IGMPスヌーピングおよびMVRの設定
この章では、ローカルInternet Group Management Protocol(IGMP)スヌーピングのアプリケーションであるMulticast VLAN Registration(MVR)など、Catalyst 3750スイッチにIGMPスヌーピングを設定する方法について説明します。また、IGMPフィルタリングを使用して、マルチキャスト グループ メンバーシップを制御する手順、およびIGMPスロットリング アクションを設定する手順についても説明します。特に明記しないかぎり、 スイッチ という用語はスタンドアロン スイッチおよびスイッチ スタックを意味します。
(注) この章で使用するコマンドの構文および使用方法の詳細については、このリリースに対応するスイッチのコマンド リファレンス、および『Cisco IOS Release Network Protocols Command Reference, Part 1』Release 12.1を参照してください。
この章で説明する内容は、次のとおりです。
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「IGMPスヌーピングの概要」
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「IGMPスヌーピングの設定」
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「IGMPスヌーピング情報の表示」
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「MVRの概要」
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「MVRの設定」
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「MVR情報の表示」
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「IGMPフィルタリングおよびIGMPスロットリングの設定」
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「IGMPフィルタリングおよびIGMPスロットリング設定の表示」
(注) IGMPスヌーピングやMVRなどの機能を利用してIPマルチキャスト グループ アドレスを管理したり、スタティックIPアドレスを使用することができます。
IGMPスヌーピングの概要
レイヤ2スイッチは、IGMPスヌーピングを使用してレイヤ2インターフェイスをダイナミックに設定することにより、マルチキャスト トラフィックのフラッディングを抑制するため、マルチキャスト トラフィックがIPマルチキャスト デバイスに対応付けられたインターフェイスにだけ転送されます。名前が示すとおり、IGMPスヌーピングでは、LANスイッチはホストとルータの間でIGMP伝送をスヌーピングし、マルチキャスト グループとメンバー ポートを追跡する必要があります。スイッチは、特定のマルチキャスト グループのホストからIGMPレポートを受け取ると、転送テーブル エントリにホストのポート番号を追加します。また、ホストからIGMP Leave Groupメッセージを受け取ると、テーブル エントリからホスト ポートを削除します。また、マルチキャスト クライアントからIGMPメンバーシップ レポートを受信しない場合、定期的にエントリの削除も行います。
(注) IPマルチキャストおよびIGMPの詳細については、RFC 1112およびRFC 2236を参照してください。
マルチキャスト ルータ(スタック マスターに拡張マルチレイヤ イメージを搭載したCatalyst 3750スイッチも含む)は、すべてのVLAN(仮想LAN)に定期的に一般クエリを送出します。このマルチキャスト トラフィックを必要とするすべてのホストは、Join要求を送信し、これによって転送テーブルのエントリに追加されます。IGMP Join要求の送信元である各グループについて、IGMPスヌーピングIPマルチキャスト転送テーブルのVLANごとに1つのエントリが作成されます。
Catalyst 3750スイッチは、MAC(メディア アクセス制御)アドレスベース グループでなく、IPマルチキャスト グループベースのブリッジングをサポートします。マルチキャストMACアドレスベース グループが設定されている場合に、設定中のIPアドレスが設定済みのMACアドレス、または予約済みマルチキャストMACアドレス(224.0.0.xxxの範囲)に変換されると(エイリアスが作成されると)、コマンド エラーになります。Catalyst 3750スイッチではIPマルチキャスト グループが使用されるため、アドレスのエイリアスに関する問題は発生しません。
IGMPスヌーピングを通じて学習するIPマルチキャスト グループは、ダイナミックです。ただし、 ip igmp snooping vlan vlan-id static ip_address interface interface-id グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、マルチキャスト グループをスタティックに設定することができます。マルチキャスト グループ アドレスのグループ メンバーシップをスタティックに設定すると、その設定はIGMPスヌーピングによるどの自動操作よりも優先されます。マルチキャスト グループ メンバーシップのリストは、ユーザ側で定義した設定とIGMPスヌーピングにより学習された設定の両方で構成されます。
ポート スパニングツリー、ポート グループ、またはVLAN IDが変更された場合、VLAN上のこのポートからIGMPスヌーピングで学習されたマルチキャスト グループは削除されます。
ここでは、スイッチおよびスイッチ スタックのIGMPスヌーピングに関する特性について説明します。
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「IGMPバージョン」
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「マルチキャスト グループへの加入」
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「マルチキャスト グループからの脱退」
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「即時脱退処理」
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「IGMPレポート抑制」
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「IGMPスヌーピングおよびスイッチ スタック」
IGMPバージョン
スイッチは、IGMPバージョン1、2、3をサポートします。これらのバージョンは、スイッチ上で相互運用することができます。たとえば、IGMPv2スイッチ上でIGMPスヌーピングがイネーブルで、スイッチがホストからIGMPv3レポートを受信した場合、スイッチはIGMPv3レポートをマルチキャスト ルータに転送できます。
(注) スイッチは、宛先マルチキャストMACアドレスにのみ基づくIGMPv3スヌーピングをサポートします。送信元MACアドレスまたはプロキシ レポートに基づくスヌーピングは、サポートされません。
IGMPv3スイッチは、IGMPv1およびIGMPv2スイッチでのスヌーピング機能およびIGMPv3メンバーシップ レポート メッセージのサポートを含む、Basic IGMPv3 Snooping Support(BISS)をサポートします。BISSは、ネットワークにIGMPv3ホストが含まれる場合、マルチキャスト トラフィックのフラッディングを抑制します。BISSは、IGMPv2またはIGMPv1ホストのIGMPスヌーピング機能とほぼ同じポート セットへトラフィックを制限します。
(注) IGMPフィルタリングまたはMVRを実行しているスイッチは、IGMPv3 JoinおよびLeaveメッセージをサポートしません。
IGMPv3スイッチは、Source Specific Multicast(SSM)機能を実行しているデバイスとのメッセージの送受信を行うことができます。詳細については、『 Catalyst 4500 Series Switch Cisco IOS Software Configuration Guide 』Release 12.1(12c)EWの「Configuring IP Multicast Layer 3 Switching」を参照してください。URLは次のとおりです。
http://www.cisco.com/univercd/cc/td/doc/product/lan/cat4000/12_1_12/config/mcastmls.htm
マルチキャスト グループへの加入
スイッチに接続されたホストがIPマルチキャスト グループに加入しようとする場合、このホストがIGMPバージョン2クライアントであれば、加入したいIGMPマルチキャスト グループを指定して、非請求のIGMP Joinメッセージを送信します。また、スイッチはルータから一般クエリを受信すると、VLAN内のすべてのポートにそのクエリを転送します。マルチキャスト グループに加入しようとするIGMPバージョン1またはバージョン2ホストは、スイッチにJoinメッセージを送信して応答します。スイッチのCPUは、グループのマルチキャスト転送テーブル エントリがまだ作成されていないと、これを作成します。また、Joinメッセージを受信したインターフェイスの転送テーブル エントリへの追加も行います。そのインターフェイスに関連付けられているホストは、マルチキャスト グループのマルチキャスト トラフィックを受信します(図 20-1を参照)。
図 20-1 最初のIGMP Joinメッセージ
