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環境管理システム

シスコが環境面において重視しているのは、気候変動の問題とシスコの事業経営およびサプライチェーン、製品における GHG 排出の削減ですが、同時に循環型の設計やライフサイクル管理プログラムを通じて、シスコ製品による影響を低減するために尽力しています。シスコは公表した目標の達成に向けてこの取り組みを進め、その進捗状況を年次の実績レポートで測定します。

シスコでは 4 つの重要な情報を使用して、環境に及ぼす影響の優先順位付けと管理を行っています。それがシスコ ESG の重要性評価製品ライフサイクル管理(LCA)環境に関する方針への取り組み、そして ISO 14001 環境管理システム(EMS)です。

環境に関する方針

シスコは環境に関する企業方針の中で、シスコの環境パフォーマンスを継続的に改善していくための高度な枠組みを定めています。また、この 10 年間で環境に対する取り組みの指針となる一連の方針を策定しました。これらの方針によってシスコは企業としての価値観を表明し、意思決定を示しています。この方針における優先事項は次のとおりです。

  • シスコは環境に対する影響を排除または軽減できるよう継続的に取り組み、シスコの事業、広義の事業範囲(サプライチェーン)、製品のライフサイクル全体で環境への悪影響に対処するよう努めています。
  • シスコは今後も世界全域の事業、広義の事業範囲、すべての製品に一貫して環境に関する方針を取り入れるために尽力します。
  • 外部の認定を受けた ISO 14001 環境管理システムによって環境への取り組みを管理します。
  • シスコは多様なアプローチで環境の問題に取り組みます。エネルギー管理や GHG 排出、製品と梱包材、水、生物多様性と土地利用、事業廃棄物、廃液、非 GHG 排出などもシスコの EMS が対処する範囲に含まれます。
  • シスコは規範を示します。サプライヤから活動への協力を取り付けることが、取り組みの成功を支えます。サプライチェーンに求める環境要件は文書化して入手できるようにし、年次の CSR レポートやレポートアーカイブで提供します。
  • シスコはさまざまな意見に耳を傾けます。地球のエコシステムは複雑であり、お客様や従業員、支援団体、学界などのステークホルダから学ぶことは数多くあります。
  • 重要なアナリストや支援団体の存在を把握し、強固な関係性を築くことで、一貫性があり中立的な外部の指標による環境パフォーマンスの測定が可能になります。
  • 2 年ごとに実施する ESG の重要性評価で、重要度の高い環境トピックを把握します。詳細については、「ステークホルダの参画と ESG の重要性」をご覧ください。
  • 曖昧な点のない公的目標を掲げ、改善を推進し説明責任を果たします。現在の環境目標については「シスコが現在取り組んでいる環境目標」を、以前の環境目標の一覧については「達成済みの目標」をご覧ください。

ISO 14001 環境管理システム

シスコの ISO 14001 環境管理システム(EMS)は、CSR プログラムのすべての機能と側面に関わるグローバルフレームワークです。個人の説明責任や管理責任、主要業績評価指標(KPI)の測定、および継続的な改善の原理に基づいてビジネス目標と環境目標を達成し、環境パフォーマンスを高めます。

シスコの EMS は TUV SUD America 社 の審査を受け、国際的な EMS 規格である ISO 14001: 2015 に認定されています。EMS 認定証は写しをダウンロードしていただけます。この EMS 認定を取得、維持することをシスコに求めているお客様の数は、近年ますます増えています。

