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気候変動と
スコープ 1 およびスコープ 2 の GHG 排出

シスコは、GHG の事業への影響を軽減するために、エネルギー効率向上と再生可能エネルギーに投資を行っています。

気候変動と GHG 排出はすべてのステークホルダのグループにとって最優先の事項です。シスコにとっても気候変動の問題はリスクに対処するだけでなく、将来の低炭素社会へと移行するために長期的な視点で戦略的に取り組まなければならない事項です。シスコはクラウド、ネットワーキング、ハイブリッドワーク、セキュリティ関連テクノロジーを提供する世界屈指のプロバイダーとしてスケールメリットを活かし、イノベーションを駆使することで、デジタル化の一途をたどる未来を持続可能で再生可能な社会にすることに尽力します。

シスコは気候変動に及ぼす影響への対処として、エネルギー効率化の取り組みや再生可能エネルギーへの投資、サプライチェーンパートナーとの連携、製品のエネルギー効率の向上などを通じてバリューチェーン全体でエネルギー使用量と GHG 排出の削減を進めています。

シスコは 2040 年までにすべてのスコープで GHG 排出のネットゼロ
達成することを掲げています。

GHG 排出目標

2021 年 9 月、シスコは 2040 年までにすべてのスコープで GHG 排出をネットゼロにするという公約を掲げました。2040 年という目標設定は、排出量のネットゼロを達成していなければ気候変動の最悪の影響を避けられないと主要な気候科学者の多くが考える時期よりも、10 年前倒しになっています。シスコのネットゼロ目標は自社製品の使用から事業活動、サプライチェーンまでも包括し、シスコの CO2 排出量全体が対象になっています。ネットゼロの達成に向けたシスコの戦略には次のようなものがあります。

  • 革新的な製品設計で製品のエネルギー効率を継続的に向上させる。
  • 再生可能エネルギーの使用を推進する。
  • ハイブリッドワークを推進する。
  • 炭素除去ソリューションに投資する。
  • 持続可能性と循環経済の原則を導入する取り組みを事業全体で進める。

シスコの目標は、2025 年までに全世界のスコープ 1 およびスコープ 2 の GHG 排出ネットゼロの達成をはじめとする大がかりな短期目標によって支えられています。

この大胆な公約は、排出量目標を 10 年以上にわたって設定しそれを達成し続けているという実績が基盤にあります。シスコの現在および過去のエネルギー目標および GHG 排出目標については、他の環境目標と併せてここにまとめられています

シスコは気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や Science Based Targets イニシアチブ(SBTi)が提示している推奨事項をはじめ、社内のベストプラクティスと専門家の意見に基づいて GHG 排出の削減目標を設定しています。スコープ 1 および 2 の排出量に対する 2022 年度の目標は SBTi の承認を受けており、温度上昇を 2°C を大幅に下回る水準に維持するために必要な削減目標とも一致しています。スコープ 1 および 2 の正味ゼロという 2025 年度の目標と、スコープ 1 ~ 3 の正味ゼロという 2040 年度の目標については、2022 年度に SBTi の承認を得る計画です。

シスコでは通常 5 年単位で公的目標を設定しています。また公的目標の達成に向けて継続的な進展を図るために、社内の年間目標を設定して定期的なレビューもしています。

スコープ 1 およびスコープ 2 の GHG 排出

シスコでは不動産ポートフォリオを対象にした包括的なサステナビリティ戦略を策定しています。この戦略には建物のエネルギー効率の向上、シスコの事業活動で使用する再生可能エネルギーの購入、使用していないスペースの削減または撤去、施設運用における持続可能性の確保などが含まれます。

シスコは 2021 年 9 月に、2025 年までに全世界のスコープ 1 およびスコープ 2 の GHG 排出ネットゼロを達成するという公約を掲げました。この新しい目標は、2040 年までにすべてのスコープで GHG 排出の正味ゼロを達成するという大規模な目標を後押しするためのものであり、以前のスコープ 1 および 2 の目標に基づいて排出量を 2022 年度までに 60% 削減(2007 年度比)することを目標としています。なお、この目標については 21 年度に 60% 削減を実現したことで達成済みです。

