レイヤ 2 スイッチングの機能概要
ここでは、Cisco 7600 シリーズ ルータにおけるレイヤ 2 スイッチングの機能について説明します。
• 「レイヤ 2 イーサネット スイッチングの概要」
• 「VLAN トランクの概要」
• 「レイヤ 2 LAN ポート モード」
レイヤ 2 イーサネット スイッチングの概要
Cisco 7600 シリーズ ルータは、レイヤ 2 イーサネット セグメント間での同時パラレル接続をサポートします。イーサネット セグメント間のスイッチド コネクションが維持されるのは、パケットの伝送時間の長さだけです。次のパケットには、別のセグメント間に新しい接続が確立されます。
Cisco 7600 シリーズ ルータは、高帯域のデバイスおよび多数のユーザに起因する輻輳問題を解決するために、デバイス(サーバなど)ごとに専用の 10 Mbps、100 Mbps、または 1000 Mbps 衝突ドメインを割り当てます。各 LAN ポートは、それぞれ別のイーサネット衝突ドメインに接続されているので、スイッチング環境が適切に設定されていれば、サーバは全帯域幅にアクセスできます。
衝突はイーサネット ネットワークに重大な輻輳を引き起こしていますが、有効な解決策の 1 つは全二重通信です。イーサネットは通常、半二重モードで動作します。つまり、各ステーションは送信または受信のどちらか一方しか実行できません。全二重モードでは、2 つのステーション間で同時に送受信を行うことができます。パケットを双方向に同時に送ることができるので、有効なイーサネット帯域幅は 2 倍になります。
セグメント間のフレーム スイッチング
Cisco 7600 シリーズ ルータ上の各 LAN ポートは、1 台のワークステーションまたはサーバに接続することも、ハブを介して複数のワークステーションまたはサーバをネットワークに接続することもできます。
標準的なイーサネット ハブでは、すべてのポートがハブ内の共通のバックプレーンに接続され、ハブに接続されたすべてのデバイスが、ネットワークの帯域幅を共有します。2 つのステーション間で、相当量の帯域幅を使用するセッションを確立した場合には、そのハブに接続された他のすべてのステーションで、ネットワークのパフォーマンスが低下します。
このようなパフォーマンス低下を軽減するために、ルータは各 LAN ポートをそれぞれ独立したセグメントとして扱います。異なる LAN ポートに接続されているステーションが相互に通信する必要がある場合、ルータは、一方の LAN ポートから他方の LAN ポートにワイヤ速度でフレームを転送して、各セッションが全帯域幅を利用できるようにします。
LAN ポート間のフレーム スイッチングを効率的に行うために、ルータはアドレス テーブルを維持します。フレームがルータに着信すると、ルータは送信元ネットワーク デバイスの MAC アドレスと、フレームを受信した LAN ポートを対応付けます。
アドレス テーブルの作成
Cisco 7600 シリーズ ルータは、受信したフレームの送信元アドレスを使用して、アドレス テーブルを作成します。アドレス テーブルに宛先アドレスが登録されていないフレームをルータが受信すると、そのフレームを受信したポート以外の、同一 VLAN のすべての LAN ポートに、フレームをフラッディングします。宛先ステーションから応答があると、ルータは関連する送信元アドレスおよびポート ID をアドレス テーブルに追加します。ルータは以後、LAN ポートすべてに後続フレームをフラッディングせずに、1 つの LAN ポートだけに転送します。
アドレス テーブルには、エントリのフラッディングを伴わずに 32,000 以上のアドレス エントリを保管できます。ルータは設定変更可能なエージング タイマーによって定められたエージング メカニズムを使用するので、アドレスが所定の秒数だけ非アクティブ状態になると、アドレス テーブルから削除されます。
トランキングの概要
(注) VLAN の詳細については、を参照してください。
トランクとはルータとその他のネットワーキング デバイス間のポイントツーポイント リンクです。トランクは 1 つのリンクを介して複数の VLAN トラフィックを伝送するので、VLAN をネットワーク全体に拡張することができます。
次の 2 種類のトランキング カプセル化方式が、すべてのイーサネット ポートで使用可能です。
• スイッチ間リンク(ISL):ISL はシスコ独自のトランキング カプセル化方式です。
(注) 次のスイッチング モジュールは、ISL カプセル化をサポートしません。
• WS-X6502-10GE
• WS-X6548-GE-TX、WS-X6548V-GE-TX、WS-X6548-GE-45AF
• WS-X6148-GE-TX、WS-X6148V-GE-TX、WS-X6148-GE-45AF
• 802.1Q:802.1Q は、業界標準のトランキング カプセル化方式です。
1 つのイーサネット ポートまたは EtherChannel に対してトランクを設定できます。EtherChannel の詳細については、を参照してください。
イーサネット トランク ポートは、数種類のトランキング モードをサポートしています(表 10-2を参照)。さらに、トランクでの ISL または 802.1Q カプセル化の使用、またはカプセル化タイプの自動ネゴシエーションを指定することもできます。
(注) カプセル化タイプをネゴシエーションするように LAN ポートを設定できます。カプセル化タイプをネゴシエーションするように WAN インターフェイスの設定はできません。
