音声 VLAN 設定時の注意事項
音声 VLAN の設定時の注意事項を次に示します。
• 音声 VLAN の設定はスイッチのアクセス ポート上でだけサポートされます。トランク ポート上では音声 VLAN の設定はサポートされません。音声 VLAN は、レイヤ 2 ポート上にだけ設定できます。
(注) トランク ポートでは、通常の VLAN と同様に、任意の数の音声 VLAN を伝送できます。トランク ポートには音声 VLAN の設定は必要ありません。
• IP Phone が音声 VLAN 上で適切に通信するためには、音声 VLAN がスイッチ上に存在し、アクティブになっている必要があります。VLAN が存在するかどうかを確認するには、 show vlan 特権 EXEC コマンドを使用します(リストで表示されます)。VLAN がリストにない場合に音声 VLAN を作成する方法については、「VLAN の設定」を参照してください。
• プライベート VLAN ポートには音声 VLAN を設定しないでください。
• 音声 VLAN をイネーブルにする前に、mls qos グローバル コンフィギュレーション コマンドを入力してスイッチの QoS をイネーブルにし、mls qos trust cos インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力して信頼するポート信頼状態を設定することを推奨します。auto-QoS 機能を使用すると、これらの設定は自動的に指定されます。詳細については、「QoS の設定」を参照してください。
• Cisco IP Phone に設定を送信するには、IP Phone に接続されたスイッチ ポートで CDP をイネーブルする必要があります(デフォルトでは、CDP はすべてのスイッチ インターフェイスでグローバルにイネーブルです)。
• 音声 VLAN を設定すると、PortFast 機能が自動的にイネーブルになります。音声 VLAN をディセーブルにしても、PortFast 機能は自動的にディセーブルになりません。
• Cisco IP Phone とその IP Phone に接続されている装置が同じ VLAN にある場合、両方とも同じ IP サブネットに属している必要があります。次の条件にあてはまる場合、両方とも同じ VLAN にあります。
– 両方が IEEE 802.1p フレームまたはタグなしフレームを使用する場合
– Cisco IP Phone が IEEE 802.1p フレームを使用し、装置はタグなしフレームを使用する場合
– Cisco IP Phone がタグなしフレームを使用し、装置は IEEE 802.1p フレームを使用する場合
– Cisco IP Phone は IEEE 802.1Q フレームを使用し、音声 VLAN がアクセス VLAN と同じである場合
• Cisco IP Phone とその IP Phone に接続されている装置は、同じ VLAN とサブネット内に存在していても、異なるフレーム タイプを使用する場合は、通信できません。同じサブネット内のトラフィックはルーティングされないからです(フレーム タイプが違う場合はルーティングされません)。
• 音声 VLAN では、スタティック セキュア MAC アドレスを設定できません。
• 音声 VLAN ポートは、次のポート タイプにすることもできます。
– ダイナミック アクセス ポート。詳細については、「VMPS クライアント上でのダイナミック アクセス ポートの設定」を参照してください。
– IEEE 802.1x 認証ポート。詳細については、「802.1X 準備状態チェックの設定」を参照してください。
(注) 音声 VLAN が設定されていて Cisco IP Phone が接続されているアクセス ポートで IEEE 802.1X をイネーブルにした場合、Cisco IP Phone とスイッチの接続が最大 30 秒切断されます。
– 保護ポート。詳細については、「保護ポートの設定」を参照してください。
– Switched Port Analyzer(SPAN; スイッチド ポート アナライザ)または Remote SPAN(RSPAN; リモート SPAN)セッションの送信元ポートまたは宛先ポート。
– セキュア ポート。詳細については、「ポート セキュリティの設定」を参照してください。
(注) 音声 VLAN が設定されたインターフェイス上でポート セキュリティをイネーブルにする場合は、ポートの最大セキュア アドレス許容数を、アクセス VLAN で許容されるセキュア アドレスの最大数に 2 を足した数に設定する必要があります。ポートを Cisco IP Phone に接続する場合は、IP Phone に MAC アドレスが最大で 2 つ必要になります。IP Phone のアドレスは音声 VLAN 上で学習され、アクセス VLAN 上でも学習される場合があります。PC を IP Phone に接続する場合、追加の MAC アドレスが必要になります。
Cisco IP Phone の音声トラフィックの設定
Cisco IP Phone に接続されたポートを、CDP パケットを IP Phone に送信するように設定できます。これにより、IP Phone による音声トラフィックの送信方法を設定することができます。IP Phone では、レイヤ 2 CoS 値を使用して、指定された音声 VLAN に IEEE 802.1Q フレームの音声トラフィックを伝送できます。IEEE 802.1p のプライオリティ タギングを使用すると、音声トラフィックにさらに高いプライオリティを設定し、すべての音声トラフィックをネイティブ(アクセス)VLAN 経由で転送できます。Cisco IP Phone では、タグなしの音声トラフィックを送信することも、独自の設定を使用してアクセス VLAN の音声トラフィックを送信することもできます。すべての設定において、音声トラフィックはレイヤ 3 IP precedence 値(デフォルトは 5)を伝送します。
ポート上で音声トラフィックを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
|
|
|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
IP Phone に接続されたインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
mls qos trust cos |
パケットの CoS 値を使用して着信トラフィック パケットを分類するように、インターフェイスを設定します。タグなしパケットの場合、ポートのデフォルト CoS 値が使用されます。 グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、QoS をグローバルにイネーブルにしておく必要があります。 |
ステップ 4 |
switchport voice { detect cisco-phone [ full-duplex ] | vlan { vlan-id | dot1p | none | untagged} } |