2021 年度のスコープ 1 およびスコープ 2 における GHG 排出は 60% 削減(絶対量、2007 年度基準)を達成しています。

2022 年度の間にスコープ 1 とスコープ 2 の GHG 削減を達成し維持するために、シスコでは以下の施策を進めます。

  • 2018 年度から 2022 年度にかけて 4,500 万米ドル以上をエネルギー効率と再生可能エネルギーに投資する。
  • 不動産ポートフォリオ全体で、エネルギー効率とオンサイトの再生可能エネルギー関連のプロジェクトを百件単位で実施する。
  • 電力事業のグリーン電力プログラム、電力購入契約(PPA)、再生可能エネルギー証明書(REC)などの取り組みを通じて再生可能エネルギーの調達を推進する。

現在スコープ 1 および 2 の正味ゼロ目標の達成に向けた 2022 年度から 2025 年度の投資計画を策定中です。この計画は 2022 年度の CSR 報告書で共有予定です。エネルギー消費と GHG 排出の削減と並行して多様な手段によるエネルギー供給を可能にすることは、競争力の維持に役立つだけでなく環境にもメリットがあります。

スコープ 1 およびスコープ 2 の排出に関する戦略の全体像

不動産スペースを効率的に利用する。

不動産事業でエネルギー効率を向上させる。

オンサイトのシステムで低炭素エネルギーを生成し、再生可能エネルギーを購入する。

顧客や従業員を含むステークホルダを巻き込んでシスコの持続可能性戦略に取り組む。

シスコのスコープ 2 における排出量はほぼ電力使用によるもので、スコープ 1 および 2 の排出量の 96% を占めています。そのため、電力使用量を削減し、再生可能エネルギーの使用量を増加させるプロジェクトを実践することが、エネルギーや GHG 削減戦略の主な取り組みということになります。詳細は以下の表を参照してください。

スコープ 1 およびスコープ 2 の GHG 排出の概要1
KPI 2007 年度の基準値 2017 年度 2018 年度 2019 年度 2020 年度 2021 年度 コメント
KPIGHG 総排出量(スコープ 1、トン単位の CO2 相当量) 2007 年度の基準値48,311 2017 年度41,926 2018 年度41,171 2019 年度41,181 2020 年度39,223 2021 年度29,385 コメント2021 年度は新型コロナウイルス感染症の影響で燃料使用が大幅に減少。
KPI拠点ベースの GHG 総排出量(スコープ 2、トン単位の CO2 相当量) 2007 年度の基準値448,950 2017 年度744,929 2018 年度666,708 2019 年度651,331 2020 年度607,969 2021 年度581,117 コメントGHG プロトコルに合わせて「拠点ベース」を使用。再生可能エネルギーの購入は含まない。
KPI市場ベースの GHG 総排出量(スコープ 2、トン単位の CO2 相当量) 2007 年度の基準値402,422 2017 年度223,558 2018 年度205,141 2019 年度187,428 2020 年度163,636 2021 年度149,141 コメントGHG プロトコルに合わせて「市場ベース」を使用。再生可能エネルギーの購入を含む。
KPI市場ベースのスコープ 1 およびスコープ 2 の排出量(収益 100 万ドルあたりのトン単位の CO2 相当量)の原単位 2007 年度の基準値12.9 2017 年度5.4 2018 年度5.0 2019 年度4.4 2020 年度4.1 2021 年度3.6 コメント市場ベースの原単位はシスコのステークホルダの多くが主に使用している運用効率の指標。
KPI一次データのスコープ 2 排出量(パーセント) 2007 年度の基準値96.4% 2017 年度98.0% 2018 年度98.2% 2019 年度97.5% 2020 年度97.7% 2021 年度97.8% コメント 
KPI市場ベースの GHG 総排出量(スコープ 1 およびスコープ 2、トン単位の CO2 相当量) 2007 年度の基準値450,733 2017 年度265,484 2018 年度246,312 2019 年度228,610 2020 年度202,859 2021 年度178,527 コメント 
KPI2022 年度の削減目標に対する進捗率2

目標:シスコのスコープ 1 およびスコープ 2 の GHG 絶対排出量を 2022 年度までに全世界で 60% 削減(2007 年度基準)
2007 年度の基準値基準年 2017 年度41.1% 2018 年度45.4% 2019 年度49.3% 2020 年度55.0% 2021 年度60.4% コメント結果は 2015 年に公開されたスコープ 2 の GHG プロトコルの手法に基づく。シスコの 22 年度の GHG 削減目標は 2017 年 9 月に発表。保証声明書は 2022 年第 1 四半期に公開。

