Cisco IE 3000 スイッチ ソフトウェア コンフィギュ レーション ガイド,12.2(55)SE

VTP ドメイン

VTP ドメイン（別名、VLAN 管理ドメイン）は、1 つのスイッチ、または共通管理下にあり、同じ VTP ドメイン名を共有する、相互接続された複数のスイッチで構成されます。1 つのスイッチが所属できる VTP ドメインは 1 つだけです。ドメインのグローバル VLAN 設定を変更します。

デフォルトでは、スイッチはトランク リンク（複数の VLAN のトラフィックを伝送するリンク）を介してドメインに関するアドバタイズを受信するか、またはユーザがドメイン名を設定しない限り、VTP 非管理ドメイン ステートのままです。管理ドメイン名が指定されるか、または学習されるまで、VTP サーバ上で VLAN を作成または変更できず、VLAN 情報は ネットワーク上に伝播されません。

スイッチは、トランク リンクを介して VTP アドバタイズを受信すると、管理ドメイン名および VTP 設定のリビジョン番号を継承します。スイッチは、別のドメイン名または古い設定のリビジョン番号が指定されたアドバタイズについては無視します。

VTP サーバ上の VLAN 設定を変更すると、その変更は VTP ドメイン内のすべてのスイッチに伝播されます。VTP アドバタイズは、IEEE 802.1Q を含むすべての IEEE トランク接続を介して送信されます。VTP は、複数の LAN タイプの VLAN に、一意の名前と内部インデックスの対応付けをダイナミックにマッピングします。このマッピングにより、ネットワーク管理者が装置を管理するための作業負担が大幅に軽減されます。

スイッチを VTP トランスペアレント モードに設定した場合、VLAN の作成および変更は可能ですが、その変更はドメイン内の他のスイッチには送信されず、個々のスイッチにだけ適用されます。ただし、スイッチが VTP トランスペアレント モードのときに行われた設定変更は、スイッチの実行コンフィギュレーションに保存されます。また、スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに保存することもできます。

ドメイン名とパスワードの設定時の注意事項については、「VTP 設定時の注意事項」を参照してください。

VTP のモード

サポートされているスイッチは、 表 17-1 に示すいずれかの VTP モードに設定できます。

VTP アドバタイズ

VTP ドメイン内の各スイッチは、予約されたマルチキャスト アドレスに対して、各トランク ポートからグローバル コンフィギュレーション アドバタイズを定期的に送信します。ネイバー スイッチは、このアドバタイズを受信し、必要に応じて各自の VTP および VLAN 設定を更新します。

（注） VTP アドバタイズはトランク ポートで送受信されるので、少なくとも 1 つのトランク ポートがスイッチに設定されていること、およびそのトランク ポートが別のスイッチのトランク ポートに接続されていることを確認する必要があります。そうでない場合、スイッチはVTP アドバタイズを受信できません。トランク ポートの詳細については、「VLAN トランクの設定」を参照してください。

VTP アドバタイズは、次のグローバル ドメイン情報を配布します。

• VTP ドメイン名

• VTP 設定のリビジョン番号

• 更新 ID および更新タイムスタンプ

• 各 VLAN の Maximum Transmission Unit（MTU; 最大伝送ユニット）サイズを含めた MD5 ダイジェスト VLAN 設定

• フレーム形式

VTP アドバタイズは、設定済みの各 VLAN に対して、次のグローバル ドメイン情報を配布します。

• VLAN ID（IEEE 802.1Q）

• VLAN 名

• VLAN タイプ

• VLAN ステート

• VLAN タイプ固有のその他の VLAN 設定情報

VTP バージョン 3 では、プライマリ サーバ ID、インスタンス番号、および開始インデックスも VTP アドバタイズに含まれます。

VTP バージョン 2

ネットワークで VTP を使用する場合は、使用する VTP のバージョンを決定する必要があります。デフォルトでは、VTP はバージョン 1 で動作します。

VTP バージョン 2 では、バージョン 1 ではサポートされない次の機能がサポートされます。

• トークン リング サポート：VTP バージョン 2 では、Token Ring Bridge Relay Function（TrBRF; トークン リング ブリッジ リレー機能）および Token Ring Concentrator Relay Function（TrCRF; トークン リング コンセントレータ リレー機能）VLAN がサポートされます。トークン リング VLAN の詳細については、「標準範囲 VLAN の設定」を参照してください。

