同報リストの概要
同報リストを使用すると、ユーザはボイスメール メッセージを同時に複数の受信者に送信できます。送信者がボイス メッセージを送信できるのは、ローカル システムの同報リストだけです。リモート システムの同報リストに、ボイス メッセージをアドレス指定することはできません。
Cisco Unity Express では、次に示す 2 つのタイプの同報リストがサポートされています。
• パブリック同報リスト
• プライベート同報リスト
同報リストのプロパティ
Cisco Unity Express 同報リストには、次のプロパティがあります。
• 同報リストのメンバーには、次の任意の組み合せを指定できます。
– ローカル ユーザとリモート ユーザ
ローカル システムに静的に設定されているリモート ユーザは、同報リストのメンバーに指定できます。ただし、そのリモート ユーザはローカル システム上で同報リストを所有することはできません。
– General Delivery Mailbox(GDM; 共用メールボックス)
– グループ
– 他の同報リスト
– ブラインド アドレス
ブラインド アドレスのロケーション ID と内線番号を指定します。システムはロケーション ID と内線番号の桁数を確認します。メンバー:同報リストは、ローカル ユーザ、リモート ユーザ、ブラインド アドレス、GDM、グループ、およびその他のリストなど、さまざまなメンバーで構成できます。
パブリック リストのメンバーには、別のパブリック リストを指定できますが、プライベート リストを指定することはできません。
プライベート リストのメンバーには、任意のパブリック リストと、同じユーザが所有する別のプライベート リストを指定できます。
ユーザがボイス メッセージの宛先にパブリックまたはプライベート同報リストを指定すると、システムは、リストにメンバーが含まれていることを確認します。リストが空の場合、システムは、リストにメンバーが含まれていないことを示すメッセージを再生し、リストをメッセージの受信者として使用できないようにします。
• 再帰同報リストが使用可能です。たとえば、リスト A をリスト B のメンバーにし、リスト B をリスト A のメンバーにすることができます。
• システムはすべてのローカル ユーザが含まれた、 everyone リストという特殊なパブリック同報リストを生成します。このリストには、ローカル グループ、GDM、およびその他のリストは含まれません。このリストへのメンバーの追加または削除、リストへの所有者の割り当て、リストの削除はできません。
• 各リストには、一意の名前または番号を割り当てる必要があります。
有効な名前には、最大 64 文字の A ~ Z、a ~ z、0 ~ 9、下線(_)、ドット(.)、およびダッシュ(-)を使用できます。名前の先頭は英字にする必要があります。スペースは使用できません。
• パブリック同報リストまたはプライベート同報リストの所有者は、Telephone User Interface(TUI; 電話ユーザ インターフェイス)を使用してリストの音声名を録音することができます。グラフィカル ユーザ インターフェイス(GUI)またはコマンドライン インターフェイス(CLI)を使用して音声名を録音またはアップロードすることはできません。
everyone パブリック リストには、デフォルトの音声名が割り当てられています。管理者は、TUI を使用してこの名前を変更することができます。
• システムからローカル ユーザまたはリモート ユーザを削除した場合、そのユーザはそのシステム上のパブリック同報リストまたはプライベート同報リストの、メンバーまたは所有者(ローカル ユーザの場合)ではなくなります。削除したローカル ユーザが所有していた、すべてのプライベート リストが削除されます。ローカル ユーザがパブリック同報リストの唯一の所有者であった場合は、Administrator グループがそのリストの所有権を引き受けます。
プライベート リストが削除されないことを除いて、同じルールがグループの削除にも適用されます。
• リモート同報リストへのアクセス権:ローカル ユーザは、リモート同報リストを変更したり、リモート同報リストをボイス メッセージの受信者として使用したりすることはできません。
パブリック同報リスト
システムのすべてのローカル ユーザは、パブリック同報リストを使用して、そのボイスメール メッセージをアドレス指定できます。
パブリック同報リストを作成および管理するには、Cisco Unity Express グラフィカル ユーザ インターフェイス(GUI)、電話ユーザ インターフェイス(TUI)、またはコマンドライン インターフェイス(CLI)を使用します。
表 15 に、パブリック同報リストの機能を示します。
表 15 パブリック同報リストの機能
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リストの最大数 |
Cisco Unity Express ハードウェアで決まります。詳細については、『 Release Notes for Cisco Unity Express 』を参照してください。 |
システムで許可されるリストの最大数。この数値には、 everyone リストが含まれません。 |
リスト番号 |
最大 15 桁 |
パブリック同報リストには、一意の番号を割り当てる必要があります。 everyone リストには、デフォルトで番号 9999 が割り当てられます。管理者は、GUI メニュー オプションの [Voice Mail] > [Distribution Lists] > [Public Lists] だけを使用して、この番号を変更することができます。 |
1 つのリストの所有者の数 |
最小値 =0 最大値 =50 |
everyone リストに所有者を割り当てることはできません。 所有者には、任意のローカル ユーザまたはグループを指定できます。所有者がグループの場合、グループのメンバーはすべてリストの所有者になります。 Administrators グループのメンバーは、すべてのパブリック同報リストの暗黙的な所有者になります。リストの所有者がすべて削除されても、Administrator グループは引き続きリストの所有権を保有します。 リストの所有者が、そのリストのメンバーになる必要はありません。 |
