ユーザとグループの設定
Cisco Unity Express の設定機能と管理機能はすべて、グラフィカル ユーザ インターフェイス(GUI)から使用できます。ただし、GUI よりもコマンドライン インターフェイス(CLI)を使用した方が効率的になる場合があります。たとえば、特定のシステムに対して多数のユーザを設定するためのスクリプトを作成する場合があります。この場合は、CLI を使用した方がより効率的な場合があります。
この章では、次のタスクを実行するコマンドについて説明します。この章は、次の項で構成されています。
• 「前提条件」
• 「ユーザの追加と変更」
• 「グループの追加と変更」
• 「特権の設定」
前提条件
Cisco Unified CME ルータまたは Cisco Unified Communications Manager サーバに接続されている、電話機および内線の設定が完了していることを確認します。まだ設定が完了していない場合は、手順について、『 Cisco Unified Communications Manager Administration Guide 』または『 Cisco Unified CME System Administrator Guide 』を参照してください。Cisco Unified CME システムの場合は、これらの手順に Cisco Unity Express GUI を使用できます。
ユーザの追加と変更
Cisco Unified CME または Cisco Unified Communications Manager で設定されたユーザは、Cisco Unity Express データベースにインポートできます。
• Cisco Unity Express は、そのデータベースを Cisco Unified Communications Manager データベースと自動的には同期 しません 。Cisco Unity Express で定義されたユーザを Cisco Unified Communications Manager データベースに入れる必要がある場合は、あとで Cisco Unified Communications Manager に戻り、そこでユーザを定義してください。
(注) Cisco Unity Express で [Configure] --> [Users] を使用して Cisco Unified CME ユーザのパスワードを変更した場合、そのユーザのパスワードは Cisco Unified CME で更新されます。ただし、その逆は当てはまりません。つまり、Cisco Unified CME で変更したユーザ パスワードは、Cisco Unity Express で更新されません。
• Cisco Unity Express と Cisco Unified CME のデータベースの同期をとるには、Cisco Unity Express GUI オプションの [Administration] > [Synchronize Information] を使用します。
ここで説明する手順を使用すると、システムに新規のユーザを作成できます。既存のユーザのプロパティを変更するときは、同じ手順を使用します。
Cisco Unity Express では、メールボックス数の 2 倍のユーザがサポートされます。システム管理者など、ユーザによってはボイスメールボックスが割り当てられない場合があります。ユーザの最大数は、モジュールのライセンスによって決まります。モジュールに許容されるユーザの最大数については、 プロンプト ファイルの録音を参照してください。
この手順に必要なデータ
ユーザを追加または変更するには、次の情報が必要です。
• ユーザ名:ユーザ ID。ユーザ名の長さは、3 ~ 32 文字にする必要があります。Cisco Unity Express では、ユーザ ID に英字、数字、下線(_)、ドット(.)、およびダッシュ(-)だけを使用できます。ユーザ ID の先頭は英字にする必要があります。ユーザ名にはスペースは使用できません。
• (オプション)ログイン ユーザ名:ユーザの姓名。引用符(" ")で囲む必要があります。
• (オプション)グループ:このユーザが属する既存のグループの名前。
• (オプション)パスワード:Cisco Unity Express GUI にログインするためのパスワード。パスワードの長さは、3 ~ 32 文字にする必要があります。スペースは使用できません。
• (オプション)PIN:TUI にログインするための Personal Identification Number(PIN; 個人識別番号)。PIN の長さは、3 ~ 16 桁の数字にする必要があります。
(注) PINless ボイスメールを設定する方法については、 PINless メールボックス アクセスの設定を参照してください。
概略手順
EXEC モード:
1. username userid [ create | delete | fullname [ first " first-name " | last " last-name " |
display " full-name " ] | group group-name | language " language " | password " password " | pin number ]
2. show users
または
show user detail username userid
3. copy running-config startup-config
設定モード:
1. config t
2. username userid [ create | phonenumber phone-number | phonenumberE164 full-number ]
3. exit
4. show users
または
show user detail username userid
5. copy running-config startup-config
詳細手順
EXEC モード:
|
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ステップ 1 |
username userid [ create | delete | fullname [ first “ first-name ” | last “ last-name ” | display “ full-name ” ] | group group-name | language “ language ” | password “password” | pin number ]