• 認識不能な Type-Length-Value（TLV）のサポート：VTP サーバまたはクライアントは、TLV が解析不能であっても、設定の変更を他のトランクに伝播します。スイッチが VTP サーバ モードで動作している場合、認識不能な TLV は NVRAM に保存されます。

• バージョン依存型トランスペアレント モード：VTP バージョン 1 の場合、VTP トランスペアレント スイッチは、VTP メッセージの中のドメイン名およびバージョンを調べ、バージョンおよびドメイン名が一致する場合に限ってメッセージを転送します。VTP バージョン 2 では、1 つのドメインだけがサポートされます。そのため、トランスペアレント モードでは、バージョンとドメイン名を調べずに VTP メッセージを転送します。

• 整合性検査：VTP バージョン 2 では、CLI または SNMP を介して新しい情報が入力された場合に限り、VLAN 整合性検査（VLAN 名、値など）を行います。VTP メッセージから新しい情報を取得した場合、または NVRAM から情報を読み込んだ場合には、整合性検査を行いません。受信した VTP メッセージの MD5 ダイジェストが有効であれば、情報を受け入れます。

VTP バージョン 3

VTP バージョン 3 では、バージョン 1 またはバージョン 2 ではサポートされない次の機能がサポートされます。

• 拡張認証：認証を hidden または secret として設定できます。 hidden の場合、パスワードの秘密キーは VLAN データベースに保存されますが、コンフィギュレーションのプレーン テキストには表示されません。代わりに、パスワードに関連付けられているキーが 16 進数形式で実行コンフィギュレーションに保存されます。ドメイン内でテイクオーバー コマンドを入力する場合は、パスワードを再入力する必要があります。 secret キーワードを入力すると、パスワードの秘密キーを直接設定できます。

• 拡張範囲 VLAN（VLAN 1006 ～ 4094）データベース伝播のサポート。VTP バージョン 1 および 2 では、VLAN 1 ～ 1005 だけが伝播されます。拡張 VLAN が設定されている場合、VTP バージョン 3 からバージョン 1 または 2 に変換できません。

（注） VTP プルーニングは、依然として VLAN 1 ～ 1005 にだけ適用されます。また、VLAN 1002 ～ 1005 は引き続き予約されており、変更できません。

• プライベート VLAN のサポート。

• ドメイン内の任意のデータベースに対するサポート。バージョン 3 では、VTP 情報だけでなく、Multiple Spanning Tree（MST; 多重スパニング ツリー）プロトコル データベース情報も伝播されます。VTP プロトコルのインスタンスは、VTP を使用する VTP プロトコルごとに個別に実行されます。

• VTP プライマリ サーバおよび VTP セカンダリ サーバ。VTP プライマリ サーバは、データベース情報を更新し、システム内のすべての装置で受け入れられる更新を送信します。VTP セカンダリ サーバは、更新された VTP 設定をプライマリ サーバから受信し、それを NVRAM にバックアップすることしかできません。

デフォルトでは、装置はすべてセカンダリ サーバとして起動します。プライマリ サーバを指定するには、 vtp primary 特権 EXEC コマンドを入力します。プライマリ サーバ ステータスが必要になるのは、管理者がデータベースを更新するためにドメイン内でテイクオーバー メッセージを発行するときだけです。VTP ドメインは、プライマリ サーバなしでも正常に機能します。装置のリロードまたはドメイン パラメータの変更が行われると、スイッチでパスワードが設定されている場合でも、プライマリ サーバ ステータスが失われます。