ローカル システム上のリスト メンバーの最大数 |
Cisco Unity Express ハードウェアで決まります。詳細については、『 Release Notes for Cisco Unity Express 』を参照してください。 |
この合計値は、 everyone リストを除く、ローカル システム上の全パブリック リストの全メンバーの総数です。 |
ローカル システム上のリスト所有者の最大数 |
50 |
この合計値は、 everyone リストを除く、システム上の全パブリック リストの全所有者の総数です。 この最大値は、すべてのボイスメールボックス ライセンス レベルに適用されます。 |
パブリック リストの作成、編集、および削除 |
該当なし |
パブリック リストを作成できるのは、Administrators グループまたは ManagePublicList 特権を持つグループに属するローカル ユーザです。 パブリック リストの所有者は、そのリストを編集または削除できます。 |
プライベート同報リスト
すべてのローカル ユーザは、そのユーザだけがアクセス可能なプライベート同報リストを作成できます。
表 16 に、プライベート同報リストの機能を示します。
表 16 プライベート同報リストの機能
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1 ユーザあたりのリストの最大数 |
5 |
ローカル ユーザが作成可能なリストの最大数。 |
リスト番号 |
1 ~ 5 |
プライベート リスト番号の有効な範囲。 |
所有者数 |
1 |
プライベート同報リストの所有者になるのは、そのリストを作成したローカル ユーザです。プライベート リストの所有者は変更できません。 |
リストの作成と管理 |
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プライベート リストを作成および管理するには、GUI または TUI を使用します。CLI コマンドを使用してプライベート リストを作成および管理することはできません。 |
1 ユーザあたりのメンバーの最大数 |
50 |
ユーザが所有するすべてのプライベート リストに含まれるメンバーの総数。 |
プライベート リストの表示 |
該当なし |
リストの所有者と、Administrator グループまたは ViewPrivateList 特権を持つグループのメンバーは、GUI を使用して、特定のユーザが所有するプライベート リストの詳細を表示できます。 CLI コマンドを使用すると、ローカル ユーザが所有するプライベート リストを表示できます。CLI コマンドを使用するための特別な特権は必要ありません。 |
Cisco Unity Express と Cisco Unity の同報リスト間の相違点
表 17 は、Cisco Unity Express と Cisco Unity の同報リスト間の重要な相違点を示しています。
表 17 Cisco Unity Express と Cisco Unity の同報リスト間の相違点
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TUI による同報リストの管理 |
パブリック同報リストおよびプライベート同報リストに使用できます。 パブリック リストを管理する場合は、追加の TUI メニュー オプションを使用できます。 プライベート同報リストでのキー操作は、Cisco Unity の場合と同じです。 |
パブリック同報リストには使用できません。 プライベート同報リストには使用できます。 |
同報リストの作成 |
ユーザによって、TUI メニューを使用して作成および削除されます。 パブリック リストおよびプライベート リストの両方について、暗黙的なリスト作成を使用できます。ユーザが存在しないリストにメンバーを追加しようとすると、システムがリストを作成してメンバーを追加します。ユーザが存在しないリストの音声名を録音しようとすると、システムがリストを作成して音声名を録音します。どちらの場合も、ユーザには新しいリストが作成されたことを示すメッセージが再生されます。 |
システムによって作成されます。 ユーザが同報リストを作成または削除する場合、TUI オプションは使用できません。 |
リスト メンバーの削除 |
ユーザは、ボイス メッセージのアドレスを指定する場合の名前によるダイヤル(dial-by-name)および内線番号のフローと同様、名前または内線番号を指定してリスト メンバーを削除します。 |
システムは、リスト メンバーの名前と内線番号に一連の番号を割り当てます。ユーザは、その番号を押してメンバーを削除します。 |
別のリストへのプライベート リストの追加 |
同じユーザが所有する別のプライベート リストにプライベート リストを追加できます。 |
使用できません。 |
パブリック同報リストの設定
パブリック同報リストを作成または変更するには、この手順を使用します。
(注) プライベート同報リストを作成するときは、TUI または GUI を使用してください。プライベート同報リストには、CLI コマンドは使用できません。
リリース 3.2 から、ユーザ以外の人物を同報リストに追加できるようになりました。これにより、メッセージの送信時にアドレスのリストを参照する単一のアドレスを使用して、システム上にメールボックスを持っていないユーザにボイス メッセージを配信できるようになります。ユーザは 1 つに集約されたこのアドレスを使用して、同報リストに含まれるすべての受信者に対して 1 つのメッセージを送信できます。
ユーザ以外の番号を同報リストに追加するために送信すると、この番号はユーザ以外の規制テーブルと照らし合わせてチェックされます。ユーザ以外のアドレスのうち、規制されているアドレスは同報リストに追加されません。リストの作成後に規制テーブルを変更した場合、同報リストはシステムによって再検証されません。代わりに、同報リストは、ユーザ以外のアドレスに発信メールを送信するのに使用されたときに再検証され、規制対象のアドレスが受信者のリストからすべて削除されます。また、既存のシステムでメッセージを送信する方法は変更されません。このシステムでは、ユーザ以外の人物、配信予定のメッセージ キュー、バックアップの復元などにメッセージを送信する前に、ユーザ以外の規制テーブルを引き続きチェックします。