1 シスコの環境指標の報告書ポリシーは基準年と過去 5 年間のデータ、目標、目標に対する進捗状況を示すことを目的としています。

2 GHG プロトコルの新しいスコープ 2 の指針を反映させるために、すべての年のスコープ 2 排出量を調整しています。この新しい指針は 2015 年にリリースされたもので、シスコの最新の数値と、2015 年以前に計算されたスコープ 2 の数値に大きく影響しています。

シスコでは GHG プロトコルの企業会計報告基準を使用してスコープ 1 およびスコープ 2 の排出量を算出しています。スコープ 1 および 2 の排出量は、事業運営上コントロールできる部分に基づいて報告しています。計算はサイト固有の燃料使用量と購入電力量のデータを基に、公表されている排出係数と地球温暖化係数(GWP)を適用して計算しています。詳細は以下の表を参照してください。

追加のプログラムガイダンスとして EPA Center for Corporate Climate Leadership も使用しました。GHG プロトコルの対象となる 7 つの GHG(CO2、CH4、N2O、HFC、PFC、SF6、NF3)のうち、シスコの事業に当てはまるのは 4 つ(CO2、CH4、N2O、HFC)です。生物が発生源となる炭素排出は行われていません。

電力排出係数1
KPI 2007 年度(基準年) 2017 年度 2018 年度 2019 年度 2020 年度 2021 年度 コメント
KPIIEA 排出係数の世界平均(kWh あたりの g 単位の CO2 相当量) 2007 年度(基準年)507.1 2017 年度506.0 2018 年度491.8 2019 年度487.5 2020 年度480.9 2021 年度477.0 コメント最新の 2021 年度報告書には IEA、RE-DISS、EPA GHG の排出係数ハブから入手した最新の係数を使用。過年度については報告書作成時点で入手できた最新の係数を使用。排出係数および GWP 排出源 については脚注を参照。2
KPIシスコの電力排出係数の世界平均(拠点ベース、kWh あたりの g 単位の CO2 相当量) 2007 年度(基準年)437.9 2017 年度447.1 2018 年度407.9 2019 年度404.7 2020 年度391.4 2021 年度383.6 コメント 
KPIシスコの主要データセンターにおける電力排出係数の平均(拠点ベース、kWh あたりの g 単位の CO2 相当量) 2007 年度(基準年)394.7 2017 年度419.5 2018 年度353.9 2019 年度353.6 2020 年度334.4 2021 年度312.6 コメント 
KPIシスコの電力排出係数の世界平均(市場ベース、kWh あたりの g 単位の CO2 相当量) 2007 年度(基準年)392.5 2017 年度134.5 2018 年度125.5 2019 年度116.5 2020 年度105.3 2021 年度98.4 コメント 

1 シスコの環境指標の報告書ポリシーは基準年と過去 5 年間のデータ、目標、目標に対する進捗状況を示すことを目的としています。

2 2021 年度の GHG インベントリでは次のデータベースから入手した排出係数を使用しています。2021 年 IEA 電力情報データベースの 2019 年の IEA 係数、2020 年 RE-DISS の EU 混合残存係数、Center for Corporate Climate Leadership の GHG 排出係数ハブ(2020 年 3 月 9 日修正)。オーストラリア、ブラジル、カナダ、インド、英国の 2021 年国別排出係数については、同国の政府から提供を受けています。2007 年の IPCC 第 4 次評価報告書(AR4)による 100 年の GWP。

シスコは GHG プロトコルのスコープ 2 ガイダンスに従って、市場ベースと拠点ベースのスコープ 2 排出量を報告しており、独立の第三者機関から毎年スコープ 1 および 2 の GHG インベントリの限定保証評価を受けています。この限定保証評価は ISO 14064-3 国際規格に準拠して提供され、CDP 提出物の一部として公開されます。保証声明書はこちらからダウンロードできます。

スコープ 1 および 2 の過去の排出量データは、最新の CDP 調査や以前の CSR レポートで公表された値とは異なる場合があります。これは報告指針の改定や排出係数、買収または売却による調整、評価中に判明した誤りを修正したことで差異が出たためです。