Dynamic Trunking Protocol(DTP)は LAN ポート上のトランク自動ネゴシエーションを管理します。DTP は、ISL および 802.1Q の両方のトランクで自動ネゴシエーションをサポートしています。
トランキングを自動ネゴシエーションするには、LAN ポートが同じ VTP ドメインに存在する必要があります。異なるドメイン内の LAN ポートを強制的にトランクするには、 trunk キーワードまたは nonegotiate キーワードを使用します。VTP ドメインの詳細については、を参照してください。
カプセル化タイプ
表 10-1 に、イーサネット トランクのカプセル化タイプを示します。
表 10-1 イーサネット トランクのカプセル化タイプ
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switchport trunk encapsulation isl |
トランク リンクに ISL カプセル化を指定します。 (注) 一部のモジュールでは ISL カプセル化をサポートしません(「トランキングの概要」を参照)。 |
switchport trunk encapsulation dot1q |
トランク リンクに 802.1Q カプセル化を指定します。 |
switchport trunk encapsulation negotiate |
LAN ポートがネイバー LAN ポートとネゴシエーションを行い、ネイバー LAN ポートの設定および機能に応じて、ISL トランク(優先)または 802.1Q トランクになるように指定します。 |
リンクが ISL トランクまたは 802.1Q トランクのどちらになるかは、接続された 2 つの LAN ポートのトランキング モード、トランク カプセル化タイプ、およびハードウェア機能によって決まります。
レイヤ 2 LAN ポート モード
表 10-2 に、レイヤ 2 LAN ポート モードを示し、LAN ポートにおける各モードの機能について説明します。
表 10-2 レイヤ 2 LAN ポート モード
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switchport mode access |
LAN ポートは永続的な非トランキング モードになり、リンクを非トランク リンクに変換するようにネゴシエーションを行います。ネイバー LAN ポートが変更に同意しなくても、LAN ポートは非トランク ポートになります。 |
switchport mode dynamic desirable |
リンクからトランク リンクへの変換を LAN ポートにアクティブに試行させます。ネイバー LAN ポートが trunk 、 desirable 、または auto モードに設定されていれば、LAN ポートはトランク ポートになります。このモードは、すべての LAN ポートのデフォルト モードです。 |
switchport mode dynamic auto |
LAN ポートにリンクからトランク リンクへの変換を試行させます。ネイバー LAN ポートが trunk または desirable モードに設定されていれば、LAN ポートはトランク ポートになります。 |
switchport mode trunk |
LAN ポートは永続的なトランキング モードになり、リンクをトランク リンクに変換するようにネゴシエーションを行います。ネイバー ポートが変更に同意しなくても、LAN ポートはトランク ポートになります。 |
switchport nonegotiate |
LAN ポートを永続的なトランキング モードにしますが、LAN ポートが DTP フレームを生成するのを防ぎます。トランク リンクを確立するには、ネイバー ポートを手動でトランク ポートとして設定する必要があります。 |
(注) DTP はポイントツーポイント プロトコルです。ただし、インターネットワーキング デバイスによっては、DTP フレームが正しく転送されないことがあります。この問題を避けるために、これらのリンク上でトランキングを行わない場合は、DTP をサポートしないデバイスに接続されている LAN ポートが、access キーワードを使用して設定されていることを確認してください。DTP をサポートしないデバイスへのトランキングをイネーブルにするには、nonegotiate キーワードを使用して、LAN ポートをトランクにし、DTP フレームが生成されないようにします。
レイヤ 2 LAN インターフェイス設定時の注意事項および制約事項
レイヤ 2 LAN ポートの設定時には、次の注意事項および制約事項に従ってください。
• 次のスイッチング モジュールは、ISL カプセル化をサポートしません。
– WS-X6502-10GE
– WS-X6548-GE-TX、WS-X6548V-GE-TX、WS-X6548-GE-45AF
– WS-X6148-GE-TX、WS-X6148V-GE-TX、WS-X6148-GE-45AF
• 次に示す設定時の注意事項および制約事項は、802.1Q トランクを使用するときに適用され、ネットワークのトランキングの構築方法が多少制限されます。802.1Q トランクを使用するときは、これらの制約事項に注意してください。
– 802.1Q トランクを介して Cisco スイッチを接続するときは、802.1Q トランクのネイティブ VLAN がトランク リンクの両端で同じであることを確認してください。トランクの一端のネイティブ VLAN と反対側の端のネイティブ VLAN が異なると、スパニングツリー ループの原因になります。
