Cisco IOS 統合ファイル システムの使用
この章では、現在のルーティング デバイスで使用可能なすべてのファイル システムで単一のインターフェイスが使用できる Cisco IOS File System(IFS)機能について説明します。次のものを含みます。
• フラッシュ メモリ ファイル システム
• ネットワーク ファイル システム(TFTP、rcp、FTP)
• その他、すべてのデータ読み取り、書き込み用エンドポイント(NVRAM、実行コンフィギュレーション、ROM、RAW システム メモリ、システム バンドル マイクロコード、X モデム、フラッシュ ロード ヘルパー ログ、モデム、BRI 多重化デバイス(mux)インターフェイスなど)
本章の IFS コマンドの詳細な説明については、『Release 12.2 Cisco IOS Configuration Fundamentals Command Reference 』の「File Management Commands」にある「Cisco IOS File System Commands」の章を参照してください。この章で説明される他のコマンドの資料を検索するには、『 Cisco IOS Command Reference Master Index 』を使用するかオンラインで検索します。
特定の機能がサポートされているハードウェアまたはソフトウェアを識別するには、Cisco.com にある Feature Navigator を使用して機能に関する情報を検索するか、または特定のリリースのソフトウェア リリース ノートを参照してください。詳細については、「 About Cisco IOS Software Documentation 」の章の「 Identifying Platform Support for Cisco IOS Software Features 」の項を参照してください。
URL を使用したファイルのコピー
新しいファイル システム インターフェイスでは、ファイルの位置の指定に Uniform Resource Locator(URL; ユニフォーム リソース ロケータ)を使用します。URL は、ワールドワイド ウェブ上でファイルや位置の指定に広く使用されています。シスコのルータでは、ルータやリモートのファイル サーバにあるファイルの位置の指定に使用できるようになりました。
シスコのルータでは、ファイルやディレクトリの位置を指定するために、コマンド内で URL を使用します。たとえば、ファイルをある位置から他の位置へコピーする場合、 copy source-url destination-url EXEC コマンドを使用します。
ルータで使用される URL の形式は、これまで使い慣れた形式と異なる場合があります。また、ファイルの位置によって、さまざまな形式を使用できます。
URL を使用したファイルのコピーについては、次の項で説明されています。
• ネットワーク サーバ上のファイルの指定
• ローカル ファイルの指定
• URL プレフィクスの使用
ネットワーク サーバ上のファイルの指定
ネットワーク サーバ上のファイルを指定するには、次の形式のいずれかを使用します。
• ftp: [[ // [ username [ : password ] @ ] location ] / directory ] / filename
• rcp: [[ // [ username @ ] location ] / directory ] / filename
• tftp: [[ // location ] / directory ] / filename
location は、IP アドレスまたはホスト名です。 username 変数でユーザ名を指定した場合、 ip rcmd remote-username や ip ftp username グローバル コンフィギュレーション コマンドで指定したユーザ名を上書きします。 password で指定するパスワードは、 ip ftp password グローバル コンフィギュレーション コマンドで指定したパスワードを上書きします。
ファイル パス(ディレクトリとファイル名)は、ファイル転送に使用されたディレクトリからの相対パスで指定します。たとえば、UNIX ファイル サーバでは、TFTP パス名は /tftpboot ディレクトリから始まり、rcp および FTP パスはユーザ名に関連付けられたホーム ディレクトリから始まります。
次の例では、myserver.cisco.com という名前の TFTP サーバ上にある c7200-j-mz.112-current という名前のファイルを指定しています。ファイルは /tftpboot/master というディレクトリ内に位置しています。
tftp://myserver.cisco.com/master/c7200-j-mz.112-current
次の例では、enterprise.cisco.com という名前のサーバ上にある mill-config という名前のファイルを指定しています。ルータは、ユーザ名 liberty とパスワード secret を使用して、FTP でこのサーバにアクセスします。
ftp://liberty:secret@enterprise.cisco.com/mill-config
ローカル ファイルの指定
ルータ上にあるファイルを指定するには、 prefix : [ directory / ] filename という構文を使用します。フラッシュ メモリや NVRAM にあるファイルを指定するために、この構文を使用できます。
たとえば、 nvram:startup-config
は NVRAM 内のスタートアップ コンフィギュレーションを、flash:configs/backup-config はフラッシュ メモリの configs ディレクトリ内にある backup-config という名前のファイルをそれぞれ指定しています。
