N ポート バーチャライゼーションの設定
N Port Virtualization(NPV; N ポート バーチャライゼーション)では、SAN ファブリックで使用されるファイバ チャネル ドメイン ID 数が減少します。NPV モードで動作するエッジ スイッチはファブリックに加入せず、NPV コア スイッチとエンド デバイスの間でトラフィックを渡します。これによって、各エッジ スイッチ一意のドメイン ID が必要なくなります。
この章の内容は、次のとおりです。
• 「NPV の概要」
• 「注意事項および制限事項」
• 「NPV の設定」
NPV の概要
一般的にファイバ チャネル ネットワークは、コアエッジ モデルを使用して、多くのファブリック スイッチをコア デバイスに接続して展開します。しかし、ファブリックのポート数が増えると、展開するスイッチ数も増えて、ドメイン ID の数が劇的に増加します(1 つの SAN でサポートされている最大数は 239)。ファイバ チャネル ネットワークで多くのブレード スイッチを展開すると、これはさらに難しい課題になります。
NPV では、複数の NPV スイッチ間で NPV コア スイッチのドメイン ID を共有することで、ドメイン ID の数の増加を解決します。
NPV エッジ スイッチは、複数のローカル接続 N ポートを 1 つまたは複数の外部 NP リンクに集約します。エッジ スイッチはコア ファイバ チャネル スイッチのホスト、およびファブリック スイッチまたはブレード スイッチのサーバのファイバ チャネル スイッチのように見えます。
NPV では、NPV コア スイッチの同一ポートに複数のデバイスが接続されるので、コア スイッチに必要になる追加のポートを削減できます。
図12-1 に、NPV 設定のインターフェイスレベルのビューを示します。
Nexus 5000 シリーズ スイッチでは、物理ファイバ チャネル インターフェイスを NP ポートまたは F ポートにすることができます。仮想ファイバ チャネル インターフェイスは F ポートにすることができます。
図12-1 インターフェイス レベルの Cisco NPV 設定
(注) 2 つのエンド デバイス間におけるやり取りでは NPV デバイスからコアへの同じアップリンクが使用されるので、NPV モードでは順序どおりのデータ配信が必要ありません。NPV デバイスを超えるトラフィックでは、コア スイッチは、設定されている場合、順序どおりの配信を実行します。
ここでは、NPV モードのスイッチの動作について説明します。
• 「NP ポート」
• 「NP リンク」
• 「FLOGI 動作」
NP ポート
NP ポート(プロキシ N ポート)は、NPV モードになっているスイッチのポートであり、F ポートでコア NPV スイッチに接続されます。NP ポートは、複数の物理 N ポートのプロキシとして機能する N ポートのように動作します。
NP リンク
NP リンクは、基本的に特定エンド デバイスへの NPIV アップリンクです。NP リンクは、NPV コア スイッチへのアップリンクがアップしたときに確立します。アップリンクがダウンすると、NP リンクは終了します。アップリンクが確立すると、NPV スイッチは内部 FLOGI を NPV コア スイッチに対して実行し、FLOGI が正常に実行された場合は、NPV コア スイッチのネーム サーバに自分自身を登録します。この NP リンクにおけるエンド スイッチからのその後の FLOGI は FDISC に変換されます。
サーバ リンクは、NP リンク間で均等に分散されます。サーバ リンクの背後にあるすべてのエンド デバイスは、1 つの NP リンクのみにマッピングされます。
FLOGI 動作
NP ポートがアップすると、Nexus 5000 シリーズ スイッチがまず NPV コア スイッチに自分自身をログインし、次のパラメータを含む GLOGI 要求を送信します。
• 内部ログインで pWWN として使用される NP ポートのファブリック ポート WWN(fWWN)
• 内部 FLOGI でノード WWN(nWWN)として使用される Nexus 5000 シリーズ スイッチの VSAN ベースのスイッチ WWN(sWWN)
Nexus 5000 シリーズ スイッチは、FLOGI 要求が完了すると、次のパラメータをさらに使用して、ファブリック ネーム サーバに自分自身を登録します。
• NPV デバイス自体のネーム サーバ登録のシンボリック ポート名に、NP ポートのスイッチ名とインターフェイス名(fc2/4 など)が埋め込まれています。
• Nexus 5000 シリーズ スイッチの IP アドレスは、NPV デバイスのネーム サーバ登録で IP アドレスとして登録されます。
(注) NP ポートにおける内部 FLOGI の BB_SCN は、常にゼロに設定されます。BB_SCN は NPV デバイスの F ポートでサポートされます。
図12-2 は、NPV コア スイッチと NPV デバイスの間における内部 FLOGI のフローを示しています。
図12-2 内部 FLOGI フロー
表12-1 に、図12-2 に示した内部 FLOGI パラメータを示します。
表12-1 内部 FLOGI パラメータ
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pWWN |
NP ポートの fWWN |
nWWN |
NPV デバイスの VSAN ベース sWWN |
fWWN |
NPV コア スイッチの F ポートの fWWN |
シンボリック ポート名 |
スイッチ名および NP ポート インターフェイス文字列
