メインコンテンツに移動
(Enter を押します)

循環型経済

シスコは、廃棄を前提としない設計、製品と資材の寿命の延長、自然システムの再生に重点を置いた、循環型経済プログラムに取り組んでいます。

シスコは、製品が使用されて廃棄される線形型経済から、限られた天然資源をより有効に活用する循環型経済への移行に取り組んでいます。そのため、採取した資源からつくった製品を最終的に廃棄(take-make-dispose)するのではなく、製品を何度も使用できる貴重な資産としてとらえています。このアプローチを支えているのは、次のシンプルな原則に基づく循環型経済の概念です。

  • 廃棄と汚染を前提としない設計を行う
  • すでに所有している製品や資材を使用する
  • 自然システムを再生成する

シスコは、循環型経済プログラムを全社的に継続し、影響力のある次の 5 つの主な領域に重点を置いています。

  • 循環型設計:循環性(再利用、修理、リサイクル、リソース効率など)を念頭に置いて製品と梱包方法を設計します。
  • 循環型事業:消費を削減し、シスコのバリューチェーン全体で再生可能な資源を使用します。
  • 循環型消費:複数回のライフサイクルを考慮して機器を管理し、このアプローチを促進する新しいビジネスモデルを展開します。
  • 循環型ソリューション:お客様に循環型経済の価値をもたらす新たなテクノロジーソリューションとサービスを設計します。
  • エコシステムリーダーシップ:業界のイノベーション、コラボレーション、公共政策を通じて循環型経済を推進します。

循環型設計

循環型設計とは、再利用、環境への影響の最小化、イノベーションの促進、ステークホルダにとっての価値実現が可能な製品とシステムを設計することです。シスコは、5 つの基本設計原則に従って、循環性を重視した製品と梱包方法を設計しています。

シスコの循環型設計の原則

2020 年度に循環型設計の原則を発表したシスコは、設計に携わる人々を対象としたトレーニングを優先するとともに、これらの原則を標準の設計ツールと要件に統合しました。循環型設計評価の方法論とツールを開発しリリースすることもその一部であり、これによって、2025 年までにシスコの新しい製品と梱包方法のすべてに設計原則を組み込むという目標の達成状況も追跡できます。この評価方法は、シスコの製品設計、製造、サービス部門のリーダーからなる部門横断的なチームの協力で開発されました。

2021 年度に、そうした新しいツールのテストを行いました。具体的には、新製品導入(NPI)のさまざまな段階とシスコの製品ポートフォリオ全体で、15 の製品と 10 の梱包ソリューションを評価し、循環型設計の原則を取り入れました。このうち、9 つの製品と 3 つの梱包方法の設計が、統合上の定義済みしきい値を下回っていました。このテストでは、循環型経済チームと緊密に連携して原則を統合した製品ファミリも対象にしたため、これらの結果は、ポートフォリオ全体の全新製品の現状を示すものではありません。来年も、評価ツールを製品開発プロセスに統合し、その他の製品ファミリを評価対象に加えていきます。

今後どの NPI 製品の設計と梱包にもシスコの循環型設計の原則を採用し、不要な品目と過剰な品目や、プラスチック廃棄物を削減する新たな機会を特定していきます。シスコは、電源コードのオプトアウトモデルを追加製品に拡張しましたが、2022 年度は、アクセサリキットにまで拡張したオプトアウトオプションをお客様に提供できるかどうかを評価します。

2021 年度はバージンプラスチックの削減が 20% に達し、2025 年の目標を達成しました。バージンプラスチックは基準年比で 38% 減少しましたが、これは、再生プラスチックの使用増加とコロナ禍の影響によるものです。シスコは、ビジネス全体で、循環型設計の原則をさらに取り入れ、バージンプラスチックの使用削減、資材の再利用促進、再生プラスチックの使用推進に今後も重点を置きます。これには、外部電源ユニット、電源ケーブル、アクセサリケーブルなどの製品構成可能なオプションを対象に、可能な限りビニール袋をなくすといった取り組みも含まれます。また、バージン材の使用削減と、再生プラスチックの使用推進を重視した将来的な目標も検討しています。

