FLOGI、ネーム サーバ、FDMI、および RSCN データベースの管理
この章では、Nexus 5000 シリーズ スイッチが提供する Fabric Login(FLOGI; ファブリック ログイン)データベース、ネーム サーバ機能、Fabric-Device Management Interface(FDMI)、Registered State Change Notification(RSCN)の情報について説明します。この章の内容は、次のとおりです。
• 「FLOGI の概要」
• 「ネーム サーバ プロキシ」
• 「FDMI」
• 「FDMI の表示」
• 「RSCN」
• 「デフォルト設定」
FLOGI の概要
ファイバ チャネル ファブリックでは、ホストまたはディスクごとに FC ID が必要です。必要なデバイスが FLOGI テーブルに表示されている場合は、ファブリック ログインに成功しています。ホスト Host Bus Adapter(HBA)および接続先ポートに直接接続されたスイッチで、FLOGI データベースを調べてください。「デフォルトの企業 ID リスト」、および「スイッチの相互運用性」を参照してください。
Fabric Manager を使用して FLOGI テーブル内にストレージ デバイスがあるか確認する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Physical Attributes ペインで、Switches > Interfaces を展開して、FC Physical を選択します。
Information ペインにインターフェイス設定が表示されます。
ステップ 2 FLOGI タブをクリックします。
ファブリックにログインしているエンド デバイスがすべて表示されます(図19-1 を参照)。
図19-1 FLOGI 物理インターフェイス
ネーム サーバ プロキシ
ネーム サーバ機能は、各 VSAN 内のすべてのホストおよびストレージ デバイスの属性が格納されたデータベースをメンテナンスします。ネーム サーバを使用すると、情報が本来登録されていたデバイスからデータベース エントリを変更することができます。
別のデバイスによって登録済みのデータベース エントリの内容を変更(アップデートまたは削除)する必要がある場合は、プロキシ機能が便利です。
ここで説明する内容は、次のとおりです。
• 「ネーム サーバ プロキシ登録の概要」
• 「ネーム サーバ プロキシの登録」
• 「重複 pWWN の拒否の概要」
• 「重複 pWWN 拒否」
• 「ネーム サーバ データベース エントリの概要」
• 「ネーム サーバ データベース エントリの表示」
ネーム サーバ プロキシ登録の概要
すべてのネーム サーバ レジストレーション要求は、パラメータが登録または変更されたポートから送信されます。これ以外のポートから送信された要求は拒否されます。
この認証により、WWN は別のノードに特定のパラメータを登録することができます。
ネーム サーバ プロキシの登録
Fabric Manager を使用してネーム サーバ プロキシを登録する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Fabric を展開し、VSAN を展開してから、Advanced を選択します。
Information ペインに VSAN の詳細な設定が表示されます。
ステップ 2 NS Proxies タブをクリックします。
選択した VSAN の既存のネーム サーバ プロキシが表示されます(図19-2 を参照)。
図19-2 ネーム サーバ プロキシ
ステップ 3 PortName フィールドをダブルクリックて、新しい値を入力して、新しいネーム サーバ プロキシを登録します。
ステップ 4 これらの変更を保存する場合は、Apply Changes アイコンをクリックします。保存されていない変更をキャンセルする場合は、Undo Changes をクリックします。
重複 pWWN の拒否の概要
別のデバイスの pWWN を使用した悪意のあるログイン、または予期せぬログインを防止することができます。これらの pWWN を使用すると、ファブリックにログインして、ネーム サーバ データベース内の最初のデバイスを置き換えることができます。
重複 pWWN 拒否
重複 pWWN を拒否する方法は、『 Cisco Nexus 5000 Series CLI Configuration Guide 』を参照してください。
ネーム サーバ データベース エントリの概要
ネーム サーバの FCNS データベースには、すべてのホストのネーム エントリが格納されています。ネーム サーバを使用すると、Nx ポートで(ネーム サーバへの)PLOGI 中に属性を登録し、その他のホストの属性を取得できます。Nx ポートが明示的または暗黙的にログアウトすると、これらの属性は登録解除されます。
複数スイッチのファブリック構成の場合、配信されたデータベース内の情報は、各スイッチで稼働している複数のネーム サーバ インスタンスで共有されます。スイッチごとに、ネーム サーバ プロセスのインスタンスが 1 つ実行されます。
ネーム サーバ データベース エントリの表示
