CDP の設定
この章では、IE 3000 スイッチに Cisco Discovery Protocol(CDP; シスコ検出プロトコル)を設定する手順について説明します。
(注) この章で使用しているコマンドの構文および使用方法の詳細については、このリリースのコマンド リファレンスと、『Cisco IOS Configuration Fundamentals Command Reference, Release 12.2』の「System Management Commands」を参照してください。
この章で説明する内容は、次のとおりです。
• 「CDP の概要」
• 「CDP の設定」
• 「CDP のモニタおよびメンテナンス」
CDP の概要
CDP は、シスコ製のすべての装置(ルータ、ブリッジ、アクセス サーバ、およびスイッチ)のレイヤ 2(データ リンク層)で動作する装置検出プロトコルです。CDP を使用することにより、ネットワーク管理アプリケーションで、既知装置のネイバーであるシスコ デバイスを検索することができます。ネットワーク管理アプリケーションは CDP によって、下位レイヤのトランスペアレント プロトコルを実行しているネイバー装置の、装置タイプおよび Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)エージェント アドレスを確認できます。この機能によって、アプリケーションからネイバー装置に SNMP クエリーを送信できます。
CDP は、Subnetwork Access Protocol(SNAP; サブネットワーク アクセス プロトコル)をサポートしているすべてのメディアで動作します。CDP はデータリンク層だけで動作するため、ネットワーク層のプロトコルが異なる 2 台のシステムでも相互認識が可能です。
CDP を設定した各装置は、マルチキャスト アドレスに対して定期的にメッセージを送信し、SNMP メッセージを受信できる 1 つまたは複数のアドレスをアドバタイズします。このアドバタイズには、受信側装置で CDP 情報を廃棄する前に保持しておく時間を表す Time to Live(TTL; 存続可能時間)またはホールドタイム情報も含まれます。各装置は、他の装置から送信されるメッセージを待ち受けて、ネイバー装置を確認します。
スイッチ上で CDP を使用すると、Network Assistant でネットワークを視覚的に表示できます。スイッチは CDP を使用してクラスタ候補を検出し、クラスタ メンバーと、コマンド スイッチから最大 3 台(デフォルト)先にあるクラスタ対応のその他の装置について、情報を維持します。
スイッチと、それに接続されている Cisco Medianet を実行しているエンドポイント デバイスの場合、次のようになります。
• CDP が、スイッチと直接通信している接続されたエンドポイントを識別します。
• ネイバー デバイスのレポートが重複しないように、有線で接続された 1 台のスイッチだけがロケーション情報をレポートします。
• 有線で接続されたスイッチとエンドポイントの両方が、ロケーション情報の送受信を行います。
詳細については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/netmgmt/configuration/guide/nm_cdp_discover.html
スイッチは CDP バージョン 2 をサポートします。
CDP の設定
ここでは、次の設定情報について説明します。
• 「CDP のデフォルト設定」
• 「CDP の特性の設定」
• 「CDP のディセーブル化およびイネーブル化」
• 「インターフェイスでの CDP のディセーブル化およびイネーブル化」
CDP のデフォルト設定
表 32-1 に、CDP のデフォルト設定を示します。
表 32-1 CDP のデフォルト設定
|
|
CDP グローバル ステート |
イネーブル |
CDP インターフェイス ステート |
イネーブル |
CDP タイマー(パケット更新頻度) |
60 秒 |
CDP ホールドタイム(廃棄までの時間) |
180 秒 |
CDP バージョン 2 アドバタイズ |
イネーブル |
CDP の特性の設定
CDP 更新の頻度、廃棄するまで情報を保持する時間、およびバージョン 2 アドバタイズを送信するかどうかを設定できます。
CDP タイマー、ホールドタイム、およびアドバタイズ タイプを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
(注) ステップ 2 ~ 4 はすべて任意であり、どの順序で実行してもかまいません。
|
|
|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
cdp timer seconds |
(任意)CDP 更新の送信頻度(秒)を設定します。 指定できる範囲は 5 ~ 254 です。デフォルトは 60 秒です。 |
ステップ 3 |
cdp holdtime seconds |
(任意)装置から送信された情報を受信側装置が廃棄するまで保持する時間を指定します。 指定できる範囲は 10 ~ 255 です。デフォルトは 180 秒です。 |
ステップ 4 |
cdp advertise-v2 |
(任意)バージョン 2 アドバタイズを送信するように CDP を設定します。 これがデフォルトの状態になります。 |
ステップ 5 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 6 |
show cdp |
設定を確認します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config |
(任意)設定をコンフィギュレーション ファイルに保存します。 |
デフォルト設定に戻すには、CDP コマンドの no 形式を使用します。
次に、CDP の特性を設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# cdp timer 50