事業運営上のエネルギー使用量の概要
KPI 2007 年度(基準年) 2017 年度 2018 年度 2019 年度 2020 年度 2021 年度 コメント
KPI発電量(GWh 単位) 2007 年度(基準年)0 2017 年度2.6 2018 年度2.6 2019 年度2.2 2020 年度2.4 2021 年度2.4 コメントオンサイトの太陽光発電システムで発電した電力はすべて使用し、販売はしていない。
KPIエネルギー使用量(GWh 単位) 2007 年度(基準年)1239 2017 年度1831 2018 年度1815 2019 年度1788 2020 年度1718 2021 年度1638 コメント 
KPI間接的なエネルギー使用量(GWh 単位) 2007 年度(基準年)1025 2017 年度1656 2018 年度1637 2019 年度1612 2020 年度1556 2021 年度1517 コメント電気はシスコが使用している唯一の間接的なエネルギー源。暖房、冷房、蒸気は購入していない。
KPI直接的なエネルギー使用量(GWh 単位) 2007 年度(基準年)213 2017 年度176 2018 年度178 2019 年度177 2020 年度162 2021 年度121 コメント直接的なエネルギー使用量は、暖房およびバックアップ電源に使用する天然ガス、プロパンガス、ディーゼル燃料の使用量と、シスコの保有車両で使用するレギュラーガソリンおよびディーゼル燃料を合算したもの。
KPI電力使用量(GWh 単位) 2007 年度(基準年)1025 2017 年度1656 2018 年度1637 2019 年度1612 2020 年度1556 2021 年度1517 コメント 
KPI天然ガス使用量(GWh 単位) 2007 年度(基準年)135 2017 年度90 2018 年度90 2019 年度93 2020 年度79 2021 年度56 コメント 
KPI据え付け用ディーゼル燃料使用量(GWh 単位) 2007 年度(基準年)18 2017 年度15 2018 年度21 2019 年度20 2020 年度36 2021 年度10 コメント据え付け用ディーゼル燃料は通常バックアップ電源での発電に使用。
KPIプロパンガス使用量(GWh 単位) 2007 年度(基準年)0.8 2017 年度2 2018 年度2 2019 年度2 2020 年度0.8 2021 年度0.8 コメント 
KPI輸送用燃料の使用量(ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料の組み合わせ)(GWh 単位) 2007 年度(基準年)59 2017 年度68 2018 年度65 2019 年度62 2020 年度46 2021 年度55 コメント輸送用燃料にはシスコの保有車両で使用するレギュラーガソリンとディーゼル燃料、リースのジェット機で使用するジェット燃料が含まれる。
KPI収益単位あたりのエネルギー使用量(収益 10 億ドルあたりの消費電力、GWh 単位) 2007 年度(基準年)35.5 2017 年度37.2 2018 年度36.8 2019 年度34.5 2020 年度34.8 2021 年度32.9 コメント 

ハイブリッドワークと持続可能性

従業員が在宅やオフィス、外出先を使い分けて働くハイブリッドワークの時代がすぐそこまでやってきています。シスコのコラボレーションツールを使用すると出張や通勤の必要性が減り、移動に伴う排出量を削減できるハイブリッドワークが実現します。オフィスのあり方はすでに根本的に変わりました。以前のような形でオフィス内のスペースを使用することはもうないでしょう。パンデミックが発生する前は、オフィススペースの 95% は個人に割り当てられていました。そのような使い方はもう終わりです。オフィスを使用する目的を変えなければなりません。コラボレーションセンター、つまりイベントや共同作業を行ったり、人とのつながりを築いたりするために集まる場所に変える必要があるのです。

イノベーション、コラボレーション、人とのつながり。ハイブリッド環境では、これらの目的をチームが達成できるように最適化された場所へとオフィスを変えることで、最大限に活用できるようになります。オフィススペースの利用方法の見直し、エネルギー効率が高く二酸化炭素排出量の少ない建物の設計。このすべてについて、すでに検討を始めています。働き方、そして自分たちを取り巻く世界に与える影響をシスコは変えようとしているのです。

グリーンビルディング基準

LEED 認定を受けた最初の建物が 2009 年に完成して以来、シスコではグリーンビルディングの基準を不動産に取り込んできました。2021 年度末までに 32 のシスコ施設が LEED や CASBEE、BREEAM、同等のグリーンビルディング認定を受け、現在も 7 つの施設が認定のため監査を受けています。全面的に認定を受けている施設の LEED 認定スペースは 370 万平方フィートに相当します。これはシスコの全世界の不動産ポートフォリオの約 20% にあたります。