ルータAがスイッチに一般クエリを送信し、スイッチがそのクエリを同じVLANのすべてのメンバーであるポート2~5に転送します。ホスト1はマルチキャスト グループ224.1.2.3に加入して、このグループにIGMPメンバーシップ レポート(IGMP Joinメッセージ)をマルチキャストしようとします。CPUは、ホスト1からマルチキャストされたIGMPレポートを受信すると、IGMPレポート内のその情報を使用して、ホスト1およびルータに接続されたポート番号を含む転送テーブル エントリを設定します( 表 20-1 を参照)。
表 20-1 IGMPスヌーピング転送テーブル
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224.1.2.3 |
IGMP |
1、2 |
スイッチのハードウェアは、IGMP情報パケットをマルチキャスト グループの他のパケットと区別できます。テーブル内の情報は、224.1.2.3マルチキャストIPアドレス宛の、IGMPパケットではないフレームを、ルータおよびグループに加入しているホストに送信するよう、スイッチング エンジンに指示します。
別のホスト(たとえばホスト4)が同じグループに非請求のIGMP Joinメッセージを送信する場合(図 20-2を参照)、CPUはメッセージを受信して、転送テーブルにホスト4のポート番号を追加します( 表 20-2 を参照)。転送テーブルはCPUにだけ向けてIGMPメッセージを送るため、メッセージはスイッチの他のポートにはフラッディングしないことに注意してください。既知のマルチキャスト トラフィックはグループには転送されますが、CPUには転送されません。
図 20-2 2番めのホストのマルチキャスト グループへの加入
表 20-2 アップデートされたIGMPスヌーピング転送テーブル
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224.1.2.3 |
IGMP |
1、2、5 |
マルチキャスト グループからの脱退
ルータは定期的にマルチキャスト一般クエリを送信し、スイッチはこのクエリをVLANのすべてのポートを通じて転送します。このクエリを必要とするホストがこれに応答します。VLANの1つまたは複数のホストがマルチキャスト トラフィックを必要とする場合は、ルータはVLANにマルチキャスト トラフィックを転送し続けます。スイッチがマルチキャスト グループ トラフィックを転送するのは、IGMPスヌーピングによって維持されている、IPマルチキャスト グループの転送テーブルにリストされているホストに限られます。
ホストは、マルチキャスト グループを脱退する場合、メッセージを送信せずに脱退することも、Leaveメッセージを送信することもできます。スイッチは、ホストからLeaveメッセージを受信すると、MACベースの一般クエリを送出して、そのインターフェイスに接続しているその他のデバイスが、特定のマルチキャスト グループのトラフィックを必要としているかどうかを調べます。次に、そのMACグループの転送テーブルをアップデートして、そのグループのマルチキャスト トラフィックを必要とするホストだけが転送テーブルにリストされるようにします。ルータは、VLANからのレポートを受信しなかった場合は、IGMPキャッシュからそのVLANのグループを削除します。
即時脱退処理
即時脱退は、IGMPバージョン2のホストについてのみサポートされます。
IGMPスヌーピングの即時脱退(immediate-leave)処理を使用すると、スイッチは、MACベースの一般クエリをインターフェイスに送信することなく、転送テーブルからLeaveメッセージを送信したインターフェイスを削除できます。VLANインターフェイスは、最初のLeaveメッセージで指定されたマルチキャスト グループのマルチキャスト ツリーから削除されます。即時脱退処理によって、複数のマルチキャスト グループを同時に使用する場合でも、スイッチド ネットワーク上のすべてのホストに対して最適な帯域幅管理を行うことができます。
(注) 即時脱退処理機能は、ポートに1つのホストしか接続されていないVLAN上でのみ使用してください。ポートに複数のホストが接続されているVLAN上で即時脱退をイネーブルにすると、一部のホストが誤って廃棄される可能性があります。
IGMPレポート抑制
(注) IGMPレポート抑制は、マルチキャスト クエリにIGMPv1レポートおよびIGMPv2レポートが含まれている場合にのみサポートされます。クエリにIGMPv3レポートが含まれる場合には、サポートされません。
スイッチは、IGMPレポート抑制を使用して、マルチキャスト デバイスにマルチキャスト ルータ クエリごとに1つのIGMPレポートだけを転送します。IGMPレポート抑制がイネーブル(デフォルト)の場合、スイッチはグループに関するすべてのホストからの最初のIGMPレポートを、すべてのマルチキャスト ルータに送信します。スイッチは、グループに関する残りのIGMPレポートをマルチキャスト ルータに送信しません。この機能は、マルチキャスト デバイスに送信されるレポートの重複を防止します。
マルチキャスト ルータ クエリに、IGMPv1レポートおよびIGMPv2レポートのみに関する要求が含まれている場合、スイッチはグループに関するすべてのホストからの最初のIGMPv1レポートまたはIGMPv2レポートだけを、マルチキャスト ルータに転送します。
マルチキャスト ルータ クエリにIGMPv3レポートに関する要求も含まれる場合は、スイッチはグループに関するIGMPv1、IGMPv2、およびIGMPv3レポートすべてをマルチキャスト デバイスに転送します。
IGMPレポート抑制がディセーブルの場合は、すべてのIGMPレポートがマルチキャスト ルータに転送されます。
IGMPスヌーピングおよびスイッチ スタック
IGMPスヌーピングはスイッチ スタックに対して機能します。つまり、1つのスイッチから取得されたIGMP制御情報は、スタック内のすべてのスイッチに配信されます(スイッチ スタックの詳細については、 第5章「スイッチ スタックの管理」 を参照)。IGMPマルチキャスト データがスタックに入るときに経由するスタック メンバーに関係なく、データはそのグループに登録されたホストに到達します。
スタック内のスイッチに障害が発生するか、またはスイッチがスタックから削除された場合は、そのスイッチ上のマルチキャスト グループのメンバーのみがマルチキャスト データを受信しなくなります。スタック内の他のスイッチ上のその他のマルチキャスト グループ メンバーはすべて、マルチキャスト データ ストリームを引き続き受信します。ただし、スタック マスターが削除された場合は、レイヤ2とレイヤ3(IPマルチキャスト ルーティング)の両方に共通するマルチキャスト グループのコンバージ時間が長くなることがあります。
IGMPスヌーピングの設定
IGMPスヌーピングを使用すると、スイッチは、IGMPパケットを調べたり、その内容に基づいて転送を判断できるようになります。
ここでは、IGMPスヌーピングを設定する方法について説明します。
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「IGMPスヌーピングのデフォルト設定」
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「IGMPスヌーピングのイネーブル化またはディセーブル化」
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「スヌーピング方式の設定」
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「マルチキャスト ルータ ポートの設定」
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「グループに加入するホストのスタティックな設定」
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「IGMP即時脱退処理のイネーブル化」
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「IGMPレポート抑制のディセーブル化」
IGMPスヌーピングのデフォルト設定
表 20-3 に、IGMPスヌーピングのデフォルト設定を示します。
表 20-3 IGMPスヌーピングのデフォルト設定
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IGMPスヌーピング |
グローバルおよびVLAN単位でイネーブル |
マルチキャスト ルータ |
設定なし |
マルチキャスト ルータの学習(スヌーピング)方式 |
PIM-DVMRP |
IGMPスヌーピング即時脱退 |
ディセーブル |
スタティック グループ |
設定なし |
IGMPレポート抑制 |
イネーブル |
IGMPスヌーピングのイネーブル化またはディセーブル化
デフォルトでは、IGMPスヌーピングはスイッチ上でグローバルにイネーブルです。グローバルにイネーブルまたはディセーブルに設定されていると、既存のすべてのVLANインターフェイスでもイネーブルまたはディセーブルになっています。IGMPスヌーピングは、デフォルトですべてのVLANでイネーブルになっていますが、VLAN単位でイネーブルおよびディセーブルに設定することもできます。
グローバルIGMPスヌーピングは、VLAN IGMPスヌーピングに優先します。グローバルスヌーピングがディセーブルになっている場合は、VLANスヌーピングをイネーブルにできません。グローバル スヌーピングがイネーブルの場合、VLANスヌーピングはイネーブルまたはディセーブルのどちらにも設定できます。
スイッチ上でIGMPスヌーピングをグローバルにイネーブルにするには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip igmp snooping |
