ユニキャスト RPF チェックの設定
ここでは、Cisco IOS ユニキャスト Reverse Path Forwarding(RPF; リバース パス転送)チェック(ユニキャスト RPF チェック)について説明します。
• 「PFC3 ユニキャスト RPF チェックのサポートの概要」
• 「ユニキャスト RPF チェックに関する注意事項および制約事項」
• 「ユニキャスト RPF チェックの設定」
PFC3 ユニキャスト RPF チェックのサポートの概要
ユニキャスト RPF チェックの機能概要の詳細については、次の URL にある『 Cisco IOS Security Configuration Guide , Release 12.2』の「Other Security Features」、「Configuring Unicast Reverse Path Forwarding」を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/12_2/security/configuration/guide/scfrpf.html
PFC3 は、複数のインターフェイスからのトラフィックの RPF チェックをハードウェアでサポートします。
strict 方式ユニキャスト RPF チェックの場合、PFC3 はルーティング テーブルのプレフィックスすべてに対し 2 つのパラレル パスと、4 つのユーザ設定変更可能な RPF インターフェイス グループ(インターフェイス グループごとに 4 つのインターフェイスを収容可能)のいずれかを通じて到達したプレフィックスに対し最大 4 つのパラレル パスをサポートします。
loose 方式ユニキャスト RPF チェック(別名 exist-only 方式)の場合、PFC3 は最大 8 つのリバース パス インターフェイスをサポートします(Cisco IOS ソフトウェアはルーティング テーブルでは 8 つのリバース パスに制限されます)。
Cisco IOS でユニキャスト RPF チェックを実行する方式は、次の 4 つです。
• strict ユニキャスト RPF チェック
• allow-default を使用した strict ユニキャスト RPF チェック
• loose ユニキャスト RPF チェック
• allow-default を使用した loose ユニキャスト RPF チェック
ユニキャスト RPF チェックをインターフェイス単位で設定できますが、ユニキャスト RPF チェックがイネーブルであるインターフェイスすべてに対して PFC3 がサポートするのは、ユニキャスト RPF 方式だけです。現在設定されている方式とは異なるユニキャスト RPF 方式を使用するようにインターフェイスを設定する場合、ユニキャスト RPF チェックがイネーブルになっているシステムのインターフェイスすべてが、新しい方式を使用します。
ユニキャスト RPF チェックに関する注意事項および制約事項
ユニキャスト RPF チェックの設定時には、次の注意事項および制約事項に従ってください。
• ユニキャスト RPF チェックを設定し、ACL でフィルタをかける場合、PFC はトラフィックが ACL と一致するかどうかを判断します。PFC は RPF ACL に拒否されたトラフィックを MSFC へ送信し、MSFC がユニキャスト RPF チェックを行います。ACL によって許可されたパケットは、ユニキャスト RPF チェック(CSCdz35099)を行わずにハードウェアで転送されます。
• 通常、DoS 攻撃のパケットは拒否 ACE と一致し、ユニキャスト RPF チェックを行うため MSFC に送信されます。そのため、送信されたパケットが MSFC を過負荷状態にする可能性があります。
• PFC は、ユニキャスト RPF チェックの ACL とは一致しなくても、入力セキュリティ ACL と一致するトラフィックをハードウェアでサポートします。
• PFC では、Policy-Based Routing(PBR; ポリシーベース ルーティング)トラフィックのユニキャスト RPF チェックをハードウェアでサポートしません (CSCea53554)。
ユニキャスト RPF チェック モードの設定
ユニキャスト RPF には、次に示す 2 つのチェック モードがあります。
• strict チェック モード:送信元 IP アドレスが FIB テーブルにあること、および入力ポートから到達可能な範囲内にあることを確認します。
• exist-only チェック モード:送信元 IP アドレスが FIB テーブルにあるかどうかだけを確認します。
(注) ユニキャスト RPF チェック用に設定されたすべてのポートには、その時点で設定されているモードが自動的に適用されます。
ユニキャスト RPF チェック モードを設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface {{ vlan vlan_ID } | { type slot/port } | { port-channel number }} |
設定するインターフェイスを選択します。 (注) ユニキャスト RPF チェックは次の宛先にパケットを転送する前に、入力ポートに基づいて、最適なリターン パスを確認します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# ip verify unicast source reachable-via { rx | any } [ allow-default ] [ list ] |
ユニキャスト RPF チェック モードを設定します。 |
Router(config-if)# no ip verify unicast |
デフォルトのユニキャスト RPF チェック モードに戻します。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)# exit |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 4 |
Router# show mls cef ip rpf |
設定を確認します。 |
ユニキャスト RPF チェック モードを設定する際、次の情報に注意してください。
• strict チェック モードをイネーブルにするには、 rx キーワードを使用します。
• exist-only チェック モードをイネーブルにするには、 any キーワードを使用します。
• RPF の確認にデフォルト ルートを使用できるようにするには、 allow-default キーワードを使用します。
• アクセス リストを識別するには、 list オプションを使用します。
– アクセス リストによってネットワークへのアクセスが拒否された場合は、スプーフィングされたパケットがポートで廃棄されます。
– アクセス リストによってネットワークへのアクセスが許可された場合は、スプーフィングされたパケットが宛先アドレスに転送されます。転送されたパケットは、インターフェイスの統計情報にカウントされます。
– アクセス リストにログ アクションが含まれている場合、スプーフィングされたパケットに関する情報がログ サーバに送信されます。
(注) ip verify unicast source reachable-via コマンドを入力すると、ユニキャスト RPF チェック モードがルータのすべてのポートで変更されます。
次に、ギガビット イーサネット ポート 4/1 でユニキャスト RPF の exist-only チェック モードをイネーブルにする例を示します。
Router(config)# interface gigabitethernet 4/1
Router(config-if)# ip verify unicast source reachable-via any
次に、ギガビット イーサネット ポート 4/2 でユニキャスト RPF の strict チェック モードをイネーブルにする例を示します。
Router(config)# interface gigabitethernet 4/2
Router(config-if)# ip verify unicast source reachable-via rx
次に、設定を確認する例を示します。
Router# show running-config interface gigabitethernet 4/2
Building configuration...