ファイルではなくファイル システムを参照する場合、 prefix : という形式を使用します。これは、ファイル システム内にあるファイルではなく、ファイル システムそのものを指定する形式です。ファイル システム内のファイルをリストするコマンドや、ファイル システムをフォーマットするコマンドなど、ファイル システムそのものにコマンドを発行する場合、この形式を使用します。
たとえば、slot0: は slot 0 内の最初の Personal Computer Memory Card International Association(PCMCIA; パーソナル コンピュータ メモリ カード国際協会)フラッシュ メモリ カードを指示します。
URL プレフィクスの使用
URL プレフィクスは、ファイル システムを指定します。使用可能なファイル システムのリストは、プラットフォームと操作によって異なります。現在のプラットフォームで使用可能なプレフィクスについて知るには、製品マニュアルを参照するか、 show file systems EXEC コマンドを使用します。ファイル システム プレフィクスは、 表 15 にリストされています。
表 15 ファイル システム プレフィクス
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|
bootflash: |
ブート フラッシュ メモリ。 |
disk0: |
回転式メディア。 |
flash: |
フラッシュ メモリ。このプレフィクスはすべてのプラットフォームで使用可能です。flash: という名前のデバイスを持たないプラットフォームでは、flash: というプレフィクスは slot0: のエイリアスとなります。そのため、すべてのプラットフォームで flash: というプレフィクスを使用してメイン フラッシュ メモリのストレージ領域を参照できます。 |
flh: |
フラッシュ ロード ヘルパー ログ ファイル。 |
ftp: |
FTP ネットワーク サーバ。 |
null: |
コピーで使用する空のコピー先。リモートのファイルを null にコピーすることで、ファイルのサイズを知ることができます。 |
nvram: |
NVRAM。 |
rcp: |
リモート コピー プロトコル ネットワーク サーバ。 |
slavebootflash: |
High System Availability(HSA; 拡張高システム可用性)用に設定されたルータのスレーブ RSP カードの内部フラッシュ メモリ。 |
slavenvram: |
HSA 用に設定されたルータのスレーブ Route/Switch Processor(RSP; ルート スイッチ プロセッサ)カード上の NVRAM。 |
slaveslot0: |
HSA 用に設定されたルータのスレーブ RSP カード上の最初の PCMCIA カード。 |
slaveslot1: |
HSA 用に設定されたルータのスレーブ RSP カード上の 2 枚目の PCMCIA カード。 |
slot0: |
1 枚目の PCMCIA フラッシュ メモリ カード。 |
slot1: |
2 枚目の PCMCIA フラッシュ メモリ カード。 |
system: |
実行コンフィギュレーションを含め、システム メモリを持つ。 |
tftp: |
TFTP ネットワーク サーバ。 |
xmodem: |
ネットワーク マシンから Xmodem プロトコルを使用してファイルを取得する。 |
ymodem: |
ネットワーク マシンから Ymodem プロトコルを使用してファイルを取得する。 |
(注) Maintenance Operation Protocol(MOP; メンテナンス オペレーション プロトコル)のファイル システムとしてのサポートは終了しました。
すべてのコマンドで、ファイル システム名の後にはコロンが必須です。しかし、以前はコロンを必要としなかったコマンドについては、サポートが続けられます。ただし、状況依存ヘルプは使用できなくなります。
パーティション デバイスの URL プレフィクス
パーティション デバイスでは、URL プレフィクスにパーティション番号を含めます。パーティション デバイスのプレフィクスの構文は、 device : partition-number : です。
たとえば、flash:2: はフラッシュ メモリの 2 番目のパーティションを示します。
URL コンポーネント長
表 16 に、さまざまな URL コンポーネントの文字列の最大長のリストを示します。
表 16 URL コンポーネント長
|
|
プレフィクス |
31 |
ユーザ名 |
15 |
パスワード |
15 |
ホスト名 |
31 |
ディレクトリ |
63 |
ファイル名 |
63 |
コマンド内での URL の使用
使用するコマンドによって、使用できるファイル システムは異なります。一部のファイル システムはファイルの送信元になりますが、宛先には使用できません。たとえば、Xmodem では別のマシンへのコピーはできません。また、 format や erase といった操作は、特定のプラットフォーム上の特定のファイル システムだけでサポートされています。
次の項で、コマンド内で URL を使用する方法について説明します。
• コマンドをサポートするファイル システムの判別
• デフォルトのファイル システムの使用
• タブ補完の使用
• ファイル システム内のファイルのリスト
コマンドをサポートするファイル システムの判別
特定のコマンドにどのファイル システムが使用できるかを判別するには、状況依存ヘルプを使用します。次の例で、状況依存ヘルプは copy EXEC コマンドのコピー元として使用可能なのはどのファイルシステムかを表示しています。出力結果はプラットフォームによって異なります。
/erase Erase destination file system.