また、新製品の出荷時に同梱する紙の文書を 2021 年末までに廃止するという目標の達成に向けて前進しました。ライセンス、マニュアル、コンプライアンス文書の形で、出荷時に製品に同梱される何百万枚もの紙をなくすことで、製造プロセスでの資材使用、廃棄物、コスト、ボトルネックを削減したのです。紙の削減で得られるもう 1 つのメリットは、あらゆるサイズの紙を同梱するスペースの確保が不要になり、梱包サイズを最適化できることです。また、シスコは今後もポインタカードの使用拡大、コンプライアンス文書の統合、紙の削減を推進します。

梱包

理想的な循環型経済であれば、無駄は生じません。現実的には、梱包材の多くが、最初の使用ですぐに廃棄物となっています。シスコは、不要な梱包の排除と、再利用や容易なリサイクルにつながる設計に取り組んでいます。梱包に使用される一般的な資材には、緩衝材や発泡スチロールなど、リサイクルしにくいものがありますが、それらは出荷時に製品を保護するクッション材として非常に有効なため、今でも使用されています。製品が輸送中に破損すると、その修理や交換に非常に多くの資源が必要となり、ビジネスや環境への悪影響という別のマイナス面が生じます。

シスコでは、梱包方法と資材の基本要件に加えて、次の 4 つの観点から、環境に配慮した梱包を評価しています。

  • 梱包材の最適化:適切な保護によって輸送時の製品損傷を防ぎ、無駄を発生させない梱包方法を設計します。同時に、資材の量を最適化し、関連する環境規制にすべて準拠できるようにします。
  • スペース効率の最適化:輸送中のスペース(体積)効率を最適化する梱包方法を設計します。
  • マルチパックの評価:大量の製品に適したマルチパックソリューションを設計し、梱包材の総量を削減します。
  • 持続可能な資材:リサイクルされた資材を使用するリサイクル可能な梱包方法を設計します。

シスコは 2021 年度に、2025 年のパッケージ効率目標の達成状況として 26% の改善を報告しました。梱包効率を測定するには、実重量と容積重量を比較します。これにより、出荷用と保管用スペースの最適化を考慮した製品梱包がどの程度行われているかを判断します。容積重量とは、業界標準の計算方法であり、これによって、段ボール箱やコンテナで使用する容量を決定します。この重量は、箱の奥行き、幅、高さを掛け合わせ、それを寸法係数で割ることで算出します。シスコは、不要なスペースや過剰なスペースの削減を実践し、容積重量と実重量の差をなくすことを目標としています。

その他にも、持続可能な梱包方法の重点領域を対象にしたプロジェクトをいくつか実施しました。以下にその例を示します。

  • Catalyst IR1101 高耐久性シリーズ ルータの 10 パック(マルチパック)オプションを、大量注文のお客様が利用できるようにしました。これにより、段ボールの使用が減り、推定で年間約 3,402 キロ(7,500 ポンド)の資材の無駄を削減できます。
  • 製品と資材の継続的な利用によってビジネスの中断を回避し廃棄物を削減する「Box Patch」というプログラムを立ち上げました。このプログラムでは、世界各地の流通拠点で、外箱の軽微な傷を隠すラベルを提供しています。これにより、段ボール資材の無駄を最小化できる上、再梱包による再出荷で生じるコスト、遅延、CO2 排出も回避できます。
  • Catalyst IR8140 Heavy Duty ルータでは、重量のある製品に適した、シスコ初のファイバフルート材を使用して梱包を行います。そのため、フォーム緩衝材を使用しません。
  • 通常のスロットコンテナ(RSC)を使用していた Catalyst C9600 シリーズ ラインカードの梱包に、フルオーバーラップ(FOL)設計を採用しました。これにより、上部ではなく側面から製品を箱に入れられる新しいリフトテーブルを使用して、年間最大 9,000 ポンド(推定)の段ボール箱を削減できます。

