Cisco JTAPI によるユーザ ディレクトリの使用方法
Cisco Java Telephony Applications Programming Interface(JTAPI)は、ユーザ ディレクトリを使用してどのデバイスが制御可能か判別し、発信側(Cisco CallManager Extension Mobility のログインを開始するユーザなど)の Media Access Control(MAC; メディア アクセス制御)アドレスを取得する目的で使用するインターフェイスを提供します。
Cisco JTAPI をインストールした後、Cisco CallManager ディレクトリにアクセスすることができます。このディレクトリは、JTAPI を初期化するパラメータ、ユーザ プロファイル、アプリケーション ロジック、およびネットワーク固有の設定情報(たとえば、ネットワーク リソースの位置やシステム管理者の認証)を保存します。
ユーザ情報
一般に、ユーザ情報の入力はオプションです。この情報が入力されているかどうかにかかわらず、デバイスは機能します。ただし、ユーザがここで入力した情報は、Directory Services、Cisco CallManager Attendant Console、Cisco IPMA、Cisco CallManager Extension Mobility、および Cisco IP Phone User Options ウィンドウにも使用されます。ユーザにこれらの機能を提供する場合は、すべてのユーザとその電話番号についての情報を User Information ウィンドウに入力する必要があります。また、電話機のある会議室などの区域のリソースについての情報(この情報は、Cisco CallManager Attendant Console に役立ちます)も、User Information ウィンドウに入力します。
ユーザを追加し、アプリケーション プロファイルを設定する手順の詳細については、『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「新規ユーザの追加」 の項を参照してください。
アプリケーション プロファイル
新規ユーザを追加した後、Cisco CallManager Administration の User Configuration ウィンドウにある[次のアプリケーション プロファイル]ペインのオプションを使用して、ユーザ プロファイルを設定できます。各ユーザはこれらのプロファイルを使用して、電話機の機能、Cisco IPMA、Cisco CallManager Extension Mobility、および Cisco IP SoftPhone の機能を個別に設定できます。
ユーザのアプリケーション プロファイルの設定方法については、
『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「アプリケーション プロファイルの設定」 の項を参照してください。
デバイスの関連付け
ユーザにデバイスを関連付けると、指定したデバイスのユーザ制御権がユーザに与えられます。ユーザは、電話機など一部のデバイスを制御できます。ユーザとして指定されたアプリケーションは、CTI ポートなど他のデバイスをコントロールします。ユーザが電話機の制御権を持つ場合、その電話機の特定の設定値(たとえば、短縮ダイヤルや自動転送)をコントロールできます。
[デバイスの割り当て]ウィンドウは、デバイス フィルタ セクションと、使用可能なデバイスのリストで構成されます。
使用可能なデバイス一覧のフィルタ
デバイス フィルタを使用すると、デバイスの名前、説明、または電話番号の全部またはその一部を検索基準として入力して、デバイスのリストを限定できます。使用可能なデバイスのリストを特定の選択項目に限定するには、次の方法で、検索する基準を入力してください。
• デバイスの名前、説明、または電話番号を選択する。
• 比較演算子を選択する。
• テキストまたは番号項目を入力する。
たとえば、「5」で始まるすべての内線番号をリストするには、[このデータで始まる電話番号]を選択した後、テキスト ボックスに 5 と入力します。
使用可能なデバイス
デバイスを表示するための検索基準を指定すると、その基準と一致する使用可能なすべてのデバイスが、[使用可能なデバイス]リストに表示されます。このリストは、20 個単位のデバイスのグループで表示され、ウィンドウ下部にあるボタンを使用してナビゲートできます。デバイス リストのページをスクロールするには、 First 、 Previous 、 Next 、および Last をクリックします。または、ウィンドウの入力ボックスにページ番号を入力して Page をクリックすると、特定のページにジャンプすることもできます。
既存のユーザに対するデバイスの割り当てを変更する場合、そのユーザに以前に割り当てられたデバイスが、デバイス リストの先頭のグループに表示されます。
そのデバイスの隣にあるチェックボックスを選択すると、そのユーザに 1 つ以上のデバイスを関連付けることができます。1 つのデバイスに複数の内線番号が関連付けられている場合、各回線の内線番号がリストに表示されます。1 つの回線の内線番号を選択するだけで、そのデバイスに関連付けられているすべての回線が選択されます。
デバイスをユーザに割り当てる方法の詳細については、『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「ユーザとデバイスとの関連付け」 を参照してください。
Cisco CallManager Auto Attendant プロファイル
