Cisco IE 3000 スイッチ ソフトウェア コンフィギュ レーション ガイド,12.2(55)SE

LLDP

Cisco Discovery Protocol（CDP; シスコ検出プロトコル）は、シスコ製のすべての装置（ルータ、ブリッジ、アクセス サーバ、およびスイッチ）上のレイヤ 2（データ リンク層）で動作する装置検出プロトコルです。CDP を使用すると、ネットワーク管理アプリケーションによってネットワークに接続された シスコ デバイスが自動的に検出および学習されます。

非シスコ デバイスをサポートし、他の装置との相互運用性を確保するために、スイッチは IEEE 802.1AB Link Layer Discovery Protocol（LLDP）をサポートします。LLDP は、ネットワーク上の他の装置に対してその装置自身の情報をアドバタイズするために、ネットワーク装置に使用されているネイバー探索プロトコルです。このプロトコルはデータリンク層で動作するので、異なるネットワーク層のプロトコルで動作している 2 台のシステムでも相互認識が可能です。

LLDP は、ネイバー装置を検出するために使用する一連の属性をサポートします。これらの属性には、タイプ、長さ、および値の説明が含まれ、TLV と呼ばれます。LLDP をサポートしている装置は、TLV を使用してネイバー装置の情報を受信、およびネイバー装置への情報の送信を行うことができます。このプロトコルは、設定情報、装置の機能、および装置の ID などの詳細をアドバタイズできます。

スイッチは次の基本的な管理 TLV をサポートします。次は必須 LLDP TLV です。

• ポートの説明 TLV

• システム名 TLV

• システムの説明 TLV

• システムの機能 TLV

• 管理アドレス TLV

次の組織的に特定された LLDP TLV も LLDP-MED をサポートするようにアドバタイズされます。

• ポート VLAN ID TLV（IEEE 802.1 の組織的に特定された TLV）

• MAC/PHY コンフィギュレーション/ステータス TLV（IEEE 802.3 の組織的に特定された TLV）

（注） スイッチ スタックがネットワーク内の単一のスイッチとして表示されます。このため、LLDP は個別のスタック メンバーではなくスイッチ スタックを検出します。

LLDP または CDP ロケーション情報をポート単位に設定すると、リモート デバイスが Cisco Medianet ロケーション情報をスイッチに送信できるようになります。詳細については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/netmgmt/configuration/guide/nm_cdp_discover.html

LLDP-MED

LLDP for Media Endpoint Devices（LLDP-MED）は、IP Phone などのエンドポイント装置とスイッチなどのネットワーク装置の間で動作する LLDP に対する拡張です。特に、Voice over IP（VoIP）アプリケーションに対するサポートを提供すると同時に、機能検出、ネットワーク ポリシー、Power over Ethernet（PoE; イーサネット経由の電源供給）、コンポーネント管理、およびロケーション情報に追加の TLV も提供します。デフォルトでは、すべての LLDP-MED TLV がイネーブルになっています。

LLDP-MED は、次のTLV をサポートします。

• LLDP-MED 機能 TLV

接続されている装置がサポートし、イネーブルになっている機能を LLDP-MED エンドポイントが判別できるようにします。

• ネットワーク ポリシー TLV

ネットワーク接続している装置とエンドポイントの両方が、そのポート上の特定のアプリケーションに対する VLAN 設定および関連付けられたレイヤ 2 およびレイヤ 3 の属性をアドバタイズできるようにします。たとえば、スイッチは使用すべき VLAN 番号を電話機に通知できます。電話機は、任意のスイッチに接続し、その VLAN 番号を取得してから、コール制御との通信を開始できます。

ネットワーク ポリシー プロファイル TLV を定義することによって、VLAN、class of service（CoS; サービス クラス）、Differentiated Services Code Point（DSCP）、およびタギング モードに対する値を指定し、音声と音声シグナリングのプロファイルを作成できます。これらのプロファイル属性は、その後、スイッチ上で集中してメンテナンスされ、電話機に伝播されます。

• 電源管理 TLV

LLDP-MED エンドポイントとネットワーク接続している装置間の高度な電源管理をイネーブルにします。スイッチと電話機が、装置への電源供給方法、電源のプライオリティ、装置に必要な電力量などの電源情報を伝達できるようにします。

• コンポーネント管理 TLV

エンドポイントが、ハードウェア リビジョン、ファームウェア バージョン、ソフトウェア バージョン、シリアル番号、メーカー名、モデル名、およびアセット ID TLV 情報を含むエンドポイント自身についての詳細なコンポーネント情報をスイッチに送信できるようにします。

• ロケーション TLV

スイッチからエンドポイント装置にロケーション情報を提供します。ロケーション TLV は次の情報を送信できます。

– 都市ロケーション情報

都市のアドレス情報と郵便情報を提供します。都市ロケーション情報の例としては、住所、道路名、および郵便区名の情報があります。

– ELIN ロケーション情報

発信者のロケーション情報を提供します。ロケーションは、Emergency location identifier number（ELIN; 緊急ロケーション情報）によって決定されます。これは地域の public safety answering point（PSAP）への緊急コールをルーティングし、緊急コールの発信者にコール バックするために PSAP が使用できる電話番号です。

有線のロケーション サービス

スイッチは、有線のロケーション サービスを使用して、Cisco Mobility Services Engine（MSE）に、そのスイッチに接続された装置に関するロケーションと接続の追跡情報を送信します。追跡する装置は、無線エンドポイント、有線エンドポイント、または有線スイッチまたはコントローラになります。スイッチは、Network Mobility Services Protocol（NMSP; ネットワーク モビリティ サービス プロトコル）ロケーションと接続通知を使用して、MSE に装置のリンクアップ イベントとリンクダウン イベントを通知します。