シスコでは以下の基準に即して、自社サイトの中から ISO 14001 認定を受けるサイトを選定しています。

  • 施設の規模と研究エリア
  • 建物に収容可能な人数または従業員数
  • 施設の主要機能

上記の基準は環境へのマイナスの影響を軽減し、プラスの影響をもたらす可能性が高いサイトであることを重視しています。サイトを選定したら、次はその影響度を評価します。この分析には企業の機能分野、サイトに関連する製品、活動、またはサービス、原材料の製造または使用に伴う環境への影響、大気および水への影響、天然資源の枯渇などが含まれます。この情報から環境スコアを算出し、その結果を基に施設や問題にさらに優先順位を付けます。各サイトは固有の目標を追求するだけでなく、シスコが企業として掲げる優先事項に従って持続可能性にも配慮しています。シスコは認定基準に照らして既存のサイトと獲得したサイトを継続的に評価し、ISO 14001 の認定ロードマップに取り入れることで事業上のニーズと顧客のニーズ両方に対応しています。次の表はシスコが所有する世界各地の ISO 14001 認定サイトの所在地を、地域ごとに整理したものです。

シスコの ISO 14001 認定サイトの所在地
アメリカ地域 ヨーロッパ、中東、アフリカ、ロシア(EMEAR) アジア太平洋、日本、中国、インド(APJCI)
アメリカ地域
  • アルファレッタ(ジョージア州)
  • オースティン(テキサス州)
  • ボックスボロー(マサチューセッツ州)
  • フルトン(メリーランド州)
  • ハーンドン(バージニア州)
  • カナタ(カナダ)
  • ニューヨーク(ニューヨーク州)
  • リサーチ トライアングル パーク(ノースカロライナ州)
  • リチャードソン(テキサス州)
  • サンノゼ(カリフォルニア州)
  • トロント(カナダ)
ヨーロッパ、中東、アフリカ、ロシア(EMEAR)
  • アムステルダム(オランダ)
  • ベッドフォントレイクス(英国)
  • ブリュッセル(ベルギー)
  • デュッセルドルフ(ドイツ)
  • ゴールウェイ(アイルランド)
  • クラクフ(ポーランド)
  • ネタニヤ(イスラエル)
  • パリ(フランス)
  • レディング(英国)
  • ヴィメルカーテ(イタリア)
アジア太平洋、日本、中国、インド(APJCI)
  • バンガロール(インド)
  • 北京(中国)
  • 香港(中国)
  • ノースシドニー(オーストラリア)
  • 上海(中国)
  • シンガポール(シンガポール)
  • セントレナーズ(オーストラリア)
  • 東京(日本)

取り組みの範囲と実践

買収の一環として取得したサイトもシスコの環境に関する方針および取り組みの対象に含まれています。そのため 14001 認定済みとして監査を受ける場合があります。次の表は ISO 14001 認定の KPI を示したものです。

シスコ環境管理システムの ISO 14001 認定
KPI 2017 年度 2018 年度 2019 年度 2020 年度 2021 年度
KPIISO 14001 認定を取得したサイト数 2017 年度30 2018 年度32 2019 年度32 2020 年度31 2021 年度30
KPIISO 14001 認定を取得した不動産ポートフォリオの割合 2017 年度>90%1 2018 年度>90%1 2019 年度>90%1 2020 年度>90%1 2021 年度>90%1

1 不動産ポートフォリオの高い割合で認定を受けるという目標を達成しました。今後も認定基準を満たすサイトが 90% 以上という水準を維持していきます。

シスコは独自の EMS プロセスによって環境に最も重大な影響を及ぼす要素を把握し、各サイトでのリスク評価に基づいて妥当性のある企業目標と地域目標を設定します。ISO 14001 認定を受けた全サイトには環境面に取り組むチームがあり、各チームから環境パフォーマンスを測定するための目標、具体的な取り組み、測定方法について報告を受けます。地域の取り組みは、可能な場合は企業レベルのプログラムと一致するように設定されています。

地域ごとの環境テーマチーム
テーマチーム グローバルチーム アメリカ地域 EMEAR3 APJCI4 合計
テーマチーム廃棄物の削減とリサイクル グローバルチーム  アメリカ地域6 EMEAR37 APJCI49 合計22
テーマチーム電子廃棄物管理1 グローバルチーム アメリカ地域12 EMEAR310 APJCI42 合計24
テーマチームエネルギー管理2 グローバルチーム アメリカ地域0 EMEAR32 APJCI49 合計11
テーマチームグリーンイニシアチブ/環境意識 グローバルチーム  アメリカ地域6 EMEAR35 APJCI40 合計11
テーマチーム排水管理 グローバルチーム  アメリカ地域1 EMEAR30 APJCI40 合計1
テーマチーム地域ごとの合計 グローバルチーム  アメリカ地域25 EMEAR324 APJCI420 合計69