• トランク（ポート）単位で VTP のオン/オフを切り替えるオプション。[ no ] vtp インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力すると、ポート単位で VTP をイネーブルおよびディセーブルにできます。トランキング ポートの VTP をディセーブルにすると、そのポートの VTP インスタンスがすべてディセーブルになります。同じポート上で、MST データベースの VTP を オフ に設定し、VLAN データベースの VTP を オン に設定できません。

VTP モードをグローバルにオフに設定すると、システム内のすべてのトランキング ポートにその設定が適用されます。ただし、VTP インスタンス単位でオン/オフを指定できます。たとえば、MST データベースの VTP を オフ にした状態で、スイッチを VLAN データベースの VTP サーバとして設定することができます。

VTP プルーニング

VTP プルーニングを使用すると、トラフィックが宛先装置に到達するために使用しなければならないトランク リンクへのフラッディング トラフィックが制限されるので、ネットワークで使用可能な帯域幅が増えます。VTP プルーニングを使用しない場合、スイッチは、ブロードキャスト トラフィック、マルチキャスト トラフィック、および不明なユニキャスト トラフィックを、受信スイッチがそれらのトラフィックを廃棄した場合でも、VTP ドメイン内のすべてのトランク リンクにフラッディングします。VTP プルーニングは、デフォルトではディセーブルに設定されています。

VTP プルーニングは、プルーニング適格リストに指定された、トランク ポート上の VLAN への不要なフラッディング トラフィックをブロックします。プルーニング適格リストに指定された VLAN だけが、プルーニングの対象になります。デフォルトでは、VLAN 2 ～ 1001 がプルーニング適格のトランク ポートです。VLAN がプルーニング不適格として設定されている場合は、フラッディングが継続します。VTP プルーニングは、すべての VTP バージョンでサポートされます。

図 17-1 に、VTP プルーニングを使用しない場合のスイッチド ネットワークを示します。スイッチ A のポート 1 およびスイッチ D のポート 2 は、Red という VLAN に割り当てられています。スイッチ A に接続されたホストからブロードキャストが送信された場合、スイッチ A はこのブロードキャストをフラッディングします。Red VLAN にポートを持たないスイッチ C、E、F も含めて、ネットワーク内のすべてのスイッチがこのブロードキャストを受信します。

図 17-1 VTP プルーニングを使用しない場合のフラッディング トラフィック

図 17-2 に、VTP プルーニングをイネーブルにした場合のスイッチド ネットワークを示します。Red VLAN のトラフィックは図に示すリンク（スイッチ B のポート 5、スイッチ D のポート 4）でプルーニングされるので、スイッチ A からのブロードキャスト トラフィックは、スイッチ C、E、F には転送されません。

図 17-2 VTP プルーニングで最適化されたフラッディング トラフィック

VTP サーバで VTP プルーニングをイネーブルにすると、管理ドメイン全体でプルーニングが有効になります。VLAN をプルーニング適格または不適格にした場合、その VLAN のプルーニング適格性の影響を受けるのはそのトランクだけです（VTP ドメイン内のすべてのスイッチに影響するわけではありません）。

「VTP プルーニングのイネーブル化」を参照してください。VTP プルーニングは、イネーブルにしてから数秒後に有効になります。プルーニング不適格の VLAN からのトラフィックは、VTP プルーニングの対象になりません。VLAN 1 および VLAN 1002 ～ 1005 は常にプルーニング不適格です。これらの VLAN からのトラフィックをプルーニングできません。拡張範囲 VLAN（VLAN ID が 1006 以上）もプルーニング不適格です。

VTP プルーニングは、VTP トランスペアレント モードで動作するように設計されていません。ネットワーク内の 1 つまたは複数のスイッチが VTP トランスペアレント モードになっている場合は、次のいずれかを実行する必要があります。

• ネットワーク全体で VTP プルーニングをオフにする。

• VTP トランスペアレント スイッチのアップストリームにあるスイッチのトランク上の VLAN をすべてプルーニング不適格にすることで、VTP プルーニングをオフにする。

