起動プロセスの概要
スイッチを起動するには、『 クイック スタート ガイド 』またはハードウェア インストレーション ガイドの手順に従って、スイッチを設置して電源を投入し、スイッチの初期設定(IP アドレス、サブネット マスク、デフォルト ゲートウェイ、シークレット パスワード、Telnet パスワードなど)を行う必要があります。
通常の起動プロセスには、ブート ローダ ソフトウェアの動作が含まれます。ブート ローダは、次の処理を実行します。
• 低レベルの CPU 初期化を実行します。CPU レジスタを初期化することにより、物理メモリがマッピングされる場所、物理メモリの量および速度などを制御します。
• CPU サブシステムの Power-on Self-Test(POST; 電源投入時セルフテスト)を実行します。CPU Dynamic Random Access Memory(DRAM; ダイナミック ランダム アクセス メモリ)と、フラッシュ ファイル システムを構成するフラッシュ装置の部分をテストします。
• システム ボード上のコンパクト フラッシュ ファイル システムを初期化します。
• デフォルトのオペレーティング システム ソフトウェア イメージをメモリにロードし、スイッチを起動します。
ブート ローダによってフラッシュ ファイル システムにアクセスしてから、オペレーティング システムをロードします。ブート ローダは通常、オペレーティング システムのロード、圧縮解除、および起動の目的でだけ使用します。オペレーティング システムが CPU を制御できるようになると、次にシステムがリセットされるかシステムの電源が投入されるまで、ブート ローダはアクティブになりません。
スイッチには、Cisco IOS ソフトウェアのイメージおよびコンフィギュレーション ファイルを格納するリムーバブル コンパクト フラッシュ カードがあります。スイッチを再設定しなくても、スイッチを交換およびアップグレードできます。コンパクト フラッシュ カードを取り外しても、電源のオフ/オンまたはユーザの操作のために Cisco IOS ソフトウェアのリロードが必要にならない限り、スイッチ動作は中断されません。ただし、コンパクト フラッシュ カードを取り外すと、フラッシュ ファイル システムにアクセスできなくなり、アクセスを試みるとエラー メッセージが生成されます。スイッチには、インストール済みのコンパクト フラッシュ メモリ カードが付属しています。また、スイッチは、あらゆるサイズのコンパクト フラッシュ カードに対応しています。
コンパクト フラッシュ ファイルの設定を表示するには、 show flash: 特権 EXEC コマンドを使用します。このコマンドの詳細については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/12_2/configfun/command/reference/frf009.html#wp1018357
スイッチのコンパクト フラッシュ メモリ カードの取り外しまたは交換方法については、『Cisco IE 3000 Hardware Installation Guide』を参照してください。
オペレーティング システムに重大な問題が発生し、オペレーティング システムを使用できない場合、ブート ローダはトラップドアからシステムにアクセスします。トラップドア メカニズムにより、システムへの十分なアクセスが提供され、必要に応じて、フラッシュ ファイル システムをフォーマットし、Xmodem プロトコルを使用してオペレーティング システム ソフトウェア イメージを再インストールし、失われたパスワードを回復して、最終的にオペレーティング システムを再起動できます。詳細については、「ソフトウェア障害からの回復」および「パスワードを忘れた場合の回復」を参照してください。
(注) パスワード回復はディセーブルにできます。詳細については、「パスワード回復のディセーブル化」を参照してください。
スイッチ情報を割り当てるには、PC または端末をコンソール ポートに接続し、PC またはターミナル エミュレーション ソフトウェアのボー レートおよびキャラクタ フォーマットをスイッチ コンソール ポートの設定と一致させておく必要があります。
• ボー レートのデフォルトは 9600 です。
• データ ビットのデフォルトは 8 です。
(注) データ ビット オプションが 8 に設定されている場合、パリティ オプションは「なし」に設定します。
• ストップ ビットのデフォルトは 1 です。
• パリティ設定のデフォルトは「なし」です。
スイッチ情報の割り当て
IP 情報の割り当ては、スイッチのセットアップ プログラムを使用するか、DHCP サーバを使用するか、手動で実行できます。
特定の IP 情報の設定が必要な場合は、スイッチのセットアップ プログラムを使用します。このプログラムを使用すると、ホスト名とイネーブル シークレット パスワードを設定することもできます。また、任意で、Telnet パスワードを割り当てたり(リモート管理中のセキュリティを確保する場合)、スイッチをクラスタのコマンド スイッチまたはメンバー スイッチ、あるいはスタンドアロン スイッチとして設定したりすることもできます。セットアップ プログラムの詳細については、ハードウェア インストレーション ガイドを参照してください。
DHCP サーバの設定後は、DHCP サーバを使用して IP 情報の一元管理および自動割り当てを行います。
(注) DHCP を使用する場合、スイッチがダイナミックに割り当てられた IP アドレスを受信してコンフィギュレーション ファイルを読み込むまでは、セットアップ プログラムの質問に応答しないでください。
スイッチの設定手順に精通した上級ユーザの場合は、手動でスイッチを設定してください。それ以外のユーザは、前述のセットアップ プログラムを使用してください。
• 「デフォルトのスイッチ情報」
• 「DHCP ベースの自動設定の概要」
• 「手動での IP 情報の割り当て」
デフォルトのスイッチ情報
表 4-1 に、デフォルトのスイッチ情報を示します。
表 4-1 デフォルトのスイッチ情報
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IP アドレスおよびサブネット マスク |
IP アドレスまたはサブネット マスクは定義されていません。 |
デフォルト ゲートウェイ |
デフォルト ゲートウェイは定義されていません。 |
イネーブル シークレット パスワード |
パスワードは定義されていません。 |
ホスト名 |
出荷時に割り当てられたデフォルトのホスト名は、 Switch です。 |
Telnet パスワード |
パスワードは定義されていません。 |
クラスタ コマンド スイッチ機能 |
ディセーブル。 |
クラスタ名 |
クラスタ名は定義されません。 |
DHCP ベースの自動設定の概要
DHCP は、インターネット ホストおよびインターネットワーキング装置に設定情報を提供します。このプロトコルは、2 つのコンポーネントで構成されています。1 つは DHCP サーバから装置に設定パラメータを提供するコンポーネントで、もう 1 つは装置にネットワーク アドレスを割り当てるメカニズムです。DHCP はクライアント サーバ モデルに基づいています。このモデルでは、指定された DHCP サーバが、ダイナミックに設定された装置に対して、ネットワーク アドレスを割り当てて設定パラメータを提供します。スイッチは、DHCP クライアントと DHCP サーバの両方として動作できます。
DHCP ベースの自動設定では、スイッチ(DHCP クライアント)は起動時に、IP アドレス情報およびコンフィギュレーション ファイルを使用して自動的に設定されます。