既存のすべてのVLANインターフェイスでIGMPスヌーピングをグローバルにイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 4 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
すべてのVLANインターフェイスでIGMPスヌーピングをグローバルにディセーブルにするには、 no ip igmp snooping グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
VLANインターフェイスでIGMPスヌーピングをイネーブルにするには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip igmp snooping vlan vlan-id |
VLANインターフェイスでIGMPスヌーピングをイネーブルにします。指定できるVLAN IDの範囲は1~4094です。
(注) VLANスヌーピングをイネーブルにする前に、 IGMPスヌーピングをグローバルにイネーブルにする必要があります。
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ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 4 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
VLANインターフェイスでIGMPスヌーピングをディセーブルにするには、指定されたVLAN番号について no ip igmp snooping vlan vlan-id グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
スヌーピング方式の設定
マルチキャスト対応ルータ ポートは、すべてのレイヤ2マルチキャスト エントリごとに転送テーブルに追加されます。スイッチは、次のいずれか1つの方式でそれらのポートを学習します。
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IGMPクエリ、Protocol-Independent Multicast(PIM)パケット、Distance Vector Multicast Routing Protocol(DVMRP)パケットに対するスヌーピング
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他のルータからのCisco Group Management Protocol(CGMP)パケットの待ち受け
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ip igmp snooping mrouter グローバル コンフィギュレーション コマンドによるマルチキャスト ルータ ポートへのスタティックな接続
IGMPクエリおよびPIM/DVMRPパケットをスヌーピングするように、あるいはCGMP self-joinまたはproxy-joinパケットの待ち受けを行うようにスイッチを設定できます。デフォルトでは、スイッチはすべてのVLANのPIM/DVMRPパケットをスヌーピングします。CGMPパケットからのみマルチキャスト ルータ ポートを学習させるには、 ip igmp snooping vlan vlan-id mrouter learn cgmp グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。このコマンドを入力すると、ルータはCGMP self-joinまたはproxy-joinパケットのみを待ち受け、その他のCGMPパケットは待ち受けません。PIM/DVMRPパケットからのみマルチキャスト ルータ ポートを学習させるには、 ip igmp snooping vlan vlan-id mrouter learn pim-dvmrp グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
(注) 学習方式としてCGMPを使用し、VLAN内のマルチキャスト ルータをCGMPプロキシ対応にしない場合、ダイナミックにルータにアクセスするにはip cgmp router-onlyコマンドを実行する必要があります。詳細については、第33章「IPマルチキャスト ルーティングの設定」を参照してください。
VLANインターフェイスがダイナミックにマルチキャストルータにアクセスする方法を変更するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip igmp snooping vlan vlan-id mrouter learn { cgmp | pim-dvmrp } |
VLAN上でIGMPスヌーピングをイネーブルにします。指定できるVLAN IDの範囲は1~4094です。 マルチキャスト ルータの学習方式を指定します。 • cgmp ― CGMPパケットを待ち受けます。この方式は制御トラフィックの削減に便利です。 • pim-dvmrp ― IGMPクエリおよびPIM-DVMRPパケットをスヌーピングします。これはデフォルト設定です。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show ip igmp snooping |
設定を確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
次に、学習方式としてCGMPパケットを使用するようにIGMPスヌーピングを設定し、設定を確認する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# ip igmp snooping vlan 1 mrouter learn cgmp
Switch#
show ip igmp snooping vlan 1
Global IGMP Snooping configuration:
-----------------------------------
IGMPv3 snooping (minimal) :Enabled
Report suppression :Enabled
TCN solicit query :Disabled
Immediate leave :Disabled
Multicast router learning mode :pim-dvmrp
Source only learning age timer :10
CGMP interoperability mode :IGMP_ONLY
デフォルトの学習方式に戻すには、 no ip igmp snooping vlan vlan-id mrouter learn cgmp グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
マルチキャスト ルータ ポートの設定
マルチキャスト ルータ ポートを追加する(マルチキャスト ルータにスタティック接続を追加する)には、スイッチ上で ip igmp snooping vlan mrouter グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
(注) マルチキャスト ルータへのスタティック接続は、スイッチ ポートに限りサポートされます。
マルチキャスト ルータへのスタティック接続をイネーブルに設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip igmp snooping vlan vlan-id mrouter interface interface-id |
マルチキャスト ルータのVLAN IDを指定し、そのマルチキャスト ルータに対するインターフェイスを指定します。 • 指定できるVLAN IDの範囲は1~4094です。 • インターフェイスは物理インターフェイスまたはポート チャネルに設定できます。指定できるポート チャネルは1~12です。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show ip igmp snooping mrouter [ vlan vlan-id ] |
VLANインターフェイスでIGMPスヌーピングがイネーブルになっていることを確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
VLANからマルチキャスト ルータ ポートを削除するには、 no ip igmp snooping vlan vlan-id mrouter interface interface-id グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、マルチキャスト ルータへのスタティック接続をイネーブルに設定し、その設定を確認する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)#
ip igmp snooping vlan 200 mrouter interface gigabitethernet1/0/2
Switch# show ip igmp snooping mrouter vlan 200
-----+----------------------------------------
グループに加入するホストのスタティックな設定
ホストまたはレイヤ2ポートは、通常はマルチキャスト グループにダイナミックに加入しますが、インターフェイスでホストをスタティックに設定することもできます。
マルチキャスト グループのメンバーとしてレイヤ2ポートを追加するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip igmp snooping vlan vlan-id static ip_address interface interface-id |
