Fabric Manager Server の概要
Cisco Fabric Manager Server をコンピュータにインストールすると、集中管理サービスおよびパフォーマンス モニタリングが可能になります。SNMP 操作を使用して、ファブリックの情報を効率的に収集できます。サーバ コンポーネントを含む Cisco Fabric Manager ソフトウェアを使用するためには、ワークステーションに約 60 MB のハードディスク スペースが必要です。Cisco Fabric Manager Server はWindows 2000、Windows 2003、Windows XP、Solaris 8.x 以降、および Red Hat Linux で稼働します。
Cisco Fabric Manager Server として設定された各コンピュータは、複数のファイバ チャネル Storage Area Network(SAN; ストレージ エリア ネットワーク)を監視できます。1 台の Cisco Fabric Manager Server に最大 16 台のクライアント(デフォルト)を同時に接続できます。Cisco Fabric Manager Server で監視されないファブリック内のシスコ製スイッチに、Cisco Fabric Manager Client を直接接続することもできます。こうすると、1 台のコンソールから任意のシスコ製スイッチを管理できます。
Cisco Fabric Manager Server には次の機能があります。
• 複数のファブリックの管理 ― Fabric Manager Server は同じユーザ インターフェイスで複数の物理ファブリックを監視します。この機能により、冗長ファブリックの管理が容易になります。ライセンスが付与された Fabric Manager Server では、すべての設定済みファブリックに関する最新の検出情報が維持されるため、Fabric Manager Client を開くと、デバイス ステータスおよび相互接続をすぐに使用できます。
(注) ライセンスが付与されていない Cisco Fabric Manager で監視や設定ができるのは、一度に 1 つのファブリックだけです。新規ファブリックに切り替えるには、Open メニューを使用する必要があります。これにより、アプリケーションは元のファブリックの監視を停止し、新規ファブリックを再検出します。
• 継続的なヘルス モニタリング ― スイッチの状態が継続的に監視されるため、前回 Fabric Manager Client を開いたあとに発生したすべてのイベントが取り込まれます。
• ユーザ プロファイルのローミング ― ライセンスが付与された Fabric Manager Server は、ローミング ユーザ プロファイル機能を使用して、プリファレンスおよびトポロジ マップ レイアウトをサーバに格納します。これにより、ストレージ ネットワークの管理に使用するコンピュータに関係なく、ユーザ インターフェイスの一貫性を保ちます。
(注) Fabric Manager Client および Fabric Manager Server では、同じリリースを使用する必要があります。
Fabric Manager Server のインストールおよび設定
ここでは、Fabric Manager Server のインストールおよび設定について説明します。ここで説明する内容は、次のとおりです。
• 「Fabric Manager Server のインストール」
• 「Fabric Manager Server のライセンスの有無」
• 「Fabric Manager Web Sever のインストール」
• 「Performance Manager の収集機能の確認」
Fabric Manager Server のインストール
Fabric Manager をインストールすると、基本バージョンの Fabric Manager Server(ライセンスなし)も一緒にインストールされます。Fabric Manager アイコンをクリックすると、Fabric Manager Server コンポーネントが稼働しているコンピュータの IP アドレスを入力するダイアログが開きます。Fabric Manager Server の IP アドレスを入力するテキスト ボックスが表示されない場合は、 Options をクリックして、設定オプション リストを展開します。Fabric Manager Server コンポーネントがローカル マシン上で稼働している場合は、このフィールドを localhost のままにします。有効なサーバを指定せずに Fabric Manager を実行しようとすると、Fabric Manager Server をローカルで起動するように求めるプロンプトが表示されます。
Windows PC では、Fabric Manager Server はサービスとしてインストールします。このサービスを管理するには、Microsoft Windows の管理ツールのサービスを使用します。Fabric Manager Server サービスは、デフォルト設定では、Windows PC を再起動するときに自動起動されます。この設定を変更するには、サービスのプロパティを変更します。