se-10-0-0-0# username user1 create se-10-0-0-0# username user2 fullname display “User 2” se-10-0-0-0# username user2 group sales se-10-0-0-0# username user2 password “green” se-10-0-0-0# username user2 pin 4444 se-10-0-0-0# username user2 delete |
指定されたユーザ ID でユーザを作成します。ユーザに関する追加情報は、オプションのパラメータで設定します。 • userid :ユーザのユーザ ID。ユーザ ID の長さは、2 ~ 31 文字にする必要があります。Cisco Unity Express では、ユーザ ID に英字、数字、下線(_)、ドット(.)、およびダッシュ(-)だけを使用できます。ユーザ名にはスペースは使用できません。ユーザ ID の先頭は英字にする必要があります。 • create : 他の情報を設定せずにユーザを作成します。 • delete :既存のユーザを削除します。 • fullname :このユーザのログイン ユーザ名を指定します。このログイン ユーザ名は、電話機のディスプレイに表示されます。 • group :このユーザを既存のグループと関連付けます。 • language :指定されたユーザに使用するデフォルトの言語を指定します。使用可能な言語のリストについては、『 Release Notes for Cisco Unity Express 』を参照してください。 • password : このユーザのパスワードを指定します。 password 値は、引用符(" ")で囲んで入力する必要があります。スペースは使用できません。使用できるパスワード文字は、a ~ z の小文字、A ~ Z の大文字、0 ~ 9 の数字、および - , . + = _ ! @ # $ ^ * ( ) ? / ~ < > & % の記号です。 • pin :このユーザの個人識別番号(PIN)を指定します。ユーザはボイスメール システムにアクセスするときに、電話機からこの番号を入力します。PIN には、最大 16 桁の数字を含めることができます。アスタリスク(*)とシャープ記号(#)は使用できません。 |
ステップ 2 |
show users または、 show user detail username userid
se-10-0-0-0# show user detail username user2 |
システムに設定されている全ユーザのユーザ ID のリストを表示します。 または、 指定されたユーザに対して設定された詳細情報を表示します。 |
ステップ 3 |
copy running-config startup-config
se-10-0-0-0# copy running-config startup-config |
コンフィギュレーションの変更部分をスタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。 |
例
次の出力は、 show users コマンドと show user detail username コマンドを示しています。
se-10-0-0-0# show user detail username user2
設定モード:
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ステップ 1 |
config t
se-10-0-0-0# config t |
設定モードを開始します。 |
ステップ 2 |
username userid [ create | phonenumber phone-number | phonenumberE164 full-number ]
se-10-0-0-0(config)# username user3 create se-10-0-0-0(config)# username user3 phonenumber 50180 se-10-0-0-0(config)# username user3 phonenumberE164 13335550180 |
指定されたユーザ ID でユーザを作成します。ユーザに関する追加情報は、オプションのパラメータで設定します。 • userid :ユーザのユーザ ID。ユーザ ID の長さは、2 ~ 31 文字にする必要があります。Cisco Unity Express では、ユーザ ID に英字、数字、下線(_)、ドット(.)、およびダッシュ(-)だけを使用できます。ユーザ名にはスペースは使用できません。ユーザ ID の先頭は英字にする必要があります。 • create :他の情報を設定せずにユーザを作成します。 • phonenumber :このユーザの電話番号または内線番号を指定します。スペースやダッシュは使用できません。 • phonenumberE164 :このユーザの電話番号および市外局番を指定します。スペースやダッシュは使用できません。 |
ステップ 3 |
exit
se-10-0-0-0(config)# exit |
設定モードを終了します。 |
ステップ 4 |
show users または、 show user detail username userid
se-10-0-0-0# show user detail username user2 |
システムに設定されている全ユーザのユーザ ID のリストを表示します。 または、 指定されたユーザに対して設定された詳細情報を表示します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config
se-10-0-0-0# copy running-config startup-config |
コンフィギュレーションの変更部分をスタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。 |
例
次の例は、ユーザの設定方法と show コマンドの出力を示しています。
se-10-0-0-0(config)# username user3 create
se-10-0-0-0(config)# username user3 phonenumber 50180
se-10-0-0-0(config)# exit
se-10-0-0-0# show user detail username user3
グループの追加と変更
グループとは、ユーザの集合のことで、一般的に、営業、本社、カスタマー サービス、技術者など、共通の機能または目的を持ちます。グループには次の特性があります。
