IP プールの管理

この章では、次の事項について説明します。

マニュアルの変更履歴


(注)  


リリース 21.24 よりも前に導入された機能については、詳細な改訂履歴は示していません。


改訂の詳細

リリース

IPv6 プールのサポートされる最大チャンクサイズ値が 65,536 に増えました。

21.27

IP プールチャンクの可用性に基づく UP の選択のサポート。

21.26

このリリースでは、コンテキストごとに 100 UP という VPN の制限がなくなりました。

21.25

初版

21.24 より前

機能説明

IP プールの大部分が使用されていない場合、それはリソースの効果的な利用方法とは言えません。IP リソースが不足しているユーザープレーン(UP)にとって、使用されていないリソースが動的に使用可能になれば、メリットがあります。

CUPS アーキテクチャには、次の展開において、一元化されたコントロールプレーン(CP)、多数の UP、および UP 全体の IP プールを管理する自動的かつ効率的な方法があります。

  • CUPS の共存

  • リモート CUPS

この機能により、ダイナミック検出および UP への IP プール割り当てのため、最小 IP サブネット/48 サイズの IPv6 プールの最大チャンクサイズ値 65536 を設定できます。

機能の仕組み

CUPS アーキテクチャでは、CP の PDN/IP コンテキストにより、複数の登録済み UP 間で IP チャンクリソースが動的に分散されます。以下の項では、ソリューション全体について説明します。

UP 登録解除の処理

UP の登録解除は、次のシナリオでトリガーされます。

  • UP からのグレースフル登録解除:このシナリオでは、ユーザープレーンサービス CLI によって、コントロール プレーン グループの関連付けが削除されます。IP アドレスは、CP の sessmgr レベルで解放されます。

  • CP からの UP 接続障害:このシナリオは、UP から CP へのハートビートが途切れた場合、または UP が再起動し、それについて CP が通達を受けた場合のいずれかに発生します。UP が再起動するということは、指定された UP の CP が新しい再起動カウンタを受信するということです。

UP の登録解除がトリガーされると、CP の VPNMGR タスクは、VPNMGR データベースで使用可能な情報を使用して UP の ID とアドレスを検証します。一致しない場合、VPNMGR は失敗メッセージを表示します。一致した場合、検証は成功となります。検証に成功すると、VPNMGR は、指定された UP の IPv4 および IPv6 の両方のプールから、すべての割り当て済みおよび未割り当てのチャンクを取得します。

UP の IP の一部が使用されていても、すべて使用されていなくても関係なく、VPNMGR は UP の強制登録解除を実行するまでの 2 分間のタイマーを開始します。強制登録解除では、すべての IP アドレスが VPNMGR データベースからローカルに削除され、セッションエントリが削除され、すべてのチャンクが CP のメインアドレスプールに配置されます。

ホールド タイマー

ホールドタイマーは、IPv4 動的プールのプールごとに設定されます。静的プールと IPv6 プールは考慮されません。ホールドタイマーが設定されていない場合、IP アドレスは割り当てられたときに空き状態から使用済み状態に移行し、セッションが解放されると空き状態に戻ります。プールで設定されたホールドタイマーにより、解放された IP アドレスは保留状態に移行します。設定されたホールドタイマーの期間中、IP アドレスは保留状態のままとなり、同じサブスクライバが再度接続したときに再利用できます。保留状態の間、IP アドレスは他のサブスクライバに割り当てられません。ホールドタイマーの期限が切れると、IP アドレスはリリース状態に移行し、すべての空き IP アドレスが使い果たされると再利用されます。

UP 登録解除の場合、UP の詳細(UP ID と UP の詳細を保持するメモリ)が CP で保持されないため、保留状態のすべての IP アドレスが空き状態に移行します。その結果、IP アドレスが別のサブスクライバに再利用される可能性があります。また、保留アドレスでは、VPNMgr リカバリと ICSR がサポートされています。

アドレス状態の変更

次のコールフローは、ホールドタイマーが設定されている場合のアドレス状態の変更を示しています。

図 1. ホールドタイマーを使用したアドレス状態の変更

次のコールフローは、ホールドタイマーを設定しない場合のアドレス状態の変更を示しています。

図 2. ホールドタイマーを使用しないアドレス状態の変更

ホールドタイマーの設定

CUPS でホールドタイマー機能を有効にするには、次の設定を使用します。

configure 
   context context_name 
      ip pool pool_name address-hold-timer seconds 
      end 

