Cisco Unity Connection 8.x の SpeechView の概要
SpeechView 機能を使用すると、ボイス メッセージをテキスト形式でメール ボックスに受信できるようになります。ボイス メッセージが到着すると、テキスト形式の空の添付ファイルと共に、受信者のメールボックスに格納されます。このテキスト形式の添付ファイルは、テキストに変換されたメッセージが文字変換サービスから返されると、そのテキストで更新されます。文字変換で問題が発生した場合は、エラー メッセージで更新されます。メッセージの文字変換は、最初の 500 文字だけです。これよりも長いメッセージは切り捨てられます。ただし、元の録音メッセージは、全体にアクセスできます。
SpeechView は、Connection ユニファイド メッセージング ソリューションの機能です。したがって各ボイス メッセージの元の音声は、いつでも、どこからでも使用できる状態のままになります。
(注) ボイス メッセージが WebInbox から VMO に送信されると、そのボイス メッセージは、文字変換ビュー ボックスとメール本体の両方で変換されたテキストとともに、受信者のメール ボックスに送信されます。
SpeechView 機能を有効にすると、ボイス メッセージをテキストに変換する、サード パーティ製の外部の文字変換サービスを、Cisco Unity Connection で使用できるようになります。Cisco Unity Connection 8.6(2) 以降では、SpeechView 機能では次のタイプの音声テキスト変換サービスが提供されます。
• 標準音声テキスト変換サービス:完全に自動化された、手動による支援のない音声テキスト変換サービスとして機能します。 標準音声テキスト変換サービスでは、音声テキスト変換サービスはボイス メッセージをテキストに自動的に変換し、Connection から受信した音声テキスト変換がメール ボックスを経由して受信者に送信されます。
• 専門的音声テキスト変換サービス:自動音声テキスト変換と、必要な場合は手動で介入してボイス メッセージをテキストに変換するサービスです。専門的音声テキスト変換サービスでは、最初にボイス メッセージがテキストに自動的に変換され、その変換の精度が確認されます。精度に問題のある部分が見つかった場合、音声テキスト変換のその部分は、音声を受信して音声テキスト変換の品質を改善するオペレータに送信されます。専門的音声テキスト変換サービスには、自動の音声テキスト変換と手動による介入の両方が含まれるため、テキスト メッセージの精度は、標準音声テキスト変換サービスよりも高くなります。専門的音声テキスト変換サービスは SpeechView Pro サービスとも呼ばれます。
(注) Connection バージョン 8.0(2) から 8.6(1) は、手動による介入がない、ボイス メッセージからテキストへの自動変換を行う標準音声テキスト変換サービスのみをサポートします。
Connection は、ボイス メッセージの音声部分を文字変換サービスに送信します。メッセージの送信者や受信者についての詳細は送信されません。Connection と外部の文字変換サービスとの間の通信は、S/MIME over SMTP を使用して保護されます。
SpeechView を使用するには、ボイス メッセージの文字変換が有効になっているサービス クラスに、ユーザが属している必要があります。サービス クラスには、ユーザの登録先に応じて、標準または専門的音声テキスト変換サービス タイプが指定されます。このサービス クラスのメンバーは、Connection メッセージにアクセスするように設定された IMAP クライアントを使用して、テキストに変換されたメッセージを参照できます。元のボイス メッセージは、テキストに変換されたメッセージに添付された状態で残ります。
サービス クラスの有効化についての詳細は、『 User Moves, Adds, and Changes Guide for Cisco Unity Connection 』の「Setting Up Features and Functionality That Are Controlled by Class of Service in Cisco Unity Connection 8.x」の章にある「 SpeechView Transcriptions of Voice Messages in Cisco Unity Connection 8.x 」の項を参照してください。このドキュメントは、 http://www.cisco.com/en/US/docs/voice_ip_comm/connection/8x/user_mac/guide/8xcucmacx.html から入手可能です。
また、SMS または SMTP の通知デバイスをユーザに設定すると、Connection は、SMS 対応の電話機または外部の電子メール アドレスに、音声テキスト変換を送信できます。Connection Messaging Assistant の Web ツールの使用権限を持っているユーザは、SMS または SMTP の通知デバイスを自分で設定できます。通知デバイスに送信されるメッセージには、元のボイス メッセージは添付されません。しかし、Connection にアクセスするためにダイヤルする電話番号を含めるように、デバイスを設定できるので、テキストに変換されたメッセージを確認した後、Connection に電話してそのボイス メッセージを聞くことができます。
次の種類のメッセージは、テキストに変換されません。
• プライベート メッセージ
• ブロードキャスト メッセージ
• ディスパッチ メッセージ
• セキュア メッセージ(設定可能)
• 有効なサービス クラスでの受信者のないメッセージ
(注) 有効なサービス クラスでの受信者のないメッセージとは、受信者のグループに送信され、SpeechView 音声テキスト変換サービスに登録された受信者がそのグループにいないメッセージです。この場合、ボイス メッセージはどの受信者にも音声テキスト変換されません。
