暗号化されたベンダー固有属性

暗号化されたベンダー固有属性の機能により、ユーザは RADIUS サーバでフィルタを一元的に管理することができます。また、この機能は次の種類の文字列のベンダー固有属性(VSA)をサポートしています。

Cisco:AVPairs では、属性と値のペア(AVP)の文字列の形式で追加の認証情報および認可情報を指定します。Internet Engineering Task Force(IETF)の RADIUS 属性 26(Vendor-Specific)が、ベンダー ID 番号「9」およびベンダータイプ値「1」で転送された場合(Cisco AVPair であることを意味します)、Cisco AVPair の RADIUS ユーザ プロファイルは「Cisco:AVPair = "protocol:attribute=value"」というような形式になります。

暗号化されたベンダー固有属性の前提条件

タグ付きで暗号化された VSA を RADIUS サーバが受け付けるようにするためには、AAA 認証および AAA 認可用にサーバを設定し、PPP コールを受け付けるように設定する必要があります。

暗号化されたベンダー固有属性に関する情報

タグ付きの文字列 VSA

次の図は、タグ付きの文字列 VSA のパケット形式を示します。

Figure 1. タグ付きの文字列 VSA の形式

正しい値を取り出すために、Tag フィールドが正しく解析される必要があります。このフィールドの値の範囲はわずか 0x01 ~ 0x1F です。値が指定範囲内にない場合、RADIUS サーバはその値を無視し、Tag フィールドが Attribute String フィールドの一部であると見なします。

暗号化された文字列 VSA

次の図は、暗号化された文字列 VSA のパケット形式を示します。

Figure 2. 暗号化された文字列 VSA の形式

Salt フィールドは、VSA の各インスタンスの暗号化に使用される暗号キーの一意性を保証します。Salt フィールドの先頭の最上位ビットは 1 に設定する必要があります。


Note


Vendor-type (36) は、属性が暗号化された文字列 VSA であることを示しています。


タグ付きおよび暗号化された文字列 VSA

次の図は、新しくサポートされた各 VSA のパケットの形式を示しています。

Figure 3. タグ付きおよび暗号化された文字列 VSA の形式

この VSA は、Tag フィールドが追加されていることを除き、暗号化された文字列 VSA とほぼ同じです。Tag フィールドは、値が有効な範囲内(0x01 ~ 0x1F)にない場合、Salt フィールドの一部と見なされます。

暗号化されたベンダー固有属性の確認方法

暗号化されたベンダー固有属性の機能では、設定は必要ありません。RADIUS のタグ付きおよび暗号化 VSA が RADIUS サーバから送信されていることを検証するために、次のコマンドを特権 EXEC モードで実行します。

コマンド

目的


Router# debug radius 

RADIUS 関連の情報を表示します。このコマンドの出力は、タグ付きおよび暗号化 VSA が RADIUS サーバから送信されているかどうかを示しています。

暗号化されたベンダー固有属性の設定例

NAS の設定例

次の例は、タグ付きおよび暗号化 VSA を使用して、基本的な設定のネットワーク アクセス サーバ(NAS)を設定する方法を示しています(この例では、PPP コールの確立に必要な設定がすでにイネーブルになっていると想定されています)。


aaa new-model
aaa authentication ppp default group radius
aaa authorization network default group radius
!
radius-server host 10.2.2.2 auth-port 1645 acct-port 1646
radius-server key cisco

タグ付きおよび暗号化 VSA がある RADIUS ユーザ プロファイルの例

次の例は、タグ付きおよび暗号化された文字列 VSA をサポートする RADIUS サーバのユーザ プロファイルの例です。


mascot   Password = "password1"
         Service-Type = NAS-Prompt,
         Framed-Protocol = PPP,
         Cisco:Cisco-Enc = "ip:route=10.0.0.0 255.0.0.0" 
         Cisco.attr Cisco-Enc 36 tag-encstr(*,*)

その他の参考資料

関連資料

関連項目

マニュアル タイトル

Cisco IOS コマンド

『Cisco IOS Master Commands List, All Releases』

RADIUS 属性

Cisco IOS XE Security Configuration Guide: Securing User Services, Release 2』

メディア独立型 PPP およびマルチリンク PPP

「メディア独立型 PPP およびマルチリンク PPP の設定」機能モジュール

認証

「認証の設定」機能モジュール

許可

「認可の設定」機能モジュール

標準

標準

タイトル

なし。

--

MIB

MIB

MIB のリンク

なし。

選択したプラットフォーム、Cisco ソフトウェア リリース、およびフィーチャ セットの MIB を検索してダウンロードする場合は、次の URL にある Cisco MIB Locator を使用します。

http://www.cisco.com/go/mibs

RFC

RFC

タイトル

RFC 2865

『Remote Authentication Dial In User Service (RADIUS)』

RFC 2868

『RADIUS Attributes for Tunnel Protocol Support』

シスコのテクニカル サポート

説明

リンク

シスコのサポート Web サイトでは、シスコの製品やテクノロジーに関するトラブルシューティングにお役立ていただけるように、マニュアルやツールをはじめとする豊富なオンライン リソースを提供しています。

お使いの製品のセキュリティ情報や技術情報を入手するために、Cisco Notification Service(Field Notice からアクセス)、Cisco Technical Services Newsletter、Really Simple Syndication(RSS)フィードなどの各種サービスに加入できます。

シスコのサポート Web サイトのツールにアクセスする際は、Cisco.com のユーザ ID およびパスワードが必要です。

http://www.cisco.com/cisco/web/support/index.html

暗号化されたベンダー固有属性の機能情報

次の表に、このモジュールで説明した機能に関するリリース情報を示します。この表は、ソフトウェア リリース トレインで各機能のサポートが導入されたときのソフトウェアリリースだけを示しています。その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェアリリースでもサポートされます。

プラットフォームのサポートおよびシスコ ソフトウェアイメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator にアクセスするには、www.cisco.com/go/cfn に移動します。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
Table 1. 暗号化されたベンダー固有属性の機能情報

機能名

リリース

機能情報

暗号化されたベンダー固有属性

Cisco IOS XE Release 2.3

暗号化されたベンダー固有属性の機能により、ユーザは RADIUS サーバでフィルタを一元的に管理できます。また、この機能はタグ付き、暗号化、タグ付きおよび暗号化の各文字列ベンダー固有属性(VSA)をサポートしています。

Cisco IOS XE Release 2.3 では、Cisco ASR 1000 シリーズ Aggregation Services Router にこの機能が実装されました。