インクルージョンとコラボレーション
シスコが何よりも重視しているのは、多様性、公平性、インクルージョンの推進です。シスコの社内だけでなく、お客様やパートナー、サプライヤの垣根を超え、世界中のコミュニティにその活動を広げています。
シスコが何よりも重視しているのは、多様性、公平性、インクルージョンの推進です。シスコの社内だけでなく、お客様やパートナー、サプライヤの垣根を超え、世界中のコミュニティにその活動を広げています。
シスコで働く私たちにとって、インクルージョンは単なる行動ではなく私たちの本質そのものです。
多様性、公平性、インクルージョンを推進するシスコの戦略により、潮流が起こることを狙っています。人々がつながろうとする動き、あらゆる多様性を尊重して人々のアイデンティティやニーズ、課題を深く知ろうとする動き、人材の募集、育成、昇進において、公平性と公正性をさらに推し進めようとする動き、さらには、人々が改めて一丸となり、すべての人が成功する「コンシャスカルチャー」を創ろうとする動きがこの潮流を生み出します。
性別、民族、人種、志向、年齢、能力、退役軍人の地位、宗教、文化、背景、経験、強み、観点などあらゆる多様性を尊重する取り組みはさらに勢いを増しています。
2022 年度は、全世界において従業員の多様化をさらに推し進めた結果、測定するすべてのカテゴリ(性別、人種、民族)で、これまでで最も多様性に富んだシスコが実現しました。これは 8 年連続です。
年ごとの増加率は物足りないかもしれませんが、業界を長い間悩ませてきた課題の解決を予見させる指標であるとシスコは考えています。
この変化は、あらゆる多様性を尊重して雇用の拡大や若手リーダーの育成と昇進を行う包括的な戦略によるものです。
シスコは、あらゆる多様性を尊重して人材の可能性を最大限に引き出すというビジョンを共有する組織と提携しています。昨年、OneTen Coalition に創設メンバーとして参加しました。OneTen の使命は、今後 10 年間で大学の学位を持たない AA/B 労働者 100 万人にスキルアップと再教育を行うことです。2022 年度、シスコは OneTen を通じて 75 人の新入社員に導入教育を実施しました。
Cisco Veteran Talent Incubation Program を通じて退役軍人や現役軍人の転業とスキルアップを支援し、シスコサービスの新任エンジニアとしてのスキルを身に付けてもらいました。また、Talent Hub チームと提携して、軍事基地から最近除隊した人材の採用を進めています。
シスコの多様な人材アクセラレータ(DTA)ソリューションは、プロセスの中で公正性、公平性、説明責任を実現するためにどのようにテクノロジーを活用しているかを示す一例です。DTA は、意思決定の時点でインテリジェンスが活用できるデジタルソリューションのスイートで、多様で優秀な人材の発掘、募集、選択、育成に用いることができます。DTA には以下のソリューションが含まれます。
世界中の 12,507 人を超えるシスコのリーダーと人事担当者が DTA のソリューションにアクセスして、公平な条件で採用決定を行っています。従業員グループの多くで多様化が着実に進展しています。
公平性、公正性、機会均等を拡大するための 5 ヵ年計画を着実に進めています。この取り組みはシスコ社内やシスコのエコシステムに限らず世界全体に広がっています。
社会正義のために果敢な行動をとることは、シスコのパーパス実現に欠かせません。そのために、人種差別、性差別、同性愛嫌悪、さまざまな形の不正や偏見といった長年の課題により大きな役割を担って取り組んでいきます。
2020 年、私たちはパーパス実現の一環として社会正義に取り組んでいくために社会正義の信念と 12 のアクションを策定しました。これは 3 億ドルをかけた 5 ヵ年計画であり、重要な社会問題に向き合い世代を超えた永続的な変化をもたらすことを目的としています。
公正はシスコの信念です。平等、基本的人権、尊重、機会均等、正義もシスコの信念です。シスコの存在とすべて行動の中核にあるのがシスコのパーパスです。
何事も他人事では済まされません。私たちは、コミュニティや世界各地で最も不正に苦しんでいる人々のために立ち上がります。これは私たちの責任あり名誉でもあります。
勇気を持つことはシスコの信念です。好奇心を持つこと、対話を深めること、不正、憎しみ、偏見、差別の中で生きてきた人々の実際の経験を理解することもシスコの信念です。私たちには、自分を阻むものに立ち向かう力があると信じています。
テクノロジーには世界をより良くする力があります。そう信じるからこそシスコは自らのテクノロジーを世の中のために使うことに全力を挙げています。さらに、人々やコミュニティに新しい可能性を切り拓く力を与えるテクノロジーを構築しています。
行動を起こすことはシスコの信念です。あらゆる多様性を支えるために大胆、勇敢かつ慎重に行動します。さらに、シスコのお客様、パートナー、サプライヤ、コミュニティにも一緒に行動するよう促します。
