概要

Evolved Packet Core(EPC)ネットワークは、ユーザープレーンとコントロールプレーンが P-GW、S-GW、および TDF 製品の個別のノードである、コントロール ユーザー プレーン分離(CUPS)ベースのアーキテクチャに向けて進化しています。ユーザープレーンとコントロールプレーンが統合することで、EPC ネットワーク内の他の要素に対してもノードの機能が提供されます。ただし、ネットワークの観点から見ると、ユーザープレーンとコントロールプレーンを分離しておくことには多くの利点があります。たとえば、コントロールプレーンとユーザープレーンでそれぞれ異なる拡張をサポートできること、ユーザープレーンでセッションあたりにより多くのキャパシティをサポートできることなどが挙げられます。

この章では、P-GW、S-GW、および SAEGW 製品のコントロールプレーン実装に関連する詳細、コールフロー、および設定について概要を説明します。

製品の説明

SAEGW-U 仮想化ネットワーク機能(VNF)は、COTS ハードウェアまたは ASR 5500/DPC2 シャーシ上の Cisco Ultra Services Platform(USP)でホストできます。SAEGW-U は、同じデータセンター内の SAEGW-C と同じ場所に配置したり、離れた場所にある別のデータセンターに配置したりできます。

次に、サービスとしてのユーザープレーンのアーキテクチャの概要を示します。

サービスとしてのユーザープレーンを説明する重要なポイント:
  • ユーザープレーンはコントロールプレーンからプログラムできます。

  • シングル ユーザー プレーン サービスは、SGW-U タイプと P-GW-U タイプの両方のセッションに対応できます。

  • ノードタイプ(SGW-U および PGW-U)ごとに、2 つ以上の個別のユーザープレーンサービスを定義できます。

  • SAEGW-U のグループは、APN に明示的に関連付けられます。グループが関連付けられていない場合は、SAEGW-C に登録されていて、設定されている SAEGW-U グループの一部ではないすべての登録済みユーザープレーンを含むデフォルトグループが使用されます。

  • ユーザープレーンサービスは、コントロール プレーン インターフェイスの Sx サービスと、GTP-U パケットを受信する GTP-U サービスに関連付けられます。


    重要


    現在、各ユーザープレーンサービスは、コントロールプレーンとインターフェイスする単一の Sx サービスにのみ関連付けられています。
  • ユーザープレーンサービスは、SaMOG、GGSN、および ePDG をサポートするように拡張できる 4 つの GTP-U サービスに関連付けられます。

  • コントロール プレーン サービスの複数のピアでは、単一のユーザープレーンサービスが使用されます。

  • IP プールとその設定を関連付けるには、APN 設定が必要です。


    重要


    現在、ユーザープレーンは APN とプール設定をサポートしています。IP アドレスはコントロールプレーンから割り当てられ、ユーザープレーンで検証されます。

サポートされる機能

3GPP ULI 拡張レポートのサポート

この機能拡張は、3GPP 標準に従って P-GW および GGSN の ULI 関連のギャップをカバーします。

S4SGSN は、S-GW を介して P-GW に ULI を報告します。P-GW は、以前に受信した ULI を使用して ULI の変更を決定します。P-GW が変更を検出し、変更要求が PCRF からイベントトリガーとして送信された場合、P-GW は PCRF に ULI を報告します。

SGSN は GGSN に ULI を報告します。GGSN は、以前に受信した ULI を使用して ULI の変更を決定します。GGSN が変更を検出し、変更要求が PCRF からイベントトリガーとして送信された場合、GGSN は PCRF に ULI を報告します。この機能は、GGSN で ULI フィールドの一部として受信した RAI の変更の検出もサポートします。

3GPP ULI レポートのサポート強化の詳細については、StarOS P-GW アドミニストレーション ガイド [英語] の「3GPP ULI Reporting Support Enhanced」の項を参照してください。

AAA サーバーグループ

AAA サーバーグループ機能は、コンテキストまたはシステム内で Diameter/RADIUS サーバーグループを作成および管理するために使用されます。AAA サーバーグループにより、AAA 機能のサブスクライバ/APN/レルム単位で、サーバーグループ(リスト)を管理しやすくなります。


(注)  


AAA サーバーグループは、非 CUPS アーキテクチャでサポートされている既存の機能です。このリリースでは、この機能が CUPS アーキテクチャで認定されました。

AAA サーバーグループに関連する CLI 設定の詳細については、『Command Line Interface Reference』[英語] の「AAA Server Group Configuration Mode Commands」の章を参照してください。


APN 設定のサポート


(注)  


リリース 21.24 よりも前に導入された機能については、詳細な改訂履歴は示していません。


改訂の詳細

リリース

初版

21.24 より前

CLI コマンド radius-group cc-home behaviour 0x10 profile 2 mediation-device が APN 設定をサポートすることが、CUPS アーキテクチャで認定および検証済みです。

radius-group

この機能検証に基づき、CUPS アーキテクチャは、RADIUS 認証およびアカウンティングサーバーが設定された各グループで 800 の RADIUS サーバーグループをサポートします。

cc-home { behavior bits | profile index }

SGSN からの課金特性(CC)が受け付けられない場合に GGSN が使用する Home サブスクライバの課金特性を設定します。CLI で設定された値は、CUPS SAEGW サービスによって優先され、GTPP CDR レコードに適切に入力されます。

  • behavior bits :Home サブスクライバの課金特性の動作ビットを指定します。ビットは、001H ~ FFFH(2 進数では 0001 ~ 1111 1111 1111)までの任意の一意のビットに設定できます。最下位ビットは B1 に相当し、最上位ビットは B12 に相当します。

  • profile index :Home サブスクライバの課金特性のプロファイル指数を指定します。指数は、0 ~ 15 までの任意の整数値に設定できます。デフォルト:8

  • 詳細については、『Command Line Interface Reference A-B』[英語] の「APN Configuration Mode Commands 」の章にある cc-home コマンドを参照してください。

mediation-device [ context-name context_name ] [ delay-GTP-response ] [ no-early-PDUs ] [ no interims ] +

このコマンドおよび関連するすべてのサブセクション CLI が CUPS でサポートされます。この CLI を使用すると、CUPS SAEGW サービスで仲介デバイスと、特定の APN に使用できるすべての関連設定を使用できます。

  • context-name context_name :この APN の仲介 VPN コンテキストを、大文字と小文字を区別する 1 ~ 79 文字の英数字で設定します。指定しない場合、仲介コンテキストはサブスクライバの接続先コンテキストと同じになります。デフォルト:サブスクライバの接続先コンテキスト。

  • delay-GTP-response :有効にすると、仲介デバイスからアカウンティング開始応答を受信するまで CPC 応答を遅延させます。デフォルトで、ディセーブルになっています。

  • no-early-pdus :仲介デバイスから GGSN アカウンティング開始要求に対する応答を受信するまで、システムが MS からの PDU を遅延させるように設定します。PDU はキューに追加され、破棄されません。デフォルトで、ディセーブルになっています。

  • no-interim :仲介サーバーへの中間の送信を無効にします。デフォルトで、ディセーブルになっています。

  • 詳細については、『Command Line Interface Reference A-B』[英語] の「APN Configuration Mode Commands 」の章にある mediation-device コマンドを参照してください。

egtpinmgr の非同期コア転送のサポート

egtpinmgr の再起動中の停止時間を最適化するため、egtpinmgr の非同期コア転送のサポートが CUPS に追加されました。

これまでは、egtpinmgr が再起動すると、まずコアダンプファイルの作成および転送を完了させ、それからリカバリプロセスを開始していました。しかし、コアファイルの転送にはかなりの時間がかかります。egtpinmgr の再起動時の停止時間は、egtpinmgr のリカバリ時間とコアファイル転送時間とを合算した時間でした。

非同期コア転送が CUPS でサポートされるようになったことで、リカバリプロセスに egtpinmgr が含まれるようになります。今後は、egtpinmgr プロセスがクラッシュすると、カーネルによるコアダンプファイルの転送とリソースの解放を待たずにリカバリが開始されます。その結果、egtpinmgr の再起動時の停止時間は、egtpinmgr のリカバリ時間のみに等しくなります。

この機能拡張により、egtpinmgr の再起動時の停止時間が短縮されます。停止時間は、egtpinmgr の回復に必要な時間のみとなり、コアファイルの作成と転送にかかる時間による影響を受けなくなります。


(注)  


egtpinmgr の非同期コア転送サポートは、非 CUPS アーキテクチャでサポートされている既存の機能です。このリリースでは、この機能が CUPS アーキテクチャで認定されました。