DHCP ベースの自動設定を使用する場合、スイッチ上で DHCP クライアント側の設定を行う必要はありません。ただし、DHCP サーバには、IP アドレスに関連する各種リース オプションを設定する必要があります。DHCP を使用してネットワーク上のコンフィギュレーション ファイルをリレーする場合は、Trivial File Transfer Protocol(TFTP; 簡易ファイル転送プロトコル)サーバおよび Domain Name System(DNS; ドメイン ネーム システム)サーバの設定が必要なこともあります。
スイッチの DHCP サーバは、スイッチと同じ LAN 上に配置することも、スイッチとは別の LAN 上に配置することもできます。DHCP サーバが別の LAN 上で実行されている場合は、スイッチと DHCP サーバの間に DHCP リレー装置を設定する必要があります。リレー装置は、直接接続されている 2 つの LAN の間でブロードキャスト トラフィックを転送します。ルータは、ブロードキャスト パケットを転送しませんが、受信したパケットの宛先 IP アドレスに基づいてパケットを転送します。
DHCP ベースの自動設定は、スイッチの Bootstrap Protocol(BOOTP)クライアント機能に代わるものです。
DHCP クライアントの要求プロセス
スイッチの起動時にスイッチにコンフィギュレーション ファイルが存在しない場合、DHCP クライアントが呼び出され、DHCP クライアントが DHCP サーバに設定情報を要求します。コンフィギュレーション ファイルが存在し、その設定に特定のルーテッド インターフェイスの ip address dhcp インターフェイス コンフィギュレーション コマンドが含まれる場合、DHCP クライアントが呼び出され、DHCP クライアントがインターフェイスに IP アドレス情報を要求します。
図 4-1 に、DHCP クライアントと DHCP サーバ間で交換される一連のメッセージを示します。
図 4-1 DHCP クライアントと サーバ間のメッセージ交換
クライアントであるスイッチ A は、DHCP サーバを見つけるために DHCPDISCOVER メッセージをブロードキャストします。DHCP サーバは、DHCPOFFER ユニキャスト メッセージによって、設定パラメータ(IP アドレス、サブネット マスク、ゲートウェイ IP アドレス、DNS IP アドレス、IP アドレス用のリースなど)をクライアントに提供します。
DHCPREQUEST ブロードキャスト メッセージで、クライアントは、提供された設定情報に対する正式な要求を DHCP サーバに返します。この正式な要求はブロードキャストされるため、クライアントから DHCPDISCOVER ブロードキャスト メッセージを受信した他のすべての DHCP サーバは、クライアントに提供した IP アドレスを再利用できます。
DHCP サーバは、DHCPACK ユニキャスト メッセージをクライアントに返すことで、IP アドレスがクライアントに割り当てられたことを確認します。このメッセージによって、クライアントとサーバはバインドされ、クライアントはサーバから受信した設定情報を使用します。スイッチが受信する情報量は、DHCP サーバの設定方法によって異なります。詳細については、「TFTP サーバの設定」を参照してください。
DHCPOFFER ユニキャスト メッセージによってクライアントに送信された設定パラメータが無効である(設定エラーが存在する)場合、クライアントは DHCPDECLINE ブロードキャスト メッセージを DHCP サーバに返します。
DHCP サーバはクライアントに、提供した設定パラメータが割り当てられてない、パラメータのネゴシエーション中にエラーが発生した、または DHCPOFFER メッセージに対するクライアントの応答が遅れている(DHCP サーバがパラメータを別のクライアントに割り当てた)という意味の DHCPNAK 拒否ブロードキャスト メッセージを送信します。
DHCP クライアントは、複数の DHCP サーバまたは BOOTP サーバから提供された情報を受信し、そのうちの任意の 1 つを受け入れることができますが、通常は最初に受け取った情報を受け入れます。DHCP サーバから提供された IP アドレスが必ずしもスイッチに割り当てられるわけではありません。ただし、サーバは通常、クライアントが正式にアドレスを要求するまでアドレスを予約します。スイッチが BOOTP サーバからの応答を受け入れて、そのスイッチ自体を設定する場合、スイッチはスイッチ コンフィギュレーション ファイルを取得するために、TFTP 要求をユニキャストではなくブロードキャストします。
DHCP hostname オプションを使用すると、スイッチのグループは、一元管理している DHCP サーバからホスト名および標準設定を取得できます。クライアント(スイッチ)は DCHPDISCOVER メッセージに、ホスト名およびその他の設定パラメータを DHCP サーバに要求するために使用するオプション 12 フィールドを含めます。すべてのクライアントのコンフィギュレーション ファイルは、DHCP から取得したホスト名を除いてすべて同じになります。
クライアントのホスト名がデフォルトの場合( hostname name グローバル コンフィギュレーション コマンドが設定されていないか、ホスト名を削除するための no hostname グローバル コンフィギュレーション コマンドが入力されていない場合)、 ip address dhcp インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力したときに DHCP hostname オプションがパケット内に含まれません。この場合、クライアントがインターフェイスの IP アドレスの取得中に DHCP 経由で DCHP hostname オプションを受け取った場合、クライアントは DCHP hostname オプションを受け入れ、システムにホスト名が設定されたことを示すフラグを設定します。
DHCP ベースの自動設定およびイメージ更新の概要
DHCP イメージ アップグレード機能を使用すると、新しいイメージと新しいコンフィギュレーション ファイルの両方をネットワーク内の 1 つまたは複数のスイッチにダウンロードするように DHCP サーバを設定できます。これにより、ネットワークに新しく追加された各スイッチが同じイメージおよび設定を受信することが保証されます。
DHCP イメージのアップグレードには、DHCP 自動設定と DHCP 自動イメージ更新の 2 種類があります。
DHCP 自動設定
DHCP 自動設定では、DHCP サーバからネットワーク内の 1 つまたは複数のスイッチにコンフィギュレーション ファイルをダウンロードします。ダウンロードされたコンフィギュレーション ファイルが、そのスイッチの実行コンフィギュレーションになります。スイッチをリロードするまで、フラッシュ メモリに保存されているブートアップ設定は上書きされません。
DHCP 自動イメージ更新
DHCP 自動設定とともに DHCP 自動イメージ更新を使用すると、設定と新しいイメージの両方をネットワーク内の 1 つまたは複数のスイッチにダウンロードできます。新しい設定と新しいイメージをダウンロード中のスイッチは、ブランクになる(または、出荷時のデフォルト設定がロードされるだけの)場合があります。
すでに設定を含むスイッチに新しい設定をダウンロードすると、ダウンロードされた設定はスイッチに格納されているコンフィギュレーション ファイルに追加されます(既存の設定は、ダウンロードされた設定によって上書きされません)。
