ファイバ チャネル ドメインの概要
ここでは、fcdomain の各フェーズについて説明します。
• 主要スイッチ選択 ― このフェーズでは、ファブリックで一意の主要スイッチが選択されます。
• ドメイン ID 配信 ― このフェーズでは、ファブリックの各スイッチが一意のドメイン ID を取得します。
• FC ID 割り当て ― このフェーズでは、ファブリックで対応するスイッチに接続されている各デバイスに、一意の FC ID が割り当てられます。
• ファブリック再設定 ― このフェーズでは、ファブリックのすべてのスイッチが再同期され、すべてのスイッチが新しいスイッチ選択フェーズを同時に再開します。
fcdomain の設定例については、図11-1 を参照してください。
図11-1 fcdomain の設定例
(注) すべての手順で使用するドメイン ID および VSAN の値は例にすぎません。設定に合った ID および値を使用してください。
ここでは、fcdomain の機能について説明します。ここで説明する内容は、次のとおりです。
• 「ドメインの再起動の概要」
• 「ドメインの再起動」
• 「スイッチ プライオリティの概要」
• 「スイッチ プライオリティの設定」
• 「fcdomain の初期化の概要」
• 「fcdomain のイネーブル化またはディセーブル化」
• 「ファブリック名の設定」
• 「着信 RCF の概要」
• 「着信 RCF の拒否」
• 「結合ファブリックの自動再構成の概要」
• 「自動再構成のイネーブル化」
ドメインの再起動の概要
fcdomain では、中断を伴う起動または中断を伴わない起動ができます。中断を伴う再起動を実行すると、Reconfigure Fabric(RCF)フレームがファブリックのその他のスイッチに送信され、VSAN のすべてのスイッチでデータ トラフィックが中断されます(リモートでセグメント化されている ISL を含む)。中断を伴わない再起動を実行すると、Build Fabric(BF)フレームがファブリックのその他のスイッチに送信され、そのスイッチのみでデータ トラフィックが中断されます。
ドメイン ID の矛盾を解決するためには、ドメイン ID を手動で割り当てる必要があります。ドメイン ID の手動割り当ても含む多くの設定変更を適用するには、中断を伴う再起動が必要です。中断を伴わないドメインの再起動は、優先ドメイン ID をスタティック ID に変更する(実際のドメイン ID は変更されない)ときに限って許容されます。
(注) ユーザがスタティック ドメインを具体的に設定しますが、スタティック ドメインはランタイム ドメインと異なることがあります。ドメイン ID が異なる場合は、次の中断を伴う再起動または中断を伴わない再起動のあとで、ランタイム ドメイン ID がスタティック ドメイン ID に変更されます。
ヒント VSAN が INTEROP モードである場合は、その VSAN の fcdomain で中断を伴う再起動を実行できません。
対応するランタイム値に設定の多くを適用できます。後続の各セクションで、fcdomain パラメータをランタイム値に適用する方法について詳しく説明します。
ドメインの再起動
Fabric Manager を使用して中断を伴うファブリックの再起動、または中断を伴わない再起動を行う手順は次のとおりです。
ステップ 1 Fabricxx > VSANxx と展開し、再起動するファブリックおよび VSAN の Logical Domains ペインで Domain Manager を選択します。
Information ペインにドメインの Running タブ設定が表示されます(図11-2 を参照)。
図11-2 実行中ドメインの設定
ステップ 2 Configuration タブをクリックします。
図11-3 に示すスイッチ設定が表示されます。
図11-3 ドメインの設定
ステップ 3 fcdomain を再起動するファブリックのスイッチ用に、Restart ドロップダウン リストで disruptive または nonDisruptive を選択します。
ステップ 4 Apply Changes アイコンをクリックし、この fcdomain の再起動を開始します。
スイッチ プライオリティの概要
デフォルトで設定されているプライオリティは 128 です。プライオリティ設定の有効範囲は 1 から 254 までです。プライオリティ 1 が最高プライオリティです。値 255 は別のスイッチから受け入れられますが、ローカルに設定することはできません。
新しいスイッチは、安定したファブリックに参加する場合、主要スイッチにならないことがあります。主要スイッチ選択フェーズ中に、プライオリティが最高のスイッチが主要スイッチになります。2 つのスイッチが同じプライオリティで設定されている場合は、World-Wide Name(WWN)が低いスイッチが主要スイッチになります。
プライオリティ設定は、fcdomain の再起動時にランタイムに適用されます(ドメインの再起動の概要を参照)。この設定は、中断を伴う再起動および中断を伴わない再起動の両方に適用可能です。
スイッチ プライオリティの設定