HDD に対する課金データレコード

課金データレコード(CDR)は、課金対象イベントに関する情報のフォーマットされたコレクションです。生成された GTPP アカウンティング CDR は、保管のために外部ノードに送信されます。CDR は、外部ノードでサポートされている形式でファイルに書き込まれ、ハードディスク(HDD)に保存されます。FTP または SFTP プロトコルを使用して、CDR ファイルを HDD にプッシュしたり、HDD からプルしたりできます。


(注)  


バックアップなどの展開の使用例では、/hd-raid/records/ の下に StarOS によって作成されたシステムディレクトリを使用しないことを強く推奨します。そのようなディレクトリを使用すると、製品の正常な機能に影響を与える可能性があります。


CDR は、非 CUPS アーキテクチャでサポートされていて、CUPS アーキテクチャで認定されている既存の機能です。詳細については、GTPP インターフェイス管理およびリファレンスガイド [英語] の「HDD Storage」の章を参照してください。

GTP-C パス障害の機能拡張とデバッグツールの改善

CUPS アーキテクチャでは、GTP-C パス障害機能を最適化し、GTP-C パス障害の問題に対するシステムのデバッグ機能を向上させるための機能拡張が追加されました。これらの機能拡張は、オペレータとエンジニアがシステムのさまざまな側面をデバッグし、ネットワーク内の GTP-C パス障害の根本原因を特定するのに役立ちます。また、S5、S8、S2b、および S2a インターフェイスを介したパス障害検出に影響を及ぼします。

この機能の一部として、CUPS に次の拡張機能が追加されました。

  • 誤ったメッセージや偽のメッセージが原因で低い値のリスタートカウンタを受信した場合、パス障害を検出しないようにノードを設定でき、コールの損失を防げます。エコー要求/応答メッセージや制御メッセージ要求/応答メッセージによるパス障害を無効にするオプションも使用できるため、パス障害の誤検出が発生した場合にコールの損失を防げます。

  • ネットワーク内の問題の根本原因をより迅速に診断できるように、GTP-C パス障害の統計情報の精度が向上しました。

  • ピアごとに最後の 5 つのパス障害に関するパス障害履歴を、ネットワーク内のパス障害のデバッグに使用できます。

  • シームレスなパス障害処理が実装されているため、冗長性イベント中のコールの損失が回避されます。


(注)  


GTP-C パス障害の機能拡張と改善されたデバッグツールは、非 CUPS アーキテクチャでサポートされている既存の機能です。このリリースでは、この機能は CUPS アーキテクチャで認定されています。詳細については、P-GW アドミニストレーション ガイド [英語] の「GTP-C Path Failure Enhancements and Enhanced Debugging Tools」の項を参照してください。


GTPP Suppress-CDR No Zero Volume

この機能により、バイト数カウントがゼロの CDR を抑制できるため、OCG ノードが CDR のフラッディングで過負荷になることはありません。CDR は次のように分類できます。

  • Final-cdrs:これらの CDR は、コンテキストの最後に生成されます。

  • Internal-trigger-cdrs:これらの CDR は、音量制限、時間制限、料金変更、または CLI コマンドを使用してユーザーが生成したインテリムなどの内部トリガーによって生成されます。

  • External-trigger-cdrs:これらの CDR は、QoS 変更、RAT 変更などの外部トリガーによって生成されます。final-cdrs や internal-trigger-cdrs と見なされないすべてのトリガーは、external-trigger-cdrs と見なされます。

カスタマーは抑制する CDR を選択できます。

次に示す CLI コマンドは、CUPS でサポートされているさまざまな CDR トリガーで CDR を抑制するのに役立ちます。

  • [ default | no ] gtpp suppress-cdrs zero-volume { external-trigger-cdr | final-cdr | internal-trigger-cdr }

ロケーションベースの DNS および PCSCF IP アドレスの選択

ロケーションベースの DNS および P-CSCF の選択により、ロケーション情報に従って DNS サーバーアドレスと P-CSCF IP アドレスを管理するオプションが使用可能となります。

P-GW は、トラッキングエリア識別子(TAI)によって DNS サーバーアドレスと P-CSCF IP アドレス情報を収集します。これは、TAC ベースの仮想 APN(VAPN)の選択によって実現されます。

セッション作成で UE が PCO 要求を送信すると、P-GW は受信したロケーション情報をもとに仮想 APN(VAPN)を選択します。PCO IE を含む選択済みの VAPN(DNS サーバーアドレスと P-CSCF IP アドレスが設定されている)がセッション作成応答で送信されます。

以下に、ロケーションベースの DNS および PCSCF IP アドレスの選択を有効にするための CLI コマンドを示します。

コマンド 説明
Tracking-area-code-range from <start value> to <end value> トラッキングエリアコードの範囲(0 ~ 65536)を指定します。終了値は常に開始値より大きくなります。
P-cscf priority <priority> ip/ipv6 <IPv4/Ipv6 address> APN の P-CSCF アドレスの優先順位を指定します。Address_ priority は 1 ~ 3 までの整数です。最も優先順位が高いのが「1」です。IPv4_address は、IPv4 ドット付き 10 進表記です。IPv6_address は、IPv6 コロン区切り 16 進表記です。
Show apn name <APN Name> APN の PCSCF IP アドレスを表示します。

dns primary <IPv4 address>

Dns secondary <IPv4 address>

ipv6 dns primary <IPv6 address>

ipv6 dns secondary <IPv6 address>

Primary:APN のプライマリ DNS サーバーを設定します。

Secondary:APN のセカンダリ DNS サーバーを設定します。設定できるセカンダリ DNS サーバーは 1 つのみです。

Address:IPv4 ドット付き 10 進表記で表記された DNS サーバーの IP アドレスです。デフォルト:primary = 0.0.0.0、secondary = 0.0.0.0

dns_address:削除する DNS サーバーの IP アドレスです。IPv4 ドット付き 10 進表記で表記します。

Show apn name <APN Name> APN の DNS IP アドレスを表示します。

MPRA サポート

P-GW は、PCRF を使用する Gx インターフェイスを介した Feature-List-ID 2 の Multiple-Presence Reporting Area 機能のネゴシエーションをサポートします。CNO-ULI 機能は、P-GW や PCRF が Multiple-PRA をサポートしておらず、P-GW と PCRF の両方が CNO-ULI をサポートしている場合にのみ機能します。

IP-CAN セッションのライフタイム中に Multiple-PRA 機能をサポートするために、P-GW は、Presence-Reporting-Area-Information AVP を含む PRA-Install AVP の PCRF からのレポートエリア要求内にある UE プレゼンスの変更を処理します。各 AVP には、Presence-Reporting-Area-Identifier AVP 内の Presence Reporting Area 識別子が含まれています。

Presence Reporting Area(PRA)と Multiple-PRA の詳細については、StarOS P-GW のアドミニストレーション ガイド [英語] の「Presence Reporting Area」の章を参照してください。

No udp-checksum のサポート

この機能は、ダウンリンク サブスクライバ パケットの外部 GTPU ヘッダーで udp-checksum が無効になっている、GTPU サービスの CUPS の no udp-checksum CLI コマンドをサポートします。ダウンリンクパケットがインターネットから到着すると、GTPU ヘッダーがパケットの先頭に追加され、アクセス側に送信されます。このパケットの外部 UDP レイヤの「チェックサム」値はゼロなので、最適化が可能になり、パフォーマンススループットが向上します。

この機能を有効にするには、次の設定を使用します。

configure 
   context context_name 
      gtpu-service gtpu_service_name 
      [ no ] udp-checksum 
      end 

show コマンドと出力

この項では、この機能をサポートするために使用可能な show CLI コマンドについて説明します。

次のコマンドを使用して、GTPU UDP チェックサムが有効か無効かを確認します。

  • show gtpu-service all :すべての GTPU サービスを表示します。

  • show gtpu-service name service_name :特定の GTPU サービス名の情報を表示します。

QUIC IETF の導入

現在のフレームワークでは、プラグイン到達時に、フロー内のすべてのパケットに対してディープ パケット インスペクション(DPI)が実行されます。DPI は、パケットを分析し、確定的なパターンを抽出することによって実行されます。DPI は順番に実行され、アプリケーションの検出とそのサブタイプの分類を行います。プラグインは、DPI 後のフローを除外します。フローは検出後にオフロードされます。QUIC IETF の一部として、初回の QUIC ハンドシェイクパケット(Client Hello/Server Hello)はネットワーク上で暗号化されます。したがって、アプリケーションの検出に使用できる確定的なパターンはありません。p2p プラグインによる、検出用 SNI(Server Name Indication)の復号と取得が新たにサポートされるようになりました。

QUIC IETF の設定

QUIC IETF 復号を有効または無効にするには、次の設定を使用します。

configure 
   active-charging service acs_service_name 
      p2p-detection debug-param protocol-param p2p_quic_ietf_decrypt 1 
      end 