  • pool_name :IP アドレスプールの論理名を指定します。pool_name は、1 ~ 31 文字の英数字文字列で指定する必要があります。

  • この機能が有効な場合に、アクティブなサブスクライバが切断されると、IP アドレスは保持されるか、まだ使用中と見なされ、アドレスホールドタイマーが期限切れになるまで空き状態に戻りません。そのため、指定された時間(秒単位)内に再接続したサブスクライバは、IP プールから同じ IP アドレスを取得できます。seconds は秒単位の時間で、0 ~ 31,556,926 の整数で指定する必要があります

プール内のすべての IP アドレスのステータスを確認するには、show ip pool address pool-name pool_name CLI コマンドを使用します。また、保留されたアドレスの残りのホールド時間も表示されます。

コンテキストごとの IP プール

CP では、1 つのコンテキストで UP グループあたり 600 の IP プールを設定できます。また、CP のコンテキストあたり 2000 の IPv4 プールと 256 の IPv6 プールを設定できます。これを UP あたり 600 プールを上限に、さまざまな UP グループに分散できます。機能は次のとおりです。

  • UP グループには、プールタイプの組み合わせとして可能なすべての組み合わせにおいて、最大 600 の IP プールを設定できます。

  • プールは、静的、ダイナミック、または静的とダイナミックの混在のいずれかです。

  • プールは、すべて IPv4、すべて IPv6、または IPv4 と IPv6 の混在が可能です。

  • 600 の IP プールのうち、UP グループあたりの IPv6 プール数は最大 256 です(ASR5500 と同じコンテキストレベルの制限)。600 のプールをすべて IPv4 に設定できます。

  • 1 つの UP グループに 600 を超える IP プールが設定された場合、600 のプール/プールチャンクのうち、どのプール/プールチャンクを UP に割り当てるかを決定できません。

  • CP は、UP にインストールされたルートの数を保持します。プールのルート数が 6,000(ASR5500 と同じコンテキストレベルの制限)を超えると、使用数超過しきい値に達しても、UP に新しいチャンクが割り当てられません。同様に、新しい IP プールが動的に割り当てられた際に、すでに 6,000 のプールルートがインストールされていた場合、その UP のプール数が 600 未満であっても、そのプールから新しいチャンクは割り当てられません。

この機能の一部として、show ip user-plane verbose CLI コマンドでは、IPv4 および IPv6 ダイナミックプール数が IPv4 プールおよび IPv6 プールの合計数に置き換えられます。また、この CLI コマンドの出力が拡張され、[Total Pool Kernel Routes] フィールドと [Max Pool Kernel Routes] フィールドが表示されるようになりました。

IP リソース管理

CUPS アーキテクチャでは、CP には PDN/IP コンテキストのすべての IP プールの設定があります。3GPP 標準に準拠して、UP は Sx 関連付け要求および応答手順によって CP に登録されます。

登録プロセス中に、CP は、特定の UP によって提供されているすべての APN と、各 APN の関連するプール設定を検出します。CP は、IP チャンクリソースの一部を特定の UP に割り当て、Sx 関連付け更新要求および応答手順を介して送信します。この情報は、UP で PDN/IP コンテキストインスタンスに送信されます。

UP の登録が成功すると、PDN/IP インスタンスが、プールから UP への IP チャンクリソース情報の送信を開始します。この IP チャンクリソース情報は、Sx 関連付け更新要求および応答メッセージの独自/カスタム IE で UP に送信されます。UP の PDN/IP インスタンスは、CP から受信した BGP ルートをチャンク単位でアナウンスします。

CP に登録されている各 UP は、「ピア ID」とノード ID を使用して識別されます。

IP リソースの補充および取り消し手順

IP リソースを効率的に使用するために、CP は必要に応じて IP リソースを UP に割り当てるため、IP チャンクリソースの補充および取り消し手順がサポートされています。

CP のしきい値ロジックに基づいて、各 UP の IP リソースの使用状況をプールレベルでモニターします。UP の全体的な IP チャンク使用率が特定のしきい値を超えると、CP は追加の IP チャンクリソースをその UP に送信します。