bootflash: Copy from bootflash: file system
flash: Copy from flash: file system
ftp: Copy from ftp: file system
null: Copy from null: file system
nvram: Copy from nvram: file system
rcp: Copy from rcp: file system
system: Copy from system: file system
tftp: Copy from tftp: file system
デフォルトのファイル システムの使用
ほとんどのコマンドでは、ファイル システムが指定されない場合、ファイルは cd コマンドで指定されたデフォルト ディレクトリ内にあるものと仮定されます。
1 -rw- 4720148 Aug 29 1997 17:49:36 hampton/nitro/c7200-j-mz
2 -rw- 4767328 Oct 01 1997 18:42:53 c7200-js-mz
5 -rw- 639 Oct 02 1997 12:09:32 foo
7 -rw- 639 Oct 02 1997 12:37:13 the_time
20578304 bytes total (3104544 bytes free)
1 -rw- 2725 <no date> startup-config
2 ---- 0 <no date> private-config
3 -rw- 2725 <no date> underlying-config
129016 bytes total (126291 bytes free)
タブ補完の使用
コマンド入力時の文字数を減らすため、タブ補完を使用できます。ファイル名の最初の数文字を入力してから、Tab キーを押します。その文字があるファイル名だけに一致する場合、ルータがそのファイル名の入力を補完します。通常通りコマンドの入力を続け、Enter キーを押してコマンドを実行します。
次の例では、ルータが startup-config というファイル名の入力を補完しています。nvram: ファイル システム内で「s」で始まるファイルは 1 つだけであるためです。
Router# show file info nvram:s<tab>
Router# show file info nvram:startup-config<Enter>
文字を入力せずにタブ補完を使用すると、ルータはファイル システム内の最初のファイルを使用します。
Router# show file info nvram:<tab>
Router# show file info nvram:private-config<Enter>
ファイル システム内のファイルのリスト
多くのコマンドでは、状況依存ヘルプを使用して、ファイル システム内のファイルのリストを表示できます。次の例では、ルータは NVRAM: 内にあるファイルをリストしています。
Router# show file info nvram:?
nvram:private-config nvram:startup-config nvram:underlying-config
ファイル システムの管理
ファイル システムを管理するには、次の項で説明されている作業を実行します。
• 使用可能なファイル システムのリスト
• デフォルト ファイル システムの設定
• 現在のデフォルト ファイル システムの表示
• ファイル システム上のファイル情報の表示
• ファイルの表示
使用可能なファイル システムのリスト
各プラットフォームですべてのファイル システムがサポートされているわけではありません。現在のプラットフォームで使用可能なファイル システムをリストするには、次の EXEC モード コマンドを実行します。
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|
Router> show file systems |
現在のプラットフォームで使用可能なファイル システムをリストします。このコマンドは、各ファイル システムの情報も表示します。 |
デフォルト ファイル システムの設定
ファイル システムまたはディレクトリをデフォルト ファイル システムとして指定できます。デフォルト ファイル システムを指定すると、関連コマンド内でオプションの filesystem : 引数の入力を省略できるようになります。 filesystem : 引数をオプションとして持つ EXEC コマンドでは、オプションの filesystem : 引数が省略された場合、システムは cd EXEC コマンドで指定されたファイル システムを使用します。たとえば、 dir EXEC コマンドは、オプションとして filesystem : 引数を持ち、そのファイル システム上のファイルのリストを表示します。
デフォルト ファイル システムを設定するには、次のコマンドを EXEC モードで使用します。
|
|
Router> cd filesystem : |
デフォルト フラッシュ メモリ デバイスを設定します。 |
次の例では、デフォルト ファイル システムを slot 0: に挿入されたフラッシュ メモリ カードに設定します。
現在のデフォルト ファイル システムの表示