(注)  


デフォルトでは、CLI は無効になっており、TLS 復号によるパフォーマンスへの影響は最小限です。


egtpinmgr リカバリの最適化

以前は、egtpinmgr タスクが再起動すると、回復にかなりの時間がかかったため、egtpinmgr の回復中に SAEGW が新しいコールを受け入れられず、障害時間が長くなっていました。

ソフトウェアが拡張され、egtpinmgr リカバリの内部アルゴリズムと必要なデータ構造を最適化することで、egtpinmgr タスクが再起動した場合のリカバリ障害期間が最適化されています。さらに、リカバリ時間は、IMSI のセッション数ではなく、一意の IMSI の数によってのみ決まるようになりました。


(注)  


egtpinmgr リカバリの最適化は、非 CUPS アーキテクチャでサポートされている既存の機能です。このリリースでは、この機能は CUPS アーキテクチャで認定されています。


クォータホールド時間のサポート

Quota-Hold-Time(QHT)は非アクティブ期間であり、この期間が経過すると、ゲートウェイ(Diameter クライアント)は使用状況を含む課金バケットを返し、クリーンな状態となります。

QHT 値は、OCS によって Multiple-Services-Credit-Control(MSCC)のカテゴリごとに提供されます。また、ゲートウェイには QHT のデフォルト値を設定するオプションがあります。このオプションでは、OCS から QHT AVP が提供されていない MSCC のデフォルト QHT 値を有効にします。

QHT タイマーは、MSCC バケットごとに実行されます。実行時にパケットなしで QHT タイマーが切れると、3GPP 仕様に従って [Reporting-Reason: QHT] として使用状況が報告されます。

OCS から CP で受信した QHT 値は、CUPS 仕様 3GPP TS 29.244 で定義されている「Quota Holding Time」IE で送信されます。また、Quota-Holding-Time IE を UP にプロビジョニングするとともに、Quota-Holding-Time SET に対応するビットを含む Reporting-Trigger が送信されるため、QHT が終了するとレポートが実行されます。

QHT Reporting-Trigger が有効になっている Quota-Holding-Time IE を受信した UP は、非アクティブ期間をモニターするために URR ごとのタイマーを開始します。非アクティブ期間が QHT 時間を超えると、Quota-Holding-Time のトリガーによって UP からの使用状況レポートが開始されます。

CP は、UP から QHT イベントを受信すると、MSCC バケットの使用状況を更新した後、OCS への QHT レポートをトリガーします。

クォータホールド時間の設定

CUPS でクォータホールド時間を有効にするには、次の設定を使用します。

configure 
   require active-charging 
   active-charging service service_name 
      credit-control group group_name 
         quota-hold-time timer_value 
         end 

  • quota-hold-time :課金バケットが使用状況を報告し、クリーンな状態になるまでの非アクティブ期間を設定します。

制限事項

QHT(inactivity-timer)は、通常、flow-idle timer よりも大きな値となります。flow-idle timer が QHT よりも大きいと、QHT が経過した後もフローが存在し、[NoQuota Pending-Traffic-Treatment] 設定に従って VPP によって処理される可能性があります。

S-GW ページングの機能拡張

S-GW ページングには、次のシナリオが含まれます。

シナリオ 1:S-GW が MME/S4-SGSN ノードにダウンリンクデータ通知(DDN)メッセージを送信します。MME/S4-SGSN は、DDN Ack メッセージで S-GW に応答します。MME/S4-SGSN からの DDN Ack メッセージを待つ間に、S-GW が優先順位の高いダウンリンクデータを受信した場合、S-GW は MME/S4-SGSN に DDN を再送信しません。

シナリオ 2:DDN が MME/S4-SGSN に送信され、TAU/RAU MBR が別の MME/S4-SGSN から受信された場合、S-GW は DDN を送信しません。

シナリオ 3:DDN が MME/S4-SGSN に送信され、[Cause] が 110 の DDN Ack を受信します。原因が 110 の DDN Ack は DDN 障害として扱われ、標準の DDN 障害アクション手順が開始されます。

これらのシナリオに対処するため、CUPS アーキテクチャの DDN 機能に次の 2 つの拡張機能が追加されました。

  • S-GW での高優先順位 DDN

  • MBR-DDN コリジョン処理

これらの拡張機能は、次をサポートします。

  • S-GW および SAEGW での高優先順位 DDN。これにより、MME/S4-SGSN によるページングの優先順位付けが可能になります。

  • ページング KPI および VoLTE サービスの拡張。

  • DDN が失われないようにするための DDN メッセージとモビリティ手順。

  • MBR ガードタイマー。一時的な HO を含む DDN Ack を受信すると開始されます。CLI コマンド ddn temp-ho-rejection mbr-guard-timer が導入され、原因が 110(一時的なハンドオーバーが進行中)の DDN Ack を受信した後、ガードタイマーによって MBR を待機できるようになりました。

  • 制御ノードの変更によってトリガーされた DDN による TAU/RAU。

さらに、3GPP 標準規格に準拠するため、ダウンリンクデータ通知メッセージおよびモビリティ手順のサポートも強化されます。これにより、DDN メッセージと DDN をトリガーするダウンリンクデータが失われることがなくなります。そのため、SIP Invite データが原因で DDN が開始されるシナリオにおいて、ページング KPI と VoLTE の成功率が向上します。


(注)  


DDN 遅延および DDN スロットリングをサポートするダウンリンクデータ通知(DDN)メッセージについては、このガイドの「DDN 遅延および DDN スロットリングを使用した SAEGW アイドルバッファリング」の章を参照してください。

S-GW ページング拡張機能の動作、設定、モニタリング、および障害対応の詳細については、StarOS の『S-GW Administration Guide』[英語] の「S-GW Paging Enhancements」の章を参照してください。


ユーザープレーンでのセッションリカバリ

クラッシュ発生時のセッション マネージャ プロセスのリカバリが、新たにサポートされるようになりました。回復したセッションマネージャには、直近にクラッシュしたセッション マネージャ プロセスの既存のサブスクライバセッションがすべて含まれます。

回復したすべてのサブスクライバセッションについて、アップリンクおよびダウンリンクのデータフローは、新たに回復したセッション マネージャ プロセスで処理されます。

SRVCC PS から CS へのハンドオーバー指示および QoS クラスインデックス IMS メディア設定のサポート

この機能は、音声ベアラーの削除時に PCC ルールが非アクティブ化された原因を PCRF に通知します。この通知は、PCRF が適切に追加のアクションを実行するのに役立ちます。

この機能により、SRVCC のコンプライアンスが保証されます。この機能は、音声ベアラーの解放後の PS から CS へのハンドオーバー通知もサポートします。

LTE の SRVCC サービスを使用すると、IMS アンカー音声コールサービスにアクセスする単一の無線ユーザー機器(UE)で、LTE ネットワークから回線交換ドメインに切り替えることができます。1 つのアクセスネットワークだけで送受信に対応している間に、UE はネットワークを切り替えます。SRVCC サービスにより、UE が複数の無線アクセス技術(RAT)機能を備える必要がなくなります。

PS セッションをターゲットにハンドオーバーした後、送信元 MME は音声ベアラー(VB)を削除します。MME は、音声ベアラーを非アクティブ化することで VB を削除します。MME は、S-GW/P-GW に対する VB を禁止し、ベアラー削除コマンドメッセージ(TS 29.274 v9.5.0)で Bearer Flags IE に VB フラグを設定します。

IP-CAN ベアラーの終了は、PS から CS へのハンドオーバーが原因で発生します。PCEF は、PS_TO_CS_HANDOVER(TS 29.212 v10.2.0 および TS 23.203 v10.3.0)の値に設定された Rule-Failure-Code AVP を含めることによって、この IP-CAN ベアラーに関連する PCC ルールを報告します。

課金ルールインストール内の新しい AVP PS-to-CS-Session-Continuity(3GPP リリース 11 で追加)のサポートは、PS から CS への連続性のベアラーサポートを示します。

QCI IMS メディア設定のサポート

セッションリカバリおよび ICSR スイッチオーバー時の優先処理対象の IMS メディアベアラーをマークするには、QoS Class Index(QCI)の値を指定します。

モード

Exec > Global Configuration > Context Configuration > APN Configuration

configure > context <context_name > apn <apn_name>

上記のコマンドシーケンスを入力すると、次のプロンプトが表示されます。

[context_name]host_name(config-apn)#

構文

qci value_bytes ims-media

no qci value_bytes ims-media


(注)  