Fabric Manager を使用して主要スイッチのプライオリティを設定する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Fabricxx > VSANxx と展開し、主要スイッチのプライオリティを設定するファブリックおよび VSAN の Logical Domains ペインで Domain Manager を選択します。
図11-4 のように、Information ペインにドメインの実行コンフィギュレーションが表示されます。
図11-4 実行中ドメインの設定
ステップ 2 Configuration タブをクリックします。
図11-3 に示すスイッチ設定が表示されます。
ステップ 3 ファブリック内で主要スイッチにするスイッチの Priority を高い値に設定します。
ステップ 4 Apply Changes アイコンをクリックして、これらの変更を保存します。
fcdomain の初期化の概要
fcdomain 機能はデフォルトで各スイッチでイネーブルになっています。あるスイッチで fcdomain 機能をディセーブルにすると、そのスイッチはファブリックのその他のスイッチに加わらなくなります。fcdomain 設定は、中断を伴う再起動でランタイムに適用されます。
fcdomain のイネーブル化またはディセーブル化
Fabric Manager を使用して、単一の VSAN またはある範囲の VSAN で fcdomain をディセーブルにするには、次の手順を実行します。
ステップ 1 Fabricxx > VSANxx と展開し、fcdomain をディセーブルにするファブリックおよび VSAN の Logical Domains ペインで Domain Manager を選択します。
Information ペインにドメインの実行コンフィギュレーションが表示されます。
ステップ 2 Configuration タブをクリックし、fcdomain をディセーブルにするファブリックのスイッチごとに、Enable チェックボックスをオフにします(図11-5 を参照)。
図11-5 ドメインの設定
ステップ 3 Apply Changes アイコンをクリックして、これらの変更を保存します。
ファブリック名の設定
Fabric Manager を使用して、ディセーブルになっている fcdomain のファブリック名の値を設定するには、次の手順を実行します。
ステップ 1 Fabricxx > VSANxx と展開し、ファブリック名を設定するファブリックおよび VSAN の Logical Domains ペインで Domain Manager を選択します。
Information ペインにドメインの実行コンフィギュレーションが表示されます。
ステップ 2 Configuration タブをクリックし、ファブリックのスイッチごとにファブリック名を設定します。
ステップ 3 Apply Changes アイコンをクリックして、これらの変更を保存します。
着信 RCF の概要
インターフェイスや VSAN ごとに、RCF 要求フレームの拒否を選択できます。RCF 拒否オプションはデフォルトでディセーブルです(つまり、RCF 要求フレームは自動的には拒否されません)。
RCF 拒否 オプションは、すぐに有効になります。
fcdomain の再起動は必要ありません。(ドメインの再起動の概要を参照)。
(注) 仮想ファイバ チャネル インターフェイスは F ポート モードでのみ動作するため、仮想ファイバ チャネル インターフェイスに RFC 拒否オプションを設定する必要はありません。
着信 RCF の拒否
Fabric Manager を使用して着信 RCF 要求フレームを拒否する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Physical Attributes ペインで、Switches > Interfaces を展開して、FC Physical を選択します。
Information ペインにファイバ チャネル設定が表示されます。
ステップ 2 Domain Mgr タブをクリックします。
図11-6 の情報が表示されます。
図11-6 着信 RCF 要求フレームの拒否
ステップ 3 RCF 要求フレームを拒否するインターフェイスごとに、RcfReject チェックボックスをオンにします。
ステップ 4 Apply Changes アイコンをクリックして、これらの変更を保存します。
結合ファブリックの自動再構成の概要
自動再構成オプションはデフォルトでディセーブルになっています。ドメインが重なる別々の安定ファブリックに属す 2 つのスイッチを結合する場合は、次のような状況になる可能性があります。
• 自動再構成が両方のスイッチでイネーブルである場合は、中断を伴う再構成フェーズが始まります。
• 片方のスイッチまたは両方のスイッチで自動再構成がディセーブルである場合、2 つのスイッチ間のリンクは分離されます。
