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スコープ 3 の GHG 排出

シスコの GHG 排出の大半は、シスコのサプライチェーン、製品の使用、その他の間接的な排出源に起因しています。

シスコはバリューチェーン全体で環境フットプリントを測定し、改善すべき領域に優先順位を付けています。スコープ 3 の排出量はシスコのサプライチェーンと事業運営、製品、ソリューション全体にわたる幅広い活動が対象となります。ここから最も重要な領域である、影響について説明します。スコープ 3 の排出量に関するその他の情報は、2020 年の CDP 投資家質問書の質問 6.5 への回答で確認できます。

以下の表は、スコープ 3 の排出量の概要を示したものです。まずは表の数値を理解する上で重要な注意事項をご確認ください。

  • 現在スコープ 3 のいくつかのカテゴリの計算方法に改良を施している段階。そのため該当カテゴリの数値はプロセスの改善に伴って変更される見込みです。
  • スコープ 3 のカテゴリの中で重要度の高い排出量については、見出しの一番上の列に設定されているリンク先のセクションで詳しく説明します。
  • シスコの会計年度は 8 月から翌 7 月にかけてであるため、2021 年度が終わるのは 2021 年 7 月末になります。
  • CDP のサプライチェーンの取り組みの一環で毎年夏に GHG 排出を報告している企業は、データがある前会計年度のデータを提出します。シスコの場合は 2021 年度のデータがまだないため、2021 年夏の時点の 2020 年度のデータ(「CDP 2021」)が報告書に使用されます。スコープ 3 の排出量を報告している他の企業についても、同様のずれが生じる場合があります。
  • CDP 2022 質問書の炭素に関する事項への回答について、以下の表の数値は 2021 年度の全データ(またはサプライチェーンの排出量に関する CDP 2021 のデータ)が反映されるように更新予定です。
2019 ~ 2021 年度のスコープ 3 排出量
排出カテゴリ CDP の回答評価状況 2019 年度(トン単位の CO2 相当量) 2020 年度(トン単位の CO2 相当量) 2021 年度(トン単位の CO2 相当量)
排出カテゴリスコープ 3 カテゴリ 1:購入した製品とサービス CDP の回答評価状況関連あり、算出済み 2019 年度(トン単位の CO2 相当量)6,380,871 2020 年度(トン単位の CO2 相当量)5,422,482 2021 年度(トン単位の CO2 相当量)1 年遅れ1
排出カテゴリスコープ 3 カテゴリ 2:資本財 CDP の回答評価状況関連あり、算出済み 2019 年度(トン単位の CO2 相当量)(カテゴリ 1 に包括) 2020 年度(トン単位の CO2 相当量)(カテゴリ 1 に包括) 2021 年度(トン単位の CO2 相当量)(カテゴリ 1 に包括)
排出カテゴリスコープ 3 カテゴリ 3:燃料およびエネルギー活動(スコープ 1 または 2 に含まれないもの) CDP の回答評価状況関連あり、算出済み 2019 年度(トン単位の CO2 相当量)39,080 2020 年度(トン単位の CO2 相当量)36,478 2021 年度(トン単位の CO2 相当量)34,539
排出カテゴリスコープ 3 カテゴリ 4:輸送、配送(上流) CDP の回答評価状況関連あり、算出済み 2019 年度(トン単位の CO2 相当量)492,545 2020 年度(トン単位の CO2 相当量)421,152 2021 年度(トン単位の CO2 相当量)381,440
排出カテゴリスコープ 3 カテゴリ 5:事業から出る廃棄物 CDP の回答評価状況関連あり、算出済み 2019 年度(トン単位の CO2 相当量)779 2020 年度(トン単位の CO2 相当量)1080 2021 年度(トン単位の CO2 相当量)531
排出カテゴリスコープ 3 カテゴリ 6:出張 CDP の回答評価状況関連あり、算出済み 2019 年度(トン単位の CO2 相当量)217,500 2020 年度(トン単位の CO2 相当量)88,939 2021 年度(トン単位の CO2 相当量)973
排出カテゴリスコープ 3 カテゴリ 7:雇用者の通勤 CDP の回答評価状況関連あり、算出済み 2019 年度(トン単位の CO2 相当量)83,396 2020 年度(トン単位の CO2 相当量)47,973 2021 年度(トン単位の CO2 相当量)4575
排出カテゴリスコープ 3 カテゴリ 8:リース資産(上流) CDP の回答評価状況該当なし、説明あり 2019 年度(トン単位の CO2 相当量)  2020 年度(トン単位の CO2 相当量)  2021 年度(トン単位の CO2 相当量) 
排出カテゴリスコープ 3 カテゴリ 9:輸送、配送(下流) CDP の回答評価状況関連あり、算出済み 2019 年度(トン単位の CO2 相当量)74,463 2020 年度(トン単位の CO2 相当量)52,418 2021 年度(トン単位の CO2 相当量)52,479
排出カテゴリスコープ 3 カテゴリ 10:販売した製品の加工 CDP の回答評価状況該当なし、説明あり 2019 年度(トン単位の CO2 相当量)  2020 年度(トン単位の CO2 相当量)  2021 年度(トン単位の CO2 相当量) 
排出カテゴリスコープ 3 カテゴリ 11:販売した製品の使用(製品のエネルギー効率) CDP の回答評価状況関連あり、算出済み 2019 年度(トン単位の CO2 相当量)19,675,170 2020 年度(トン単位の CO2 相当量)18,426,615 2021 年度(トン単位の CO2 相当量)17,272,636
排出カテゴリスコープ 3 カテゴリ 12:販売した製品の廃棄(製品寿命) CDP の回答評価状況関連あり、算出済み 2019 年度(トン単位の CO2 相当量)7575 2020 年度(トン単位の CO2 相当量)7580 2021 年度(トン単位の CO2 相当量)9129
排出カテゴリスコープ 3 カテゴリ 13:リース資産(下流) CDP の回答評価状況該当なし、説明あり 2019 年度(トン単位の CO2 相当量)  2020 年度(トン単位の CO2 相当量)  2021 年度(トン単位の CO2 相当量) 
排出カテゴリスコープ 3 カテゴリ 14:フランチャイズ CDP の回答評価状況該当なし、説明あり 2019 年度(トン単位の CO2 相当量)  2020 年度(トン単位の CO2 相当量)  2021 年度(トン単位の CO2 相当量) 
排出カテゴリスコープ 3 カテゴリ 15:投資 CDP の回答評価状況該当なし、算出済み 2019 年度(トン単位の CO2 相当量)2019 年度に妥当性をスクリーニング済み、重要でないと判断2 2020 年度(トン単位の CO2 相当量)2019 年度に妥当性をスクリーニング済み、重要でないと判断2 2021 年度(トン単位の CO2 相当量)2019 年度に妥当性をスクリーニング済み、重要でないと判断2