  • no :この IMS QCI 機能を無効にします。

  • ims_media :セッションリカバリおよび ICSR スイッチオーバー時の優先処理対象の IMS メディアとして分類されたベアラーにマークを付けます。

  • value_bytes :QCI 値を 1 ~ 254 の整数で指定します。


使用上のガイドライン

このコマンドを使用すると、セッションリカバリおよび ICSR スイッチオーバー時に優先的に処理する IMS メディアとして分類されたベアラーをマークするための QCI 値を指定できます。

この機能の導入には、次の前提条件が適用されます。

  • 専用の APN を VoLTE トラフィック用に予約する必要があります。

  • この APN に接続されたコールは、VoLTE に設定された QCI に一致する専用ベアラーがない限り、アクティブ VoLTE として分類されません。

  • 優先処理は、アクティブな VoLTE であるコールにのみ適用されます。

  • この APN に接続されたGGSNコールは、VoLTE に設定された QCIに一致するネットワーク開始ベアラーがない限り、アクティブ VoLTE として分類されません。

  • VoLTE マーキングは、Gn-Gp ハンドオフで保持されます。

CLI コマンドを使用してこの機能を有効にすると、次のアクションが実行されます。

  • ベアラーの作成時

    • 新しいベアラー QCI が APN 設定と照合されます。

    • QCI が APN 設定と一致する場合、ベアラーは優先処理の対象としてマークが付けられます。

    • Flow_entries はこの情報で変更されます(これが最初の VoLTE ベアラーの場合)。

    • Egtpu_session は、rx_setup 要求中に VoLTE タグで更新されます。

    • 通知メッセージは、VoLTE のタグ付けについて ECS に通知します。

  • ベアラーの削除時

    • これが最後の VoLTE ベアラーである場合、Flow_entry は VoLTE 情報を使用して更新されます。

    • ECS には、指示メッセージを介して削除が通知されます。

次のコマンドは、QCI が 9 の IMS ベアラーの優先処理を有効にします。

qci 9 ims-media

ip hide-service-address CLI コマンドのサポート

ip hide-service-address CLI コマンドは CUPS でサポートされます。

この CLI を有効にすると、この APN を使用する GGSN の IP アドレスがモバイルステーション(MS)から到達不能になります。このコマンドは、APN ごとに設定します。

この機能を有効または無効にするには、次の設定を使用します。

configure 
   context context_name 
      apn apn_name 
         [ default | no ] ip hide-service-address 
         end 
  • default :モバイルステーションがこの APN を使用して GGSN IP アドレスに到達することを許可しません。

  • no :モバイルステーションがこの APN を使用して GGSN IP アドレスに到達することを許可します。

  • このコマンドを使用して、サブスクライバがトレースルートを使って、公的領域内にあり、サービスに設定されているネットワークアドレスを検出しないようにします。

regardless-of-other-triggers CLI コマンドのサポート

この機能は、CUPS の CLI で regardless-of-other-triggers オプションをサポートします。regardless-of-other-triggers オプションは、合間に発生する他の eG-CDR または P-GW-CDR トリガーに関係なく、一定の時間間隔での eG-CDR または P-GW-CDR の生成を有効にします。したがって、このオプションを有効にすると、他の CDR トリガーが発生しても、Time Limit CDR は秒単位の [interval] ごとに動的にトリガーされます。つまり、[Time Threshold] は、前回のしきい値時間とこの間隔の合計をもとに計算されます。このオプションは、セッションリカバリと ICSR をサポートします。

この機能を有効にするには、次の設定を使用します。

configure 
   active-charging service service_name 
      rulebase rulebase_name 
         egcdr threshold interval interval regardless-of-other-triggers 
         end 

新しいコールを受信すると、次の手順が実行されます。

  • 有効にすると、regardless-of-other-triggers の間に他の使用状況レポートがトリガーされてもタイマーはリセットされず、設定された間隔ごとに時間しきい値に対応するセッション使用状況レポートが生成されます。

show コマンドと出力

ここでは、この機能をサポートするために使用可能な show CLI コマンドについて説明します。

  • show active-charging rulebase name name

  • show active-charging rulebase all

これらの CLI コマンドの出力には、この機能をサポートする次のフィールドが含まれます。

  • Interval Threshold:<seconds> (secs) Regardless of Other Triggers

デフォルトベアラーの TFT 抑制

機能説明

デフォルトベアラーの TFT 抑制は、UPC CUPS アーキテクチャでサポートされています。この機能をサポートするために、次の CLI コマンドが追加されました。

  • policy-control update-default-bearer

  • no tft-notify-ue-def-bearer

上記の CLI コマンドを使用して、QoS および ARP を使用せずに、またはデフォルトのベアラーと同じ QoS および ARP を使用して PCRF から受信したすべての定義済みルールをデフォルトのベアラーにバインドします。


重要


この CLI は、シャーシ設定のすべてのルールベースに適用されます。その間またはその後にルールベースが変更された場合、この CLI は現在の新しいルールベースにも引き続き適用されます。


TFT 抑制の設定

デフォルトベアラーの事前定義ルールの TFT 抑制の設定

デフォルトベアラーの TFT 抑制を設定するには、次のコマンドを使用します。

configure 
   require active-charging 
   require active-charging service_name 
      [ default | no ] policy-control update-default-bearer 
      end 

注意    


no policy-control update-default-bearer CLI コマンドを実行する際、charging-action に TFT 情報が追加されていないと、システムクラッシュが発生する可能性が高くなります。


デフォルトベアラーの TFT 抑制の設定

デフォルトベアラーの TFT 抑制を設定するには、次のコマンドを使用します。

configure 
   require active-charging 
   require active-charging service_name 
      rulebase rulebase_name 
         [ default | no ] tft-notify-ue-def-bearer 
      end 

(注)  


  • default:このコマンドにデフォルト設定を設定します。

    デフォルトベアラーの QoS を持つルールのみデフォルトベアラーへのバインドを無効にし、他のルールを無視しないように指定します。ルールはそれぞれの QoS に応じて、適切なベアラーにアタッチされます。また、UE(アクセス側)への TFT 更新は抑制されません。

  • no:デフォルトベアラーの QoS を持つルールのデフォルトベアラーへのバインドを有効にし、他のルールを無視するよう指定します。

    QoS が指定されていない場合、ルールはデフォルトベアラーにアタッチされます。また、デフォルトベアラーでは、UE(アクセス側)への TFT 更新が抑制されます。このため、作成される default-bearer は常に 1 つのみです。


ゼロバイト EDR 抑制

CLI 制御機能であるゼロバイト イベント データ レコード(EDR)抑制は、フローのデータがない場合の EDR の作成を有効または無効にします。通常、ゼロバイト EDR は、フローに対して 2 つの連続する EDR が生成される場合に可能です。CLI コマンドは、フローの 2 番目の EDR を抑制します。

ゼロバイト EDR の抑制を有効または無効にするには、次の設定を使用します。

configure 
   active-charging service service_name 
      rulebase rulebase_name 
         [ default | no ] edr suppress-zero-byte-records 
         end 

  • default :デフォルト設定でこのコマンドを設定します。

    デフォルト:[Disabled]。no edr suppress-zero-byte-records と同じ。

  • no :ゼロバイト EDR の抑制を無効にします。

  • edr suppress-zero-byte-records :ゼロバイト EDR を抑制します。

  • show user-plane-service statistics rulebase name rulebase_name CLI コマンドの出力の「Total zero-byte EDRs suppress」フィールドを使用して、ゼロバイト EDR が抑制されているか確認できます。

機能の仕組み

この項では、ユーザープレーンサービスのコールフローについて説明します。

コール フロー

ここでは、CUPS アーキテクチャのユーザー プレーン コール フローについて説明します。

P-GW データセッション

ここでは、P-GW の初期接続手順について説明します。

初期接続手順(Pure P)

次のコールフローは、Pure-P PDN の初期接続手順の概要を示しています。

  • P-GW は S5/S8 インターフェイスで APN を含むセッション作成要求メッセージを受信します。

  • P-GW-C はデータパスを確立するために、PRD、FAR 情報を使用して、Sxb インターフェイスから選択された P-GW-U に向けて Sx 確立要求を開始します。PGW-C は TEID(トンネル識別子)の割り当てをサポートしていません。 トンネル識別子は PGW-U によって割り当てられます。

  • リソースが割り当てられると(TEID など)、P-GW-U は P-GW-C に Sx 確立応答メッセージを送信します。

  • P-GW は、割り当てられたアドレス、TEID、および追加情報を含む Create Session Response メッセージで S-GW に応答します。

  • S5/S8 データプレーントンネルが確立され、PGW-U は PDN との間でパケットを送受信できます。

初期切断手順(Pure P)