インターフェイスに VTP プルーニングを設定するには、 switchport trunk pruning vlan インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します（「プルーニング適格リストの変更」を参照）。VTP プルーニングは、インターフェイスがトランキングを実行している場合に動作します。VTP ドメインに対して VTP プルーニングが設定されているかどうか、指定された VLAN が存在しているかどうか、およびインターフェイスがトランキングを現在実行しているかどうかに関係なく、VLAN プルーニング適格性を設定できます。

VTP のデフォルト設定

表 17-2 に、VTP のデフォルト設定を示します。

VTP 設定時の注意事項

VTP パスワード、バージョン、VTP ファイル名、更新された VTP 情報を提供するインターフェイス、ドメイン名、およびモードを設定したり、プルーニングをディセーブルまたはイネーブルにするには、 vtp グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。使用可能なキーワードの詳細については、このリリースに対応するコマンド リファレンスのコマンドの説明を参照してください。VTP 情報は、VTP VLAN データベースに保存されます。VTP モードがトランスペアレントである場合、VTP ドメイン名とモードはスイッチの実行コンフィギュレーション ファイルにも保存されます。 copy running-config startup-config 特権 EXEC コマンドを入力すると、この情報をスイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに保存できます。スイッチをリセットする場合に VTP モードをトランスペアレントとして保存するときは、このコマンドを使用する必要があります。

VTP 情報をスイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに保存してスイッチを再起動した場合、設定は次のように選択されます。

• スタートアップ コンフィギュレーションおよび VLAN データベースの VTP モードがトランスペアレントで、VLAN データベースの VTP ドメイン名がスタートアップ コンフィギュレーション ファイルと一致する場合、VLAN データベースは無視（消去）されます。スタートアップ コンフィギュレーション ファイル内の VTP および VLAN 設定が使用されます。VLAN データベース内の VLAN データベース リビジョン番号は変更されません。

• スタートアップ コンフィギュレーションの VTP モードまたはドメイン名が VLAN データベースと一致しない場合、ドメイン名、VTP モード、および最初の 1005 個の VLAN の設定には、VLAN データベースの情報が使用されます。

ドメイン名

VTP を初めて設定するときは、必ずドメイン名を割り当てる必要があります。VTP ドメイン内のすべてのスイッチに同じドメイン名を設定する必要があります。VTP トランスペアレント モードのスイッチは、他のスイッチとVTP メッセージを交換しません。したがって、それらのスイッチについては、VTP ドメイン名を設定する必要はありません。

（注） NVRAM および DRAM のストレージが十分にある場合は、VTP ドメイン内のすべてのスイッチを VTP サーバ モードにしてください。

パスワード

VTP ドメインのパスワードを設定できますが、パスワードは必須ではありません。ドメインのパスワードを設定する場合は、すべてのドメイン スイッチで同じパスワードを使用する必要があります。また、管理ドメイン内の各スイッチでパスワードを設定する必要があります。パスワードが設定されていないスイッチ、または誤ったパスワードが設定されたスイッチは、VTP アドバタイズを拒否します。

ドメインにパスワードを設定した場合、VTP 設定なしで起動したスイッチは、正しいパスワードが設定されない限り、VTP アドバタイズを受け入れません。設定後、スイッチは同じパスワードおよびドメイン名を使用する VTP アドバタイズを次から受け入れます。

VTP 機能を備えた既存のネットワークに新しいスイッチを追加した場合、新しいスイッチは、適切なパスワードが設定された後にだけ、ドメイン名を取得します。

VTP バージョン

実装する VTP バージョンを決定するときには、次の注意事項に従ってください。

• VTP ドメイン内のすべてのスイッチで、同じドメイン名を使用する必要がありますが、同じ VTP バージョンを実行する必要はありません。

• VTP バージョン 2 対応スイッチは、バージョン 2 がディセーブルになっている場合（デフォルトではバージョン 2 はディセーブル）、VTP バージョン 1 が稼動しているスイッチと同一の VTP ドメイン内で動作可能です。