(注) スイッチの DHCP 自動イメージ更新をイネーブルにするには、イメージとコンフィギュレーション ファイルが配置されている TFTP サーバのオプション 67(コンフィギュレーション ファイル名)、オプション 66(DHCP サーバ ホスト名)、オプション 150(TFTP サーバ アドレス)、およびオプション 125(ファイルの説明)を正しく設定する必要があります。
スイッチを DHCP サーバとして設定する手順については、「DHCP ベースの自動設定の設定」と、『Cisco IOS IP Configuration Guide, Release 12.2』の「IP Addressing and Services」にある「Configuring DHCP」を参照してください。
スイッチをネットワーク内に設置したあと、自動イメージ更新機能を起動します。ダウンロードされたコンフィギュレーション ファイルは、スイッチの実行コンフィギュレーションに保存されます。また、新しいイメージは、スイッチにダウンロードされてインストールされます。スイッチを再起動すると、その設定がスイッチの保存済みコンフィギュレーションに格納されます。
制限事項および制約事項
次に、制限事項について説明します。
• ネットワーク内で割り当てられた IP アドレスを使用せずにアップ状態になっているレイヤ 3 インターフェイスが 1 つも存在しない場合、保存済みの設定プロセスを使用した DHCP ベースの自動設定は停止します。
• タイムアウトを設定しない限り、保存済みの設定機能を使用した DHCP ベースの自動設定は IP アドレスのダウンロードを無期限に試行します。
• コンフィギュレーション ファイルがダウンロードできない、またはコンフィギュレーション ファイルが破損している場合、自動インストール プロセスは停止します。
(注) TFTP からダウンロードされたコンフィギュレーション ファイルは、実行コンフィギュレーションの既存の設定に結合されますが、write memory または copy running-configuration startup configuration 特権 EXEC コマンドを入力しない限り、Nonvolatile Random-Access Memory(NVRAM; 不揮発性 RAM)に保存されません。ダウンロードされた設定がスタートアップ コンフィギュレーションに保存されると、それ以降はシステムが再起動しても機能はトリガーされません。
DHCP サーバ設定時の注意事項
装置を DHCP サーバとして設定する場合は、次の注意事項に従ってください。
DHCP サーバには、スイッチのハードウェア アドレスによって各スイッチにバインドされている予約済みリースを設定する必要があります。
スイッチが IP アドレス情報を受信するようにするには、DHCP サーバに次のリース オプションを設定する必要があります。
• クライアントの IP アドレス(必須)
• クライアントのサブネット マスク(必須)
• ルータの IP アドレス(スイッチで使用するデフォルト ゲートウェイ アドレス)(必須)
• DNS サーバの IP アドレス(任意)
スイッチが TFTP サーバからコンフィギュレーション ファイルを受信するようにするには、DHCP サーバに次のリース オプションを設定する必要があります。
• TFTP サーバ名(必須)
• ブート ファイル名(クライアントに必要なコンフィギュレーション ファイルの名前)(推奨)
• ホスト名(任意)
DHCP サーバの設定によっては、スイッチは IP アドレス情報またはコンフィギュレーション ファイル、あるいはその両方を受信できます。
前述のリース オプションを設定しなかった場合、DHCP サーバは、設定されたパラメータだけを使用してクライアントの要求に応答します。IP アドレスおよびサブネット マスクが応答に含まれていないと、スイッチは設定されません。ルータの IP アドレスまたは TFTP サーバ名が見つからなかった場合、スイッチは TFTP 要求を、ユニキャストではなく、ブロードキャスト送信することがあります。その他のリース オプションは、使用できなくても自動設定には影響しません。
スイッチは、DHCP サーバとして動作できます。デフォルトでは、Cisco IOS DHCP サーバおよびリレー エージェントの機能はスイッチ上でイネーブルになっていますが、設定されていません。つまり、これらの機能は動作可能な状態ではありません。DHCP サーバがシスコ デバイスである場合、DHCP の設定方法の詳細については、Cisco.com ページの [Documentation] > [Cisco IOS Software] > [12.2 Mainline] > [Command References] で『 Cisco IOS IP Configuration Guide 』の「IP Addressing and Services」にある「Configuring DHCP」を参照してください。
TFTP サーバの設定
DHCP サーバの設定に基づいて、スイッチは TFTP サーバから 1 つまたは複数のコンフィギュレーション ファイルをダウンロードしようとします。TFTP サーバへの IP 接続に必要なすべてのオプションを指定して、スイッチに応答するように DHCP サーバを設定しており、さらに、TFTP サーバ名、アドレス、およびコンフィギュレーション ファイル名を DHCP サーバに指定している場合、スイッチは指定された TFTP サーバから指定されたコンフィギュレーション ファイルをダウンロードしようとします。
コンフィギュレーション ファイル名および TFTP サーバを指定しなかった場合、またはコンフィギュレーション ファイルをダウンロードできなかった場合、スイッチは、ファイル名と TFTP サーバ アドレスをさまざまに組み合わせてコンフィギュレーション ファイルをダウンロードしようとします。ファイルには、指定されたコンフィギュレーション ファイル名(ある場合)と、network-config、cisconet.cfg、 hostname .config、または hostname .cfg の各ファイルが含まれています( hostname はスイッチの現在のホスト名です)。使用される TFTP サーバ アドレスには、指定された TFTP サーバ アドレス(ある場合)、およびブロードキャスト アドレス(255.255.255.255)が含まれています。
スイッチがコンフィギュレーション ファイルを正常にダウンロードするには、TFTP サーバのベース ディレクトリに 1 つまたは複数のコンフィギュレーション ファイルが含まれている必要があります。含めることができるファイルは、次のとおりです。
• DHCP 応答で指定されているコンフィギュレーション ファイル(実際のスイッチ コンフィギュレーション ファイル)
• network-confg または cisconet.cfg ファイル(デフォルトのコンフィギュレーション ファイル)
• router-confg または ciscortr.cfg ファイル(これらのファイルには、すべてのスイッチに共通のコマンドが含まれています。通常、DHCP および TFTP サーバが適切に設定されている場合、これらのファイルにはアクセスしません)
DHCP サーバリース データベースに TFTP サーバ名を指定する場合は、DNS サーバのデータベースに TFTP サーバ名から IP アドレスへのマッピングを設定する必要もあります。
使用する TFTP サーバがスイッチとは別の LAN 上にある場合、またはスイッチがブロードキャスト アドレスを使用して TFTP サーバにアクセスする場合(前述のすべての必須情報が DHCP サーバの応答に含まれていない場合)は、TFTP サーバに TFTP パケットを転送するようにリレーを設定する必要があります。詳細については、「リレー装置の設定」を参照してください。問題を解決するには、必要なすべての情報を DHCP サーバに設定することを推奨します。