次のコールフローは、Pure-P PDN の初期切断手順の概要を示しています。

  • P-GW は S5/S8 インターフェイスで APN を含むセッション作成要求メッセージを受信します。

  • P-GW-C はデータパスを確立するために、PRD、FAR 情報を使用して、Sxb インターフェイスから選択された P-GW-U に向けて Sx 確立要求を開始します。PGW-C は TEID(トンネル識別子)の割り当てをサポートしていません。 トンネル識別子は PGW-U によって割り当てられます。

  • リソースが割り当てられると(TEID など)、P-GW-U は P-GW-C に Sx 確立応答メッセージを送信します。

  • P-GW は、割り当てられたアドレス、TEID、および追加情報を含む Create Session Response メッセージで S-GW に応答します。

  • S5/S8 データプレーントンネルが確立され、PGW-U は PDN との間でパケットを送受信できます。

S-GW データセッション

ここでは、S-GW の初期接続手順について説明します。

初期接続手順(Pure S)

次のコールフローは、Pure-S PDN の初期接続手順の概要を示しています。

  • S11 インターフェイスで、S-GW-C は MME から、アクセスポイント名(APN)を含むセッション作成要求メッセージを受信します。

  • S-GW-C は、データパスを確立するため、選択した S-GW-U への Sxa インターフェイスで PDR、FAR 情報を含む Sx 確立要求を開始します。このとき、S-GW-C による TEID(トンネル識別子)の割り当てはサポートされません。割り当ては S-GW-U が行います。

  • egree TEID などのリソース割り当て後、S-GW-U は S-GW-C に対して Sx 確立応答メッセージを送信します。

  • S-GW-C は、選択した P-GW-C に対してセッション作成要求を開始します。

  • P-GW-C は、IP アドレスとデフォルトベアラー関連情報を含むセッション作成応答で応答します。

  • SGW-C は、既存のセッションの FAR(転送アクション)情報を更新するため、SGW-U に対して Sx 変更要求メッセージを開始します。

  • SGW-U は、情報を更新した後、Sx 変更の成功応答を返します。

  • SGW-C は、デフォルトベアラーに必要なすべての情報を含むセッション作成応答を MME に送信します。

  • MME は、eNodeB の F-TEID 情報を受信すると、SGW-C に対するベアラー変更要求メッセージを開始します。

  • SGW-C は、eNodeB の F-TEID の FAR 情報を更新するため、SGW-U に対して Sx 変更要求を開始します。

  • 正常に更新されると、Sx 変更応答が SGW-C に送信されます。

  • 今度は SGW-C が MME に変更応答メッセージを送信して、接続手順を完了します。

  • SGW-U では、eNodeB への S1U 側のデータトンネルと PGW-U への S5/S8 側のデータトンネルが確立しました。これで SGW-U は、PGW および eNodeB との間でパケットを送受信できます。

  • S5/S8 データプレーントンネルが確立され、PGW-U は PDN との間でパケットを送受信できます。

初期切断手順(Pure S)

次のコールフローは、Pure-S PDN の初期切断手順の概要を示しています。

  • MME からセッション削除要求を受信すると、SGW は SGW-U への Sx 削除要求メッセージを開始します。

  • SGW-U は、割り当てられたすべてのユーザープレーンリソースをクリアし、Cause Success とともに SGW-C に応答します。

  • SGW-C は、セッション削除応答メッセージで MME に応答します。

S-GW の専用ベアラーの追加、削除、および更新のサポート

機能説明

CUPS アーキテクチャでは、Pure-S コール向けの専用ベアラーの追加、削除、および更新がサポートされています。

この機能をサポートするため、次の機能が追加されています。

  • SAEGW-CP は、Pure-S コール専用ベアラーのベアラー作成要求をサポートします。

  • SAEGW -CP は、単一のベアラー作成要求で複数のベアラーコンテキストに対応できます。

  • SAEGW-CP は、異なる PDN に対する複数のベアラー作成要求を並行してサポートします。これらの PDN は、Pure-S PDN または Collapsed と Pure-S の組み合わせです。

  • SAEGW-UP は、ベアラーごとに Pure-S コールの VPP でアップリンク方向とダウンリンク方向のベアラーストリームを作成します。各方向ごとのストリーム数は、GTP-U サービスの IP アドレスによって異なります。

  • SAEGW-CP は、専用ベアラーを使用したアクセスベアラー解放(RAB)要求をサポートしているため、すべてのベアラーに対応するすべての FAR が変更されます。

  • SAEGW-CP は、専用ベアラーを使用したベアラー変更要求(アイドルモード、接続モード)をサポートします。

  • SAEGW-CP は、MME からのベアラー作成応答の障害処理をサポートします。

  • SAEGW-CP および SAEGW-UP は、VPP を使用したデフォルトおよび専用ベアラーの DSCP マーキングをサポートします。

  • SAEGW-CP および SAEGW-UP は、専用ベアラーのベアラー削除要求をサポートします。SAEGW-UP は、それらのベアラーに属するベアラーストリームと TEP エントリを削除します。

  • SAEGW-CP は、コールがアイドル状態の場合に Pure-S 専用ベアラーの作成をサポートします。

  • SAEGW-CP は、Pure-S 専用ベアラーの S-GW 再配置(X2 ベースと S1 ベースの両方)をサポートします。

  • SAEGW-CP は、Pure-S 専用ベアラーの更新シナリオをサポートします。

  • SAEGW-CP は、セッション作成応答とともに Pure-S コール専用ベアラーのベアラー作成要求のピギーバックをサポートします。

  • SAEGW-CP は、ベアラー変更要求とともに Pure-S コール専用ベアラーのベアラー作成応答のピギーバックをサポートします。

  • P-GW が CCA-I の一部としてベアラー作成を受信し、P-GW がピギーバック要求を送信しない場合、SAEGW-CP は Pure-S 専用ベアラ―の作成をサポートします。この結果、セッション作成応答の後にベアラー作成要求が続きます。

  • SAEGW-CP は、Pure-S 専用ベアラーを使用したセッションリカバリと ICSR をサポートします。

  • SAEGW-CP は、ベアラー作成要求とベアラー削除要求(デフォルトのベアラー)のコリジョンをサポートします。

  • SAEGW-CP は、ベアラー作成要求とセッション削除要求のコリジョンをサポートします。

  • SAEGW-CP は、ベアラー作成応答とベアラー削除要求(デフォルトのベアラー)のコリジョンをサポートします。

  • SAEGW-CP は、ベアラー作成応答とセッション削除要求のコリジョンをサポートします。

  • SAEGW-CP は、Pure-S のデフォルトおよび専用ベアラーを使用した終了マーカーをサポートします。

  • SAEGW-UP は、Pure-S のデフォルトおよび専用ベアラーを使用したセッションリカバリをサポートします。

  • SAEGW-UP は、アイドル状態からアクティブ状態に遷移中の IPv4 から IPv6 へ、または IPv6 から IPv4 への IP トランスポートの動作、および S1U インターフェイスでのハンドオーバー手順をサポートします。接続時に S1U で選択されたトランスポートがサポートされます。たとえば、IPv4 eNodeB から IPv6 eNodeB への eNode ハンドオーバーが該当します。

  • SAEGW-CP は、原因が Partially Accepted および Context Not Found の CBRsp をサポートします。

  • SAEGW-CP は Pure-S コールのダウンリンク方向のデータ通知をサポートしているため、UE が Pure-S コールでアイドル状態に遷移すると、FAR アクションは バッファに設定されます。

  • SAEGW-CP は、原因が PARTIALLY_ACCEPTED でコンテキストが見つからない場合のベアラー更新応答をサポートします。

  • SAEGW-CP は、ユーザープレーンノードを含む他のピアノードからのエラー処理と障害処理をサポートします。

制限事項

Pure-S コールの場合、アイドル セッション タイムアウトはサポートされていません。

Collapsed コールのサポート

次のコールフローは、UE が開始した Collapsed PDN の切断手順の概要を示しています。

初期接続手順(Collapsed PDN)