1 提供可能な最新年のデータを報告しています。サプライチェーンの CDP データの準備状況の都合により、1 年遅れのデータとなります。

2 スコープ 3 のフットプリントの 0.01%

スコープ 3 の削減戦略

全スコープ(1 ~ 3)の排出量を 2040 年までにネットゼロにするため、製品の使用や事業運営、サプライチェーンにおける排出量の削減を推進します。製品におけるエネルギー使用とサプライチェーンのスコープ 3 の排出量に関するシスコの戦略には、次の重点分野があり、これらを基に構築されます。

  • 革新的な製品設計で製品のエネルギー効率を継続的に向上させる。
  • サプライヤの活動コミュニティを含め、再生可能エネルギーの使用を全世界で推進する。
  • シスコ製品の製造段階における輸送と材料を最適化し、広義の事業範囲におけるエネルギー効率を向上させる。
  • 製造、コンポーネント、物流の各サプライヤと協働して GHG 削減目標を管理報告し、対前年比でパフォーマンスの改善に影響力を発揮する(詳細は、サプライヤの GHG 排出削減の取り組みを参照)。

スコープ 3 に関係するサプライチェーンの事業運営

シスコや幅広いエレクトロニクス産業がコンポーネントを提供し、機器を組み立て、テストを行った上で最終的に製品を出荷するという流れが成り立っているのは、世界中のサプライヤの存在があってのことです。そのような構造から、シスコの GHG フットプリントの大部分はサプライチェーンによる排出が相当量を占めています。シスコでは自社のサプライチェーンにおける重大な影響を把握するため、説明責任と報告に関する世界的なフレームワークと業界標準を採用しています。