信念が私たちの原動力です。私たちに力を与え、私たちを後押ししてくれます。信念があるからこそ、現在、そして次の世代のために永続的な変化を生み出すことができるのです。シスコはすべての人のために行動します。
同時に、社会正義アクションには一段と高いレベルの一貫性、厳密さ、説明責任が求められています。さらに、シスコの各層からのより一層の支援を必要としています。
2021 年 5 月にシスコは、社会正義への取り組みとアクションチームを統括するインクルーシブな未来に向けたアクション事務局(IFAO)を設置しました。IFAO の役割は、シスコの社会正義アクションの戦略立案と実行を主導することです。つまり、すべての部門と地域から人材を集め、各自の視点、専門知識、スキルを結集してシスコのコミットメントの達成と可能性の拡大を図ることが求められています。
どのアクションも単独では実行できません。AA/B コミュニティに約束した社会正義アクションの初期 12 項目を達成する取り組みは、多様性の促進から後援関係の拡大、多様なサプライヤからの調達額の倍増にいたるまで、多様性、公平性、インクルージョンに関するシスコの包括的な戦略に組み込まれています。シスコのエグゼクティブ リーダーシップ チームの各メンバーは、少なくとも 1 つの社会正義アクションに責任を負います。
シスコの触れ合いイニシアチブは、リーダーシップとコラボレーションの姿を変えつつあります。その手段となっているのが、リーダーとチームが話題を共有し、臆すことなく対話を行って、互いに協力しながらビジネスのあらゆる側面にインクルーシブな行動を組み込んでいくという取り組みです。
この取り組みの中心となっているのが、さまざまな多様性を持つリーダーと従業員が 1 対 1 で対話する触れ合いミーティングです。この取り組みでは、2022 年度にコーチングプログラムを拡張しました。対話から得られたインサイトに基づいて理解を深め、インクルーシブなリーダーシップを推進していくことを目的としたプログラムで、
VP レベル以上のリーダー 300 人以上が重要なトピックスについてコーチングを受けました。取り上げたトピックスとしては、触れ合いを深める際のアイデンティティ、共感、好奇心の役割や、長年の課題を克服するうえでのアライシップの重要性などがあります。この取り組みの詳細については、以下のリソースをご覧ください。
シスコには、グローバル インクルーシブ コミュニティと呼ばれる従業員主体の組織が 27 あり、シスコの従業員がコミュニティ内およびアライ間でつながるのを支援しています。インクルーシブコミュニティは現在 70 ヵ国以上に 300 の支部を設けており、シスコの従業員の 4 人に 1 人が少なくとも 1 つのコミュニティに参加しています。
インクルーシブコミュニティは独自の戦略に沿って多様性を育み、シスコというグローバル企業全体で連携することで、より多くの人に参画を促し、高度な「コンシャスカルチャー」を醸成しています。このコミュニティは多様な人材の募集、定着化、育成、昇進の施策や、世界各地のコミュニティの人々にプラスの影響を与えるための施策で、毎年影響力を拡大し続けています。シスコのグローバル インクルーシブ コミュニティとよりシームレスな関係を構築したことも、触れ合いを深めるうえで重要な役割を果たしました。2022 年度には、インクルーシブコミュニティと提携して、700 を超える触れ合いミーティングを実施しました。VP レベル以上のエグゼクティブであれば、触れ合いイニシアチブに参加する機会があります。
シスコのグローバル インクルーシブ コミュニティは、社会正義の推進においても重要な役割を果たしています。シスコでは毎年 1 回、社会正義週間を実施していましたが、2022 年度はこのコミュニティの協力によって通年の社会正義運動に拡大されました。さまざまなコミュニティが、ゲストスピーカーによる講演、パネルディスカッション、個人的な体験談などを織り込んだイベントを毎月開催しています。触れ合いを深め、迅速な行動により従業員の協力関係を変革することを狙った企画です。
メンバーは、全社規模の仮想チェックインに頻繁にゲストとして参加することで影響力を大幅に拡大することができます。臆することなく会話を行うよう促し、人種やアイデンティティなどのトピックスや、コミュニティの中だけでなく世界各地にはびこる構造的な不正や不平等の影響について理解を深める手助けをします。
グローバル インクルーシブ コミュニティが力強く役割を果たしているなかで、シスコもコミュニティに対する支援を拡大しています。シスコは最近、構造化された運用モデルを作成しました。このモデルでは、採用、定着化、育成、ビジネスや社会への貢献を推進できるプログラムをインクルーシブコミュニティが提供します。拡張された資金調達モデルとリーダー継承計画がその例です。2022 年度には、表彰と報酬のプログラムを拡大し、グローバル、地域、支部レベルのコミュニティリーダーを対象に含めました。