マルチキャスト グループのメンバーとしてレイヤ2ポートをスタティックに設定します。 • vlan-id は、マルチキャスト グループVLAN IDです。 • ip-address は、グループIPアドレスです。 • interface-id は、メンバー ポートです。物理インターフェイスまたはポート チャネル(1~12)に設定できます。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show ip igmp snooping multicast |
メンバー ポートおよびIPアドレスを確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
マルチキャスト グループからレイヤ2ポートを削除するには、 no ip igmp snooping vlan vlan-id static mac-address interface interface-id グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、ポートにスタティックにホストを設定し、その設定を確認する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# ip igmp snooping vlan 1 static 224.1.2.3 interface gigabitethernet1/0/1
Switch# show ip igmp snooping multicast
Vlan Group Address Type Ports
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IGMP即時脱退処理のイネーブル化
IGMP即時脱退処理をイネーブルにすると、スイッチは、ポートでIGMPバージョン2 leaveメッセージを検出してそのポートを削除します。即時脱退処理機能を使用するのは、VLANの各ポートごとにレシーバが1つ存在する場合だけにしてください。
(注) 即時脱退は、IGMPバージョン2のホストについてのみサポートされます。
IGMP即時脱退処理をイネーブルにするには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip igmp snooping vlan vlan-id immediate-leave |
VLANインターフェイス上でIGMP即時脱退処理をイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show ip igmp snooping vlan vlan-id |
VLAN上でIGMP即時脱退がイネーブルになっていることを確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
VLAN上でIGMP即時脱退をディセーブルにするには、 no ip igmp snooping vlan vlan-id immediate-leave グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、VLAN 130でIGMP即時脱退処理をイネーブルにする例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# ip igmp snooping vlan 130 immediate-leave
IGMPレポート抑制のディセーブル化
(注) IGMPレポート抑制は、マルチキャスト クエリにIGMPv1レポートおよびIGMPv2レポートが含まれている場合にのみサポートされます。クエリにIGMPv3レポートが含まれる場合には、サポートされません。
IGMPレポート抑制は、デフォルトでイネーブルに設定されています。この機能がイネーブルになると、スイッチはマルチキャスト ルータ クエリごとに1つのIGMPレポートのみを転送します。レポート抑制がディセーブルの場合は、すべてのIGMPレポートがマルチキャスト ルータに転送されます。
IGMPレポート抑制をディセーブルにするには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
no ip igmp snooping report-suppression |
IGMPレポート抑制をディセーブルにします。 |
ステップ 3 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show ip igmp snooping |
IGMPレポート抑制がディセーブルであることを確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
IGMPレポート抑制を再びイネーブルにするには、 ip igmp snooping report-suppression グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
IGMPスヌーピング情報の表示
ダイナミックに学習された、あるいはスタティックに設定されたルータ ポートおよびVLANインターフェイスのIGMPスヌーピング情報を表示できます。IGMPスヌーピング用に設定したVLANのMACアドレス マルチキャスト エントリも表示できます。
IGMPスヌーピング情報を表示するには、 表 20-4 に示す、1つまたは複数のイネーブルEXECコマンドを使用します。
表 20-4 IGMPスヌーピング情報表示用のコマンド
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show ip igmp snooping [ vlan vlan-id ] |
スイッチのすべてのVLANまたは指定されたVLANのスヌーピング設定情報を表示します。 (任意)単一のVLANに関する情報を表示するには、 vlan vlan-idを使用します。 |
show ip igmp snooping multicast [count | dynamic [count | group ip_address] | group ip_address | user [count | group ip_address]] |
スイッチまたは特定のパラメータに関するマルチキャスト テーブル情報を表示します。 • count ― 実際のエントリではなく、指定されたコマンド オプションに対するエントリの総数を表示します。 • dynamic ― IGMPスヌーピングを通して学習されたエントリを表示します。 • group ip_address ― 指定されたグループIPアドレスを持つマルチキャスト グループの特性を表示します。 • user ― ユーザが設定したマルチキャスト エントリのみを表示します。 |
show ip igmp snooping multicast vlan vlan-id [count | dynamic [count | group ip_address] | group ip_address | user [count | group ip_address]] |
マルチキャストVLANまたはVLANの特定のパラメータに関するマルチキャスト テーブル情報を表示します。 • count ― 実際のエントリではなく、指定されたコマンド オプションに対するエントリの総数を表示します。 • dynamic ― IGMPスヌーピングを通して学習されたエントリを表示します。 • group ip_address ― 指定されたグループIPアドレスを持つマルチキャスト グループの特性を表示します。 • user ― ユーザが設定したマルチキャスト エントリのみを表示します。 |
show ip igmp snooping mrouter [ vlan vlan-id ] |
ダイナミックに学習された、または手動で設定されたマルチキャスト ルータ インターフェイスに関する情報を表示します。
(注) IGMPスヌーピングをイネーブルにすると、スイッチはマルチキャスト ルータの接続先であるインターフェイスを自動的に学習します。これらはダイナミックに学習されるインターフェイスです。
(任意)単一のVLANに関する情報を表示するには、 vlan vlan-idを使用します。 |
show ip igmp snooping querier [ vlan vlan-id ] |
インターフェイスがサポートするIGMPバージョンに関する情報を表示します。 (任意)単一のVLANに関する情報を表示するには、 vlan vlan-idを使用します。 |
これらのコマンドのキーワードおよびオプションの詳細については、このリリースのコマンド リファレンスを参照してください。
MVRの概要
MVRは、イーサネット リングベースのサービス プロバイダー ネットワークで、マルチキャスト トラフィックを広範囲に配信するアプリケーション(サービス プロバイダー ネットワークでの複数のTVチャネルのブロードキャストなど)用に設計された機能です。MVRにより、ポート上の加入者は、ネットワーク全般のマルチキャストVLANのマルチキャスト ストリームに対して、加入または非加入を設定することができます。ネットワーク上で1つのマルチキャストVLANを共有しながら、加入者は異なるVLANに存続できます。MVRを使用すると、マルチキャストVLAN内でマルチキャスト ストリームを継続的に送信しながら、帯域およびセキュリティを確保するために、加入者VLANからストリームを隔離することができます。
MVRでは、加入者ポートが、IGMP JoinまたはLeaveメッセージを送信することによって、マルチキャスト ストリームへの加入または非加入(JoinまたはLeave)を実行することを前提にしています。このメッセージは、イーサネット接続のIGMPバージョン2互換ホストから発信できます。MVRはIGMPスヌーピングの基本メカニズムで動作しますが、2つの機能は相互に独立して動作します。それぞれ、もう一方の動作に影響を与えることなくイネーブルまたはディセーブルにできます。ただし、IGMPスヌーピングとMVRがともにイネーブルの場合は、MVRは、MVR上で設定されたマルチキャスト グループからのJoinおよびLeaveメッセージに対してのみ反応します。残りすべてのマルチキャスト グループからのJoinおよびLeaveメッセージは、IGMPスヌーピングによって管理されます。