セキュア メッセージは、ユーザが、[セキュア メッセージの文字変換を許可する(Allow Transcriptions of Secure Messages)] オプションが有効なサービス クラスに属している場合にのみテキストに変換されます。
SpeechView のセキュリティに関する考慮事項
すべての文字変換は、サード パーティ製の文字変換サービスによって、ユーザ環境の外部で処理されます。Cisco Unity Connection サーバと文字変換サービスとの間の通信は、S/MIME を使用して処理されます。S/MIME の公開キーと秘密キーのネゴシエーションは、文字変換サービスに登録している場合、透過的に行われます。システムを登録する度に、新しいキー ペアが作成されます。
メッセージが文字変換サービスに送信される際、メッセージと共にユーザの情報が渡されることはありません。文字変換サービスは、メッセージを所有する個別のユーザを認識しません。文字変換に手動による介入が必要な場合、文字変換に関わる担当者が、メッセージを所有するユーザまたは企業を特定することは不可能です。すべての音声メッセージは、変換システム上に保存されます。文字変換を処理する担当者のワークステーション上に保管されることはありません。テキストに変換されたメッセージが Connection サーバに送信されると、文字変換サービスが持つコピーは削除されます。
SpeechView の導入に関する推奨事項
個人の電話を Connection に転送する利点
SpeechView を最大限に活用するには、個人の携帯電話を Connection に転送するようにユーザに勧めてください。これにより、すべてのボイス メッセージが 1 つのメールボックスに集められ、文字に変換されます。そのためには、ユーザが、Connection のプライマリ内線番号に対応する職場の電話番号に、携帯電話を転送するように設定する必要があります。電話を転送するための携帯電話の設定方法については、使用する携帯電話の通信事業者に問い合せてください。一般的な手順については、『 User Guide for the Cisco Unity Connection Messaging Assistant Web Tool 』の「Changing Your Personal Preferences」の章にある「 Task List for Consolidating Your Voicemail from Multiple Phones into One Mailbox 」の項に説明があります。このドキュメントは、 http://www.cisco.com/en/US/docs/voice_ip_comm/connection/8x/user/guide/assistant/b_8xcucugasst.html から入手可能です。携帯電話にかけられた電話が、職場の電話に転送されるため、ユーザのメールボックスにアクセスするまでの発信者の待ち時間は、長くなる可能性があります。呼び出し音を鳴らさずに直接ユーザのメールボックスに転送される、専用の DID 番号に携帯電話を転送することで、この問題を回避できます。これを行うには、ユーザの代行内線番号として DID 番号を追加します。
ネットワーク接続された複数の Cisco Unity Connection サーバでの SpeechView の使用
ユーザとサード パーティ製の文字変換サービスとの間のインターフェイスを統合するには、使用する Cisco Unity Connection サーバ(またはクラスタ)のうち 1 台を、ネットワーク内の他の Connection サーバのプロキシとして動作するように設定します。この設定では、プロキシ サーバだけを文字変換サービスに登録します。これにより、文字変換に関する問題のトラブルシューティング、文字変換の使用の追跡、および、文字変換によりネットワークにかかる負荷のモニタが容易になります。
使用する Connection サーバのいずれかが、ネットワーク内の他のサーバよりもコール量が少ない場合、そのサーバを文字変換のプロキシ サーバに指定することを検討してください。
文字変換用にプロキシ サーバを使用しない場合は、ネットワーク内のサーバ(またはクラスタ)ごとに、外部から接続可能な個別の SMTP アドレスが必要です。
詳細については、「Cisco Unity Connection 8.x の SpeechView を設定するためのタスク リスト」を参照してください。
リレーまたは受信およびリレー メッセージ アクションとの SpeechView の使用
ボイス メッセージを代行 SMTP アドレスにリレーするようにユーザ アカウントが設定されている場合、そのユーザ アカウントのボイス メッセージは文字変換できません。リレー機能と一緒に文字変換を使用するには、ユーザ アカウントの設定を、ボイス メッセージを受信してからリレーするように変更します。これにより、Connection サーバ上に保管されたメッセージのコピーを使用して文字変換を実行できます。テキストに変換されたメッセージを SMTP アドレスに送信できるように、ユーザに SMTP 通知デバイスを設定します。つまり、ユーザは SMTP アドレスに 2 つの電子メールを受信することになります。先に受信するのは、リレーされたメッセージ WAV ファイルのコピーです。次に受信するのは、テキストに変換されたメッセージを含む通知です。メッセージごとに 2 つの電子メールを受信することを避けるには、ユーザ アカウントの設定を、メッセージを受信するように変更することを検討してください。そうすると、テキストに変換されたメッセージを含む電子メールだけを受信できます。元の録音メッセージにアクセスする必要がある場合は、Connection に電話するか、または、IMAP クライアントを使用して Connection アカウントにアクセスします。
