複数の UDP ポート用の RADIUS

RADIUS セキュリティ サーバーは、ホスト名または IP アドレス、ホスト名と特定の UDP ポート番号、または IP アドレスと特定の UDP ポート番号により識別されます。IP アドレスと UDP ポート番号を組み合わせることによって、異なるポートを特定の認証、認可、およびアカウンティング(AAA)サービスを提供する RADIUS ホストとして個別に定義できます。この一意の ID を使用することによって、同じ IP アドレスにあるサーバー上の複数の UDP ポートに、RADIUS 要求を送信できます。同じ RADIUS サーバー上の異なる 2 つのホスト エントリに同じサービス(たとえば認証など)を設定した場合、2 番めに設定されたホスト エントリは、最初に設定されたホスト エントリのフェールオーバー バックアップとして動作します。最初のホスト エントリがアカウンティング サービスの提供に失敗すると、ネットワーク アクセス サーバーは同じデバイスに設定されている 2 番めのホスト エントリを使用してアカウンティング サービスを提供するように試行します。

複数の UDP ポート用の RADIUS の前提条件

シスコ デバイスまたはアクセス サーバーで RADIUS を設定するには、次のタスクを実行する必要があります。

  • aaa new-model グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、AAA をイネーブルにします。RADIUS を使用する予定がある場合、AAA を設定する必要があります。

  • aaa authentication グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、RADIUS 認証の方式リストを定義します。

  • line および interface コマンドを使用して、使用する定義済みの方式リストを有効にします。

複数の UDP ポート用の RADIUS に関する情報

デバイスと RADIUS サーバーの通信

通常、RADIUS ホストは、シスコ(CiscoSecure ACS)、Livingston、Merit、Microsoft、または他のソフトウェア プロバイダーの RADIUS サーバー ソフトウェアを実行するマルチユーザー システムです。RADIUS サーバーとの通信のためにデバイスを設定するには、次のような要素があります。

  • ホスト名または IP アドレス

  • 認証の宛先ポート

  • アカウンティングの宛先ポート

  • タイムアウト時間

  • 再送信回数

  • キー文字列

RADIUS セキュリティ サーバーは、ホスト名または IP アドレス、ホスト名と特定の UDP ポート番号、または IP アドレスと特定の UDP ポート番号により識別されます。固有の識別情報は、IP アドレスと UDP ポート番号の組み合わせで構成されます。これにより、RADIUS ホストとして定義されているさまざまなポートが、固有の AAA サービスを提供できるようになります。この一意の ID を使用することによって、同じ IP アドレスにあるサーバー上の複数の UDP ポートに、RADIUS 要求を送信できます。同じ RADIUS サーバー上の異なる 2 つのホスト エントリに同じサービス(たとえば認証など)を設定した場合、2 番めに設定されたホスト エントリは、最初に設定されたホスト エントリのフェールオーバー バックアップとして動作します。最初のホスト エントリがアカウンティング サービスの提供に失敗すると、ネットワーク アクセス サーバーは同じデバイスに設定されている 2 番めのホスト エントリを使用してアカウンティング サービスを提供するように試行します。(試行される RADIUS ホスト エントリの順番は、設定されている順序に従います)。

RADIUS サーバーとシスコ デバイスは、共有秘密テキスト文字列を使用して、パスワードの暗号化および応答の交換を行います。RADIUS で AAA セキュリティ コマンドを使用するように設定するには、RADIUS サーバー デーモンが稼働するホストと、そのホストがデバイスと共有する秘密テキスト(キー)文字列を指定する必要があります。

タイムアウト値、再送信値、および暗号キー値には、すべての RADIUS サーバーを対象にしたグローバル設定、サーバー別設定、またはグローバル設定とサーバー別設定の組み合わせを使用できます。デバイスと通信するすべての RADIUS サーバーにこのような設定をグローバルに適用するには、radius-server timeout radius-server retransmit 、および radius-server key という 3 つの固有なグローバル コマンドを使用します。特定の RADIUS サーバーにこれらの値を適用するには、radius-server host コマンドをグローバル コンフィギュレーション モードで使用します。


Note


同じシスコ製ネットワーク アクセス サーバーで、タイムアウト、再送信、およびキー値のコマンドを同時に設定(グローバル設定およびサーバー別設定)できます。デバイスにグローバル機能とサーバー別機能の両方を設定する場合、サーバー別のタイマー、再送信、およびキー値のコマンドが、グローバルのタイマー、再送信、およびキー値のコマンドよりも優先されます。


複数の UDP ポート用の RADIUS を設定する方法

デバイスと RADIUS サーバーの通信の設定

SUMMARY STEPS

  1. enable
  2. configure terminal
  3. radius server server-name
  4. address ipv4 ip-address
  5. key {0 string | 7 string | string }
  6. retransmit retries
  7. timeout seconds
  8. exit