自動再構成オプションはランタイムですぐに有効になります。fcdomain を再起動する必要はありません。ドメインのオーバーラップのためにドメインが現在分離されており、あとで両方のスイッチで自動再構成オプションをイネーブルにすると、ファブリックは引き続き分離されます。両方のスイッチで自動再構成オプションをイネーブルにしてからファブリックを接続すると、中断を伴う再構成(RCF)が行われます。中断を伴う再構成では、データ トラフィックが影響されることがあります。重複リンクで構成されているドメインを変更して、ドメインのオーバーラップを解消することにより、中断を伴わない fcdomain の再構成を実行できます。
自動再構成のイネーブル化
Fabric Manager を使用して特定 VSAN(またはある範囲の VSAN)で自動再構成をイネーブルにするには、次の手順を実行します。
ステップ 1 Fabricxx > VSANxx と展開し、自動再構成をイネーブルにするファブリックおよび VSAN の Logical Domains ペインで Domain Manager を選択します。
Information ペインにドメインの実行コンフィギュレーションが表示されます。
ステップ 2 Configuration タブをクリックし、自動的に再構成するファブリックのスイッチごとに Auto Reconfigure チェックボックスをオンにします。
ステップ 3 Apply Changes アイコンをクリックして、これらの変更を保存します。
ドメイン ID
ドメイン ID により、VSAN でスイッチが一意に識別されます。スイッチには、さまざまな VSAN で異なるドメイン ID が付いていることがあります。ドメイン ID は FC ID 全体の一部分です。
ここでは、ドメイン ID の設定方法について説明します。ここで説明する内容は、次のとおりです。
• 「ドメイン ID の概要」
• 「スタティック ドメイン ID または優先ドメイン ID の指定」
• 「許可ドメイン ID リストの概要」
• 「許可ドメイン ID リストの設定」
• 「許可ドメイン ID リストの CFS 配信の概要」
• 「配信のイネーブル化」
• 「ファブリックのロック」
• 「変更のコミット」
• 「変更の廃棄」
• 「ファブリックのロックのクリア」
• 「保留中の変更の表示」
• 「セッション ステータスの表示」
• 「連続ドメイン ID 割り当ての概要」
• 「連続ドメイン ID 割り当てのイネーブル化」
ドメイン ID の概要
設定したドメイン ID は、優先またはスタティックにすることができます。デフォルトでは、設定されているドメイン ID は 0(ゼロ)であり、設定タイプは優先です。
(注) 値 0(ゼロ)は、優先オプションを使用している場合に限り設定できます。
ドメイン ID を設定しない場合、ローカル スイッチはランダムな ID を要求で送信します。スタティックなドメイン ID を使用してください。
下位スイッチがドメインを要求すると、次のプロセスが行われます(図11-7 を参照)。
1. ローカル スイッチが、設定済みドメイン ID 要求を主要スイッチに送信します。
2. 要求されたドメイン ID が使用可能である場合、主要スイッチはそのドメイン ID を割り当てます。要求されたドメイン ID が使用可能でない場合は、別の使用可能なドメイン ID を割り当てます。
図11-7 優先オプションを使用した設定プロセス
下位スイッチの動作は、次の要因によって変化します。
• 許可されているドメイン ID リスト
• 設定されているドメイン ID
• 主要スイッチが要求スイッチに割り当てたドメイン ID
特定の状況では次のように変化します。
• 受信したドメイン ID が許可リスト内に収まっていない場合は、要求ドメイン ID がランタイム ドメイン ID になり、その VSAN のインターフェイスはすべて分離されます。
• 割り当てられたドメイン ID および要求したドメイン ID が同一である場合、優先オプションとスタティック オプションは関係なく、割り当てられたドメイン ID がランタイム ドメイン ID になります。
• 割り当てられたドメイン ID および要求したドメイン ID が異なる場合は、次のケースが当てはまります。
–設定されているタイプがスタティックである場合、割り当てられたドメイン ID は廃棄され、すべてのローカル インターフェイスは分離されて、ローカル スイッチが設定済みドメイン ID を自分自身に割り当て、そのドメイン ID がランタイム ドメイン ID になります。
–設定されているタイプが優先の場合、ローカル スイッチは主要スイッチによって割り当てられたドメイン ID を受け入れて、割り当てられたドメイン ID がランタイム ドメイン ID になります。
設定されたドメイン ID を変更すると、VSAN で現在設定されているすべての許可ドメイン ID リストに新しいドメイン ID が含まれる場合に限り、変更内容は受け入れられます。ゼロ優先ドメイン ID を設定することもできます。
注意 設定したドメインの変更をランタイム ドメインに適用する場合は、
fcdomain を再起動する必要があります。
(注) 許可ドメイン ID リストを設定した場合、追加するドメイン ID は VSAN でその範囲に収まっている必要があります。「許可ドメイン ID リストの概要」を参照してください。