1 このチームはサイト独自の活動と目標に加えて、会社レベルのグローバル目標にも取り組んでいます。

2 小規模サイトで運用されるこのチームの活動内容には、従業員エンゲージメント、エネルギー管理、電子廃棄物管理、
廃棄物の削減とリサイクル、地域の「グリーン」活動が含まれるのが一般的です。

3 欧州、中東、アフリカ、ロシア。

4 アジア太平洋、日本、中国、インド。

企業としてのシスコのサステナビリティ活動はシスコの認定 EMS の一環として、シスコが年に 1 回実施している内部監査および外部監査の対象となります。この取り組みを通じて企業の主要な環境パフォーマンス目標や取り組み、測定方法を社内で追跡管理できます。

シスコの EMS は循環型経済や GHG 排出、廃棄物、エネルギー管理プログラムと密接に連動し、持続可能性に関する情報の管理に対応しています。このことは持続可能性に関するデータの収集を自動化し、環境負荷の低減プロジェクトの評価や導入など、重要度の高い他のタスクにリソースを集中させるのに役立っています。EMS の内部監査を行うことで、シスコの環境プロセスや公約がどのように進められているかや、認定サイトでの EMS の改善状況を適切に把握することができます。こうした監査の頻度は、サイトの規模やそのサイトでの事業活動、前年の監査結果などの基準に応じて異なります。内部監査も外部監査もともに、2021 年度末の時点で完全にオンライン上で実施されています。シスコは ISO 14001 認定の一環として、サードパーティのレジストラによる年次監査に参加しています。この監査では改善の余地やパフォーマンスを把握するとともに、シスコの EMS プロセスとプログラムを対象に外部機関の検証と有効性の確認を受けます。

シスコはサードパーティのレジストラによる ISO 14001 認定の外部監査を、試験的にオンラインで実施しました。過去 3 年間にサイトを対象として実施された年次の外部監査では、少なくともその 1 か所以上でシスコのテクノロジーを活用したオンライン監査が行われています。内部監査もオンラインで完結しており、移動に伴う温暖化ガスの排出削減に寄与しています。

環境プログラムと環境テーマチームはコロナ禍への対応として、在宅勤務やさまざまな段階からなる世界各地での職場復帰に合わせて必要な調整を行うために、その活動や測定方法、目標の定期的な見直しを続けています。中には従業員と接点を持ち信頼関係を築くための画期的な方法を開発したチームもありましたが、それ以外のチームでは全社的な IT リサイクルの日のような実地活動のために、スケジュールやプログラムを調整する必要がありました。

2021 年度の内部監査および外部監査では、ISO 14001 認定 EMS に対して肯定的な評価を 21 件を獲得し、2 件がベストプラクティスとして認められました。肯定的な評価は、主にベンダーの管理とエンゲージメントの向上に関連する取り組みで獲得したものです。具体的には、従業員グリーンコミュニケーション、環境パフォーマンスの向上、優れた環境目標、化学物質の管理ツールの強化、ツールおよびコミュニケーションの画期的なデジタル化、コロナ禍での緊急対応、持続可能性に配慮して日常業務を適合させる取り組みなどがあります。ベストプラクティスの取り組みは全世界に広がっており、中には次のような取り組みがあります。

  • ある拠点でのごみ箱を交換する計画ではプラスチック製ごみ箱 140 個の削減とスチール製ごみ箱の一元管理モデルの確立を実現し、廃棄物の分類および分別に関する従業員向けのガイダンスが改善されました。
  • ある拠点に導入した浄水システムによってボトル入り飲料水を購入する必要がなくなり、サイトのコスト削減につながりました。