Cisco IP Phone による音声トラフィックの伝送方法を設定します。 • detect :Cisco IP Phone を検出して認識するようにインターフェイスを設定します。 • cisco-phone :switchport voice detect コマンドを初めて実装する場合、使用できるオプションはこのオプションだけです。デフォルトは、no switchport voice detect cisco-phone [ full-duplex ] です。 • full-duplex :(任意)全二重 Cisco IP Phone だけを受け入れるようにスイッチを設定します。 • vlan-id :すべての音声トラフィックが指定された VLAN を経由して転送されるように IP Phone を設定します。デフォルトでは、Cisco IP Phone は IEEE 802.1Q プライオリティ 5 を使用して音声トラフィックを転送します。指定できる VLAN ID は、1 ~ 4094 です。 • dot1p :音声トラフィックに IEEE 802.1p プライオリティ タギングを使用し、デフォルトのネイティブ VLAN(VLAN 0)を使用してすべてのトラフィックを伝送するように、IP Phone を設定します。デフォルトでは、Cisco IP Phone は IEEE 802.1p プライオリティ 5 を使用して音声トラフィックを転送します。 • none :IP Phone が独自の設定を使用してタグなしの音声トラフィックを送信できるようにします。 • untagged :タグなしの音声トラフィックを送信するように IP Phone を設定します。 |
ステップ 5 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 6 |
show interfaces interface-id switchport または show running-config interface interface-id |
音声 VLAN の設定を確認します。 QoS および音声 VLAN の設定を確認します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config |
(任意)設定をコンフィギュレーション ファイルに保存します。 |
次に、Cisco IP Phone に接続されたポートを設定する例を示します。CoS 値を使用して着信トラフィックを分類し、音声トラフィックに IEEE 802.1p プライオリティ タギングを使用し、デフォルトのネイティブ VLAN(VLAN 0)を使用してすべてのトラフィックを伝送するように、ポートを設定します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface gigabitethernet1/1
Switch(config-if)# mls qos trust cos
Switch(config-if)# switchport voice vlan dot1p
ポートをデフォルト設定に戻すには、 no switchport voice vlan インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、Cisco IP Phone 上で switchport voice detect をイネーブルにする例を示します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line.End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface fastethernet 0/1
Switch(config-if)# switchport voice?
detect detection enhancement keyword
vlan VLAN for voice traffic
Switch(config-if)# switchport voice detect?
cisco-phone Cisco IP Phone
Switch(config-if)# switchport voice detect cisco-phone?
full-duplex Cisco IP Phone
Switch(config-if)# switchport voice detect cisco-phone full-duplex
full-duplex full duplex keyword
次に、Cisco IP Phone 上で switchport voice detect をディセーブルにする例を示します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line.End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface fastethernet 0/1
Switch(config-if)# no switchport voice detect cisco-phone
Switch(config-if)# no switchport voice detect cisco-phone full-duplex
着信データ フレームのプライオリティの設定
Cisco IP Phone のポートには PC またはその他のデータ装置を接続できます。タグ付きデータ トラフィック(IEEE 802.1Q フレームまたは IEEE 802.1p フレーム)を処理するために、CDP パケットを送信するようにスイッチを設定して、Cisco IP Phone のアクセス ポートに接続する装置からのデータ パケットの送信方法を IP Phone に指示できます。PC では、CoS 値が割り当てられたパケットを生成できます。接続先装置から IP Phone のポートに送信されたフレームのプライオリティを変更しない(信頼する)または上書きする(信頼しない)ように、IP Phone を設定できます。
Cisco IP Phone の非音声ポートから受信したデータ トラフィックのプライオリティを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
|
|
|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
Cisco IP Phone に接続されたインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
switchport priority extend { cos value | trust } |
Cisco IP Phone のアクセス ポートから受信したデータ トラフィックのプライオリティを設定します。 • cos value :PC または接続先装置から受信したプライオリティを指定された CoS 値で上書きするように、IP Phone を設定します。指定できる値は 0 ~ 7 の数値です。7 が最も高いプライオリティです。デフォルトのプライオリティは cos 0 です。 • trust :PC または接続先装置から受信したプライオリティを信頼するように、IP Phone のアクセス ポートを設定します。 |
ステップ 4 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show interfaces interface-id switchport |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)設定をコンフィギュレーション ファイルに保存します。 |
次に、PC または接続先装置から受信したフレームのプライオリティを変更しないように、Cisco IP Phone に接続されたポートを設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface gigabitethernet1/1
Switch(config-if)# switchport priority extend trust
ポートをデフォルト設定に戻すには、 no switchport priority extend インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。