スタティック ドメイン ID または優先ドメイン ID の指定
スタティック ドメイン ID タイプを割り当てるということは、特定のドメイン ID を要求するということです。スイッチは、要求したアドレスを取得しなかった場合、自分自身をファブリックから分離します。優先ドメイン ID を指定するということも、特定のドメイン ID を要求するということですが、要求したドメイン ID が使用不可である場合、スイッチは別のドメイン ID を受け入れます。
中断を伴う再起動、または中断を伴わない再起動のあとでスタティック オプションをランタイムに適用できる間は、中断を伴う再起動のあとに限って優先オプションがランタイムに適用されます(ドメインの再起動の概要を参照)。
(注) VSAN 内では、すべてのスイッチでドメイン ID タイプが同一である必要があります(スタティックまたは優先)。あるスイッチがスタティック ドメイン タイプで、別のスイッチが優先ドメイン タイプであるというように、設定が混在している場合は、リンクが分離されることがあります。
Fabric Manager を使用してスタティックまたは優先のドメイン ID を指定する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Fabricxx > VSANxx と展開し、ドメイン ID を設定するファブリックおよび VSAN の Logical Domains ペインで Domain Manager を選択します。
Information ペインにドメインの実行コンフィギュレーションが表示されます。
ステップ 2 Config DomainID に値を入力して Config Type ドロップダウン リストから static または preferred をクリックし、ファブリックのスイッチにドメイン ID を設定します。
ステップ 3 Apply Changes アイコンをクリックして、これらの変更を保存します。
許可ドメイン ID リストの概要
デフォルトの場合、割り当てるドメイン ID リストの有効範囲は 1 から 239 までです。許可ドメイン ID リストに含める範囲のリストを指定し、それぞれの範囲をカンマで区切ることができます。主要スイッチは、ローカルに設定されている許可ドメイン リストで使用可能なドメイン ID を割り当てます。
重複しないドメイン ID で VSAN を設計するには、許可ドメイン ID リストを使用します。今後、NAT 機能がない IVR を実装する必要がある場合は、これが役立ちます。
ヒント ファブリックの 1 つのスイッチで許可リストを設定する場合は、ファブリックの他の全スイッチで同じリストを設定して一貫性を保つか、Cisco Fabric Service(CFS)を使用して設定を配信することを推奨します。
許可ドメイン ID リストでは、次の条件を満たす必要があります。
• このスイッチが主要スイッチである場合は、現在割り当てられているすべてのドメイン ID を許可リストに含める必要があります。
• このスイッチが下位スイッチである場合は、ローカル ランタイム ドメイン ID を許可リストに含める必要があります。
• スイッチのローカルで設定されているドメイン ID を許可リストに含める必要があります。
• 割り当てられているドメイン ID、およびその他のすでに設定されているドメイン ID リストの共通部分を空にすることはできません。
許可ドメイン ID リストの設定
Fabric Manager を使用して許可ドメイン ID リストを設定する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Fabricxx > VSANxx > Domain Manager と展開し、許可ドメイン ID リストを設定するファブリックおよび VSAN の Logical Domains ペインで Allowed を選択します。
Information ペインに CFS 設定が表示されます(図11-8 を参照)。
図11-8 許可 CFS 設定情報
ステップ 2 Admin ドロップダウン リストを enable に設定し、Global ドロップダウン リストを enable に設定します。
ステップ 3 Apply Changes をクリックし、CFS による許可ドメイン ID リストの配信をイネーブルにします。
ステップ 4 Allowed DomainIds タブをクリックします。
図11-9 に示す Allowed Domain ID 画面が表示されます。
図11-9 許可ドメイン ID リスト
ステップ 5 このドメインの許可ドメイン ID リストに list を設定します。
ステップ 6 CFS タブをクリックし、Config Action を commit に設定します。
ステップ 7 Apply Changes アイコンをクリックしてこの許可ドメイン ID リストを確定し、VSAN で配信します。
許可ドメイン ID リストの CFS 配信の概要