全体として、2021 年度は、出荷した総梱包数から 336,000 ポンドの段ボール資材をなくしました。ピザの箱に換算すると約 50 万個に相当します。

持続可能な梱包とフルフィルメント ソリューションの重点領域
カテゴリ 利点 イニシアチブ
カテゴリ二次製品の構成可能オプション 利点ケーブル、ブラケット、および同様の品目の受け取りをお客様がオプトアウトでき、資材、梱包、出荷のコストが削減されます。 イニシアチブ最適化したアクセサリキットや、電源ケーブルのオプトアウトなど、発注時の選択肢を増やすイニシアチブを実施して、製品出荷時に同梱する余分なコンポーネントを削減します。
カテゴリソフトウェア、ライセンス、製品ドキュメントの提供を電子化 利点ペーパレス化と運用効率向上のほか、CD、紙、パッケージの削減や梱包とフルフィルメントコストの削減につながります。 イニシアチブeDelivery プログラムにより、固有の製品 ID や Cisco Commerce ベースの電子フルフィルメント設定を基に、電子配信可能な製品を更新します。また、シスコの製品ライン全体で「ポインタカード」を使用して、製品とコンプライアンス関連ドキュメントの Web リンクを統合します。
カテゴリマルチパック 利点マルチユニット梱包の製品出荷により、梱包と出荷のコスト削減、運用効率向上、物流コスト削減を実現できます。 イニシアチブ大量注文のお客様に、さまざまな製品のマルチパックオプションを提供します。その結果、梱包材の無駄が減り、コストが削減され、パレットの使用効率が向上します。
カテゴリ廃棄物削減 利点シスコ製品に使用する梱包材の量を削減します。 イニシアチブ製品テストの改善により、製品保護に必要な梱包材の量を削減しました。設計の最適化も、段ボール箱、紙、緩衝材の削減につながりました。
カテゴリリサイクルした資材の使用 利点梱包材の新規調達を削減すると同時に、埋立処分廃棄物の発生を抑制します。 イニシアチブ代替の資材としてリサイクル素材を調達します(例:パルプモールド、ファイバフルート、熱成形素材などの緩衝材)。
カテゴリパッケージイノベーション 利点新しい資材、方法、プロセスの追求により、持続可能な梱包方法の実現を達成するまでの道筋を増やします。 イニシアチブイノベーションに焦点を当てたフォーラムを開催し、サプライヤやディストリビュータに加え、業界のエキスパートと共同で、現在のプラクティスを超えた新しい技術や資材を見いだします。

コラボレーションによるパッケージイノベーション

現在、世界でリサイクルされているプラスチックは 9% に過ぎません。パレタイズした製品を安定させ保護するためにプラスチック製のパレットラップが使用されていますが、シスコはそれに代わる資材を模索しています。2019 年度には、再利用可能なパレットラップを試験的に導入し、2021 年度までその利用を継続しました。この取り組みにより、3 年間で約 79,147 キロ(174,490 ポンド)のプラスチック製ラップの使用を回避できました。これは、1,400 万枚の高密度なレジ袋に相当します。シスコは 2021 年度にこの試験的利用に基づいて、Microsoft 社ほか 9 社と共同で Ellen MacArthur Foundation ネットワークプロジェクトに参加しました。このプロジェクトでは、使い捨てのパレットラップを排除するために、3 つの方法が検討されています。

梱包材

シスコでは通常、リサイクル素材を少なくとも 25% 含む段ボール資材を梱包に使用しています。シスコの新製品で使用する梱包材は、ほとんどの場合、単一の素材、またはリサイクル分別が可能な複数の素材で構成されています。シスコの世界市場で見られるリサイクルの実践方法は、お客様、自治体、地域によって大きく異なります。お客様のリサイクル施設によっては、シスコ製品の梱包材をリサイクルできないこともあります。