UP 内の特定の IP チャンクが使用されず、一定期間アイドル状態の場合、CP はそれぞれの UP から未使用の IP チャンクリソースを取り消します。詳細については、「プールごとのチャンクの割合の設定」の項を参照してください。

1 つの UP グループにつき 1 つの UP の No-chunk-pool

機能説明

静的 IP アドレス割り当ての場合、SessMgr は特定の IP アドレスを要求します。VPNMgr は、その特定の IP アドレスを検索します。チャンクがすでに特定の UP に割り当てられている場合、VPNMgr はそのアドレスを割り当てて、コールを処理する UP に応答します。静的 IPv4v6 コールの場合、要求された IPv4 および IPv6 アドレスが異なる UP に属している可能性があるため、UP グループあたりの UP が 1 つのみでない限り、IPv4v6 の成功は保証されません。したがって、静的 IPv4v6 コールの成功のため、UP グループあたり 1 つの UP のみ設定できます。UP グループあたり 1 つの UP を使用する場合、そのプールを使用する UP は 1 つだけです。したがって、プールをチャンクに分割するのではなく、プール全体をその UP に割り当てることができるため、プールのチャンク分割は推奨されません。また、一部のユースケースでは、1 つの APN に対して 1 つの UP が含まれる場合もあります。どちらのユースケースもサポートできるように、CUPS アーキテクチャでプールをチャンクに分割しないオプションが導入されました。

no-chunk-pool 機能がないと、使用可能なアドレス数がチャンクサイズよりも少ない場合、最低 2 つのチャンクが設定されていました。

no-chunk-pool 機能があれば、チャンクに分割することなくプールを設定できます。プール全体が、そのプールを最初に要求した UP に割り当てられます。


(注)  


no-chunk-pool 機能は、UP グループあたり 1 つの UP を使用するセットアップでのみ推奨されます。UP グループあたり複数の UP を使用するセットアップでは推奨されません。


機能の仕組み

no-chunk-pool 機能には次が含まれます。

  • プールが [no-chunk-pool] に設定されている場合、プールそのものがチャンクと見なされ、プールを最初に要求した UP にプール全体が割り当てられます。

  • No-chunk-pool は [public]、[private]、または [static] に設定できます。

  • No-chunk-pool は VRF 内で設定できます。

  • UP グループあたり複数の UP を使用する場合、最初に Sx 関連付けを実行した UP にダイナミック no-chunk-pool 全体が割り当てられます。

  • UP グループあたり複数の UP を使用する場合、ラウンドロビンアルゴリズムにより、現在サービスを提供している UP 間で静的 no-chunk-pool が割り当てられます。

  • UP グループあたり複数の UP を使用する場合、動的に追加された新しいプールは、UP グループ内のどの UP にも割り当てられる可能性があり、確定的に把握することはできません。

no-chunk-pool の設定

no-chunk-pool 機能を有効にするには、次の設定を使用します。

configure 
   context context_name 
      cups enable 
         ip pool pool_name ip_address/subnet_mask no-chunk-pool 
         ipv6 pool pool_name prefix ip_address/length no-chunk-pool 
   exit 

次の CLI コマンドの出力で、該当する特定のプールの [total-chunks] フィールドに「1」と表示されていれば、no-chunk-pool であることが分かります。

  • show ip pool-chunks pool-all

  • show ipv6 pool-chunks pool-all

静的 IP プール管理

CUPS アーキテクチャでは、静的 IP プールの管理方法は、動的プールの管理方法とは異なります。静的 IP プールは、動的プールのチャンク方法と似た方法で「静的チャンク」に分割されますが、それらの静的チャンクは UP に配布されず、セッションの作成中に特定の静的 IP チャンクの最初の静的アドレスを UE が要求するまで、CP に残ります。

CP がラウンドロビンアルゴリズムを使用して UP を選択し、要求された静的アドレスが属する静的 IP チャンク全体が選択された UP に割り当てられるため、いずれかの UE がそのチャンクから静的アドレス(IPv4 または IPv6)を要求するたびに、UE にその UP が割り当てられます。


(注)  


  • 動的プール内では、「allow static」はサポートされていません。

  • IPv4v6 静的 PDP は、1 つの UP グループ内の複数の UP ではサポートされません。

  • 静的 IPv4v6 PDN を正常に動作させるには、IPv4 アドレスと IPv6 アドレスの両方が同じ UP 上にある必要があります。確実に動作させる唯一の方法は、UP グループに単一の UP を含めることです。