シスコは CDP サプライチェーンプログラムの一員として、シスコとの間で重要なビジネス関係を持ち直接取引のあるすべてのサプライヤに対し、CO2 の影響を CDP に報告することを求めています。さらにスコープ 3 のカテゴリ 1 およびカテゴリ 4 の GHG 排出は、サプライチェーンに関連するスコープ 3 の GHG 総排出量目標の範ちゅうに含まれます。

スコープ 3 カテゴリ 1:購入した製品とサービス

このスコープ 3 のカテゴリには、直接的および関節的な調達の両方における、原材料調達から製造までの排出量が含まれます。直接的な調達の範ちゅうには、Tier 1 および Tier 2 の製造、コンポーネント、倉庫サプライヤからの配分 GHG 排出が含まれます。排出量の配分は、サプライヤが報告した全世界でのスコープ 1 およびスコープ 2 の GHG 排出に占めるシスコの財務上の割合を基に決定されます。排出量の大部分は、下位コンポーネントの製造と、製品の最終テストの実施に使用される電力に関連するものです。さらに、拡張環境入出力モデルを使用して上流への影響も徹底して試算しています。

サプライチェーンの総量による削減目標の一環として、シスコは Tier 1 および Tier 2 の製造、コンポーネント、倉庫の各種サプライヤと協働して総量による排出目標を設定し、その達成に向けて活動しています。2030 年度までにサプライチェーンの排出量を 30% 削減するには、このような取り組みが不可欠です。

IT アウトソーシングによる GHG 排出:DCaaS、IaaS、SaaS

これらの排出量を個別に計算し、サードパーティのサービスプロバイダーに IT 負荷をアウトソーシングする場合の影響を示します。これらの排出量はスコープ 3 の「購入した製品とサービス」の計算に含まれます(カテゴリ 1)。シスコはオンプレミス、コロケーション型の Data Center as a Service(DCaaS)、Infrastructure as a Service(IaaS)、Software as a Service(SaaS)などの IT サービスを調達しています。シスコが管理するデータセンターのオンプレミスでの排出量は、GHG 排出の年次レポートの一環として計算しています。ただし現在はより多くの IT サービスをコロケーション型のデータセンター施設やクラウド(サービスとしてのプロバイダー)に移行しつつあります。この IT アウトソーシングへの移行は、2019 年にシスコの最高情報責任者によって承認されました。シスコはクラウドリソースへの移行の一環として、今後 5 年以内にオンプレミスのデータセンターの数を 30% 削減することを目指しています。

スコープ 3 の排出量を計算するにあたっては、温暖化ガスプロトコルに関する指針(バージョン 1.0)を使用して DCaaS や IaaS、SaaS の使用に関する GHG 排出を試算しています。IaaS の計算にはパートナーから提供を受けた施設レベルのデータを使用しました。シスコは公式の収益報告、CDP に報告したスコープ 1 および スコープ 2 の GHG 排出、各パートナーに対する支出を基に DCaaS および SaaS の GHG 排出を計算して、自社の排出割合を試算しました。年間収益と CO2 排出量の情報を入手できない場合は、CO2 排出原単位の平均値とプロバイダーへの支出を基に排出割合を試算します。

3 つの情報源はいずれも対象期間がわずかに異なるため、矛盾がないように一致させるのは難しさもありますが、シスコとしては適切な数値と考えています。以下の表は DCaaS、IaaS、SaaS の排出量を示したものです。

IT サービスのアウトソーシングによる GHG 排出
KPI 2020 年度1 2021 年度
KPIIT のアウトソーシングによるスコープ 3 の GHG 排出(拠点ベース、トン単位の CO2 相当量) 2020 年度136,086 2021 年度55,902
KPIIT のアウトソーシングによるスコープ 3 の GHG 排出(市場ベース、トン単位の CO2 相当量) 2020 年度118,034 2021 年度24,513