CFS インフラストラクチャを使用し、ファブリックのすべての Cisco SAN スイッチに許可ドメイン ID リストの設定情報を配信することをイネーブルにすることができます。この機能により、1 つのスイッチのコンソールからファブリック内の設定を同期できます。同じ設定が VSAN 全体に配信されるので、発生する可能性がある設定ミスや、同一 VSAN の 2 つのスイッチで互換性がない許可ドメインを設定する可能性を回避できます。
VSAN のすべてのスイッチで許可ドメイン ID リストの一貫性を保つには、CFS を使用して許可ドメイン ID リストを配信します。
(注) 許可ドメイン ID リストを設定し、主要スイッチで確定することを推奨します。
CFS の詳細については、 第 7 章「CFS の使用」 を参照してください。
配信のイネーブル化
許可ドメイン ID リストの CFS 配信は、デフォルトでディセーブルです。許可ドメイン ID リストの配信先となるすべてのスイッチで配信をイネーブルにする必要があります。
Fabric Manager を使用して許可ドメイン ID リスト設定の配信をイネーブルにする(またはディセーブルにする)手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Fabricxx > VSANxx > Domain Manager と展開し、許可ドメイン ID リストを設定するファブリックおよび VSAN の Logical Domains ペインで Allowed を選択します。
Information ペインに CFS 設定が表示されます。
ステップ 2 許可ドメイン ID リストの CFS 配信をイネーブルにするには、Admin ドロップダウン リストを enable に、Global ドロップダウン リストを enable に設定します。
ステップ 3 Apply Changes アイコンをクリックし、CFS による許可ドメイン ID リストの配信をイネーブルにします。
ファブリックのロック
既存設定を変更する最初の処理により、保留設定が作成されてファブリックの機能がロックされます。ファブリックをロックすると、次の条件が成立します。
• 他のユーザは、この機能の設定を変更できなくなります。
• アクティブな設定をコピーすると、保留設定が作成されます。これ以後の変更は保留中のコンフィギュレーションに対して行われ、アクティブなコンフィギュレーション(およびファブリック内の他のスイッチ)に変更をコミットするか、または変更を廃棄するまで、保留中のコンフィギュレーションにとどまります。
変更のコミット
保留されているドメイン設定の変更を VSAN のその他の SAN スイッチに適用するには、変更を確定する必要があります。保留中の設定変更は配信され、正常に確定された時点で、設定変更は VSAN 全体の SAN スイッチでアクティブな設定に適用されて、ファブリックのロックは解除されます。
Fabric Manager を使用して保留中のドメイン設定変更を確定し、ロックを解除する手順は次のとおりです。
ステップ 1 Fabricxx > VSANxx > Domain Manager と展開し、許可ドメイン ID リストを設定するファブリックおよび VSAN の Logical Domains ペインで Allowed を選択します。
Information ペインに CFS 設定が表示されます。
ステップ 2 Config Action ドロップダウン リストを commit に設定します。
ステップ 3 Apply Changes アイコンをクリックしてこの許可ドメイン ID リストを確定し、VSAN で配信します。
変更の廃棄
ドメイン設定に対する保留中の変更をいつでも廃棄し、ファブリックのロックを解除できます。保留中の変更を廃棄する(打ち切る)と、設定は影響されずにロックが解除されます。
Fabric Manager を使用して保留中のドメイン設定変更を廃棄し、ロックを解除する手順は次のとおりです。
ステップ 1 Fabricxx > VSANxx > Domain Manager と展開し、許可ドメイン ID リストを設定するファブリックおよび VSAN の Logical Domains ペインで Allowed を選択します。
Information ペインに CFS 設定が表示されます。
ステップ 2 Config Action ドロップダウン リストを abort に設定します。
ステップ 3 Apply Changes アイコンをクリックし、許可ドメイン ID リストに対する保留中の変更を廃棄します。
ファブリックのロックのクリア
ドメイン設定タスクを実行し、変更の確定か廃棄を行ってロックを解除していない場合、管理者はファブリックのスイッチからロックを解除できます。管理者がこのタスクを実行すると、保留中の変更は廃棄され、ファブリックのロックは解除されます。
ヒント 保留中の変更は一時的なディレクトリのみで使用可能であり、スイッチが再起動されると廃棄されます。
Fabric Manager を使用してファブリックのロックを解除する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Fabricxx > VSANxx > Domain Manager と展開し、許可ドメイン ID リストが必要なファブリックおよび VSAN の Logical Domains ペインで Allowed を選択します。