  • 同じ APN 上のマルチ PDN を正常に動作させるには、1 つの PDN を静的、もう 1 つの PDN を動的にし、両方のアドレスが同じ UP 上にある必要があります。確実に動作させる唯一の方法は、UP グループに単一の UP を含めることです。

  • 静的 IP プールの場合、アドレスはすでに UE によって決められているため、UP を選択する利点はありません。


UP の選択

CUPS アーキテクチャでは、セッションの確立中に、登録された UP の間で UP が選択されます。UP はさまざまな方法で選択できます。以前のリリースでは、ラウンドロビン アルゴリズム ベースの UP の選択がサポートされていました。現在は、接続が最も少ないユーザープレーン選択アルゴリズムがサポートされています。

IP プールチャンクの可用性に基づく UP の選択

21.26 より前のリリースでは、CP は最小セッション使用率またはラウンドロビンアルゴリズムに基づいて UP を選択します。選択した UP でチャンクが使い果たされると、影響を受ける APN に新しい IP プールが追加されるまで、CP によってセッション確立要求が拒否されます。これにより、空き IP アドレスを持つ一部のチャンクが残っている UP で IP リソースが無駄になります。

21.26 以降のリリースでは、この機能が拡張され、IP プールチャンクの可用性に基づいて UP を選択できるようになりました。一部の UP でチャンクが使い果たされ、CP が接続要求を受信すると、CP は使用可能な IP アドレスを持つ UP をランダムに選択します。また、設定されている他の UP 選択アルゴリズムは無視されます。

制限事項
  • Pure-S コールの UP 選択はサポートされていません。

  • IP アドレスベースの検証では、非 DNS ベースの UP 選択のみが考慮されます。

  • 選択した UP にセッションに割り当てる IP アドレスがない場合、UP の選択は上書きされます。

  • Sx 関連付けの実行中に、コンテキストの 1 つにすべての UP に対応できるだけの十分な容量のチャンクがない場合、チャンクを取得する UP のみが VPN で維持されます。

  • 特定の UP でチャンクが使用できなくなると、VPN は UP の選択を上書きするため、適切な IP プールの計画ガイドラインに従って UP 間の不均等な負荷分散を最小限に抑える必要があります。

    IP プールの計画ガイドラインについては、IP プールプランニングのガイドラインを参照して ください。

サポートされる機能

IP プール管理機能の一部として、次の機能がサポートされます。

  • IPv4、IPv6 パブリック、およびプライベートプールベースの IP アドレス割り当て。

  • IPv4 静的タイプのアドレス割り当て。

  • アクティブコールタイプのセッション マネージャ リカバリおよび VPN マネージャリカバリ。

  • CP to CP シャーシ間セッションリカバリ(ICSR)のサポート。

  • IPv4 プールの hold-timer。

  • IPv4 および IPv6 プールの busy-out(基本機能)。

制限事項

以下に、この機能のこのリリースにおける既知の制限事項と制約事項を示します。

  • [allow-static] タイプのプール設定はサポートされません。

  • IP コンテキストにプールを追加する前に cups enabled CLI を設定して、CUPS モードの IP プール管理機能を有効にします。

  • IPv4v6 静的 PDP は、1 つの UP グループ内の複数の UP ではサポートされません。

  • 次の CLI コマンドの出力には、すべてのプールと、プールあたり最大 2048 チャンクが表示されます。

    • show ipv6 pool-chunks up-id up_id

    • show ipv6 pool-chunks pool-name ipv6_pool_name

    • show ip pool-chunks up-id up_id

    • show ip pool-chunks pool-name ipv4_pool_name

  • CUPS アーキテクチャでは、次の機能はサポートされません。

    • IPv6:アドレスホールドタイマーはサポートされません。

    • PDN v4v6:アドレスホールドタイマーはサポートされていません。

  • UE が再接続すると、CP は同じ UP セッションを選択する必要があります(以前のセッションで IP アドレスがその UP によってすでにアドバタイズされているため)。したがって、UP 負荷ベースの選択またはロケーションベースの UP 選択はできません。