シスコが梱包に使用するプラスチックは、樹脂識別コード 1 ~ 7 に基づくカテゴリに分類され、その多くはポリエチレン(コード 2 とコード 4)に該当します。一部のプラスチック部品には、使用済みプラスチックのリサイクルをサポートするプラスチック リサイクル コード番号のラベルが付いています。シスコでは、バージン材、または代替品のリサイクル材を熱成形した中密度のポリエチレン緩衝材を使用しています。地域的に利用可能で技術的に実現可能な場合は、リサイクルポリエチレン製の緩衝材を使用します。買収した企業の製品を含むシスコのレガシー製品では、現在の梱包のベストプラクティスがすべて採用されているとは限りません。シスコのサプライヤがお客様に直接提供する OEM 製品の梱包にも同様の課題が存在します。

シスコでは、リサイクル可能なパッケージを使用するよう努めていますが、代替となる持続可能な資材の選択肢が限られているため、それが不可能な場合もあります。たとえば、金属化された帯電防止バッグは簡単にリサイクルできませんが、静電放電による損傷を受けやすい製品を安全に輸送するには不可欠です。そのため、出荷する製品に合わせてサイズを調整し、使用する資材の量を最小限に抑えています。また、シスコの契約製造業者では、帯電防止バッグの再利用が行われています。

使用済みの製品梱包材

シスコ製品のパッケージは、分別とリサイクルを行えるように設計されているため、地域の梱包材リサイクルプログラムで消費できます。リサイクル目的で空の箱をシスコに送り返すと、環境への不要な影響が生じるため、シスコではそうした梱包材の回収をしていません。ただし、特定のシナリオを想定して、再利用可能な梱包オプションを検討しています。たとえば、シスコの配送拠点の近くにいるお客様向けに、再利用可能な梱包材を使用するなどです。これにより、2 拠点間で梱包材を移動させて再利用できる一方で、空の箱を送ることで生じる環境への影響を最小限に抑えられます。シスコが環境上の梱包関連規制にどのように準拠しているかについては、こちらをご覧ください。

サプライチェーンにおける資材廃棄削減

循環型経済の発展と促進に注力することで、サプライチェーン上流での原材料消費を把握する取り組みが加速しました。シスコは、シスコの部品サプライヤと製造サプライヤの 70%(調達額の割合)が、2025 年度までに 1 つ以上の拠点で廃棄物ゼロ転換率を達成することを確約しています。サプライヤとの連携による廃棄物ゼロへの取り組みについてはこちらを参照してください。

製品の返品、再利用、リサイクル

循環型経済の概念で最も重要なのは、資産を可能な限り最大限に活用することです。

シスコは 20 年以上にわたり、さまざまなプログラムの実践に尽力してきました。それらを通じて、再利用とリサイクルを目的とした製品返品の促進、包括的なサービスと修理、Cisco Refresh を通じた使用済み機器の再生と再販売などを行いました。こうしたプログラムによって機器を再生することで、次の製造に必要な資源を節約し、無駄を削減できます。

2018 年の世界経済フォーラムでは、シスコの CEO が Platform for Accelerating the Circular Economy(PACE)と共同で Capital Equipment Pledge に署名しました。これは、要求があれば、無償の製品返品を常に受け付けることを約束するものです。

サービスプログラム

製品の使用は、シスコの循環型経済アプローチを機器のライフサイクル管理に取り入れるときの最初の重要なステップとなります。シスコのグローバル サービス サプライ チェーンの組織は、お客様とパートナーにハードウェア返品許可(RMA)とそのサポートを行います。また、シスコでは、部品の使用、お客様による新製品の導入、古いハードウェアの廃止に合わせて、ネットワークと在庫のレベルを常に最適化しています。製品の耐用年数を最大限に延ばすために、広範なロジスティクス、倉庫、計画、修理の運用ネットワークを通じ、必要に応じて機器や部品を交換、回収、再生しています。各デバイスには修理と頻繁なテストを行い、それらが最新の製造仕様に準拠していることを確認しています。

返品プログラム

返品ポータルは、お客様とパートナーがシスコの返品に関するあらゆる統合情報を検索できるオンラインサイトです。返品プログラムの一部を次に示します。オプションの包括的なリストについてはポータルを参照してください。

