Cisco ASR 9000 シリーズ ルータでの物理インターフェイスのプリコンフィギュレーション
このモジュールでは、Cisco ASR 9000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータでの物理インターフェイスのプリコンフィギュレーションについて説明します。
プリコンフィギュレーションは、次のタイプのインターフェイスやコントローラでサポートされます。
• ギガビット イーサネット
• 10 ギガビット イーサネット
• 管理イーサネット
• Packet-over-SONET/SDH(POS)
• シリアル(Serial)
• SONET コントローラおよびチャネライズド SONET コントローラ
プリコンフィギュレーションによって、モジュラ サービス カードをルータへの装着前に設定できます。カードを装着すると、ただちに設定されます。
プリコンフィギュレーション情報は、通常の方法で設定されたインターフェイスの場合とは異なり、別のシステム データベース ツリー(ルート スイッチ プロセッサ(RSP)上の プリコンフィギュレーション ディレクトリ )に作成されます。
検証機能が動作するのはモジュラ サービス カード上に限られるため、モジュラ サービス カードが存在していなければ検証できないプリコンフィギュレーション データもあります。このようなプリコンフィギュレーション データは、モジュラ サービス カードを装着し、検証機能が起動したときに検証されます。設定がプリコンフィギュレーション領域からアクティブ領域にコピーされるときにエラーが検出されると、設定は拒否されます。
(注) プリコンフィギュレーションを実行できるのは物理インターフェイスだけです。
物理インターフェイスのプリコンフィギュレーション機能の履歴
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リリース 3.7.2 |
イーサネット インターフェイスのプリコンフィギュレーションが導入されました。 |
リリース 4.0.0 |
POS インターフェイスのプリコンフィギュレーションが追加されました。 |
物理インターフェイスのプリコンフィギュレーションを行うための前提条件
適切なタスク ID を含むタスク グループに関連付けられているユーザ グループに属している必要があります。 このコマンド リファレンスには、各コマンドに必要なタスク ID が含まれます。 ユーザ グループの割り当てが原因でコマンドを使用できないと考えられる場合、AAA 管理者に連絡してください。
物理インターフェイスのプリコンフィギュレーションを行う前に、次の条件が満たされていることを確認してください。
• プリコンフィギュレーション ドライバおよびファイルがインストールされている必要があります。プリコンフィギュレーション ドライバがインストールされていなくても物理インターフェイスのプリコンフィギュレーションを行える場合もありますが、ルータ上で有効なインターフェイス名の文字列を提供するインターフェイス定義ファイルを設定するには、プリコンフィギュレーション ファイルが必要です。
物理インターフェイスのプリコンフィギュレーションに関する情報
インターフェイスのプリコンフィギュレーションを行うには、次の概念を理解しておく必要があります。
• 「物理インターフェイスのプリコンフィギュレーションの概要」
• 「インターフェイスのプリコンフィギュレーションを行う利点」
• 「インターフェイス プリコンフィギュレーション コマンドの使用方法」
• 「アクティブ/スタンバイ RSP および仮想インターフェイスの設定」
物理インターフェイスのプリコンフィギュレーションの概要
プリコンフィギュレーションは、インターフェイスがシステムに存在しないうちにインターフェイスを設定する作業です。プリコンフィギュレーションされたインターフェイスは、位置(ラック/スロット/モジュール)が一致するインターフェイスが実際にルータに装着されるまで検証または適用されません。適切なモジュラ サービス カードが装着され、インターフェイスが作成されると、事前に作成された設定情報が検証され、問題がなければ、ただちにルータの実行コンフィギュレーションに適用されます。
(注) 適切なモジュラ サービス カードを装着するときには、適切な show コマンドを使用してプリコンフィギュレーションの内容を検証してください。
プリコンフィギュレーション済みの状態にあるインターフェイスを表示するには、 show run コマンドを使用します。
(注) カードを装着し、インターフェイスをアップ状態にするときに、想定される設定と実際にプリコンフィギュレーションされたインターフェイスを比較できるように、サイト プランニング ガイドにプリコンフィギュレーション情報を記入することをお勧めします。
ヒント プリコンフィギュレーションを実行コンフィギュレーション ファイルに保存するには、commit best-effort コマンドを使用します。commit best-effort コマンドは、ターゲット コンフィギュレーションと実行コンフィギュレーションを結合し、有効な設定だけをコミットします(ベストエフォート)。セマンティック エラーにより一部の設定が適用されないこともありますが、その場合でも有効な設定はアップ状態になります。
インターフェイスのプリコンフィギュレーションを行う利点