  • ホールドタイマー値として「0」はサポートされません。

  • ホールドタイマーのリカバリは、セッションマネージャあたり最大 1000 個のアドレスまでサポートされます。

  • シャーシをリロードすると、スタンバイシャーシのホールドタイマー情報が失われます。

  • ホールドタイマー値を変更すると、他のプール設定の場合と同様に、Sx の再確立も必要になります。

プールシステムの制限

現在、CP DI-Large モデルは、次の表に示すパラメータの拡張数をサポートしています。これらの制限は、使用されるチャンクサイズの値に関係なく一定であり、各パラメータの上限値です。最大値に達したパラメータの制限により、後続のパラメータの上限値が制限されます。


(注)  


小規模および中規模モデルでは、他のモデルよりも制限が低くなります。


パラメータ 制限
コンテキストごとの IPv4 プール 2000
コンテキストごとの IPv6 プール 256
シャーシごとの IP プール 5,000(v4 と v6 の両方を含む)
ダイナミックプールアドレス

コンテキストあたり 1,600 万

シャーシあたり 3,200 万

スタティックプールアドレス

コンテキストあたり 3,200 万

シャーシあたり 9,600万

VRF の数

コンテキストあたり 300

シャーシあたり 2,048

最大 IP プールサイズ 512,000
最大 IPv6 プールサイズ 1,000,000

UP グループのチャンクサイズの意味:

プールはチャンク割り当ての基本単位であり、すべての UP に対して関連するプールからチャンクが割り当てられます。チャンクサイズ値が 65,536 のチャンクを取得できる UP の数は最大で、100 万/65,536 = 16 なので、チャンクサイズ値が 65,536 の場合、各 UP グループでサポートされる UP は 16 となります。

APN のチャンクサイズの意味:

APN 設定で使用される単一の UP グループの場合、制限は UP グループ制限値と同じです。

APN 設定で複数の UP グループを使用する場合ついては、「グループ固有の IP プールを持つ複数の UP グループ」の章を参照してください。16 の UP からなる UP グループの最大数は、コンテキストあたり 1,600 万アドレス、または 100 万アドレスプールなので、16 の UP APN からなる合計 16 の UP グループがサポートされます。

v6 プール内のすべてのプール設定が枯渇したため、同じ VPN コンテキストで動作する残りの APN では同じ IPv6 プールが使用されます。16 の UP からなる 16 の UP グループというのは、IPv4 アドレスがないという前提に基づいています。IPv4 アドレスが含まれる場合には、上限はこの想定より低くなります。システムでは 3,200 万のダイナミックアドレスがサポートされるため、許可される SGI コンテキストは 2 つだけです。

IP プール管理の設定

この項では、この機能をサポートするために使用可能な CLI コマンドについて説明します。


重要


  • 以前のリリースでは、S-GW と P-GW に関するユーザー プレーン プロファイルの設定が必要でした。このリリースでは、UP の選択のために S-GW および P-GW でユーザー プレーン プロファイルを設定する必要がなくなり、IP プールの設定に関連付ける必要もありません。

  • CP と UP の両方に同じ PDN コンテキストが存在する必要があります。

  • APN 設定で指定された IP コンテキスト名は、CP と UP の両方で同じである必要があります。

ネットワークでの IP プールとユーザープレーンのグループ化の計画に関するガイドラインについては、シスコのアカウント担当者にお問い合わせください。


コントロールプレーンでの処理

IP プール管理の IP コンテキストの有効化

IP プール管理の IP コンテキストを有効にするには、次の CLI コマンドを使用します。

configure 
   context context_name 
      cups enable 
      end 

カスタムしきい値タイマーの設定


重要


21.9(7 月中旬)以降のリリースでは、cups chunk-allocate-timer allocate_timer_seconds chunk-release-timer release_timer_seconds CLI コマンドは廃止され、cups chunk-threshold-timer threshold_timer_seconds および cups min-chunks-threshold-per-pool threshold_percent CLI コマンドに置き換えられています。

UP 間のチャンクの再配布に関するしきい値タイマーがあります。デフォルトでは、過剰に利用されている UP にチャンクを送信する場合は 60 秒ごとにチェックが実行され、十分に活用されていない UP からチャンクを削除する場合は 300 秒ごとにチェックが実行されます。カスタムしきい値タイマーの場合は、次の CLI コマンドを使用します。

configure 
   context context_name 
      cups chunk-allocate-timer allocate_timer_seconds chunk-release-timer release_timer_seconds 
      end 