シスコは、インクルージョンとダイバーシティに関する最重要課題に取り組むためにソリューションの革新を進めています。さらに、シスコのエコシステム全体に影響を与えられるようイニシアチブの拡大を続けています。
5 年前、シスコは前例のない The Multiplier Effect(TME)プログラムを構築して導入しました。これは、従業員の間に後援関係を築いて多様性を促進していこうという大胆な取り組みです。あらゆるレベルのリーダーに、個人的な誓いとして、自分とは異なる優れた従業員を 1 人以上後援してキャリアアップを支援し、この取り組みを同僚にも促すことを勧めています。導入以来 2,446 人が後援者になり、3,761 人が後援を受けています。
迅速に効果を上げるための、エグゼクティブ リーダーシップ チーム、シニア バイス プレジデント、バイスプレジデント、リーダーが達成すべき参加率の全社目標を設定しました。この 3 年間で、シスコのバイスプレジデントの 100% がこの誓いを立てています。このプログラムは、後援する側とされる側の双方にメリットをもたらします。データによると、TME の後援者や後援を受けたシスコの従業員は、そうでない従業員よりも昇進する可能性が高くなっています。
また、従業員に公正な賃金を支払うことはシスコの長年の約束であり、その実現に向けた取り組みの革新と拡大を継続しています。2016 年、シスコは、White House Equal Pay Pledge(ホワイトハウスの公正な賃金の誓約)に署名した 28 人の創設署名者の一員として全国的なリーダーシップの役割を担い、すべての人への公正な賃金支払いを推進しました。シスコはさまざまな業界の企業と協力して、Employers for Pay Equity Consortium(雇用者のための賃金公正化コンソーシアム)を立ち上げました。コンソーシアムは、すべての従業員に公正な賃金を支払うという約束を履行できるよう支援を提供します。
シスコの賃金格差の縮小イニシアチブは、性別(世界的に)や民族(米国では連邦政府の定義による)に関係なく、すべての人々に公正な賃金が支払われることを目的としています。シスコは、新入社員の条件提示から個人に対する報奨にいたるまで、公平な処遇に影響を与える重要な要素について定期的に見直しを行っています。シスコの従業員に対し、公正でインクルーシブでありながら他社に負けない賃金を設定して支払い続けられるようにすることが目的です。2022 年度からは、性別と民族にまたがる交差分析を見直しの要素に組み入れるようになりました。
2021 年度には、「社会正義アクション 3:賃金格差の縮小を推進する」の一環としてシスコのプログラムを拡大して、基本給だけでなく昇進、賞与、報酬プログラムで付与される株式などのさまざまな形の報酬でも公正さを保つようにしています。
データに基づくインサイトは、シスコのインクルージョンとコラボレーション(I&C)の戦略に不可欠な役割を果たしてきました。シスコの I&C アプローチが進化するにつれて、指標も進化させる必要があります。2021 年の初めに、シスコはセルフ ID を開始しました。これは、従業員が会社と共有する個人データのカテゴリを拡大する取り組みで、従業員は政府が要求している分類以外のアイデンティティの重要な側面を共有することができます。たとえば詳細な性自認、詳細な人種および民族、性的指向、ジェンダー代名詞、軍歴などがあります。
セルフ ID のおかげで、公平な給与および報酬、福利厚生、人材ライフサイクル全体での従業員エンゲージメントといったトピックについてより詳細なインサイトを得られるようになりました。従業員が共有したすべてのデータは最高レベルのセキュリティとプライバシーが確保された環境で管理されています。セルフ ID は現在 36 ヵ国で導入されており、従業員が自身のアイデンティティをシスコと共有する新しい機会となっています。
「すべての人のためにインクルーシブな未来を実現する」というパーパスにはサプライヤに多様性、公平性、インクルージョンを拡大していくことも含まれます。サプライヤには、シスコと同じ厳密さで従業員の多様性を追跡して報告することを求めています。その見返りとして、多様性を促進することを目的としたイノベーションと実績のあるソリューションを提供しています。2022 年度は、シスコで大きな成果を挙げている「コンシャスカルチャーに適応できるスキルの構築」トレーニングを主要なサプライヤに提供し始めました。
シスコは、多様性の促進、インクルージョンの推進、「コンシャスカルチャー」での真のつながりの構築を担うリーダーをあらゆるレベルで育成しています。
シスコの「コンシャスカルチャー」は、その担い手が学び、探求し、進歩し続けることで繁栄します。能力開発の機会の目的は、あらゆるレベルのリーダーがインクルーシブな考え方、スキルセット、ツールセットを身に付けられるようサポートすることです。
コロナ禍の間に、ほとんどの取り組みを完全な仮想環境に移行しました。その結果、世界のどこからでも参加できるようになりました。毎年、参加者が驚異的な伸びを見せています。データによれば、能力開発の機会の品質と有効性が、従業員がシスコに留まってキャリアを積み、昇進を手にする理由の 1 つになっています。最近の注目すべきリーダーシップ能力開発プログラムは以下のとおりです。