認定を予定していない施設でも、標準の職場設計にグリーンビルディング基準の原則を取り入れます。こうした基準を採用することで建物が環境に及ぼす影響を軽減しながら、居住者に健康的で快適な空間を提供できます。

ビル、ラボ、データセンターにおけるエネルギー効率

全世界で約 167 万平方メートル(1,800 万平方フィート)に及ぶ不動産全体のエネルギーと持続可能性に関する取り組みの先頭に立って活動しているのがシスコの Global Energy Management and Sustainability(GEMS)チームです。このチームは現在 5 か年にわたる 4,500 万米ドル規模のグローバルプログラム、EnergyOps に取り組んでいます。EnergyOps は 2022 年度までの間、効率性や再生可能エネルギーに関わるプロジェクトを毎年百件単位で実施することを目標に活動しています。GEMS チームにはシスコの従業員と請負のエネルギー管理者が参加しています。管理者の主な責任範囲は次のようになっています。

  • シスコの全世界における電力に関する予算および契約の管理。
  • エネルギー効率の向上やオンサイトの再生可能エネルギープロジェクトなど、需要側と供給側両方のエネルギーソリューションの特定と導入。
  • 持続可能性と効率性の基準を建物、ラボ、データセンターの設計標準として導入。
  • シスコのすべての不動産プロジェクトにおける効率を高める案の調査と評価。
  • リソース節約の取り組みに関する従業員への働きかけ。

GEMS チームは 2021 年度に 24 件のエネルギー効率化プロジェクトを実施し、6.6 GWh のエネルギー消費と
CO2 相当量 2700 トンの排出を防ぎました。

GEMS チームは 2021 年度に 24 件のエネルギー効率化プロジェクト(再生可能エネルギーの購入やオンサイトの再生可能エネルギーの発電は含まない)に 300 万米ドルを投じ、約 6.6 GWh のエネルギー消費と 2700 トンの CO2 相当量の排出を防ぐことに成功しました。このプロジェクトには以下の取り組みが含まれます。

  • 照明の制御方法の刷新と LED 照明の設置による照明効率の向上。
  • ラボ内の空気の流れを調整し、ホットアイル側およびコールドアイル側の囲い込みを改善。
  • 主要な機械設備と制御システムを後付けし、最適化することで冷暖房システムのエネルギー効率を向上。
  • RTP にある冷却塔の水濾過システムを改善することで熱伝導性を高め、水質を改善し、水質汚染を最小限に抑制。
  • テキサス州とカリフォルニア州で緊急エネルギー需要対応プログラムに参加。
  • 従業員の関与を促す取り組みを継続し、エネルギーの節約に取り組むように推進、教育、奨励。

シスコの試算では、2017 年度以降に実施した 360 を超えるエネルギー効率とオンサイトの再生可能エネルギーに関わるプロジェクトを通じて、約 118 GWh のエネルギーと 52,250 トンの CO2 相当量の排出を防いだことになります。このプログラムによって業務の効率化と購入可能な再生可能エネルギーの量の増加が実現し、じかに 2022 年度の持続可能性に関する目標達成と、2025 年度のスコープ 1 および 2 の目標の策定に貢献しています。

次の表は、2017 年度から 2021 年度にかけて実施された GHG 削減プロジェクトに伴うエネルギー削減量を示したものです。

エネルギーおよび GHG 排出の削減プロジェクト1
KPI 2017 年度 2018 年度 2019 年度 2020 年度 2021 年度
KPI実施したプロジェクトの数 2017 年度103 2018 年度145 2019 年度48 2020 年度44 2021 年度24
KPI年間のエネルギー使用防止量(GWh/年) 2017 年度40.1 2018 年度32.4 2019 年度19.4 2020 年度19.3 2021 年度6.6
KPI推定される年間の CO2 削減量の合計(トン単位の CO2 相当量/年) 2017 年度23,600 2018 年度10,300 2019 年度7100 2020 年度8550 2021 年度2700

1 再生可能エネルギーの購入は含まない

ラボとデータセンター

シスコの事業用電力の約 80% は、ラボとデータセンターの機器の電力供給と冷却に使用されています。これらのスペースのエネルギー効率を高めることは、シスコの事業上の GHG 排出とエネルギーコストを削減する絶好の機会です。削減のための具体的な方法として、ラボの設計の効率化を重視し、有効利用と電力管理に対して合理的なアプローチを実践します。