  • この設定は、オプションです。設定されていない場合、デフォルトの割り当てしきい値は 60 秒、リリースしきい値は 300 秒です。

  • default cups chunk-allocate-timer chunk-release-timer CLI コマンドを使用して、チャンクの割り当てタイマーとチャンク解放タイマーをそれぞれ 60 と 300 に戻します。

  • 設定されている解放タイマーが割り当てタイマーよりも小さい場合、割り当てタイマーと等しい値で上書きされます。

チャンクしきい値タイマーの設定

コンテキストの CUPS IP プールチャンクしきい値タイマーを設定するには、次の CLI コマンドを使用します。

configure 
   context context_name 
      cups chunk-threshold-timer threshold_timer_seconds 
      end 

  • threshold_timer_seconds :チャンクしきい値タイマー値を秒単位で指定します(30 ~ 300 の整数)。デフォルト:60 秒。

  • default cups chunk-threshold-timer CLI コマンドを使用して、デフォルト値の 60 秒を設定します。

  • 21.9(7 月中旬)より前のリリースでは、UP への新しいチャンクの割り当てと、十分に活用されていない UP からのチャンクの解放は、それぞれ割り当てタイマーと解放タイマーに基づいて行われていました。21.9(7 月中旬)以降のリリースでは、チャンクの割り当てと解放が定期的に発生する単一のしきい値タイマーのみが存在します。

プールごとのチャンクの割合の設定

コンテキスト内のプールごとのチャンクの最小割合を設定するには、次の CLI コマンドを使用します。

configure 
   context context_name 
      cups min-chunks-threshold-per-pool threshold_percent 
      end 

  • threshold_percent :最小チャンクを 0 ~ 50 の割合で指定します。デフォルトは 10 です。

  • default cups min-chunks-threshold-per-pool CLI コマンドを使用して、デフォルト値の 10% を設定します。

  • チャンクは、CP で特定のプールを持つ空きチャンクの割合がこの CLI コマンドで設定された割合よりも少ない場合にのみ、定期的に解放されます。

    • 最小チャンクが設定された割合以下になると、使用率が 50% 未満で空きチャンクが 2 つ以上ある UP の存在を確認するためのチェックが実行されます。存在する場合は、その特定のプールにある十分に活用されていない各 UP から 1 つのチャンクが取り消されます。

  • CP VPNmgr の最小チャンクが復元されるまで、for: periodicity = chunk-threshold-timer に関する警告ログが生成されます。

  • 登録時の UP ロックダウン期間:UP 登録の最初の 5 分間は、他の UP がチャンクを必要としている場合でも、その UP からチャンクが取り消されて別の UP に送信されることはありません。

チャンクサイズ値の設定

この CLI コマンドを使用して、プール作成時に特定の IP プールのチャンクサイズを指定します。

configure 
   context context_name 
      ip pool pool_name prefix mask chunk-size chunk_size_value 
      end 

  • chunk-size は、IP プールの初回設定時のみ、プレフィックスまたはマスクと併せて設定します。

  • chunk-size 値は 2 の累乗で、16〜65536 の範囲で指定する必要があります。

  • デフォルト値:1024

ユーザープレーンでの処理

UP の IP コンテキストの場合、IP プールを設定したり、cups enabled CLI コマンドを使用したりする必要はありません。

システムのユーザープレーンの設定

システムで機能することが期待されるユーザープレーンの最大数を設定するには、次の CLI コマンドを使用します。

configure 
   context context_name 
      cups max-user-planes value 
      end 

  • 21.25 より前のリリースの場合:

    cups max-user-planes value :デフォルト値は 10 です。

    コンテキストおよび UP グループでサポートされるユーザープレーンの最大数は 100 です。

  • 21.25 以降のリリースの場合:

    cups max-user-planes value :値の範囲は 1 ~ 1,000 です。デフォルト値は 10 です。

    コンテキストでサポートされるユーザープレーンの最大数が 1,000 に増えました。

    この値は、サポートされるユーザープレーンの実際の数ではなく、VPNMGR の制限数を指します。システムでサポートされるユーザープレーンの実際の数は、Sx によって決定されます。

    Sx 関連付けで最初に割り当てられたチャンクを調整するには、この CLI コマンドを使用します。このコマンドは、システムへの新しい UP の追加を制限するためには使用できません。