cd EXEC コマンドで指定された現在のデフォルト ファイル システムを表示するには、次のコマンドを EXEC モードで使用します。
|
|
Router> pwd |
現在のファイル システムを表示します。 |
次の例では、slot 0: がデフォルト ファイル システムです。
次の例では、 cd コマンドを使用してデフォルト ファイル システムを system に変更し、さらに pwd コマンドを使用してデフォルト ファイル システムが変更されたことを確認しています。
ファイル システム上のファイル情報の表示
あるファイル システムの内容を操作する前に、内容のリストを表示できます。たとえば、新しいコンフィギュレーション ファイルをフラッシュ メモリにコピーする前に、そのファイル システムに同じ名前のコンフィギュレーション ファイルがないことを確認する場合があります。同様に、フラッシュ コンフィギュレーション ファイルを別の場所へコピーする場合、別のコマンドでの使用のためファイル名を確認しておきたい場合もあります。
ファイル システム上のファイル情報を表示するには、必要に応じて EXEC モードで次のコマンドを使用します。
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|
Router# dir [ /all ] [ filesystem : ][ filename ] |
ファイル システムのファイル リストを表示します。 |
Router# show file systems |
ファイル システム上の各ファイルについて、詳細情報を表示します。 |
Router# show file information file-url |
指定したファイルの情報を表示します。 |
Router# show file descriptors |
オープン ファイル記述子のリストを表示します。 |
次の例では、第 1 スロットの PCMCIA カードのファイル情報の表示に使用されるさまざまなコマンドを比較しています。 dir /all コマンドの出力では削除されたファイルが表示されるのに対し、 dir コマンドの出力では表示されないことに注意してください。
1 -rw- 4720148 Aug 29 1997 17:49:36 hampton/nitro/c7200-j-mz
2 -rw- 4767328 Oct 01 1997 18:42:53 c7200-js-mz
5 -rw- 639 Oct 02 1997 12:09:32 foo
7 -rw- 639 Oct 02 1997 12:37:13 the_time
20578304 bytes total (3104544 bytes free)
1 -rw- 4720148 Aug 29 1997 17:49:36 hampton/nitro/c7200-j-mz
2 -rw- 4767328 Oct 01 1997 18:42:53 c7200-js-mz
3 -rw- 7982828 Oct 01 1997 18:48:14 [rsp-jsv-mz]
4 -rw- 639 Oct 02 1997 12:09:17 [the_time]
5 -rw- 639 Oct 02 1997 12:09:32 foo
6 -rw- 639 Oct 02 1997 12:37:01 [the_time]
7 -rw- 639 Oct 02 1997 12:37:13 the_time
20578304 bytes total (3104544 bytes free)
-#- ED --type-- --crc--- -seek-- nlen -length- -----date/time------ name
1 .. unknown 317FBA1B 4A0694 24 4720148 Aug 29 1997 17:49:36 hampton/nitz
2 .. unknown 9237F3FF 92C574 11 4767328 Oct 01 1997 18:42:53 c7200-js-mz
3 .D unknown 71AB01F1 10C94E0 10 7982828 Oct 01 1997 18:48:14 rsp-jsv-mz
4 .D unknown 96DACD45 10C97E0 8 639 Oct 02 1997 12:09:17 the_time
5 .. unknown 96DACD45 10C9AE0 3 639 Oct 02 1997 12:09:32 foo
6 .D unknown 96DACD45 10C9DE0 8 639 Oct 02 1997 12:37:01 the_time
7 .. unknown 96DACD45 10CA0E0 8 639 Oct 02 1997 12:37:13 the_time
3104544 bytes available (17473760 bytes used)
ファイルの表示
リモート ファイル システムのファイルを含め、何らかの読み取り可能なファイルの内容を表示するには、EXEC モードで次のコマンドを使用します。
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|
Router# more [ /ascii | /binary | /ebcdic ] file-url |