スイッチのCPUは、MVR IPマルチキャスト ストリームおよびスイッチ転送テーブル上の関連IPマルチキャスト グループを識別し、IGMPメッセージを代行受信します。また、受信側が送信元とは別のVLANにいる場合でも、マルチキャスト ストリームの受信側として加入者をテーブルに追加したりテーブルから削除したりするように転送テーブルを書き換えます。この転送動作は、さまざまなVLAN間で通信されるトラフィックを選択的に許可します。
スイッチのMVR動作は、互換モードまたはダイナミック モードに設定できます。
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互換モードの場合、MVRホストによって受信されたマルチキャスト データは、ポートのMVRホスト メンバーシップに関係なく、すべてのMVRデータ ポートに転送されます。マルチキャスト データは、IGMPレポートまたはMVRスタティック設定を使用して、MVRホストが明示的に加入した受信ポートにのみ転送されます。また、MVRホストから受信されたIGMPレポートは、スイッチに設定されたMVPデータ ポートからは転送されません。
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ダイナミック モードの場合、スイッチ上のMVRホストで受信されたマルチキャスト データは、IGMPレポートまたはMVRスタティック設定を使用して、MVRホストが明示的に加入したMVRデータ ポートおよびクライアント ポートからのみ転送されます。MVRホストから着信したIGMPレポートは、スイッチ内のすべてのMVRデータ ポートからも転送されます。これにより、スイッチが互換モードで動作している場合と異なり、MVRデータ ポート リンクで不要な帯域幅が使用されなくなります。
MVRに参加するのは、レイヤ2ポートのみです。ポートはMVR受信ポートして設定する必要があります。各スイッチ スタックでサポートされるMVRマルチキャストVLANは、1つのみです。
受信ポートおよび送信元ポートは、スイッチ スタック内のそれぞれ別のスイッチに設定できます。マルチキャストVLAN上で送信されたマルチキャスト データは、スタック全体のMVR受信ポートすべてに転送されます。新たなスイッチがスタックに追加されると、デフォルトでこのスイッチには受信ポートがありません。
スイッチに障害が発生するか、スタックから削除されると、このスイッチに属する受信ポートのみがマルチキャスト データを受信しなくなります。その他のスイッチのその他のすべての受信ポートは、引き続きマルチキャスト データを受信します。
マルチキャストTVアプリケーションでのMVRの使用方法
マルチキャストTVアプリケーションでは、PCまたはセットトップ ボックスを装備したTVで、マルチキャスト ストリームを受信することができます。複数のセットトップ ボックスまたは複数のPCは、MVRの受信ポートとして設定されたスイッチ ポートである、1つの加入者ポートに接続できます図 20-3に設定例を示します。セットトップ ボックスまたはPCには、DHCPによってIPアドレスが割り当てられます。加入者がチャネルを選択すると、対応するマルチキャストに加入するために、セットトップ ボックスまたはPCからスイッチAに対してIGMPレポートが送信されます。IGMPレポートが、設定済みのIPマルチキャスト グループ アドレスの1つと一致すると、スイッチのCPUは、ハードウェアのアドレス テーブルを変更し、指定されたマルチキャスト ストリームをマルチキャストVLANから受信した場合にそのマルチキャスト ストリームを転送する宛先として、この受信ポートとVLANをアドレス テーブルに追加します。マルチキャストVLANとの間でマルチキャスト データを送受信するアップリンク ポートを、MVR送信元ポートと呼びます。
図 20-3 MVRの例
加入者がチャネルを変更するか、TVをオフにすると、セットトップ ボックスからマルチキャスト ストリームのIGMP Leaveメッセージが送信されます。スイッチのCPUは、受信ポートのVLANを介して、MACベースの一般クエリを送信します。VLAN内に、このグループに加入している他のセットトップ ボックスがある場合には、そのセットトップ ボックスはクエリで指定された最大応答時間内に応答しなければなりません。応答を受信しない場合、CPUはこのグループの転送宛先から受信ポートを除外します。
即時脱退機能が受信ポートでイネーブルになっている場合は、ポートはより迅速にマルチキャスト グループを脱退します。即時脱退機能がイネーブルになっていない場合、スイッチは受信ポートの加入者からIGMP Leaveメッセージを受信すると、そのポートにIGMPクエリを送信してIGMPグループ メンバーシップ レポートを待ちます。設定された時間内にレポートを受信しなかった場合は、マルチキャスト グループ メンバーシップから受信ポートが削除されます。即時脱退機能を使用する場合、IGMPクエリは、IGMP Leaveメッセージを受信した受信ポートから送信されません。Leaveメッセージを受信するとただちに、受信ポートがマルチキャスト グループ メンバーシップから削除されるため、脱退遅延時間が短縮されます。即時脱退機能は、1つの受信デバイスを接続した受信ポートでだけイネーブルにしてください。
MVRでは、各VLANの複数の加入者に対してTVチャネルのマルチキャスト トラフィックを重複して送信する必要がありません。すべてのチャネルに対するマルチキャスト トラフィックが、VLANトランクで1回だけ送信されます(マルチキャストVLAN上のみ)。IGMP LeaveおよびJoinメッセージは、加入者ポートが割り当てられているVLAN内で送信されます。これらのメッセージによって、レイヤ3デバイス上でマルチキャストVLANのマルチキャスト トラフィック ストリームが、ダイナミックに登録されます。アクセス レイヤ スイッチ(スイッチA)は、マルチキャストVLANから別のVLAN上の加入者ポートにトラフィックが転送されるように転送動作を変更し、2つのVLAN間で伝送されるトラフィックを選択的に許可します。
IGMPレポートは、マルチキャスト データと同じIPマルチキャスト グループ アドレスに送信されます。スイッチAのCPUは、受信ポートからのすべてのIGMP JoinおよびLeaveメッセージを取り込み、MVRモードに基づいて、送信元(アップリンク)ポートのマルチキャストVLANに転送する必要があります。
MVRの設定
ここでは、基本的なMVRの設定情報について説明します。
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「MVRのデフォルト設定」
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「MVR設定時の注意事項および制限事項」
•
「MVRグローバル パラメータの設定」
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「MVRインターフェイスの設定」
MVRのデフォルト設定
表 20-5 に、MVRのデフォルト設定を示します。
表 20-5 MVRのデフォルト設定
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MVR |
グローバルおよびインターフェイス単位でディセーブル |
マルチキャスト アドレス |
設定なし |
クエリ応答時間 |
0.5秒 |
マルチキャストVLAN |
VLAN 1 |
モード |
互換 |
インターフェイス(ポート単位)のデフォルト |
受信および送信元のどちらのポートでもない |
即時脱退 |
すべてのポートでディセーブル |
MVR設定時の注意事項および制限事項
MVRの設定時は、次の注意事項に従ってください。
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受信ポートにすることができるのは、アクセス ポートのみです。トランク ポートは受信ポートに設定できません。スイッチの受信ポートは別のVLANに属していてもかまいませんが、マルチキャストVLANに属することはできません。
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スイッチ上に設定できるマルチキャスト エントリ(MVRグループ アドレス)の最大数(受信できるTVチャネルの最大数)は256です。
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送信元VLANで受信され受信ポートから送信されるMVRマルチキャスト データのTime To Live(TTL)は、Catalyst 3750スイッチを通過するたびに値が1ずつ小さくなります。
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Catalyst 3750スイッチのMVRでは、MACマルチキャスト アドレスでなくIPマルチキャスト アドレスが使用されるため、エイリアスが設定されたIPマルチキャスト アドレスを使用できます。ただし、スイッチがCatalyst 3550またはCatalyst 3500 XLスイッチと相互作用している場合は、IPアドレス間で、または予約済みのIPマルチキャスト アドレス(224.0.0.xxxの範囲)に対して、エイリアスを持つIPアドレスを設定しないでください。
•
スイッチ上でマルチキャスト ルーティングがイネーブルの場合、MVRはサポートされません。MVRがイネーブルの場合に、マルチキャスト ルーティングおよびマルチキャスト ルーティング プロトコルをイネーブルにすると、MVRがディセーブルになり、警告メッセージが表示されます。マルチキャスト ルーティングおよびマルチキャスト ルーティング プロトコルがイネーブルの場合に、MVRをイネーブルにしようとすると、MVRをイネーブルにする操作が取り消され、エラー メッセージが表示されます。