次のコールフローは、Collapsed PDN の初期接続手順の概要を示しています。

  1. CUPS SAEGW Collapsed コールの場合、SAEGW-C で次の処理が実行されます。

    • Gx インタラクション後、Gx 通信(CCR-I および CCA-I)を実行します。

    • IP プール(IP プールに関連付けられた APN)を使用して設定された user-plane-profile に基づいてユーザープレーンを選択します。

    • GTP-U セッションを確立します(IPv6/IPv4v6 PDN の場合、RA/RS に必要)。

    • 選択したユーザープレーンと Sxab のインタラクションを実行します。

  2. Sx 確立要求には、次の情報が含まれます。

    • S-GW アップリンクおよびダウンリンクデータパス(Sxa タイプ PDR)の Create PDR/FAR 情報。

    • アップリンクおよびダウンリンクデータパス(Sxb タイプ PDR)の Create PDR/FAR/URR 情報。ダイナミック/事前定義/静的ルールの場合。

    • RA/RS(Sxb タイプ PDR)の Create PDR/FAR:IPv6/IPv4v6 PDN タイプに必要。

    • さらに、次の目的で F-TEID を割り当てるように、コントロールプレーンがユーザープレーンに要求します。

      • S-GW 入力「S1-U S-GW F-TEID」

      • S-GW 出力「S5/S8-U S-GW F-TEID」

      • P-GW 入力 PDR「S5/S8-U P-GW F-TEID」

  3. ユーザープレーンは、Sx セッション確立応答の一部として次の情報を提供します。

    • 作成された PDR:S-GW 入力 PDR「S1-U S-GW F-TEID」

    • 作成された PDR:S-GW 出力 PDR「S5/S8-U S-GW F-TEID」

    • 作成された PDR:P-GW 入力 PDR「S5/S8-U P-GW F-TEID」

  4. 正常な Sx セッション確立応答を受信すると、コントロールプレーンは次の情報を使用して Sx 変更要求をトリガーします。

    • 「S5/S8-U S-GW F-TEID」の IP アドレス情報に基づいて「Outer Header Removal」を使用して P-GW(Sxb)の「アップリンク PDR」を更新

    • 「Outer Header Creation」を「S5/S8-U S-GW F-TEID」として P-GW(Sxb)の「ダウンリンク FAR」を更新

    • 「Outer Header Creation」を「S5/S8-U P-GW F-TEID」として S-GW(Sxa)の「アップリンク FAR」を更新

    • 「S5/S8-U P-GW F-TEID」の IP アドレス情報に基づいて「Outer Header Removal」を使用して S-GW(Sxa)の「ダウンリンクPDR」を更新

  5. Sx セッション変更応答を受信すると、SAEGW-C は「S1-U S-GW F-TEID」および「S5/S8-U P-GW F-TEID」を使用してセッション作成応答を MME に送信します。

  6. ベアラー変更要求(MBR)を受信すると、SAEGW-C で次の処理が実行されます。

    • Sx セッション変更要求のトリガー:

      • 「Outer Header Creation」を「S1 eNodeB F-TEID」としてダウンリンク FAR を更新します。

      • 「S1 eNodeB F-TEID」の IP アドレス情報に基づいて、「Outer Header Removal」を使用してアップリンク PDR を更新します。

  7. Sx セッション変更応答を受信すると、SAEGW-SGW-C は「S1-U S-GW F-TEID」を使用して MBR を送信します。

初回接続解除手順(Collapsedコール)
切断手順(Collapsed):UE 開始

次のコールフローは、UE が開始した Collapsed PDN の切断手順の概要を示しています。

  1. セッション削除要求を受信すると、SAEGW-C は Sxab インタラクションを実行し、アップリンクとダウンリンクの両方のデータパスに対する Apply Action を「DROP」として FAR を更新します。

  2. Sx セッション変更応答を受信すると、SAEGW-C は MME にセッション削除応答を送信します。

  3. CUPS SAEGW Collapsed コールの場合、SAEGW-C で次の処理が実行されます。

    • GTP-U セッションを削除します(IPv6/IPv4v6 PDN の場合は RA/RS に必要)。

    • 選択したユーザープレーンとの Sxab インタラクションを実行します。

  4. Sx セッション削除応答を受信すると、SAEGW-C で次の処理が実行されます。

    • Gx 通信(CCR-T および CCA-T)を実行します。

    • 受信した URR 情報に基づいて CDR(Gz)を生成します。

接続解除手順(Collapsed):ネットワーク開始

次のコールフローは、ネットワークが開始した Collapsed PDN の接続解除手順の概要を示しています。

  1. ベアラー削除要求(RAR により開始されたもの、または clear sub all CLI によるもの)を受信すると、SAEGW-C は Sxab インタラクションを実行し、アップリンクとダウンリンクの両方のデータパスに対する適用アクションを「DROP」にして FAR を更新します。

  2. Sx セッション変更応答を受信すると、SAEGW-C は MME にベアラー削除要求を送信します。

  3. CUPS SAEGW Collapsed コールの場合、SAEGW-C で次の処理が実行されます。

    • GTP-U セッションを削除します(IPv6/IPv4v6 PDN の場合は RA/RS に必要)。

    • 選択したユーザープレーンとの Sxab インタラクションを実行します。

  4. Sx セッション削除応答を受信すると、SAEGW-C で次の処理が実行されます。

    • Gx 通信(CCR-T および CCA-T)を実行します。

    • 受信した URR 情報に基づいて CDR(Gz)を生成します。

Gy インターフェイスを使用した P-GW セッションレポート

ここでは、Gy インターフェイスを使用した P-GW セッションのレポートについて説明します。

セッション確立要求での URR サポート
  • ユーザープレーンモジュールは、セッション確立要求の一部として受信した URR のリストの保存をサポートします。

  • 各 PDR は、1 つ以上の URR に関連付けられます。

  • 特定の URR が別の URR にリンクされます。

  • 各 URR には、測定方法(時間またはボリューム)と、ユーザープレーンが使用状況レポートを送信する必要があるイベントを示すレポートトリガーが含まれています。

  • URR には、Gy-URR のボリュームクォータとボリュームしきい値の両方が存在します。

セッション削除応答

ユーザープレーンから送信されるこのメッセージは、コントロールプレーンからのセッション削除要求への応答です。このメッセージにより、ユーザープレーンで Sx セッションが終了します。使用状況レポートは、Sx セッション削除応答の一部として含まれています。

セッションレポート要求および応答メッセージ
要求メッセージ
  • 時間またはボリュームのしきい値制限に達すると、ユーザープレーンは Sx セッションレポート要求メッセージを生成して、コントロールプレーンに送信します。

  • このメッセージには、使用状況レポートトリガーで指定された、メッセージの生成理由を示す使用状況レポートが含まれます。

  • さらに、使用状況レポートには、時間またはボリュームの測定値が含まれます。

  • セッションレポート要求が生成されている URR に他の URR がリンクされている場合、リンクされている URR に対してもセッションレポート要求が生成されます。このリリースでは、Gy-URR はいずれの URR ともリンクされていません。

応答メッセージ

コントロールプレーンからの応答メッセージは、原因コードを含むセッションレポート要求メッセージが正常に配信されたことを示します。現在、障害の原因を受信した場合に実行される特定の障害処理はありません。

Gy のサーバー到達不能サポート

オンライン課金システム(OCS)で発生した問題、またはポリシー/課金適用機能(PCEF)と OCS 間の接続で発生した問題を解決するため、コントロールプレーン(CP)で Gy インターフェイスに対する Server-Unreachable(SU)メカニズムが設定されます。SU 設定により、障害発生後でもセッションを継続できるようになります。そのためのオプションとして、セッションがオフラインに変換されるまたは終了されるまでの暫定クォータ(ボリュームや時間)とサーバー再試行回数を設定できます。

新しい使用状況レポートルール(URR)バケットが作成されます。このバケットには、Gy セッションが SU 状態になったときの SU クォータが含まれます。新しい URR の ID は、SU URR が割り当てられると動的に生成されます。

CUPS ユーザープレーン(UP)ノードでは、既存の Vector Packet Processor(VPP)ストリームが新しい LC レコードによって変更されます。このレコードには、更新された SU URR バケットと既存の課金バケットが含まれます。

VPP ストリームが SU 状態の場合、GyURR と SU URR の 2 つのクォータ行を使用できます。GyURR が [linked-usage-reporting] トリガーが設定された状態で SU 状態になった場合、SU URR のクォータ行は VPP ストリームにリンクされます。