– ネットワーク上のすべてのネイティブ VLAN についてスパニングツリーをディセーブルにせずに、802.1Q トランクの VLAN 上のスパニングツリーをディセーブルにすると、スパニングツリー ループが発生することがあります。802.1Q トランクのネイティブ VLAN 上で、スパニングツリーをイネーブルのままにしておくことを推奨します。この設定ができない場合は、ネットワークのすべての VLAN 上でスパニングツリーをディセーブルにしてください。スパニングツリーをディセーブルにする場合には、事前にネットワークに物理的なループが存在しないことを確認してください。
– 802.1Q トランクを介して 2 台の Cisco スイッチを接続すると、トランク上で許容される VLAN ごとにスパニングツリー BPDU が交換されます。トランクのネイティブ VLAN 上の BPDU は、タグなしの状態で、予約済み IEEE 802.1d スパニングツリー マルチキャスト MAC アドレス(01-80-C2-00-00-00)に送信されます。トランクの他のすべての VLAN 上の BPDU は、タグ付きの状態で、予約済み Cisco Shared Spanning Tree(SSTP)マルチキャスト MAC アドレス(01-00-0c-cc-cc-cd)に送信されます。
– 他社製の 802.1Q スイッチでは、すべての VLAN に対してスパニングツリー トポロジーを定義するスパニングツリーのインスタンス(Mono Spanning Tree(MST))が 1 つしか維持されません。802.1Q トランクを介してシスコ製ルータを他社製のルータに接続すると、他社製ルータの MST とシスコ製ルータのネイティブ VLAN スパニングツリーが組み合わされて、Common Spanning Tree(CST)と呼ばれる単一のスパニングツリー トポロジーが形成されます。
– Cisco スイッチは、トランクのネイティブ VLAN 以外の VLAN にある SSTP マルチキャスト MAC アドレスに BPDU を送信します。したがって、他社製のスイッチではこれらのフレームが BPDU として認識されず、対応する VLAN のすべてのポート上でフラッディングされます。他社製の 802.1Q クラウドに接続された他の Cisco スイッチは、フラッディングされたこれらの BPDU を受信します。このようにして、Cisco スイッチは、他社製の 802.1Q スイッチ クラウドにわたって、VLAN 別のスパニングツリー トポロジーを維持できます。Cisco スイッチを隔てている他社製の 802.1Q クラウドは、802.1Q トランクを介して他社製の 802.1Q クラウドに接続されたすべてのスイッチ間の単一のブロードキャスト セグメントとして処理されます。
– Cisco スイッチを他社製の 802.1Q クラウドに接続するすべての 802.1Q トランク上で、ネイティブ VLAN が同じであることを確認します。
– 他社製の特定の 802.1Q クラウドに複数の Cisco スイッチを接続する場合は、すべての接続に 802.1Q トランクを使用する必要があります。ISL トランクまたはアクセス ポートを介して、Cisco スイッチを他社製の 802.1Q クラウドに接続できません。このように接続すると、ルータは ISL トランク ポートまたはアクセス ポートのスパニングツリー ポート ステートを「矛盾する」状態にし、ポートを介してトラフィックが送信されなくなります。
レイヤ 2 スイッチング用の LAN インターフェイスの設定
ここでは、Cisco 7600 シリーズ ルータにおけるレイヤ 2 スイッチングの設定手順について説明します。
• 「レイヤ 2 スイッチング用の LAN ポートの設定」
• 「トランクとしてのレイヤ 2 スイッチング ポートの設定」
• 「レイヤ 2 アクセス ポートとしての LAN インターフェイスの設定」
• 「カスタム IEEE 802.1Q EtherType フィールド値の設定」
(注) インターフェイスをデフォルト設定に戻すには、default interface {ethernet | fastethernet | gigabitethernet | tengigabitethernet} slot/port コマンドを使用します。
レイヤ 2 スイッチング用の LAN ポートの設定
レイヤ 2 スイッチング用の LAN ポートを設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface type slot/port |
設定する LAN ポートを選択します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# shutdown |
(任意)設定が完了するまでトラフィック フローを防止するために、インターフェイスをシャットダウンします。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)# switchport |
LAN ポートをレイヤ 2 スイッチング用に設定します。 コマンドを入力してください。 |
Router(config-if)# no switchport |
レイヤ 2 LAN ポートの設定を消去します。 |
ステップ 4 |
Router(config-if)# no shutdown |
インターフェイスをアクティブにします。(インターフェイスをシャットダウンしている場合に限り必要)。 |
ステップ 5 |