Information ペインに CFS 設定が表示されます。
ステップ 2 Config Action ドロップダウン リストを clear に設定します。
ステップ 3 Apply Changes アイコンをクリックし、ファブリックのロックをクリアします。
保留中の変更の表示
Fabric Manager を使用して保留中の設定変更を表示する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 許可ドメイン ID リストを設定するファブリックおよび VSAN の Logical Domains ペインで、Fabricxx > VSANxx > Domain Manager > Allowed と展開します。
Information ペインに CFS 設定が表示されます。
ステップ 2 Config View As ドロップダウン リストを pending に設定します。
ステップ 3 Apply Changes アイコンをクリックし、ファブリックのロックをクリアします。
ステップ 4 AllowedDomainIds タブをクリックします。
許可ドメイン ID リストの保留中の設定が表示されます。
セッション ステータスの表示
Fabric Manager を使用して配信セッションのステータスを表示する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Fabricxx > VSANxx > Domain Manager と展開し、許可ドメイン ID リストを設定するファブリックおよび VSAN の Logical Domains ペインで Allowed を選択します。
ステップ 2 CFS 設定およびセッション ステータスが Information ペインに表示されます。
連続ドメイン ID 割り当ての概要
連続ドメイン割り当てはデフォルトではディセーブルです。下位スイッチが複数のドメインを主要スイッチに要求し、ドメインが連続していない場合は、次のような状況になる可能性があります。
• 連続ドメイン割り当てが主要スイッチでイネーブルになっている場合、主要スイッチは連続ドメインを特定して下位スイッチに割り当てます。連続ドメインが使用不可である場合、スイッチ ソフトウェアはこの要求を却下します。
• 連続ドメイン割り当てが主要スイッチでディセーブルになっている場合、主要スイッチは使用可能ドメインを下位スイッチに割り当てます。
連続ドメイン ID 割り当てのイネーブル化
Fabric Manager を使用して特定 VSAN(またはある範囲の VSAN)で連続ドメインをイネーブルにするには、次の手順を実行します。
ステップ 1 Fabricxx > VSANxx と展開し、連続ドメインをイネーブルにするファブリックおよび VSAN の Logical Domains ペインで Domain Manager を選択します。
Information ペインにドメインの実行コンフィギュレーションが表示されます。
ステップ 2 Configuration タブをクリックし、連続割り当てをイネーブルにするファブリックのスイッチごとに Contiguous Allocation チェックボックスをオンにします。
ステップ 3 Apply Changes アイコンをクリックして、これらの変更を保存します。
FC ID
N ポートが Nexus 5000 シリーズ スイッチにログインすると、そのポートには FC ID が割り当てられます。デフォルトでは、固定的 FC ID 機能がイネーブルです。この機能をディセーブルにすると、次のような状況になる可能性があります。
• N ポートが Nexus 5000 シリーズ スイッチにログインします。N の要求側ポートの WWN、および割り当てられた FC ID は保持され、揮発性キャッシュに保存されます。この揮発性キャッシュの内容は、リブートすると失われます。
• スイッチは、最善の方法でバインディング FC ID を WWN に保持するように設計されています。たとえば 1 つの N ポートがスイッチから切断し、別のデバイスがその FC ID を要求した場合、この要求は許可され、最初に FC ID に関連していた WWN が解放されます。
• 揮発性キャッシュには、WWN と FC ID のバインディングのエントリが 4000 個まで保存されます。このキャッシュがいっぱいになると、新しい(最新)エントリによってキャッシュの最も古いエントリが上書きされます。この場合、最も古いエントリに対応する WWN と FC ID の関連は失われます。
• スイッチが同一 VSAN に属す限り、切断してから同一スイッチ内の任意のポートに再接続した場合、N ポートは同一 FC ID を受け取ります。
ここでは、FC ID の設定について説明します。ここで説明する内容は、次のとおりです。
• 「固定的 FC ID の概要」
• 「固定的 FC ID 機能のイネーブル化」
• 「固定的 FC ID 設定の注意事項」
• 「固定的 FC ID の設定」
• 「HBA の固有エリア FC ID の概要」