シスコの年次 CSR レポートで提示される環境関連の数値はすべて、ISO 14001 の内部監査チームにより年次の ISO 14001 内部監査計画の一環である監査の対象となり、ボトムアップ方式の綿密な監査が数日にわたって行われます。有効なデータを報告するには、有効性を確認するプロセスが重要になります。また有効性を確かめることは必要な是正措置を把握するのにも役立ちます。2020 年の CSR レポートで提示された環境関連のすべてのデータは、シスコの内部監査プロセスを通じて無事に監査を終え、その有効性が確認されました。2021 年の CSR レポートで扱われる環境関連のすべてのデータは、2022 年度に ISO 14001 の内部監査チームの下で監査を受けます。

環境コンプライアンス

シスコはこの 5 年間で環境に関わる多額の罰則金(定義は 10,000 米ドル以上とする)を課されたこともなければ、環境に関わる法規制に違反したことによる金銭以外の制裁措置を受けたこともなく、環境への影響に関して苦情を申し立てられたという話もありません。

クリーンな収益

「クリーン」または「グリーン」であると見なされる年間収益の割合を定量化するよう求めるステークホルダは年々増えていて、計算方法に盛り込むべきと考えられている基準もステークホルダによりまちまちです。コーポレートナイツ社が提供する Clean Taxonomy バージョン 4.0 の手法では、「クリーンな収益は、明確な環境的メリットや社会的メリット(明確に定義された限られたケース)をもたらすような、あらゆる商品やサービスから得た企業収益を測定する。クリーンエネルギーへの移行、低炭素経済、循環型経済の収益分野から得た収益も、クリーンな収益の中に含まれる」と定義しています。

コーポレートナイツ社のグリーンな収益の算出には以下の収益が使用されています。

  • 環境関連の認定を取得している製品(例:ENERGY STAR、EPEAT)。
  • Webex、Cisco Virtual Office、Meraki Virtual Office などのコラボレーション製品。
  • リサイクル品または再生品。
  • エネルギー消費を抑え、製品寿命を延ばすソフトウェアおよびサービス。

シスコはコーポレートナイツ社の Clean Taxonomy バージョン 4.0 を基に、2020 年度の収益の 61% をクリーン(グリーン)と見なすことができると判断しました。この 2020 年度の数値は、シスコが通常行っている環境報告の周期からは 1 年遅くなっていますが、コーポレートナイツ社からの求めに応じて本年(2021 年度)の報告期間中に提出したデータです。

FTSE のグリーンな収益の分類システムの定義 2.0 では、グリーンな収益は「環境に対する有用性が高く、気候変動や天然資源の制約、および環境の悪化に起因する問題に対する防止、回復、適応に寄与できる製品およびサービスから得られる収益」と定められています。

シスコはこの FTSE の分類システムに基づいて、2020 年度の収益の 30% をグリーンと見なすことができると判断しています。FTSE のグリーンな収益の算出には以下の収益が使用されています。

  • Webex、Cisco Virtual Office、Meraki Virtual Office などのコラボレーション製品。
  • Cisco ONE Enterprise Cloud Suite などのプライベートクラウドおよびハイブリッドクラウド ソリューションを企業や官公庁のお客様に提供する製品。
  • シスコ スマート グリッド ソリューションを提供する製品(Cisco Connected Grid ネットワーク管理ソリューションを含む、電力事業でコンバージド スマート グリッド通信ネットワークを管理するのに役立つ製品)。
  • サービスとしてのインフラストラクチャ向け Cisco Powered Cloud Service、サービスとしてのデスクトップ Cisco Powered ソリューションなどのクラウドサービス。

ステークホルダが自己申告によるグリーン(クリーン)な収益の数値を挙げている企業を比較する際は注意が必要です。解釈の余地のあるフレームワークが複数あるため、報告内容の有効性を検証するには難しさがあります。