(注) スイッチ名が得られない場合、出力は「switch」になり、たとえば、switch: fc2/3 となります。
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IP アドレス |
NPV デバイスの IP アドレス |
シンボリック ノード名 |
NPV スイッチ名 |
fWWN ベースのゾーン分割が NPV デバイスでサポートされますが、次のような理由のために推奨できません。
• ゾーン分割は NPV デバイスでは実施されない(NPV コア スイッチで実施される)。
• NPV デバイスに接続されている複数のデバイスは、コアで同じ F ポートによってログインするので、別々のゾーンに分割できない。
• 同一デバイスが、コア スイッチで(使用する NPV リンクによって)別の fWWN を使用してログインすることがあり、別々の fWWN を使用してゾーン分割しなければならないことがある。
注意事項および制限事項
次に、NPV 展開時の注意事項および要件を示します。
• NPV コア スイッチで使用可能なすべてのメンバー タイプを使用し、NPV デバイスに接続されているエンド デバイスにゾーン分割を設定できます。fWWN、sWWN、ドメイン、ポートベースのうちいずれかのゾーン分割を使用する場合は、NPV コア スイッチの fWWN、sWWN、ドメインまたはポートを使用する必要があります。
• NPV モードで、ポート トラッキングがサポートされています。「ポート トラッキングの概要」を参照してください。
• NPV スイッチでは、NPV スイッチでログインするデバイス用にポート セキュリティがサポートされます。NPV コア スイッチでは、ポート セキュリティがインターフェイスごとにイネーブルになります。NPV スイッチでログインするデバイス用に NPV コア スイッチでポート セキュリティをイネーブルにするには、次の要件に従う必要があります。
–内部 FLOGI をポート セキュリティ データベースに含める必要があります。これにより、NPV コア スイッチのポートで通信およびリンクが許可されます。
–すべてのエンド デバイスの pWWN も、ポート セキュリティ データベースに含める必要があります。
VSAN に基づいて別々の NPV セッションにデバイスをグループ化すると、複数の VSAN を NPV 対応スイッチでサポートできます。アップリンクが伝送できる VSAN に基づいて、正しいアップリンクを選択する必要があります。
• NPV ではロード バランシング アルゴリズムが使用され、VSAN のエンド デバイスが最初のログイン時にいずれかの NPV コア スイッチ リンク(同一 VSAN)に自動的に割り当てられます。同一 VSAN に複数の NPV コア スイッチ リンクがある場合は、特定のコア スイッチ リンクにエンド デバイスを割り当てることはできません。
• サーバ インターフェイスがダウンしてからサービスに復帰する場合、インターフェイスが同じコア スイッチ リンクに割り当てられない場合があります。
• 割り当てられているコア スイッチ リンクが動作している場合にだけ、サーバ インターフェイスが動作します。
• NPV モードの場合、サーバとターゲットの両方をスイッチに接続できます。
• ローカル スイッチングはサポートされません。すべてのトラフィックは NPV コア スイッチを使用してスイッチングされます。
• NPV デバイスは複数の NPV コア スイッチに接続できます。言い換えると、さまざまな NP ポートをさまざまな NPV コア スイッチに接続できます。
• NPV では NPIV 対応モジュール サーバ(ネスト NPIV)がサポートされます。
• F ポート、NP ポート、SD ポートのみが NPV モードでサポートされます。
NPV の設定
NPV をイネーブルにすると、システム設定は消去され、システムは NPV モードがイネーブルの状態でリブートされます。
(注) 設定をあとで使用する必要がある場合、NPV の前にブート フラッシュ メモリまたは TFTP サーバに現在の設定を保存することを推奨します。
Device Manager による NPV の設定
Device Manager を使用して NPV を設定する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 Nexus 5000 シリーズ スイッチから Device Manager を起動して、NPV をイネーブルにします。
ステップ 2 Admin ドロップダウン メニューから Feature Control を選択します。 Action フィールドで、NPV 機能の enable を選択して、 Apply をクリックします。
ステップ 3 NPV デバイスで外部インターフェイスを設定するには、Interface ドロップダウン リストから FC All を選択します。
ステップ 4 Mode Admin カラムで、各外部インターフェイスの NP ポート モードを選択して、 Apply をクリックします。
ステップ 5 Nexus 5000 シリーズ スイッチでサーバ インターフェイスを設定するには、Interface ドロップダウン リストから FC All を選択します。
ステップ 6 Mode Admin カラムで、各外部サーバ インターフェイスの F ポート モードを選択して、 Apply をクリックします。
ステップ 7 デフォルトの Admin ステータスは down です。ポート モードの設定後、Admin ステータスに up を選択し、リンクをアップにする必要があります。