DNS の設定
DHCP サーバは、DNS サーバを使用して TFTP サーバ名を IP アドレスに解決します。DNS サーバ上で、TFTP サーバ名から IP アドレスへのマッピングを設定する必要があります。TFTP サーバには、スイッチのコンフィギュレーション ファイルが含まれています。
DNS サーバの IP アドレスを、DHCP 応答が IP アドレスを取得する DHCP サーバのリース データベースに設定できます。リース データベースには、DNS サーバの IP アドレスを 2 つまで入力できます。
DNS サーバは、スイッチと同じ LAN 上に配置することも、スイッチとは別の LAN 上に配置することもできます。DNS サーバが別の LAN 上に存在する場合、スイッチはルータを介して DNS サーバにアクセスできる必要があります。
リレー装置の設定
スイッチが、異なる LAN 上のホストからの応答を必要とするブロードキャスト パケットを送信する場合は、リレー装置( リレー エージェント とも呼ぶ)を設定する必要があります。スイッチが送信する可能性のあるブロードキャスト パケットの例として、DHCP パケット、DNS パケット、場合によっては TFTP パケットが挙げられます。このリレー装置は、インターフェイス上で受信されたブロードキャスト パケットを宛先ホストに転送するように設定する必要があります。
リレー装置が Cisco ルータである場合、IP ルーティングをイネーブルにし( ip routing グローバル コンフィギュレーション コマンド)、 ip helper-address インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用してヘルパー アドレスを設定します。
図 4-2 では、ルータ インターフェイスを次のように設定しています。
インターフェイス 10.0.0.2 の設定:
router(config-if)#
ip helper-address 20.0.0.2
router(config-if)#
ip helper-address 20.0.0.3
router(config-if)#
ip helper-address 20.0.0.4
インターフェイス 20.0.0.1 の設定:
router(config-if)#
ip helper-address 10.0.0.1
(注) スイッチがリレー装置として動作するようにするには、インターフェイスをルーテッド ポートとして設定します。詳細については、「ルーテッド ポート」および「レイヤ 3 インターフェイスの設定」を参照してください。
図 4-2 自動設定でのリレー装置の使用
コンフィギュレーション ファイルの取得
DHCP の予約済みリースで IP アドレスおよびコンフィギュレーション ファイル名のアベイラビリティに応じて、スイッチは次の方法で設定情報を取得します。
• スイッチの IP アドレスおよびコンフィギュレーション ファイル名が予約され、DHCP 応答に含まれている場合(1 ファイル読み込み方式)。
スイッチは、IP アドレス、サブネット マスク、TFTP サーバ アドレス、およびコンフィギュレーション ファイル名を DHCP サーバから受信します。スイッチは、TFTP サーバにユニキャスト メッセージを送信し、名前付きコンフィギュレーション ファイルをサーバのベース ディレクトリから取得して、起動プロセスを完了します。
• スイッチの IP アドレスおよびコンフィギュレーション ファイル名が予約されているが、DHCP 応答に TFTP サーバ アドレスが含まれていない場合(1 ファイル読み込み方式)。
スイッチは、IP アドレス、サブネット マスク、およびコンフィギュレーション ファイル名を DHCP サーバから受信します。スイッチは、TFTP サーバにブロードキャスト メッセージを送信し、名前付きコンフィギュレーション ファイルをサーバのベース ディレクトリから取得して、起動プロセスを完了します。
• スイッチの IP アドレスだけが予約されて DHCP 応答に含まれていて、コンフィギュレーション ファイル名は含まれていない場合(2 ファイル読み込み方式)。
スイッチは、IP アドレス、サブネット マスク、および TFTP サーバ アドレスを DHCP サーバから受信します。スイッチは、TFTP サーバにユニキャスト メッセージを送信し、network-confg または cisconet.cfg のデフォルト コンフィギュレーション ファイルを取得します(network-confg ファイルが読み込めない場合、スイッチは cisconet.cfg ファイルを読み込みます)。
デフォルトのコンフィギュレーション ファイルには、スイッチのホスト名から IP アドレスへのマッピングが含まれています。スイッチは、ファイルの情報をホスト テーブルに書き込み、ホスト名を取得します。ファイルでホスト名が見つからない場合、スイッチは DHCP 応答内のホスト名を使用します。ホスト名が DHCP 応答で指定されていない場合、スイッチはデフォルトの Switch をホスト名として使用します。
デフォルトのコンフィギュレーション ファイルまたは DHCP 応答からホスト名を取得したあと、スイッチはホスト名と同じ名前のコンフィギュレーション ファイル(network-confg または cisconet.cfg のどちらが先に読み込まれたかによって、ファイル名は hostname -confg または hostname .cfg になります)を TFTP サーバから読み込みます。cisconet.cfg ファイルが読み込まれた場合は、ホストのファイル名は 8 文字に切り捨てられます。
network-confg、cisconet.cfg、またはホスト名と同じ名前のファイルを読み込むことができない場合、スイッチは router-confg ファイルを読み込みます。router-confg ファイルを読み込むことができない場合、スイッチは ciscortr.cfg ファイルを読み込みます。
(注) DHCP 応答から TFTP サーバを取得できなかった場合、ユニキャスト送信によるコンフィギュレーション ファイルの読み込みにすべて失敗した場合、または TFTP サーバ名を IP アドレスに解決できない場合には、スイッチは TFTP サーバ要求をブロードキャストします。
設定例
図 4-3 に、DHCP ベースの自動設定を使用して IP 情報を取得するネットワークの例を示します。
図 4-3 DHCP ベースの自動設定ネットワークの例
表 4-2 に、DHCP サーバ上の予約済みリースの設定を示します。
表 4-2 DHCP サーバの設定
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バインディング キー(ハードウェア アドレス) |
00e0.9f1e.2001 |
00e0.9f1e.2002 |
00e0.9f1e.2003 |
00e0.9f1e.2004 |
IP アドレス |
10.0.0.21 |
10.0.0.22 |
10.0.0.23 |
10.0.0.24 |
サブネット マスク |
255.255.255.0 |
255.255.255.0 |
255.255.255.0 |
255.255.255.0 |
ルータ アドレス |
10.0.0.10 |
10.0.0.10 |
10.0.0.10 |
10.0.0.10 |
DNS サーバ アドレス |
10.0.0.2 |