  • default cups max-user-planes CLI コマンドを使用して、ユーザープレーンの最大値を 10 に戻します。

モニタリングおよびトラブルシューティング

ここでは、この機能のモニタリングと障害対応について説明します。

コマンドや出力の表示

ここでは、この機能をサポートする CP の show コマンドとその出力について説明します。

show ip pool-chunks pool-name <pool-name>

このコマンドの出力には、指定した IPv4 プール内のすべてのチャンクが表示されます。

  • chunk-id

  • pool-id

  • up-id

  • total-addr

  • free-addr

  • used-addr

  • hold-addr

  • release-addr

  • busyout-free

  • busyout-used

show ip pool-chunks pool all

このコマンド出力には、すべてのユーザープレーンに割り当てられている IPv4 プールチャンクが表示されます。

  • chunk-id

  • pool-id

  • up-id

  • total-addr

  • free-addr

  • used-addr

  • hold-addr

  • release-addr

  • busyout-free

  • busyout-used


Note


上記のフィールドは、show ipv6 pool-chunks pool all CLI コマンドでも表示されます。ただし、「hold-addr」および「release-addr」フィールドは除きます。

show ip pool-chunks up-id <up_id> user-plane-group name <grp-name>

このコマンドの出力には、特定のユーザープレーンに割り当てられているすべての IPv4 チャンクが表示されます。

  • chunk-id

  • pool-id

  • up-id

  • total-addr

  • free-addr

  • used-addr

  • hold-addr

  • release-addr

  • busyout-free

  • busyout-used

show ip user-plane chunks

このコマンドの出力には、各ユーザープレーンに割り当てられた IPv4 チャンクが表示されます。

  • up-id

  • total-chunks

  • free-chunks

  • used-chunks

  • full-chunks


Note


前述の各フィールドは、show ipv6 user-plane chunks CLI コマンドでも表示されます。

show ip user-plane prefixes

このコマンドの出力には、各ユーザープレーンに割り当てられた IPv4 プレフィックスが表示されます。

  • up-id

  • Total

  • Free

  • Used

  • Hold

  • リリース

  • Busyout-Free

  • Busyout-Used


Note


前述の各フィールドは、show ipv6 user-plane prefixes CLI コマンドでも表示されます。

show ip user-plane verbose

このコマンドの出力では、ユーザープレーンに関する詳細がすべて表示されます。

  • ユーザープレーンのグループ名

  • ユーザープレーン ID

  • ユーザープレーンのアドレス

  • Sxmgr ID

  • IPv4 チャンク

    • 合計

    • 未使用

    • 使用済み

    • フル

  • IPv4 アドレス

    • 合計

    • 未使用

    • 使用済み

    • 保留

    • リリース

    • ビジーアウト - 未使用

    • ビジーアウト - 使用済み

  • IPv6 チャンク

    • 合計

    • 未使用

    • 使用済み

    • フル

  • IPv6 プレフィックス

    • 合計

    • 未使用

    • 使用済み

    • ビジーアウト - 未使用

    • ビジーアウト - 使用済み

  • プールの総数

    • IPv4

    • IPv6

  • プールカーネルルートの総数

  • プールカーネルルートの最大数

  • VRF の総数

  • apn-without-pool-name-v4

  • apn-without-pool-name-v6

  • プールグループ

show ip user-plane

このコマンド出力には、VPN マネージャに登録されているすべてのユーザープレーンの詳細が表示されます。

  • up-id

  • user-plane-address

  • user-plane-group-name

  • sxmgr-id

  • 特定のユーザープレーングループに属する特定のユーザープレーンの詳細を表示するには、show ip user-plane up-idup_iduser-plane-group name grp-name を使用します。

show ipv6 pool-chunks pool-name <pool-name>

この CLI コマンドの出力には、IPv6 プール内のすべてのチャンクが表示されます。

  • chunk-id

  • pool-id

  • up-id

  • total-addr

  • used-addr

  • busyout-free

  • busyout-used

show ipv6 pool-chunks up-id <up_id> user-plane-group name <grp-name>

このコマンドの出力には、特定のユーザープレーンに割り当てられているすべての IPv6 チャンクが表示されます。

  • chunk-id

  • pool-id

  • up-id

  • total-addr

  • used-addr

  • busyout-free

  • busyout-used