• 「HBA の固有エリア FC ID の設定」
• 「固定的 FC ID の選択消去の概要」
• 「固定的 FC ID の消去」
固定的 FC ID の概要
固定的 FC ID がイネーブルである場合は、次のようになります。
• fcdomain で現在使用中の FC ID は、リブートしても保存されます。
• fcdomain は、デバイス(ホストまたはディスク)がポート インターフェイスに接続されたあとでスイッチが学習したダイナミック エントリをデータベースに自動的に入力します。
(注) AIX または HP-UX ホストからスイッチに接続している場合は、これらのホストを接続している VSAN 内で固定的な FC ID 機能をイネーブルにしてください。
(注) 固定的 FC ID がイネーブルの場合、リブート後は FC ID を変更できません。FC ID はデフォルトでイネーブルですが、各 VSAN でディセーブルにできます。
F ポートに割り当てられた固定的 FC ID はインターフェイス間で移動でき、引き続き同一の固定的 FC ID を維持できます。
固定的 FC ID 機能のイネーブル化
Fabric Manager を使用して固定的 FC ID 機能をイネーブルにする手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Fabricxx > VSANxx と展開し、固定的 FC ID 機能をイネーブルにするファブリックおよび VSAN の Logical Domains ペインで Domain Manager を選択します。
Information ペインにドメインの実行コンフィギュレーションが表示されます。
ステップ 2 Persistent Setup タブをクリックし、固定的 FC ID をイネーブルにするファブリックのスイッチごとに enable チェックボックスをオンにします。
ステップ 3 Apply Changes アイコンをクリックして、これらの変更を保存します。
固定的 FC ID 設定の注意事項
固定的 FC ID 機能をイネーブルにしたら、固定的 FC ID サブモードを開始し、スタティック エントリまたはダイナミック エントリを FC ID データベースに追加できます。デフォルトの場合、すべての追加エントリはスタティックになります。固定的 FC ID は VSAN 単位で設定します。
固定的 FC ID を手動で設定する場合は、次の要件に従ってください。
• 必要な VSAN で固定的 FC ID 機能をイネーブルにしてください。
• 必要な VSAN がアクティブな VSAN であることを確認してください。固定的 FC ID は、アクティブな VSAN のみで設定可能です。
• FC ID のドメイン部分が、必要な VSAN のランタイム ドメイン ID と同じであることを確認してください。ソフトウェアがドメインの不一致を検出すると、コマンドは拒否されます。
• 領域の設定時には、FC ID のポートフィールドが 0(ゼロ)であることを確認します。
固定的 FC ID の設定
Fabric Manager を使用して固定的 FC ID を設定する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Fabricxx > VSANxx と展開し、固定的 FC ID リストを設定するファブリックおよび VSAN の Logical Domains ペインで Domain Manager を選択します。
Information ペインにドメインの実行コンフィギュレーションが表示されます。
ステップ 2 Persistent FcIds タブをクリックし、Create Row をクリックします。
図11-10 に示す Create Persistent FC ID ダイアログボックスが表示されます。
図11-10 Create Persistent FC ID ダイアログボックス
ステップ 3 スイッチ、WWN、固定にする FC ID を選択します。
ステップ 4 Mask フィールドの single または area オプション ボタンをクリックします。
ステップ 5 Assignment フィールドの static または dynamic オプション ボタンをクリックします。
ステップ 6 Apply Changes アイコンをクリックして、これらの変更を保存します。
HBA の固有エリア FC ID の概要
(注) Host Bus Adapter(HBA)ポートおよびストレージ ポートを同一スイッチに接続している場合に限り、このセクョンを読んでください。
HBA ポートとストレージ ポートを両方とも同一スイッチに接続している場合、一部の HBA ポートにはストレージ ポートとは別のエリア ID が必要となります。たとえば、ストレージ ポートの FC ID が 0x6f7704 である場合、このポートのエリアは 77 です。この場合、HBA ポートのエリアは 77 以外にすることができます。HBA ポートの FC ID は手動で設定し、ストレージ ポートの FC ID とは別にする必要があります。
