BFD over SVI の概要
スイッチ仮想インターフェイス(SVI)は、特定の仮想ローカル エリア ネットワーク(VLAN)に属する、レイヤ 2 スイッチ ポート用の基本的なレイヤ 3 機能を提供するよう設計されたインターフェイスのタイプです。SVI は、VLAN インターフェイスで設定された IP アドレスを使用して、レイヤ 2 ドメインをレイヤ 3 ルーティング ドメインに接続します。
レイヤ 2 ネットワークの SVI を使用してレイヤ 3 ルーティング ドメインへのアクセスを提供する場合は、Bidirectional Forwarding Detection(BFD; 双方向フォワーディング検出)を使用して、ネットワークのデータ トラフィック障害を検出できます。
(注) BFD over SVI 機能を設定する場合、ソフトウェア バージョンを 15.1(1)S から 15.0(1)S にダウングレードする前に、ソフトウェアで platform bfd allow-svi コマンドを実行する必要があります。
制約事項および使用上の注意事項
BFD over SVI 機能を設定する場合は、次の制約事項および注意事項に従ってください。
• BFD over SVI は、BFD がサポートされているすべてのハードウェア プラットフォームでサポートされています。
• BFD over SVI に対するタイマー サポートは、メインおよびサブ インターフェイスでサポートされる BFD タイマー値と同様です。
• BFD がポート チャネルで実行されている場合は、BFD over SVI には、750 * 3 ミリ秒のタイマー値制限があります。
• no ip redirect コマンドをすべての BFD インターフェイスで実行して、 C7600 シリーズ ルータでのデータ パスを最適化します 。
BFD over SVI を使用したサンプル ネットワーク
図 58-1 に、REP がイネーブルなリング トポロジで BFD over SVI を使用したネットワークの例を示します。ネットワークの左側のセル サイト ルータ(CSR)は、レイヤ 2 ネットワーク上で C7600 ルータに集約されます。C7600 に設定された SVI は CSR にレイヤ 3 サービスを提供します。
CSR から 7600 ルータへのアップストリーム トラフィックのルーティングは、CSR でのスタティック ルートによって実現されます。そのスタティック ルートでは、C7600 ルータ(7609-1)の 1 台をプライマリ ルートとして指定し、バックアップ ノードとして動作する代替 C7600 ルータ(7609-2)をまたセカンダリ ルートとして指定します。スタティック ルート プリファレンスはスタティック ルート設定のメトリック値を使用して設定されます。
図 58-1 BFD over SVI ネットワーク
このようなトポロジでは、ネットワークのデータ トラフィック障害を処理するためにノード障害保護とリンク障害保護を展開できます。
ノード障害
ノード障害が BFD によって保護されるスタティック ルートを介して処理されます。プライマリ ノードで障害が発生した場合、BFD は障害を検出し、バックアップ ノードを介してネットワークの再コンバージェンスを開始します。スタティック ルートは CSR で使用されるため、再コンバージェンスに必要なのは、セカンダリまたはバックアップ ルートの初期化だけです。
図 58-2 では、リング トポロジがイネーブルな REP で BFD over SVI を使用したネットワークのノード障害を説明します。ネットワーク内のルータ 7609-1、7609-2 および 2 台の 2941 ルータは、保護されたノードです。プライマリ ノード(7609-1)に障害がある場合、トラフィックはセカンダリ ノード(7609-2)にリダイレクトされます。1 ~ 8 の番号が付けられているレイヤ 2 ノードは、保護されていません。
図 58-2 ノード障害
プライマリ ノードに障害が発生した場合、次のイベントが実行されます。
1. レイヤ 2 レベルで、REP はプライマリ パスが不良になり、セカンダリ パスを開くことを検知します。
2. レイヤ 3 レベルで、BFD はプライマリ ノード障害を検出し、セカンダリ ノードへのネットワーク コンバージェンスを開始します。
リンク障害
レイヤ 2 ネットワークのリンク障害は、REP によって処理されます。通常、REP は 100 ミリ秒未満でリング内のリンク障害を検出します。プライマリ レイヤ 2 パスで障害が発生した場合、REP はレイヤ 3 トラフィック用のセカンダリ レイヤ 2 パスを開きます。
図 58-3 では、BFD over SVI を使用したネットワークのリンク障害を説明します。レイヤ 2 リングでプライマリ リンク障害がある場合、REP はレイヤ 2 レベルでプライマリ パスが不良になり、セカンダリ パスを開くことを検出します。ノード障害がないため、BFD は検出せず、どのようなネットワーク変更も開始されません。
図 58-3 リンク障害
REP は、BFD よりも前にネットワークの障害をすべて検出して動作する必要があります。そうでなければ、BFD がノード障害を誤検出する可能性があります。プライマリ レイヤ 2 パスでリンク障害があり、REP がセカンダリ パスを非ブロック化するのに BFD よりも長い時間がかかる場合、BFD はノード障害を誤検出する可能性があります。その場合、REP によるセカンダリ パスの非ブロック化後、トラフィックはセカンダリ ノードを通過します。
REP の設定に関する詳細については、次のリンクを参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/routers/7600/ios/15S/configuration/guide/rep.html
BFD over SVI の設定
BFD over SVI を設定するには、次の手順を実行してください。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. interface vlan number
4. ip address ip-address mask
5. bfd interval milliseconds min_rx milliseconds multiplier interval-multiplier
6. ip route static bfd vlan number gateway
7. ip route [vrf vrf-name] mask { ip-address | vlan vlan-number [ ip-address ]} [dhcp] [ distance ] [name next-hop-name ] [permanent | track number ] [tag tag ]
8. end
9. show ip static route
手順の詳細
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ステップ 1 |
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 |
ステップ 2 |
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
Router(config)# interface vlan number Example: Router(config)# interface vlan 100 |
インターフェイスを設定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