• VTP バージョン 1 が稼動している VTP バージョン 2 対応スイッチが VTP バージョン 3 のアドバタイズを受信した場合、そのスイッチは自動的に VTP バージョン 2 に移行します。

• VTP バージョン 3 が稼動しているスイッチが、VTP バージョン 1 が稼動しているスイッチに接続されている場合、VTP バージョン 1 スイッチは VTP バージョン 2 に移行します。VTP バージョン 3 スイッチは、VTP バージョン 2 スイッチがデータベースを更新できるように、縮小バージョンの VTP パケットを送信します。

• VTP バージョン 3 が稼動しているスイッチは、拡張 VLAN が設定されている場合、バージョン 1 または 2 に移行できません。

• 同一 VTP ドメイン内のすべてのスイッチがバージョン 2 に対応する場合を除いて、スイッチ上で VTP バージョン 2 をイネーブルにしないでください。スイッチ上でバージョン 2 をイネーブルにすると、ドメイン内のすべてのバージョン 2 対応スイッチでバージョン 2 がイネーブルになります。バージョン 1 専用のスイッチがある場合、そのスイッチはバージョン 2 がイネーブルになっているスイッチとの間で VTP 情報を交換できません。

• VTP バージョン 1 および 2 のスイッチは、VTP バージョン 3 のアドバタイズを転送しないので、ネットワークのエッジに配置することを推奨します。

• 使用環境に TrBRF および TrCRF トークン リング ネットワークが含まれている場合、トークン リング VLAN スイッチングを正しく機能させるためには、VTP バージョン 2 またはバージョン 3 をイネーブルにする必要があります。トークン リングおよびトークン リング Net を実行する場合は、VTP バージョン 2 をディセーブルにします。

• VTP バージョン 1 およびバージョン 2 では、拡張範囲 VLAN（VLAN 1006 ～ 4094）の設定情報は伝播されません。これらの VLAN は、各装置上で手動で設定する必要があります。VTP バージョン 3 では、拡張範囲 VLAN がサポートされます。拡張 VLAN が設定されている場合、VTP バージョン 3 から VTP バージョン 2 に変換できません。

• VTP バージョン 3 装置は、VTP バージョン 2 装置からのメッセージをトランク ポートで受信すると、そのトランク上で縮小バージョンの VLAN データベースを VTP バージョン 2 形式で送信します。VTP バージョン 3 装置は、トランク ポートで VTP バージョン 2 パケットを受信しない限り、そのトランク上で VTP バージョン 2 形式のパケットを送信しません。

• VTP バージョン 3 装置は、トランク ポート上で VTP バージョン 2 装置を検出すると、バージョン 2 およびバージョン 3 のネイバーが同じトランク上で共存できるように、VTP バージョン 2 パケットに加えて VTP バージョン 3 パケットの送信を続行します。

• VTP バージョン 3 装置は、VTP バージョン 2 または VTP バージョン 1 装置からの設定情報を受け入れません。

• 2 つの VTP バージョン 3 領域は、トランスペアレント モードで VTP バージョン 1 またはバージョン 2 領域を介してのみ通信できます。

• VTP バージョン 1 専用の装置は、VTP バージョン 3 装置と相互運用できません。

設定の要件

VTP を設定するときには、スイッチがドメイン内の他のスイッチとの間で VTP アドバタイズを送受信できるように、トランク ポートを設定する必要があります。

詳細については、「VLAN トランクの設定」を参照してください。

クラスタ メンバー スイッチ上の VTP を VLAN に設定する場合は、 rcommand 特権 EXEC コマンドを使用してメンバー スイッチにログインします。このコマンドの詳細については、このリリースのコマンド リファレンスを参照してください。

VTP バージョン 1 および 2 で拡張範囲 VLAN をスイッチ上に設定する場合は、スイッチが VTP トランスペアレント モードになっている必要があります。VTP バージョン 3 では、クライアント モードまたはサーバ モードでの拡張範囲 VLAN の作成もサポートされます。