• グループのメンバーには、個々のユーザまたは他のグループを指定できます。
• グループには内線番号が割り当てられます。
• グループにはメールボックスを割り当てることができます。
• グループには、所有者として 0 人以上のユーザが存在します。グループの所有者は、メンバーを追加および削除できます。また、所有者は他の所有者をグループに追加および削除できます。
• メンバーは複数のグループに属する場合があります。
• メンバーをグループに追加するには、設定モードの groupname コマンドを使用するか、EXEC モードの username コマンドを使用します。 username コマンドの詳細については、ユーザの追加と変更を参照してください。
(注) ユーザは、グループに追加する時点で存在している必要があります。ユーザの詳細情報を設定する場合は、ユーザの追加と変更を参照してください。
• グループのボイスメールボックスにあるメッセージへのアクセス権を持っているのは、メンバーだけです。所有者は、グループのメンバーとは見なされません。所有者がグループのメールボックスにアクセスする必要がある場合は、所有者をグループのメンバーとして追加します(グループでは、所有者の名前は 2 回表示されます。1 回はメンバーとして、もう 1 回は所有者として表示されます)。
• グループには特権レベルが割り当てられる場合があります。特権レベルが割り当てられたグループのメンバーは、管理機能のすべてまたは一部にアクセスできます。システムにインストールされている特権レベルを表示するには、 show privileges コマンドを使用します。各グループに割り当てられた特権を表示するには、 show groups privileges コマンドを使用します。特権レベルの詳細については、特権の設定を参照してください。
システムに許容されるグループ、所有者、およびメンバーの最大数については、 プロンプト ファイルの録音を参照してください。
次の手順に従うと、システムに新しいグループを作成できます。
この手順に必要なデータ
グループを定義するには、次の情報が必要です。
• EXEC モード:
– グループの名前
– (オプション)グループの説明
– (オプション)グループのログイン ユーザ名
• 設定モード:
– グループの名前
– (オプション)メンバーとして追加する 1 つ以上の既存のユーザ ID またはグループ ID
– (オプション)所有者として追加する 1 つ以上の既存のユーザ ID
– (オプション)グループの内線番号または電話番号
– (オプション)グループの完全な E.164 電話番号
– (オプション)グループの特権レベル
概略手順
EXEC モード:
1. groupname userid [ create | delete | description "description" | fullname "full-name" ]
2. show groups
または
show group detail groupname groupid
3. copy running-config startup-config
設定モード:
1. config t
2. groupname groupid [ member username | owner ownername | phonenumber phone-number | phonenumberE164 full-number | privilege privilege-id ]
3. exit
4. show groups
または
show group detail groupname groupid
5. copy running-config startup-config
詳細手順
EXEC モード:
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ステップ 1 |
groupname groupid [ create | delete | description “description” | fullname “full-name” ]
se-10-0-0-0# groupname sales fullname “Sales Department” se-10-0-0-0# groupname sales description “Retail Sales Department” se-10-0-0-0# groupname sales delete |
groupid 値を使用してグループを作成します。グループに関する追加情報は、オプションのパラメータで設定します。 • create : 他の情報を設定せずにグループを作成します。 • delete :既存のグループを削除します。 • description :グループの説明を指定します。 • fullname :グループのログイン名を指定します。 |
ステップ 2 |
show groups または、 show group detail groupname groupid
se-10-0-0-0# show group detail groupname sales |
設定されたグループすべてのグループ ID のリストを表示します。このコマンドではグループの詳細は表示されません。 または、 groupid 値を持つグループに関する詳細な設定情報を表示します。 |
ステップ 3 |
copy running-config startup-config
se-10-0-0-0# copy running-config startup-config |
コンフィギュレーションの変更部分をスタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。 |
例
次の例では、グループが作成され、 show コマンドの出力が表示されます。
se-10-0-0-0# groupname sales fullname "Sales Department"
se-10-0-0-0# groupname sales description "CA office"
se-10-0-0-0# show group detail groupname sales
Full Name: Sales Department
設定モード:
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ステップ 1 |
config t
se-10-0-0-0# config t |
設定モードを開始します。 |
ステップ 2 |