Router(config-if)# end |
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 6 |
Router# show running-config interface [ type 1 slot/port ] |
インターフェイスの実行コンフィギュレーションを表示します。 |
ステップ 7 |
Router# show interfaces [ type 1 slot/port ] switchport |
インターフェイスのスイッチ ポートの設定を表示します。 |
ステップ 8 |
Router# show interfaces [ type 1 slot/port ] trunk |
インターフェイスのトランクの設定を表示します。 |
switchport コマンドを入力したあとのデフォルト モードは、 switchport mode dynamic desirable です。ネイバー ポートがトランキングをサポートし、かつトランキングを許可するように設定されている場合、 switchport コマンドを入力すると、リンクはレイヤ 2 トランクになります。LAN トランク ポートは、デフォルトでカプセル化についてネゴシエーションします。ネイバー ポートが ISL および 802.1Q カプセル化をサポートし、かつ両方のポートがカプセル化タイプについてネゴシエーションするように設定されていれば、トランクは ISL カプセル化を使用します(10 ギガビット イーサネット ポートは ISL カプセル化をサポートしません)。
ISL または 802.1Q トランクとしてのレイヤ 2 スイッチング ポートの設定
(注) • ここに記載された作業を実行する前に、「レイヤ 2 スイッチング用の LAN ポートの設定」の手順を実行します。
• キーワードを指定せずに switchport コマンドを入力する場合(前述のステップ 3)、デフォルト モードは switchport mode dynamic desirable および switchport trunk encapsulation negotiate です。
レイヤ 2 スイッチング ポートを ISL または 802.1Q トランクとして設定するには、次の作業を行います。
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Router(config-if)# switchport trunk encapsulation { isl | dot1q | negotiate } |
(任意)カプセル化を設定して、レイヤ 2 スイッチング ポートを ISL または 802.1Q トランクとして設定します。 |
Router(config-if)# no switchport trunk encapsulation |
デフォルトのトランク カプセル化モード( negotiate )に戻します。 |
レイヤ 2 スイッチング ポートを ISL または 802.1Q トランクとして設定する場合、次の点に注意してください。
• switchport mode trunk コマンド(「DTP を使用しないようにするためのレイヤ 2 トランクの設定」を参照)は、 switchport trunk encapsulation negotiate コマンドと互換性がありません。
• switchport mode trunk コマンドを使用できるようにするには、カプセル化または 802.1Q を設定する必要があります。
• 次のスイッチング モジュールは、ISL カプセル化をサポートしません。
– WS-X6502-10GE
– WS-X6548-GE-TX、WS-X6548V-GE-TX、WS-X6548-GE-45AF
– WS-X6148-GE-TX、WS-X6148V-GE-TX、WS-X6148-GE-45AF
(注) ここに記載された作業を実行したあとで、「トランクの設定の完了」の手順を実行します。
DTP を使用するためのレイヤ 2 トランクの設定
(注) ここに記載された作業を実行する前に、「レイヤ 2 スイッチング用の LAN ポートの設定」の手順を実行します。
DTP を使用するようにレイヤ 2 トランクを設定するには、次の作業を行います。
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Router(config-if)# switchport mode dynamic { auto | desirable } |
(任意)DTP を使用するようにトランクを設定します。 |
Router(config-if)# no switchport mode |
デフォルトのトランク トランキング モード( switchport mode dynamic desirable )に戻します。 |
DTP を使用するようにレイヤ 2 トランクを設定する際、次の情報に注意してください。
• インターフェイスがレイヤ 2 アクセス ポートの場合、またはトランキング モードを指定する場合に限り必須です。
• トランキング モードの詳細については、表 10-2 を参照してください。
(注) ここに記載された作業を実行したあとで、「トランクの設定の完了」の手順を実行します。
DTP を使用しないようにするためのレイヤ 2 トランクの設定
(注) ここに記載された作業を実行する前に、「レイヤ 2 スイッチング用の LAN ポートの設定」の手順を実行します。