プリコンフィギュレーションによって、新しいカードをシステムに追加するときのダウンタイムが短縮されます。プリコンフィギュレーションを行うと、新しいモジュラ サービス カードが即座に設定され、カードのブートアップ中も動作します。
プリコンフィギュレーションを行うもう 1 つの利点は、モジュラ サービス カードの交換時に、カードを取り外した後でも、以前の設定を表示し、変更できることです。
インターフェイス プリコンフィギュレーション コマンドの使用方法
システムにまだ存在しないインターフェイスのプリコンフィギュレーションを行うには、グローバル コンフィギュレーション モードで interface preconfigure コマンドを使用します。
interface preconfigure コマンドによって、ルータはインターフェイス コンフィギュレーション モードに移行します。ユーザは、使用可能なすべてのコマンドを追加できます。プリコンフィギュレーションされたインターフェイス用に登録された検証機能により、設定が検証されます。ユーザが end コマンドを入力するか、それに対応する exit コマンドやグローバル コンフィギュレーション コマンドを入力すると、プリコンフィギュレーションが完了します。
(注) モジュラ サービス カードを装着しなければ検証できない設定もあります。
(注) 新たにプリコンフィギュレーションされたインターフェイスには no shutdown コマンドを入力しないでください。このコマンドの no 形式は既存の設定を削除するものであり、この場合は既存の設定が存在しないからです。
ユーザがプリコンフィギュレーション時に指定する名前は、作成するインターフェイスの名前と一致する必要があります。インターフェイス名が一致しない場合、インターフェイスの作成時にプリコンフィギュレーションを適用できません。インターフェイス名は、ルータがサポートし、対応するドライバがインストール済みのインターフェイス タイプから始めます。ただし、スロット、ポート、サブインターフェイス番号、およびチャネル インターフェイス番号の情報は検証できません。
(注) すでに存在し、設定されているインターフェイス名(または e0/3/0/0 のような省略形)は指定できません。
アクティブ/スタンバイ RSP および仮想インターフェイスの設定
スタンバイ RSP は、必要時に使用可能になり、アクティブ RSP から作業を引き継げる状態になります。スタンバイ RSP がアクティブ RSP となり、アクティブ RSP の役割を引き継ぐ必要のある状況を次に示します。
• ウォッチドッグによる障害検出
• スタンバイ RSP に対する管理上の引き継ぎ命令
• シャーシからのアクティブ RSP の取り外し
セカンダリ RSP がシャーシに搭載されていなかった場合、プライマリの稼働中にセカンダリ RSP を搭載すると、自動的にスタンバイ RSP になります。シャーシからスタンバイ RSP を取り外しても、RSP の冗長性が失われるだけで、システムに影響はありません。
フェールオーバー後、すべての仮想インターフェイスはスタンバイ(新たにアクティブになった)RSP に存在します。仮想インターフェイスの状態と設定は変更されず、フェールオーバー中にインターフェイス経由の転送(トンネルの場合)が失われることはありません。Cisco ASR 9000 シリーズ ルータは、ホスト RSP のフェールオーバーを通じて、トンネル上で無停止転送(NSF)を使用します。
(注) スタンバイ インターフェイス設定の維持されることを保証するために、設定は特に必要ありません。
物理インターフェイスのプリコンフィギュレーションを行う方法
ここでは、インターフェイスの最も基本的なプリコンフィギュレーションについてのみ説明します。
手順の概要
1. configure
2. interface preconfigure type interface-path-id
3. ipv4 address ip-address subnet-mask
4. 追加のインターフェイス パラメータを設定します。
5. end
または
commit
6. exit
7. exit
8. show running-config
手順の詳細
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ステップ 1 |
configure
RP/0/RSP0/CPU0:router# configure |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface preconfigure type interface-path-id
RP/0/RSP0/CPU0:router(config)# interface preconfigure GigabitEthernet 0/1/0/0 |
インターフェイスのインターフェイス プリコンフィギュレーション モードを開始します。 type ではサポート対象のインターフェイス タイプのうちどれを設定するかを指定し、 interface-path-id ではインターフェイスの場所を rack / slot / module / port 表記で指定します。 |
ステップ 3 |
ipv4 address ip-address subnet-mask または ipv4 address ip-address / prefix
RP/0/RSP0/CPU0:router(config-if-pre)# ipv4 address 192.168.1.2/32 |