Cisco CallManager Automated Attendant(AA)サービスは、着信コールに応答して、発信者にユーザ名または内線番号をプロンプトで尋ねます。Cisco CallManager AA は、ディレクトリをスキャンして一致するユーザ名または内線番号を解決し、発信者を適切なエンドポイントに転送します。
Cisco CallManager AA サービスは、各ユーザ名に固有な電話機のキーパッドの数値表示を必要とします。新規ユーザを追加した後、マッピングが生成されます。数値表示は、ラストネーム、ファーストネーム、およびミドルネームのイニシャル(LastFirstM)のアルファベットを、電話機の対応するキーにマッピングしたものです。生成後、Cisco CallManager AA はその数値表示をユーザ テーブル内の既存ユーザすべてと突き合せて検査します。
番号が固有である場合、Cisco CallManager AA はその番号を使用して、ユーザの識別に必要な最少の桁数を判別します。番号が固有でなく、同じ名前や同じ数値マッピングがある場合は、キー入力が重複していることを示すプロンプトが戻されます。この場合は、ユーザ名を変更するか(ニックネームを使用するか、ミドルネームのイニシャルを削除して)、重複を許可することができます。
Cisco CallManager Auto Attendant プロファイルとユーザとの関連付けの詳細については、『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「自動アテンダント プロファイルの関連付け」 を参照してください。
Cisco CallManager Extension Mobility プロファイル
Cisco IP Phone 7940 または Cisco IP Phone 7960 を一時的にユーザの電話機として設定するには、Cisco CallManager Extension Mobility を使用します。ユーザがある電話機にログインすると、ユーザの Extension Mobility プロファイル(回線番号や短縮ダイヤル番号など)がその電話機に常駐します。この機能は、電話機がユーザに恒常的に割り当てられていない環境で主に使用されます。
ユーザ デバイス プロファイルは、Cisco CallManager Extension Mobility 機能をサポートしています。ユーザ デバイス プロファイルには、次の情報があります。
• デバイス プロファイル情報:ユーザ デバイス プロファイル名、説明、ユーザ保留オーディオ ソース、およびユーザ ロケール
• 電話機のボタン テンプレートおよび拡張モジュール テンプレートの情報:電話機のボタン テンプレート、拡張モジュール 1、および拡張モジュール 2
• ソフトキー テンプレート情報:使用可能なソフトキー テンプレートのリスト
• ログアウト デフォルト プロファイル情報:ログイン ユーザ ID
ユーザの認証は、認証方式で行われます。ワークフロー エンジンは、HTTP post 要求を介して XML ストリングをログイン サービスに送信します。ストリングは次の項目で構成されます。
• ログイン アプリケーションのユーザ名とパスワード
• ユーザがプロファイルを常駐させる先のデバイスの MAC アドレスに基づいたデバイス名
ユーザのデバイスに、ダイアログ プロンプトが表示されます。
Cisco CallManager Extension Mobility の詳細については、『 Cisco CallManager 機能およびサービス ガイド 』の「 Cisco CallManager Extension Mobility」 の章を参照してください。
Cisco IP SoftPhone プロファイル
デバイス(回線)を Cisco IP SoftPhone としてユーザに関連付けることができます。この機能により、ユーザはデスクトップ PC を使用して電話をかけたり受けたりすることができ、また IP Phone を制御できます。
回線を Cisco IP SoftPhone としてユーザに関連付ける方法については、『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「Cisco IP SoftPhone プロファイルの関連付け」 を参照してください。Cisco IP SoftPhone の詳細については、『 Cisco IP SoftPhone Administrator Guide 』を参照してください。
Global Directory 検索のヒント
Cisco CallManager の Global Directory には、Cisco CallManager ディレクトリ内のすべてのユーザの情報が含まれています。Cisco CallManager は、LDAP をインターフェイスとしてユーザ情報を含んでいるディレクトリから読み込みます。
Global Directory には、基本ユーザ検索または拡張ユーザ検索のどちらかを使用してアクセスします。
ユーザを検索する手順、および既存のユーザ情報を更新する手順については、『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「Global Directory の検索」 の項を参照してください。
新規ユーザの追加については、「ユーザ情報」を参照してください。
関連トピック
• 「基本検索」
• 「詳細検索」
基本検索
Basic User Search ユーティリティは、検索条件として入力されたサブストリングと、first name、last name、および user ID の各フィールドと一致していないか検索します。たとえば、検索フィールドに「li」と入力した場合、検索結果には、そのサブストリングと一致するファースト ネーム、ラスト ネーム、またはユーザ ID を持つユーザが含まれます。この場合の検索結果は、次のリストを参照してください。