DTP を使用しないようにレイヤ 2 トランクを設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config-if)# switchport mode trunk |
(任意)無条件にポートをトランクに設定します。 |
Router(config-if)# no switchport mode |
デフォルトのトランク トランキング モード( switchport mode dynamic desirable )に戻します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# switchport nonegotiate |
(任意)DTP を使用しないようにトランクを設定します。 |
Router(config-if)# no switchport nonegotiate |
ポート上で DTP をイネーブルにします。 |
DTP を使用しないようにレイヤ 2 トランクを設定する際、次の点に注意してください。
• switchport mode trunk コマンドを入力する前に、カプセル化を設定する必要があります(「ISL または 802.1Q トランクとしてのレイヤ 2 スイッチング ポートの設定」を参照)。
• switchport nonegotiate コマンドを使用できるようにするには、 switchport mode trunk コマンドを入力する必要があります。
• switchport mode dynamic trunk コマンドを入力します。トランキング モードの詳細については、表 10-2 を参照してください。
• switchport nonegotiate コマンドを入力する前にカプセル化を設定し(「ISL または 802.1Q トランクとしてのレイヤ 2 スイッチング ポートの設定」を参照)、 switchport mode trunk コマンドを使用して無条件にポートをトランクに設定する必要があります(「DTP を使用するためのレイヤ 2 トランクの設定」を参照)。
(注) ここに記載された作業を実行したあとで、「トランクの設定の完了」の手順を実行します。
アクセス VLAN の設定
(注) ここに記載された作業を実行する前に、「レイヤ 2 スイッチング用の LAN ポートの設定」の手順を実行します。
アクセス VLAN を設定するには、次の作業を行います。
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Router(config-if)# switchport access vlan vlan_ID |
(任意)インターフェイスがトランキングを停止した場合に使用するアクセス VLAN を設定します。 vlan_ID の値は 1 ~ 4094 です(予約済み VLAN は除く。 を参照)。 |
Router(config-if)# no switchport access vlan |
デフォルト値に戻します(VLAN 1)。 |
(注) ここに記載された作業を実行したあとで、「トランクの設定の完了」の手順を実行します。
802.1Q ネイティブ VLAN の設定
(注) ここに記載された作業を実行する前に、「レイヤ 2 スイッチング用の LAN ポートの設定」の手順を実行します。
802.1Q ネイティブ VLAN を設定するには、次の作業を行います。
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Router(config-if)# switchport trunk native vlan vlan_ID |
(任意)802.1Q ネイティブ VLAN を設定します。 |
Router(config-if)# no switchport trunk native vlan |
デフォルト値に戻します(VLAN 1)。 |
ネイティブ VLAN を設定する際、次の点に注意してください。
• vlan_ID の値は 1 ~ 4094 です(予約済み VLAN は除く。 を参照)。
• アクセス VLAN がネイティブ VLAN として自動的に使用されることはありません。
(注) ここに記載された作業を実行したあとで、「トランクの設定の完了」の手順を実行します。
トランク上で許容される VLAN のリストの設定
(注) ここに記載された作業を実行する前に、「レイヤ 2 スイッチング用の LAN ポートの設定」の手順を実行します。
トランク上で許容される VLAN のリストを設定するには、次の作業を行います。
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Router(config-if)# switchport trunk allowed vlan { add | except | none | remove } vlan [, vlan [, vlan [,...]] |
(任意)トランク上で許容される VLAN のリストを設定します。 |
Router(config-if)# no switchport trunk allowed vlan |
デフォルト値に戻します(すべての VLAN を許容)。 |
トランク上で許容される VLAN のリストを設定する際、次の情報に注意してください。
• vlan パラメータは、1 ~ 4094 の間の 1 つの VLAN 番号、または 2 つの VLAN 番号で指定する(小さい方の数を先にして、間をダッシュで区切る)VLAN 範囲です。カンマで区切った vlan パラメータの間、またはダッシュで指定した範囲の間には、スペースを入れないでください。
• デフォルトでは、すべての VLAN が許可されます。
