ADC Over Gx

機能説明

3GPP TS 29.244 V15.0.0 に準拠している、ADC Over Gx 機能は CUPS 環境で次の機能をサポートします。

  • インスタンスレベルでのアプリケーションの開始/停止イベントレポート。セッション使用状況レポート要求の一部として、Sx インターフェイスを介して提供。

  • フローが Ruledef のグループに一致すると、アプリケーションの開始/停止が Ruledef のグループに送信されます。

  • ルールラインの AND ロジックをサポート、および ADC ルール定義の照合。

  • ADC アプリケーション検出通知に使用されるパケット転送制御プロトコル(PFCP)メッセージの新しい情報要素(IE)のサポート。


重要


このリリースでは、ADC Over Gx 機能は、ADC L3/L4 ルールに適用されます。

重要


非 CUPS 環境での ADC Over Gx 機能の補足情報については、次を参照してください。
  • ADC アドミニストレーション ガイド [英語] の「Application Detection and Control Overview」 の章にある「ADC Support over Gx」の項。

  • P-GW アドミニストレーション ガイド [英語] の「Gx Interface Support 」の章にある「Support ADC Rules over Gx Interface」の項。


機能の仕組み

CUPS 環境の ADC Over Gx 機能については、次のサポートが追加されています。

  • アプリケーション ID/TDF アプリケーション識別子は、Sx 確立要求または Sx セッション変更要求における PDR の PDI の一部です。

  • U プレーンで ADC ルールの照合を処理します。

  • アプリケーションの開始/停止イベントが U プレーンで発生したときにセッション使用状況レポート要求を生成します。

  • 使用状況レポート要求の一部としての新しい IE:

    • アプリケーション ID

    • アプリケーション インスタンス ID

    • フロー情報

  • 新しい IE を復号するためのモニタープロトコル。

  • 受信した使用状況レポート要求を処理し、C プレーンで PCRF への CCR-U をトリガーします。

ADC Over Gx 機能は次のコンポーネントで構成されており、この項では各コンポーネントについて説明します。

ADC ルールの照合

従来のルール照合の後に、ADC ルールの照合が呼び出されます。L3/L4 フィルタが照合されると、ルール照合エンジンがベアラーに設定されている ADC ルールをチェックします。ADC ルールが存在する場合は、ADC ルールの照合が行われます。

L3/L4 フィルタを持たない ADC ルールがベアラーにあり、それが非 GBR ベアラーである場合、ADC ルールの照合はすべての非 GBR ベアラーで行われます。課金は、ルール照合の課金およびアクションポリシーに対して行われます。

ADC 動的ルールの場合、L3/L4 フィルタが一致しても、ADC ルールが一致しない場合、ルールは不一致と見なされます。

セッション使用状況レポート要求の生成

U プレーンで ADC ルールが一致し、アプリケーションが検出されると、U プレーンが Sx インターフェイスを介して、次の状況のセッション使用状況レポートとしてアプリケーションの開始通知をトリガーします。

  • 測定方法が [Event] に設定されている

  • 使用状況レポートのトリガーが [Start of Traffic] に設定されている

  • アプリケーション ID、アプリケーション インスタンス ID、アプリケーションフロー情報などのアプリケーション検出情報と方向。

アプリケーションのティアダウンが正常に行われるか、アプリケーションがタイムアウトになるか、ルール照合が変更されると、次の状況のセッション使用状況レポートとして U プレーンから C プレーンにアプリケーションの停止がトリガーされます。

  • 測定方法が [Event] に設定されている

  • 使用状況レポートのトリガーが [Stop of Traffic] に設定されている

  • アプリケーション ID

  • アプリケーション インスタンス ID

アプリケーションの停止は、次の場合にはトリガーされません。

  • 「ミュート」が有効になっている。

  • コールがダウンしている。

  • ルールや PDR が削除されている。

  • ベアラーやトンネルの削除が発生している。

C プレーンでのセッション使用状況レポートの処理

C プレーンでセッション使用状況レポートを受信すると、イベントが検出され、送信する必要がある属性とともに PCRF に向けて CCR-U がトリガーされます。

動的 HTTP リダイレクト

Gx を介して受信されるリダイレクトルールとアクションは、動的ルールの RAR および CCA-U メッセージの一部です。CUPS は、C プレーンから U プレーンに伝達され、U プレーンに適用されるリダイレクトルールとアクションをサポートします。次のフィールドが変換され、U プレーンと U プレーンのリダイレクトに適宜送信されます。

[V] Redirect-Information: 
   [V] Redirect-Support: 
   [M] Redirect-Address-Type: 
   [M] Redirect-Server-Address:

C プレーンの場合:

  • PDR に関連付けられた FAR は、Gx を介した ADC 動的ルールの「Redirect-Information」AVP をサポートするために入力されます。

  • PDR と FAR は、「Redirect-Information」IE とともに U プレーンに送信されます。

    • CCA-I の Gx を介した ADC 動的ルールで PCRF からの「Redirect-Information」AVP を受信した場合の Sx セッション確立要求。

    • CCA-U の Gx を介した ADC 動的ルールで PCRF からの「Redirect-Information」AVP を受信した場合の Sx セッション変更要求。

    • RAR の Gx を介した ADC 動的ルールで PCRF からの「Redirect-Information」AVP を受信した場合の Sx セッション変更要求。

  • ADC 動的ルールの削除のサポートが追加されています。

U プレーンの場合:

  • サブスクライバの ADC 動的ルールがインストールされます。

  • パケットは、ADC 動的ルールが一致した場合にリダイレクトされます。

制限事項

次に、ADC Over Gx 機能の既知の制限事項を示します。

  • U プレーンの TDF アプリケーション識別子と「policy-control bypass TDF-ID-validation CLI コマンドが存在しない場合、コールはドロップされ、適切な切断理由は表示されません。

  • 「ミュート」から「ミュート解除」や「ミュート解除」から「ミュート」への変更シナリオなど、事前定義された ADC ルールの設定の変更は、このリリースではサポートされていません。

  • セッション中の ADC ルールの更新や変更(設定の変更または RAR を介した PDN 更新)はサポートされていません。

  • デフォルトベアラーの L3/L4 ルールでは、ADC がサポートされます。

  • HTTP リダイレクト用の ADC Over Gx は、専用ベアラーに適していません。

ライセンス

ADC Over Gx 機能にはアプリケーション検出制御ライセンスが必要です。特定のライセンス要件の詳細については、シスコのアカウント担当者にお問い合わせください。

ADC over Gx の設定

非 CUPS 環境の ADC Over Gx で使用可能な CLI コマンドは、CUPS 環境でも使用できます。

以下に設定例を示します。

  • [Policy Control Configuration] モードでこの機能を有効にする場合:

    diameter encode-supported-features adc-rules
  • [ACS Rulebase Configuration] モードで ADC の定義済みルールを設定する場合:

    action priority 55 dynamic-only adc ruledef qci5 charging-action charge-action-qci5
    action priority 56 dynamic-only adc mute group-of-ruledefs qci5_gor charging-action charge-action-qci5

重要


ADC Over Gx 機能が有効で、アプリケーションの開始/停止イベントトリガーが登録されていない場合、アプリケーションの開始/停止は PCRF に送信されません。

重要


CLI コマンドの詳細については、『Command Line Interface Reference』[英語] を参照してください。

モニタリングおよびトラブルシューティング

ここでは、この機能のモニタリングや障害対応に使用できる CLI コマンドについて説明します。

モニタープロトコル

monitor protocol コマンドを使用する場合は、オプション 49 を有効にして、Sx メッセージの ADC 関連パラメータを表示します。

コマンドや出力の表示

コントロールプレーン

show active-charging subscribers callid <callid> urr-info

この show コマンドの出力が変更され、ボリュームや期間関連の URR とともに ADC の URR が表示されるようになりました。

U プレーン上

show subscribers user-plane-only full all

この show コマンドの出力は、「関連付けられた ADC PDR の数」を表示するように変更されました。

show subscribers user-plane-only callid <callid> pdr full all

この show コマンドの出力は、次の新しいフィールドを表示するように変更されました。

  • TDF アプリケーション ID

  • TDF 通知

  • 検出された ADC PDR の総数

show subscribers user-plane-only callid <callid> urr full all

この show コマンドの出力は、ボリュームおよび期間関連の URR とともに ADC URR を表示するように変更されました。

show user-plane-service rulebase name <rulebase_name>

この show コマンドの出力が拡張され、この機能がサポートされるようになりました。ADC ルールと「ミュート」を使用する ADC ルールを識別するために、次の 2 つの新しいタイプ文字が導入されました。

  • RDA:A は ADC ルール用

  • GDAM:AM は「ミュート」を使用する ADC ルール用

show sub user-plane-only full all

この show コマンドの出力が拡張され、ADC PDR およびリダイレクトフローに関する情報を表示するようになりました。

  • Flow Action Redirected フロー

  • 関連付けられた ADC PDR の数

show user-plane-service statistics all

この show コマンドの出力が拡張され、ADC Redirect Stats の下に次の新しいフィールドが表示されるようになりました。

  • ADC リダイレクトフロー