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Johnson |
Charlie |
cjohnson |
Ni |
Liang |
lni |
Collins |
Manny |
mcollins |
Lin |
Mike |
michaell |
Ivey |
Gabriel |
Gabrieli |
2 つ以上のサブストリングをスペースで区切って入力すると、各サブストリングが 3 つの検索フィールドのどれかの検索条件と一致していないか検索します。
詳細検索
Advanced User Search ユーティリティは、組み込みのブール論理を使用して複雑な検索を実行します。次のフィールドを使用して、検索基準を入力できます。
• First Name
• Last Name
• User ID
• Department Number
任意の 1 つのフィールドに複数の名前またはサブストリングをスペースで区切って入力すると、検索エンジンは、OR 関係演算子を使用してその要求を解釈し、指定された基準が当てはまる一致を検索します。たとえば、「john jerry」と入力すると、検索エンジンはファースト ネームが John または Jerry であるすべてのユーザを戻します。
複数の検索フィールドにサブストリングを入力すると、検索エンジンは、AND 関係演算子を使用してその要求を解釈し、両方の基準が当てはまる一致を検索します。たとえば、ファースト ネームに「Ling」、ラスト ネームに「Chu」と入力すると、検索エンジンは名前が Ling Chu のユーザを戻します。
ヒント OR の場合は、1 つのフィールドに複数の項目を指定します。AND の場合は、複数のフィールドにまたがって指定してください。たとえば、次のように入力するとします。
First Name:john jane
Last Name:jones smith
UserID:jjones jsmith
この場合、(firstname="john" OR "jane") AND lastname="jones" OR "smith") AND (userid="jjones" OR "jsmith") の検索が行われます。
ユーザ ディレクトリ管理の設定チェックリスト
表 15-1 では、ユーザ ディレクトリ情報を管理する際の一般的な手順とガイドラインを示しています。
表 15-1 ユーザ ディレクトリの設定チェックリスト
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ステップ 1 |
Global Directory 内のユーザを検索する。 |
『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「 Global Directory の検索 」 |
ステップ 2 |
ユーザを追加する。 |
『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「新規ユーザの追加」 |
ステップ 3 |
アプリケーション プロファイルを設定する。 |
『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「新規ユーザの追加」 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「デバイス プロファイルの設定」 |
ステップ 4 |
必要に応じ、電話機のテンプレートに Ad-Hoc 会議用の Conf ボタンを追加するか、Meet-Me 会議用の MMConf ボタンを追加する。 このステップを行う必要があるのは、Cisco IP Phone 12 SP、12 SP+、および 30 VIP 電話機を使用する場合だけです。 |
『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「電話ボタン テンプレートの変更」 |
ステップ 5 |
使用できる機能をユーザに通知する。 |
ユーザが Cisco IP Phone の各種機能にアクセスするための手順については、電話機の資料を参照してください。 |
参考情報
関連トピック
• 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「デバイス プロファイルの設定」
• 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「電話ボタン テンプレートの設定」
• 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「Cisco IP Phone の設定」
• 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「Cisco CallManager Attendant Console の設定」
• 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「Conference Bridge の設定」
参考資料
• 『Cisco IP SoftPhone Administrator Guide』
• 『Cisco IP SoftPhone User Guide』
• 『Cisco CallManager 機能およびサービス ガイド』
• Cisco IP Phone のユーザ資料とリリース ノート(全モデル)