ライフサイクルアセスメント

シスコはライフサイクルのすべての段階で、製品が環境に与える影響を考慮しています。ライフサイクルアセスメント(LCA)では影響が及ぶ複数のカテゴリにわたって、原材料調達から廃棄に至るまでのライフサイクル全体に関わる環境面での影響をモデル化することで、どのように製品関連の優先順位を付けるかを検討する際に重要となる情報を得られます。

シスコの LCA では、GHG プロトコルで定義されている製品ライフサイクルの会計報告標準ISO 14040:44 規格に準拠)における、製品ライフサイクルの 5 つの段階を採用しています。

  • 材料の入手と前処理
  • 製造
  • 輸送(物流と保管)
  • 使用
  • 廃棄

現在シスコではお客様と規制当局の関心が向けられている製品の地球温暖化係数(GWP)を重視しています。GWP 関連の影響を評価すると、製品を使用するライフサイクルの段階が最も GHG 排出が多いことが判明しています。レポートでは材料の入手と前処理に製造段階での影響が組み合わされて 1 つの数値として報告されます。

LCA アプローチを構築するにあたっては、複数の外部のツールとデータソースを取り入れています。分析には thinkstep 社の GaBi、SimaPro、Product Attributes to Impact Algorithm(PAIA)という 3 つの LCA ツールを使用しています。外部のデータソースには国際エネルギー機関(IEA)、英国のビジネス・エネルギー・産業戦略省、温暖化ガスプロトコル、Ecoinvent 3.7(または最も関連性の高いバージョン)、GaBi Support Extension DB XI:エレクトロニクスなどが含まれます。

評価では PAIA によって LCA を合理化しています。PAIA を用いる手法では、プリント基板(PWB)の面積や製品重量などの製品属性を GWP の影響に関連付けることで製品の CO2 排出量(PCF)を試算します。外部ツールを使用することには利点がありますが、一般的に徹底した LCA には大量のリソースが必要です。そのうえポートフォリオの製品数が多いことから、すべての製品のライフサイクル管理を徹底的に実施するのは現実的ではありません。PAIA の合理的なアプローチは分析にかかる時間を短縮するのに効果的ですが、データベースの内容を考慮するとこのアプローチを適用できるのはサーバー、ストレージ製品、ネットワークスイッチに限られます。

ステークホルダの間では、シスコが販売する製品の CO2 排出量の試算を求める声が高まり続けています。シスコは ISO 14040 における LCA の主要な機能の定義に沿って、結果として得られた最終的な数字を把握するのではなく、「製品のライフサイクルのさまざまな段階で製品の環境パフォーマンスを改善できる余地を把握」します。「各調査の前提条件とコンテキストが同等」でない限り、LCA の結果を比較するのは避けるのが無難ですが、前提条件は非公開であることが多いため、さまざまな製品の LCA や PCF の試算を比較することは推奨されません。

自社製品の PCF を試算するために、過去の LCA の結果と IEA の最新の排出係数を使用して GWP の影響を見積もる方法を開発しました。このアプローチと併用して対象製品に PAIA を適用することで、製品ポートフォリオ全体の推定 PCF を提示できるようになります。

2021 年度末には過去に完了済みの LCA に加え、ビデオ エンドポイント デバイスの Webex Desk Pro を対象とした初の LCA も完了しました。以下の円グラフは、Webex Desk Pro の製造段階における環境負荷の分布を示しています。気候変動への影響は以下に示すとおりですが、この製品の使用段階における非生物資源の枯渇に対する影響は、微々たるものであることがわかっています。

Webex Desk Pro の製造におけるコンポーネント別または部分組立品別の環境への影響

地球温暖化の潜在的影響力

  • LCD ディスプレイ 49%
  • プリント基板 33%
  • ラック 9%
  • スピーカー 4%
  • 電源アダプタ 2%
  • 梱包材 1%
  • アクセサリキット 1%

