概要
エクストラネットは、外部ユーザに組織のイントラネットへのアクセスを許可するバーチャル プライベート ネットワークです。外部ユーザは、その組織のビジネス パートナー、カスタマー、サプライヤである可能性があります。MVPN エクストラネット機能により、サービス プロバイダーは、ある企業サイトから他の企業サイトへ、あるいは異なる VRF 設定間で送信されたマルチキャスト コンテンツを配信できます。これにより、異なる非公開ユーザ グループが、複数の VPN カスタマー間でマルチキャスト情報を共有できます。この機能により、サービス プロバイダーは、企業間のビジネス パートナーシップの実現に役立つ高度で柔軟なエクストラネット サービスを提供できます。MVPN エクストラネット機能を使用すると、サービス プロバイダーは次のものに対して効率的なコンテンツ配信を提供できます。
• さまざまな企業。
• サービス プロバイダーまたはコンテンツ プロバイダーと VPN カスタマー。
MPLS VPN により、ユーザが許可された情報にのみアクセスすることが保証されます。MPLS VPN エクストラネット サービスは、エクストラネット ユーザにセキュリティおよび機密データの整合性のないユニキャストおよびマルチキャスト接続を提供します。マルチキャスト VPN エクストラネット サポート機能では、この機能を拡張してエクストラネット ユーザへのマルチキャスト接続も追加されます。
エクストラネット MVPN アーキテクチャ
図 28-1 に、エクストラネット MVPN アーキテクチャを示します。
図 28-1 エクストラネット MVPN アーキテクチャ
MVPN エクストラネットの設定
企業 VPN カスタマーにエクストラネット MVPN サービスを提供するには、次の手順を使用して受信プロバイダー エッジ(PE)ルータに、発信元 Multicast Virtual Routing and Forwarding(MVRF; マルチキャスト仮想ルーティングおよびフォワーディング)を設定する必要があります。
• 直接接続された CE ルータの背後のエクストラネット サイトに 1 つ以上の受信先が存在する受信 PE ルータで、追加 MVRF を設定します(MVRF が設定されていない場合)。この MVRF には、マルチキャスト発信元に接続されたサイトと同じデフォルトの Multicast Distribution Tree(MDT; マルチキャスト配信ツリー)グループが存在します。
• 受信 PE ルータで、発信元 MVRF から受信 MVRF へのルートのインポートに使用されるルーティング ポリシーと同様のユニキャスト ルーティング ポリシーを設定します。
MVPN エクストラネットは、入力レプリケーション モードおよび出力レプリケーション モードの両方で動作します。プラットフォームでは、両方のモードで Multicast Forwarding Information Base(MFIB; マルチキャスト転送情報ベース)通知に基づきハードウェア エントリをプログラミングします。エンド ユーザに対しては、エクストラネットはプラットフォームが使用するモードに関係なく、同様に動作してパケットをスイッチします。
(注) MVPN エクストラネット サポートの設定の詳細については、『Configuring Multicast VPN Extranet Support』を参照してください。
制約事項および使用上の注意事項
Cisco 7600 シリーズ ルータでマルチキャスト VPN エクストラネット サポートを設定する場合は、次の制約事項および使用上のガイドラインに従ってください。
• IPV6 ベースの MVPN エクストラネットは、Cisco 7600 シリーズ ルータでサポートされていません。
• データ トラフィックのパフォーマンス、遅延、およびコンバージェンスは、MVPN エクストラネットおよび MVPN イントラネットで同じです。
• MVPN エクストラネットの拡張に関するデータは次のとおりです。
– サポートされている MVRF の最大数は 100 です。
– 各 MVRF でサポートされている mroute の最大数は 100 です。
• エクストラネット コンテンツ グループ モードは、すべての VRF で一貫している必要があり、次のモードがサポートされています。
– MVPN エクストラネット機能は、Protocol Independent Multicast(PIM)スパース モード(PIM-SM)と Source Specific Multicast(SSM)トラフィックをサポートします。PIM デンス モード(PIM-DM)および双方向 PIM(Bidir-PIM)トラフィックはサポートされません。
– PIM スパース モードは、RP が(CE 上の)PE ルータの背後に設定されていて、発信元が同じイントラネット MVPN で CE ルータの背後にある場合にのみサポートされています。
• fallback-lookup オプションを指定したスタティック mroute だけが、RPF 検索でサポートされています。
• MVPN エクストラネット サポートを設定するには、レシーバ PE でソース MVRF を設定します。発信元 PE で受信 MVRF の設定によって、MVPN エクストラネット サポートを実装することはできません。