ACL IP オプションの選択的ドロップ

ACL IP オプションの選択的ドロップ機能を使用すると、Cisco ルータが IP オプションが設定されたパケットをフィルタしたり、ルータまたはダウンストリーム ルータ上での IP オプションの影響を軽減したりすることができるようになります。これは、これらのパケットをドロップするか、IP オプションの処理を無視することによって行われます。

ACL IP オプションの選択的ドロップの制約事項

リソース予約プロトコル(RSVP)(マルチプロトコル ラベル スイッチング トラフィック エンジニアリング(MPLS TE))、Internet Group Management Protocol バージョン 2(IGMPv2)、および IP オプション パケットを使用するその他のプロトコルは、ドロップまたは無視モードでは機能しない可能性があります。

ACL IP オプションの選択的ドロップに関する情報

ACL IP オプションの選択的ドロップの使用

ACL IP オプションの選択的ドロップ機能を使用すると、IP オプションが設定されたパケットをルータでフィルタできるようになります。これにより、これらのパケットのルータまたはダウンストリーム ルータへの影響を軽減し、次の手順を実行できます。

  • 受信した IP オプション パケットをすべてドロップし、オプションがネットワークの奥深くまで入り込まないようにします。

  • そのルータ宛ての IP オプション パケットを無視し、IP オプションが設定されていないものとして扱います。

多くのユーザーにとっては、パケットのドロップが最善策であると言えます。ただし、正規の IP オプションが存在する可能性のある環境では、ルータ上のパケットのロード処理を減らすだけで十分です。したがって、ルータ上のオプション処理をスキップしたうえで、ピュア IP であるかのようにパケットを転送することができます。

ACL IP オプションの選択的ドロップを使用する利点

  • ドロップ モードでは、ネットワークからのパケットをフィルタすることで、オプション パケットからロードするというダウンストリーム ルータおよびホストの負荷を軽減できます。

  • ドロップ モードでは、分散システム上でのルート プロセッサ(RP)処理が必要となるオプションの RP へのロードが最小限に抑えられます。以前は、パケットは常に RP CPU でルーティングまたは処理されていました。現在は、無視またはドロップすることで、パケットが RP パフォーマンスに影響を及ぼすことを回避できます。

ACL IP オプションの選択的ドロップの設定方法

ACL IP オプションの選択的ドロップの設定

ここでは、ACL IP オプションの選択的ドロップ機能を設定する方法について説明します。

SUMMARY STEPS

  1. enable
  2. configure terminal
  3. ip options {drop | ignore }
  4. exit
  5. show ip traffic

DETAILED STEPS

  Command or Action Purpose

Step 1

enable

Example:


Router> enable

特権 EXEC モードを有効にします。

  • パスワードを入力します(要求された場合)。

Step 2

configure terminal

Example:


Router# configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

Step 3

ip options {drop | ignore }

Example:


Router(config)# ip options drop

ルータに送信された IP オプション パケットをドロップまたは無視します。

Step 4

exit

Example:


Router(config)# exit

特権 EXEC モードに戻ります。

Step 5

show ip traffic

Example:


Router# show ip traffic

(任意)IP トラフィックの統計情報を表示します。

ACL IP オプションの選択的ドロップの設定例

例:ACL IP オプションの選択的ドロップの設定

次に、ネットワークに入ったすべてのオプション パケットをドロップするように、ルータ(およびダウンストリーム ルータ)を設定する例を示します。


Router(config)# ip options drop
% Warning:RSVP and other protocols that use IP Options packets may not function in drop or ignore modes.
end

例:ACL IP オプションの選択的ドロップの確認

この出力例は、ip options drop コマンドを使用した後に表示されます。


Router# show ip traffic 
IP statistics:
  Rcvd:  428 total, 323 local destination
         0 format errors, 0 checksum errors, 0 bad hop count
         0 unknown protocol, 0 not a gateway
         0 security failures, 0 bad options, 0 with options
  Opts:  0 end, 0 nop, 0 basic security, 0 loose source route
         0 timestamp, 0 extended security, 0 record route
         0 stream ID, 0 strict source route, 0 alert, 0 cipso, 0 ump
         0 other, 30 ignored
  Frags: 0 reassembled, 0 timeouts, 0 couldn't reassemble
         0 fragmented, 0 fragments, 0 couldn't fragment
  Bcast: 0 received, 0 sent
  Mcast: 323 received, 809 sent
  Sent:  809 generated, 591 forwarded
  Drop:  0 encapsulation failed, 0 unresolved, 0 no adjacency
         0 no route, 0 unicast RPF, 0 forced drop, 0 unsupported-addr
         0 options denied, 0 source IP address zero

IP アクセス リスト エントリ シーケンス番号の追加情報

ここでは、IP アクセス リストに関する関連資料について説明します。

関連資料

関連項目

マニュアル タイトル

IP アクセス リストの設定

『Creating an IP Access List and Applying It to an Interface』

IP アクセス リスト コマンド

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ACL IP オプションの選択的ドロップに関する機能情報

次の表に、このモジュールで説明した機能に関するリリース情報を示します。この表は、ソフトウェア リリース トレインで各機能のサポートが導入されたときのソフトウェアリリースだけを示しています。その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェアリリースでもサポートされます。

プラットフォームのサポートおよびシスコ ソフトウェアイメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator にアクセスするには、www.cisco.com/go/cfn に移動します。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
Table 1. ACL IP オプションの選択的ドロップに関する機能情報

機能名

リリース

機能情報

ACL IP オプションの選択的ドロップ

Cisco IOS XE リリース 2.1

ACL IP オプションの選択的ドロップ機能を使用すると、Cisco ルータが IP オプションが設定されたパケットをフィルタしたり、ルータまたはダウンストリーム ルータ上での IP オプションの影響を軽減したりすることができるようになります。これは、これらのパケットをドロップするか、IP オプションの処理を無視することによって行われます。

この機能は、Cisco ASR 1000 シリーズのアグリゲーション サービス ルータで導入されました。

次のコマンドが導入されました。ip options