レイヤ 2 プロトコル トンネリングの機能概要
レイヤ 2 プロトコル トンネリングを使用すると、レイヤ 2 プロトコル データ ユニット(PDU)(CDP、STP、および VTP)をネットワーク経由でトンネリングできます。ここで使用する用語は、次のとおりです。
• エッジ ルータ:カスタマー ルータに接続されていて、サービス プロバイダー ネットワークの境界に配置されているルータ(図 18-1 を参照)
• レイヤ 2 プロトコル トンネル ポート:エッジ ルータ上の、特定のトンネリング プロトコルをカプセル化またはカプセル化解除できるポート。レイヤ 2 プロトコル トンネル ポートは CLI コマンドを使用して設定します。
• トンネル化 PDU:CDP、STP、または VTP PDU
レイヤ 2 プロトコル トンネリングがない場合、トンネル ポートは STP と VTP パケットをドロップし、CDP パケットを処理します。この PDU の処理方法に応じて、カスタマー スイッチに異なるスパニングツリー ドメイン(異なるスパニングツリー ルート)が作成されます。たとえば、ルータ 1 上の VLAN 用の STP(図 18-1 を参照)によって、スイッチ 4 および 5 に基づくコンバージェンス パラメータを考慮せずに、スイッチ 1、2、3 上でスパニングツリー トポロジ が作成されます。顧客に単一のスパニングツリー ドメインを提供できるようにするため、制御プロトコル PDU(CDP、STP、および VTP)用に BPDU をトンネリングする一般スキームが作成されます。このプロセスは、Generic Bridge PDU Tunneling(GBPT)といいます。
図 18-1 レイヤ 2 プロトコル トンネリング ネットワークの設定
GBPT は、入力エッジ スイッチ内で PDU をソフトウェアでカプセル化してから、ハードウェアでマルチキャストすることにより PDU トンネリングを拡張する方式です。サービス プロバイダー ネットワーク内のすべてのスイッチは、カプセル化されたこれらのフレームをデータ パケットとして処理し、もう一方の端に転送します。出力エッジ ルータは、特殊なカプセル化フレームを待ち受けて、カプセル化を解除し、さらにトンネルから外へ転送します。
カプセル化では、PDU 内の宛先 Media Access Control(MAC; メディア アクセス コントロール)アドレスも書き換えられます。入力エッジ ルータは、レイヤ 2 トンネル ポートで受信した PDU の宛先 MAC アドレスをシスコ独自のマルチキャスト アドレス(01-00-0c-cd-cd-d0)に書き換えます。次に、PDU はレイヤ 2 トンネル ポートのネイティブ VLAN にフラッディングされます。ポート上でレイヤ 2 プロトコル トンネリングをイネーブルにした場合、イネーブル化されたプロトコルの PDU は送信されません。ポート上でレイヤ 2 プロトコル トンネリングをディセーブルにすると、ディセーブルになったプロトコルは、そのポート上でレイヤ 2 プロトコル トンネリングがディセーブルになる前と同様に動作します。
レイヤ 2 プロトコル トンネリングのサポートの設定
(注) • 802.1Q トンネル ポートで受信されたカプセル化 PDU は、ルータ上の同じ VLAN にある別のトンネル ポートから伝送されます。
• 次のように、レイヤ 2 プロトコル トンネリング ポートでジャンボ フレーム サポートを設定してください。
– を参照してください。
– 「ジャンボ フレーム サポートの設定」で指定されている、ジャンボ フレームをサポートしないモジュールをメモします。
特定のポート上でレイヤ 2 プロトコル トンネリングを設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface type slot/port |
設定する LAN ポートを選択します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# switchport |
LAN ポートをレイヤ 2 スイッチング用に設定します。 • LAN ポートをレイヤ 2 インターフェイスとして設定するには、キーワードを指定せずに switchport コマンドを 1 度入力する必要があります。そのあとで、キーワードとともにさらに switchport コマンドを入力してください。 • インターフェイスに対して switchport コマンドを一度も入力していない場合にかぎり、必須です。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)# l2protocol-tunnel [ cdp | drop-threshold [ packets | shutdown-threshold [ packets ]| stp | vtp ] |
指定したプロトコル(複数可)用のレイヤ 2 プロトコル トンネル ポートとして、レイヤ 2 ポートを設定します。 |
Router(config-if)# no l2protocol-tunnel [ cdp | drop-threshold | shutdown-threshold | stp | vtp ] |
設定を消去します。 |
ステップ 4 |
Router(config)# end |
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 5 |
Router# show l2protocol-tunnel [ interface type1 slot/port | summary ] |
設定を確認します。 |
レイヤ 2 ポートをレイヤ 2 プロトコル トンネル ポートとして設定する際、以下に注意してください。
• 任意で、ポートにドロップしきい値を指定することもできます。1 ~ 4096 のドロップしきい値は、特定のインターフェイス上で、特定のプロトコルに対し、1 秒間に処理されるパケット数を決定します。処理パケット数が drop-threshold 値を超えると、その特定のプロトコルの PDU は、1 秒間の残りの時間に廃棄されます。シャットダウンしきい値を指定しない場合、値は 0 です(シャットダウンしきい値はディセーブルです)。
• 任意で、ポートにシャットダウンしきい値を指定することもできます。1 ~ 4096 のシャットダウンしきい値によって、そのインターフェイス上で 1 秒間にそのプロトコルに関して処理されるパケット数が決まります。シャットダウンしきい値を超えると、ポートは errdisable ステートになります。シャットダウンしきい値を指定しない場合、値は 0 です(シャットダウンしきい値はディセーブルです)。
(注) 次のコマンドの l2ptguard キーワードの詳細については、『Cisco 7600 Series Router Cisco IOS Command Reference』を参照してください。
• errdisable detect cause
• errdisable recovery cause
次に、CDP、STP、および VTP に対して、ポート 5/1 にレイヤ 2 プロトコル トンネリングおよびシャットダウンしきい値を設定し、その設定を確認する例を示します。
Router# configure terminal
Router(config)# interface fastethernet 5/1
Router(config-if)# switchport
Router(config-if)# l2protocol-tunnel shutdown-threshold cdp 10
Router(config-if)# l2protocol-tunnel shutdown-threshold stp 10
Router(config-if)# l2protocol-tunnel shutdown-threshold vtp 10
Router# show l2protocol-tunnel summary
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Fa5/1 cdp stp vtp 0/10 /10 /10 down trunk
次に、ポート 5/1 のカウンタ情報を表示する例を示します。
Router# show l2protocol-tunnel interface fastethernet 5/1
Port Protocol Threshold Counters
(cos/cdp/stp/vtp) (cdp/stp/vtp/decap)
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次に、ポート 5/1 のレイヤ 2 プロトコル トンネリング設定をクリアする例を示します。
Router(config-if)# no l2protocol-tunnel shutdown-threshold cdp 10
Router(config-if)# no l2protocol-tunnel shutdown-threshold stp 10
Router(config-if)# no l2protocol-tunnel shutdown-threshold vtp 10
Router(config-if)# no l2protocol-tunnel cdp
Router(config-if)# no l2protocol-tunnel stp
Router(config-if)# no l2protocol-tunnel vtp
Router# show l2protocol-tunnel summary
----------------------------------------
次に、レイヤ 2 プロトコル トンネリング ポートのカウンタを消去する例を示します。
Router# clear l2protocol-tunnel counters