Switch(config)# cdp holdtime 120
Switch(config)# cdp advertise-v2
その他の CDP の show コマンドについては、「CDP のモニタおよびメンテナンス」を参照してください。
CDP のディセーブル化およびイネーブル化
CDP はデフォルトでイネーブルになっています。
(注) スイッチ クラスタとその他のシスコ デバイス(Cisco IP Phone など)は、定期的に CDP メッセージを交換しています。CDP をディセーブルにすると、クラスタの検出と装置の接続が中断される可能性があります。詳細については、「スイッチのクラスタ化」および Cisco.com の『Getting Started with Cisco Network Assistant』を参照してください。
CDP 装置検出機能をディセーブルにするには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
|
|
|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
no cdp run |
CDP をディセーブルにします。 |
ステップ 3 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ディセーブル化されている CDP をイネーブルにするには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
|
|
|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
cdp run |
ディセーブル化されている CDP をイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
次に、ディセーブル化されている CDP をイネーブルにする例を示します。
Switch# configure terminal
インターフェイスでの CDP のディセーブル化およびイネーブル化
CDP 情報を送受信するために、サポートされているすべてのインターフェイス上では CDP がデフォルトでイネーブルになっています。
ポート上で CDP をディセーブルにするには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
|
|
|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
CDP をディセーブルにするインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
no cdp enable |
インターフェイスで CDP をディセーブルにします。 |
ステップ 4 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)設定をコンフィギュレーション ファイルに保存します。 |
ポート上でディセーブル化されている CDP をイネーブルにするには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
|
|
|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
CDP をイネーブルにするインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
cdp enable |
インターフェイス上でディセーブル化されている CDP をイネーブルにします。 |
ステップ 4 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)設定をコンフィギュレーション ファイルに保存します。 |
次に、ポート上でディセーブル化されている CDP をイネーブルにする例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# interface gigabitethernet1/1
Switch(config-if)# cdp enable
CDP のモニタおよびメンテナンス
装置上の CDP をモニタおよびメンテナンスするには、特権 EXEC モードで次の作業を 1 つまたは複数実行します。
|
|
clear cdp counters |
トラフィック カウンタをゼロにリセットします。 |
clear cdp table |
ネイバーに関する情報を格納する CDP テーブルを削除します。 |
show cdp |
送信の頻度、送信されたパケットのホールドタイムなど、グローバルな情報を表示します。 |
show cdp entry entry-name [ protocol | version ] |
特定のネイバーに関する情報を表示します。 アスタリスク(*)を入力してすべての CDP ネイバーを表示することも、情報が必要なネイバーの名前を入力することもできます。 また、指定したネイバーでイネーブルになっているプロトコルの情報や、装置上で実行されているソフトウェアのバージョン情報だけを表示することもできます。 |
show cdp interface [ interface-id ] |
CDP がイネーブルになっているインターフェイスに関する情報を表示します。 情報が必要なインターフェイスだけを表示することもできます。 |
show cdp neighbors [ interface-id ] [ detail ] |
装置タイプ、インターフェイスのタイプや番号、ホールドタイム設定、機能、プラットフォーム、ポート ID など、ネイバーに関する情報を表示します。 特定のインターフェイスのネイバーだけを表示することも、さらに詳細な情報を表示することもできます。 |
show cdp traffic |
CDP カウンタ(送受信されたパケット数、チェックサム エラーを含む)を表示します。 |