• VLAN 1 を削除できます。トランクから VLAN 1 を削除した場合も、トランク インターフェイスは VLAN 1 の Cisco Discovery Protocol(CDP)、VLAN トランキング プロトコル(VTP)、ポート集約プロトコル(PAgP)、DTP などの管理トラフィックを引き続き送受信します。
(注) ここに記載された作業を実行したあとで、「トランクの設定の完了」の手順を実行します。
プルーニング適格 VLAN のリストの設定
(注) ここに記載された作業を実行する前に、「レイヤ 2 スイッチング用の LAN ポートの設定」の手順を実行します。
レイヤ 2 トランクでプルーニング適格 VLAN のリストを設定するには、次の作業を行います。
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Router(config-if)# switchport trunk pruning vlan { none |{{ add | except | remove } vlan [, vlan [, vlan [,...]]}} |
(任意)トランクでプルーニング適格 VLAN のリストを設定します(を参照)。 |
Router(config-if)# no switchport trunk pruning vlan |
デフォルト値に戻します(すべての VLAN がプルーニング適格)。 |
トランク上で許容されるプルーニング適格 VLAN のリストを設定する際、次の点に注意してください。
• vlan パラメータは、1 ~ 4094 の範囲の単一の VLAN 番号(予約済み VLAN を除く。 を参照)、または 2 つの VLAN 番号(小さい番号が先、ダッシュで区切る)で指定する VLAN 範囲です。カンマで区切った vlan パラメータの間、またはダッシュで指定した範囲の間には、スペースを入れないでください。
• デフォルトでは、プルーニングが許容される VLAN のリストには、すべての VLAN が含まれます。
• VTP トランスペアレント モードのネットワーク デバイスは、VTP Join メッセージを送信しません。VTP トランスペアレント モードのネットワーク デバイスにトランク接続されている Cisco 7600 シリーズ ルータでは、トランスペアレント モードのネットワーク デバイスによって使用される VLAN、またはプルーニング不適格としてトランスペアレント モードのネットワーク デバイス全体に伝送する必要がある VLAN を設定します。
(注) ここに記載された作業を実行したあとで、「トランクの設定の完了」の手順を実行します。
トランクの設定の完了
レイヤ 2 トランクの設定を完了するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config-if)# no shutdown |
インターフェイスをアクティブにします (インターフェイスをシャットダウンしている場合に限り必要)。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# end |
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
レイヤ 2 トランクの設定の確認
レイヤ 2 トランクの設定を確認するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router# show running-config interface type slot/port |
インターフェイスの実行コンフィギュレーションを表示します。 |
ステップ 2 |
Router# show interfaces [ type 1 slot/port] switchport |
インターフェイスのスイッチ ポートの設定を表示します。 |
ステップ 3 |
Router# show interfaces [ type 1 slot/port] trunk |
インターフェイスのトランクの設定を表示します。 |
設定および確認の例
次に、ファスト イーサネット ポート 5/8 を 802.1Q トランクとして設定する例を示します。この例では、ネイバー ポートが 802.1Q トランキングをサポートするように設定されていることを前提としています。
Router# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Router(config)# interface fastethernet 5/8
Router(config-if)# shutdown
Router(config-if)# switchport
Router(config-if)# switchport mode dynamic desirable
Router(config-if)# switchport trunk encapsulation dot1q
Router(config-if)# no shutdown
次に、設定を確認する例を示します。
Router# show running-config interface fastethernet 5/8
Building configuration...
interface FastEthernet5/8
switchport trunk encapsulation dot1q
Router# show interfaces fastethernet 5/8 switchport