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スイッチ上で、MVRとIGMPスヌーピングを共存できます。
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MVR受信ポートで受信されたMVRデータは、MVR送信元ポートに転送されません。
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MVRは、IGMPv3メッセージをサポートしません。
MVRグローバル パラメータの設定
デフォルト設定を使用する場合には、オプションのMVRパラメータを設定する必要はありません。デフォルトのパラメータ値を変更する場合(MVR VLANを除く)には、先にMVRをイネーブルにする必要があります。
(注) ここで使用されるコマンドの構文および使用方法の詳細については、このリリースのコマンド リファレンスを参照してください。
MVRパラメータを設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
mvr |
スイッチ上でMVRをイネーブルに設定します。 |
ステップ 3 |
mvr group ip-address [ count ] |
スイッチ上にIPマルチキャスト アドレスを設定します。または、 count パラメータを使用して、連続するMVRグループ アドレスを設定します( count の範囲は1~256で、デフォルトは1です)。このアドレス宛のマルチキャスト データは、スイッチ上のすべての送信元ポート、およびこのマルチキャスト アドレス上のデータを受信するように設定されているすべての受信ポートに送信されます。各マルチキャスト アドレスは、1つのTVチャネルに対応付けられます。 |
ステップ 4 |
mvr querytime value |
(任意)マルチキャスト グループ メンバーシップから受信ポートを削除するまでに、受信ポートでIGMPレポート メンバーシップを待機する最大待機時間を指定します。値は、1/10秒単位で指定します。指定できる範囲は1~100で、デフォルトは5/10、つまり0.5秒です。 |
ステップ 5 |
mvr vlan vlan-id |
(任意)マルチキャスト データを受信するVLANを指定します。すべての送信元ポートはこのVLANに属する必要があります。指定できるVLAN IDの範囲は1~4094です。 デフォルトはVLAN 1です。 |
ステップ 6 |
mvr mode { dynamic | compatible } |
(任意)MVRモードを指定します。 • dynamic ― 送信元ポートでのダイナミックMVRメンバーシップを可能にします。 • compatible ― Catalyst 3500 XLおよびCatalyst 2900 XLスイッチと互換性があり、送信元ポートでのダイナミックなIGMP Joinをサポートしません。 デフォルト設定は、 compatible モードです。 |
ステップ 7 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 8 |
show mvr または show mvr members |
設定を確認します。 |
ステップ 9 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
スイッチをデフォルト設定に戻すには、 no mvr [ mode | group ip-address | querytime | vlan ]グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、MVRをイネーブルにして、MVRグループ アドレスを設定し、クエリ時間を1秒(10×1/10)に設定し、MVRマルチキャストVLANをVLAN 22として指定し、MVRモードをダイナミックに設定する方法を示します。
Switch(config)# mvr group 228.1.23.4
Switch(config)# mvr querytime 10
Switch(config)# mvr vlan 22
Switch(config)# mvr mode dynamic
show mvr members イネーブルEXECコマンドを使用すると、スイッチ上のMVRマルチキャスト グループ アドレスを確認することができます。
MVRインターフェイスの設定
レイヤ2 MVRインターフェイスを設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
mvr |
スイッチ上でMVRをイネーブルに設定します。 |
ステップ 3 |
interface interface-id |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始し、設定するレイヤ2ポートのタイプおよび番号を入力します。 |
ステップ 4 |
mvr typ e { source | receiver } |
MVRポートを次のいずれかに設定します。 • source ― マルチキャスト データを送受信するアップリンク ポートを送信元ポートとして設定します。加入者は、直接送信元ポートに接続できません。スイッチ上の送信元ポートは、すべて1つのマルチキャストVLANに属します。 • receiver ― ポートが加入者ポートで、マルチキャスト データの受信だけを行う場合には、受信ポートとして設定します。受信ポートは、スタティックな設定、またはIGMP JoinおよびLeaveメッセージによって、マルチキャスト グループのメンバーになるまでは、データを受信しません。受信ポートは、マルチキャストVLANに属することはできません。 デフォルト設定は非MVRポートです。MVR特性で非MVRポートを設定しようとすると、操作は無効になります。 |
ステップ 5 |
mvr vlan vlan-id group [ ip-address ] |
(任意)マルチキャストVLANおよびIPマルチキャスト アドレスに送信されたマルチキャスト トラフィックを受信するように、ポートをスタティックに設定します。グループのメンバーとしてスタティックに設定されたポートは、スタティックに削除されるまではグループ メンバーのままです。
(注) 互換モードでは、このコマンドは受信ポートのみに対して適用されます。ダイナミック モードでは、受信ポートおよび送信元ポートに適用されます。
受信ポートは、IGMP JoinおよびLeaveメッセージによって、マルチキャスト グループにダイナミックに加入することもできます。 |
ステップ 6 |
mvr immediate |
(任意)ポート上のMVRの即時脱退機能をイネーブルにします。
(注) このコマンドは受信ポートだけに適用します。この機能は単一の受信デバイスが接続されている受信ポート上でのみイネーブルにしてください。
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ステップ 7 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 8 |
show mvr show mvr interface または show mvr members |
設定を確認します。 |
ステップ 9 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
インターフェイスをデフォルト設定に戻すには、 no mvr [ type | immediate | vlan vlan-id | group ]インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、ポートを受信ポートとして設定し、マルチキャスト グループ アドレスに送信されたマルチキャスト トラフィックを受信するようにポートをスタティックに設定し、ポートに即時脱退機能を設定して、結果を確認する方法を示します。
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/2
Switch(config-if)# mvr type receiver
Switch(config-if)# mvr vlan 22 group 228.1.23.4
Switch(config-if)# mvr immediate
Switch# show mvr interface
Port Type Status Immediate Leave
---- ---- ------- ---------------
Gi1/0/2 RECEIVER ACTIVE/DOWN ENABLED
MVR情報の表示
スイッチまたは指定されたインターフェイスのMVR情報を表示できます。MVR情報を表示するには、イネーブルEXECモードで 表 20-6 のコマンドを実行します。
表 20-6 MVR情報表示用のコマンド
コマンド |
説明 |
show mvr |
スイッチのMVRステータスと値を表示します。これには、MVRがイネーブルまたはディセーブルであるかの判別、マルチキャストVLAN、マルチキャスト グループの最大数(256)および現在の数(0~256)、クエリ応答時間、およびMVRモードがあります。 |
show mvr interface [ interface-id ] [ members [ vlan vlan -id ]] |
すべてのMVRインターフェイスおよびそれぞれのMVRコンフィギュレーションを表示します。 特定のインターフェイスを入力すると、次の情報が表示されます。 • Type ― 受信(RECEIVER)または送信元(SOURCE) • Status ― 次のいずれか1つ – ACTIVEはポートがVLANに含まれていることを意味します。 – UP/DOWNはポートが転送中か非転送中のどちらかであるという意味です。 – INACTIVEはポートがどのVLANにも属していないことを意味します。 • Immediate Leave ― イネーブル(ENABLED)またはディセーブル(DISABLED) members キーワードを指定すると、このポートのすべてのマルチキャスト グループ メンバーが表示されます。また、VLAN識別子を指定すると、VLANのすべてのマルチキャスト グループ メンバーが表示されます。指定できるVLAN IDの範囲は1~4094です。先頭の0は入力しないでください。 |