Device Manager を使用してネーム サーバ データベースを表示する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 FC > Name Server をクリックします。
Name Server ダイアログボックスが表示されます(図19-3 を参照)。
図19-3 Name Server ダイアログボックス
デフォルト タブは General タブです。ネーム サーバ データベースが表示されます。
ステップ 2 Statistics タブをクリックします。
ネーム サーバの統計情報が表示されます。
ステップ 3 Close をクリックして、ダイアログボックスを閉じます。
FDMI
Nexus 5000 シリーズ スイッチでは、FC-GS-4 規格に記述されている FDMI 機能がサポートされます。FDMI を使用すると、ファイバ チャネル HBA などのデバイスをインバンド通信を介して管理できます。この追加機能によって、既存のファイバ チャネル ネーム サーバおよび管理サーバの機能が補完されます。
FDMI 機能を使用すると、独自のホスト エージェントをインストールしなくても、スイッチ ソフトウェアは接続先 HBA およびホスト OS(オペレーティング システム)に関する次の管理情報を抽出できます。
• 製造元、モデル、およびシリアル番号
• ノード名およびノードのシンボリック名
• ハードウェア、ドライバ、およびファームウェア バージョン
• ホスト OS の名前およびバージョン番号
すべての FDMI エントリは永続的ストレージに格納され、FDMI プロセスの起動時に取得されます。
FDMI の表示
Device Manager を使用して FDMI データベース情報を表示する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 FC > Advanced > FDMI をクリックします。
FDMI ダイアログボックスが表示されます。
ステップ 2 HBA タブ、 Versions タブ、または Targets タブをクリックします。
RSCN
RSCN は、ファブリック内の変更をホストに通知するファイバ チャネル サービスです。ホストが受信したこの情報は、(SCR を介して)ファブリック コントローラに登録されます。これらの通知により、1 つまたは複数の次のイベントが、適切なタイミングで示されます。
• ファブリックへのディスクの追加または削除
• ネーム サーバの登録内容の変更
• 新しいゾーンの適用
• IP アドレスの変更
• ホストの動作に影響するその他の同様なイベント
ここで説明する内容は、次のとおりです。
• 「RSCN 情報の概要」
• 「RSCN 情報の表示」
• 「multi-pid オプションの概要」
• 「multi-pid オプションの設定」
• 「RSCN 統計情報のクリア」
• 「CFS を使用した RSCN タイマー設定の配信」
• 「CFS による RSCN タイマーの設定」
RSCN 情報の概要
登録先ホストおよびファブリック内の到達可能なすべてのスイッチに、スイッチ RSCN(SW-RSCN)が送信されます。
(注) スイッチは RSCN を送信して、変更が発生したことを登録先ノードに通知します。ネーム サーバに問い合わせて、新しい情報を取得する作業は、ノードが行います。ノードに送信された RSCN 内のスイッチからは、変更された情報の詳細は配信されません。
RSCN 情報の表示
Fabric Manager を使用して RSCN 情報を表示する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Fabric を展開し、VSAN を展開してから、Advanced を選択します。
Information ペインに VSAN の詳細な設定が表示されます。
ステップ 2 RSCN Reg タブまたは RSCN Statistics タブをクリックします(図19-4 を参照)。
RSCN Statistics ペインが表示されます(図19-4 を参照)。
図19-4 RSCN 統計情報
multi-pid オプションの概要
RSCN の multi-pid オプションがイネーブルな場合、登録済みの Nx ポートに対して生成された RSCN には、関連ポート ID を複数格納できます。この場合、複数の関連ポート ID を単一 RSCN に格納する前に、ゾーン分割ルールが適用されます。このオプションをイネーブルにすると、RSCN 数を削減できます。たとえば、2 つのディスク(D1、D2)およびホスト(H)がスイッチ 1 に接続されているとします。ホスト H は RSCN を受信するように登録されています。D1、D2、および H は同じゾーンに属します。ディスク D1 および D2 が同時にオンラインになると、次のいずれかの処理が適用されます。
• スイッチ 1 で multi-pid オプションがディセーブルになります。ホスト H に対して 2 つの RSCN が生成されます(1 つはディスク D1 用、もう 1 つはディスク D2 用)。