10.0.0.2 |
10.0.0.2 |
10.0.0.2 |
TFTP サーバ名 |
tftpserver または 10.0.0.3 |
tftpserver または 10.0.0.3 |
tftpserver または 10.0.0.3 |
tftpserver または 10.0.0.3 |
ブート ファイル名(コンフィギュレーション ファイル)(任意) |
switcha-confg |
switchb-confg |
switchc-confg |
switchd-confg |
ホスト名(任意) |
switcha |
switchb |
switchc |
switchd |
DNS サーバの設定
DNS サーバは、TFTP サーバ名 tftpserver を IP アドレス 10.0.0.3 にマッピングします。
TFTP サーバの設定(UNIX の場合)
TFTP サーバのベース ディレクトリは、/tftpserver/work/ に設定されています。このディレクトリには、2 ファイル読み込み方式で使用される network-confg ファイルがあります。このファイルには、IP アドレスに基づいてスイッチに割り当てられるホスト名が含まれています。ベース ディレクトリには、次に示すように、各スイッチのコンフィギュレーション ファイル( switcha-confg 、 switchb-confg など)も含まれています。
prompt> cd /tftpserver/work/
prompt> cat network-confg
ip host switcha 10.0.0.21
ip host switchb 10.0.0.22
ip host switchc 10.0.0.23
ip host switchd 10.0.0.24
DHCP クライアントの設定
スイッチ A ~ D には、コンフィギュレーション ファイルは存在しません。
設定の説明
図 4-3 の場合、スイッチ A は、コンフィギュレーション ファイルを次のようにして読み込みます。
• DHCP サーバから IP アドレス 10.0.0.21 を取得します。
• DHCP サーバの応答にコンフィギュレーション ファイル名が含まれていない場合、スイッチ A は TFTP サーバのベース ディレクトリから network-confg ファイルを読み込みます。
• ホスト テーブルに network-confg ファイルの内容を追加します。
• IP アドレス 10.0.0.21 をホスト名(switcha)にインデックス付けすることで、ホスト テーブルを読み込みます。
• ホスト名に対応するコンフィギュレーション ファイルを読み込みます。たとえば、TFTP サーバから switch1-confg ファイルを読み込みます。
スイッチ B ~ D も同様に、それぞれのコンフィギュレーション ファイルおよび IP アドレスを取得します。
DHCP 自動設定およびイメージ更新機能の設定
DHCP を使用して新しいイメージと新しい設定をスイッチにダウンロードするには、少なくとも 2 つのスイッチを設定する必要があります。1 つのスイッチは、DHCP および TFTP サーバとして動作します。クライアント スイッチは、新しいコンフィギュレーション ファイルだけ、または新しいコンフィギュレーション ファイルと新しいイメージ ファイルの両方をダウンロードするように設定されます。
DHCP 自動設定の設定(コンフィギュレーション ファイルのみ)
DHCP 自動設定を設定し、新しいコンフィギュレーション ファイルをダウンロードする新しいスイッチに TFTP および DHCP の設定値を指定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip dhcp poolname |
DHCP サーバ アドレス プールの名前を作成し、DHCP プール コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
bootfile filename |
ブート イメージとして使用するコンフィギュレーション ファイルの名前を指定します。 |
ステップ 4 |
network network-number mask prefix-length |
DHCP アドレス プールのサブネット ネットワーク番号とマスクを指定します。 (注) プレフィクス長は、アドレス プレフィクスを構成するビット数を指定します。プレフィクスは、クライアントのネットワーク マスクを指定する代替の方法です。プレフィクス長の先頭には、スラッシュ(/)を付加する必要があります。 |
ステップ 5 |
default-router address |
DHCP クライアントのデフォルト ルータの IP アドレスを指定します。 |
ステップ 6 |
option 150 address |
TFTP サーバの IP アドレスを指定します。 |
ステップ 7 |
exit |
グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 8 |
tftp-server flash :filename.text |
TFTP サーバ上のコンフィギュレーション ファイルを指定します。 |
ステップ 9 |
interface interface-id |
コンフィギュレーション ファイルを受信するクライアントのアドレスを指定します。 |
ステップ 10 |
no switchport |
インターフェイスをレイヤ 3 モードにします。 |
ステップ 11 |
ip address address mask |
インターフェイスの IP アドレスとマスクを指定します。 |
ステップ 12 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 13 |
copy running-config startup-config |
(任意)設定をコンフィギュレーション ファイルに保存します。 |
次に、スイッチがコンフィギュレーション ファイルをダウンロードするように、スイッチを DHCP サーバとして設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# ip dhcp pool pool1
Switch(dhcp-config)# network 10.10.10.0 255.255.255.0
Switch(dhcp-config)# bootfile config-boot.text
Switch(dhcp-config)# default-router 10.10.10.1
Switch(dhcp-config)# option 150 10.10.10.1
Switch(dhcp-config)# exit
Switch(config)# tftp-server flash:config-boot.text
Switch(config)# interface gigabitethernet1/2
Switch(config-if)# no switchport
Switch(config-if)# ip address 10.10.10.1 255.255.255.0
DHCP 自動イメージ更新の設定(コンフィギュレーション ファイルとイメージ)
DHCP 自動設定を設定し、新しいイメージと新しいコンフィギュレーション ファイルをダウンロードする新しいスイッチに TFTP および DHCP の設定値を指定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