ラボのグローバル仕様には、新しい高密度設計のラボや改良に対応した効率基準が盛り込まれています。シスコの標準では、新設のラボすべてに世界共通でエアフローの管理が義務付けられており、改修プロジェクトでもこの標準を適用することが推奨されています。ラボ管理者が着手したプロジェクトと同様に、EnergyOps プロジェクトも既存のエアフロー管理や換気、冷却など建物のインフラストラクチャ システムの改善を支えています。

シスコではラボやデータセンターの電力使用量を削減するために、スマート配電ユニットを使用してラボの機器を監視し、仮想マシンを使用することでサーバー使用率を向上させています。シスコのカスタマー エクスペリエンス ラボでは自動化ポッドのチェックイン/チェックアウトシステムを利用してラボの従業員が仮想環境で設定を行い、作業の終了時に機器をリリースできるようにしています。このシステムを活用すれば機器を使用できる人数は最大限まで増やしつつ、各ラボで物理的に必要な機器の数は最小限に抑えられ、ラボで総合的に使用される電力量を削減できます。ラボのチームが別のラボに移動する場合、ラボを使用する人が使わない機器や古い機器を撤去すればスペースや電力、冷房を節約できます。

シスコのデータセンター効率化戦略は設計、使用率、電源管理に重点を置いています。ノースカロライナ州 RTP とテキサス州アレンにあるデータセンターは、最大の負荷をかけた時の電力使用効率(PUE)がそれぞれ 1.41 と 1.35 になるように設計されています。どちらのセンターも環境に配慮した持続可能な設計の機能を数多く取り入れたことで、米国の Green Building Council からエネルギーおよび環境設計におけるリーダーシップ(LEED)の新規建築(NC)でゴールド認定(v2.2)を獲得しています。

シスコのラボとデータセンターで過去数年間に達成した効率面での改善には、次のようなものがあります。

  • エアフローの調整とホットアイル側およびコールドアイル側の囲い込みの改善。
  • バックアップ発電機の抵抗加熱式ヒーターをより効率的なヒートポンプに交換。
  • 既存マシンルームのエアハンドリングユニットに EC ファンを後付けすることで、ファンの回転数をより効率的な速度に変更。
  • 混合モードのウォーターサイド エコノマイザを設置し、年間を通じてフリークーリングの利用率を向上。

また、IT の負荷を主要拠点に移すことで効率も向上しています。機器の設置面積を統合したことで、面積あたりのコストと全体の電力使用量を削減できました。IT アウトソーシングによる GHG 排出については、後のセクション「スコープ 3 カテゴリ 1:購入した製品とサービス」をご覧ください。

電気自動車

シスコはヨーロッパの従業員向けに社用車を保有しており、過去 5 年間にわたってこの車両に関連するスコープ 1 の GHG 排出の削減に取り組んできました。新たに購入した車両の許容 CO2 排出量に制限を設け、可能であれば EV を購入するように勧めています。現在の制限はディーゼル車が 151 g/km、ガソリン車が 160 g/km です(いずれも WLTP 換算)。自動車業界ではより低燃費で環境負荷の少ない車両の投入が続き、電気自動車の台数も増加していることから、シスコはこの値をさらに小さくできることを期待しています。

シスコ社用車に占める EV の割合
  2017 年度 2018 年度 2019 年度 2020 年度 2021 年度
車両総数 2017 年度5950 2018 年度5440 2019 年度4772 2020 年度4620 2021 年度3562
電気自動車の台数 2017 年度420 2018 年度469 2019 年度540 2020 年度773 2021 年度984
電気自動車の割合 2017 年度7.1% 2018 年度8.6% 2019 年度11.3% 2020 年度15.7% 2021 年度27.6%

シスコのサンノゼの本社では、従業員や訪問者が利用できる電気自動車用の充電口を 500 ポート以上用意しています。全世界では 35 か所以上の場所に、720 を超える充電口と 400 を超えるステーションがあります。なお従業員の EV の充電に使用した電力は、スコープ 2 の排出量報告の中に含めています。