受信してからリレーするメッセージ アクションなどの各メッセージ アクションについての詳細は、『 User Moves, Adds, and Changes Guide for Cisco Unity Connection 』( Release 8.x )の「 Setting Up Features and Functionality That Are Controlled by User Account Settings in Cisco Unity Connection 8.x 」の章にある「Message Actions in Cisco Unity Connection 8.x」の項を参照してください。このドキュメントは、 http://www.cisco.com/en/US/docs/voice_ip_comm/connection/8x/user_mac/guide/8xcucmacx.html から入手可能です。
Cisco Unity Connection 8.x での SpeechView の設定手順
次の項を参照してください。
• 「メッセージをスマート ホストにリレーするための Cisco Unity Connection サーバの設定」
• 「電子メール システムからのメッセージを受け入れるための Cisco Unity Connection サーバの設定」
• 「着信 SpeechView トラフィックを Cisco Unity Connection サーバへ転送するための電子メール システムの設定」
• 「SpeechView 文字変換サービスの設定」
メッセージをスマート ホストにリレーするための Cisco Unity Connection サーバの設定
Cisco Unity Connection が外部の文字変換サービスにメッセージを送信できるようにするには、スマート ホストを介してメッセージをリレーするように、Connection サーバを設定する必要があります。
メッセージをスマート ホストにリレーするように Cisco Unity Connection サーバを設定するには
ステップ 1 Cisco Unity Connection Administration で、[システム設定(System Settings)] > [SMTP の設定(SMTP Configuration)] を展開して、[スマート ホスト(Smart Host)] を選択します。
ステップ 2 [スマート ホスト(Smart Host)] ページの [スマート ホスト(Smart Host)] フィールドに、SMTP スマート ホスト サーバの IP アドレスまたは完全修飾ドメイン名を入力します(サーバの完全修飾ドメイン名は、DNS が設定されている場合のみ入力します)。
ステップ 3 [保存(Save)] を選択します。
電子メール システムからのメッセージを受け入れるための Cisco Unity Connection サーバの設定
次の手順を実行します。
電子メール システムからのメッセージを受け入れるよう Cisco Unity Connection サーバを設定する方法
ステップ 1 Cisco Unity Connection Administration で、[システム設定(System Settings)] > [SMTP 設定(SMTP Configuration)] を展開し、[サーバ(Server)] を選択します。
ステップ 2 [SMTP サーバの設定(SMTP Server Configuration)] ページの [編集(Edit)] メニューで、[IP アドレス アクセス リストの検索(Search IP Address Access List)] を選択します。
ステップ 3 [IP アドレス アクセス リストの検索(Search IP Address Access List)] ページで [新規追加(Add New)] を選択して、新しい IP アドレスをリストに追加します。
ステップ 4 [アクセス IP アドレスの新規作成(New Access IP Address)] ページで、電子メール サーバの IP アドレスを入力します。
ステップ 5 [保存(Save)] を選択します。
ステップ 6 ステップ 4 で入力した IP アドレスからの接続を許可するために、[アクセス IP アドレス(Access IP Address)] ページの [接続を許可する(Allow Connection)] チェックボックスをオンにします。
ステップ 7 [アクセス IP アドレス(Access IP Address)] ページの変更が終了したら、[保存(Save)] を選択します。
ステップ 8 組織内に複数の電子メール サーバがある場合は、ステップ 2 からステップ 7 を繰り返して、すべての IP アドレスをアクセス リストに追加します。
着信 SpeechView トラフィックを Cisco Unity Connection サーバへ転送するための電子メール システムの設定
次の手順を実行します。
着信 SpeechView トラフィックを Cisco Unity Connection サーバへ転送するよう電子メール システムを設定する方法
ステップ 1 サード パーティ製の文字変換サービスが、テキストに変換したメッセージを Cisco Unity Connection サーバに送信する際に使用する、外部から接続可能な SMTP アドレスを選択します。たとえば、「transcriptions@<yourdomain.com>」を選択します。
複数の Connection サーバがある場合は、サーバごとに、外部から接続可能な個別の SMTP アドレスが必要です。Connection クラスタの一部となっているサーバには必要ありません。または、1 台の Connection サーバ(またはクラスタ)を、デジタル ネットワーク内の他のサーバ(またはクラスタ)のプロキシとして動作するように設定できます。