IP アドレスとマスクをインターフェイスに割り当てます。 |
ステップ 4 |
追加のインターフェイス パラメータを設定します。詳細については、設定するインターフェイスのタイプに対応する、このマニュアルの設定の章を参照してください。 |
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ステップ 5 |
end または commit best-effort
RP/0/RSP0/CPU0:router(config-if-pre)# end または RP/0/RSP0/CPU0:router(config-if-pre)# commit |
設定変更を保存します。 • end コマンドを実行すると、変更をコミットするように要求されます。 Uncommitted changes found, commit them before exiting (yes/no/cancel)? – yes と入力すると、実行コンフィギュレーション ファイルに設定変更が保存され、コンフィギュレーション セッションが終了し、ルータが EXEC モードに戻ります。 – no と入力すると、コンフィギュレーション セッションが終了して、ルータが EXEC モードに戻ります。変更はコミットされません。 – cancel と入力すると、現在のコンフィギュレーション セッションが継続します。コンフィギュレーション セッションは終了せず、設定変更もコミットされません。 • 設定変更を実行コンフィギュレーション ファイルに保存し、コンフィギュレーション セッションを継続するには、 commit best-effort コマンドを使用します。 commit best-effort コマンドは、ターゲット コンフィギュレーションと実行コンフィギュレーションを結合し、有効な変更だけをコミットします(ベストエフォート)。セマンティック エラーが原因で、一部の設定変更は失敗する場合もあります。 |
ステップ 6 |
show running-config
RP/0/RSP0/CPU0:router# show running-config |
(任意)現在ルータで使用されている設定情報を表示します。 |
物理インターフェイスのプリコンフィギュレーション例
ここでは、次の例について説明します。
「インターフェイスのプリコンフィギュレーション:例」
インターフェイスのプリコンフィギュレーション:例
次に、基本的なイーサネット インターフェイスのプリコンフィギュレーション例を示します。
RP/0/RSP0/CPU0:router# configure
RP/0/RSP0/CPU0:router(config)# interface preconfigure GigabitEthernet 0/1/0/0
RP/0/RSP0/CPU0:router(config-if)# ipv4 address 192.168.1.2/32
RP/0/RSP0/CPU0:router(config-if)# commit
その他の関連資料
ここでは、物理インターフェイスのプリコンフィギュレーションに関連する参考資料について説明します。
関連資料
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マスター コマンド リファレンス |
『Cisco ASR 9000 Series Aggregation Services Routers Master Command Listing』 |
インターフェイス コンフィギュレーション コマンド |
『Cisco ASR 9000 Series Aggregation Services Routers Interface and Hardware Component Command Reference』 |
初期システム起動と設定の情報 |
『Cisco ASR 9000 Series Router Getting Started Guide』 |
ユーザ グループとタスク ID に関する情報 |
『Cisco IOS XR Task ID Reference Guide』 |
標準
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この機能でサポートされる新規の標準または変更された標準はありません。また、既存の標準のサポートは変更されていません。 |
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MIB
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このモジュールに適用できる MIB はありません。 |
Cisco IOS XR ソフトウェアを使用して選択したプラットフォームの MIB を検索およびダウンロードするには、次の URL の Cisco MIB Locator を使用します。 http://cisco.com/public/sw-center/netmgmt/cmtk/mibs.shtml |
RFC
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この機能によりサポートされた新規 RFC または改訂 RFC はありません。またこの機能による既存 RFC のサポートに変更はありません。 |
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