DETAILED STEPS

  Command or Action Purpose

Step 1

enable

Example:


Device> enable

特権 EXEC モードを有効にします。

  • パスワードを入力します(要求された場合)。

Step 2

configure terminal

Example:


Device# configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

Step 3

radius server server-name

Example:


Device(config)# radius server rad1

RADIUS サーバーの名前を指定します。

Step 4

address ipv4 ip-address

Example:


Device(config-radius-server)# address ipv4 10.45.1.2

RADIUS サーバーに IP アドレスを割り当てます。

Step 5

key {0 string | 7 string | string }

Example:


Device(config-radius-server)# key myRaDIUSpassword

デバイスと RADIUS サーバーの間で使用する共有秘密テキスト文字列を指定します。

Note

 

この手順では、暗号キーの値は、すべての RADIUS サーバーに対してグローバルに設定されます。

  • 0 string オプションを使用して、暗号化されていない共有秘密を設定します。7 string オプションを使用して、暗号化された共有秘密を設定します。

Step 6

retransmit retries

Example:


Device(config-radius-server)# retransmit 25

デバイスからサーバーに対して各 RADIUS 要求を送信する回数の上限を指定します(デフォルトは 3 です)。

Note

 

この手順では、再送信の値は、すべての RADIUS サーバーに対してグローバルに設定されます。

Step 7

timeout seconds

Example:


Device(config-radius-server)# timeout 6

デバイスが RADIUS 要求に対する応答を待機して、要求を再送信するまでの時間(秒数)を指定します。

Note

 

この手順では、タイムアウト値は、すべての RADIUS サーバーに対してグローバルに設定されます。

Step 8

exit

Example:


Device(config)# exit

特権 EXEC モードに戻ります。

複数の UDP ポート用の RADIUS の設定例

例:デバイスと RADIUS サーバーの通信

次に、固有のタイムアウト、再送信、およびキー値を指定した 2 つの RADIUS サーバーを設定する例を示します。この例では、aaa new-model コマンドを使用してデバイス上の AAA サービスを有効化し、特定の AAA コマンドで AAA サービスを定義します。retransmit コマンドで、すべての RADIUS サーバーについて、グローバル再送信値を 4 に変更します。host コマンドで、IP アドレスが 172.16.1.1 と 172.29.39.46 の RADIUS サーバー ホストについて、特定のタイムアウト、再送信、およびキーの値を設定します。


! Enable AAA services on the device and define those services.
aaa new-model
aaa authentication login default group radius
aaa authentication login console-login none
aaa authentication ppp default group radius
aaa authorization network default group radius
aaa accounting exec default start-stop group radius
aaa accounting network default start-stop group radius
enable password tryit1
!
Device(config)# radius server rad1
Device(config-radius-server)# address ipv4 10.45.1.2
Device(config-radius-server)# key myRaDIUSpassword
Device(config-radius-server)# retransmit 25
Device(config-radius-server)# timeout 6
Device(config)# exit

例:サーバー固有の値を指定した RADIUS サーバー

次に、172.31.39.46 という IP アドレスの RADIUS サーバーについて、サーバー固有のタイムアウト、再送信、およびキー値を設定する例を示します。


radius-server host 172.31.39.46 timeout 6 retransmit 5 key rad123

その他の参考資料

関連資料

関連項目

マニュアル タイトル

Cisco IOS コマンド

『Cisco IOS Master Command List, All Releases』

セキュリティ コマンド

AAA

Authentication, Authorization, and Accounting Configuration Guide』(Securing User Services Configuration Library の一部)

シスコのテクニカル サポート

説明

リンク

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http://www.cisco.com/cisco/web/support/index.html

複数の UDP ポート用の RADIUS の機能情報

次の表に、このモジュールで説明した機能に関するリリース情報を示します。この表は、ソフトウェア リリース トレインで各機能のサポートが導入されたときのソフトウェアリリースだけを示しています。その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェアリリースでもサポートされます。

プラットフォームのサポートおよびシスコ ソフトウェアイメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator にアクセスするには、www.cisco.com/go/cfn に移動します。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
Table 1. 複数の UDP ポート用の RADIUS の機能情報

機能名

リリース

機能情報

複数の UDP ポート用の RADIUS

RADIUS セキュリティ サーバーは、ホスト名または IP アドレス、ホスト名と特定の UDP ポート番号、または IP アドレスと特定の UDP ポート番号により識別されます。固有の識別情報は、IP アドレスと UDP ポート番号の組み合わせで構成されます。これにより、RADIUS ホストとして定義されているさまざまなポートが、固有の AAA サービスを提供できるようになります。この一意の ID を使用することによって、同じ IP アドレスにあるサーバー上の複数の UDP ポートに、RADIUS 要求を送信できます。

  • Catalyst 3850 シリーズ スイッチ

  • Catalyst 3650 シリーズ スイッチ

次のコマンドが導入または変更されました。radius-server host