(注) Fabric Manager Server を実行する前に、ファブリック内の各スイッチ、またはリモート Authentication, Authorization, Accounting(AAA;認証、認可、アカウンティング)サーバ上に、専用の Fabric Manager 管理ユーザを作成する必要があります。このユーザを使用して、ファブリック トポロジを検出します。「ファブリックの検出」を参照してください。
Fabric Manager Server をインストールして、初期設定を行う手順は、次のとおりです。
ステップ 1 ワークステーションに Fabric Manager および Fabric Manager Server をインストールします。「Fabric Manager Server のインストール」を参照してください。
ステップ 2 Fabric Manager にログインします。「Fabric Manager Client の起動」を参照してください。
ステップ 3 (任意)Performance Manager のフローを作成して、ファブリックを監視します。「フロー統計のカウント」を参照してください。
ステップ 4 ファブリックを継続的に監視するように、Fabric Manager Server を設定します。「Fabric Manager Server ファブリックの管理」を参照してください。
ステップ 5 Fabric Manager Server を介して管理するファブリックごとに、ステップ 2 ~ 4 を繰り返します。
ステップ 6 Fabric Manager Web Sever をインストールします。「Fabric Manager Web Sever のインストール」を参照してください。
ステップ 7 Performance Manager がデータを収集していることを確認します。「Performance Manager の収集機能の確認」を参照してください。
Fabric Manager Server のライセンスの有無
Fabric Manager をインストールすると、基本バージョンの Fabric Manager Server(ライセンスなし)も一緒にインストールされます。Performance Manager、リモート クライアント サポート、およびファブリックの継続的なモニタリングなどのライセンス機能を取得するには、Fabric Manager Server パッケージを購入して、インストールする必要があります。
ただし、これらのライセンス機能のトライアル バージョンを使用できます。機能のトライアル バージョンをイネーブルにするには、ライセンスを購入した場合と同様に各機能を実行します。この機能が一定期間のみ有効なデモ バージョンであることを示すダイアログボックスが表示されます。
いずれかの Fabric Manager Server 機能を評価していて、その機能の評価期間を終了するには、Device Manager を使用します。
Fabric Manager Web Sever のインストール
Web ブラウザを通じて Performance Manager レポートを表示するには、Fabric Manager Web Server をインストールする必要があります。CD-ROM から Fabric Manager Web Server をインストールする方法については、『 Cisco MDS 9000 Family Fabric Manager Configuration Guide 』を参照してください
Performance Manager の収集機能の確認
Performance Manager の収集機能を 5 分以上実行したあとに、データが収集されたかどうかを確認するには、Fabric Manager で Performance Manager > Reports を選択します。収集された最初の数個のデータ ポイントが、グラフおよび表形式で表示されます。
(注) レポートを表示するには、Fabric Manager Web Server をインストールする必要があります。『Cisco MDS 9000 Family Fabric Manager Configuration Guide』を参照してください。
Fabric Manager Server ファブリックの管理
Fabric Manager Server ファブリックは、クライアントでそのファブリックが開かれているかどうかにかかわらず、継続的に管理できます。継続的管理の対象であるファブリックは、Fabric Manager Server を起動すると自動的にリロードされ、管理されます。
継続的管理対象のファブリックの選択
Fabric Manager Client を終了すると、そのファブリックを Fabric Manager Server で継続的に管理するかどうかを選択するプロンプトが表示されます。Fabric Manager Client を使用して、管理するファブリックを選択することもできます。
Fabric Manager を使用してファブリックを継続的に管理する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Server > Admin を選択します。
Control Panel ダイアログボックスの Fabrics タブが開きます(図3-1 を参照)。
(注) Fabrics タブにアクセスできるのは、ネットワーク管理者だけです。