指定されたファイルを表示します。 |
次の例では、TFTP サーバ上のコンフィギュレーション ファイルの内容を表示します。
Router# more tftp://serverA/hampton/savedconfig
! Saved configuration on server
service timestamps log datetime localtime
service udp-small-servers
フラッシュ メモリ ファイル システム タイプ
シスコのプラットフォームでは、次の 3 つの異なるフラッシュ メモリ ファイル システム タイプのいずれかを使用します。
• クラス A フラッシュ ファイル システム
• クラス B フラッシュ ファイル システム
• クラス C フラッシュ ファイル システム
ファイルの消去、削除、復元に使用される方法はフラッシュ ファイル システムのクラスに依存します。コマンドの一部は、1 つまたは 2 つのシステム タイプだけでサポートされています。コマンド リファレンス ドキュメンテーションは、すべてのファイル システム タイプでサポートされていないコマンドについて注記しています。
現在のプラットフォームがどのフラッシュ メモリ ファイル システム タイプを使用しているか知るには、 表 17 を参照してください。
表 17 フラッシュ メモリ ファイル システム タイプ
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クラス A |
Cisco 7000 シリーズ(Cisco 7500 シリーズを含む)、Cisco 12000 ギガビット スイッチ ルータ(GSR)、LS1010 |
クラス B |
Cisco 1003、Cisco 1004、Cisco 1005、Cisco 2500 シリーズ、Cisco 3600 シリーズ、Cisco 4000 シリーズ、Cisco AS5200 |
クラス C |
Cisco MC3810、SC3640 の disk0 |
クラス A フラッシュ ファイル システム
クラス A フラッシュ ファイル システムでは、 delete EXEC コマンドを使用して個別のファイルを削除し、その後 undelete EXEC コマンドを使用してそれらのファイルを回復できます。 delete コマンドは削除されたファイルを「deleted」とマークしますが、それらのファイルは実際にはフラッシュ メモリの容量を消費し続けています。ファイルを恒久的に削除するには、 squeeze EXEC コマンドを実行します。 squeeze コマンドは、「deleted」とマークされたファイルすべてを指定されたフラッシュ メモリ デバイスから削除します。ファイルは回復できなくなります。フラッシュ デバイスのファイルすべてを消去するには、 format EXEC コマンドを使用します。
フラッシュ メモリ デバイス上のファイルの削除
フラッシュ メモリ デバイス上のファイルが必要なくなった場合、削除できます。ファイルを削除すると、ルータはただファイルに deleted マークを付けるだけで、ファイルを消去することはしません。次の項で説明するとおり、この機能によって削除されたファイルを回復することが可能になります。新しいイメージやコンフィギュレーション ファイルが壊れてしまったために、「deleted」のイメージやコンフィギュレーション ファイルを回復させる場合があります。
指定されたフラッシュ メモリ デバイスからファイルを削除するには、次の EXEC モード コマンドを実行します。
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Router# delete [ device : ] filename |
ファイルをフラッシュ メモリ デバイスから削除します。 |
device を省略した場合、ルータは cd EXEC コマンドで指定されたデフォルト デバイスを使用します。
CONFIG_FILE や BOOTLDR 環境変数で指定されたファイルを削除しようとすると、システムは削除確認のプロンプトを表示します。また、BOOT 環境変数で指定された、最後の有効なシステム イメージを削除しようとした場合も、システムは削除確認のプロンプトを表示します。
次に、スロット 0 に挿入されたフラッシュ メモリ カードから myconfig という名前のファイルを削除する例を示します。
フラッシュ メモリ デバイス上の削除ファイルの回復
削除されたファイルを回復できます。たとえば、現在のコンフィギュレーション ファイルが壊れているため、以前のファイルに戻す場合があります。
フラッシュ メモリ デバイス上で削除されたファイルを回復するには、EXEC モードで次のコマンドを実行します。
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ステップ 1 |
Router# dir /all [ filesystem : ] |
削除されたファイルのインデックスを判別します。 |
ステップ 2 |
Router# undelete index [ filesystem : ] |
削除されたファイルをフラッシュ メモリ デバイスに復元します。 |