再生可能エネルギー

低炭素エネルギーの発電と購入は、シスコの GHG 削減戦略の要です。オンサイトで電力を調達できるプロジェクトが可能であればその方が優先順位は高いものの、場所や予算、スペースなどの制約からオフサイトの電力を利用する方が適していることは少なくありません。シスコは現在再生可能エネルギーの目標を達成するにあたって別途購入の再生可能エネルギー証明書(REC)を使用していますが、シスコの事業拠点で新しい再生可能エネルギーの開発を後押しできるように、電力事業社や再生可能エネルギープロバイダーと協働し、オンサイトとオフサイト両方で再生可能エネルギーへの取り組みを拡大しています。

見込みのあるプロジェクトの見定めと評価の順序

オンサイトでの電力の導入機会

電力事業会社とのグリーン電力契約

オフサイトでの電力の導入機会

REC

オンサイトでの再生可能電力

シスコにはテキサス州、マサチューセッツ州、ノースカロライナ州、インドの 4 か所に 2.9 MW のオンサイトの太陽光発電設備があり、平均 330 万 kWh の電気を発電できます。これはシステムの耐用年数である 25 年間で、年間 1200 トンの CO2 相当量を削減できる計算です。シスコでは引き続きオンサイトに再生可能エネルギーを導入できる新たな機会を窺っており、2022 年度内か 2023 年度内にはノースカロライナ州ローリーとインドに新たに 2 つのオンサイト太陽光発電を導入するプロジェクトを計画しています。

再生可能電力の購入

再生可能エネルギーやその他の低炭素エネルギー源から発電された電力を購入することは、シスコの GHG 削減戦略にとって重要な要素です。米国とヨーロッパでは 2006 年度から再生可能電力を購入しており、さまざまな電力供給事業者とグリーン電力契約を結んで REC を購入しています。

シスコは電力事業者との契約や PPA で調達する再生可能エネルギーの割合を増やす方法を積極的に模索しており、Renewable Energy Buyers Alliance(REBA)を通じてグリーン電力プロバイダーや買い手と連携しているほか、EPA の Green Power Partnership にも参加し、Green Power Top Partner Rankings で安定して高い評価を得ています。

2021 年度には米国、カナダ、ヨーロッパ各国のシスコ所有施設で使用される電力の 100% を、再生可能エネルギー源と REC から購入しました。ノースカロライナ州で発電された 200 GWh の太陽光 REC を調達したほか、Duke Energy 社の Green Rider プログラムに引き続き参加し、リサーチ トライアングル パークのキャンパス向けに調達する地域の再生可能エネルギーの量を増やしました。また、テキサス州オースティンの施設で使用する電力の 100% を地域の風力発電システムから購入するという Austin Energy の Green Choice プログラムにも引き続き参加しました。

インドの 2021 年度の取り組みでは、長期および短期の電力購入契約を新たに締結し、同地での再生可能電力の規模をさらに拡大しています。この購入契約によってインドの再生可能エネルギーによる総電力は、2015 年度には 2% だったのが 66% まで増加しています。シスコはインドで大規模に事業を展開しており、同国の電力業界は化石燃料の使用が大半を占めていることから、こうした投資はスコープ 1 および 2 の排出量削減につながっています。

低炭素エネルギー(再生可能エネルギー)源から調達した電力
KPI 2007 年度
(基準年)
2017 年度 2018 年度 2019 年度 2020 年度 2021 年度
KPI再生可能エネルギー源から調達した電力(GWh 単位) 2007 年度(基準年)110 2017 年度1324 2018 年度1344 2019 年度1344 2020 年度1292 2021 年度1285
KPI再生可能エネルギー目標に対する進捗率
目標:シスコが世界全域で使用している電力の 85% 以上を、2022 年度までに再生可能エネルギーから調達する

保証声明書は 2022 年第 1 四半期に公開。
2007 年度(基準年)11% 2017 年度80% 2018 年度82% 2019 年度83% 2020 年度83% 2021 年度85%
地域別の再生可能資源からの電力使用量
地域 2007 年度
(基準年)
2017 年度 2018 年度 2019 年度 2020 年度 2021 年度
地域EMEAR(欧州、中東、アフリカ、ロシア) 2007 年度(基準年)31% 2017 年度49% 2018 年度62% 2019 年度65% 2020 年度63% 2021 年度62%
地域インド 2007 年度(基準年)0% 2017 年度45% 2018 年度49% 2019 年度52% 2020 年度60% 2021 年度66%
地域米国 2007 年度(基準年)10% 2017 年度100% 2018 年度100% 2019 年度100% 2020 年度100% 2021 年度100%