Administrative Mode: dynamic desirable
Administrative Trunking Encapsulation: negotiate
Operational Trunking Encapsulation: dot1q
Negotiation of Trunking: Enabled
Access Mode VLAN: 1 (default)
Trunking Native Mode VLAN: 1 (default)
Trunking VLANs Enabled: ALL
Pruning VLANs Enabled: ALL
Router# show interfaces fastethernet 5/8 trunk
Port Mode Encapsulation Status Native vlan
Fa5/8 desirable n-802.1q trunking 1
Port Vlans allowed on trunk
Port Vlans allowed and active in management domain
Fa5/8 1-6,10,20,50,100,152,200,300,303-305,349-351,400,500,521,524,570,801-8
Port Vlans in spanning tree forwarding state and not pruned
Fa5/8 1-6,10,20,50,100,152,200,300,303-305,349-351,400,500,521,524,570,801-8
レイヤ 2 アクセス ポートとしての LAN インターフェイスの設定
(注) 存在しない VLAN に LAN ポートを割り当てると、VLAN データベースにその VLAN を作成するまで、LAN ポートはシャットダウンされます(を参照)。
LAN ポートをレイヤ 2 アクセス ポートとして設定するには、次の作業を行います。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface type slot/port |
設定する LAN ポートを選択します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# shutdown |
(任意)設定が完了するまでトラフィック フローを防止するために、インターフェイスをシャットダウンします。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)# switchport |
LAN ポートをレイヤ 2 スイッチング用に設定します。 コマンドを入力してください。 |
ステップ 4 |
Router(config-if)# no switchport |
レイヤ 2 LAN ポートの設定を消去します。 |
ステップ 5 |
Router(config-if)# switchport mode access |
LAN ポートをレイヤ 2 アクセス ポートとして設定します。 |
Router(config-if)# no switchport mode |
デフォルトのスイッチポート モード( switchport mode dynamic desirable )に戻します。 |
ステップ 6 |
Router(config-if)# switchport access vlan vlan_ID |
LAN ポートを VLAN に入れます。 vlan_ID の値は 1 ~ 4094 です(予約済み VLAN は除く。 を参照)。 |
Router(config-if)# no switchport access vlan |
デフォルトのアクセス VLAN に戻します(VLAN 1)。 |
ステップ 7 |
Router(config-if)# no shutdown |
インターフェイスをアクティブにします。(インターフェイスをシャットダウンしている場合に限り必要)。 |
ステップ 8 |
Router(config-if)# end |
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 9 |
Router# show running-config interface [ type 1 slot/port ] |
インターフェイスの実行コンフィギュレーションを表示します。 |
ステップ 10 |
Router# show interfaces [ type 1 slot/port ] switchport |
インターフェイスのスイッチ ポートの設定を表示します。 |
次に、ファスト イーサネット ポート 5/6 を VLAN 200 のアクセス ポートとして設定する例を示します。
Router# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Router(config)# interface fastethernet 5/6
Router(config-if)# shutdown
Router(config-if)# switchport
Router(config-if)# switchport mode access
Router(config-if)# switchport access vlan 200
Router(config-if)# no shutdown
次に、設定を確認する例を示します。
Router# show running-config interface fastethernet 5/6
Building configuration...