Nexus 5000 シリーズ スイッチでは、FC ID の固定機能により、この要件を容易に満たすことができます。この機能を使用し、ストレージ ポートまたは HBA ポートのいずれかに、エリアが異なる FC ID を事前に割り当てることができます。
HBA の固有エリア FC ID の設定
この作業では、スイッチ ドメイン 111(16 進法では 6f)による設定例を使用します。サーバは、FCoE を介してスイッチに接続されます。HBA ポートはインターフェイス vfc20/1 に、ストレージ ポートは同一スイッチのインターフェイス fc2/3 に接続します。
Fabric Manager を使用して HBA ポートに別のエリア ID を設定する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Physical Attributes ペインの End Device を展開し、Summary タブを選択して、HBA のポート WWN(Port Name フィールド)を取得します(図11-11 を参照)。
図11-11 Fabric Manager の FLOGI データベース情報
(注) この設定では、両方の FC ID に同じエリア 00 が割り当てられています。
ステップ 2 Physical Attributes ペインで、Switches > Interfaces を展開して、FC Physical を選択します。
Fibre Channel Interfaces Information ペインが表示されます。
ステップ 3 HBA が接続されているインターフェイスで、Status Admin ドロップダウン リストを down に設定します。
MDS スイッチで HBA インターフェイスがシャットダウンされます。
ステップ 4 Fabricxx > VSANxx と展開し、Domain Manager を選択します。
ステップ 5 Information ペインの Persistent Setup タブをクリックし、FC ID 機能がイネーブルであることを確認します(図11-12 を参照)。
図11-12 Fabric Manager の固定的 FC ID 情報
この機能がディセーブルである場合は、この手順を続けて固定的 FC ID をイネーブルにします。
この機能がすでにイネーブルになっている場合は、ステップ 7に進みます。
ステップ 6 スイッチで固定的 FC ID 機能をイネーブルにするには、 Enable チェックボックスをオンにします(図11-13 を参照)。
ステップ 7 Persistent FcIds タブをクリックし、エリア割り当てが異なる新しい FC ID を FcId フィールドで割り当てます。
たとえば、図11-13 では、 00 が ee に置き換わります。
図11-13 Fabric Manager での FC ID の設定
ステップ 8 Apply Changes をクリックし、新しい FC ID を保存します。
ステップ 9 FC ID の値を比較し、HBA の FC ID を確認します。
(注) 両方の FC ID でエリア割り当てが異なっています。
ステップ 10 Physical Attributes ペインで、Switches > Interfaces を展開して、FC Physical を選択します。HBA が接続されているインターフェイスで、Status Admin ドロップダウン リストを up に設定します。
Nexus 5000 シリーズ スイッチで HBA インターフェイスがイネーブルになります。
固定的 FC ID の選択消去の概要
固定的 FC ID は選択的に消去できます。現在使用中のスタティック エントリと FC ID は削除できません。 表11-1 は、固定的 FC ID の消去時に削除される FC ID エントリと維持される FC ID エントリを示しています。
表11-1 消去される FC ID
|
|
|
スタティック |
使用中 |
削除されない |
スタティック |
未使用 |
削除されない |
ダイナミック |
使用中 |
削除されない |
ダイナミック |
未使用 |
削除される |
固定的 FC ID の消去
Fabric Manager を使用して固定的 FC ID を削除する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 固定的 FC ID を消去するファブリックの Logical Domains ペインで、Fabricxx > All VSANs > Domain Manager と展開します。
Information ペインにドメインの実行コンフィギュレーションが表示されます。
ステップ 2 Persistent Setup タブをクリックします。
図11-14 のように、Information ペインに固定的 FC ID 設定が表示されます。
図11-14 Fabric Manager の固定的 FC ID 情報
ステップ 3 固定的 FC ID を消去するスイッチの Purge チェックボックスをオンにします(図11-14 を参照)。
ステップ 4 Apply Changes アイコンをクリックして、これらの変更を保存します。