ステップ 2 ステップ 1 で選択した、外部から接続可能な SMTP アドレスごとに、そのアドレスに送信されたメッセージを、Connection サーバ上のエイリアス「stt-service」に転送するように、電子メール インフラストラクチャを設定します。たとえば、Connection サーバの SMTP ドメインが「connectionserver1.cisco.com」である場合は、「transcriptions@cisco.com」を「stt-service@connectionserver1.cisco.com」に転送するように電子メール インフラストラクチャを設定する必要があります。
Connection クラスタ上に SpeechView を設定する場合は、クラスタの SMTP ドメインをパブリッシャ サーバとサブスクライバ サーバの両方に解決するように、スマート ホストを設定します。これにより、パブリッシャ サーバがダウンした場合に、着信したテキストに変換されたメッセージを、クラスタのサブスクライバ サーバに送信できます。
ステップ 3 「nuancevm.com」を電子メール インフラストラクチャの安全な送信者のリストに追加して、着信したテキストに変換されたメッセージがスパムとしてフィルタ処理されないようにします。
SpeechView 文字変換サービスの設定
次の手順を実行します。
SpeechView 音声テキスト変換サービスの設定方法
ステップ 1 (Cisco Unity Connection 8.5 以降) Cisco Unity Connection Administration で、[ユニファイド メッセージング(Unified Messaging)] > [SpeechView 文字変換サービス(SpeechView Transcription Service)] を展開します。
(Cisco Unity Connection 8.0) Cisco Unity Connection Administration で、[システム設定(System Settings)] > [外部サービス(External Services)] を展開し、[SpeechView 文字変換サービス(Transcription Service for SpeechView)] を選択します。
ステップ 2 SpeechView 音声テキスト変換サービスのページで [有効(Enabled)] チェックボックスをオンにします。
ステップ 3 このサーバが、デジタル ネットワークで接続された別の Connection ロケーションを介して、文字変換サービスにアクセスする場合は、次の手順に従います。
a. [Connection プロキシ ロケーション経由で文字変換サービスにアクセス(Access Transcription Services Through Connection Proxy Location)] を選択します。
b. リストから Connection ロケーションの名前を選択します。
c. [保存(Save)] を選択します。
d. ステップ 9 に進みます。
一方、このサーバが直接、音声テキスト変換サービスにアクセスする場合は、[文字変換サービスに直接アクセス(Access Transcription Service Directly)] を選択します。
ステップ 4 [着信 SMTP アドレス(Incoming SMTP Address)] フィールドに、電子メール インフラストラクチャで認識される電子メール アドレスで、Connection サーバ上のエイリアス「stt-service」に転送されるアドレスを入力します。(これは、「着信 SpeechView トラフィックを Cisco Unity Connection サーバへ転送するよう電子メール システムを設定する方法」のステップ 1 で選択した電子メール アドレスです)。
ステップ 5 [登録名(Registration Name)] フィールドに、組織内の Connection サーバを一意に識別する名前を入力します。サード パーティ製の文字変換サービスは、サーバの登録、およびその後の文字変換要求で、この名前を使用してサーバを識別します。
ステップ 6 このサーバから、デジタル ネットワークで接続された他の Connection ロケーションに対して、音声テキスト変換サービスを提供する場合は、[他の Connection ロケーションに文字変換プロキシ サービスをアドバタイズする(Advertise Transcription Proxy Services to Other Connection Locations)] チェックボックスをオンにします。
ステップ 7 [保存(Save)] を選択します。
ステップ 8 [登録(Register)] を選択します。
新しいウィンドウに結果が表示されます。通常、登録のプロセスには数分間かかります。登録処理が正常に終了するまで待ってから、次のステップに進んでください。
5 分以内に登録が終了しない場合は、設定に問題がある可能性があります。登録処理は 30 分後にタイムアウトになります。
ステップ 9 [テスト(Test)] を選択します。
新しいウィンドウに結果が表示されます。通常、テストは数分で終わりますが、最大 30 分まで許容されます。
Cisco Unity Connection 8.x の SpeechView レポート
Cisco Unity Connection は、SpeechView の使用に関する次のレポートを生成できます。
• ユーザ別 SpeechView アクティビティ レポート:指定されたユーザの指定された期間について、音声テキスト変換されたメッセージ、失敗した音声テキスト変換、および切り捨てられた音声テキスト変換の総数を示します。全ユーザに関するレポートを実行した場合は、ユーザ単位で出力されます。
• SpeechView アクティビティ要約レポート:指定された期間のシステム全体における、音声テキスト変換されたメッセージ、失敗した音声テキスト変換、および切り捨てられた音声テキスト変換の総数を示します。複数の受信者にメッセージを送信する場合、メッセージの文字変換が行われるのは 1 回だけです。つまり、文字変換アクティビティは 1 回としてカウントされることに注意してください。
レポート生成の詳細については、 「Cisco Unity Connection 8.x のレポート」 の章を参照してください。