1 2020 年度の数値はデータ収集の変更に基づいて更新されています。

スコープ 3 カテゴリ 2:資本財

スコープ 3 の資本財の排出量は、スコープ 3 のカテゴリ 1「購入した製品とサービス」の一部に含まれています。このカテゴリでは資本財からの排出量を計算するにあたって支出ベースの手法を用い、拡張環境入出力モデルを使用して設備投資からの排出量を試算しました。

スコープ 3 カテゴリ 4:輸送、配送(上流)

このスコープ 3 のカテゴリは、サプライチェーンの絶対削減目標に含まれています。このカテゴリには、報告年度にシスコが直接購入した輸送サービスと流通サービスからの GHG 排出が含まれています。排出量の大部分は、シスコの製造と流通のネットワーク内で製品とサービスを提供する際に使用する航空輸送に関連するものです。

シスコが負担する外部向け輸送で生じる排出量は、「カテゴリ 4、輸送、配送(上流)」(GHG プロトコルに準拠)に含まれています。

スコープ 3 カテゴリ 6:出張

シスコは、スコープ 3 に関連して、出張による排出量を引き続き CDP に報告します。現在、その計算方法の精度を高めており、更新後の情報は 2022 年度に公開します。スコープ 3 の出張による排出量は、コロナ禍の影響を受け、通常年度の予想量よりも約 99% 減少しています。

出張とテレワークに起因する GHG 排出削減

リモートコラボレーションの技術により、シスコもお客様も、飛行機での出張や通勤による排出量を削減できています。シスコのコラボレーション ソリューションについては、オンラインの情報をご覧ください。こうした技術は、排出量の削減だけでなく、従業員の生産性向上、ワークライフバランスの促進、顧客との関係構築にも役立っています。

飛行機での出張をなくし、リモートでのコラボレーションを行うには、技術以外にも必要なものがあります。シスコのビジネスプロセス、管理プラクティス、文化にも変化が求められたのです。コラボレーション技術が、シスコ、お客様、パートナーの企業で、頻繁に利用されるようになったため、以前は例外的であったリモートでのやり取りが当たり前のものになりました。

他の従業員、顧客、パートナーといった関係者との Webex 会議を開いたりそれらに参加したりすることが、電話の利用と同じくらい一般的になりました。シスコでは、Cisco TelePresence と Webex を使用して、仮想の株主総会、経営幹部によるレビュー、全員参加の部門会議を実施しています。

コロナ禍前には、世界の約 3 分の 1 の ISO 14001 サイトで、シスコのリモート コラボレーション ソリューションを利用して監査が行われましたが、2021 年度には、すべての監査が仮想的に行われました。実世界でのこのような経験が、製品開発の促進と、支援的な管理業務の展開推進につながっています。リモートコラボレーション技術の導入は成熟しているため、前回の CSR レポートに記載していた導入メトリックは追跡していません。

スコープ 3 カテゴリ 7:雇用者の通勤

シスコは、2018 年度に完了した最新の従業員通勤調査を使用して、2020 年度の従業員の通勤に起因する排出量を推定しました。従業員の通勤によるスコープ 3 の排出量は、2020 年度から 2021 年度にかけて大幅に減少しました。これは、コロナ禍において義務付けた在宅勤務に従業員の大半が従ったことによります。

スコープ 3 カテゴリ 9:輸送、配送(下流)

シスコが費用を負担しない(そのためカテゴリ 9 に分類される)出荷の割合は、シスコの過去の出荷データに基づいて推定しています。この比率を使用して、シスコが負担する出荷を対象に計算した排出量から、シスコが負担しない出荷による排出量を推定します。シスコが負担する出荷は、カテゴリ 4 に分類され、その計算は活動と支出に基づく方法で行われます。

スコープ 3 カテゴリ 11:販売した製品の使用(製品のエネルギー効率)

販売済み製品の GHG 排出は、スコープ 3 の排出量計算の指針となる温暖化ガスプロトコル(バージョン 1.0)に基づいて算出しています。シスコの販売済み製品は、使用中にエネルギーを直接消費するため、直接的な使用段階での排出に分類されます。シスコでは、製品のエネルギー消費量、販売済み製品の数(会計年度内)、製品の予想寿命を使用して、販売済み製品の使用によって生じる総 CO2e を推定しています。シスコ製品の寿命は製品ごとに異なるため、5 年という控えめな平均値を想定しています。実際には、製品の種類に応じて 2 年から 15 年のいずれかに該当します。過去 4 年間で生じた、製品のエネルギー消費量を考慮して、過去の年間推定値を現在の年間推定値に含めています。