ここでは、CUPS における SU コールフローについて説明します。

ステップ 説明
1 PGW-U は、[Time and Volume] または [Quota and Threshold] などの内部トリガーにより、URR1(RG-1)を含む Sx セッションレポート要求メッセージを PGW-C に送信します。
2 PGW-C は要求を確認し、Sx セッションレポート応答メッセージを PGW-U に送信します。
3 PGW-C は、プライマリ OCS とセカンダリ OCS の両方に CCR 更新(CCR-U)要求メッセージを送信します。
4 プライマリ OCS とセカンダリ OCS の両方で CCR-U 要求メッセージが失敗すると、Gy セッションは SU 状態になります。Gy セッションの SU URR が作成され、関連する PDR にリンクされます。PGW-C は、UpdatePDR を含む Sx セッション変更要求メッセージを PGW-U に送信します。UpdatePDR の PDR URR リストには Gy SU URR が含まれます。
5 PGW-U は、両方の Gy バケット(URR1 と Gy SU URR1)の使用状況の更新を開始し、Sx セッション変更応答メッセージを PGW-C に送信します。
6 Gy URR バケットがクォータを使い切ると、PGW-U は URR2(RG-2)を含む別の Sx セッションレポート要求メッセージを PGW-C に送信します。
7 PGW-C は要求を確認し、Sx セッションレポート応答メッセージを PGW-U に送信します。
8 PGW-C は、UpdatePDR および Update RR2 を含む Sx セッション変更要求メッセージを PGW-U に送信します。UpdatePDR には、URR2 と Gy SU URR の両方を含む変更済み URR リストが含まれます。
9 PGW-U は Sx セッション変更応答メッセージを PGW-C に送信します。
10 Gy SU URR クォータを使い切ると、PGW-U は、URR1(RG-1)および URR2(RG-2)を含む Sx セッションレポート要求メッセージを PGW-C に送信します。
11 PGW-C は要求を確認し、Sx セッションレポート応答を送信します。
12 PGW-C は、SU の再試行後に CCR 更新(CCR-U)要求メッセージを OCS に送信します。
13

OCS は、[Result-Code] が 2001 の CCA 更新応答メッセージを送信します。

14 PGW-C は、URR1(RG-1)、URR2(RG-2)、および UpdatePDR(Gy SU URR なし)を含む Sx 変更要求メッセージを PGW-U に送信します。
CUPS における新しい動作

CUPS の新たな SU メカニズムは次のとおりです。

  • 非 CUPS アーキテクチャでは、単一のノード(P-GW)によって Gy セッション状態とデータトラフィックが処理されるため、メッセージングによる遅延なく SU URR が作成されます。一方、CUPS モードでは、CP は追加のノードとなります。このノードは、セッション状態に関する情報を保持し、ユーザープレーン(UP)からの URR 要求を処理します。Gy セッションを SU URR に関連付けることができるのは、CP だけです。UP と CP 間のこのメッセージングにより遅延が発生し、データパケットは [Pending-Traffic-Treatment] 設定に従って処理され、通信が完了します。

  • 非 CUPS アーキテクチャでは、SU 状態タイマーは、Time-Quota タイマーとは異なる方法で処理されます。SU クォータを使い切ると、OCS への再試行が発生し、新たに [next-interim-time-quota] が開始されます。一方、CUPS モードでは、SU 時間クォータを使用する場合、クォータの枯渇が CP に報告され、セッションが再びサーバー到達不能状態になると、前回の使用状況レポートからの経過時間が使用状況に計上されます。

  • CUPS で servers-unreachable after-timer-expiry timeout_period CLI コマンドを使用することは推奨されません。代わりに、servers-unreachable after-interim-time timeout_period server-retries retry_count を使用して同様の動作を実現しますが、再試行回数は 1 回です(retry_count を「1」に設定)。

制限に達した後処理

制限到達後の後処理は、CUPS と非 CUPS の両方のアーキテクチャでサポートされている 3GPP 非準拠の独自の動作です。この機能により、課金バケットのクォータを使い切った場合に、実装済みのリダイレクトまたは制限操作が可能になります。ただし、OCS サーバーは [FUI-Redirect] または [FUI-Restrict] を付与できません。この機能を使用する場合、オペレータは、使用可能なすべてのルール一致基準を組み合わせて(たとえば、IMSI ベースの一致基準を有効にするなど)、サブスクライバ/トラフィックごとに異なる処理を選択的に適用できます。この機能を有効にするには、次の CLI コマンドを使用します。

configure 
   active-charging service service_name 
      rulebase rulebase_name 
         post-processing policy always 
         end 

また、rule-application post-processing CLI コマンドは、[ACS Ruledef Configuration] モードで limit-reached に設定する必要があります。

PTT no-quota Limited Pass

この機能により、サブスクライバは OCS からの応答を待機している間にネットワークを使用できます。Limited-Pass 設定では、サブスクライバが OCS からのクォータ応答を待機している間に消費できるボリュームを指定できます。使用量はそれぞれの課金バケットでカウントされ、次のクォータ割り当てに対して調整されます。

この機能を有効にするには、次の CLI コマンドを使用します。

configure 
   active-charging service service_name 
      credit-control 
         pending-traffic-treatment noquota limited-pass volume volume 
         end 

Limited Pass Volume は、noquota のケース(クォータを初めて要求する評価グループ(RG))にのみ使用され、quota-exhausted には使用されません。Limited Pass Volume は、後続のクレジット要求には使用されません。

Limited Pass Volume が使い果たされるまで、トラフィックの通過が許可されます。使用量はそれぞれの課金バケットでカウントされ、付与された「クォータ」に対して調整されます。「クォータ」割り当てが実際の使用量よりも少ない場合、使用状況レポートを使用した OCS への即時レポートが発生し、より多くのクォータ割り当てが要求されます。後続の着信パケットは、「quota-exhausted」PTT 設定に従って処理されます。

OCS がクォータの拒否で応答する前に Limited Pass Volume が使い果たされていない場合、トラフィックは OCS 応答後にブロックされます。ゲートウェイは、OCS が応答するまで、CCR-U(FINAL)(CUPS 以外の場合)または CCR-T(CUPS の場合)の Limited Pass Volume の使用状況を報告します。

OCS が応答する前に Limited Pass Volume が使い果たされた場合、OCS からクォータが付与されるまで、セッションの後続の着信パケットはドロップされます。

noquota のデフォルトの pending-traffic-treatment は Drop です。default pending-traffic-treatment noquota コマンドは、設定されたすべての Limited Pass Volume サイズを削除します。

PTT クォータ枯渇制限パス

CUPS アーキテクチャの Pending-Traffic-Treatment(PTT)Quota-Exhausted Limited-Pass は、バッファリングオプションの代わりに使用できます。高速ネットワークでは、バッファリングオプションには現実的な制限があります。バッファリングでは、ゲートウェイで多数のパケットをバッファリングする必要があるため、メモリが不足し、帯域幅の速度に影響を及ぼすリスクが発生します。PTT Quota-Exhausted Limited Pass では、クォータ枯渇シナリオで設定された制限に達するまで、トラフィックを通過させます。

PTT は、Limited-Pass ボリュームを使いきるまでトラフィックを許可します。PTT は、付与された「クォータ」を基準に、それぞれの課金バケットの使用状況を計算し、調整します。「クォータ」割り当てが実際の使用量よりも少ない場合は、使用状況レポートを通じてすぐに OCS に報告し、追加のクォータ割り当てを要求します。

OCS によるクォータの拒否応答までに Limited-Pass ボリュームが枯渇しなければ、OCS 応答後にトラフィックがブロックされます。ゲートウェイは、CCR-U(FINAL)で使用状況をレポートします。

OCS からの応答前に Limited-Pass ボリュームが枯渇した場合、OCS からクォータが付与されるまで、セッションの以降の着信パケットがドロップされます。

クォータが枯渇した場合の pending-traffic-treatment のデフォルト動作は [Drop] です。デフォルトの pending-traffic-treatment quota-exhausted CLI コマンドにより、設定済みの Limited-Pass ボリュームのサイズは削除されます。

この機能を有効にするには、次の CLI コマンドを使用します。

configure 
   active-charging service service_name 
      credit-control 
         pending-traffic-treatment quota-exhausted limited-pass volume volume 
         end 

(注)  


上記の CLI コマンドは、CUPS アーキテクチャにのみ適用されます。


  • limited-pass :OCS に到達できない場合に、サブスクライバへの制限付きアクセスを有効にします。

  • volume volume :OCS に到達できない場合に、サブスクライバへの制限付きボリュームアクセスを有効にします。volume は、デフォルトのクォータサイズ(バイト単位)を指定します。クォータサイズは 1 ~ 4294967295 までの整数で指定する必要があります。

クォータ有効時間の処理

MSCC バケットのクォータ有効時間が受信されると、同じ情報がユーザープレーンに送信されます。直接使用できる特定の IE がないため、QVT 値が Time-Quota IE に入力され、URR がユーザープレーンに送信されます。QVT またはタイムクォータの小さい方の値が、Time-Quota IE で設定されます。また、Time-Quota でユーザープレーンからの使用状況レポートがトリガーされると、解釈が行われて、Validity-Timeout の CCR-Update が生成されます。

サポートされる機能と制限事項
ボリュームクォータ メカニズムを使用した基本的なコールフローは、Gy インターフェイスでの P-GW セッションレポートに関する次の制限付きでサポートされます。
  • CCR/CCA-I、CCR/CCA-U および CCR/CCA-T、RAR/RAA メッセージのみがサポートされます。