• スイッチ 1 で multi-pid オプションがイネーブルになります。ホスト H に対して RSCN が 1 つ生成され、RSCN ペイロードによって関連ポート ID がリストされます(この場合は D1 および D2)。
(注) 一部の Nx ポートでは、multi-pid RSCN ペイロードをサポートできないことがあります。その場合は、RSCN の multi-pid オプションをディセーブルにしてください。
multi-pid オプションの設定
Fabric Manager を使用して multi-pid オプションを設定する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Fabric を展開し、VSAN を展開してから、Advanced を選択します。
Information ペインに VSAN の詳細な設定が表示されます。
ステップ 2 RSCN Multi-PID タブをクリックします。
RSCN Multi-PID ペインが表示されます(図19-5 を参照)。
図19-5 RSCN Multi-PID
ステップ 3 Enable チェックボックスをオンにします。
ステップ 4 これらの変更を保存する場合は、Apply Changes アイコンをクリックします。保存されていない変更をキャンセルする場合は、Undo Changes をクリックします。
RSCN 統計情報のクリア
カウンタをクリアし、そのあとで、別の一連のイベントに対するカウンタを表示することができます。たとえば、特定のイベント(ONLINE または OFFLINE イベントなど)に対して生成される RSCN 数または SW-RSCN 数を追跡できます。これらの統計情報を使用すると、VSAN 内のイベントごとに応答を監視できます。
指定された VSAN の RSCN 統計情報をクリアする手順については、『 Cisco Nexus 5000 Series CLI Configuration Guide 』を参照してください。
CFS を使用した RSCN タイマー設定の配信
各スイッチのタイムアウト値は手動で設定されるため、複数のスイッチがさまざまな時刻にタイムアウトする場合は設定ミスが生じます。つまり、ネットワーク内の複数の N ポートが異なる時刻に RSCN を受信することがあります。Cisco Fabric Services(CFS)を使用すると、設定情報がファブリック内のすべてのスイッチに自動配信されて、この状況が回避されます。また、SW-RSCN 数も削減されます。
RSCN は配信モードと非配信モードをサポートします。配信モードの場合、RSCN は CFS を使用して、ファブリック内のすべてのスイッチに設定を配信します。非配信モードの場合、ローカル スイッチの設定コマンドのみが影響を受けます。
(注) すべての設定コマンドが配布されるわけではありません。rscn event-tov tov vsan vsan コマンドのみが配信されます。
RSCN タイマーは、初期化およびスイッチオーバー中に CFS に登録されます。ハイ アベイラビリティ構成の場合に、RSCN タイマー配信がクラッシュし、再起動またはスイッチオーバーが発生すると、クラッシュまたはスイッチオーバーの前の状態から標準機能が再開します。
(注) ダウングレードを実行する場合は、ネットワーク内の RCSN タイマー値をデフォルト値に戻しておいてください。そうしないと、VSAN およびその他のデバイス間のリンクがディセーブルになります。
アップグレードまたはダウングレード中の各ソフトウェア リリースの互換性は、CFS が提供する conf-check によってサポートされます。ダウングレードの前に、RSCN タイマー配信サポートをディセーブルにするように要求されます。デフォルトでは、RSCN タイマー配信の機能がディセーブルです。
CFS による RSCN タイマーの設定
Fabric Manager を使用して CFS に RSCN タイマーを設定する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Fabric を展開し、VSAN を展開してから、Logical Domains ペインで Advanced を選択します。
ステップ 2 RSCN Event タブをクリックします。
Information ペインに VSAN の詳細な設定が表示されます(図19-6 を参照)。
図19-6 VSAN の詳細な設定
ステップ 3 TimeOut 値をダブルクリックして、選択した VSAN の値を変更します(ミリ秒)。
ステップ 4 これらの変更を保存する場合は、Apply Changes アイコンをクリックします。保存されていない変更をキャンセルする場合は、Undo Changes をクリックします。
この例では、イベントのタイムアウト値が VSAN 12 に対して 300 ミリ秒に設定されています。
デフォルト設定
表19-1 に、RSCN のデフォルト設定を示します。
表19-1 RSCN のデフォルト設定
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RSCN タイマー値 |
2000 ミリ秒(ファイバ チャネル VSAN の場合) |
RSCN タイマー設定の配信 |
ディセーブル |