ファイルの回復はインデックスを使用する必要があります。同じ名前の削除されたファイルが複数存在することがあるためです。たとえば、「deleted」リストに router-config という名前のコンフィギュレーション ファイルが複数存在する場合があります。リストに複数存在する router-config ファイルのうちどのファイルを回復するか、インデックスを使用して指示します。回復するファイルのインデックス番号を知るには、 dir コマンドを /all オプションとともに使用します。
同名の有効なファイルが存在する場合、ファイルの回復はできません。この場合、まず既存のファイルを削除してから、ファイルの回復を行います。たとえば、以前あった router-config という名前のファイルを、削除したときと同じ名前で回復する場合、インデックスで以前のバージョンを回復するだけではうまくいきません。まず既存の router-config ファイルを削除してから、以前の router-config ファイルをインデックスで回復させる必要があります。 squeeze EXEC コマンドで恒久的に消去したファイルでない限り、ファイルの回復が可能です。同じファイルの削除と回復は、15 回まで可能です。
次の例では、インデックス番号 1 の削除されたファイルを slot 0: に挿入されたフラッシュ メモリ カードに復元します。
フラッシュ メモリ デバイス上のファイルの恒久的削除
フラッシュ メモリ デバイスがいっぱいになった場合、削除されたファイルが占めている空間を再度利用できるようにするため、ファイルの再配置が必要になる場合があります。フラッシュ メモリ デバイスがいっぱいかどうかを知るには、 dir EXEC コマンドを使用します。
フラッシュ メモリ デバイス上のファイルを恒久的に削除するには、特権 EXEC モードで次のコマンドを使用します。
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Router# squeeze filesystem : |
「deleted」とマークされたフラッシュ メモリ デバイス上のファイルすべてを恒久的に削除します。 |
Cisco 2600 および 3600 シリーズのルータでは、 squeeze コマンドを使用可能にするために、まずフラッシュ ファイル システム全体をいったん消去する必要があります。いったん消去が実行されると、そのフラッシュ ファイル システム上では、それ以降のフラッシュ ファイル システムの使用履歴を通じて squeeze コマンドが正常に動作するようになります。
Cisco 2600 または 3600 シリーズのルータでフラッシュ ファイル システム全体を消去するには、次の手順に従います。
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Router# no partition flash-filesystem: |
指定したフラッシュ ファイル システムのパーティションをすべて削除します。 コマンドを使用できます。 |
Router# erase filesystem : |
指定されたフラッシュ ファイル システム上のファイルをすべて消去します。 |
squeeze コマンドを発行すると、ルータは有効なファイルすべてをフラッシュ メモリへフラッシュ メモリの先頭からコピーし、「deleted」とマークされたファイルすべてを消去します。この時点で、削除ファイルの回復はできなくなり、フラッシュ メモリの空間を再度書き込みに利用できるようになります。
(注) フラッシュ メモリ容量のほぼ全体にわたって消去と再書き込みを行うため、squeeze 操作には数分かかります。
フラッシュの確認
クラス A フラッシュ ファイル システムのフラッシュ メモリ内にあるファイルのチェックサムを再計算して確認するには、 verify EXEC コマンドを使用します。
クラス A フラッシュ ファイル システムの削除と回復の例
次の例では、c7200-js-mz という名前のイメージが削除され、回復されます。削除されたファイルは最初の dir EXEC コマンドの出力には表示されないものの、 dir /all EXEC コマンドの出力には表示されることに注意してください。
Delete filename []? c7200-js-mz
Delete slot1:c7200-js-mz? [confirm]
20578304 bytes total (15754684 bytes free)
1 -rw- 4823492 Dec 17 1997 13:21:53 [c7200-js-mz]
20578304 bytes total (15754684 bytes free)
Router# undelete 1 slot1:
1 -rw- 4823492 Dec 17 1997 13:21:53 c7200-js-mz
20578304 bytes total (15754684 bytes free)
次の例では、イメージが削除されます。削除されたファイルが使用しているスペースを再利用するために、 squeeze EXEC コマンドが発行されています。
Router# delete slot1:c7200-js-mz
Delete filename [c7200-js-mz]?