  • セッションセットアップ時およびセッション中のどちらでも、[Dynamic Rules with Online Enabled] がサポートされます。

  • セッションセットアップ時およびセッション中のどちらでも、[Predefined Rules](ダイナミックのみ)がサポートされます。「プリエンプティブな要求」の設定に制限はありません。

  • オンライン課金を使用する静的ルールがサポートされます。

  • Ignore-service-id がサポートされます。

  • ボリュームクォータ/ボリュームしきい値メカニズムがサポートされます。

  • イベントトリガー(クエリ URR が発生するもの)、および OCS への使用状況情報の送信がサポートされます。


    重要


    RAT 変更機能は、このリリースでは検証されていません。


  • OCS が新しいクォータを付与する Sx セッション変更手順を通じた「updateURR」手順がサポートされます。

  • ベアラーレベルの Gy とサブスクライバレベルの Gy がサポートされます。

  • Pending-Traffic-Treatment(PTT)の [Drop] / [Pass] は、次の制限付きでサポートされます。

    • 現在サポートされているシナリオは、クォータなしとクォータ枯渇です。

    • トリガー/再承認シナリオはサポートされていません。

    • PTT アクション([Forward] / [Drop])は、クォータ取得で取得できるクォータが枯渇した後に考慮されます。

  • 次のような障害シナリオが認定されています。

    • 障害処理の終了、続行と再試行、および終了:CC グループ/FHT を使用

    • エラー結果コードの処理(MSCC レベルとコマンドレベルの両方)がサポートされます。

  • 実測時間クォータメカニズムがサポートされます。

  • その他の時間クォータメカニズム(離散期間および連続期間)はサポートされません。

  • Final-Unit-Indication Terminate メカニズムがサポートされます。

  • [FUI-Restrict] はサポートされません。

  • セッション中のルールのインストール/削除/変更はサポートされます。

  • RAR メカニズムがサポートされます。

  • Server-Unreachable(SU)メカニズムがサポートされたことにより、非 CUPS P-GW と比較して動作が若干変更されました。

    • URR が UP でクォータを必要とする場合、使用状況レポートが CP に生成され、CP がリンクされた SU_URR で応答するまで、この URR に一致するパケットは [Pending-Traffic-Treatment] 設定で処理されます。

    • SU 時間クォータを使用する場合、クォータの枯渇が CP に報告され、セッションが再びサーバー到達不能状態になると、前回の使用状況レポートからの経過時間が使用状況に計上されます。

  • Pending-Traffic-Treatment バッファメカニズムはサポートされません。

  • [send-ccri on traffic-start] がサポートされます。

  • [Quota-Hold-Time] がサポートされます。

  • Quota-Consumption-Time メカニズムはサポートされません。

  • [Quota-Validity-Time] がサポートされます。

  • Gy でイベントが発生した場合の、Gy からの Gz レコードのトリガーがサポートされます。 Gy-Gz 同期はサポートされません。

  • Gy でイベントが発生した場合の、Gy からの Rf レコードのトリガーはサポートされません。

  • [rated-group] 値では、「content-id」以外の値の設定がサポートされます。

    • RG「0」はサポートされません。

  • Out-of-Credit、Reallocation-of-Credit イベントの PCRF へのトリガーは認定されていません。


    重要


    PCRF に対するイベントトリガーの [Out-of-Credit] は、1 回限りの付与クォータ(合計ボリュームと付与ボリュームが同じ値)という制限付きで検証されます。


  • CCR-I に関する OCS からの遅延応答がサポートされます。

  • [Service-Specific-Units] はサポートされません。

  • [Tariff-Time] の変更は、3GPP 仕様に従ってサポートされます。

  • [Quota-Retry Timer] がサポートされます。

  • diameter mscc-final-unit-action terminate session CLI コマンドは、[Credit Control Configuration] モードでサポートされます。

  • [FUI-Redirect] は、次の制限付きでサポートされます。

    • HTTP のリダイレクトはサポートされません。

    • フィルタ ID/フィルタルールを使用した FUI リダイレクトはサポートされません。

    • WSP プロトコルはサポートされません。

    • 3GPP 仕様に従って、リダイレクトされたトラフィックは、[FUI-Redirect] のルールにヒットした場合にもリダイレクトされます。リダイレクトされたトラフィックの通過を許可するプロビジョニングはありません。

      • 3GPP 仕様に従って、CUPS アーキテクチャは no diameter fui-redirected-flow allow CLI コマンドの動作に準拠しています。

    • redirect-require-user-agent CLI コマンドはサポートされません。ユーザーエージェントが存在しない場合でも、リダイレクトは引き続き機能します。

    • 元の URL の追加はサポートされません。

    • diameter redirect-validity-timer immediate CLI コマンドがサポートされます。ただし、diameter redirect-validity-timer traffic-start CLI コマンドはサポートされません。

    • リダイレクトを脱するトークンベースのメカニズムはサポートされません。CUPS でリダイレクトを終了するには、OCS が Redirect Validity-Time または RAR を送信します。

    • FUI リダイレクトは、非 CUPS アーキテクチャでの動作と同様に、URL に対してのみサポートされます。

  • PCRF/OCS からの rulebase の変更がサポートされます。

Gz インターフェイスを使用した P-GW セッションレポート

この項では、Gz インターフェイスを使用した P-GW セッションレポートについて説明します。

セッション確立要求での URR サポート
  • ユーザープレーンモジュールは、セッション確立要求の一部として受信した URR のリストの保存をサポートします。

  • 各 PDR は、1 つ以上の URR に関連付けられます。

  • 特定の URR が別の URR にリンクされます。

  • 各 URR には、測定方法(時間またはボリューム)と、ユーザープレーンが使用状況レポートを送信する必要があるイベントを示すレポートトリガーが含まれています。

セッション削除応答

ユーザープレーンから送信されるこのメッセージは、コントロールプレーンからのセッション削除要求への応答です。このメッセージにより、ユーザープレーンで Sx セッションが終了します。使用状況レポートは、Sx セッション削除応答の一部として含まれています。

セッションレポート要求および応答メッセージ
要求メッセージ
  • 時間またはボリュームのしきい値制限に達すると、ユーザープレーンは Sx セッションレポート要求メッセージを生成して、コントロールプレーンに送信します。

  • このメッセージには、使用状況レポートトリガーで指定された、メッセージの生成理由を示す使用状況レポートが含まれます。

  • さらに、使用状況レポートには、時間またはボリュームの測定値が含まれます。

  • セッションレポート要求が生成されている URR に他の URR がリンクされている場合、リンクされている URR に対してもセッションレポート要求が生成されます。

応答メッセージ

コントロールプレーンからの応答メッセージは、原因コードを含むセッションレポート要求メッセージが正常に配信されたことを示します。現在、障害の原因を受信した場合に実行される特定の障害処理はありません。

ビットレートマッピングのサポート

P-GW は、PCRF から受信したビット レート値を bps から kbps に変換します。この変換により、小数値が最も近い整数(floor)値に切り捨てられ、情報が失われる可能性があります。3GPP では、bps から kbps に変換すると小数値になる場合は、最も近い整数値(ceil)値に切り上げてアクセス側に送信することが推奨されています。


(注)  


bps から kbps への切り捨て(floor)値が PFCP インターフェイスで送信されるように設計が変更されました。


標準準拠

ビットレートマッピング機能は、3GPP TS 29.274 リリース 12 に準拠しています。

ビットレートマッピング機能の設定

P-GW の APN-AMBR、GBR、および MBR で、bps から kbps ビットレートの切り上げ(ceil)値を設定するには、次の手順を実行します。

configure 
   context context_name 
      pgw-service service_name 
         [ no ] egtp bitrates-rounded-down-kbps 
         end 

P-GW の APN-AMBR、GBR、および MBR で、bps から kbps ビットレートの切り捨て(floor)値を設定するには、次の手順を実行します。

configure 
   context context_name 
      pgw-service service_name 
         egtp bitrates-rounded-down-kbps 
         end 

CUPS の新しい動作

デフォルトでは、APN-AMBR、MBR、および GBR のビットレートの切り上げ値(kbps 単位)が Sx および GTP インターフェイスで送信されます。切り捨て動作を有効にするには、CLI を設定する必要があります。

標準準拠

CUPS のユーザープレーンは、次の標準規格に準拠しています。

  • 3GPP 仕様 23.214 リリース 14.0:Universal Mobile Telecommunications System (UMTS); LTE; Architecture enhancements for control and user plane separation of EPC nodes

  • 3GPP 仕様 29.244 リリース 14.0:LTE; Interface between the Control Plane and the User Plane of EPC Nodes

  • 3GPP 仕様 23.401 リリース 14.0:3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects; General Packet Radio Service (GPRS) enhancements for Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN) access