(注) 次の表の手順を実行する前に、スイッチにアップロードするテキスト ファイル(autoinstall_dhcp など)を作成する必要があります。テキスト ファイルには、ダウンロードするイメージの名前を指定します。このイメージは、bin ファイルではなく、tar ファイルである必要があります。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip dhcp poo l name |
DHCP サーバ アドレス プールの名前を作成し、DHCP プール コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
bootfile filename |
ブート イメージとして使用するファイルの名前を指定します。 |
ステップ 4 |
network network-number mask prefix-length |
DHCP アドレス プールのサブネット ネットワーク番号とマスクを指定します。 (注) プレフィクス長は、アドレス プレフィクスを構成するビット数を指定します。プレフィクスは、クライアントのネットワーク マスクを指定する代替の方法です。プレフィクス長の先頭には、スラッシュ(/)を付加する必要があります。 |
ステップ 5 |
default-router address |
DHCP クライアントのデフォルト ルータの IP アドレスを指定します。 |
ステップ 6 |
option 150 address |
TFTP サーバの IP アドレスを指定します。 |
ステップ 7 |
option 125 hex |
イメージ ファイルへのパスが記述されているテキスト ファイルへのパスを指定します。 |
ステップ 8 |
copy tftp flash filename.txt |
テキスト ファイルをスイッチにアップロードします。 |
ステップ 9 |
copy tftp flash imagename.tar |
新しいイメージの tar ファイルをスイッチにアップロードします。 |
ステップ 10 |
exit |
グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 11 |
tftp-server flash:config.text |
TFTP サーバ上の Cisco IOS コンフィギュレーション ファイルを指定します。 |
ステップ 12 |
tftp-server flash:imagename.tar |
TFTP サーバ上のイメージ名を指定します。 |
ステップ 13 |
tftp-server flash:filename.txt |
ダウンロードするイメージ ファイルの名前を含むテキスト ファイルを指定します。 |
ステップ 14 |
interface interface-id |
コンフィギュレーション ファイルを受信するクライアントのアドレスを指定します。 |
ステップ 15 |
no switchport |
インターフェイスをレイヤ 3 モードにします。 |
ステップ 16 |
ip address address mask |
インターフェイスの IP アドレスとマスクを指定します。 |
ステップ 17 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 18 |
copy running-config startup-config |
(任意)設定をコンフィギュレーション ファイルに保存します。 |
次に、スイッチがコンフィギュレーション ファイルをダウンロードするように、スイッチを DHCP サーバとして設定する例を示します。
Switch(config)# ip dhcp pool pool1
Switch(dhcp-config)# network 10.10.10.0 255.255.255.0
Switch(dhcp-config)# bootfile config-boot.text
Switch(dhcp-config)# default-router 10.10.10.1
Switch(dhcp-config)# option 150 10.10.10.1
Switch(dhcp-config)# option 125 hex 0000.0009.0a05.08661.7574.6f69.6e73.7461.6c6c.5f64.686370
Switch(dhcp-config)# exit
Switch(config)# tftp-server flash:config-boot.text
Switch(config)# tftp-server flash:c-ipservices-mz.122-44.3.SE.tar
Switch(config)# tftp-server flash:ies-lanbase-tar.122-44.EX.tar
Switch(config)# tftp-server flash:boot-config.text
Switch(config)# tftp-server flash: autoinstall_dhcp
Switch(config)# interface gigabitethernet1/2
Switch(config-if)# no switchport
Switch(config-if)# ip address 10.10.10.1 255.255.255.0
クライアントの設定
DHCP サーバからコンフィギュレーション ファイルと新しいイメージをダウンロードするようにスイッチを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
boot host dhcp |
保存済みコンフィギュレーションを使用した自動設定をイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
boot host retry timeout timeout-value |
(任意)システムがコンフィギュレーション ファイルのダウンロードを試行する時間を設定します。 (注) タイムアウトを設定しない場合、システムは DHCP サーバからの IP アドレスの取得を無期限に試行します。 |
ステップ 4 |
banner config-save ^C warning-message ^C |
(任意)コンフィギュレーション ファイルを NVRAM に保存しようとしたときに表示される警告メッセージを作成します。 |
ステップ 5 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 6 |
show boot |
設定を確認します。 |
次に、VLAN 99 のレイヤ 3 Switch Virtual Interface(SVI; スイッチ仮想インターフェイス)を使用して、保存済みコンフィギュレーションを使用した DHCP ベースの自動設定をイネーブルにする例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(conf)# boot host dhcp
Switch(conf)# boot host retry timeout 300
Switch(conf)# banner config-save ^C Caution - Saving Configuration File to NVRAM May Cause You to No longer Automatically Download Configuration Files at Reboot^C
Switch(config-vlan)# interface vlan 99
Switch(config-if)# no shutdown
Config file: flash:/config.text
Private Config file: flash:/private-config.text