前提条件
• ローカルおよびリモート ユーザがシステムに定義されている必要があります。
• ユーザ以外の人物を同報リストに追加するには、Cisco Unity Express 3.2 以降のバージョンが必要です。
この手順に必要なデータ
パブリック同報リストを作成するには、次の情報が必要です。
• リストの名前と番号。
• (オプション)リストの説明:説明の最大長は 64 文字です。
同報リストにメンバーを追加するには、次の情報が必要です。
• メンバー タイプ(ローカル ユーザ、グループ、GDM、同報リスト、リモート ユーザ、または ブラインド アドレス)。
• メンバーの名前または内線番号。
概略手順
1. config t
2. list name list-name number list-number create
3. list number list-number owner owner-ID
4. list number list-number member { member-name | extension } type { group | user | gdm | list | remote | blind | nonsubscriber }
5. (オプション) list number list-number description description
6. exit
詳細手順
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ステップ 1 |
config t
se-10-0-0-0# config t se-10-0-0-0(config)# |
設定モードを開始します。 |
ステップ 2 |
list name list-name number list-number create
se-10-0-0-0(config)# list name engineers number 5 create |
名前が list-name で、番号が list-number のリストを作成します。 • list-number の最大長は 15 桁です。 • list-name または list-number がすでに存在する場合は、エラー メッセージが表示されます。 • パブリック リストがすでに最大数に達している場合は、エラー メッセージが表示されます。 |
ステップ 3 |
list number list-number owner owner-ID
se-10-0-0-0(config)# list number 5 owner user12 |
リストに所有者を割り当てます。所有者には、ローカル ユーザまたはローカル グループを指定できます。 • listnumber または owner-ID が存在しない場合は、エラー メッセージが表示されます。 • システム上の所有者がすでに最大数に達している場合は、エラー メッセージが表示されます。 • リストの所有者を削除するには、コマンドの no 形式を使用します。 |
ステップ 4 |
list number list-number member { member-name | extension } type { group | user | gdm | list | remote | blind | non-subscriber }
se-10-0-0-0(config)# list number 5 member user8 type user se-10-0-0-0(config)# list number 5 member managers type group se-10-0-0-0(config)# list number 5 member sale type gdm se-10-0-0-0(config)# list number 5 member mylist3 type list se-10-0-0-0(config)# list number 5 member user15 type remote se-10-0-0-0(config)# list number 5 member user5555 type blind |
リストにメンバーを割り当てます。有効なメンバー タイプには次のものがあります。 • group :ローカル グループまたはリモート グループ • user :ローカル ユーザ • gdm :ローカル GDM またはリモート GDM • list :リスト所有者に属するローカル パブリック リスト • remote :リモート ユーザ • blind :リモート ユーザのブラインド アドレス • nonsubscriber :ユーザ以外の人物(システム上のメールボックスを所有していないユーザ) 有効なメンバーには次のものがあります。 • ローカル ユーザまたはリモート ユーザ • グループ ID • GDM の名前 • ボイスメールボックスの内線番号(ブラインド アドレス) • リスト番号 • リスト名 リストまたはメンバーが存在しない場合は、エラー メッセージが表示されます。 パブリック リストのメンバーがすでに最大数に達している場合は、エラー メッセージが表示されます。 リストからメンバーを削除するには、このコマンドの no 形式を使用します。 |
ステップ 5 |
list number list-number description description
se-10-0-0-0(config)# list number 5 description “SJ Engineers” |
(オプション)パブリック リストに説明を追加します。説明が 2 語以上になる場合は、引用符で囲みます。 リストが存在しない場合は、エラー メッセージが表示されます。 説明を削除するには、このコマンドの no 形式を使用します。 |
ステップ 6 |
exit
se-10-0-0-0(config)# exit se-10-0-0-0# |
設定モードを終了します。 |
例