次の表に、販売済み製品の使用による GHG 排出を示します。コロナ禍で生じた製造上の制約によって、2021 年度の電力量と GHG 排出は減少しました。

販売済み製品の使用により生じる推定 GHG 排出の合計
KPI 2019 年度 2020 年度 2021 年度
KPI販売済み製品の使用により生じるスコープ 3 の GHG 排出(トン単位の CO2 相当量) 2019 年度19,675,170 2020 年度18,426,615 2021 年度17,272,636

ステークホルダの参画と標準の開発

シスコは、政府、規制機関、規格開発組織と連携することで、新製品のエネルギー効率の要件と標準の開発を監視し、そうした開発に影響を与えています。製品エネルギー効率を標準化できれば、パフォーマンスや、製品の機能に加え、客観的基準、実世界のデータ、システムレベルの効率性などに基づいて、イノベーションを推進できます。予測可能な要件を設定することで、最も関連性の高い環境問題に重点を置くことも可能です。

エコ設計の基準や規制の多くは通常、システム全体のフロントエンドに位置する電源でエネルギー変換が生じる単一ポイントに適用されます。シスコは、エネルギー消費の広範な研究を支援しています。そうしたシステムアプローチを取ることで、将来のネットワークエネルギーを公正かつ的確に効率化できます。たとえば、Alliance for Telecommunications Industry Solutions(ATIS)の Telecommunications Energy Efficiency Ratio(TEER)にそうしたアプローチが採用されています。この測定方法は、特定用途向け集積回路(ASIC)など、システムのフロントエンドからデータ転送用ケーブルに至る、あらゆる電力変換と配電の部分に適用できます。

これらの ATIS TEER 規格によって策定されたフレームワークにより、製品機能を考慮して製品のエネルギー使用量を測定できるようになりました。こうした基準では、実際の負荷に基づいて製品全体のエネルギー効率を判断します。この点は非常に重要です。なぜなら、この仕組みにより、シスコのような企業が、エネルギー使用の設計が製品世代間でどのように改善されたかを比較できるからです。消費者も、十分な情報を得た上で購入を決めることができます。ATIS TEER 規格は、米国の通信機器に適用される Network Equipment Building System(NEBS)の設計ガイドラインにも採用されています。NEBS とは、通信機器に適用される最も一般的な安全性、空間、環境の設計ガイドラインであり、こうしたガイドラインへの準拠は、業界の要件とされます(ただし、法的要件ではありません)。

シスコが積極的に連携しているエネルギー効率関連のイニシアチブと組織
組織 連携している分野
組織米国電気通信産業ソリューション連合(ATIS) 連携している分野シスコは ATIS の Sustainability in Telecom:Energy and Protection Committee(STEP)にメンバーとして積極的に参加しており、他のメンバー組織と連携して、通信業界に関連する規格を開発しています。
組織Digital Europe 連携している分野シスコは、ICT が与える影響を評価する ICT 研究で問題提起を主導しています。
組織欧州委員会共同研究センター、行動規範(Code of Conduct) 連携している分野シスコは、EU のブロードバンド通信機器のエネルギー消費(Energy Consumption of Broadband Communication Equipment)に関する行動規範にメンバーとして署名し、積極的に活動しています。

急速な技術開発とサービス提供に支障を与えることなくブロードバンド通信機器のエネルギー消費を削減するという意欲的な目標が設定されています。
組織電子製品環境評価ツール(EPEAT) 連携している分野シスコは、IEEE および NSF インターナショナルと連携し、エネルギー効率に配慮したサーバー規格の開発に取り組んでいます。諮問委員会のチームメンバーも務めており、サーバー向けの EPEAT プログラムに積極的に参加しています。
組織欧州電気通信標準化機構(ETSI) 連携している分野シスコは、ETSI と連携し、エネルギー効率の規格を開発しています。

シスコが主導する ETSI サーバー規格の EN303470 では、2 ソケットと 4 ソケットサーバーにおける、高い効率性とアイドル状態のメトリックや、高温でのテストが定義されています。