お客様とパートナー向けプログラム

  • 移行インセンティブ:このグローバル パートナー プログラムでは、お客様が運用する、シスコまたは競合他社の環境が新しい技術または高度な技術に移行されるときに、新しいシスコ製品の価格に段階的なディスカウントを適用しています。ディスカウントは、お客様が、交換したハードウェアを、責任を持って廃棄、再利用、リサイクルを行うシスコに返送することに同意した場合にのみ適用されます。
  • 無償での使用済み製品の集荷と返品:動作可能な機器をニーズや拠点に応じてシスコに返品する複数のオプションをお客様に提供します。たとえば、Send IT Back アプリや を使用できます。動作しない機器の場合、カスタマー リサイクル ソリューション(CRS)を利用できます。これは、シスコブランドと、シスコが買収した企業のリサイクル対応機器に重点を置いたもので、使用済みハードウェアを簡単、安全、持続可能な方法で無償で返品できます。

シスコ製品を製造または修理する企業向けプログラム

  • 製造業廃棄物/再利用プログラム:シスコのこのプログラムでは、契約製造業者、製造パートナー、OEM(相手先ブランド製造業者)、ODM(相手先ブランド設計製造業者)、独占所有権を持つ部品サプライヤから、過剰な資材、古い資材、破損した資材を収集し、調整と再展開を行っています。
  • グローバルスクラップ:シスコの契約修理メーカーと流通拠点で生じるリサイクルニーズへの対応を行っています。

社内プログラム

  • eBin プログラム:シスコの社内プログラムの中でも最大規模のプログラムは eBin/Lab です。eBin とは緑色のキャスター付きごみ箱(場合によっては大型の段ボール箱)で、これらを世界中のラボやシスコのオフィスに置き、持ち主不明、使用済み、テスト用といった機器の回収とリサイクルを行っています。コロナ禍によってシスコオフィスへのアクセスが制限された 2021 年度の eBin プログラムでは、従業員が簡単なフォームで無料の集荷を申請して、自宅の電子オフィス機器をリサイクルできるようにしました。
  • Cisco Data Center Server Recycling:このプログラムは 11 ヵ国のデータセンターで実施されています。データセンターで不要になったサーバーを、他のシスコデータセンターに提供し再利用を検討します。耐用年数に達したサーバーはリサイクル対象となり、すべての部品が細断されます。
  • IT リサイクルの日:シスコでは従業員向けに IT リサイクルの日を毎年開催しています。シスコの従業員と請負業者は廃棄する電子機器(シスコ製品かどうかは問われない)を持参して、シスコの負担でそれらを適切にリサイクルできます。どのシスコオフィスでもリサイクルの日のイベントを開催できます。IT リサイクルの日は、通常、4 月のアースデイまたはその前後に行われます。こうしたイベントを開始した 1995 年以降、シスコの従業員と請負業者は、3,044 トンの使用済み電子機器のリサイクルに貢献しました。2021 年度は、コロナ禍のため、この年次イベントを開催できませんでした。

製品の返品量に影響を与えるさまざまな要因があったにもかかわらず、2021 年度の再利用率、再販率、改修率はほぼ一定であり、埋立処分廃棄物とする資材の割合は減少し続けています。製品の返品量(トン単位)には、電子機器業界向けの資材が全体的に軽量化されていることが反映されています。また、オフィスの閉鎖により社内での返品と再利用が大幅に減少したことや、お客様とパートナーからの返品時に物流上の課題があることなど、コロナ禍の影響も表れています。