非生物資源の枯渇

  • LCD ディスプレイ 16%
  • プリント基板 55%
  • ラック 10%
  • スピーカー 0%
  • 電源アダプタ 2%
  • 梱包材 0%
  • アクセサリキット 16%

LCA を生産から廃棄までのプロセスに対して実施し、Desk Pro が気候変動や原材料調達から廃棄に至るまでのリソース枯渇に及ぼす影響をマッピングしたものです。耐用年数が 5 年という前提で、さまざまな使用例(ホームオフィス、会議室、ハドルルーム)に応じた使用段階の影響を計算しています。また、廃棄による影響については欧州連合の平均リサイクル率に基づいて計算しています。

この結果から、製品ライフサイクル全体で最も多くのエネルギーを消費しているのは、製品を使用する段階であることがわかりました。ただし使用段階で生じる気候変動への影響は、製品を使用する場所によっても、地域の電力網における排出量によっても大きく異なります。Desk Pro の LCD ディスプレイと PCB では、気候変動や資源枯渇に対する影響が最も大きくなるのは製造の段階です。その原因として顕著なのが、エネルギーの消費や基板に使用される金や銅などの素材です。

さまざまなシナリオでの Webex Desk Pro の製造および使用によるライフサイクル全体での気候変動に対する潜在的影響力

この調査では、職場には通勤せずに Webex Desk Pro を使用した場合の気候変動に及ぼす影響の差についても説明を試みています。この分析は世界各地の複数の都市を対象に実施し、職場には通勤せずに在宅で仕事をする場合と、別のオフィスに長距離の移動をする代わりにビデオ会議を行う場合の 2 つのシナリオについて検討しています。この調査結果から、1 ヵ月につき 1 日分の通勤または 1 回分の長距離移動を避けることで、Desk Pro デバイスの使用によって生じる気候全体への負荷を、簡単に相殺できることがわかりました。

シスコはこれまでに IP 電話やブレードサーバーで徹底した LCA を実施してきましたが、現在もさらに多くのポートフォリオの製品を対象に LCA に取り組んでいます。次のグラフは、シスコ製品のライフサイクルにおける影響の詳細を示したものです。

  • シスコ製品のライフサイクル段階別 GHG 排出の内訳
  • 製造段階別の GHG 排出の内訳
  • ブレードサーバーによるライフサイクル段階別の影響(影響の比率)
  • ブレードサーバーの製造におけるコンポーネント別または付属品別の環境への影響

プリント基板(PCB)や集積回路(IC)の製造に必要な銅や金などの貴金属の抽出および加工は、非生物資源の枯渇(鉱物や化石燃料などの非生物資源の調達が難しくなること)を含む、あらゆるカテゴリの環境影響をもたらす主な要因となっています。また、製造用化学薬品の洗浄および冷却の過程を含めたハードドライブの製造プロセスは、それぞれが水資源(ブルーウォーター)の使用とスモッグ発生を促進する主要因となっています。

シスコ製品のライフサイクル段階別 GHG 排出
(総排出量に占める割合)

IP 電話1

  • 使用 81.5%
  • 製造 19.4%
  • 輸送 0.9%
  • 廃棄 -1.8%

ブレードサーバー1

  • 使用 91.2%
  • 製造 9.0%
  • 輸送 0.1%
  • 廃棄 -0.3%

1 元となるデータを四捨五入しているため、数値を合計しても 100% にならない可能性があります

シスコ製品の製造フェーズにおける GHG 排出
(製品コンポーネントタイプ別の GHG 排出の割合)

IP 電話1

  • プリント基板 21%
  • 集積回路 40%
  • ハードディスクドライブ NA
  • 電子部品(その他) 14%
  • 梱包材 2%
  • ラックの材料 17%
  • 組み立てとテスト 4%
  • LCD ディスプレイ 2%

ブレードサーバー1

  • プリント基板 46%
  • 集積回路 24%
  • ハードディスクドライブ 22%
  • 電子部品(その他) 5%
  • 梱包材 2%
  • ラックの材料 1% 未満
  • 組み立てとテスト 1% 未満
  • LCD スクリーン NA