Current configuration : 114 bytes
interface GigabitEthernet4/2
ip address 42.0.0.1 255.0.0.0
ip verify unicast reverse-path
Router# show running-config interface gigabitethernet 4/1
Building configuration...
Current configuration : 114 bytes
interface GigabitEthernet4/1
ip address 41.0.0.1 255.0.0.0
ip verify unicast reverse-path (RPF mode on g4/1 also changed to strict-check RPF mode)
PFC3 での複数パスのユニキャスト RPF チェック モードの設定
PFC3 で複数パスのユニキャスト RPF チェック モードを設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# mls ip cef rpf mpath { punt | pass | interface-group } |
PFC3 で複数のパス RPF チェック モードを設定します。 |
Router(config)# no mls ip cef rpf mpath { punt | interface-group } |
デフォルト値に戻します( mls ip cef rpf mpath punt )。 |
ステップ 2 |
Router(config)# end |
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 3 |
Router# show mls cef ip rpf |
設定を確認します。 |
複数のパス RPF チェックを設定する場合、次の情報に注意してください。
• punt (デフォルト):プレフィックスごとに最大 2 つのインターフェイスに対して、PFC3 はユニキャスト RPF チェックをハードウェアで実行します。追加のインターフェイスに着信するパケットは MSFC3 にリダイレクト(パント)されて、ソフトウェアでユニキャスト RPF チェックが実行されます。
• pass :パスが 1 つまたは 2 つのプレフィックスの場合、PFC3 はユニキャスト RPF チェックをハードウェアで実行します。ユニキャスト RPF チェックは、3 つ以上のリバースパス インターフェイスのある multipath プレフィックスから着信するパケットに対し、ディセーブルです(このパケットは常にユニキャスト RPF チェックに合格します)。
• interface-group :パスが 1 つまたは 2 つのプレフィックスの場合、PFC3 はユニキャスト RPF チェックをハードウェアで実行します。PFC3 はプレフィックス単位で最大 4 つの追加インターフェイスに対し、ユーザ設定変更可能なマルチパス ユーザ RPF チェック インターフェイス グループを介して、ユニキャスト RPF チェックを実行します。ユニキャスト RPF チェックは、3 つ以上のリバースパス インターフェイスのある他の multipath プレフィックスから着信するパケットに対し、ディセーブルです(このパケットは常にユニキャスト RPF チェックが行われます)。
次に、複数パスの RPF チェックを設定する例を示します。
Router(config)# mls ip cef rpf mpath punt
PFC3 での複数パスのインターフェイス グループの設定
複数パスのユニキャスト RPF インターフェイス グループを PFC3 に設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# mls ip cef rpf interface-group [ 0 | 1 | 2 | 3 ] interface1 [ interface2 [ interface3 [ interface4 ]]] |
複数パスの RPF インターフェイス グループを PFC3 に設定します。 |
ステップ 2 |
Router(config)# mls ip cef rpf interface-group group_number |
インターフェイス グループを削除します。 |
ステップ 3 |
Router(config)# end |
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 4 |
Router# show mls cef ip rpf |
設定を確認します。 |
次に、インターフェイス グループ 2 を設定する例を示します。
Router(config)# mls ip cef rpf interface-group 2 fastethernet 3/3 fastethernet 3/4 fastethernet 3/5 fastethernet 3/6
self-ping のイネーブル化
ユニキャスト RPF チェックがイネーブルの場合、ルータはデフォルトで self-ping を実行できません。
self-ping をイネーブルにするには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface {{ vlan vlan_ID } | { type slot/port } | { port-channel number }} |
設定するインターフェイスを選択します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# ip verify unicast source reachable-via any allow-self-ping |
self-ping またはセカンダリ アドレスへの ping を実行できるように、ルータをイネーブルにします。 |
Router(config-if)# no ip verify unicast source reachable-via any allow-self-ping |
self-ping をディセーブルにします。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)# exit |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを終了します。 |
次に、self-ping をイネーブルにする例を示します。
Router(config)# interface gigabitethernet 4/1
Router(config-if)# ip verify unicast source reachable-via any allow-self-ping