製品の返品、再利用、リサイクル
KPI 2019 年度 2020 年度 2021 年度 コメント
KPI製品返品(トン単位) 2019 年度9881 2020 年度10,523* 2021 年度9481 コメント回収、リサイクル、再利用を目的として返品されたすべての資材(製品の RMA を通じて返品されたものを含む)。
KPI修理、再販、再利用率(パーセンテージ) 2019 年度13.14% 2020 年度15.29% 2021 年度14.1% コメントお客様、在庫の回転、社内利用に起因して返品され、Value Recovery グループと Repo Depot グループから Cisco Service Supply、Cisco Refresh、社内ユーザーに再展開される資材。これにより新規購入を回避。
KPI修理、再販、再利用(トン単位) 2019 年度1298 2020 年度1609 2021 年度1336 コメントお客様、在庫の回転、社内利用に起因して返品され、Value Recovery グループと Repo Depot グループから Cisco Service Supply、Cisco Refresh、社内ユーザーに再展開される資材。これにより新規購入を回避。
KPIリサイクル率(パーセンテージ) 2019 年度86.48% 2020 年度84.55% 2021 年度85.82% コメント上記以外のすべての電子廃棄物(プラスチック、貴金属、卑金属など)。これらは、シスコの契約電子廃棄物リサイクル業者が細断しリサイクルする。
KPI返品後、埋立処分廃棄物とした資材(パーセンテージ) 2019 年度0.38% 2020 年度0.16% 2021 年度0.08% コメントリサイクルを目的としてお客様から返品された製品に付随する電子廃棄物以外の資材のみを埋立処分廃棄物として処理する(例:破損パレット、湿った段ボール箱、シュリンク包装)。

*当初過少報告していた 2020 年度のデータの値(トン単位)を修正しました

再利用とリサイクル

シスコにとって再利用は常に最優先事項です。返品された再利用可能なデバイスは、Cisco Refresh によって再生、修復、修理、再販されるか、シスコ サービス オペレーションまたはシスコの社内ラボで使用されます。再利用できない製品は、シスコの認定リサイクル業者が部品を回収し、リサイクルします。

機器の再利用率向上に取り組むと同時に、その機会を拡大するためにマイナスの外的要因にも対処しなければなりません。シスコは、同業他社、非政府組織、政策立案者と共同で、国境をまたぐ場合の廃棄物分類といった、課題や意図しない結果に対処しています。これらが機器の修理に影響を及ぼすこともあるのです。

再利用プログラム

シスコは、返品された製品の状態と適格性を評価しています。その製品が使用可能または修理可能な状態であり、需要があるものであれば、シスコの品質基準を満たすためのテストや修理を行います。シスコでは、データセキュリティを優先し、すべての製品で、再利用前にデータワイプを完了しています。

  • R2A:当社の Return to A-Stock プログラムは配送センターから契約している製造現場に未使用製品を送り、そこで再利用してもらう取り組みです。2021 年度は、このプログラムを 10 サイトから 12 サイトに拡大しました。「未使用」と見なされた返品製品は、テストのために返送され、必要に応じて再構成が行われます。これにより、そうした製品の再利用が可能になるとともに、製造を新たに行わなくても次の需要に対応できます。
  • サービス:シスコサービスでは、サービス契約に従って返品された製品が修理可能かどうかを評価しています。修理可能な製品は、それらを新品と同等に分類、修理、修復するサービス修理ベンダーに配送されます。修理が完了すると、それらの製品はサービスロジスティクスの倉庫に出荷され、サービス RMA の際に他のお客様やパートナーに先行交換部品として提供されます。これにより、常に、交換部品をお客様の近くに戦略的に配置して、RMA 対応の効率性を最大化し、輸送による排出量を最小限に抑えられます。
  • Cisco Refresh:シスコの認定再生製品には、シスコの保証とサービスオプションが、新製品と同様に適用されます。機器はシスコ認定リセラーを通じて、70 ヵ国以上で販売されており、スイッチング、ルーティング、ワイヤレス、IP テレフォニー、セキュリティや、その他の高度な技術など、あらゆるテクノロジー分野の製品が用意されています。
  • Repo Depot:Repo Depot プログラムでは、米国内でシスコが使用するラボ機器を回収して再配送しています。過去 3 年間(2019 〜 2021 年度)に 40,000 以上の品目を再配布しましたが、これは 2,300 万米ドル(推定)のコスト削減に相当し、シスコの一連のリサイクル対応によって約 44,000 ポンド(22 トン)の機器が再利用されたことになります。

