、および『Cisco IOS Configuration Fundamentals Command Reference』Release 12.1を参照してください。
この章で説明する内容は、次のとおりです。
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「CDPの概要」
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「CDPの設定」
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「CDPのモニタおよびメンテナンス」
CDPの概要
CDPは、すべてのシスコ デバイス(ルータ、ブリッジ、アクセス サーバ、およびスイッチ)のレイヤ2(データリンク層)上で動作するデバイス ディスカバリ プロトコルです。これにより、ネットワーク管理アプリケーションは、既知デバイスに近接しているシスコのデバイスを検出できます。ネットワーク管理アプリケーションは、CDPによって、下位レイヤのトランスペアレント プロトコルが稼働する近接デバイスのデバイス タイプおよびSNMP(簡易ネットワーク管理プロトコル)エージェント アドレスを学習できます。この機能によって、アプリケーションから近接デバイスにSNMPクエリを送信することができます。
CDPは、Subnetwork Access Protocol(SNAP)をサポートしているすべてのメディアで稼働します。CDPがデータリンク層でしか稼働しないため、異なるネットワーク レイヤ プロトコルをサポートする2つのシステムは、お互いについて学習できます。
CDPを設定した各デバイスは、マルチキャスト アドレスに対して定期的にメッセージを送信し、SNMPメッセージを受信できるアドレスを1つまたは複数アドバタイズします。このアドバタイズには、受信デバイスでCDP情報を廃棄せずに保持しておく時間を表すTime To Live(TTL)、つまりホールドタイム情報も含まれます。各デバイスは、他のデバイスから送信されたメッセージのリスニングも行って近接デバイスについて学習します。
スイッチでCDPを使用することにより、Cluster Management Suite(CMS)は、ネットワークをグラフィカルに表示することができます。スイッチは、CDPを使用してクラスタ候補を検出し、クラスタ メンバー、およびコマンド スイッチから最大で3台(デフォルト)離れたクラスタ対応の他のデバイスに関する情報を維持します。
スイッチはCDPバージョン2をサポートします。
CDPおよびスイッチ スタック
スイッチ スタックは、ネットワーク内で1つのスイッチとみなされます。したがって、CDPは個々のスタック メンバーでなく、スイッチ スタックを検出します。スタック メンバーの追加または削除などが行われて、スイッチ スタック メンバーシップが変更されると、スイッチ スタックは近接ネットワーク デバイスにCDPメッセージを送信します。
CDPの設定
ここでは、CDPの設定および手順について説明します。
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「CDPのデフォルト設定」
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「CDP特性の設定」
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「CDPのディセーブル化およびイネーブル化」
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「インターフェイスでのCDPのディセーブル化およびイネーブル化」
CDPのデフォルト設定
表 22-1 に、CDPのデフォルト設定を示します。
表 22-1 CDPのデフォルト設定
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CDPグローバル ステート |
イネーブル |
CDPインターフェイス ステート |
イネーブル |
CDPタイマー(パケット アップデート頻度) |
60秒 |
CDPホールドタイム(廃棄までの時間) |
180秒 |
CDPバージョン2アドバタイズ |
イネーブル |
CDP特性の設定
CDPのアップデート頻度、廃棄するまでに情報を保持する時間、およびバージョン2アドバタイズ送信の有無を設定できます。
CDPタイマー、ホールドタイム、およびアドバタイズのタイプを設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
(注) ステップ2~4はすべて任意なので、順序不同で実行できます。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
cdp timer seconds |
(任意)CDPアップデートの伝送頻度を秒単位で設定します。 指定できる範囲は5~254秒で、デフォルトは60秒です。 |
ステップ 3 |
cdp holdtime seconds |
(任意)このデバイスから送信された情報を受信デバイスが廃棄するまで保持する時間を指定します。 指定できる範囲は10~255秒です。デフォルトは180秒です。 |
ステップ 4 |
cdp advertise-v2 |
(任意)バージョン2アドバタイズを送信するようにCDPを設定します。 これがデフォルト ステートです。 |
ステップ 5 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 6 |
show cdp |
デバイスのCDPに関するグローバル情報を表示して設定を確認します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
デフォルト設定に戻す場合は、CDPコマンドの no 形式を使用します。