interface FastEthernet5/6
switchport access vlan 200
Router# show interfaces fastethernet 5/6 switchport
Administrative Mode: static access
Operational Mode: static access
Administrative Trunking Encapsulation: negotiate
Operational Trunking Encapsulation: native
Negotiation of Trunking: Enabled
Access Mode VLAN: 200 (VLAN0200)
Trunking Native Mode VLAN: 1 (default)
Trunking VLANs Enabled: ALL
Pruning VLANs Enabled: ALL
カスタム IEEE 802.1Q EtherType フィールド値の設定
802.1Q タグ付きまたは 802.1p タグ付きフレームの標準 0x8100 EtherType フィールド値を使用しないネットワーク デバイスをサポートするように、ポートでカスタム EtherType フィールド値を設定できます。
EtherType フィールドのカスタム値を設定するには、次の作業を行います。
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Router(config-if)# switchport dot1q ethertype value |
ポートの 802.1Q EtherType フィールド値を設定します。 |
Router(config-if)# no switchport dot1q ethertype |
デフォルトの 802.1Q EtherType フィールド値(0x8100)に戻します。 |
カスタム EtherType フィールド値の設定時には、以下に注意してください。
• カスタム EtherType フィールド値を使用するには、ネットワーク上のトラフィック パス内のネットワーク デバイスすべてがカスタム EtherType フィールド値をサポートする必要があります。
• トランク ポート、アクセス ポート、トンネル ポート上のカスタム EtherType フィールド値を設定できます。
• EtherChannel のメンバー ポート上のカスタム EtherType フィールド値を設定できます。
• ポートチャネル インターフェイス上では、カスタム EtherType フィールド値を設定できません。
• ポートごとに、EtherType フィールド値 1 つだけをサポートします。カスタム EtherType フィールド値で設定されたポートでは、他の EtherType フィールド値を持つフレームはタグ付きフレームとして認識されません。たとえば、カスタム EtherType フィールド値で設定されたトランク ポートでは、802.1Q タグ付きフレームの標準 0x8100 EtherType フィールド値は認識されず、このフレームが属する VLAN にフレームを配置することができません。
• カスタム IEEE802.1Q EtherType フィールド値をサポートするモジュールの一覧については、『 Release Notes for Cisco IOS Release 12.2SX on the Supervisor Engine 720, Supervisor Engine 32, and Supervisor Engine 2 』を参照してください。
注意 カスタム EtherType フィールド値で設定されたポートは、他の EtherType フィールド値を持つフレームをタグなしのフレームと見なします。カスタム EtherType フィールド値を持つトランク ポートは、他の EtherType フィールド値を持つフレームをネイティブ VLAN に配置します。カスタム EtherType フィールド値を持つアクセス ポートまたはトンネル ポートは、他の EtherType フィールド値を持つフレームをアクセス VLAN に配置します。カスタム EtherType フィールド値を正しく設定しないと、フレームは間違った VLAN に配置される場合があります。
次に、EtherType フィールド値を 0x1234 に設定する例を示します。
Router (config-if)# switchport dot1q ethertype 1234