ゾーンベース ポリシー ファイアウォールでの TCP ウィンドウ スケーリングのルーズ チェック オプション

ゾーンベース ポリシー ファイアウォール機能の TCP ウィンドウ スケーリング オプションのルーズ チェックは、ファイアウォールでの TCP ウィンドウ スケーリング オプションの厳格なチェックを無効にします。

ゾーンベース ポリシー ファイアウォールでの TCP ウィンドウ スケーリングのルーズ チェック オプションに関する情報

TCP ウィンドウ スケーリングのルーズ チェック オプションの概要

TCP は、高帯域幅および高速データ パスでのパフォーマンスを向上させる、さまざまな TCP 拡張機能を提供しています。このような拡張機能の 1 つが、TCP ウィンドウ スケーリング オプションです。TCP ウィンドウ スケーリングのルーズ チェック オプションは、RFC 1323 に記述されているウィンドウ スケーリング オプションの厳密なチェックを無効にします。

広帯域高遅延ネットワーク(LFN)と呼ばれる大きな帯域遅延積の特性を持つネットワーク経路での TCP のパフォーマンスを改善するため、より大きなウィンドウ サイズが推奨されます。TCP ウィンドウ スケーリングにより、TCP ウィンドウの定義は 32 ビットに拡大され、スケール ファクタを使用して TCP ヘッダーの 16 ビット ウィンドウ フィールドでこの 32 ビットの値を伝送します。ウィンドウ サイズはスケール係数 14 まで大きくすることができます。典型的なアプリケーションは、広帯域高遅延ネットワークで動作するときにスケール係数 3 を使います。

ファイアウォールの実装により、TCP ウィンドウ スケーリング オプションの厳密なチェックが適用されます。この場合、ファイアウォールは、TCP スリーウェイ ハンドシェイクの初期同期(SYN)パケットで TCP ウィンドウ スケーリング オプションを受信しなかった場合、TCP ウィンドウ スケーリング オプションを使用する SYN/ACK パケットをドロップします。ウィンドウ スケーリング オプションは SYN ビットがオンに設定された SYN セグメントでのみ送信されます。したがって、接続のオープン時にウィンドウ スケールが各方向で固定されます。

tcp window-scale-enforcement loose コマンドを使用すると、TCP SYN セグメントでの TCP ウィンドウ スケーリング オプションの厳格なチェックが無効になります。

ゾーンベース ポリシー ファイアウォールでの TCP ウィンドウ スケーリングのルーズ チェック オプションの設定方法

ファイアウォールの TCP ウィンドウ スケーリング オプションの設定

SUMMARY STEPS

  1. enable
  2. configure terminal
  3. parameter-map type inspect {parameter-map-name | global | default}
  4. tcp window-scale-enforcement loose
  5. exit
  6. class-map type inspect {match-any | match-all} class-map-name
  7. match protocol [parameter-map] [signature]
  8. exit
  9. policy-map type inspectpolicy-map-name
  10. class type inspect class-map-name
  11. inspect [parameter-map-name]
  12. exit
  13. class name
  14. end

DETAILED STEPS

  Command or Action Purpose

Step 1

enable

Example:

Device> enable 
特権 EXEC モードを有効にします。
  • パスワードを入力します(要求された場合)。

Step 2

configure terminal

Example:

Device# configure terminal 

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

Step 3

parameter-map type inspect {parameter-map-name | global | default}

Example:

Device(config)# parameter-map type inspect pmap-fw

検査パラメータ マップを設定し、プロファイル コンフィギュレーション モードを開始します。

Step 4

tcp window-scale-enforcement loose

Example:

Device(config-profile)# tcp window-scale-enforcement loose

ファイアウォールでの TCP ウィンドウ スケーリング オプションの厳密なチェックを無効にします。

Step 5

exit

Example:

Device(config-profile)# exit 

プロファイル コンフィギュレーション モードを終了し、グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。

Step 6

class-map type inspect {match-any | match-all} class-map-name

Example:

Device(config)# class-map type inspect match-any internet-traffic-class 

検査タイプ クラス マップを作成して、QoS クラス マップ コンフィギュレーション モードを開始します。

Step 7

match protocol [parameter-map] [signature]

Example:

Device(config-cmap)# match protocol tcp

指定されたプロトコルに基づいてクラス マップの一致基準を設定します。

Step 8

exit

Example:

Device(config-cmap)# exit

QoS クラス マップ コンフィギュレーション モードを終了し、グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。

Step 9

policy-map type inspectpolicy-map-name

Example:

Device(config)# policy-map type inspect private-internet-policy 

検査タイプ ポリシー マップを作成して、QoS ポリシー マップ コンフィギュレーション モードを開始します。

Step 10

class type inspect class-map-name

Example:

Device(config-pmap)# class type inspect internet-traffic-class

アクションを実行する対象のトラフィック クラスを指定し、ポリシー マップ クラス コンフィギュレーション モードを開始します。

Step 11

inspect [parameter-map-name]

