Flex Link の概要
Flex Link はレイヤ 2 インターフェイス(スイッチポートまたはポート チャネル)のペアであり、片方のインターフェイスが他方のバックアップとして動作するように設定されています。Flex Link は、カスタマーが STP を実行しないサービス プロバイダー ネットワークまたは企業ネットワークで一般的に設定します。Flex Link では、スパニングツリー プロトコル(STP)の代替手段であるリンクレベルの冗長性が提供されます。Flex Link インターフェイスでは、STP が自動的にディセーブルになります。
Flex Link 機能を設定するには、プライマリにするリンクのスタンバイ リンクとして、1 つのレイヤ 2 インターフェイスを設定します。インターフェイスのペアに Flex Link を設定すると、片方のインターフェイスだけがリンクアップ状態になり、トラフィックを転送します。プライマリ リンクがシャットダウンされると、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を始めます。アクティブでないリンクがアップに戻ると、そのリンクはスタンバイ モードになります。
図 11-1 では、ルータ A のポート 1 およびポート 2 が、アップリンク ルータ B および C に接続されています。これは Flex Link として設定されているので、片方のインターフェイスだけがトラフィックを転送し、他方のインターフェイスはスタンバイ モードになります。ポート 1 がアクティブ リンクである場合は、ポート 1 がポート 1 とルータ B の間でトラフィックの転送を始めます。ポート 2(バックアップ リンク)とルータ C の間のリンクはトラフィックを転送しません。ポート 1 がダウンすると、ポート 2 がアップし、ルータ C へのトラフィックの転送を始めます。ポート 1 は、アップに戻るとスタンバイ モードになり、トラフィックを転送しません。ポート 2 がトラフィックの転送を続けます。
図 11-1 Flex Link の設定例
プライマリ(転送)リンクがダウンすると、トラップによってネットワーク管理ステーションが通知を受けます。スタンバイ リンクがダウンすると、トラップによってユーザが通知を受けます。
Flex Link はレイヤ 2 ポートおよびポート チャネルだけでサポートされ、VLAN またはレイヤ 3 ポートではサポートされません。
Flex Link の設定
ここでは、次の設定について説明します。
• 「Flex Link のデフォルト設定」
• 「Flex Link 設定時の注意事項および制約事項」
• 「Flex Link の設定」
Flex Link のデフォルト設定
Flex Link はデフォルトでは設定されていません。
Flex Link 設定時の注意事項および制約事項
Flex Link を設定する場合は、次の注意事項と制約事項に従ってください。
• アクティブ リンクには、Flex Link バックアップ リンクを 1 つだけ設定できます。バックアップ リンクは、アクティブ インターフェイスとは異なるインターフェイスにする必要があります。
• インターフェイスは 1 つの Flex Link ペアだけに属します。インターフェイスは、1 つだけのアクティブ リンクのバックアップ リンクにすることができます。アクティブ リンクは、別の Flex Link ペアに属することができません。
• どちらのリンクも、EtherChannel に属するポートには設定できません。ただし、2 つのポート チャネル(EtherChannel 論理インターフェイス)を Flex Link として設定でき、ポート チャネルおよび物理インターフェイスを Flex Link として設定して、ポート チャネルか物理インターフェイスのどちらかをアクティブ リンクにすることができます。
• バックアップ リンクを、アクティブ リンクと同じタイプにする必要はありません(ファスト イーサネット、ギガビット イーサネット、ポート チャネルのいずれか)。ただし同様の特性で両方の Flex Link を設定し、スタンバイ リンクがアクティブになった場合に、操作のループや変更が発生しないようにする必要があります。
• Flex Link ポートでは STP がディセーブルになります。ルータで STP をディセーブルにする場合は、ネットワーク トポロジにレイヤ 2 ループがないことを確認してください。
• Flex Link ポート、またはそのリンクの接続先ポートでは、STP 機能(PortFast、BPDU ガードなど)を設定しないでください。
Flex Link の設定
Flex Link を設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Router(conf)# interface {{ type slot/port } | { port-channel number }} |
レイヤ 2 インターフェイスを指定します。 |
ステップ 3 |
Router(conf-if)# switchport backup interface {{ type1 slot/port } | { port-channel number }} |
Flex Link ペアの一部としてインターフェイスを設定します。 |
ステップ 4 |
Router(conf-if)# exit |
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 5 |
Router# show interface [{ type1 slot/port } | { port-channel number }] switchport backup |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
Router# copy running-config startup config |
(任意)ルータ スタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
(注) switchport backup interface コマンドを使用してスイッチポート インターフェイスを設定し、バックアップ インターフェイスにトラフィックを渡す場合、入力カウンタはバックアップ インターフェイスで増加しますが、実際のトラフィックはそのインターフェイスを通過しません。
次に、バックアップ インターフェイスでインターフェイスを設定して、設定を確認する例を示します。
Router# configure terminal
Router(conf)# interface fastethernet1/1
Router(conf-if)# switchport backup interface fastethernet1/2
Router# show interface switchport backup
Router Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
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FastEthernet1/1 FastEthernet1/2 Active Up/Backup Standby
FastEthernet1/3 FastEthernet2/4 Active Up/Backup Standby
Port-channel1 GigabitEthernet7/1 Active Up/Backup Standby
モニタリング:Flex Link
表 11-1 に、Flex Link 設定をモニタするための特権 EXEC コマンドを示します。
表 11-1 Flex Link のモニタ コマンド
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show interface [{ type slot/port } | { port-channel number }] switchport backup |
インターフェイスに設定されている Flex Link バックアップ インターフェイスを表示するか、ルータに設定されているすべての Flex Link、およびアクティブ インターフェイスとバックアップ インターフェイスのそれぞれの状態(アップ モードまたはスタンバイ モード)を表示します。 |