MSE はスイッチに対する NMSP 接続を開始し、サーバ ポートを開きます。MSE がスイッチに接続すると、バージョン互換性、サービス交換情報、およびその後にロケーション情報の同期を確立するため、一連のメッセージ交換を行います。接続後、スイッチは定期的にロケーションと接続通知を MSE に送信します。インターバルの間に検出されたリンクアップ イベントまたはリンクダウン イベントは、集約されインターバルの最後に送信されます。

スイッチが、リンクアップ イベントまたはリンク ダウン イベント上で装置の有無を判断すると、MAC アドレス、IP アドレス、ユーザ名などのクライアント固有の情報を取得します。クライアントが LLDP-MED 対応または CDP 対応である場合、スイッチは LLDP-MED ロケーション TLV または CDP を通してシリアル番号と UDI を取得します。

装置の機能に応じて、スイッチはリンクアップの時点で次のクライアント情報を取得します。

• ポート接続で指定されたスロットとポート。

• クライアント MAC アドレスで指定された MAC アドレス。

• ポート接続で指定された IP アドレス。

• 802.1X ユーザ名（該当する場合）。

• 装置カテゴリが 有線ステーション として指定されているか。

• ステートが new として指定されているか。

• シリアル番号、UDI。

• モデル番号。

• スイッチが関連付けを検出してからの時間（秒単位）。

装置の機能に応じて、スイッチはリンクダウン時に次のクライアント情報を取得します。

• 切断されたスロットとポート。

• MAC アドレス。

• IP アドレス。

• 802.1X ユーザ名（該当する場合）。

• 装置カテゴリが 有線ステーション として指定されているか。

• ステートが delete として指定されているか。

• シリアル番号、UDI。

• スイッチが関連付けの解除を検出してからの時間（秒単位）。

スイッチがシャットダウンされると、MSE への NMSP 接続を閉じる前に delete ステートの接続通知および IP アドレスが送信されます。MSE は、この通知をスイッチに関連付けられている有線クライアントのすべてに対する関連付けの解除として解釈します。

スイッチ上でロケーション アドレスを変更する場合は、スイッチは影響を受けるポートと変更されたアドレス情報を識別する NMSP ロケーション通知メッセージを送信します。

LLDP のデフォルト設定

設定時の注意事項

• インターフェイスがトンネル ポートとして設定されている場合は、LLDP は自動的にディセーブルになります。

• ネットワーク ポリシー プロファイルを初めて設定したインターフェイスには、 switchport voice vlan コマンドを適用できません。 switchport voice vlan vlan-id がすでに設定されているインターフェイスには、ネットワーク ポリシー プロファイルを適用できます。このようにして、そのインターフェイスには、音声または音声シグナリング VLAN ネットワーク ポリシー プロファイルが適用されます。

• ネットワーク ポリシー プロファイルを持っているインターフェイス上では、スタティック セキュア MAC アドレスを設定できません。

• プライベート VLAN ポート上ではネットワーク ポリシー プロファイルを設定できません。

• 有線のロケーションが機能するには、最初に ip device tracking グローバル コンフィギュレーション コマンドを入力する必要があります。

LLDP のイネーブル化

LLDP をイネーブルにするには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。

LLDP をディセーブルにするには、 no lldp run グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。インターフェイス上で LLDP をディセーブルにするには、 no lldp transmit および no lldp receive インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。

次に、LLDP をグローバルにイネーブルにする例を示します。

次に、インターフェイス上で LLDP をイネーブルにする例を示します。

LLDP の特性の設定

LLDP 更新の頻度、情報を廃棄する前に保持する時間、および初期化遅延時間を設定できます。LLDP および LLDP-MED TLV を選択して送受信ができます。

LLDP の特性を設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。

（注） ステップ 2 ～ 5 は任意であり、どの順序で実行してもかまいません。

デフォルト設定に戻すには、各 LLDP コマンドの no 形式を使用します。

次に、LLDP の特性を設定する例を示します。

LLDP-MED TLV の設定

デフォルトでは、スイッチはエンド装置から LLDP-MED パケットを受信するまで LLDP パケットだけを送信します。その後で、MED TLV を持つ LLDP パケットも送信します。LLDP-MED エントリが期限切れになった場合は、再度 LLDP パケットだけを送信します。

lldp インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用することによって、 表 31-2 に示す TLV を送信しないようにインターフェイスを設定できます。

インターフェイス上で TLV をイネーブルにするには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。

次に、インターフェイス上で TLV をイネーブルにする例を示します。

ネットワーク ポリシーの設定

ネットワーク ポリシー プロファイルを作成し、ポリシー属性を設定し、インターフェイスに適用するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。

デフォルト設定に戻すには、各コマンドの no 形式を使用します。

次に、CoS を使用して音声アプリケーションに対する VLAN 100 を設定して、インターフェイス上でネットワーク ポリシー プロファイルとネットワーク ポリシー TLV をイネーブルにする例を示します。

次の例では、プライオリティ タギングを使用したネイティブ VLAN に音声アプリケーション タイプを設定する方法を示します。

ロケーション TLV および有線のロケーション サービスの設定

エンドポイントのロケーション情報を設定し、それをインターフェイスに適用するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。

デフォルト設定に戻すには、各コマンドの no 形式を使用します。

次の例では、スイッチに都市ロケーション情報を設定する方法を示します。

スイッチ上の有線のロケーション サービスをイネーブルにするには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。

（注） スイッチは、暗号化ソフトウェア イメージを実行して nmsp グローバル コンフィギュレーション コマンドをイネーブルにする必要があります。

次に、スイッチ上で NMSP をイネーブルにして、位置通知間隔を 10 秒に設定する例を示します。