次の例では、名前が engineers で、番号が 5 のパブリック同報リストが作成されます。
se-10-0-0-0(config)# list name engineers number 5 create
se-10-0-0-0(config)# list number 5 owner User1
se-10-0-0-0(config)# list number 5 owner progmgrs
se-10-0-0-0(config)# list number 5 member User1 type user
se-10-0-0-0(config)# list number 5 member User2 type user
se-10-0-0-0(config)# list number 5 member betamgrs type group
se-10-0-0-0(config)# list number 5 member tech type gdm
se-10-0-0-0(config)# list number 5 member 87777 type blind
se-10-0-0-0(config)# exit
プライベート同報リストの設定
ローカル ユーザは、GUI メニュー オプション [VoiceMail] > [Distribution Lists] > [My Private Lists]、または TUI を使用すると、自分のプライベート同報リストを設定できます。
プライベート リストの設定には、CLI コマンドは使用できません。
同報リストの表示
同報リストとそのメンバーを表示するときは、複数のコマンドを使用できます。
すべてのパブリック同報リストの表示
次の Cisco Unity Express EXEC モードのコマンドは、ローカル システム上のパブリック同報リストをすべて表示します。
show lists public
このコマンドにより、アルファベット順のリスト、各リストの名前、番号、タイプ、および各リストの詳細が表示されます。
このコマンドの出力は、たとえば次のように表示されます。
se-10-0-0-0# show lists public
List number List Name Type
techs General Delivery Mailbox
パブリック同報リストの詳細の表示
次の Cisco Unity Express EXEC モードのコマンドは、特定のパブリック同報リストの詳細を表示します。
show list detail public { name list-name | number list-number }
ここで、 list-name はリストの名前、 list-number はリストの番号です。
このコマンドにより、リスト番号、リスト名、リスト タイプ、所有者、およびリストのメンバーとそのタイプ カテゴリが表示されます。
このコマンドの出力は、たとえば次のように表示されます。
se-10-0-0-0# show list detail public name engineers
show list detail public number 5 というコマンドを使用した場合も、上記と同じ出力が表示されます。
所有者のリストの表示
次の Cisco Unity Express EXEC モードのコマンドは、特定のユーザまたはグループが所有するパブリックおよびプライベート リストを表示します。
show lists owner owner-id
ここで、 owner-id はユーザまたはグループの名前です。 owner-id が存在しない場合は、エラー メッセージが表示されます。
このコマンドにより、指定された所有者に属するすべてのパブリックおよびプライベート リストについて、リストの番号、名前、およびタイプが表示されます。リストはアルファベット順に整列され、プライベート リストに続いてパブリック リストが表示されます。
このコマンドの出力は、たとえば次のように表示されます。
se-10-0-0-0# show lists owner user15
List Number List Name List Type
4 projectteam Private List
プライベート同報リストの詳細の表示
次の Cisco Unity Express EXEC モードのコマンドは、特定のユーザに関する特定のプライベート同報リストの詳細を表示します。
show list detail private { name list-name | number list-number } owner owner-id
ここで、 list-name はプライベート リストの名前、 list-number はプライベート リストの番号、 owner-id はユーザの名前です。 list-name 、 list-number 、または owner-id が存在しない場合は、エラー メッセージが表示されます。
このコマンドにより、指定されたプライベート同報リストのリスト番号、リスト名、所有者、メンバー、およびメンバー タイプが表示されます。
このコマンドの出力は、たとえば次のように表示されます。
se-10-0-0-0# show list detail private name projectteam owner user15
show lists detail private number 4 owner user15 というコマンドを使用した場合も、上記と同じ出力が表示されます。
同報リストの削除
TUI と GUI には、プライベート同報リストおよびパブリック同報リストを削除するためのオプションが用意されています。また、CLI にはローカル システム上のパブリック リストを削除するためのコマンドが用意されています。
パブリック同報リストを削除するには、次の Cisco Unity Express 設定モードのコマンドを使用します。
list number list-number delete
ここで、 list-number はパブリック同報リストの番号です。
次の例では、ローカル システムから番号 10 のリストが削除されます。
se-10-0-0-0(config)# list number 10 delete
se-10-0-0-0(config)# exit