VTP バージョン 1 および 2 では、プライベート VLAN はサポートされません。プライベート VLAN を設定する場合は、スイッチが VTP トランスペアレント モードになっている必要があります。スイッチ上にプライベート VLAN が設定されている場合は、VTP モードをトランスペアレントからクライアントまたはサーバ モードに変更しないでください。VTP バージョン 3 では、プライベート VLAN がサポートされます。

VTP モードの設定

VTP モードは次のいずれかに設定できます。

• スイッチが VTP サーバ モードになっている場合は、VLAN 設定を変更し、それをネットワーク全体に伝播することができます。

• スイッチが VTP クライアント モードになっている場合は、VLAN 設定を変更できません。クライアント スイッチは、VTP ドメイン内の VTP サーバから VTP 更新を受信し、それに従って設定を変更します。

• スイッチを VTP トランスペアレント モードに設定すると、そのスイッチで VTP がディセーブルになります。スイッチは、VTP 更新を送信せず、他のスイッチから受信した VTP 更新に従って動作することもありません。ただし、VTP バージョン 2 が稼動している VTP トランスペアレント スイッチは、受信した VTP アドバタイズをトランク リンク上で転送します。

• VTP オフ モードは、VTP アドバタイズが転送されないことを除いて、VTP トランスペアレント モードと同じです。

次の注意事項に従ってください。

• VTP バージョン 1 およびバージョン 2 で、拡張範囲 VLAN がスイッチ上に設定されている場合は、VTP モードをクライアントまたはサーバに変更できません。エラー メッセージが表示され、設定は許可されません。VTP バージョン 1 およびバージョン 2 では、拡張範囲 VLAN（VLAN 1006 ～ 4094）の設定情報は伝播されません。これらの VLAN は、各装置上で手動で設定する必要があります。

（注） VTP バージョン 1 および 2 では、拡張範囲 VLAN（VLAN ID 1006 ～ 4094）を作成する前に、vtp mode transparent グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して VTP モードをトランスペアレントに設定する必要があります。スイッチが VTP トランスペアレント モードで起動するように、この設定をスタートアップ コンフィギュレーションに保存します。そうしないと、スイッチがリセットされて VTP サーバ モード（デフォルト）で起動した場合に、拡張範囲 VLAN 設定が失われます。

• VTP バージョン 3 では、拡張範囲 VLAN がサポートされます。拡張 VLAN が設定されている場合、VTP バージョン 3 から VTP バージョン 2 に変換できません。

• スイッチを VTP クライアント モードに設定すると、そのスイッチで VLAN データベース ファイル（vlan.dat）が作成されなくなります。その後でスイッチの電源を切断すると、スイッチの VTP 設定がデフォルトにリセットされます。スイッチの再起動後も VTP 設定が VTP クライアント モードに維持されるようにするには、VTP モードの前に VTP ドメイン名を設定する必要があります。

VTP モードを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。

設定したドメイン名は削除できません。スイッチを別のドメインに再度割り当てるしかありません。

別のモードのスイッチを VTP サーバ モードに戻すには、 no vtp mode グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。スイッチをパスワードのない状態に戻すには、 no vtp password グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。

次に、ドメイン名 eng_group とパスワード mypassword を使用して、スイッチを VTP サーバとして設定する例を示します。

VTP バージョン 3 パスワードの設定

VTP バージョン 3 を使用している場合にパスワードを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。

パスワードを消去するには、 no vtp password グローバル コンフィギュレーション コマンドを入力します。

次に、hidden としてパスワードを設定する例と、設定したパスワードが表示される例を示します。

VTP バージョン 3 プライマリ サーバの設定

VTP サーバを VTP プライマリ サーバとして設定するには、特権 EXEC モードから開始して、目的の VTP サーバで次の手順を実行します（バージョン 3 のみ）。この手順を実行すると、テイクオーバー操作が開始されます。

次に、hidden パスワードまたは secret パスワードが設定されている場合に、スイッチを VLAN データベース（デフォルト）のプライマリ サーバとして設定する例を示します。