DEN/EE-EEPS47-2 でもシスコが中心となり、セキュアなデータ削除機能の要件への準拠を検証しています。これには、機能の使用方法、使用する手法、サポート対象のセキュアなデータ削除規格などが含まれます。
組織国際電気通信連合(ITU)(全世界) 連携している分野シスコは ITU-T SG5(研究会)に貢献しており、管理チームの副議長も務めています。

また、L.GDSPP(製品デジタルパスポート)と L.NetZero でも重要な役割を果たしています。
組織米国エネルギー省(DOE)、環境保護庁(EPA) 連携している分野シスコは EPA と連携して、ネットワーク機器(SNE、LNE、電話関連機器、サーバー)の ENERGY STAR 規格を定義しています。また、EPA/DOE の技術部門であるローレンスバークレー国立研究所、Navigant(National Resources Defense Council(NRDC))、Ecova とも測定方法やメトリックの定義で協力を行っています。

製品のエネルギー効率向上

製品のエネルギー効率向上により、シスコの 2 つの重要な課題を解決できます。1 つ目の課題は、今後 5 〜 10 年を見据えて設定した製品パフォーマンス仕様の達成には、「エネルギーの拡張性」を備えたアーキテクチャが必要であることです。こうしたアーキテクチャなら、さまざまなトラフィックタイプ、トラフィックの需要、顧客の使用、インストールなどに適したエネルギー効率の高いサービスを提供できます。2 つ目の課題は、製品の使用が、スコープ 3 で最大の GHG 排出源となっていることです。これらに対処するために、シスコは、5 つの主要な製品エネルギー効率エンジニアリング イニシアチブに投資しています。製品のエネルギー消費の改善に最も大きな効果をもたらすと考え、これらのイニシアチブを選択しました。