Router(config-if)# ip address ip-address mask Example: Router(config-if)# ip address 10.0.0.1 255.255.255.0 |
インターフェイスに IP アドレスを設定します。 |
ステップ 5 |
Router(config-if)# bfd interval milliseconds min_rx milliseconds multiplier interval-multiplier Example: Router(config-if)# bfd interval 500 min_rx 500 multiplier 5 |
インターフェイスで BFD をイネーブルにして、BFD セッション パラメータを設定します。 |
ステップ 6 |
Router(config-if)# ip route static bfd vlan vlan-number gateway Example: Router(config-if)# ip route static bfd vlan 100 10.0.10.2 |
BFD ネイバーのスタティック ルートを指定します。 |
ステップ 7 |
Router(config-if)# ip route [vrf vrf-name] prefix mask {ip-address | vlan vlan-number [ip-address]} [dhcp] [distance] [name next-hop-name] [permanent | track number] [tag tag] Example: Router(config-if)# ip route vrf red 10.0.0.0 255.0.0.0 vlan 100 10.0.10.2 |
スタティック ルートを指定します。 |
ステップ 8 |
Router(config-if)# end |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを終了し、特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 9 |
Router# show ip static route |
(任意)ローカル スタティック Routing Information Base(RIB; ルーティング情報ベース)の情報を表示します。 |
(注) ソフトウェア バージョンを 15.1(1)S から 15.0(1)S にダウングレードして、BFD over SVI を設定する場合、まず platform bfd allow-svi コマンドを 15.1(1)S ソフトウェアで実行してから、ソフトウェアのダウングレードを開始する必要があります。
次の例では、同じ VLAN にあるルータ A および B での BFD over SVI 設定を表示し、設定を確認します。 show bfd neighbors details コマンドを使用して、BFD セッションが作成されていることを確認します。
Building configuration...
Current configuration : 119 bytes
ip address 51.1.1.2 255.255.255.0
bfd interval 500 min_rx 500 multiplier 3
ip route static bfd Vlan100 51.1.1.1
ip route 60.1.0.0 255.255.0.0 Vlan100 51.1.1.1
Building configuration...
Current configuration : 119 bytes
ip address 51.1.1.1 255.255.255.0
bfd interval 500 min_rx 500 multiplier 3
ip route static bfd Vlan100 51.1.1.2
ip route 10.1.0.0 255.255.0.0 Vlan100 51.1.1.2
RouterA# show bfd neighbors details
NeighAddr LD/RD RH/RS State Int
Session state is UP and using echo function with 500 ms interval.
Local Diag: 0, Demand mode: 0, Poll bit: 0
MinTxInt: 1000000, MinRxInt: 1000000, Multiplier: 3 Received MinRxInt: 1000000, Received Multiplier: 3 Holddown (hits): 0(0), Hello (hits): 1000(447) Rx Count: 335, Rx Interval (ms) min/max/avg: 1/533592/2465 last: 24 ms ago Tx Count: 451, Tx Interval (ms) min/max/avg: 1/26236/4077 last: 628 ms ago Elapsed time watermarks: 0 0 (last: 0) Registered protocols: CEF IPv4 Static
Last packet: Version: 1 - Diagnostic: 0
State bit: Up - Demand bit: 0
Poll bit: 0 - Final bit: 0
Multiplier: 3 - Length: 24
My Discr.: 2 - Your Discr.: 1
Min tx interval: 1000000 - Min rx interval: 1000000
Min Echo interval: 500000
RouterB# show bfd neighbors details
NeighAddr LD/RD RH/RS State Int
Session state is UP and using echo function with 500 ms interval.
Local Diag: 0, Demand mode: 0, Poll bit: 0
MinTxInt: 1000000, MinRxInt: 1000000, Multiplier: 3 Received MinRxInt: 1000000, Received Multiplier: 3 Holddown (hits): 0(0), Hello (hits): 1000(1904) Rx Count: 395, Rx Interval (ms) min/max/avg: 1/534840/2230 last: 228 ms ago Tx Count: 1908, Tx Interval (ms) min/max/avg: 1/28616/1210 last: 268 ms ago Elapsed time watermarks: 0 0 (last: 0) Registered protocols: CEF IPv4 Static
Last packet: Version: 1 - Diagnostic: 0
State bit: Up - Demand bit: 0
Poll bit: 0 - Final bit: 0
Multiplier: 3 - Length: 24
My Discr.: 1 - Your Discr.: 2
Min tx interval: 1000000 - Min rx interval: 1000000
Min Echo interval: 500000