groupname groupid [member username | owner ownername | phonenumber phone-number | phonenumberE164 full-number | privilege privilege-id]
se-10-0-0-0(config)# groupname sales member user1 se-10-0-0-0(config)# groupname sales owner user2 se-10-0-0-0(config)# groupname sales phonenumber 50163 se-10-0-0-0(config)# groupname sales phonenumberE164 14445550163 se-10-0-0-0(config)# groupname sales privilege ManagePrompts |
groupid 値を使用してグループを作成します。ユーザに関する追加情報は、オプションのパラメータで設定します。 • member :既存のユーザをこのグループのメンバーとして関連付けます。このコマンドを繰り返して、グループに複数のユーザを割り当てます。 • owner :グループの所有者を指定します。所有者は、メンバーとは見なされません。所有者にグループのボイスメールボックスへのアクセス権を割り当てる場合は、所有者をメンバーとして割り当てます。 • phonenumber :このグループに電話番号または内線番号を関連付けます。スペースやダッシュは使用できません。 • phonenumberE164 :このグループに電話番号および市外局番を関連付けます。スペースやダッシュは使用できません。 • privilege :グループの特権レベルを指定します。このグループに割り当てられたメンバーには、指定された特権が付与されます。 |
ステップ 3 |
exit
se-10-0-0-0(config)# exit |
設定モードを終了します。 |
ステップ 4 |
show groups または、 show group detail groupname groupid
se-10-0-0-0# show group detail groupname sales |
設定されたグループすべてのグループ ID のリストを表示します。このコマンドではグループの詳細は表示されません。 groupid 値を持つグループに関する詳細な設定情報を表示します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config
se-10-0-0-0# copy running-config startup-config |
コンフィギュレーションの変更部分をスタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。 |
例
次の例では、sales グループに所有者と 2 つのメンバーが追加され、sales に電話番号が割り当てられます。
se-10-0-0-0(config)# groupname sales member user1
se-10-0-0-0(config)# groupname sales member user2
se-10-0-0-0(config)# groupname sales owner user1
se-10-0-0-0(config)# groupname sales phonenumber 50163
se-10-0-0-0(config)# groupname sales phonenumberE164 12225550163
se-10-0-0-0(config)# groupname sales privilege ManagePrompts
sse-10-0-0-0(config)# exit
se-10-0-0-0(# show groups
se-10-0-0-0# show group detail groupname sales
Full Name: Sales Department
Phone(E.164): 12225550163
特権の設定
Cisco Unity Express ソフトウェアが認識するユーザの特権は、次のとおりです。
• Superuser:Superuser 特権を持つユーザは、Cisco Unity Express GUI に管理者としてログインできます。また、Administration via Telephone(AvT)を通じてリモート ユーザおよびロケーションの音声名を録音できます。
• ManagePrompts:ManagePrompts 特権を持つユーザは AvT へのアクセス権を持っていますが、それ以外の管理機能へのアクセス権は持っていません。
• Broadcast:Broadcast 特権を持つユーザは、ブロードキャスト メッセージをネットワーク全体に送信できます。
• Local-Broadcast:Local-Broadcast 特権を持つユーザは、ローカル ネットワーク上のユーザだけにブロードキャスト メッセージを送信できます。
• ManagePublicList:ManagePublicList 特権を持つユーザは、パブリック同報リストを作成および変更できます。
• ViewPrivateList:ViewPrivateList 特権を持つユーザは、別のユーザのプライベート同報リストを表示できます。ただし、そのプライベート リストは変更または削除できません。
• ViewRealTimeReports:ViewRealTimeReports 特権を持つユーザは、リアルタイム レポートを表示できます。
• ViewHistorical Reports: ViewHistoricalReports 特権を持つユーザは、履歴レポートを表示できます。
• Vm-Imap:Vm-Imap 特権を持つユーザは、IMAP 機能を使用できます。
これらの特権レベルは、グループに割り当てられます。また、グループのメンバーには、特権が付与されます。ソフトウェア初期化プロセスにより、管理者として指定されたインポート済みユーザから Administrator グループが作成されています。それ以外のグループについては、これらの特権を使用して作成できます。既存のグループにユーザを割り当てるには、CLI コマンドまたは GUI オプションの [Configure] > [Users] を使用します。
特権リストを表示するには、Cisco Unity Express EXEC モードで show privileges コマンドを使用します。
グループに特権レベルを設定する方法については、グループの追加と変更を参照してください。