リサイクルプログラム

シスコの最大の目標は、可能な限り多くの資材を再展開することです。この取り組みには、有用な部品のリサイクルと回収も含まれます。現在、2 社の電子廃棄物リサイクル業者に業務を委託していて、各リサイクル業者が自社と下請業者両方の施設を使用して、世界規模でリサイクル処理を行っています。シスコの契約リサイクル業者は、R2R2 RIOSeStewardsWEEELABEX など、1 つ以上の電子廃棄物リサイクル基準の認定を取得済みです。

さらに、シスコの契約では、厳格なリサイクルプロプロセスを正式に文書化しており、リサイクル業者は、シスコの業務を行う下請業者とともにそのプロセスを実施しなければなりません。また、シスコでは、対象の処理業者にシスコ機器を配送する前に、各業者とリサイクル場を承認しています。

各委託リサイクル業者は、対応中と対応済みのすべての案件について、ロットベースで詳細を示す月次レポートをシスコに提出しています。レポートには物質収支が記載されており、これによって、受領時の総重量と、その内訳となる分別された有用部品の重量がわかります。シスコは、四半期ごとにリサイクル業者とビジネスレビューを行い、最近の成果、対応が必要な事項、今後の重点領域を確認しています。また、リサイクル施設のランダムなサイト監査も実施しています。

受領した資材を計量後、リサイクル業者はどのような部品を回収可能かどうかレビューします。たとえば、回収の対象となるのは、回収、クリーニング、梱包、再販のコストを差し引いても、十分な市場価値を得られるプロセッサ、メモリなどのハードウェアです。回収した部品を再販するには、その前に、NIST 800-88 標準に従ってデータを消去する必要があります。

回収した機器には、リサイクル処理が行われます。まず、大量の電子廃棄物をそれぞれ解体し、「細かい有用部品」に分類します。これにより、スチール、アルミニウム、厚紙、プラスチック、ワイヤやケーブル、プリント回路基板(PCB)などに分別します。PCB はさらに細かく分別され、銅、パラジウム、銀、金を回収する専門の製錬所に送られます。こうした金属は、世界の金属市場で販売されます。

バッテリや梱包材といったその他の資材はすべて、新製品の原材料として使用されるため、下流のリサイクル業者に送られます。

シスコが製品リサイクル拠点を持つ国々

WEEE 適合性

シスコは、拡大する電気電子機器廃棄物(WEEE)の法規制をグローバルに監視し、WEEE 指令などの製品リサイクル規制を遵守しています。製品に、ばつ印が付いた「ごみ箱」のマークを表示し、電子機器をごみ箱に捨てるのではなく、再利用やリサイクルを行うことを促しています。

EOL プロバイダーの 14001 要件

シスコの Global eScrap Management Aspect Test(SMAT)では、すべての ISO 14001 シスコオフィスの目標を設定することが義務付けられています。これらの目標を、シスコの EMS と Environmental Aspect Management で特定した重要な環境的側面に従って設定することで、環境保護、公害防止、継続的な改善を推進しています。2016 年度当初の目標は、最初の処理の後に埋立処分廃棄物とする資材の割合を 0.48% 未満にすることでした。2019 年度には、SMAT チームがその目標を 0.38% に引き下げました。埋立処分廃棄物とする資材の削減を引き続き目指していますが、リサイクル業者が受け取る資材の管理に限りがあるため、今年度の埋立処分廃棄率の目標は 0.38% が維持される見込みです。