show mvr members [ ip-address ] |
任意のIPマルチキャスト グループまたは指定されたIPマルチキャスト グループIPアドレスのメンバーであるすべての受信ポートおよび送信元ポートを表示します。 |
IGMPフィルタリングおよびIGMPスロットリングの設定
一部の環境(たとえば、メトロポリタンまたはMultiple-Dwelling Unit [MDU;集合住宅]インストレーション)では、スイッチ ポート上のユーザが所属する複数のマルチキャスト グループを管理する必要があります。この機能により、契約やサービス計画のタイプに基づいてIP/TVなどのマルチキャスト サービスの配信を制御できます。また、スイッチ ポート上のユーザが所属できるマルチキャスト グループ数を制限する必要もあります。
IGMPフィルタリング機能を使用すると、IPマルチキャスト プロファイルを設定して個々のスイッチ ポートに対応付けることにより、ポート単位でマルチキャスト加入をフィルタリングできます。IGMPプロファイルには1つまたは複数のマルチキャスト グループを格納できます。また、IGMPプロファイルによって、このグループへのアクセスを許可するか拒否するかを指定できます。マルチキャスト グループへのアクセスを拒否するIGMPプロファイルがスイッチ ポートに適用された場合、IPマルチキャスト トラフィックのストリームを要求するIGMP加入レポートは廃棄され、ポートはそのグループからIPマルチキャスト トラフィックを受信できません。フィルタリング アクションによってマルチキャスト グループへのアクセスが許可された場合、ポートからのIGMPレポートが転送され、通常の処理が行われます。
IGMPフィルタリングが制御するのは、JoinおよびLeaveレポートなど、グループ固有のクエリやメンバーシップ レポートだけです。一般的なIGMPクエリは制御しません。IGMPフィルタリングは、IPマルチキャスト トラフィックの転送指示機能には関係しません。フィルタリング機能は、マルチキャスト トラフィックの転送に、CGMPまたはMVRのどちらを使用しても同様に動作します。
IGMPフィルタリングを適用できるのは、IPマルチキャスト グループ アドレスをスタティックに設定する場合でなく、ダイナミックに学習する場合のみです。
レイヤ2インターフェイスが加入できるIGMPグループの最大数を設定することもできます。
IGMPスロットリング機能により、レイヤ2インターフェイスが加入できるIGMPグループの最大数を設定することもできます。IGMPグループの最大数が設定されていて、IGMPスヌーピング転送テーブルに最大数のエントリが含まれていて、さらにインターフェイスがIGMP Joinレポートを受信する場合、IGMPレポートを廃棄するか、または転送テーブルでランダムに選択されたマルチキャスト エントリを削除してから、レポート内のIGMPグループをテーブルに追加するようにインターフェイスを設定することができます。
(注) IGMPフィルタリングを実行しているスイッチでは、IGMPv3 JoinおよびLeaveメッセージはサポートされません。
ここでは、IGMPフィルタリングおよびIGMPスロットリングを設定する方法について説明します。
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「IGMPフィルタリングおよびIGMPスロットリングのデフォルト設定」
•
「IGMPプロファイルの設定」(任意)
•
「IGMPプロファイルの適用」(任意)
•
「IGMPグループの最大数の設定」(任意)
•
「IGMPスロットリング アクションの設定」(任意)
IGMPフィルタリングおよびIGMPスロットリングのデフォルト設定
表 20-7 に、IGMPフィルタリングのデフォルト設定を示します。
表 20-7 IGMPフィルタリングのデフォルト設定
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IGMPフィルタリング |
適用なし |
IGMPグループのIGMP最大数 |
最大値は設定なし |
IGMPプロファイル |
定義なし |
IGMPプロファイル アクション |
範囲アドレスを拒否 |
転送テーブルにグループの最大数がある場合、IGMPスロットリング アクションは、デフォルトでIGMPレポートを拒否します。設定時の注意事項については、 「IGMPスロットリング アクションの設定」を参照してください。
IGMPプロファイルの設定
IGMPプロファイルを設定するには、プロファイル番号を指定して ip igmp profile グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用し、IGMPプロファイル コンフィギュレーション モードを開始して、IGMPプロファイルを作成します。このモードでは、ポートからのIGMP Join要求をフィルタリングするのに使用する、IGMPプロファイルのパラメータを指定できます。IGMPプロファイル コンフィギュレーション モードの場合は、次のコマンドでプロファイルを作成できます。
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deny :一致アドレスを拒否するように指定します。これがデフォルトです。
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exit :IGMPプロファイル コンフィギュレーション モードを終了します。
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no :コマンドを無効にするか、そのデフォルトを設定します。
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permit :一致アドレスを許可するよう指定します。
•
range :そのプロファイルのIPアドレスの範囲を指定します。1つのIPアドレスまたは、開始アドレスおよび終了アドレスで指定した範囲を設定することもできます。
デフォルトでは、IGMPプロファイルが未設定です。プロファイルの設定時に、 permit または deny のどちらのキーワードも指定されていない場合は、デフォルトでIPアドレスの範囲へのアクセスが拒否されます。
IGMPプロファイルを作成するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip igmp profile profile number |
IGMPプロファイル コンフィギュレーション モードを開始し、設定するプロファイルに番号を割り当てます。指定できる範囲は1~4294967295です。 |
ステップ 3 |
permit | deny |
(任意)IPマルチキャスト アドレスへのアクセスを許可または拒否するアクションを設定します。アクションが設定されていない場合は、プロファイルのデフォルト設定によってアクセスが拒否されます。 |
ステップ 4 |
range ip multicast address |
アクセスが制御されるIPマルチキャスト アドレスまたはIPマルチキャスト アドレスの範囲を入力します。範囲を入力する場合は、最小値のIPマルチキャスト アドレス、スペース、最大値のIPマルチキャスト アドレスの順で入力します。 range コマンドを複数回使用すると、複数のアドレスまたはアドレス範囲を入力できます。 |
ステップ 5 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 6 |
show ip igmp profile profile number |
プロファイル設定を確認します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
プロファイルを削除するには、 no ip igmp profile profile number グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
IPマルチキャスト アドレスまたはIPマルチキャスト アドレス範囲を削除するには、 no range ip multicast address IGMPプロファイル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、1つのIPマルチキャスト アドレスへのアクセスを許可するIGMPプロファイル4を作成して、その設定を確認する例を示します。アクションが拒否(デフォルト)である場合は、 show ip igmp profile の出力には表示されません。
Switch(config)# ip igmp profile 4
Switch(config-igmp-profile)# permit
Switch(config-igmp-profile)# range 229.9.9.0
Switch(config-igmp-profile)# end
Switch# show ip igmp profile 4
range 229.9.9.0 229.9.9.0
IGMPプロファイルの適用
IGMPプロファイルの定義に従ってアクセスを制御するには、 ip igmp filter インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用して該当するインターフェイスにプロファイルを適用します。IGMPプロファイルを適用できるのは、レイヤ2ポートだけです。ルーテッド ポートやSVIには適用できません。また、EtherChannelポート グループに属するポートにはプロファイルを適用できません。1つのプロファイルを複数のインターフェイスに適用することができますが、各インターフェイスに適用できるプロファイルは1つだけです。