1 元となるデータを四捨五入しているため、数値を合計しても 100% にならない可能性があります

ブレードサーバーによるライフサイクル段階別の環境への影響
(影響全体に対する割合)

地球温暖化の潜在的影響力

  • 使用 91%
  • 製造 9%
  • 輸送 0%
  • 廃棄 0%

一次エネルギー需要

  • 使用 94%
  • 製造 6%
  • 輸送 0%
  • 廃棄 0%

水資源(ブルーウォーター)の利用

  • 使用 79%
  • 製造 21%
  • 輸送 0%
  • 廃棄 0%

富栄養化への潜在的影響力1

  • 使用 77%
  • 製造 21%
  • 輸送 1%
  • 廃棄 0%

酸性化への潜在的影響力1

  • 使用 85%
  • 製造 15%
  • 輸送 1%
  • 廃棄 0%

非生物資源の枯渇

  • 使用 3%
  • 製造 98%
  • 輸送 0%
  • 廃棄 -1%

スモッグ発生への潜在的影響力

  • 使用 66%
  • 製造 34%
  • 輸送 0%
  • 廃棄 0%

1 元となるデータを四捨五入しているため、数値を合計しても 100% にならない可能性があります

ブレードサーバーの製造によるコンポーネント別または部分組立品別の環境への影響
(影響全体に対する割合)

地球温暖化の潜在的影響力

  • プリント基板 46%
  • 集積回路 24%
  • ハードディスクドライブ 23%
  • 電子部品(その他) 5%
  • 梱包材 2%
  • ラックの材料 0%
  • 組み立てとテスト 0%

一次エネルギー需要1

  • プリント基板 52%
  • 集積回路 34%
  • ハードディスクドライブ 1%
  • 電子部品(その他) 7%
  • 梱包 5%
  • ラックの材料 0%
  • 組み立てとテスト 0%

水資源(ブルーウォーター)の利用

  • プリント基板 26%
  • 集積回路 8%
  • ハードディスクドライブ 59%
  • 電子部品(その他) 6%
  • 梱包材 1%
  • ラックの材料 0%
  • 組み立てとテスト 0%

富栄養化への潜在的影響力

  • プリント基板 44%
  • 集積回路 20%
  • ハードディスクドライブ 31%
  • 電子部品(その他) 4%
  • 梱包材 1%
  • ラックの材料 0%
  • 組み立てとテスト 0%

酸性化への潜在的影響力1

  • プリント基板 38%
  • 集積回路 26%
  • ハードディスクドライブ 26%
  • 電子部品(その他) 9%
  • 梱包材 1%
  • ラックの材料 0%
  • 組み立てとテスト 0%

非生物資源の枯渇1

  • プリント基板 39%
  • 集積回路 51%
  • ハードディスクドライブ 0%
  • 電子部品(その他) 9%
  • 梱包材 0%
  • ラックの材料 0%
  • 組み立てとテスト 0%

スモッグ発生への潜在的影響力

  • プリント基板 17%
  • 集積回路 9%
  • ハードディスクドライブ 71%
  • 電子部品(その他) 3%
  • 梱包材 0%
  • ラックの材料 0%
  • 組み立てとテスト 0%

1 元となるデータを四捨五入しているため、数値を合計しても 100% にならない可能性があります

シスコではこれまでにスタンドアロン(シャーシベース)スイッチ、小型アクセスルータ、シャーシ搭載の大型ルータ、ミッドレベルのイーサネットスイッチのカーボンフットプリント(PCF)調査を実施しています。この調査に加えて 2021 年度には、製品のカーボンフットプリントに焦点を当て PAIA ツールにより合理化した LCA も実施しています。その調査結果を示したのが以下の図です。製品のタイプに応じて幅はあるものの、PCF の 75 ~ 95% を占めるのが使用の段階であるという一定の傾向が見られます。これは評価の手法やツールにかかわらずシスコ製品に共通する傾向です。使用や製造の段階と比べると、輸送や廃棄の段階が PCF に及ぼす影響は最小限に抑えられています。