Delete slot1:c7200-js-mz? [confirm]
All deleted files will be removed. Continue? [confirm]
Squeeze operation may take a while. Continue? [confirm]
Squeeze of slot1: complete
20578304 bytes total (20578304 bytes free)
クラス B フラッシュ ファイル システム
クラス B フラッシュ ファイル システムでは、個別のファイルを delete EXEC コマンドで削除できます。 delete コマンドは、ファイルを「deleted」とマークします。ファイルは引き続きフラッシュ メモリ上に存在し、空間を消費します。ファイルを回復するには、 undelete EXEC コマンドを使用します。フラッシュ メモリ内の空間を再利用するには、フラッシュ ファイル システム全体を erase EXEC コマンドを使用して消去する必要があります。
フラッシュ メモリ デバイス上のファイルの削除
フラッシュ メモリ デバイス上のファイルが必要なくなった場合、削除できます。ファイルを削除すると、ルータはただファイルに deleted マークを付けるだけで、ファイルを消去することはしません。次の項で説明するとおり、この機能によって削除されたファイルを回復することが可能になります。新しいイメージやコンフィギュレーション ファイルが壊れてしまったために、「deleted」のイメージやコンフィギュレーション ファイルを回復させる場合があります。
指定されたフラッシュ メモリ デバイスからファイルを削除するには、次の EXEC モード コマンドを実行します。
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Router# delete [ device : ] filename |
ファイルをフラッシュ メモリ デバイスから削除します。 |
device を省略した場合、ルータは cd EXEC コマンドで指定されたデフォルト デバイスを使用します。
次に、スロット 0 に挿入されたフラッシュ メモリ カードから myconfig という名前のファイルを削除する例を示します。
フラッシュ メモリ デバイス上の削除ファイルの回復
削除されたファイルを回復できます。たとえば、現在のコンフィギュレーション ファイルが壊れているため、以前のファイルに戻す場合があります。
フラッシュ メモリ デバイス上で削除されたファイルを回復するには、EXEC モード コマンドを使用します。
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ステップ 1 |
Router# dir /all [ filesystem : ] |
削除されたファイルのインデックスを判別します。 |
ステップ 2 |
Router# undelete index [ filesystem : ] |
削除されたファイルをフラッシュ メモリ デバイスに回復します。 |
ファイルの回復はインデックスを使用する必要があります。同じ名前の削除されたファイルが複数存在することがあるためです。たとえば、「deleted」リストに router-config という名前のコンフィギュレーション ファイルが複数存在する場合があります。リストに複数存在する router-config ファイルのうちどのファイルを回復するか、インデックスを使用して指示します。回復するファイルのインデックス番号を知るには、 dir コマンドを /all オプションとともに使用します。
同名の有効な(回復された)ファイルが存在する場合、ファイルの回復はできません。この場合、まず既存のファイルを削除してから、ファイルの回復を行います。たとえば、router-config の回復されたバージョンがあって、その代わりに削除された以前のバージョンを使用する場合、以前のバージョンをインデックスで回復するだけではうまくいきません。まず既存の router-config ファイルを削除してから、以前の router-config ファイルをインデックスで回復させる必要があります。 erase EXEC コマンドでファイル システムを恒久的に消去したのでない限り、ファイルの回復が可能です。同じファイルの削除と回復は、15 回まで可能です。
次の例では、インデックス番号 1 の削除されたファイルを slot 0: に挿入されたフラッシュ メモリ カードに復元します。
フラッシュ メモリの消去
フラッシュ メモリ内でファイルが消費している空間を再利用するために、 erase flash: または erase bootflash: EXEC コマンドを使用して、ファイル システム全体を消去する必要があります。この過程で、これらのコマンドでは削除済みかどうかにかかわらずファイルすべてを消去し、フラッシュ メモリの全空間を再利用します。消去されたファイルは回復できません。フラッシュ メモリの消去実行前に、取っておきたいファイルをすべて別の位置(FTP サーバなど)に保存しておきます。デバイスの消去完了後、ファイルをフラッシュ メモリにコピーします。
フラッシュ メモリ デバイスを消去するには、次のコマンドを EXEC モードで実行します。
|
|
Router# erase filesystem : |
フラッシュ ファイル システムを消去します。 |
ファイル システムの消去例
次の例では、フラッシュ メモリの 2 番目のパーティション内のファイルをすべて消去します。
System flash directory, partition 2:
1 1711088 dirt/gate/c1600-i-mz
[1711152 bytes used, 15066064 available, 16777216 total]
Erase flash device, partition 2? [confirm]
Are you sure? [yes/no]: yes