  • 電力イニシアチブ:シスコは製品における電源からポートまでの電力効率改善に努めており、2018 年度の初めにその目標を設定しました。具体的には、大規模なラックマウント機器システムの電力効率(施設、基板実装 ASIC、メモリ、その他のチップデバイスで生じる入力電力を測定)を 2022 年度までに 77% から 87% に改善します(2016 年度基準)。この目標の詳細については、その発表に関するブログ記事を参照してください。ASIC のコア電圧が低下しても同じ電力を供給するには、電流を増やさなければなりません。この大電流により、プリント回路基板(PCB)の伝導損失が増加し続け、システムの電力効率が全体的に低下します。この課題に対処するために、より多くの導電性資材を使用して PCB やその他のコンポーネントの抵抗を全体的に低減する方法を引き続き検討しています。また、変換損失をさらに最小化するために、変換効率に優れた技術とコンポーネントを調査し、それらに適応しています。これにより、システム全体の効率向上だけでなく、システムから排出される熱量の削減も可能になります。
  • 冷却イニシアチブ:一般的に使用されている強制空冷システムで、高性能の次世代製品を冷却するには限界があります。そのため、シスコでは、液体や冷媒によるその他の冷却方法を模索しています。これにより、冷却専用製品の消費電力を削減できます。現在そうした液体や冷媒を利用した方法は技術的には実現可能ですが、実装するには、お客様の施設をアップグレードし、これらの冷却方法と適切に統合しなければなりません。必要に応じて、液体や冷媒による冷却の使用を推奨しますが、これらが広く普及するまでは、高度な熱技術の開発と、従来の強制空冷の最適化を行うことで、製品の発熱を抑制します。
  • 高速相互接続と ASIC のイニシアチブ:半導体チップ間の高速接続や、半導体チップと光媒体間の高速接続は、ルーティングとスイッチングのシステムに不可欠な技術です。厳しいスループット(または帯域幅)要件下では、システム全体の消費電力のうち相互接続の占める割合がきわめて大きくなります。しかし、光ファイバが進歩したため、以前の世代と同等またはそれ以下の電力消費で、相互接続の帯域幅を拡大できます。前世代の ASIC パケット処理技術では、大量の電力が消費されていました。完全に再設計された Cisco Silicon One ASIC アーキテクチャは、従来の ASIC 技術の 2 倍の効率性を実現し、Gbps から Tbps の高速化を 1 つの ASIC で可能にします。Silicon ONE によるエネルギー削減の詳細については、こちらのブログをご覧ください。
  • お客様施設イニシアチブ:シスコは電力ソリューションを提供し、お客様と共同で IT 施設の電力量削減に取り組んでいます。このソリューションにより、たとえば、架空送電の効率化、降圧変圧器使用の回避、統合冷却戦略の実現が可能になります。また、こうしたエンドツーエンド ソリューションによって、ハードウェア要件とエネルギー消費を削減し、IT インフラストラクチャ管理の連携を強化できます。シスコのお客様環境では、特定のデータセンターに供給できる総電力量に限りがあります。そのため、各機器のワット数に加え、シスコ製品の電力効率の最大化がますます重要になっています。データセンターで現在使用されている入力電圧は AC 208 V または AC 239 V、もしくは DC 48/60 V ですが、最も効率的な電圧は AC 277 V または DC 380 V です。しかし、安全上の懸念から、DC 380 V 入力電圧の採用は少なくなっています。こうした懸念を軽減しようと、シスコはお客様と協力して、コネクテッド ビルディング アプリケーションに統合可能な障害管理型電源システムの設計と実装を行い、電気インフラストラクチャの将来的な構築コストを削減しています。その他にも、施設でのエネルギー消費をさらに削減するために、スマート HVAC システムによる冷却システムの改善を提案しました。これについてのドキュメントは、Technical Disclosure Commons でご覧いただけます。
  • 電源イニシアチブ:電源は、製品を使用するときにエネルギーが最初に失われる場所であるため、製品のエネルギー効率を管理する上できわめて重要な役割を果たします。こうした損失をなくすために、シスコでは、高エネルギー効率の選択肢を用意できるように取り組んでおり、可能な限り、80 Plus Platinum または 80 Plus Titanium 規格の電源をお客様に提供しています。これにより、コスト重視のお客様は Gold や Silver などの低規格を、また、総エネルギー使用量の削減に関心を持つお客様は高規格の電源を選択できます。シスコが昨年開発した新しい電源設計の 50% 以上で、Platinum 以上の規格を満たすためのテストが実施されました。このイニシアチブには、AC 200 〜 277 V または DC 240/380 V の AC/HVAC/HVDC に対応する広範な AC と DC 入力の電源開発も含まれています。これらの設計により、従来の低入力 AC 電圧または高効率の高電圧を使用する、AC と DC の両方に対応できるようになります。お客様環境で DC 380 V への移行が始まったら、この入力電圧に最適化した電源を開発します。外部電源については、最新の米国エネルギー効率規格に従って、DOE6 に準拠した製品を出荷しています。

シスコでは、製品のエネルギー効率を評価する際に、システム全体の電力性能を考慮し、電流が各コンポーネントまたは機能を通過するときの効率を測定しています。こうした測定対象には、外部電源ユニット(PSU)、中間バスコンバータ(IBC)、POL(Point of Load)、ASIC、メモリ、その他のチップなどが含まれます。

製品の電力効率向上(大型ラックマウント機器)
KPI 2016 年度(基準年) 2017 年度 2018 年度 2019 年度 2020 年度 2021 年度
KPIシステムの電力効率(%)
目標:大規模なラックマウント機器システムのエネルギー効率(基板実装 ASIC、メモリ、その他のチップデバイスに施設から投入される電力を測定)を 2022 年度までに 77% から 87% に改善する(2016 年度基準)
2016 年度(基準年)77% 2017 年度80% 2018 年度82% 2019 年度85% 2020 年度85% 2021 年度85%

スコープ 3 カテゴリ 12:販売した製品の廃棄(製品寿命)

このスコープ 3 のカテゴリは、サプライチェーンの絶対削減目標に含まれていません。これは、製品の重量と、出荷するすべての製品および梱包材の想定資材構成(年度ごと)に基づいて計算されます。寿命となった時点でリサイクルされるシスコ製品と梱包材の割合は、EPA が公表した資材固有の過去のリサイクル率を使用して推定しています。リサイクルされない資材は、埋立処分廃棄物と見なされます。また、このカテゴリの排出フットプリントは、DEFRA が公表したリサイクルと埋立処分廃棄物に関する資材固有の排出係数を使用して決定しています。