VTP バージョンのイネーブル化

VTP バージョン 2 およびバージョン 3 は、デフォルトでディセーブルに設定されています。

• スイッチで VTP バージョン 2 をイネーブルにすると、VTP ドメイン内のすべての VTP バージョン 2 対応スイッチでバージョン 2 がイネーブルになります。VTP バージョン 3 をイネーブルにするには、各スイッチで手動で設定する必要があります。

• VTP バージョン 1 および 2 では、VTP サーバまたはトランスペアレント モードのスイッチでのみ、バージョンを設定できます。VTP バージョン 3 が稼動しているスイッチでは、拡張 VLAN およびプライベート VLAN が存在せず、hidden パスワードが設定されていない場合に限り、クライアント モードのときにバージョン 2 に変更できます。

• TrCRF および TrBRF トークン リング環境でトークン リング VLAN スイッチングを正しく機能させるためには、VTP バージョン 2 または VTP バージョン 3 をイネーブルにする必要があります。トークン リングおよびトークン リング Net の場合は、VTP バージョン 2 をディセーブルにする必要があります。

• VTP バージョン 3 は、Cisco IOS Release 12.2(52) SE 以降が実行されているスイッチでサポートされます。

VTP バージョン設定時の注意事項については、「VTP バージョン」を参照してください。

VTP バージョンを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。

デフォルトの VTP バージョン 1 に戻すには、 no vtp version グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します 。

VTP プルーニングのイネーブル化

プルーニングを使用すると、トラフィックが宛先装置にアクセスするために使用しなければならないトランク リンクへのフラッディング トラフィックが制限されるので、使用可能な帯域幅が増えます。VTP プルーニングは、VTP サーバ モードのスイッチでだけイネーブルにできます。

VTP ドメインで VTP プルーニングをイネーブルにするには、イネーブルEXEC モードで次の手順を実行します。

VTP プルーニングをディセーブルにするには、 no vtp pruning グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。

VTP バージョン 1 および 2 では、VTP サーバでプルーニングをイネーブルにすると、VTP ドメイン全体でプルーニングがイネーブルになります。VTP バージョン 3 では、ドメイン内の各スイッチで手動でプルーニングをイネーブルにする必要があります。

プルーニング適格リストに指定された VLAN だけが、プルーニングの対象になります。デフォルトでは、VLAN 2 ～ 1001 がトランク ポート上でプルーニング適格です。予約 VLAN および拡張範囲 VLAN はプルーニングできません。プルーニング適格のVLAN を変更するには、「プルーニング適格リストの変更」を参照してください。

ポート単位での VTP の設定

VTP バージョン 3 では、ポート単位で VTP をイネーブルまたはディセーブルにできます。VTP をイネーブルにできるのは、トランク モードのポートだけです。着信および発信 VTP トラフィックはブロックされ、転送されません。

ポート上で VTP をイネーブルにするには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。

インターフェイスで VTP をディセーブルにするには、 no vtp インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。

VTP ドメインへの VTP クライアント スイッチの追加

VTP ドメインに VTP クライアントを追加する前に、その VTP 設定リビジョン番号が、VTP ドメイン内の他のスイッチの設定リビジョン番号よりも 小さい ことを必ず確認してください。VTP ドメイン内のスイッチは、VTP 設定リビジョン番号が最も大きいスイッチの VLAN 設定を常に使用します。VTP バージョン 1 および 2 では、VTP ドメインのリビジョン番号よりも大きいリビジョン番号を持つスイッチを追加すると、VTP サーバおよび VTP ドメインからの VLAN 情報がすべて消去される場合があります。VTP バージョン 3 では、VLAN 情報は消去されません。

スイッチを VTP ドメインに追加する 前に 、スイッチの VTP 設定リビジョン番号を確認してリセットするには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。

設定リビジョン番号をリセットしたら、VTP ドメインにスイッチを追加します。

（注） vtp mode transparent グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用すると、スイッチの VTP をディセーブルにしてから、VTP ドメイン内の他のスイッチに影響を与えることなく、スイッチの VLAN 情報を変更することができます。