Example:

Device(config-pmap-c)# inspect pmap-fw

ステートフル パケット インスペクションをイネーブルにします。

Step 12

exit

Example:

Device(config-pmap-c)# exit

QoS ポリシー マップ クラス コンフィギュレーション モードを終了し、QoS ポリシー マップ コンフィギュレーション モードに戻ります。

Step 13

class name

Example:

Device(config-pmap)# class class-default

指定したデータリンク接続識別子(DLCI)にマップ クラスを関連付けます。

Step 14

end

Example:

Device(config-pmap)# end 

QoS ポリシー マップ コンフィギュレーション モードを終了し、特権 EXEC モードに戻ります。

TCP ウィンドウ スケーリングのゾーンとゾーン ペアの設定

SUMMARY STEPS

  1. enable
  2. configure terminal
  3. interface type number
  4. ip address ip-address
  5. zone-member security security-zone-name
  6. exit
  7. interface type number
  8. ip address ip-address
  9. zone-member security security-zone-name
  10. end

DETAILED STEPS

  Command or Action Purpose

Step 1

enable

Example:

Device> enable 
特権 EXEC モードを有効にします。
  • パスワードを入力します(要求された場合)。

Step 2

configure terminal

Example:

Device# configure terminal 

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

Step 3

interface type number

Example:

Device(config)# interface GigabitEthernet 0/1/5

インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。

Step 4

ip address ip-address

Example:

Device(config-if)# ip address 10.1.1.1 255.255.255.0

インターフェイス IP アドレスを割り当てます。

Step 5

zone-member security security-zone-name

Example:

Device(config-if)# zone-member security private

インターフェイスをゾーン メンバーとして設定します。

Step 6

exit

Example:

Device(config-if)# exit

インターフェイス設定モードを終了し、グローバル設定モードに戻ります。

Step 7

interface type number

Example:

Device(config)# interface GigabitEthernet 0/1/6

インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。

Step 8

ip address ip-address

Example:

Device(config-if)# ip address 209.165.200.225 255.255.255.0

IP アドレスをインターフェイスに割り当てます。

Step 9

zone-member security security-zone-name

Example:

Device(config-if)# zone-member security internet

インターフェイスをゾーン メンバーとして設定します。

Step 10

end

Example:

Device(config-if)# end

インターフェイス コンフィギュレーション モードを終了し、特権 EXEC モードに戻ります。

TCP ウィンドウ スケーリングの設定例

例:ファイアウォールの TCP ウィンドウ スケーリング オプションの設定

Device> enable
Device# configure terminal
Device(config)# parameter-map type inspect pmap-fw
Device(config-profile)# tcp window-scale-enforcement loose
Device(config-profile)# exit 
Device(config)# class-map type inspect match-any internet-traffic-class
Device(config-cmap)# match protocol tcp
Device(config-cmap)# exit
Device(config)# policy-map type inspect private-internet-policy
Device(config-pmap)# class type inspect internet-traffic-class
Device(config-pmap-c)# inspect pmap-fw
Device(config-pmap-c)#exit 
Device(config-pmap)# class class-default
Device(config-pmap)#end

例:TCP ウィンドウ スケーリングのゾーンとゾーン ペアの設定


Device# enable
Device# configure terminal
Device(config)# interface GigabitEthernet 0/1/5
Device(config-if)# ip address 10.1.1.1 255.255.255.0
Device(config-if)# zone-member security private
Device(config-if)# exit
Device(config)# interface GigabitEthernet 0/1/6
Device(config-if)# ip address 209.165.200.225 255.255.255.0
Device(config-if)# zone-member security internet
Device(config-if)# end

ゾーンベース ポリシー ファイアウォールでの TCP ウィンドウ スケーリングのルーズ チェック オプションに関する機能情報

次の表に、このモジュールで説明した機能に関するリリース情報を示します。この表は、ソフトウェア リリース トレインで各機能のサポートが導入されたときのソフトウェアリリースだけを示しています。その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェアリリースでもサポートされます。

プラットフォームのサポートおよびシスコ ソフトウェアイメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator にアクセスするには、www.cisco.com/go/cfn に移動します。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
Table 1. ゾーンベース ポリシー ファイアウォールでの TCP ウィンドウ スケーリングのルーズ チェック オプションに関する機能情報

機能名

リリース

機能情報

ゾーンベース ポリシー ファイアウォールでの TCP ウィンドウ スケーリングのルーズ チェック オプション

Cisco IOS XE リリース 3.10S

ゾーンベース ポリシー ファイアウォールでの TCP ウィンドウ スケーリングのルーズ チェック オプション機能は、IOS-XE ファイアウォール内の TCP ウィンドウ スケーリング オプションの厳密なチェックを無効にします。

次のコマンドが導入または変更されました。tcp window-scale-enforcement loose

Cisco IOS XE リリース 3.10S で、Cisco CSR 1000 シリーズ ルータのサポートが追加されました。