リンク ステート トラッキングの機能概要
REP および MST セグメントでリンク障害が発生すると、関連するプロトコルはリンク障害イベントを処理します。ただし、スイッチへのプライマリ リンクがイネーブルになっている場合は、スイッチ上の対応するアップリンク ポートがディセーブルでも、REP および MST プロトコルはバックボーン側を認識せず、フェールオーバーを開始しません。ルータは、アクセス側からのトラフィックを受信し続けますが、バックボーン接続がないためにそのトラフィックをことごとくドロップします。リンク ステート トラッキングは、アップリンク インターフェイスがリンク ステータスをダウンリンク ポートへバインドできるようにすることで、この問題に対するソリューションを提供します。アップリンク ステート トラッキングは、一連のアップリンク ポートがディセーブルの場合に、CLI コマンドによってリンクされた他のポートもディセーブルになるように設定されています。アップストリーム インターフェイスすべてがディセーブルの場合のみ、ダウンリンク インターフェイスすべてのステートが errdisable になります。
LST は、コア側インターフェイスのステートに応じて、アクセス側で REP/MST の再コンバージェンスを開始します。コア側インターフェイスおよびアクセス側インターフェイスのリンク ステートは、リンク ステート トラッキング グループによりバインドされます。
LST は、以下を容易にします。
– リンク ステート グループ トラッキングのイネーブル化とディセーブル化。
– リンク ステート グループからのダウンストリーム インターフェイスの削除。
– errdisable インターフェイスでの shut/no shut の実行。
制約事項および使用上の注意事項
LST を設定する場合は、次の制約事項および使用上の注意事項に従ってください。
• 管理インターフェイスがリンク ステート グループに参加していないことを確認します。
• REP ポートは、アップリンク ポートとして設定できません。
• LST では、アップストリームまたはダウンストリームを問わず、どのインターフェイスも複数のリンク ステート グループに参加できません。
• 最大 10 のリンク ステート グループを設定できます。
• LST を初めて設定するときは、アップストリーム インターフェイスをリンク ステート グループに追加してからダウン ストリームを追加する必要があります。このようにしない場合は、ダウンリンク インターフェイスの状態が errdisable になります。
• 設定可能なインターフェイスは、物理的(ルーテッドとスイッチ ポートの両方)、ポートチャネル、サブインターフェイス、および VLAN です。
• アップストリーム インターフェイスは次のいずれかであることが必要です。
– L3 インターフェイス(物理またはポートチャネル)
– SVI
• ダウンストリーム インターフェイスは次のいずれかであることが必要です。
– L2 インターフェイス
– L2 ポートチャネル
– EVC
リンク ステート トラッキングの設定
リンク ステート トラッキングを設定するには、次の作業を実行します。
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ステップ 1 |
enable Example: Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 |
ステップ 2 |
configure terminal Example: Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
link state track number Example: Router(config)# link state track 1 |
リンク ステート グループを作成して、LST をイネーブルにします。指定できる範囲は 1 ~ 10 です。デフォルト値は 1 です。 |
ステップ 4 |
interface slot/port Example: Router(config)# interface gigabitethernet 2/1 |
インターフェイスを設定します。 |
ステップ 5 |
link state group [number] { upstream | downstream } Example: Router(config-if)# link state group 1 upstream |
リンク ステート グループを指定し、グループ内のインターフェイスをアップストリームまたはダウンストリーム インターフェイスに設定します。グループ番号は 1 ~ 10 に設定できます。デフォルト値は 1 です。 |
ステップ 6 |
end Example: Router(config-if)# end |
CLI を終了して特権 EXEC モードに戻ります。 |
次に、リンク ステート グループを作成してインターフェイスを設定する例を示します。
Router# configure terminal
Router(config)# link state track 1
Router(config)# interface gigabitethernet3/1
Router(config-if)# link state group 1 upstream
Router(config-if)# interface gigabitethernet3/3
Router(config-if)# link state group 1 upstream
Router(config-if)# interface gigabitethernet3/5
Router(config-if)# link state group 1 downstream
Router(config-if)# interface gigabitethernet3/7
Router(config-if)# link state group 1 downstream
次に、設定を確認する例を示します。
show link state group コマンドは、リンク ステート グループの情報を表示します。
Router> show link state group 1
Link State Group: 1 Status: Enabled, Down
show link state group detail コマンドは、グループの詳細情報を表示します。
Router> show link state group detail
(Up):Interface up (Dwn):Interface Down (Dis):Interface disabled
Link State Group: 1 Status: Enabled, Down
Upstream Interfaces : Gi3/5(Dwn) Gi3/6(Dwn)
Downstream Interfaces : Gi3/1(Dis) Gi3/2(Dis) Gi3/3(Dis) Gi3/4(Dis)
Link State Group: 2 Status: Enabled, Down
Upstream Interfaces : Gi3/15(Dwn) Gi3/16(Dwn) Gi3/17(Dwn)
Downstream Interfaces : Gi3/11(Dis) Gi3/12(Dis) Gi3/13(Dis) Gi3/14(Dis)
(Up):Interface up (Dwn):Interface Down (Dis):Interface disabled
リンク ステート トラッキングのトラブルシューティング
表 65-1 に、LST 設定中の問題のトラブルシューティングについて示します。
表 65-1 LST の問題のトラブルシューティング
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アップストリーム インターフェイスがアップの場合でも、ダウンストリーム インターフェイスが errdisable ステートになる。 |
show interfaces <interface> status err-disabled コマンドを使用して、インターフェイスが前記のステートになる理由を確認します。 show errdisable recovery コマンドを使用して、errdisable リカバリ タイマーについての情報を表示します。 |