図3-1 Control Panel ダイアログボックスの Fabrics タブ
(注) ファブリック管理用のユーザ名とパスワードは事前に設定できます。このインスタンスでは、TACACS+ サーバではなく、ローカル スイッチのアカウントを使用する必要があります。
ステップ 2 次のいずれかの Admin オプションを選択します。
• Manage Continuously ― Fabric Manager Server が起動すると自動的にこのファブリックが管理対象となり、このオプションが Unmanage に変更されるまで継続して管理されます。
• Manage ― このファブリックを表示する Fabric Manager インスタンスがなくなるまで、Fabric Manager Server によって管理されます。
• Unmanage ― Fabric Manager Server はこのファブリックの管理を停止します。
ステップ 3 Apply をクリックします。
(注) Performance Manager 使用してこれらのファブリックに関するデータを収集する場合は、ここでフローを設定し、データ収集を定義する必要があります。これらの手順については、第 29 章「Performance Manager」を参照してください。
Fabric Manager Server プロパティ ファイル
Fabric Manager Server プロパティ ファイル(MDS 9000\server.properties)には、Fabric Manager Server の機能方法を決定するプロパティ リストが格納されています。このファイルの編集にはテキスト エディタを使用します。プロパティを設定するには、Admin タブにある Fabric Manager Web Services GUI(グラフィカル ユーザ インターフェイス)を使用します。
(注) server.properties ファイルおよび AAA.properties ファイルのパスワードを任意で暗号化できます。
Fabric Manager Server プロパティ ファイルには、次に示す 6 つの一般セクションが含まれています。
• GENERAL ― サーバの全般的な設定が格納されます。
• SNMP SPECIFIC ― SNMP 要求、応答、およびトラップの各設定が格納されます。
• SNMP PROXY SERVER SPECIFIC ― SNMP プロキシ サーバ コンフィギュレーションの設定および TCP ポート指定の設定が格納されます。
• GLOBAL FABRIC ― 検出やロードなどのファブリックの設定が格納されます。
• CLIENT SESSION ― サーバにログインできる Fabric Manager Client の設定が格納されます。
• EVENTS ― Syslog メッセージの設定が格納されます。
• Performance Chart ― Performance Manager のチャート生成の終了時間を定義する設定値が格納されます。
• EMC CALL HOME ― EMS の指定に基づいて、E メールで XML データとしてトラップを転送するための設定が格納されます。
• EVENT FORWARD SETUP ― Cisco Fabric Manager Server が記録したイベントを E メールで転送するための設定が格納されます。
次に、Cisco MDS SAN-OS Release 3.4 の新規、または変更されたサーバ プロパティを示します。
• Display FCoE ― ユーザはツリー ノード、メニュー アイテム、ツールバー ボタン、および Fibre Channel over Ethernet(FCoE)に関連するトポロジ ノード/リンクを表示できます。ファブリックに Nexus 5000 シリーズ スイッチが含まれる場合、 displayFCoE プロパティを true に設定します。
(注) Display FCoE プロパティを設定した場合、Fabric Server の再起動が必要です。
Fabric Manager Server の変更
Fabric Manager では、サーバを停止したり再起動することなく、Fabric Manager Server の一部の設定値を変更できます。このような変更が可能な設定値は、次のとおりです。
• 「Fabric Manager Server ユーザの追加または削除」
• 「Fabric Manager Server のユーザ名およびパスワードの変更」
• 「ポーリング時間とファブリック再検出時間の変更」
Fabric Manager Server ユーザの追加または削除
Fabric Manager Server ユーザの追加や既存ユーザのパスワードの変更は、Fabric Manager を使用して、次の手順を実行します。
ステップ 1 Control Panel ダイアログボックスで、 Local FM Users タブをクリックします(図3-1 を参照)。Fabric Manager ユーザのリストが表示されます。
(注) ユーザを管理できるのは、ネットワーク管理者だけです。
ステップ 2 ユーザを追加する場合は New をクリックします。既存のユーザのパスワードを変更する場合は Edit をクリックします。
図3-2 のように、FM User ダイアログボックスが表示されます。