via DHCP: enabled (next boot: enabled)
(注) 実行することは、レイヤ 3 インターフェイスを設定してイネーブルにすることだけです。IP アドレス、または保存済みコンフィギュレーションを使用した DHCP ベースの自動設定は割り当てないでください。
手動での IP 情報の割り当て
複数のスイッチ仮想インターフェイス(SVI)に手動で IP 情報を割り当てるには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
(注) スイッチが IP サービス イメージを実行している場合、no switchport インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用してポートをレイヤ 3 モードに設定しておくと、ポートにも手動で IP 情報を割り当てることができます。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface vlan vlan-id |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始し、IP 情報を割り当てる VLAN を入力します。指定できる VLAN 範囲は 1 ~ 4094 です。 |
ステップ 3 |
ip address ip-address subnet-mask |
IP アドレスおよびサブネット マスクを入力します。 |
ステップ 4 |
exit |
グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
ip default-gateway ip-address |
デフォルト ゲートウェイが設定されているスイッチに直接接続されているネクストホップ ルータ インターフェイスの IP アドレスを入力します。デフォルト ゲートウェイは、解決されていない宛先 IP アドレスを含む IP パケットをスイッチから受信します。 デフォルト ゲートウェイが設定されると、スイッチは、ホストが通信する必要のあるリモート ネットワークに接続できます。 (注) IP でルーティングするようにスイッチを設定した場合は、デフォルト ゲートウェイを設定する必要はありません。 |
ステップ 6 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 7 |
show interfaces vlan vlan-id |
設定された IP アドレスを確認します。 |
ステップ 8 |
show ip redirects |
設定されたデフォルト ゲートウェイを確認します。 |
ステップ 9 |
copy running-config startup-config |
(任意)設定をコンフィギュレーション ファイルに保存します。 |
スイッチの IP アドレスを削除するには、 no ip address インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。Telnet セッションでアドレスを削除すると、スイッチへの接続が切断されます。デフォルト ゲートウェイ アドレスを削除するには、 no ip default-gateway グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
スイッチのシステム名の設定、特権 EXEC コマンドへのアクセス保護、時刻サービスとカレンダー サービスの設定については、「スイッチの管理」を参照してください。
スタートアップ コンフィギュレーションの変更
• 「デフォルトのブート コンフィギュレーション」
• 「コンフィギュレーション ファイルの自動ダウンロード」
• 「手動での起動」
• 「特定のソフトウェア イメージの起動」
• 「環境変数の制御」
スイッチ コンフィギュレーション ファイルの詳細については、 付録 B「Cisco IOS ファイル システム、コンフィギュレーション ファイル、およびソフトウェア イメージの操作」 も参照してください。
デフォルトのブート コンフィギュレーション
表 4-3 デフォルトのブート コンフィギュレーション
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オペレーティング システム ソフトウェア イメージ |
スイッチは、BOOT 環境変数内の情報を使用して、自動的にシステムの起動を試みます。この変数が設定されていない場合、スイッチは、フラッシュ ファイル システム全体に再帰的な縦型検索を行って、最初の実行可能イメージをロードして実行しようとします。 Cisco IOS イメージは、イメージ ファイル(拡張子 .bin を除く)と同じ名前のディレクトリに保存されています。 ディレクトリの縦型検索では、検出した各サブディレクトリを完全に検索してから元のディレクトリでの検索を続けます。 |
コンフィギュレーション ファイル |
設定済みのスイッチは、フラッシュ メモリのシステム ボードに保存されている config.text ファイルを使用します。 新しいスイッチには、コンフィギュレーション ファイルがありません。 |
コンフィギュレーション ファイルの自動ダウンロード
DHCP ベースの自動設定機能を使用すると、スイッチにコンフィギュレーション ファイルを自動的にダウンロードできます。詳細については、「DHCP ベースの自動設定の概要」を参照してください。
システム設定を読み書きするファイル名の指定
デフォルトでは、Cisco IOS ソフトウェアは、 config.text ファイルを使用して、システム設定の不揮発性コピーを読み書きします。ただし、別のファイル名を指定することもでき、このファイルは次の起動サイクル時にロードされます。
別のコンフィギュレーション ファイル名を指定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
boot config-file flash:/ file-url |
次の起動サイクル時にロードするコンフィギュレーション ファイルを指定します。 file-url には、パス(ディレクトリ)とコンフィギュレーション ファイル名を指定します。 ファイル名およびディレクトリ名では、大文字と小文字が区別されます。 |
ステップ 3 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show boot |
設定を確認します。 boot config-file グローバル コンフィギュレーション コマンドは、CONFIG_FILE 環境変数の設定を変更します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)設定をコンフィギュレーション ファイルに保存します。 |
デフォルト設定に戻すには、 no boot config-file グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
手動での起動
デフォルトでは、スイッチは自動的に起動しますが、手動で起動するように設定することができます。
次の起動サイクル時に手動で起動するようにスイッチを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
boot manual |
次の起動サイクル時に手動で起動するようにスイッチをイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show boot |