コラボレーション

シスコが参画している循環型経済イニシアチブと組織
組織 連携している分野
組織CDP IT 業界コラボレーショングループ 連携している分野非営利団体である CDP は投資家、企業、都市、国家、および地域が環境に及ぼす影響に対処するための世界規模の開示システムを運用しています。シスコではこの CDP に年次レポートを提出しています。シスコは、IT 業界コラボレーショングループを通じて、CDP および複数の同業社と連携し、期待値を明確化するとともに、サプライヤに共同トレーニングを提供しています。
組織CENELEC 連携している分野シスコは、欧州の標準化団体である CENELEC と共同で、循環型設計の標準化に取り組んでいます。
組織循環型電子機器パートナーシップ(CEP) 連携している分野シスコは、7 つの組織(GeSI、Green Electronics Council、ITU、PACE、Responsible Business Alliance、World Economic Forum、WBSCD)と同業他社からなる複数の関係者と積極的に連携し、循環型電子機器バリューチェーン実現を目指す共通のビジョンとロードマップを確立しています。
組織Digital Europe 連携している分野シスコは、ヨーロッパのデジタル変革業界を代表する業界団体である Digital Europe のメンバーであり、EU の ICT インパクト調査に業界からの情報提供を率先して行うとともに、Sustainable Products Initiative と Digital Product Passport イニシアチブに参加しています。
組織Ellen MacArthur Foundation(EMF) 連携している分野シスコは EMF の設立パートナーであり、EMF のメンバーとして、メンバー同士のつながり、トレーニング、知識の共有を引き続き活用しています。
組織ETSI 連携している分野シスコは ETSI と積極的に連携しています。ETSI は、ヨーロッパの電気通信、放送、ならびにその他の電子通信ネットワークおよびサービスを対象に標準化を行っている組織です。シスコは、欧州委員会の指令に関連する資材効率の標準化に携わり、安全なデータ削除とサーバーのエネルギー指標に関する取り組みを主導しています。
組織国際電気通信連合(ITU)(全世界) 連携している分野シスコは、ICT と気候変動に関する ITU-T SG5 WP2 で研究会を主導する立場として貢献しています。循環型経済については、標準「ITU-T L.1023: Assessment method for circular scoring」を共同編集し、L.GDSPP(グローバルかつ持続可能なデジタル製品パスポート)に貢献しています。
組織Reuse, Refill, Replace Single-Use Plastics(PR3)とのパートナーシップ 連携している分野シスコは PR3 のスポンサーを務めています。PR3 は業界を超えたイニシアチブであり、消費者とバリューチェーン全体に、経済、社会、環境上の利益をもたらす再利用システムを構築し、使い捨ての梱包材をなくすことを目指しています。
組織Platform for Accelerating the Circular Economic(PACE)Capital Equipment Coalition 連携している分野シスコは、PACE の関連プロジェクトである Capital Equipment Coalition(循環型資本設備産業の発展に重点を置く 9 社で構成)のメンバーとして積極的に活動しています。連立メンバーは、ベストプラクティスを共有するとともに、2018 年に立てられた、企業の誓約の達成状況を把握します。
組織Product Attribute to Impact Algorithm(PAIA) 連携している分野シスコは複数のステークホルダで構成される ICT コンソーシアムのメンバーであり、参加各社は PAIA プラットフォームで業界標準の情報提供を行っています。MIT と Quantis の共同イニシアチブであるこのプラットフォームでは、ICT 製品による環境フットプリントを合理化する方法を提供しています。
組織Responsible Business Alliance(RBA) 連携している分野RBA の創立者であり、正会員でもあるシスコは、RBA の同業者と協力し、循環型経済などに関連するベストプラクティスを業界とサプライチェーン全体に広めています。
組織Reverse Logistics Association(RLA) 連携している分野シスコは、製品回収やリバースロジスティクスのグローバル業界団体である RLA で、ダイアモンドメンバーとしてアドバイザリボードを務めています。

シスコが参加しているサプライ チェーン サステナビリティ イニシアチブと組織の詳細については、こちらからご確認いただけます。

シスコの循環型設計の原則

素材の使用:リサイクルした素材を製品に取り入れ、再生できない素材の使用を減らし、資源の枯渇リスクを考慮して素材を選択します。

標準化とモジュール化:部品や筐体の標準化とモジュール化を図り、サプライチェーンを簡素化し、再利用および修理、再生、リサイクルを実現します。

梱包材と付属品:リサイクルされた梱包材や再生可能な梱包材を使用し、発泡スチロールやプラスチックの利用を減らし、繊維素材を基本とする設計に移行し、使用されない付属品をなくし、梱包方法を効率化します。

スマートなエネルギー消費:動作状況に応じた電力および電源の管理機能で製品のエネルギー効率を改善します。

分解、修理、再利用:性質の近い素材を使用した取り外しが容易な部品を製品設計に取り入れ、再利用および修理、再生、リサイクルを推進します。