プログラム | 内容 |
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プログラムコンシャスカルチャーに適応できるスキルの構築 | 内容 これは、基礎を学ぶインクルーシブな E ラーニングと能力開発のソリューションです。現在、世界中のすべての従業員が 6 つの言語で利用できます。このトレーニングでは、意識変革によって偏見を軽減し職場に潜むハラスメントを識別できるようになることを目指し、共通の言葉と包括的なアプローチを学びます。無意識の偏見が決定や行動にどのように影響するかを学びます。仕事の割り当て方やミーティングでの意見の取り上げ方など、一部の人々を支援し他の人々を妨害する行動の一般的な例を示します。2022 年度はリーダーの 92% が研修を修了しました。 |
プログラム次世代リーダー(NGL) | 内容 これは、重要なリーダーシップスキルを身に付けるプログラムで、AA/B、ヒスパニック系およびラテン系のミドルレベルからシニアレベルの従業員、および AA/B のジュニアグレードの従業員を対象にしています。2021 年度は NGL に次世代リーダーキャリア早期(NGLE)プログラムを新設しました。このプログラムはシスコのリーダー候補となる人材の確保が目的です。マネージャと配下の従業員は 6 ヵ月間の研修を通じて、違いの受容、障壁の克服、才能の発掘、現状を打破する思考の育成に取り組みます。過去 5 年間を見ると、NGL に参加した AA/B の従業員は、参加していない黒人の従業員に比べて昇進する割合が 1.8 倍となっています。 |
プログラムDARE | 内容 このプログラムは、キャリアの早い段階にあるシスコの女性従業員が抱えている職務上のニーズに焦点を当てています。このプログラムでは数多くの訓練、実践、ツールが用意されています。従業員はこれを利用して、ビジネスにおける自己の価値の明確化、支えあい影響を与えあうコミュニティの構築、お互いの力を利用した大胆なキャリアビジョンの作成、ビジョンを実現するための計画の立案に取り組みます。DARE に参加した従業員は、参加していない従業員に比べて昇進する割合が 1.2 倍となり、シスコに留まりキャリアを築く割合が 1.3 倍となっています。 |
プログラムJUMP | 内容 このプログラムはミドルレベルの女性従業員を対象とし、世界クラスのリーダーの育成、リーダー層における男女格差の解消、優秀人材の育成と定着化を目標としています。潜在能力の高い女性従業員が、数日間にわたる 3 つの講師付きワークショップでつながり、権威者としての振る舞い方からリスクの取り方まであらゆることを身に付けます。JUMP に参加した従業員は、参加していない従業員に比べて昇進する割合が 1.4 倍となっています。 |
プログラムシスコ インクルーシブ コミュニティ | 内容 シスコ インクルーシブ コミュニティは、シスコのリーダーシップ能力開発に欠かせない人と人とのつながりです。このコミュニティは、学習や能力開発のためのイベントの企画やプログラムの開発に取り組み、メンバーだけでなく全従業員に提供しています。例としては、LinkedIn Learning/Degreed パスウェイ、Connected Black Professionals の Elevate シリーズ、Conexion の ConexTALK シリーズがあります。シスコの「影響力ある女性」プログラムは、毎年 3 月の 1 ヵ月間を機会として活用しプログラムの価値を高めています。 |
プログラム外部のパートナーシップとプラットフォーム | 内容 シスコは能力開発戦略の対象としている領域で卓越した世界クラスの組織と提携しています。現在提携している組織としては、National Association of Black Accountants、Association of Latino Professionals for America、AnitaB.org、Executive Leadership Council、IT Senior Management Forum、Hispanic IT Executive Council(HITEC)、Simmons Leadership Conference、Conferences for Women、YWCA、Out & Equal、Lesbians Who Tech、Vets in Tech などがあります。 |
ハイブリッドワークが一般的になったのに合わせて、ソーシャルディスタンスに配慮した小さなカンファレンスや大規模な仮想イベントへの参加に移行したものもあります。2022 年度には、3,000 人を超えるシスコの従業員が参加し、これらの影響力のある能力開発プログラムから恩恵を受けました。これらのプログラムの多くでシスコのテクノロジーが活用されています。