設定を確認します。 boot manual グローバル コマンドは、MANUAL_BOOT 環境変数の設定を変更します。 次回システムを再起動すると、スイッチはブート ローダ モードで起動します。このことは switch: プロンプトで確認できます。システムを起動するには、 boot filesystem :/ file-url ブート ローダ コマンドを使用します。 • システム ボード フラッシュ装置の場合、 filesystem : に flash: を使用します。 • file-url には、パス(ディレクトリ)と、ブート可能イメージの名前を指定します。 ファイル名およびディレクトリ名では、大文字と小文字が区別されます。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)設定をコンフィギュレーション ファイルに保存します。 |
手動での起動をディセーブルにするには、 no boot manual グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
特定のソフトウェア イメージの起動
デフォルトでは、スイッチは、BOOT 環境変数内の情報を使用して自動的にシステムの起動を試みます。この変数が設定されていない場合、スイッチは、フラッシュ ファイル システム全体に再帰的な縦型検索を行って、最初の実行可能イメージをロードして実行しようとします。ディレクトリの縦型検索では、検出した各サブディレクトリを完全に検索してから元のディレクトリでの検索を続けます。ただし、起動する特定のイメージを指定できます。
次の起動サイクル時に特定のイメージを起動するようにスイッチを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
boot system filesystem :/ file-url |
次の起動サイクル時にフラッシュ メモリ内の特定のイメージを起動するようにスイッチを設定します。 • システム ボード フラッシュ装置の場合、 filesystem : に flash: を使用します。 • file-url には、パス(ディレクトリ)と、ブート可能イメージの名前を指定します。 ファイル名およびディレクトリ名では、大文字と小文字が区別されます。 |
ステップ 3 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show boot |
設定を確認します。 boot system グローバル コマンドは、BOOT 環境変数の設定を変更します。 次の起動サイクル時、スイッチは、BOOT 環境変数内の情報を使用して自動的にシステムを起動しようとします。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)設定をコンフィギュレーション ファイルに保存します。 |
デフォルト設定に戻すには、 no boot system グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
環境変数の制御
正常に動作しているスイッチでは、9600 b/s に設定されたスイッチ コンソール接続でだけブート ローダ モードが開始されます。スイッチの電源コードを取り外し、電源コードの再接続中に Mode ボタンを押します。ポート 1 の上の LED が消灯してから 1 ~ 2 秒後に、 Mode ボタンを放します。すると、ブート ローダの switch: プロンプトが表示されます。
スイッチのブート ローダ ソフトウェアは不揮発性の環境変数をサポートするので、この環境変数を使用して、ブート ローダまたはシステムで稼動する他のソフトウェアの動作を制御できます。ブート ローダの環境変数は、UNIX または DOS システムで設定できる環境変数と類似しています。
値が設定された環境変数は、フラッシュ ファイル システム外のフラッシュ メモリに保存されています。
これらのファイルの各行には、環境変数名と等号、その後ろに変数の値が格納されています。このファイルに表示されていない変数には値がありません。表示されていればヌル ストリングであっても値があります。ヌル ストリング(たとえば " ")に設定されている変数は、値が設定された変数です。多くの環境変数は事前に定義されており、デフォルト値が設定されています。
環境変数には、次の 2 種類のデータが保存されます。
• Cisco IOS コンフィギュレーション ファイルを読み込まないコードを制御するデータ。たとえば、ブート ローダの機能を拡張したり、その機能にパッチを適用したりするブート ローダ ヘルパー ファイルの名前は、環境変数として保存できます。
• Cisco IOS コンフィギュレーション ファイルを読み込むコードを制御するデータ。たとえば、Cisco IOS コンフィギュレーション ファイル名は環境変数として保存できます。
環境変数の設定を変更するには、ブート ローダにアクセスするか、Cisco IOS コマンドを使用します。通常の環境では、環境変数の設定を変更する必要はありません。
(注) ブート ローダ コマンドと環境変数の構文および使用方法の詳細については、このリリースのコマンド リファレンスを参照してください。
表 4-4 で、最も一般的な環境変数の機能について説明します。
表 4-4 環境変数
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Cisco IOS グローバル コンフィギュレーション コマンド
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BOOT |
set BOOT filesystem :/ file-url ... 自動起動時にロードおよび実行しようとする実行可能ファイルのセミコロン区切りリスト。BOOT 環境変数が設定されていない場合、システムは、フラッシュ ファイル システム全体に再帰的な縦型検索を行って、最初に検出された実行可能イメージをロードして実行を試みます。BOOT 環境変数が設定されていても指定されたイメージをロードできない場合は、システムはフラッシュ ファイル システムで最初に見つかったブート可能ファイルを起動しようとします。 |
boot system f ilesystem:/file-url ... 次の起動サイクル時にロードする Cisco IOS イメージを指定します。このコマンドは、BOOT 環境変数の設定を変更します。 |
MANUAL_BOOT |
set MANUAL_BOOT yes スイッチが自動で起動するか、または手動で起動するかを決定します。 有効値は 1、yes、0、および no です。no または 0 に設定されている場合、ブート ローダはシステムを自動的に起動しようとします。他の値に設定されている場合は、ブート ローダ モードから手動でスイッチを起動する必要があります。 |
boot manual 次の起動サイクル時の手動スイッチ起動をイネーブルにし、MANUAL_BOOT 環境変数の設定を変更します。 次回システムを再起動すると、スイッチはブート ローダ モードで起動します。システムを起動するには、 boot flash: filesystem :/ file-url ブート ローダ コマンドを使用してブート可能イメージの名前を指定します。 |
CONFIG_FILE |
set CONFIG_FILE flash:/ file-url Cisco IOS がシステム設定の不揮発性コピーの読み書きに使用するファイル名を変更します。 |
boot config-file flash: / file-url Cisco IOS がシステム設定の不揮発性コピーの読み書きに使用するファイル名を指定します。このコマンドは、CONFIG_FILE 環境変数を変更します。 |