スイッチ ポートにIGMPプロファイルを適用するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始し、設定する物理インターフェイスを入力します。このインターフェイスには、EtherChannelポート グループに属していないレイヤ2ポートを指定しなければなりません。 |
ステップ 3 |
ip igmp filter profile number |
指定したIGMPプロファイルをこのインターフェイスに適用します。指定できるプロファイル番号の範囲は1~4294967295です。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config interface interface-id |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
インターフェイスからプロファイルを削除するには、 no ip igmp filter profile number インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、ポートにIGMPプロファイル4を提供する例を示します。
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/2
Switch(config-if)# ip igmp filter 4
IGMPグループの最大数の設定
ip igmp max-groups インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用すると、レイヤ2インターフェイスが加入できるIGMPグループの最大数を設定できます。最大数をデフォルト(制限なし)に戻す場合は、このコマンドの no 形式を使用します。
この制限が適用されるのはレイヤ2ポートだけです。ルーテッド ポートやSVIにはIGMPグループの最大数を設定できません。また、このコマンドを論理EtherChannelインターフェイスでも使用することはできますが、EtherChannelポート グループに属するポート上では、使用できません。
転送テーブルのIGMPグループの最大数を設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始し、設定するインターフェイスを入力します。このインターフェイスには、EtherChannelグループまたはEtherChannelインターフェイスに属していないレイヤ2ポートを指定することができます。 |
ステップ 3 |
ip igmp max-groups number |
インターフェイスが加入できるIGMPグループの最大数を設定します。指定できる範囲は0~4294967294で、デフォルトは最大値の設定なしです。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config interface interface-id |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
最大グループ数の制限を削除して、最大値なしのデフォルトに戻すには、 no ip igmp max-groups インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、ポートが加入できるIGMPグループ数を25に制限する例を示します。
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/2
Switch(config-if)# ip igmp max-groups 25
IGMPスロットリング アクションの設定
レイヤ2インターフェイスが加入可能なIGMPグループの最大数を設定したあとで、 ip igmp max-groups action replace インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用して、転送テーブルでランダムに選択されたマルチキャスト エントリを削除して、次のIGMPグループをテーブルに追加するよう設定できます。IGMP Joinレポートを廃棄するというデフォルトの設定に戻すには、このコマンドの no 形式を使用します。
IGMPスロットリング アクションを設定する場合は、次の注意事項に従ってください。
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この制限が適用されるのは、レイヤ2ポートだけです。このコマンドは、論理EtherChannelインターフェイスで使用できます。ただし、EtherChannelポート グループに属するポートでは使用できません。
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最大グループ制限が、デフォルトに設定されている場合(最大値の設定なし)は、 ip igmp max-groups action { deny | replace }コマンドを入力しても、影響しません。
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インターフェイスが転送テーブルにマルチキャスト エントリを追加したあとで、スロットリング アクションおよび最大グループ制限を設定すると、スロットリング アクションに応じて、転送テーブルのエントリは無効になるかまたは削除されます。
–
スロットリング アクションを deny に設定する場合は、すでに転送テーブルにあったエントリは、削除されず無効になります。これらのエントリが無効になり、エントリの最大数が転送テーブルある場合、スイッチはインターフェイスで次に受信したIGMPレポートを廃棄します。
–
スロットリング アクションを replace に設定する場合は、すでに転送テーブルにあったエントリは、削除されます。最大数のエントリが転送テーブルにあると、スイッチはランダムに選択されたエントリを削除して、インターフェイスで次に受信したIGMPレポートに関するエントリを追加します。
スイッチが転送テーブルのエントリを削除しないようにするには、インターフェイスがエントリを転送テーブルに追加する前に、IGMPスロットリング アクションを設定します。
転送テーブルに最大数のエントリがあるときに、スロットリング アクションを設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始し、設定する物理インターフェイスを入力します。このインターフェイスには、EtherChannelグループまたはEtherChannelインターフェイスに属していないレイヤ2ポートを指定することができます。インターフェイスは、トランク ポートになることはできません。 |
ステップ 3 |
ip igmp max-groups action { deny | replace } |
インターフェイスがIGMPレポートを受信して、最大数のエントリが転送テーブルにある場合に、インターフェイスが実行するアクションを指定します。 • deny ― レポートを廃棄します。 • replace ― 転送テーブルのマルチキャスト エントリをランダムに選択して削除し、レポートのIGMPグループを追加します。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブルEXECモードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config interface interface-id |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
レポートを廃棄するというデフォルトのアクションに戻るには、 no ip igmp max-groups action インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、最大数のエントリが転送テーブルにある場合に、転送テーブルでランダムに選択されたマルチキャスト エントリを削除して、IGMPグループを転送テーブルに追加するようポートに設定する例を示します。
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(config-if)# ip igmp max-groups action replace
IGMPフィルタリングおよびIGMPスロットリング設定の表示
IGMPプロファイルの特性を表示できます。また、スイッチのすべてのインターフェイスまたは指定したインターフェイスのIGMPプロファイルと最大グループ数設定を表示できます。また、スイッチ上のすべてのインターフェイスおよび特定のインターフェイスのIGMPスロットリング設定を表示することもできます。
IGMPフィルタリングおよびスロットリングの設定を表示するには、 表 20-8 に記載されたイネーブルEXECコマンドを使用します。
表 20-8 IGMPフィルタリングおよびスロットリング設定表示用のコマンド
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show ip igmp profile [ profile number ] |
指定されているIGMPプロファイル、またはスイッチ上で定義されているすべてのIGMPプロファイルを表示します。 |
show running-config [ interface interface-id ] |
指定されたインターフェイスまたはスイッチ上のすべてのインターフェイスの設定を表示します。インターフェイスが加入できるIGMPグループの最大数(設定されている場合)やインターフェイスに適用されているIGMPプロファイルなどがこれに含まれます。 |