2022 年度は thinkstep GaBi ts を使用して製造段階から GWP の影響を確認する対象製品をさらに拡大する計画です。目標は、すべてのタイプの製品でこうした影響をより的確に試算可能な、拡張性のある手法を開発することです。

PAIA を使用した各種シスコ製品カテゴリのライフサイクル段階別 GHG 排出
(総排出量に占める割合)

デスクトップ型スイッチ

  • 使用 77.1%
  • 製造 17.6%
  • 輸送 5.1%
  • 廃棄 0.2%

1 RU または 2 RU スイッチ

  • 使用 81.2%
  • 製造 16.8%
  • 輸送 1.9%
  • 廃棄 0.1%

2 RU を超えるサイズのスイッチ1

  • 使用 94.4%
  • 製造 4.9%
  • 輸送 0.6%
  • 廃棄 0.0%

1 RU ラックサーバー

  • 使用 79.9%
  • 製造 11.2%
  • 輸送 8.5%
  • 廃棄 0.4%

2 RU ラックサーバー

  • 使用 79.0%
  • 製造 17.6%
  • 輸送 3.2%
  • 廃棄 0.2%

ラインカード

  • 使用 80.5%
  • 製造 18.3%
  • 輸送 1.1%
  • 廃棄 0.1%

1 元となるデータを四捨五入しているため、数値を合計しても 100% にならない可能性があります。

これらの試算は Product Attribute to Impact Algorithm モデルのバージョン 1.3.0(著作権はマサチューセッツ工科大学材料システム研究所をはじめとするパートナーを含む ICT ベンチマーク コラボレーションに帰属)を使用して算出されました。

エコラベル

エコラベルとは、環境への配慮を伝える製品に適用されるマークを意味します。ISO 14020 では、エコラベルを、次のタイプ I、タイプ II、タイプ III のいずれかに分類しています。

  • タイプ I:第三者による認定プロセスを採用し、製品やサービスが事前に選択した一連の基準を満たしているかどうかを検証します。
  • タイプ II:1 つまたは複数の環境に配慮していることを、規定に基づいて自己宣言します。
  • タイプ III:ISO 14040 に基づく一連の既定カテゴリを満たすことを自己宣言します。

該当する場合、シスコ製品は次のタイプ I エコラベルに照らして評価されます。Energy Star と電子製品環境評価ツール(EPEAT)。ENERGY STAR では製品のエネルギー効率が評価され、EPEAT では、次のような、各製品に関連するより広い環境基準と社会的基準を基に評価が行われます。

  • 化学物質の懸念の軽減
  • 気候変動の緩和
  • 企業による環境、社会、ガバナンス(ESG)の成果

シスコは現在、ENERGY STAR 規格の Enterprise Server と Telephones のカテゴリで認定製品を提供しています。「ENERGY STAR Product Finder」では、すべての製品をご確認いただけます。また、EPEAT の Servers カテゴリでも認定製品を提供しています。

さまざまなシナリオでの Webex Desk Pro の製造および使用によるライフサイクル全体での気候変動に対する潜在的影響力

ロンドン ホームオフィス

  • 製造と廃棄:280.56439908
  • エネルギー(待機中):117.1466964
  • エネルギー(使用中):115.05479184
  • エネルギー(データ転送):19.69790382

ロンドン 会議室

  • 製造と廃棄:280.56439851
  • エネルギー(待機中):234.48301349
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ロンドン ハドルルーム

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パリ ホームオフィス

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パリ 会議室

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パリ ハドルルーム

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オスロ ホームオフィス

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オスロ 会議室

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オスロ ハドルルーム

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サンフランシスコ ホームオフィス

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サンフランシスコ 会議室

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サンフランシスコ ハドルルーム

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シドニー 会議室

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シドニー ハドルルーム

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