Erasing device... eeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee ...erased
フラッシュの確認
クラス B フラッシュ ファイル システムのフラッシュ メモリ内にあるファイルのチェックサムを再計算して確認するには、 verify EXEC コマンドを使用します。
クラス C フラッシュ ファイル システム
クラス C フラッシュ メモリ ファイル システムでは、個別のファイルを delete EXEC コマンドで削除できます。一度削除されたファイルは、再利用できません。その代わり、フラッシュ ファイル システムの空間をダイナミックに再利用できます。フラッシュ内のファイルすべてを消去するには、 format EXEC コマンドを使用します。
フラッシュ メモリ デバイス上のファイルの削除
フラッシュ メモリ デバイス上のファイルが必要なくなった場合、削除できます。クラス C ファイル システムでファイルを削除すると、ファイルは恒久的に削除されます。ルータは空間をダイナミックに再利用します。
指定したフラッシュ デバイスからファイルを削除するには、次のコマンドを EXEC モードで実行します。
|
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Router# delete [ device : ] filename |
ファイルをフラッシュ メモリ デバイスから削除します。 |
device を省略した場合、ルータは cd EXEC コマンドで指定されたデフォルト デバイスを使用します。
CONFIG_FILE や BOOTLDR 環境変数で指定されたファイルを削除しようとすると、システムは削除確認のプロンプトを表示します。また、BOOT 環境変数で指定された、最後の有効なシステム イメージを削除しようとした場合も、システムは削除確認のプロンプトを表示します。
次の例では、slot 0: に挿入されたフラッシュ メモリ カードから myconfig という名前のファイルを恒久的に削除します。
フラッシュのフォーマット
クラス C フラッシュ ファイル システムをフォーマットするには、次のコマンドを EXEC モードで実行します。
|
|
Router# format filesystem |
フラッシュ ファイル システムのフォーマット |
フラッシュ デバイスをフォーマットすると、ファイルはすべて消去され、回復できなくなります。
ディレクトリの作成と削除
クラス C フラッシュ ファイル システムでは、 mkdir EXEC コマンドを使用して新しいディレクトリを作成できます。ディレクトリをフラッシュ ファイル システムから削除するには、 rmdir EXEC コマンドを使用します。
クラス C フラッシュ ファイル システムでは、 rename EXEC コマンドを使用してファイルをリネームできます。
フラッシュ ファイル システムのチェック
クラス C フラッシュ ファイル システムでは、 fsck EXEC コマンドを使用して、ファイル システムの損傷をチェックして問題を修復することができます。
NVRAM ファイル システムの管理
ほとんどのプラットフォームでは、NVRAM がスタートアップ コンフィギュレーションを含んでいます。クラス A フラッシュ ファイル システムでは、環境変数 CONFIG_FILE でスタートアップ コンフィギュレーションの位置を指定します。しかし、CONFIG_FILE 環境変数にかかわらず、ファイル URL nvram:startup-config はいつでもスタートアップ コンフィギュレーションを指示します。
startup-config の表示( more nvram:startup-config EXEC コマンドを使用)、startup config の新しいコンフィギュレーション ファイルへの置換( copy source-url nvram:startup-config EXEC コマンドを使用)、スタートアップ コンフィギュレーションの別位置への保存( copy nvram:startup-config destination-url EXEC コマンドを使用)、NVRAM の内容の消去( erase nvram: EXEC コマンドを使用)が行えます。CONFIG_FILE 変数で別の位置が指定されている場合、 erase nvram: コマンドでもスタートアップ コンフィギュレーションを消去できます。
次の例は、スタートアップ コンフィギュレーションを表示します。
nnm3640-2# more nvram:startup-config
Using 2279 out of 129016 bytes
! Last configuration change at 10:57:25 PST Wed Apr 22 1998
! NVRAM config last updated at 10:57:27 PST Wed Apr 22 1998
service timestamps log datetime localtime
service udp-small-servers
次の例は、クラス A フラッシュ ファイル システム プラットフォーム上の NVRAM ファイル システムの内容を表示します。startup-config という名前のファイルが現在のスタートアップ コンフィギュレーション ファイルで、物理 NVRAM またはフラッシュ メモリ内にあります。ファイルがフラッシュ ファイル システム内にある場合、このエントリは実体ファイルへのシンボリック リンクです。underlying-config と名付けられたファイルは、いつでもコンフィギュレーションの NVRAM バージョンです。
1 -rw- 2703 <no date> startup-config
2 ---- 5 <no date> private-config
3 -rw- 2703 <no date> underlying-config
129016 bytes total (126313 bytes free)