図3-2 FM User ダイアログボックス
ステップ 3 新規ユーザのユーザ名とパスワードを設定し、 Apply をクリックします。
Fabric Manager を使用して Fabric Manager Server ユーザを削除する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Control Panel ダイアログボックスで、 Local FM Users タブをクリックします(図3-1 を参照)。
Fabric Manager ユーザのリストが表示されます。
ステップ 2 削除するユーザ名をクリックします。
ステップ 3 そのユーザを削除する場合 Remove をクリックします。
ステップ 4 削除を確認する場合は Yes をクリックし、削除を取り消す場合は No をクリックします。
Fabric Manager Server のユーザ名およびパスワードの変更
Fabric Manager Client からファブリックへのアクセスに使用するユーザ名とパスワードは、Fabric Manager Server を再起動せずに変更できます。
Fabric Manager Server で使用されるユーザ名またはパスワードの変更手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Server > Admin を選択します。
Control Panel ダイアログボックスの Fabrics タブが開きます(図3-1 を参照)。
ステップ 2 Fabric Manager Server で監視する各ファブリックの名前またはパスワードを設定します。
ステップ 3 Apply をクリックして、変更を保存します。
ポーリング時間とファブリック再検出時間の変更
Fabric Manager Server は、定期的に監視対象のファブリックをポーリングし、一定間隔で(デフォルトは 5 サイクル)フル ファブリックを再検出します。これらの設定値は、Fabric Manager Server を再起動せずに、Fabric Manager Client から変更できます。
Fabric Manager を使用して、Fabric Manager Server が使用するポーリング時間、またはフル ファブリック再検出の設定を変更する手順は次のとおりです。
ステップ 1 Server > Admin を選択します。
Control Panel ダイアログボックスの Fabrics タブが開きます(図3-1 を参照)。
ステップ 2 Fabric Manager Server で監視する各ファブリックに対して、Polling Interval を設定し、Fabric Manager Server がそのファブリックの要素をポーリングし、そのステータスと統計情報を取得する頻度を指定します。
ステップ 3 Fabric Manager Server で監視する各ファブリックに対して、Rediscover Cycles を設定し、Fabric Manager Server がフル ファブリックを再検出する頻度を指定します。
ステップ 4 Apply をクリックして、変更を保存します。
デバイス エイリアスまたは FC エイリアスの使用
Fabric Manager で FC エイリアスとグローバル デバイス エイリアスのどちらを使用するかを、Fabric Manager Server を再起動せずに Fabric Manager Client から変更できます。
Fabric Manager を使用して、Fabric Manager が FC エイリアスまたはグローバル デバイス エイリアスを使用するように変更する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Server > Admin を選択します。
Control Panel ダイアログボックスの Fabrics タブが開きます(図3-1 を参照)。
ステップ 2 グローバル デバイス エイリアスを使用する場合は Fabric Manager Server で監視する各ファブリックに対して、 Device Alias チェックボックスをオンにし、FC エイリアスを使用する場合はオフにします。
ステップ 3 Apply をクリックして、変更を保存します。
スイッチへのデバイス エイリアスの保存
Fabric Manager Server でグローバル デバイス エイリアスを使用する場合、これらの変更はローカル スイッチには反映されません。スイッチにデバイス エイリアスを保存するまで、そのスイッチは FC エイリアスを使用します。
Fabric Manager を使用してスイッチにグローバル デバイス エイリアスを保存する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Physical Attributes ペインで、 Switches > End Devices を展開し、 Hosts または Storage を選択します。
Information ペインにエンド デバイスが表示されます。
ステップ 2 スイッチに認識させたい各デバイス エイリアスを強調表示にして、デバイスの Device Alias アイコンを右クリックし、 Save Selected Device Aliases を選択します。