次に、CDP特性を設定および確認する方法を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# cdp timer 50
Switch(config)# cdp holdtime 120
Switch(config)# cdp advertise-v2
Switch #
show cdp
Sending CDP packets every 50 seconds
Sending a holdtime value of 120 seconds
Sending CDPv2 advertisements is enabled
CDPの show コマンドの詳細については、「CDPのモニタおよびメンテナンス」を参照してください。
CDPのディセーブル化およびイネーブル化
CDPはデフォルトでイネーブルに設定されています。
(注) スイッチ クラスタおよびその他のシスコ製デバイス(Cisco IP Phoneなど)は、定期的にCDPメッセージを交換します。CDPをディセーブルにすると、クラスタ ディスカバリが中断され、デバイスの接続が切断されることがあります。詳細については、第6章「スイッチのクラスタ設定」を参照してください。
CDPデバイス ディスカバリ機能をディセーブルにするには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
no cdp run |
CDPをディセーブルにします。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ディセーブル化されているCDPをイネーブルにするには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
cdp run |
ディセーブル化されているCDPをイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
次に、ディセーブル化されているCDPをイネーブルにする例を示します。
Switch# configure terminal
インターフェイスでのCDPのディセーブル化およびイネーブル化
CDP情報の送受信をサポートするすべてのインターフェイスでは、CDPはデフォルトでイネーブルに設定されています。
ポートでCDPをディセーブルにするには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始し、CDPをディセーブルにするインターフェイスを入力します。 |
ステップ 3 |
no cdp enable |
インターフェイスのCDPをディセーブルにします。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
ディセーブルになっているポートでCDPをイネーブルにするには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始し、CDPをイネーブルにするインターフェイスを入力します。 |
ステップ 3 |
cdp enable |
ディセーブルになっているインターフェイスのCDPをイネーブルにします。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
次に、ポート上でディセーブル化されているCDPをイネーブルにする手順を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(config-if)# cdp enable
CDPのモニタおよびメンテナンス
ご使用のデバイスのCDPをモニタおよびメンテナンスするには、イネーブルEXECモードで次の手順を1つ以上実行します。
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clear cdp counters |
トラフィックのカウンタをゼロにリセットします。 |
clear cdp table |
ネイバに関するCDPテーブルの情報を削除します。 |
show cdp |
送信頻度、送信されたパケットのホールドタイムなどのグローバル情報を表示します。 |
show cdp entry entry-name [ protocol | version ] |
特定のネイバに関する情報を表示します。 アスタリスク(*)を入力してすべてのCDPネイバを表示することも、情報が必要なネイバの名前を入力することもできます。 また、指定したネイバ上でイネーブルになっているプロトコルに関する情報、またはデバイス上で動作するソフトウェアのバージョンに関する情報のみを表示することもできます。 |
show cdp interface [ interface-id ] |
CDPがイネーブル化されているインターフェイスに関する情報を表示します。 表示したい情報に関して、インターフェイスの表示を制限することができます。 |
show cdp neighbors [ interface-id ] [ detail ] |
デバイスのタイプ、インターフェイスのタイプおよび番号、ホールドタイム設定、機能、プラットフォーム、ポートIDなど、ネイバに関する情報を表示します。 特定のインターフェイスでのネイバ情報のみを表示することも、より詳細な情報を表示することもできます。 |
show cdp traffic |
CDPカウンタ(送受信されたパケット数、チェックサム エラーなど)を表示します。 |
次に、 show cdp イネーブルEXECコマンドの出力例を示します。
Switch #
show cdp
Sending CDP packets every 50 seconds
Sending a holdtime value of 120 seconds
Sending CDPv2 advertisements is enabled